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(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.9

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.9】2012年8月期業績レポート
取材概要「雇用や所得面での環境改善が進まず、消費者の生活防衛意識が高まりを見せる中で、12/8期は大幅な増収・増益を達成した。健康志向の高まりを着実に・・・」続きは本文をご覧ください。
2012年11月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(10/18現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,196円 9,477,426株 20,812百万円 31.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 1.8% 274.58円 8.0倍 844.56円 2.6倍
*株価は10/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
コシダカホールディングスの2012年8月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略(後述)を推進している。連結子会社7社及び非連結子会社1社と共にグループを形成し、安定成長を続けるカラオケ事業と認知度の向上で事業が急拡大しているフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業の育成にも取り組んでいる。
 
【沿革】
1954年に都内で飲食店として創業し、64年に現在本社のある群馬県前橋市に移転。67年に(有)新盛軒として法人組織に改組した。会社が大きく変わり始めたのは、現在、社長を務める腰髙博氏に実質的な経営権が委ねられてから。博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰髙博氏の社長就任以降は、不況等で廃業するカラオケボックスを利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月に(株)コシダカに組織及び名称を変更した。
 
06年3月には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出。07年6月のJASDAQ上場を経た08年10月には(株)カーブスジャパンを子会社化(実質持株比率90%)し、現在、グループでFC(フランチャイズチェーン)本部の運営とフィットネスクラブの直営店展開を行っている。
 
10年9月には純粋持ち株会社へ移行し、(株)コシダカホールディングスに組織及び名称を変更。併せて、ボウリング事業を手掛ける(株)スポルトを子会社化した。中長期的にグループシナジーを出し難い事と経営資源を集中させる必要もあったため、(株)スポルトは黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)。現在、よりグループシナジーが期待できる温浴事業の育成や海外展開に向けた基盤整備に取り組んでいる。
 
 
【事業セグメントとグループ】
(1)事業セグメント
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)や一人カラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種の温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。12/8期の売上構成比は、カラオケ事業54.9%、カーブス事業33.5%、温浴事業2.1%、ボウリング事業8.8%(12年10月に撤退)、その他0.7%。
 
(2)グループ
グループは、純粋持株会社である(株)コシダカホールディングスと、カラオケ事業、カーブス事業、温浴事業、及び不動産管理や知的財産管理を手掛ける連結子会社7社及び韓国でカラオケ事業を手掛ける非連結子会社1社。カラオケ事業は(株)コシダカが国内で323店舗を展開しており、(株)韓国コシダカが韓国ソウル市内で2店舗を運営。カーブス事業は、中間持株会社(株)カーブスホールディングスの下、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC本部の運営と直営店展開を手掛け、連結子会社(株)北海道コシダカ及び(株)シュクランがフランチャイジーとして直営店を多店舗展開している。また、11年11月に多店舗展開を本格化した温浴事業は(株)コシダカが新規事業として育成中の事業であり、6店舗を展開している(店舗数は、いずれも12年8月末)。
 
 
 
【強み】
同社の強みは、成熟した国内市場にあっても高い成長を可能にする業態開発力と、今後の更なる成長が期待できるアクティブシニア層向けマーケットでの実績。カラオケやフィットネスと言った既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変えると共に新たな顧客層をターゲットとする事で新しい業態を開発し(新たなサービスや運営手法を生み出し独自のビジネスモデルを確立)、08/8期以来、増収増益を続けているのはその証左である。また、地域密着の事業展開が、アクティブシニア層の開拓はもとより、ファミリー層等の取り込みにつながっており、そのノウハウや経験が大きな財産となっている。
加えて、カラオケ事業の成功の一因でもある「居抜き出店」の実績を積み上げてきた事で、施設の再生や企業の再生といった面でもノウハウと経験の蓄積が進んでおり、育成中の温浴事業や黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)したボウリング事業においては、こうした「再生」ノウハウが地域密着による顧客開拓手法と共に活かされている。
 
この結果、業績はきれいな右肩上がりの曲線を描いており、03/8期に20億37百万円だった売上高が今期359億54百万円に、99百万円だった営業利益が49億85百万円に、それぞれ拡大する見込みだ(この間の減益は07/8期の1期のみ)。
 
 
 
成長戦略 総合余暇サービス提供企業としてグループ売上高1,000億円を目指す
 
「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において「既存業種新業態」戦略を進める事で業容の拡大を図っていく考え。当面の数値目標として「グループ売上高1,000億円」を掲げており、M&Aに機動的に対応する他、東アジアを中心に海外の成長力も取り込んでいく。
 
(1)「既存業種新業態」の開発
「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変えると共に、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法(「既存業種新業態」と言う言葉自体は他でも使われる事があるが、この場合は同社独自の事業概念である)。
 
一人専用のカラオケ「ワンカラ」
現在、カラオケ事業で育成中の一人カラオケ専門店「ワンカラ」は「既存業種新業態」の一例。通常、カラオケはグループで利用するが、「ワンカラ」は純粋に「歌う」事を追求した一人専用のカラオケボックス(楽器演奏の練習等に使用される事も少なくないようだ)。
 
06年9月に本庄店(埼玉県本庄市)に2室、08年2月に「浅草まねきねこ」(東京都台東区)に7室を開設しており、両施設の実績を踏まえ(潜在需要の掘り起こしに成功し、1人で歌う事の爽快感がリピーターを増加させた)、11年11月に「ワンカラ」に特化したワンカラ神田駅前店(東京都千代田区)をオープンし、その後、東京都心と仙台の繁華街に合計6店を舗出店した。
 
「ワンカラ」は既存カラオケボックスとの差別化はもちろん、客層が異なるため客層の拡大にもつながる。オペレーションやピット内部(カラオケボックス内部)の利便性向上に加え、更なる初期投資の抑制等、未だブラッシュアップすべき点は多いが、業態とブランドを早期に確立し、直営店展開と共にFC展開も進めていく考え。
 
 
女性専用30分健康体操教室「カーブス」
また、“女性専用30分健康体操教室”として順調に拡大しているカーブス事業は、「既存業種新業態」の概念に沿ったもの。フィットネス自体は珍しくないが、ターゲットとする客層、施設等で従来のフィットネスとは一線を画しており、「アクティブシニア層」及び「地域密着」をキーワードに、買収後に同社が花開かせた(同事業では、50代以上の女性が会員数の76.7%を占めている)。
 
 
(2)数値目標
内需関連ビジネスを手掛ける企業の事業環境は総じて厳しいものの、68兆円と言われる国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さ。しかも、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの向こう10年程度は更なる市場拡大が見込まれている。
 
同社は、「アクティブシニア層」をターゲットとし、施設や企業の再生も含めた豊富なノウハウと実績を活かして国内余暇市場を深耕していく考え。向こう3~5年内にグループ売上高を1,000億円に引き上げるべく、既存事業間のシナジーを追求すると共に「既存業種新業態」の開発に取り組んでいく。
 
セグメント別では、カラオケ事業において、「アクティブシニア層」をより意識して、従来からの客層や販売手法に囚われない新たな業態の開発に取り組み多店舗展開を進める。当面の目標はワンカラのFC展開を含めた500店舗のネットワーク構築と売上高300億円。カーブス事業においては、「~筋トレを歯磨きに~」のスローガンの下、日本中に運動習慣を広げていく。1,500店舗体制の構築とビジネスモデルの更なる強化に取り組む事で売上高200億円を目指す。一方、全国展開が緒に就いたばかりの温浴事業については、シニア・ファミリー層に特化した業態開発と居抜き出店方式によるNo.1チェーンの構築を目指しており、50店舗体制、売上高150億円を当面の目標としている。
 
この他、M&Aへの対応と海外展開により収益の押し上げも図る考えで、海外展開については、2店舗を展開している韓国でノウハウの蓄積を図り、その後、経済成長著しい東アジア諸国全域で事業展開を進めていく。
 
 
 
2012年8月期決算
 
 
前期比16.0%の増収、同22.8%の経常増益
売上高は前期比16.0%増の337億46百万円。店舗数及び会員数共に大きく伸びたカーブス事業の売上が同34.3%増加した他、東日本大震災後の「安・近・短」志向の高まりが追い風となり主力のカラオケ事業の売上も同6.6%増と堅調に推移した。
 
利益面では、人件費や開店諸費用など業容の拡大や先行投資に伴い販管費が増加したものの、カラオケ事業、カーブス事業共に増収効果で利益率が改善。ボウリング事業の損益も大幅に改善し、営業利益が40億77百万円と同20.6%増加した。支払利息の減少(49百万円→35百万円)や社債発行費用(64百万円)が無くなった事等で営業外損益も改善したものの、特別利益の減少(前期は負ののれん発生益11億93百万円を特別利益に計上)や韓国コシダカ向け債権に係る貸倒引当金(1億3百万円)の計上等で当期純利益は同20.8%減少した。
 
期末配当は1株当たり17.5円を予定しており、上期末配当と合わせて年35円。11年9月に実施した株式分割(1株を400株に分割)を考慮すると、実質10円の増配となる。
 
 
 
カラオケ事業
売上高は前期比6.6%増の185億43百万円、セグメント利益は同18.6%増の26億92百万円。新たに13店舗(前期:15店舗)を出店する一方、5店舗(同9店舗)を閉鎖した結果、期末店舗数は前期末比8店舗増の323店舗。
 
「安・近・短」レジャーの好調が追い風となった他、各種フェア(Bグルフェア、いちごフェア、麺まつり、沖縄フェア)も成果をあげ、既存店売上高は同3.0%(6億98百万円)増加した。利益面では、既存店の好調と新規出店の減少で売上総利益率が25.8%と同5.0ポイント改善。売上の増加と利益率の改善で売上総利益が47億78百万円と同32.4%増加し、人件費(2億76百万円増)を中心にした販管費の増加(同52.7%増の20億86百万円)を吸収した。
 
尚、新規出店のうち6店舗は日本初の一人カラオケ専門店「ワンカラ」で、東京都内に5店舗、仙台の繁華街に1店舗をオープンした。また、41店舗(同39店舗)で大規模リニューアル工事を実施し、新機種の導入を積極的に行うと共に、禁煙ルームを設置する等、新たな試みも取り入れた。また、店舗営業力の強化に向け、11/8期に刷新した人材育成プログラムに全社をあげて取り組んだ。
 
 
カーブス事業
売上高は前期比34.3%増の113億20百万円、セグメント利益は同57.6%増の19億6百万円。期末店舗数は前期末比159店舗増(15.3%増)の1,197店舗(内グループ直営店42店舗)、会員数は104千人増(25.9%増)の503千人。閉店店舗はわずか1店舗にとどまった。
 
売上高は同28億88百万円増加したが、内訳は、ベース売上(ロイヤルティ等の継続的な収入)11億50百万円、直営店売上3億84百万円、通販売上13億48百万円、その他68百万円。一方、スポット売上(加盟金収入など出店に伴う一時的な収入)が61百万円減少した。通販売上の増加は会員によるプロテインの定期購入が増加したためで、売上高は31億14百万円(同76.3%増)。利益面では、通販売上(物品販売)の増加で売上総利益率が37.5%と同3.2ポイント低下したものの、売上総利益(同23.7%増の42億49百万円)の伸びが、販管費(同5.3%増の23億42百万円)の伸びを大きく上回った。
 
尚、1店舗当たりの会員数の増加を背景に加盟店の業績が向上しており、加盟事業者による追加出店が活発化している。会員の年齢別構成比は、20代以下2.9%、30代5.5%、40代14.8%、50代28.5%、60代33.7%、70代以上14.5%。
 
 
温浴事業
売上高が6億95百万円と前期比298.7%増加したものの、セグメント損失が前期の36百万円から3億54百万円に拡大した。増収ながら、損失が拡大したのは「居抜き出店方式」のノウハウを活用した多店舗展開が本格化したため。具体的には、新店の寄与(4億96百万円の増収要因)で売上が大きく伸びたものの、営業費用が同8億39百万円増加した。主な増加要因は、水道光熱費1億39百万円、地代家賃1億31百万円、人件費2億13百万円、開店諸費用1億30百万円。
 
売上原価 11/8期:1億99百万円 → 12/8期:9億77百万円
販管費  11/8期:  11百万円 → 12/8期:  72百万円
 
新規出店は、11年11月に大分県内に3店舗、12年6月に東京都江戸川区(「東京健康ランドまねきの湯」)及び福島県郡山市(「郡山湯処まねきの湯」)にそれぞれ1店舗を開設。期末店舗数は6店舗となった。店舗によって異なるが、月替わり人工温泉、週替りイベント風呂、365日日替わりイベント等、各種のイベントの開催や新しいサービスの導入で集客を図っている。
 
※ 上記の他、ボウリング事業が売上高は29億61百万円(前期比2.2%増)、セグメント損失7百万円(前期は163百万円の損失)。不動産管理事業が売上高は5億89百万円(前期比1.7%増)、セグメント利益は2億84百万円(同4.0%減)。
 
 
期末総資産は前期末比15億88百万円増の200億43百万円。借方では、既存事業の出店・リニューアルや温浴事業の本格展開に伴い有形固定資産(工具器具備品)や投資その他(敷金及び保証金)が増加した他、通信販売の拡大で売上債権も増加。貸方では、仕入債務や純資産が増加する一方、有利子負債が減少した。自己資本費率は前期末比5.7ポイント改善の39.9%。
 
 
税金費用が大幅に増加したため(14億78百万円→21億36百万円)前期比ではわずかに減少したものの、営業CFは42億41百万円と潤沢。既存事業の出店・リニューアルや温浴事業の本格展開に伴う投資資金等を吸収して、9億57百万円のフリーCFを確保した。借入金の返済や配当金の支払いもフリーCFの範囲内に収まり、現金及び現金同等物の期末残高は43億8百万円と前期末比2億7百万円増加した。
 
 
2013年8月期業績予想
 
 
前期比6.5%の増収、同21.7%の経常増益
売上高は前期比6.5%増の359億54百万円。ボウリング事業の売却が29億61百万円の減収要因となるものの、認知度の向上に加え、会員募集のノウハウ蓄積が進んでいるカーブス事業の売上が同15.8%増と伸びる上、新規出店とリニューアル効果でカラオケ事業の売上も同8.9%増加。温浴事業は新規出店と前期の第4四半期に出店した都内及び郡山(福島県)の大型物件の寄与で売上が同3倍弱に拡大する見込み。
利益面では、カラオケ事業、カーブス事業共に増収効果で利益率が改善。先行投資負担が重い温浴事業も大型施設の軌道化等で損失が縮小し、営業利益は49億50百万円と同21.4%増加する見込み。 配当は1株当たり10円増配の年40円を予定している(上期末20円、期末20円)。
 
 
カラオケ事業
売上高201億97百万円(前期比.8.9%増)、セグメント利益29億96百万円(同11.3%増)を見込む。新規出店は「カラオケ本舗まねきねこ」及び「ワンカラ」の両業態で12店舗を計画しており、既存店45店舗でリニューアルを実施する計画。
 
「カラオケ本舗まねきねこ」については、既存店の集客力を強化するべく、組織人材の強化、施設設備の高度化、営業施策の強化、及びマネジメントの改善、に取り組む。また、新規出店では、地域によっては建築出店(居抜き以外の出店)にも臨機応変に対応していく。一方、「ワンカラ」については、FC展開も視野に入れ、更なる初期投資の抑制に取り組み、ビジネスモデルをブラッシュアップしていく。この他、現在、2店舗を出店している韓国事業のてこ入れを図る他、東アジアでの事業拡大に向けた基盤整備を進める。
 
カーブス事業
売上高131億6百万円(前期比15.8%増)、セグメント利益22億84百万円(同19.8%増)を見込む。新規出店はFC及び直営で130店舗を計画。
 
中期的な目標である1,500店舗体制の構築に向け、既存加盟店の複数店舗化を支援すると共に、直営店の出店にも力を入れる。加盟店支援のポイントは、既存店の会員数増強のためのプログラムの革新と全店舗での徹底、及び会員向け通信販売商品の開発と販売促進の2点。また、直営店の展開を通じて得た各種ノウハウを、FC本部を通じて速やかに加盟店にフィードバックしていく。
 
温浴事業
売上高20億75百万円(前期比198.6%増)、セグメント損失2億58百万円(前期は3億54百万円の損失)を見込む。収益力の強化に向けた効率的なオペレーションの確立や省エネ化の推進に取り組む。また、統一したマニュアルの下での店舗オペレーションを確立するべく、人材育成プログラムを導入し社員教育を徹底する。
 
 
今後の注目点
雇用や所得面での環境改善が進まず、消費者の生活防衛意識が高まりを見せる中で、12/8期は大幅な増収・増益を達成した。健康志向の高まりを着実に取り込めている事とアクティブシニア層の掘り起こしに成功している事が勝因である。
13/8期は健全な赤字部門である温浴事業の育成に取り組みつつも、引き続き大幅な増益が見込まれる。温浴事業の育成に経営資源を重点投下するべく、指導員の育成も含めて固定費負担が重い一方で、客単価が低いため回収に時間がかかる(このため、多店舗展開に時間を要する)ボウリング事業を売却した。温浴事業も固定費負担が重いが、ボウリング事業よりも客単価が高いため、軌道に乗れば投資回収が早い。また、サービス面では、カラオケ事業と共通する部分が多く、人材育成プログラムの転用などシナジーが期待できる上、設備を更新する事で最大の費用項目である水道光熱費の削減余地が大きい事もわかっている。
当面の戦線の絞込みと中期的な事業の拡大速度を鑑みて、黒字化の目処が付いたボウリング事業を逡巡する事なく売却した果断なマネジメントには敬意を表したい。