ブリッジレポート:(2426)ピーアンドピー vol.8
(2426:JASDAQ) ピーアンドピー |
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企業名 |
株式会社ピーアンドピー |
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社長 |
山室 雅之 |
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所在地 |
東京都新宿区新宿3-27-4 |
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決算期 |
3月 末日 |
業種 |
サービス業 |
項目決算期 | 売上高 | 営業利益 | 経常利益 | 当期純利益 |
2011年3月 | 21,445 | 511 | 509 | 235 |
2010年3月 | 21,934 | 374 | 377 | 67 |
2009年3月 | 18,853 | 635 | 642 | 372 |
2008年3月 | 15,808 | 822 | 827 | 404 |
2007年3月 | 14,056 | 678 | 684 | 340 |
2006年3月 | 6,075 | 269 | 255 | 133 |
2005年3月 | 4,667 | 312 | 295 | 156 |
2004年3月 | 3,637 | 281 | 270 | 110 |
2003年3月 | 2,586 | 171 | 172 | 93 |
2002年3月 | 1,891 | 151 | 158 | 28 |
株式情報(11/25現在データ) |
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今回のポイント |
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会社概要 |
1987年1月、メーカーの商品販売促進活動の支援を目的に設立。2000年8月に一般労働者派遣事業の許可を、03年10月に事業分野拡大を目的に有料職業紹介事業の許可を、それぞれ取得。04年12月、JASDAQに株式を上場した。現在、全国27の主要都市に展開しており、北海道から沖縄まで国内一斉のセールスプロモーションがワンストップで実現できる。 <サービス内容>
SPO(セールス・プロセス・アウトソーシング)サービス
放送・通信キャリア、一般消費材メーカー及び各関連企業等をクライアントとし、販売支援、営業支援に係る各種サービスを提供しており、店頭調査をはじめとした各種調査業務や販促シーンにおける電子看板(デジタルサイネージ)・電子POPのコンサルティング及び管理運営等、幅広く販売及び営業活動を支援する。
ストアサービス
生鮮加工技術と現場管理能力を備えた生鮮技術者の派遣・請負、レジトレーナーの派遣・業務請負、マニュアル作成等も含めたレジ業務スタッフの派遣・請負サービス及び、店舗への集客を支援する。
人材サービス
コールセンター業務、事務・IT人材の派遣、及び人材紹介、採用代行等のサービスを提供。
棚卸サービス
子会社の(株)ピーアンドピー・インベックス(国内大手コンビニ向け)と台湾迎倍客股有限公司のサービス分野。棚卸業務を代行し、業務の効率化と営業時間の有効活用を実現する。365日、24時間体制で多様なニーズに対応。
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2012年3月期上期決算 |
前年同期比7.0%の増収、7.3%の経常減益
売上高は前年同期比7.0%増の112.1億円。モバイル市場の拡大に伴う販売員の需要増でSPOサービスの売上が伸びた他、震災後の需要増で棚卸サービスの売上も増加した。ただ、派遣からのシフトもあり、アウトソーシング案件が急速に増加した事で一時的に外注スタッフの利用が増加し原価率が上昇。売上総利益が伸び悩む中、営業利益が2.1億円と同8.7%減少した。四半期純利益が増加したのは、特別損失の計上が無かったため(前年同期は、支社や営業所の移転・閉鎖に伴う費用、及び資産除去債務関連の損失など43百万円を特別損失に計上した)。尚、第1四半期(4-6月)は自粛ムードや商品不足によるキャンペーンの縮小・中止等、東日本大震災(以下、震災)の影響がみられたが、第2四半期以降、影響はほとんど見られなかった。 (3)財政状態
上期末の総資産は前期末比1.2億円減の52.4億円。回収や支払いが進み売上債権・仕入債務が減少した他、償却でのれんも減少。この結果、上期末の自己資本比率は56.6%となり、前期末比1.3ポイント改善した。有利子負債に依存する事無く、流動性に富んだ財務内容が維持されている。
SPOサービスの拡大
業務請負案件が増加し、アウトソーシング事業の売上が前年同期比51.9%増加した。エリア毎の一括提案による独占案件の獲得に注力すると共に、売場での販売力強化と効率的運営に向け優秀なスーパーバイザーの育成に取り組んだ事も売上の拡大につながった。また、PPRシステム(後述)の提供による円滑なフィードバックと効果的な売場管理への寄与がクライアントの満足度向上(クライアントの店舗管理コストの低減が可能)につながった。尚、PPRシステム(P&P Reporting System)とは、同社が独自に開発したシステムで、Web環境を利用するため、場所を問わずリアルタイムで必要な情報を報告できる。独自開発のため、汎用性があり、クライアントの要望に合わせたカスタマイズが可能。
Web SPOサービスの立ち上げ
Webサイトを活用したSPOサービスを強化するべく、サンプル&モニターサイト「もにったー」のサービスを11年6月20日に開始した。「もにったー」は、twitterやFacebook等のSNS(ソーシャルサイト)と連動した口コミプロモーションができるだけでなく、商品に対する消費者の感想や意見の収集が可能な上、「もにったー」サイトからクライアントサイトへ消費者を誘導することができる。また、Webプロモーションから店頭デモンストレーションや統合プロモーションへの展開等、「リアル⇔Web」の流れを生み出す媒体として既存事業とのシナジーの発揮が期待できる。
プラットフォーム事業の開発
Web求人サイト「おいしい仕事」事業を11年9月29日に譲受した。同社運営の既存求人サイト「4510181.com」との統合による採用効率の向上や同社クライアントに対する直接雇用のための求人掲載サービスの提供に加え、「おいしい仕事」が有するユーザーの活用による同社Web事業の活性化等が期待できる。
東アジア地域へのSPO事業展開
台湾でPPRの提供を開始した。例えば、日本企業が台湾に店舗等を開設した場合、PPRを導入する事で台湾の現地事務所はもちろん、日本国内の事務所にいながらにして現地の店頭の状況が確認できる。このため、店頭装飾の改善や販促物の追加作成等、販売戦略の迅速な立案が可能になる。
(5)グループ企業の動向
(株)ピーアンドピー・キャリアが、一般事務派遣から強みであるコールセンター派遣へのシフトが成果をあげ、地デジ移行案件や震災関連案件のコールセンター派遣の受注にも成功。また、事業拡大に向け官公庁への営業活動も強化した。(株)ピーアンドピー・インベックスは、震災により発生した臨時棚卸案件の受託に成功。大型店への営業や台湾子会社(迎倍客 股有限公司)による台湾での営業強化にも取り組んだ。(株)ジャパンプロスタッフは、スマートフォン用サービスの新規受託に成功。携帯キャリアとの直接取引を強化した他、粗利率の改善にも取り組んだ。
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2012年3月期業績予想 |
通期業績予想に変更は無く、前期比6.2%の増収、同8.9%の経常増益予想
スマートフォンの需要拡大を追い風にSPO案件の獲得を加速する考えで、売上高は前期比6.2%増の228億円を見込んでいる。利益面では、アウトソーシング案件におけるスタッフの自社雇用化が徐々に進み、期末にかけて利益率の改善が進む見込み。配当は創業25周年の記念配100円を落とし、1株当たり50円増配の期末950円を予定。
(2)市場動向
モバイル市場は、市場全体では伸び率の鈍化が予想されるものの、スマートフォンは引き続き拡大が見込まれ、スマートフォンに特化した専門スタッフに対する一段の需要増が期待できる。また、家電市場は、エコポイント制度の終了や地デジ切り替えによる買換え需要が一巡した事でクライアントのニーズが変化しており、商品数や出荷台数の増加が見込まれる節電機能を備えた白物家電やLED電球等、ニーズに応えたトレンド商材にフォーカスした営業がポイントとなる。この他、モバイルや家電分野で海外メーカー(日本の流通に対する理解が課題)の日本進出が加速している。このため、国内メーカー向けで培った店頭支援のノウハウを活かした販売促進に対する需要が高まっている。
(3)下期の重点施策
「攻めの営業への変革」、「今後の柱となる新規事業開発」、「売上500億円を目指す基盤強化(業界トップ企業としてステータスの確立)」の3点を重点施策として挙げている。この他、人材採用の効率化とスタッフ・社員への研修強化を念頭に能力開発センターを設立する他(11年10月に設立済み)、働きやすい職場作りの一環として、永続勤続表彰や労災保険の強化など25周年プロジェクトを推進する。
(4)グループ企業の取り組み
(株)ピーアンドピー・キャリアは、強みを有し需要も強いコールセンター派遣業務の拡大と内部牽制機能の強化に注力し、(株)ピーアンドピー・インベックスは大型店クライアントの獲得とコンビニを中心にした既存クライアントのシェア拡大に努める。また、(株)ジャパンプロスタッフはスマートフォン知識の豊富なスタッフの派遣拡大とスタッフ研修の強化に取り組む。
※ 「人材派遣」から「アウトソーシング」への移行に伴う利益率の悪化について
この上期は、派遣から委託へのユーザーニーズの取り込みやエリアを一括で受託する広域一括受託の大型案件獲得などアウトソーシング事業が予想以上に好調だったため利益が下振れした。これはスタッフを派遣していた業務を「アウトソーシング」(クライアントから見ると「人材派遣」から「業務委託」への切り替え)で受注すると当初は利益率が悪くなるため。なぜかと言うと、「人材派遣」を利用していた業務を「アウトソーシング」に変える際、通常、クライアントは業務効率とコストの面から人材サービス会社を絞り込む(例えば、5~6社を2社程度に削減等)。ただ、その場合でも、クライアントは従来からの派遣社員の継続勤務を希望する。このため、「アウトソーシング」で受注した会社は他社のスタッフ(人材サービス)を活用する事になり利益率が悪くなる(このスタッフは売上の面で受注した会社に寄与しても利益面では寄与しない)。しかし、派遣契約満了(契約期間は通常3~6か月)と共に、順次、自社のスタッフに入れ替わっていくため、徐々に利益率が改善していく(最終的には同社スタッフのシェアが100%になる)。つまり、上期に同社の利益が予想に届かなかったのは、アウトソーシングの受注が予想以上に伸び、当初の利益率が低い案件が予想以上に多くなったためだ。言い換えると、今後の収益貢献が確実に期待できる先行投資負担が発生したようなものである。
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