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(8097) 三愛オブリ株式会社

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ブリッジレポート:(8097)三愛石油 vol.7

(8097:東証1部) 三愛石油 企業HP
金田 凖 社長
金田 凖 社長

【ブリッジレポート vol.7】2012年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「5月の今期業績予想発表時に同社は「グループあげての経営の効率化」を掲げている。1Qでは粗利率は低下したものの、販管費は減少させることが・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年10月4日掲載
企業基本情報
企業名
三愛石油株式会社
社長
金田 凖
所在地
東京都品川区東大井5-22-5 オブリ・ユニビル
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年3月 888,583 12,896 13,126 6,462
2010年3月 833,991 6,364 6,675 1,005
2009年3月 981,734 9,353 9,714 4,618
2008年3月 861,914 7,537 7,456 3,298
2007年3月 791,583 7,044 7,354 3,281
2006年3月 726,445 5,713 5,799 4,032
2005年3月 360,046 5,892 6,385 3,814
2004年3月 266,352 3,576 4,088 1,780
2003年3月 261,719 3,051 3,146 692
株式情報(8/12現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
408円 74,806,649株 30,521百万円 11.7% 1,000株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
13.00円 3.2% 66.84円 6.1倍 769.35円 0.5倍
※株価は8/12終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末の実績。
 
三愛石油の2012年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
石油販売大手。主力の石油関連事業では、グループで約1,400のサービスステーション(以下、SS)に石油製品を供給しており、販売数量を安定的に伸ばしている。また、独自に開発した航空機への給油システム「ハイドラントシステム」により羽田空港の航空燃料供給を支えている他、LPガス(LPG)や天然ガスの販売も手掛ける。傘下に、キグナス石油(株)や國際油化(株)等の有力子会社を有し、子会社31社(うち連結子会社29社)及び関連会社4社(うち持分法適用会社1社)と共にグループを形成している。社名の“三愛”は、リコー三愛グループ(09年11月現在、63社・団体が加盟)各社の創業精神として受け継がれている「人を愛し、国を愛し、勤めを愛す」の「三愛精神」を基とする。
 
<事業内容>
事業は、石油製品の販売や化学品の製造・販売等の石油関連事業、LPGや天然ガスの販売を中心としたガス関連事業、及び航空燃料の給油業務や建設業等の航空関連事業他の3セグメントに分かれ、売上構成比は、それぞれ92.3、6.1%、1.6%(11/3期)。
 
石油関連事業
SS向けの石油販売や法人向けの産業エネルギー販売と共に、溶剤、工業薬品、防腐・防カビ剤、自動車用ケミカル商品等、様々な化学品の開発・製造・販売も手掛けている。
ガス関連事業
LPG、天然ガス、及び関連する機器の販売を行っている。LPG販売では直販子会社による家庭への供給と工業用の高圧ガス販売を手掛けており、天然ガス販売では佐賀県佐賀市で天然ガスを供給すると共に、電気と熱を生むコージェネレーションシステム等、省エネに必要な仕組み作りも提案している。
航空燃料事業他
航空燃料の保管及び航空機への給油を行う航空燃料取扱業と子会社三愛プラント工業(株)が手掛ける金属表面処理や建設工事等のその他に分かれる。また航空燃料取扱業では、羽田空港において、油槽船の接岸を含めた埠頭の管理や空港内の貯蔵タンク等の管理、及び地下パイプライン(全長約40km)を通して航空機に直接燃料を圧送するハイドラント式給油システムの運営・管理を行っている(実際の航空機への給油作業でも同空港の半数のシェアを有する)。また、神戸空港、佐賀空港、茨城空港他でも子会社で同様のサービスを提供しており、中部国際空港へは運営社員を派遣。
 
ハイドラントシステム(地下パイプラインで航空機まで航空燃料を圧送するシステム)
1955年、同社は羽田空港において日本初のハイドラントシステムによる航空機への給油業務を開始した。この給油施設は、国内主要空港(新千歳空港、成田空港、中部国際空港、伊丹空港、関西国際空港、福岡空港等)における給油施設のモデルとなっている。
また、96年10月には最新のコンピューターを駆使した給油システムが稼動し業務効率化が一段と進展。巨大な航空輸送機能をしっかりと支えている。
 
 
2012年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比6.4%の増収、同29.0%の経常増益
エネルギー業界は需要低迷等により引き続き厳しい状況で推移したものの、石油関連事業、ガス関連事業、及び航空関連事業他の3セグメントの売上が揃って増加した。利益面では、売上総利益率が6.2%と0.2ポイント低下したものの、グループをあげて経営の効率化に取り組んだ結果、増収ながら販管費が同1.1%減少。営業利益は27.7億円と同25.6%増加した。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比35.8億円増の1,955.2億円。売上の増加で、売上債権、たな卸資産、仕入債務等が増加する一方、短期借入金を中心に有利子負債の削減を進めた事や法人税等の支払いで現預金が減少した。CFの面では、税金費用が大幅に増加したものの(9.7億円→46.0億円)、利益の増加や仕入債務の増加等による運転資金の減少で営業CFが大幅に増加。羽田空港関連の設備投資の一巡で投資CFのマイナス幅も縮小し、前年同期は4.6億円のマイナスだったフリーCFが17.9億円の黒字に転じた。ただ、フリーCFを上回る有利子負債の削減を進めたため、現金及び現金同等物の第1四半期末残高は307.5億円と前期末比27.2億円減少した。
 
 
 
2012年3月期業績予想
 
上期及び通期の業績予想に変更は無く、通期で前期比6.9%の増収、同23.8%の経常減益予想
「景気の先行きや原油価格の動向などが不透明」として、期初に発表した業績予想を据え置いた。引き続きグループをあげての経営の効率化に取り組むものの、石油製品販売業が前期ほどの伸びを確保できないと見ている。1株当たり配当金は特別配当2円を落とし普通配当を1円増配する考えで、年13円を予定。
 
 
 
今後の注目点
5月の今期業績予想発表時に同社は「グループあげての経営の効率化」を掲げている。
1Qでは粗利率は低下したものの、販管費は減少させることができたが、2Q以降も引き続き実績をあげられるかがポイントだ。ただ、同社のビジネスは景気の影響を受けやすいため、第1四半期の結果だけで通期業績を論じる事は難しく、省エネ意識の高まりやマクロ景気の動向も注視していきたい。