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(9616) 株式会社共立メンテナンス

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ブリッジレポート:(9616)共立メンテナンス vol.27

(9616:東証1部) 共立メンテナンス 企業HP
石塚 晴久 会長
石塚 晴久 会長
佐藤 充孝 社長
佐藤 充孝 社長
【ブリッジレポート vol.27】2011年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「寮事業を根幹とした安定成長期を経て、ホテル事業への戦略投資へと舵を切った同社にとって、財務戦略は永遠の課題だった。機関投資家は安定成・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年4月5日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社共立メンテナンス
会長
石塚 晴久
社長
佐藤 充孝
所在地
東京都千代田区外神田 2-18-8
決算期
3月
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2010年3月 84,513 4,033 3,012 1,254
2009年3月 82,303 5,349 4,510 2,133
2008年3月 75,606 4,492 4,167 2,740
2007年3月 66,287 3,745 3,787 2,413
2006年3月 63,084 4,611 4,823 2,010
2005年3月 58,014 4,407 4,411 2,343
2004年3月 54,080 4,004 4,059 2,137
2003年3月 50,108 4,148 3,884 2,039
2002年3月 50,064 3,908 3,580 1,821
2001年3月 37,884 2,827 2,643 1,146
2000年3月 36,787 2,368 2,281 906
株式情報(3/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,236円 14,365,016株 17,755百万円 4.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
38.00円 3.1% 104.42円 11.8倍 2,080.83円 0.7倍
※株価は3/28終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
共立メンテナンスの2011年3月期Q3決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
"ライフステージにおける様々な場面での「食」と「住」さらに「癒し」のサービスを通じて、広く社会の発展に寄与する"と言う経営方針の下、「現代版下宿屋」(食事付きの寮の運営)を中心にした寮事業、「温泉感覚を取り入れた大浴場」と「美味しい朝食」といった寮事業のノウハウを活かしたホスピタリティ重視のビジネスホテルや「リーズナブルで質の高いリゾートライフ空間の創造と提供」をテーマに掲げたリゾートホテルのホテル事業、オフィス(事務所)・レジデンス(住居)のビルメンテナンス、ビル賃貸及び賃貸代行、駐車場運営等の総合ビルマネジメント事業、外食やレストラン運営受託のフーズ事業等を展開。知名度と実績で他社を凌駕する主力の寮事業を安定収益源とし、ホテル事業の育成により成長を加速している。

事業の種類別セグメントと売上構成(2010/3月期)は次の通りである。
 
 
 
2011年3月期3Q決算
 
 
ホテル稼働率の回復が下支えに。経費削減も順調に進捗
売上高は前年同期比0.2%減の624.0億円となった。開発案件を厳選したデベロップメント事業の売上が大きく落ち込んだものの、新規事業所の寄与や既存事業所の底打ちでホテル事業の売上が増加したこと、寮事業の売上も大口の留学生法人契約によって僅かながら増収を確保したことが牽引役となった。
収益面では、営業利益段階では前年同期比プラスを確保した。自社開発物件の減少や賃貸ビルの賃料低下によりその他の事業が営業赤字に転じたほか、寮事業においても3月入寮生が増加(4月の契約金収入の減少要因となる)した影響から、営業減益となった。但し、既存事業所の収益性改善を背景にホテル事業が大幅な営業増益を記録し、連結営業利益は増益となった。支払利息の増加等により、経常利益は前年同期比3.9%減となった。資産除去債務会計基準の適用に伴う影響額6.9億円など特別損失9.1億円を計上したため、四半期純利益は6.9億円、同33.2%減となった。
尚、上記のその他の事業は、寮事業及びホテル事業以外の事業の総称(総合ビルマネジメント事業、フーズ事業、デベロップメント事業、及びその他)。
 
 
寮事業
売上高は前年同期比1.1%増の286.3億円、営業利益は同1.9%減の38.8億円。前期は寮事業に占める大学生の比率が上昇したこともあり、3月に入寮するケースが増加、収益計上タイミングも1Qから4Qにシフトするケースが増えた。そのため、契約金収入等が減少した。大口の留学生法人契約等による期中契約の増加、空室対策の徹底などにより増収は確保したものの、伸び率は限定的なものに留まった。稼動契約数は27,468名(前年同期末比920名純増)。新規物件の開業負担等により営業減益とはなっているものの、全社的なコスト管理は会社計画通りに進捗しているもよう。
 
ホテル事業
売上高は前年同期比14.0%増の235.4億円、営業利益は同8.4倍の9.1億円。企業の出張抑制やインフルエンザ等の影響で低下していたドーミーイン(ビジネスホテル)事業の稼働率が回復基調にある上、前期開業の6事業所と今期開業の5事業所(帯広・旭川・長崎・京都駅前・下関)が好調に推移した。リゾート(リゾートホテル)事業も、メディアでの露出が増えたこともあり稼働率が改善している。今期の開業は「草津温泉 季の庭・木の葉」(10年8月)。収益面では、変動費や本部経費のコスト管理を徹底したことが大幅増益に寄与した。
 
その他の事業
総合ビルマネジメント事業
売上高は前年同期比1.1%増の84.0億円、営業損失12百万円。引き続き賃料の低下傾向に歯止めがかからない状態。但し、前期に大口解約のあったビル賃貸部門の入居テナント稼働率には回復傾向が見られる。
フーズ事業
売上高は前年同期比2.8%減の31.2億円、営業損失122百万円。個人消費の低迷、ユーザーからのデフレ圧力など、外部環境は相変わらず厳しい状況にある。今期については、新規開業費用も重石になっている。
デベロップメント事業
売上高は前年同期比31.2%減の35.1億円、営業利益は同50.1%減の69百万円。大幅な減収減益となっているが、自社グループで手掛ける開発案件を厳選した結果であり、過度に懸念する必要はないだろう。収益面では、建築原価上昇をコスト管理徹底で吸収することが出来ず、利益率が悪化した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
3Q末の総資産は前期末比62.9億円減の1,329.2億円。新規開発物件の厳選と設備投資の抑制に努めた結果、資金効率が改善し総資産が減少。CFの面では、運転資金の減少や投資案件の厳選で営業CF、投資CF共にマイナス幅が縮小している。財務CFも短期借入金の減少等により、前年同期のプラスからマイナス転換した。
財務面では4Qに入ってから大きな動きがあった。2月10日、会社側より「固定資産の譲渡及び定期建物賃貸借契約締結に関するお知らせ」がリリースされた。具体的には自社所有の8物件(ドーミー芦屋、河合塾京都学伸寮、駿台堀川寮、ドミトリー洛北、立教大学国際交流寮RUID志木、ドーミー中板橋、フィロソフィア西台、ドーミー武蔵小杉)を日本アコモデーションファンド投資法人に譲渡するとのこと。譲渡価額は81.3億円。譲渡後も賃貸借契約により物件の管理運営を手掛けるため、期間損益に与える影響は軽微である(減価償却費・保険料・租税・支払利息等の負担が減少する反面、支払賃料負担が増加)とのこと。この案件の最大のポイントは、資金の早期回収によって財務体質が強化される点。財務体質の改善は再投資資金の調達枠確保に繋がるため、今後は新たな開発も可能となるだろう。
 
 
 
 
2011年3月期業績予想
 
 
前期比4.6%の増収、同32.8%の経常増益予想
建築工事(デベロップメント事業)の減少等でその他の事業の売上が同7.4%減少するものの、新規事業所の寄与に加え、既存事業所も堅調な推移が見込まれるホテル事業の売上が同16.9%増加する他、期初の稼働率が伸び悩んだ寮事業も期中契約の増加で同2.1%の増収が見込まれる。利益面では、売上の増加に加え、コスト削減の進展と稼働率の改善で寮事業の利益が同12.0%増加する他、ホテル事業も損益が10億円強改善する見込み。同社収益はホテル事業を中心にQ4での収益依存が高いため、天候も含め今後の情勢には留意が必要だろう。
設備投資は同76.2%減の31.4億円を計画。減価償却費は同6.6%増の43.3億円となる見込み。配当は1株当たり19円の期末配当を予定している(上期末配当と合わせて年38円)。
 
 
寮事業
売上高は前期比2.1%増の383.4億円、営業利益は同12.0%増の56.0億円を計画。11年3月の入寮数は5,653室と前年同月比1,667室増となる見込みで、同月の入寮関連収入が同3億円増加する。利益面では、下期だけでオペレーションの効率化や諸経費の削減等による損益改善効果3億円を見込むほか、新規開業コストも前年同期比1.8億円減少する見込み。尚、同社は、3月入寮数の増加と次項に示す「来期期初稼動改善のための具体的な施策」の遂行により11年4月の期初稼働率が94.7%となり、10年4月実績(92.9%)を1.8ポイント上回ると見ている。
 
ホテル事業
売上高は前期比16.9%増の314.5億円、営業利益は6.7億円(前期は3.4億円の損失)を計画。下期は稼働率の改善と客単価の上昇でビジネスホテル事業の既存事業所の損益が大幅に改善する見込み。またリゾートホテル事業においては、マスメディアの活用、北海道エリアの地域強化策、インバウンド強化、商品プラン強化等のプロモーションの継続により更なる稼働率改善にも取り組む。
通期では、ビジネスホテル事業において、09/3期に開業した5事業所の営業利益が2.8倍に拡大(1.1億円→3.1億円)する他、10/3期開業の6事業所も営業損益が大幅に改善し(△5.0億円→△1.9億円)、営業CFが黒字転換する見込み(△1.0億円→1.0億円)。また、リゾートホテル事業も、09/3期オープンの函館ベイの営業損益が改善すると共に営業CFが増加する他、10/3期オープンの高山も営業損益が改善し(△2.4億円→△0.9億円)、営業CFが黒字転換する見込み(△0.1億円→0.9億円)。
 
その他の事業
売上高は前期比7.4%減の276.3億円、営業利益は同12.5%減の6.3億円。下期の損益改善により通期では黒字を確保できる見込み。総合ビルマネジメント事業が賃貸代行のフリーレント終了及び稼動率の改善により前期の下期に比べて営業損益が4.0億円改善する他、デベロップメント事業も外部受注の強化で営業損益が1.3億円改善する見込み。一方、新店舗の開店費用でフーズ事業の損益が0.1億円悪化する他、グループ会社2社吸収合併に伴う損失0.6億円が発生する。
 
 
取材を終えて
寮事業を根幹とした安定成長期を経て、ホテル事業への戦略投資へと舵を切った同社にとって、財務戦略は永遠の課題だった。機関投資家は安定成長を評価しつつも、同等に拡大していく総資産に対する懸念を示す声が少なくなかった。リーマンショック後の不動産不況により、なかなか財務の健全化が進捗しなかったことは事実だが、今回のセールス・アンド・リースバック実現が将来を明るく照らし始めたと我々は受け止めている。コスト管理に若干難のあったホテル事業(とくにリゾートホテル)も、収益改善傾向が鮮明となっている。「時代を、もてなす。社会を、もてなす。」という下宿屋魂の収益拡大期が間近に迫ってきたとの印象である。