ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

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ブリッジレポート:(2435)シダー vol.22

(2435:JASDAQ) シダー 企業HP
山崎 嘉忠 社長
山崎 嘉忠 社長

【ブリッジレポート vol.22】2012年3月期業績レポート
取材概要「同社の業績は、関係法令の改正や法解釈、或いは実務的な取扱いの変更といった短期的には経営努力の及ばない要因の影響を受ける。しかし、高い稼・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年8月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社シダー
社長
山崎 嘉忠
所在地
北九州市小倉北区大畠 1-7-19
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 9,614 421 430 224
2011年3月 8,746 225 295 158
2010年3月 8,332 408 419 237
2009年3月 7,075 149 100 46
2008年3月 5,921 56 42 16
2007年3月 4,519 -403 -406 -247
2006年3月 4,251 309 297 166
2005年3月 3,649 352 288 164
2004年3月 3,125 122 97 41
2003年3月 2,352 111 104 30
2002年3月 1,594 17 21 11
2001年3月 281 -20 -21 -14
株式情報(8/1現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
406円 5,738,000株 2,330百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.00円 3.7% 49.84円 8.1倍 247.06円 1.6倍
※株価は8/1終値。
 
シダーの2012年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカを中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリテーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針としており、総勢115名を数えるリハビリ職員の規模は介護サービス事業者の中では出色。また、有料老人ホームでは施設数で業界12位、総居室数で15位のポジションにある(出所:「月刊シニアビジネスマーケット」2012年4月号より)。
 
 
同社のリハビリトレーニングの考え方
「リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張る」というものではなく、今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年、もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行う事が目的。
 
【事業セグメント】
事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。12/3期の売上構成比は、それぞれ35.0%、57.0%、8.0%。
2012年3月31日現在の拠点数は次の通り。
 
 
【沿革】
 
 
前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現社長)等が中心となり(株)社シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益基調に転じた。
 
【事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】
同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
 
 
松山市の他、北九州市八幡西区(黒崎デイサービス、鳴水デイサービス、グループホーム黒崎、水巻訪問看護ステーション)、北九州市小倉南区(徳力デイサービス(要支援)、徳力デイサービス(要介護)、徳力デイサービス(認知症))、長野県上田市(1施設にデイサービスセンターと有料老人ホームを併設)等でも"地域のリハビリセンター"を念頭においた取り組みが進められている。
 
 
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高まるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。
 
 
 
 
12年度の介護保険法改定による影響
 
同社の収益となる各種介護サービス費用は、その1割をサービスの利用者が負担し、9割(ケアプランは10割)は介護保険が負担している。また、介護報酬の基準単位や一単位当たりの単価(介護サービス費用=基準単位×単価)や支給限度額は介護保険法及びそれに基づく政省令により定められており、介護保険法及びそれに基づく政省令の改訂は同社の収益状況にかかわりなく行われる。

12年度の改定(12年4月から実施)で同社が影響を受けるのは、デイサービスにおける介護報酬の改定や個別機能訓練加算の再編、及び施設サービスにおける特定施設入居者生活介護費の改定であり、同社は次のような対応を考えている。
 
(1)デイサービス事業における対応
①介護報酬の改定(提供時間区分の再編と報酬の見直し)
今回の改定では時間区分が再編され、介護報酬の基準単位の見直しが行われた。具体的には、提供時間が5時間以上7時間未満では介護報酬の基準単位が引き下げられ(8.8%~11.1%のダウン)、7時間以上9時間未満では基準単位が引き上げられた(1.9%~5.6%のアップ)。
 
 
尚、通所介護施設は、1月当たりの平均延人員数が300人以下の小規模型、301人以上750人以下の通常規模型、751人以上900人以下の大規模型(I)、及び901人以上の大規模型(II)に分かれ、同社の施設は全て大規模型(II)に該当される。今回の改定では、小規模型、通常規模型、大規模型(I)、大規模型(II)の全ての区分で上記の見直しが行われた。
 
同社の対応
「介護職員の処遇改善がうたわれる中、時間外勤務の発生が避けられないような業務体制はとらない」との考えから、同社は“5時間以上7時間未満”を選択した。
“7時間以上9時間未満”を選択した場合、女性スタッフが多い中で業務体制が悪化すれば離職率が高まり、結果として人件費用が増加する可能性があった。
 
 
ただ、“5時間以上7時間未満”を選択すると、利用1回当たりの単価が下がるため売上が減少する。同社はこれを新規利用者の確保で補う考え(他社がサービスを長時間化すれば、相対的に同社のサービスを安価に利用できる事になり、新規利用者の開拓が見込める)。
 
 
②個別機能訓練加算の再編
 
※新設された個別機能訓練加算(II)の算定要件
5人程度以下の少人数のグループを対象に、専従の理学療法士、作業療法士等が週1回以上、日常生活における生活機能の維持・向上に関する目標を設定し、訓練を実施した場合に算定できる。又、個別機能訓練加算(I)との併算定が可能。
 
同社の対応
全体で1%程度の減収要因となる見込み。デイサービス内でのグループ分け等を行い、算定可能な施設は積極的に加算を算定していく。
 
(2)施設サービス事業における対応
特定施設入居者生活介護費の改定
特定施設入居者生活介護費の介護報酬の基準単位の見直し(引き下げ)が行われた。
 
 
同社の対応
既存入居者1人当たりの収益が減少するものの、全体的には軽微な減少にとどまる見込み。新規入居者の促進を図る事でカバーしていく考え。
 
 
2012年3月期決算
 
 
既存施設の稼働率及び入居率の上昇で大幅な増益
10月3日に福岡県内で有料老人ホーム「小文字の郷」(福岡県北九州市:52室)及び「わじろの郷」(福岡県福岡市:99室)の2施設(いずれも満床)を運営する(株)パイン(本社:福岡県福岡市)の全株式を取得したため、下期より連結決算に移行した。

売上高は前期の非連結との比較で9.9%増の96.1億円。リハビリ施設の利用者や有料老人ホームの入居者が順調に増加した他、デイサービス施設1施設、有料老人ホーム3施設の新施設も寄与した。営業利益は同86.6%増の4.2億円。既存施設の利用率・入居率の向上による限界利益の増加に加え、人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組んだ成果もあり、営業利益率が2.6%から4.4%に改善した。
営業外損益の悪化は支払利息の増加によるもの(111百万円→182百万円)。また、(株)パインについては、0.4億円程度の損失となった模様。各サービスの価格設定に問題がある事や職員全てが常勤職員のため人件費負担が重い事等が要因のようだ。

予想との比較では、デイサービス施設の一部でリニューアルを前倒しで進めた事や東日本大震災の影響でラ・ナシカ仙台の開業が3か月遅れた事等で営業利益が下振れした。

配当は1株当たり5円増配の期末15円。
 
 
 
 
デイサービス事業
売上高は前期の非連結決算との比較で2.3%増の33.6億円、セグメント利益は同9.5%増の4.5億円。福岡県北九州市に認知症対応型デイサービス施設「あおぞらの里 鳴水デイサービスセンター」を新規開設(11年11月、定員24名)。既存デイサービス施設のリニューアルやサービスの質向上への取り組み等の成果で利用者数が増加した。
期末登録者数は前期末比0.7%減の4,233人、月間延べ利用者数は同1.1%増の38,103人、施設数は同1施設増の28施設。
 
施設サービス事業
売上高は前期の非連結決算との比較で16.5%増の54.8億円、セグメント利益は同56.2%増の7億円弱。宮城県仙台市に「ラ・ナシカ せんだい」(11年8月、51室)、神奈川県横須賀市に「ラ・ナシカ よこすか」(11年9月、43室)、埼玉県三郷市に「ラ・ナシカ みさと」(12年3月、60室)を新規開設した他、有料老人ホーム2施設を運営する(株)パインを子会社化した。既存の有料老人ホームの入居者獲得が順調に進み、入居率(新規施設を含む全ての居室数に対する入居者数)が90%に迫る高水準に達成した。
(株)パインを除く期末施設数は前期末比1施設増の28施設、入居者数は同16.1%増の1,451人、総居室数は同14.8%増の1,630室、残室数は同4.3%増の169室、入居率は1.0ポイント改善の89.6%。
 
在宅サービス事業
売上高は前期の非連結決算との比較で2.6%増の7.6億円、セグメント利益は3百万円(前期は25百万円の損失)。利益率の改善を目的に山口県下関市の「あおぞらの里 下関ヘルパーステーション」を福岡県北九州市の「あおぞらの里 小文字ヘルパーステーション」へ統合した他、人員配置や業務手順の見直し等を実施した。
 
 
期末の個別総資産は前期の非連結総資産と比べて27.9億円増の95.7億円。業容の拡大で売上債権が増加した他、有形固定資産や投資その他(敷金保証金1,329百万円→1,698百万円)が増加。長期を中心にした借入金の積み増しで必要資金を手当てした。
 
 
利益の増加と資金効率の改善で前期は4.1億円だった営業CFが7.6億円に増加した。(株)パインの子会社化や設備投資の増加で投資CFのマイナス幅が拡大したためフリーCFがマイナスになったものの、長期借入金を積み増しした事で現金及び現金同等物の期末残高は10.7億円と前期末比4.4億円増加した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
前期比11.6%の増収、同18.6%の経常増益予想
売上高は前期比11.6%増の107.3億円。新規開設はデイサービス施設1施設、有料老人ホーム4施設を予定しており、新規開設施設、既存施設共に利用者及び入居者獲得が足元順調。セグメント別では、デイサービス事業が同4.8%増の35.2億円、施設サービス事業が同16.8%増の64.0億円、在宅サービス事業が同4.4%増の8億円。

営業利益は同69.7%増の7.1億円。新規開設に係る先行投資や介護報酬改定の影響を、稼働率・入居率が高水準に推移する事で吸収。価格改定やパートなど臨時職員比率の適正化で(株)パインも黒字転換する見込み(20百万円~30百万円の利益計上が見込まれる)。

配当は1株当たり15円の期末配当を予定。
 
 
デイサービス事業では12年6月に上田原デイサービスセンター(長野県上田市、定員40人)を開設。施設サービス事業では、12年4月に「ラ・ナシカ あしかが」(栃木県足利市、30室)、6月に「ラ・ナシカ うえだ」(長野県上田市、53室)、7月に「ラ・ナシカ まつもと」(長野県松本市、29室)を開設した他、11月に山梨県山梨市で1施設(29室)のオープンを予定しており、この他、(株)パインの「小文字の郷」( 52室)及びわじろの郷(99室)の2施設(共に福岡県)が通期で寄与する。
また、施設サービスでは、北海道帯広市、岐阜県関市、岐阜県笠松町、及び静岡県浜松市の4市(4施設)において公募申請中であり、来期以降、順次戦力化してくる見込み。
 
 
 
今後の注目点
同社の業績は、関係法令の改正や法解釈、或いは実務的な取扱いの変更といった短期的には経営努力の及ばない要因の影響を受ける。しかし、高い稼働率や入居率を有する優良なストックが積みあがってきた事で12年度改定の影響は限定的なものにとどまる見込みだ。
もっとも、今回の改訂が今期の業績に若干のマイナスの影響があるとは言え、この改定の根幹を成す改正介護保険法(施行から5年を経て実施された改正。11年6月公布、12年4月施行、一部は11年6月施行)のポイントは、“高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう、医療、介護、予防、住まい、生活支援サービスを切れ目なく提供する「地域包括ケアシステム」の実現”である。つまり、地域に密着して、デイサービス、施設サービス、在宅サービスの総合的提供を目指す同社の経営方針に合致するものであり、同社の強みを活かす事ができるものと考える。

http://www.cedar-web.com/lib/ir_information/files/1338853506_0.pdf