ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックス vol.35

(6914:東証1部) オプテックス 企業HP
小林 徹 社長
小林 徹 社長

【ブリッジレポート vol.35】2010年12月期業績レポート
取材概要「10/12期は「“回復”から“再成長”へ挑戦」を経営方針に掲げ、ローコストオペレーションの徹底による体質強化と新製品の早期立ち上げ及び拡販・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年2月22日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックス株式会社
社長
小林 徹
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
2001年12月 11,507 1,173 1,305 544
2000年12月 11,240 1,081 1,213 620
1999年12月 11,201 1,133 957 861
株式情報(2/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,226円 16,551,934株 20,293百万円 5.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 2.4% 66.46円 18.4倍 1,016.57円 1.2倍
※株価は2/15終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
オプテックスの2010年12月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
赤外線を応用した防犯・自動ドア等のセンサ大手。世界でもトップクラスのシェアを有する屋外用センサ等の防犯用製品、自動ドアセンサ、環境関連製品等の製造・販売を行なっており、子会社を通して産業機器用センサの分野にも展開している。1979年に設立され、その翌年には、世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発する等、創業以来、信頼性の高いセンサシステムを提供してきた。98年にはデジタル監視カメラシステム「Wonder Track」を発売し、画像関連分野に参入。2004年には、客数情報システム、駐車台数管理システム等を手掛ける技研トラステムを子会社化。更に05年には、交通関連事業にも参入した。
 
<事業内容>
事業は、防犯事業、自動ドア事業、産業機器事業、環境関連事業、交通関連事業、生産受託(EMS)事業・その他に分かれる。
 
防犯関連事業
主な製品は、屋内外で使われる各種センサ、ワイヤレスセキュリティシステム、画像記録システム等。屋外用センサでは、世界でもトップクラスのシェアを有し、近年では、デジタル画像技術・通信技術等を活かした製品開発にも取り組んでいる。
 
自動ドア関連事業
主な製品は、無目付け用センサ、シートシャッター用センサ、ワイヤレスタッチセンサ等。世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサを開発した同社だが、近年では、画像センシング技術の活用により、ドアの自動開閉だけでなく、入退室者の管理や来店者数カウントなど人の動きを分析できる製品も供給している。
 
産業機器関連事業
連結子会社 オプテックス・エフエー(株)の事業領域。人体用センサだけでなく、物体検知用各種センサにも注力しており、CCDカメラ・液晶モニタ・操作部が一体となった世界初のカラービジョンセンサ「CVSシリーズ」は現場ニーズに即して開発した製品で独自性が高い。
 
EMS・交通関連事業等
アジア向けEMS(生産受託)を展開。交通関連事業は危険な瞬間を記録する「ドライブトレーナー」が主な製品。日常的に運転履歴に加え、交通事故時の映像を録画することも可能
 
 
2010年12月期決算
 
 
前期比15.0%の増収、同139.6%の経常増益
欧州での屋外用センサの好調やM&A効果で主力の防犯関連の売上が増加した他、品質と価格競争力に優れた新製品の寄与で産業機器関連の売上も大きく伸びた。利益面では、円高の影響を増収効果や設計委託費用の削減など原価低減努力で吸収し売上総利益率が1.2ポイント改善。研究開発費や人件費が増加したものの、円高による海外子会社の円ベースでの販菅費の減少等で販管費の伸びも小幅にとどまり、営業利益は同174.9%増加した。為替の影響(37百万円の差益→89百万円の差損)で営業外損益が悪化した他、投資有価証券評価損2.4億円など特別損失2.9億円を計上したものの、税効果会計の影響もあり当期純利益は9.8億円と同195.5%増加した。設備投資は2.7億円(前期は2.8億円)、減価償却費は4.7億円(同5.7億円)、研究開発費は14.5億円(同14.4億円)。
為替は、1米ドル=87.81円(前期93.57円)、1英ポンド=135.60円(同146.35円)、1ユーロ=116.39円(同130.20円)。
 
 
防犯関連事業
売上高は前年度比6.8%増の76.7億円。海外は円高の影響を受けたものの、主力の欧州で屋外用センサの販売が伸びた他、第3四半期(7-9月)にFiberSenSys,LLC(本社:米国オレゴン州)の光ファイバー侵入検知システム事業を買収(受け皿会社としてFIBER SENSYS INC.を設立)した効果もあり、北米での売上も増加。一方、国内は警備会社向けが前期並みで推移したものの、電設資材・家電業界向け等の苦戦が響き売上が減少した。
 
自動ドア関連事業
売上高は前年度比1.4%減の35.6億円。海外は円高の影響を吸収して売上が増加。北米及び欧州の主要市場で自動ドア用センサのシェアが上昇した。一方、国内は売上が減少。自動ドア用センサの売上がわずかに増加したものの、小売業界の投資低迷で客数情報システムの売上が落ち込んだ。
 
産業機器関連事業
売上高は前年度比55.2%増の49.5億円。欧州に加え、中国など新興国の活発な設備投資を受けて海外での売上が伸びた他、国内も、従来の三品業界(食品、医薬品、化粧品)に加え、太陽光発電、液晶関連業界向けに画像センサ、変位センサ、LED照明が好調に推移した。
 
 
第4四半期(10-12月)はアジアの好調とM&A効果で防犯関連の売上が伸びた他、顧客情報システムなど国内を中心に自動ドア関連の売上も増加。一方、産業用機器関連は高水準の売上を維持したものの、季節要因もあり騰勢が一服した。
 
(4)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
期末の総資産は前期末比6.7億円増の214.0億円。借方では、受注・売上の回復で売上債権及びたな卸資産が増加した他、M&Aで投資その他も増加。貸方では、生産の回復で仕入債務や有利子負債が増加する一方、円高の影響(為替換算調整勘定:△8.8億円→△13.7億円)等で純資産が減少した。
CFの面では、運転資金の増加で営業CF減少する一方、M&Aに伴い投資CFのマイナス幅が拡大したためフリーCFが減少した。一方、為替ヘッジ目的の外貨借入れを行った事や配当の減少で財務CFのマイナス幅が縮小したもの、為替換算差額の影響(△3.3億円)もあり、現金及び現金同等物期末残高は63.4億円と前期末比1.0億円減少した。
 
 
2011年12月期業績予想
 
マネージメントアプローチに基づきセグメントの見直しを行ったため、11/12期よりセンシング事業、FA事業、生産受託事業、及びその他事業の4セグメントでディスクロージャーが行われる。
 
 
 
前期比17.3%の増収、同7.9%の経常増益予想
売上の地域別内訳は国内が前期比17.4%増の73.2億円、海外が同17.2%増の130.8億円。国内における産業機器関連及び新規事業、アジアにおける防犯関連及び生産受託事業等が伸びる他、M&A効果で防犯関連を中心に北米の売上も増加する。利益面では、FA拠点の拡充に伴う人件費の増加に加え、減価償却費(1.4億円増)、研究開発費(2.4億円増)、子会社経費(3億円増)等も増加するものの、増収効果で吸収し営業利益が同5.6%増加する見込み。配当は1株当たり年30円(上期末配当15円)を予定。
設備投資は6.7億円(前期は2.7億円)、減価償却費は6.2億円(同4.7億円)、研究開発費は16.9億円(同14.5億円)。為替の前提は、1米ドル=85円(前期87.81円)、1英ポンド=130円(同135.60円)、1ユーロ=110円(同116.39円)。また、為替の感応度は米ドルが1円の円高で48百万円の減収、26百万円の営業増益(中国からのドル建て輸入の効果)、英ポンドが同8百万円の減収、4百万円の営業減益、ユーロが同16百万円の減収、13百万円の営業減益。
 
 
センシング事業では、防犯関連は建設関連の苦戦で国内売上が減少するものの、欧州、アジア、及びM&A効果が通期で現れる北米等、海外が伸びる。自動ドア関連は海外の好調が続く中、国内も増収に転じる。一方、FA事業は前期に大きく伸びた欧州が一服するものの、国内、北米、アジアの伸びで吸収。この他、アジアでの生産受託が大きく伸びる見込み。
 
中期経営計画
 
11/12期から13/12期に至る中期経営計画を策定した。従来の中期経営計画はローリング方式により毎期見直しを行っていたが、この中期経営計画は向こう3期間の固定計画としている。
 
<基本方針と経営目標>
コア事業の持続的な成長に向け、グローカルな視点による各地域の要求品質に合致した新製品の開発を進めると共に新興国での市場開拓に注力する。また、M&A、資本提携、及び事業・業務提携も含め、次なる収益の柱となる新規事業を確立にも取り組む。経営目標として、13/12期に売上高300億円、営業利益50億円の達成を掲げており、売上については、コア事業の売上を10/12期の157億円から245億円に拡大させると共に、新規事業系の売上を17億円から55億円に引き上げる。また、アジアを中心とする新興国に低コストの新製品を投入し市場の開拓を進めると共に、国内及び北米での事業拡大にも取り組み為替変動リスクの上昇を抑える。
 
 
取材を終えて
10/12期は「“回復”から“再成長”へ挑戦」を経営方針に掲げ、ローコストオペレーションの徹底による体質強化と新製品の早期立ち上げ及び拡販に取り組んだ。結果は上々で、円高の影響を吸収して、3期ぶりの増収・増益を達成する事ができた。13/12期に売上高300億円、営業利益50億円の達成を目指す中期経営計画はアグレッシブではあるものの、リーマン・ショック前の07/12期には38.5億円の営業利益を計上した実績があり、当時に比べると、新製品の開発スピードやグループ力が格段に向上している。円高と言うマイナス材料はあるものの、逆に円高は拠点整備やM&Aなど海外での展開余力を高める効果があり、また、同社は資金力にも優れている。中期経営計画の初年度となる11/12期は計画達成に向けた基盤整備の期との位置付けであるため利益の伸びは低くなるが、計画の達成を考えた場合、今期の注目点は利益よりも計画通りに売上目標を達成できるか否かであると考える。