ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.15

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.15】2012年2月期上期業績レポート
取材概要「台風災禍による野菜価格の高騰も足下沈静化しつつあり、野菜価格について、「10月下旬にはほぼ前年同期並みに落ち着き、11月には更なる低下も」と・・・」続きは本文をご覧ください。
2011年11月22日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(10/20現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
429円 6,394,705株 2,743百万円 6.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.3% 104.95円 4.1倍 956.36円 0.4倍
※株価は10/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
ピックルスコーポレーションの2012年2月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・惣菜の製造・販売及び青果物・漬物等の仕入販売を行なっている。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。連結子会社7社及び持分法適用会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。

資本関係では、「きゅうりのキューちゃん」でお馴染みの東海漬物(株)が株式の49.6%を保有するが、取引はわずかにふる漬等の仕入があるのみ(11/2期は仕入高全体の2.8%)。むしろ同社を語る上で忘れてならないのが、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、11/2期は同グループ向けの売上が全体の39.3%(10/2期は47.1%)を占めた。 11/2期の品目別売上構成は、製品売上が63%(浅漬・キムチ50%、惣菜10%、ふる漬3%)、商品売上が37%(漬物35%、青果物2%)。
 
 
 
2012年2月期上期決算
 
 
前年同期比0.1%の減収ながら、経常利益が同2.7倍に拡大
売上高は前年同期比0.1%減の110.4億円。キムチ、浅漬、惣菜等の製品売上が増加した他、仕入商品の販売も伸びたが、利益貢献の少なかった外食産業向け青果物の卸販売終了の影響をカバーでなかった。尚、外食産業向け青果物の影響を排除した実質ベースでは同4.8%の増収である。利益面では、関西新工場の製造効率の改善(子会社ピックルス関西:営業損益 △88百万円→89百万円)や原料野菜の仕入価格安定で売上原価(同6.3%減の81.3億円)が減少する中、物流費の減少等で販管費もわずかな増加にとどまり営業利益が同2.9倍に拡大。持分法投資損益の改善や固定資産除却損が無くなった事等で四半期純利益は4.4億円と同3.3倍に拡大した。
 
 
既存得意先への拡販や新規取引先の開拓を図るべく、テレビCM・交通広告等の広告宣伝活動や売場提案等の販売促進活動を積極的に展開した事で広告宣伝費が大幅に増加。東日本大震災関連の支援活動や設立35周年の記念行事等でその他も増加した。この他、人件費(営業部門の人員増強による)や減価償却費も増加したものの、青果の取り扱いを止めた事で最大の経費科目である物流費が減少し、販管費全体では前年同期比2.8%の増加にとどまった。
 
②期初予想との比較
売上の面では、積極的な販売・広告活動と新製品投入効果で、「ご飯がススム シリーズ」や惣菜製品等の販売が予想以上に伸びた。利益の上振れ要因としては、関西新工場の製造効率の改善が予想以上に進んだ事や原料野菜の仕入価格安定を挙げる事ができる。
 
③東日本大震災の被災者支援と節電対策の実施
同社製品の売上数量に応じて寄付を行うキャンペーンを実施し、キャンペーンで集めた2,500万円を、あしなが育英会(震災で親を亡くした子供達等を支援している)への寄付金とした。また、電力供給不足に対する節電対策として、政府方針に基づき自家発電装置を導入した他、生産体制の見直しも行い節電に努めた。
 
 
製品売上高は前年同期比1.5%増の69.7億円、商品売上は同2.9%減の40.6億円。浅漬・キムチは52.3億円と前年同期比3.9%の減少。「ご飯がススムキムチ シリーズ」を中心にキムチが伸びたものの、消費低迷による浅漬けの落ち込みをカバーできなかった。一方、惣菜は同31.1%増の14.0億円。新製品の積極的な投入で、既に浅漬・キムチで取引のある顧客への販売が伸びた他、新規取引先の開拓も進んだ。一方、10年7月に取扱いを終了したため、青果物の売上が無くなった(ピーク時には年間35億円程度の取扱い実績があった)。
販路別では、青果物の取扱いを止めた事で外食・その他向けが減少したものの、既存取引先の深耕と新規取引先の開拓が共に進んだ量販店・問屋等向けやコンビニ向けの売上が増加した。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
好調な販売と大幅な増益を反映して上期末の総資産は136.0億円と前期末比11.8億円増加した。科目別では、好調な販売を反映して売上債権や仕入債務が増加した他、利益の増加で未払法人税等や純資産が増加。一方、有利子負債は減少した。この結果、1株当たり純資産は株価の2.2倍の956円(PBR 0.5倍)、自己資本比率は45.0%となった。
CFの面では、利益の増加や青果物の取扱い終了による資金効率の改善で営業CFが大幅に増加。関西新工場関連の大型投資が一巡し投資CFのマイナス幅も縮小し、前年同期は1.9億円のマイナスだったフリーCFが8.4億円の黒字転じた。有利子負債の削減を進めたため財務CFがマイナスとなったものの、現金及び現金同等物の上期末残高は18.0億円と前年同期末に比べて8.5億円増加した。
 
 
 
2012年2月期業績予想
 
 
上期決算を踏まえて通期業績予想を上方修正、前期比0.6%の増収、同86.0%の経常増益を見込む
上期決算を踏まえて通期業績予想を上方修正した。既存得意先への拡販や新規取引先の開拓を図るべく、全国の製造・販売拠点を活用した営業活動、テレビCM・交通広告等の広告宣伝活動、更には売場提案等の販売促進活動を積極的に進めキムチや惣菜の拡販を図る。利益面では、広告宣伝費の増加や中国地区の販売強化に向けた中・四国営業所(広島県福山市)の開設で販管費が増加するものの、新工場の製造効率の改善や原料野菜の仕入価格安定等による売上総利益の増加で吸収。営業利益は11.0億円と同91.4%増加する見込み。設備投資は生産の増加に対応した冷蔵保管設備等を中心に5.2億円(前期は9.9億円)を計画しており、減価償却費として3.9億円(同3.7億円)を織り込んだ。配当は1株当たり10円の期末配当を予定している。
 
 
製品売上高は前期比3.8%増の135.1億円、商品売上は同4.7%減の74.3億円。惣菜が大きく伸びる他、キムチを中心に浅漬・キムチの売上も増加する見込み。販路別では、青果物の取扱いが無くなる外食・その他が減少するものの、積極的な営業・販促活動を展開する量販店・問屋等向けや新製品効果が期待できるコンビニ向けが増加する。
 
(2)業界動向
漬物市場は約4,000億円(工業統計2011.02:野菜漬物製造業出荷額4,081億円、食品新聞2011.08:漬物品目別推定出荷額3,500億円)。古漬市場で傾向が続いているものの、浅漬やキムチの市場は安定成長が続いている。ただ、後継者難による中小漬物メーカーの廃業等で15年程度前には2,000社を超えた全国漬物連合会(全漬連)の会員企業数が1,000社程度に減少しており、大手企業による寡占化が進みつつある。ただ、年商が100億円を超えているのは業界トップの同社を含めて4社に過ぎず、その4社の年商も200億円に満たない。製品開発力や営業力が不可欠ではあるものの、これら上位企業については寡占化による成長余地が大きいと言える。
また、弁当等も含めた惣菜産業の市場規模は8兆1,753億円(10年)で、販売チャネル別の構成比では、同社の主要取引先である総合スーパーが12%、食料品スーパーが24%を占める。競合は、フジッコ、エバラ食品、ケンコーマヨネーズ、デリア食品、大堀、イニシオフーズ等で、いずれも300~500億円規模の年商を誇る。同社は、5年ほど前から惣菜事業を本格化し、現在は、大手とは競合しない漬物と惣菜の中間的な商品を中心に事業展開している。
 
 
(3)事業環境と戦略
主要販売先である量販店は、既存店の売上減少が続いているため新規出店に対して慎重な姿勢を強めているが、その一方で低価格化・少量化といった消費者ニーズへの対応と収益性向上の両立を図るべく、PB商品の拡充に努めている。消費者ニーズを捉えた製品開発と提案営業によりNB商品の拡販を図っていく考え。同社が示した販売・販促、製品開発、及び営業における戦略は次の通り。
 
①販売・販促
人気の「ご飯がススムキムチ シリーズ」において、11月から12月にかけて20%の増量キャンペーンを実施する他、引き続きテレビ、ラジオ等での広告宣伝活動を継続する。また、売り場提案の強化はもちろん、小売店との連携による試食販売や他の食品メーカーとの販促コラボレーションも展開していく。
 
 
②製品開発
「ご飯がススム シリーズ」のラインナップの拡充、叙々苑ポギキムチの投入、野菜をキーワードとした惣菜製品の拡充、漬物以外の商品開発、及び他社とのコラボレーション製品の投入を計画している。
 
 
 
ポギキムチとは「株漬けキムチ」という意味で、白菜を4つ割にして芯のついたまま漬けたキムチ。白菜の葉一枚一枚にヤンニョム(キムチのたれ)をていねいに挟み込むという非常に手間のかかる工程を経て作られている。「叙々苑ポギキムチ」は“良質吟味 おいしさが最良のサービス”をキャッチフレーズに、都内を中心に展開している高級焼肉店「叙々苑」の味を忠実に再現した。自宅で気軽に高級店の味を堪能できる。
 
 
「野菜」をキーワードとした惣菜製品の開発に注力しており、既存製品の継続的な改善とラインナップの拡充に取り組んでいる。
 
 
うどんのかけだれ
「じゃじゃ麺風甘辛味噌味」と「ゆずこしょう風味」の2種類の「うどんのかけだれ」を投入。ゆでたうどんにかけるだけで、食べ応え十分の逸品に。具だくさんなのに麺にもさっと絡む、簡単便利なうどんのかけだれ。
 
鍋の具
「ご飯がススム キムチ鍋の具」と「ご飯がススム ごま豆乳鍋の具」を投入。既存の鍋つゆと異なり、鍋の具として野菜がたっぷり入っている。好みで豆廣や肉を入れれば、簡単に鍋が出来上がる。昨シーズンの試験販売を踏まえ、ブラッシュアップして本格投入。
 
・他社とのコラボレーション製品の投入
ポテトチップやスナック菓子製造の山芳製菓(株)(東京都板橋区)とのコレボレーションで「ご飯がススム キムチ味ポテトチップ」を開発した他、「山田うどん」のブランドで外食レストランチェーンを展開する山田食品産業(株)(埼玉県所沢市)とのコラボレーションで「キムチサラダうどん」(月替わりメニュー)を開発した。「ご飯がススム キムチ味ポテトチップ」は、「ご飯がススム キムチ」の特徴的な味である「甘味」、「辛味」、「後引く魚介のうま味」を忠実に再現したポテチ。また、「キムチサラダうどん」は「ご飯がススム キムチ」をトッピングした“冷製サラダうどん”で、特製のごまドレつゆとキムチの相性が抜群。
 
 
尚、これまで手薄だった中国・四国での営業を強化するべく中・四国営業所を開設した。関西新工場の稼働に伴い協力工場に依存していた生産を自社生産に切り替えたが、同工場は既にフル操業に近いため、現地での工場建設準備も進めている。
 
 
 
今後の注目点
台風災禍による野菜価格の高騰も足下沈静化しつつあり、野菜価格について、同社では「10月下旬にはほぼ前年同期並みに落ち着き、11月には更なる低下もある」とみている。業績が天候等の不可避的要因の影響を受けやすい事を踏まえて下期の予想は保守的なものとなったが、原料野菜の仕入価格が安定した推移となれば、通期業績の更なる上振れが現実味を増してくる。
また、約4,000億円の規模を誇る漬物市場だが、年商が100億円を超える企業は4社にとどまり、業界トップの同社でも年商は209億円(今期予想ベース)に過ぎない。中小メーカーが乱立する業界と言えるが、後継者難等による廃業等が増えており、今後、業界トップの同社をはじめ、大手による寡占が進むものと思われる。製品開発、製造、営業等の各分野で更なる強化が必要となるのだろうが、中期的な成長余地も大きいと言える。