ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.18

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
荻野 芳朗 社長
荻野 芳朗 社長

【ブリッジレポート vol.18】2013年2月期第1四半期業績レポート
取材概要「吉野家HDの13/2期第1四半期決算は65%の営業減益となった。食材価格の上昇も響いたが、苦戦の最大の原因は中食志向の高まりで、弁当や総菜・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月7日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
荻野 芳朗
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(7/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
416円 6,394,705株 2,660百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 2.9% 88.93円 4.7倍 982.00円 0.4倍
※株価は7/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2013年2月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっている。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。連結子会社7社及び持分法適用会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築。12/2期の品目別売上構成は、製品売上が63%(浅漬・キムチ48%、惣菜12%、ふる漬3%)、商品(漬物)売上が37%。
資本関係では、東海漬物(株)が株式の49.6%を保有するが、取引はわずかにふる漬等の仕入があるのみ(12/2期は仕入高全体の2.1%)。むしろ同社を語る上で忘れてならないのが、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、12/2期は同グループ向けの売上が全体の37.9%(11/2期は39.3%)を占めた。
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススムキムチ シリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新商品を投入できる商品開発力と全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。
 
 
 
2013年2月期第1四半期決算
 
 
前年同期比21.0%の増収、同58.9%の経常減益
売上高は前年同期比21.0%増の62.0億円。中食志向や健康志向の高まりが追い風となる中、積極的な新製品の投入が奏功し、「ご飯がススムキムチ」等のキムチや浅漬、惣菜等の製品売上高が伸びた。
ただ、利益面では、春先の天候不順による原料野菜の仕入価格高騰や生産増による人件費増加等で原価率が上昇。ラジオCM等の広告宣伝活動及び売場提案等の販売促進活動を積極的に展開した事で販管費も増加し、営業利益が1.7億円と同57.5%減少した。持分法投資利益や容器リサイクル費用返戻金の計上がなかった事で営業外損益が悪化した他、補助金収入の減少による特別利益の減少もあり四半期純利益は同64.6%減少した。
 
相次ぐ新製品の投入
「ご飯がススムキムチ」の商品リニューアル、新大久保の味を再現した「新大久保キムチ」や「手づくり熟キムチ」、簡単においしいおかずが出来上がる「おうちリッチ肉炒めのたれシリーズ」、更には韓国の調味料を使用した「なすときゅうりのコチュジャン漬」等の新製品を投入し売上の拡大につなげた。
 
積極的な広告宣伝及び販促活動
全国の製造・販売拠点を活用した営業活動、ラジオCM等の広告宣伝活動、更には売場提案等の販売促進活動を積極的に展開し、既存得意先への拡販や新規取引先の開拓を推進した。また、九州地区の営業活動強化に向け、12年4月に福岡営業所を開設した。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比2.8億円増の135.6億円。販売好調による売上債権及び仕入債務の増加が資産増加の要因。有利子負債はわずかに減少し、自己資本比率は46.2%となった。
 
 
2013年2月期業績予想
 
(1)上期及び通期業績予想に変更なし。通期で前期比5.6%の増収、同6.8%の経常減益予想
上期は前年同期比5.2%の増収を見込むものの、①低温による3月、4月の野菜価格が高止まり、②電気料金の引き上げ、③原油価格上昇による包装材料等の価格上昇、及び④広島工場関連の投資費用等を織り込んだ結果、経常利益が同36.6%減少する見込み。
上期の苦戦が響き通期でも減益決算が避けられないが、下期は野菜価格の安定等を前提に増収・増益に転じる見込み。配当は1株当たり12円を予定。
 
 
(2)コラボレーション・キムチの投入で既存キムチファンの深耕と新たなキムチファンの開拓を推進
既存キムチファンの深耕と新たなキムチファンの開拓を目指し、6月から7月にかけて「ご飯がススム イタリアンキムチ」と「川越達也オススメキムチ」のコラボレーション・キムチ2製品を投入した。
 
 
宅配ピザ業界において売上・店舗数共にNo.1を誇るピザーラ((株)フォーシーズンズ)と、(株)ピックルスコーポレーションの人気商品「ご飯がススム キムチ」シリーズのコラボレーション製品。「ご飯がススム キムチ」の甘・辛・うまい味のベースはそのままに、ピザーラ監修のピザソースとナチュラルチーズ(ゴーダチーズ)を混ぜ込み、イタリアンな味付けに仕上げた逸品キムチ。
ほんのりバジルが効いた甘味と酸味が絶妙なバランスのピザソースと、深みのあるリッチな風味と、そしてコクのある味わいが特徴のゴーダチーズが、意外ほどにキムチとよく合う。パンにのせてトーストしても食べるのも、また格別。キムチの新境地を切り開いた製品でもある。白菜はもちろん100%国産を仕様。200グラム入りで、希望小売価格も258円とリーズナブル。6月20日に全国のスーパー6社で販売を開始した。初年度目標は少なくとも5億円以上で、目指すは10億円。
 
 
イタリア料理シェフの川越達也シェフがプロデュースしたイタリアンなキムチ。リンゴと桃のフルーティな甘味と、魚介のうま味たっぷりの、マイルドで食べやすいキムチ。
そのまま食べても、料理に使っても美味しい、コク、うま味、甘味の効いた味付けで、つい箸が止まらなくなる。子供からお年寄りまで幅広い層をターゲットにしており、主原料の白菜はもちろん100%国産を使用し、保存料・合成着色料は使用していない。
北は北海道から南は九州に至るグループ15工場で生産し、7月10日に全国で販売を開始したが、特に首都圏ではイトーヨーカ堂など大手スーパー30社の店頭に一斉に並ぶ等、発売当初から人気の高さが目を引いた。このため、初年度の売上目標も、大ヒットした同社のベストセラー製品である「ご飯がススムキムチ」の15億円を遥かに凌ぐ30億円(200グラム入りで、希望小売価格258円)。「ご飯がススム イタリアンキムチ」と共に、今期業績への大きな寄与が期待されている。

ちなみに川越達也氏は大阪あべの辻調理専門学校卒業後、大阪、東京のフランス料理店、イタリアン料理店、日本料理店で修行。独自のスタイルである"ジャンルにとらわれないイタリアン"を追究し、発信した事で注目を集めた今人気の料理人。代官山(東京都目黒区)の「タツヤ・カワゴエ」で腕を振るっている。
 
 
今後の注目点
吉野家HDの13/2期第1四半期決算は65%の営業減益となった。食材価格の上昇も響いたが、苦戦の最大の原因は中食志向の高まりで、弁当や総菜等に消費者が流れた事だ。同社の好調な販売を見るにつけ、中食志向と健康志向の高まりが相まってキムチ等の野菜を使った商品が人気を博している事が良くわかる。同社の第1四半期は21.0%の増収、58.9%の経常減益となったが、減益が想定の範囲内だった一方で、販売の好調は想定以上だったのではないだろうか。同社は強みである製品開発力を活かし中食志向や健康志向の高まりをうまく捉えており、期を通してこの増収ペースが続いた場合、利益に与えるインパクトは極めて大きい。今のところ、今夏は昨夏程には暑くない。何分、同社の場合、天候の影響を受けるだけに油断はできないが、イタリアンな味付けの新製品2品の寄与も含め、業績の上振れ期待が高まっている。