ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

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ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.23

(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.23】2011年3月期上期業績レポート
取材概要「旧音声系サービスからFTフォンへのシフトの一巡と景気悪化が重なりIP&Mobileソリューション事業の苦戦が続いており、成長路線への回帰に向け・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年1月18日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田小川町 3-9-2
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(12/27現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
22,020円 166,932株 3,675百万円 9.7% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 6.8% 1,199.06円 18.4倍 11,523.45円 1.9倍
※株価は12/27終値。
 
フォーバルテレコムの2011年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
電話機やOA機器の販売を手掛けるフォーバル(8275)グループで通信事業を展開。電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する回線リセーラー(再販業者)であり、ターゲットは中小企業。もっとも、単に回線を再販するだけでなく、一般番号ポータビリティー(従来と同じ電話番号での使用が可能)や携帯電話への発番通知等、独自のサービスを付加している。また、同社のサービスを利用すれば、国内電話、国際電話、インターネット等の請求が一本化される(ワンビリングサービス)ため、ユーザー企業は事務処理を簡素化する事ができる。
 
<事業内容>
事業は、「FTフォン」等の法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向け国際電話・市内外電話サービス、及び関連する情報通信機器販売等のIP&Mobileソリューション事業、連結子会社(株)トライ・エックス及び同社の子会社(株)新英、タクトシステム(株)が手掛ける印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の製造・販売のドキュメント・ソリューション事業、及び連結子会社(株)FISソリューションズが手掛ける経営支援コンサルティング及び保険サービスのコンサルティング事業に分かれる。
 
 
 
2011年3月期上期決算
 
 
前年同期比3.1%の減収、同39.7%の経常増益
売上高は前年同期比3.1%減の67.4億円。子会社が手掛けるドキュメント・ソリューション事業が回復傾向にある他、コンサルティング事業も堅調に推移したものの、フォーバルテレコムが手掛けるIP&Mobileソリューション事業の苦戦が響いた。利益面では、新規事業関連の人員増強等で販菅費が増加したものの、利益率の高い子会社の寄与による売上総利益の増加で吸収、営業利益は同37.6%増加した。ただ、投資有価証券売却損42百万円や子会社FISソリューションズの本社移転費用13百万円など特別損失66百万円を計上したため、四半期純利益は56百万円と同23.2%減少した。
 
 
IP&Mobileソリューション事業
売上高は前年同期比5.4%減の52.3億円、セグメント利益は同14.6%減の1.2億円。代理店の経営難もあり新規契約件数が減少した他、顧客企業の経営難や経費削減等で同サービスの課金収入も減少した。
 
ドキュメント・ソリューション事業
売上高は前年同期比4.5%増の11.2億円、セグメント利益33百万円(前年同期は22百万円の損失)。普通印刷や特注文具(ファイル・バインダー等)の需要が回復傾向にある中、経費節減も進んだ。
 
コンサルティング事業
売上高は前年同期比10.2%増の3.8億円、セグメント利益は同25.6%増の38百万円。景気の底打ちと営業努力により売上高・利益共に増加した。
 
(3)売上総利益及び販管費
売上総利益は売上の増加と売上総利益率の改善により11.6億円と前年同期比12.2%増加した。売上総利益率は、売上の回復で固定費負担の重い子会社が6.7ポイント改善した他、景気の影響を受け難いワンビリングサービスが堅調に推移した事でフォーバルテレコム個別の売上総利益率も0.5ポイント改善した。一方、販管費は9.8億円と8.8%増加。新規事業関連でFISソリューションズ等の人員増強(20人増)により人件費が6.3億円と0.4億円増加した他、求人費、広告宣伝費、地代家賃等も増加した。
 
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比1.7億円減の62.2億円。借方では、売上債権の回収が進んだ他、償却により無形固定資産が、売却により投資有価証券が、それぞれ減少。貸方では、子会社の借入金が減少した他、配当の支払いで純資産も減少した。CFの面では、前年同期と同額の営業CFを確保する一方、貸付の減少で投資CFのマイナス幅が大幅に縮小したため、フリーCFが3億円強の黒字に転換。借入金の返済や配当の支払いで財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の上期末残高は17.0億円と前期末比1.1億円増加した。
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比0.3%の増収、同19.0%の経常増益予想
主力のIP&Mobileソリューション事業は引き続き厳しい事業環境が予想されるものの、ドキュメント・ソリューション事業を中心に子会社の収益改善が見込まれる他、下期以降、新規事業の寄与も始まる見込み。配当は1株当たり800円の期末配当を予定(上期末配当と合わせて年1,500円)。
 
(2)下期の取り組み
ストック収益(課金)の強化に向け、新サービス “電子請求e-Bill「eco」”及び“2waySmart”を開始すると共に、販売チャネルの強化と販売代理店の拡充に取り組む考え。
 
①電子請求『e-Bill「eco」』の開始
“e-bill”は請求情報をインターネット上で確認できるサービス。これまでは紙ベースの請求書を発行していたが、10年10月15日より“e-Bill「eco」”として紙ベースの請求書を電子メールに切り替えた。“e-Bill「eco」”への切り替えにより、同社は各種コストの削減が可能になる他、サイトへの誘導により各種サービスの告知・案内が容易になる。一方、1請求当たり25円を顧客に還元する。
 
②“2waySmart”の開始
“2waySmart”とは、スマートフォンを利用したFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス。一台のスマートフォンを社内では内線電話として、社外では携帯電話として利用するシステム。社内外のどこにいても一台のスマートフォンで対応できるため社内のビジネスフォンの内線電話が不要になり、中小企業の経費の削減が可能になる。現在利用しているビジネスコードレスフォンと使い方が変わらないため、導入にあたっての敷居が低い事も特徴。今後、スマートフォンだけでなく、タブレット型端末やノートパソコン等へも利用端末の対象を広げていく予定。また、グループウェアや経費清算ソフトなど各種の業務用アプリやFTスマートセンターによる有料専用コールセンターサービスの提供により、単価の引き上げを図る考え。
 
(同社資料より)
 
③販売チャネルの強化
FISソリューションズ「通信コンサルティング事業部」の営業人員を拡充し直販を強化すると共に、ビー・ビー・コミュニケーションズ(フォーバルグループ)との連携により代理店網の拡大を図る。
 
④ビジネスモデルを共有した代理店群の拡充
“2waySmart”に加え、ビリングOEM等の商材を提供する他、FISソリューションズの「通信コンサルティング事業部」による営業面での支援やFTスマートセンターによる営業受注書類の作成支援等のサポートにより代理店を育成していく。
 
 
取材を終えて
旧音声系サービスからFTフォンへのシフトの一巡と景気悪化が重なりIP&Mobileソリューション事業の苦戦が続いており、成長路線への回帰に向けてストック収益(課金)の強化が課題となっている。ただ、既に、電子請求“e-Bill「eco」”や“2waySmart”といった新サービスを開始している他、販売チャネルの強化と販売代理店の拡充に取り組んでおりその成果に期待したい。特に“2waySmart”は、本格的なFMC(Fixed Mobile Convergence)サービスとしては業界初のサービスであり、親会社のフォーバルも、その販売に力を入れている事から今後の展開が注目される。