ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)システナ vol.18

(2317:東証1部) システナ 企業HP
逸見 愛親 社長
逸見 愛親 社長

【ブリッジレポート vol.18】2013年3月期上期業績レポート
取材概要「今期の好業績は、スマートフォン関連市場の拡大を追い風に(株)システムプロ時代からの強みであるプロダクトソリューションやサービスソリュー・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年1月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システナ
社長
逸見 愛親
所在地
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年3月 30,630 1,822 1,918 904
2011年3月 39,176 2,579 2,661 2,957
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(12/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
75,000円 275,400株 20,655百万円 6.6% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
3,000.00円 4.0% 6,041.17円 12.4倍 47,254.10円 1.6倍
※株価は12/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
システナの2013年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末のほぼ全ての工程に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識と基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。グループは、同社の他、連結子会社4社、持分法適用会社3社。
 
 
【沿革】
1983年3月にマイクロコンピュータのソフト開発を目的としたヘンミエンジニアリング(株)として設立(84年2月、システムプロに商号変更)。80年代後半にかけて通信分野へ展開し、88年2月に日本初の対戦型オンラインゲーム「麻雀クラブ」を開発。その後、対戦型オンラインゲームで培った通信系ファームウェアの技術とノウハウを活かし移動体通信端末ソフトの受託開発に展開。その後、モバイル端末向け組込みソフトの仕様策定・開発・品質評価全般において他社を圧倒し業容を拡大させた。07年2月には、金融機関向け基幹システムの開発に強みを持つカテナ(株)と資本・業務提携(持分法適用関連会社化)。10年4月にカテナ(株)を吸収合併し、商号をシスプロカテナへ変更。同年7月に商号をシステナに変更した。
 
 
【事業内容】
事業は、ソリューションデザイン事業(12/3期調整前売上構成比40.5%)、ITサービス事業(同16.1%)、ソリューション営業(同42.5%)、クラウド事業(同0.8%)、コンシューマサービス事業(同0.2%)に分かれ、営業利益ベースではソリューションデザイン事業の利益が全体の83.0%を占める。
 
ソリューションデザイン事業
当事業は、プロダクトソリューション、サービスソリューション、金融ソリューションの3事業部から成り、プロダクトソリューションは、モバイル機器ソフトの開発・評価を中心に車載システムや情報家電等の組み込みソフト開発を手掛け、サービスソリューションは、従来からのWeb系(オープン系)システムの開発に加え、モバイルや大型のデータベースを用いた基幹系のシステム開発を強化している。また、金融ソリューションは、金融機関向けにメインフレームのシステム開発を行っている。モバイルから基幹システムまで全ての領域の開発に対応できる会社は少なく、同社の強みとなっている。
 
 
ITサービス事業
システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。主要顧客は電機メーカー、外資系企業、官公庁等。
 
ソリューション営業
ITプロダクト(サーバー、PC、周辺機器、ソフトウェア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ITサービス事業と一体となって営業展開を進め、所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。主要顧客は電機メーカー、外資系企業。
 
クラウド事業
クラウド型サービスの提供及び導入支援を行っている。具体的には、代表的なクラウド型サービスである「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」やOffice製品・サーバー製品をクラウド型で提供する「Microsoft Office 365」を扱っており、同社の独自サービス「cloudstep」とのセットでの提供に力を入れている。「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上するために独自に開発した業務アプリケーションや運用者向けの管理ツール等の総称。
現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドに対応する準備も進んでいる。
 
コンシューマサービス事業
連結子会社(株)GaYaが主体の事業。スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・提供、受託開発・開発支援に係る収益がセグメントされている。
 
 
 
中期3カ年計画
 
現在、15/3期を最終とする「中期3カ年計画」が進行中である。医療、社会インフラ、エアー・クラウド、SNS、アジアマーケット等の高成長市場への新商材・新サービス・新コンテンツの投入により、3年間で売上高成長率35%以上、営業利益2.5倍以上の達成を目指している。
 
(1)計画の概要
同社は2010年4月のカテナ(株)との合併以降、構造改革を進めてきた。結果として財務体質が改善され、攻めの経営に転じる準備が整った。
初年度の13/3期は「種まきの年」と位置付け、①人材採用強化、②新商材・新サービス・新コンテンツの開発、③業務提携・M&A戦略の強化、④新ビジネスモデルへの挑戦、⑤海外進出と開発拠点強化に取り組む。①人材の採用については、これまでのシステムエンジニア中心の採用に加え、営業職の採用を強化しており、②新商材・新サービスの開発については、ソリューションデザイン事業とソリューション営業の連携強化及びITサービス事業とソリューション営業の統合を進め「ALLシステナ」のシナジーを高めていく。続く14/3期は新商材・新サービス・新コンテンツ・新ビジネスモデルの「芽生えの年」とし、最終の15/3期は、これらが収益の柱に育つ「開花の年」との位置付けで、売上高420.1億円(12/3期比1.4倍)、営業利益50.2億円(同2.8倍)、営業利益率12.0%(同2倍)の達成を目指す。
 
 
(2)新商材・新サービス
ソリューションデザイン事業
注力する新商材は、モバイルデバイスマネジメント「cloudstep MDM」、狭域SNS「OpenLink」、M2M(Machine-to-Machine)向けセキュリティ対策プラットフォーム「SmartAttach」、デジタルサイネージ「Totally Vision」。「Totally Vision」は既に地方競馬場での導入実績を有しており、複数の競馬場に順次導入を行っている。また、「cloudstep MDM」は業務で使用するモバイル端末を安全かつ効果的に管理するソリューションで、多くの引き合いを受けている。
 
ITサービス事業
顧客企業へのインシデント管理ツールの導入に取り組んでいく。インシデント管理ツールは、ヘルプデスクに寄せられる問合せをデータベース化し、問題解決の円滑化を図るツールで、単にヘルプデスク業務を請負うだけではなく、情報や顧客の要望を収集・分析する事で新たな商材を生み出し顧客に提案していく。この他、注力する新サービスは、全国展開サービス、遠隔サポートサービス、BCP対策サービス、グローバルサービス。全国展開サービスは顧客の地方拠点のシステムやIT機器の導入を代行するサービスで、遠隔サポートサービスはリモート運用監視やオフサイトヘルプデスクにより非常駐でサポートを行うサービスである。グローバルサービスは顧客が海外に拠点を立ち上げる際のITインフラ環境の構築を支援するサービスである。
 
ソリューション営業
DC(データセンター)ソリューション、VDI(仮想デスクトップ)ソリューションに取り組む。前者は、データセンターを保有する企業と協業し、顧客の自社内にあるシステムをデータセンターに移設・移植するものであり、営業部隊を新設し、積極的に展開している。また、VDIとはクライアントPCの環境をサーバーの仮想環境に集約するもの。VDIソリューションは合併後のシナジー効果が期待できる商材である。
 
クラウド事業
「Google Apps」のソリューションと同社独自ソリューションの「cloudstep」を融合し、グループウエアのマーケットでシェアアップを図る。
 
(3)海外展開
システナグループにアジアの成長を取り込むべく(アジアをオフショアの拠点ではなく、マーケットとして捉えている)、第4四半期(1-3月)にシンガポールに現地法人(執行役員が常駐する)、タイに営業支店を立ち上げる予定。現在、現地調査等の準備を進めている。
 
 
2013年3月期上期決算
 
 
前年同期比4.9%の増収、同25.3%の経常増益
売上高は前年同期比4.9%増の154億46百万円。PCメーカーとの協業やITサービス事業との連携強化等でソリューション営業の売上が大きく伸びた他、基地局を含めたスマートデバイス関連やAndroidの非携帯分野をけん引役に主力のソリューションデザイン事業の売上が増加した。営業利益は同33.1%増の11億04百万円。規模拡大を念頭に先行投資が続くクラウド事業を除き、利益が増加もしくは、損益が改善。特に、選択と集中により付加価値の高い業務へシフトを進めたITサービス事業の利益が前年同期の11百万円から1億72百万円に増加した。四半期純利益が減少したのは特別利益の減少による(前年同期は事業譲渡益3億80百万円など4億67百万円を特別利益に計上した)。
 
 
ソリューションデザイン事業
売上高65億83百万円(前年同期比7.5%増)、セグメント利益7億77百万円(同4.1%増)。スマートデバイスを中心にデジタル製品の開発工程全般に携わるプロダクトソリューション事業部では、基地局や端末の品質検証・プラットフォーム開発・性能改善等の案件を中心に受注が伸びた他、Androidの非携帯分野も家電や車載端末の案件が堅調に推移した。サービスソリューション事業部ではゲームプラットホーム及びゲームコンテンツの開発が伸びた。サーバーサイド、端末サイドを問わず、全範囲の開発に対応できる事が同社の強みだ。また、独自開発製品であるデジタルサイネージ「Totally Vision」の地方競馬場への導入も始まった。金融ソリューション事業部では、統合対応など大型案件の開発が伸びた他、国内ニアショア開発の案件を獲得し開発を開始した。
 
ITサービス事業
売上高21億80百万円(前年同期比17.4%減)、セグメント利益1億72百万円(前年同期は11百万円)。付加価値の高い業務へのシフトを進めた結果、売上が減少したものの、利益率が改善し利益が大幅に増加した。企業の合併再編やWindows 7へのリプレースに伴うヘルプデスクやキッティングサービスの受注が堅調に推移した。
 
ソリューション営業
売上高65億19百万円(前年同期比11.6%増)、セグメント利益1億62百万円(同10.9%増)。PCメーカーとの協業、IT基盤構築を中心としたソリューションメニューの拡充、更にはITサービス事業との連携強化等の取り組みの成果が顕在化した。尚、PCメーカーとの協業では、単なる物売りではなくキッティングサービス等を付加する差別化戦略が奏功しPCの販売台数が前年同期比67%増加した。また、ソリューションメニューの拡充では、DC(データセンター)ソリューションやVDI(仮想デスクトップ)ソリューション等をラインナップに加えた。
 
クラウド事業
売上高1億62百万円(前年同期比19.7%増) 、セグメント利益は4百万円(前年同期は21百万円の利益)。昨年の東日本大震災以降、BCP対策の一環として企業システムのクラウド化が進んでいる上、クラウドサービスそのものの利用メリットを実感した顧客が積極的にクラウド化を推進している事が追い風になっている。この上期は、「cloudstep」シリーズのワークフローやグループスケジューラーを組み合わせる事で機能を拡張した「Google Apps」の利用が中堅・大企業で増加した。ただ、商品ラインナップの拡充、サービスの拡販に向けた営業力の強化、更にはホームページのリニューアルを中心としたプロモーション活動等、事業規模の拡大を図るべく実施した積極投資が利益を圧迫した。
 
コンシューマサービス事業
売上高24百万円(前年同期は20百万円)、営業損失20百万円(前年同期は95百万円の損失)。当事業では、事業主体である連結子会社(株)GaYaがスマートフォン向けゲームコンテンツの第一弾として、4月27日に「アイドルメーカー」をGREEアプリでリリースした。現在、第2弾のリリースに向けてブラッシュアップに取り組んでいる。
 
 
上期末の総資産は前期末比23億30百万円減の195億41百万円。有利子負債の削減が進み実質無借金。自己資本比率は66.6%と同6.0ポイント改善した。
 
 
2013年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比6.5%の増収、同49.5%の経常増益
「子会社の東京都ビジネスサービスにおいて、障害者雇用という原点に立ち返り、拡大路線から堅実経営に方針を修正したことなどにより、ITサービス事業の売上が減少するものの、その他のセグメントはいずれも増収。モバイル関連や金融機関の統合関連等でソリューションデザイン事業の堅調な推移が見込まれる中、未だ規模は小さいものの新規事業も、先行投資の成果でクラウド事業の売上が大きく伸びる他、コンシューマサービス事業も黒字転換に向け近日リリースを予定している第2弾ゲームに期待がかかる。また、売上が減少するITサービス事業も利益面では大きな寄与が見込まれる。配当は1株当たり100円増配の年3,000円を予定。
 
 
(2)事業戦略
ソリューションデザイン事業
プロダクトソリューションでは、モバイル関連でオフショアからニアショアの流れを取り込むべく地方拠点(福岡、札幌、広島)を強化していく他、車載向けの組み込みソフトの開発・評価の育成にも力を入れる。サービスソリューションでは、新しいプラットフォームの開発をキャリアから受託し開発を行っており、この他、独自開発のデジタルサイネージ「Totally Vision」など自社商材を活用した事業領域の拡大にも取り組む。金融ソリューションは、案件の多い統合案件へのニアショア対応を進めていく。
 
 
ITサービス事業
カテナとの合併以後、顧客を選別すると共に、技術力や人間力の向上に取り組んできた結果、合併時1~2%だった利益率が足元12~13%に改善する等、収益力の向上が著しい。今後は、「売上拡大」、「グローバル力強化」、「差別化」、「ALLシステナのサービス提供」、及び「新サービス・非常駐サービスの拡充」の5項目を重点施策として取組み、顧客の戦略的パートナー(ITアウトソーサー)を目指す。
 
 
ソリューション営業
メーカーとの協業強化でリベートの獲得が進んでいる他、収益性の高い仮想化案件も順調に受注が拡大しており、足元、売上・利益共に好調である。営業人員の増強を進め、メーカーとの協業を強化する事で売上拡大を図る考え。また、インフラ構築を核としたサービスを展開し付加価値サービスを拡大させる。
 
 
クラウド事業
現在、パブリック・クラウドによるサービスを提供しているが、データセンターを利用してプライベートな環境のクラウドシステムを提供するプライベート・クラウドの準備を進めており、第4四半期(1-3月)には販売を開始したい考え。また、現在グループウエア、セキュリティ、コミュニケーションツール等、Google Appsではサポートしていない機能について、グループ会社のリトルソフト(株)が開発した製品を販売しているが、今後、ソリューションデザイン事業において開発した商材も販売していく。
 
尚、 クラウド型グループウエアとその周辺ソリューションを強化するべく、12月12日にWebグループウエア「desknet's」を開発・販売する(株)ネオジャパンと業務提携した。(株)ネオジャパンは国内グループウエア市場において最大級の販売実績と3年連続顧客満足度No.1を誇るグループウェアサービスベンダーである。
 
 
コンシューマサービス事業
スマートフォン向けゲームの第1弾として4月に投入した「アイドルメーカー」は、既存のスマートフォン向けゲームと差別化ができておらず、満足の行く結果を残せなかったが、第2弾ゲームは、シミュレーションゲームと育成ゲームを融合した新ジャンルのゲームとして作り込みを進めている。
また、受託開発・開発支援サービスにおいて、独自に開発したSNSやゲームサービス、ダウンロードサービスなどの機能を持つプラットフォームをアミューズメント事業を展開する大手ユーザーに提供した。
 
【トピックス 新商材及び新サービス】
(1)新商材
新商材については、10月に開催された「スマートフォン&モバイルEXPO」において展示した商材(10点程度を展示)が好評で、多数の引き合いを受けている。最も引き合いが多いのは、MDM(モバイルデバイスマネジメント)の「cloudstep MDM」という製品。これは業務で使用するスマートフォンやタブレットを安全かつ効果的に管理できるソリューションであり、業界初となるNFC(後述)セキュリティロック機能を標準搭載している。また、M2M(後述)におけるセキュリティの問題を解決するプラットフォーム「SmartAttach」も引き合いが多い。この製品はベリサイン社の認証局と組み合わせる事で、高セキュリティかつ低コストでデバイスとデータを管理する。この他、低コストで簡単に操作ができるデジタルサイネージシステムで、現在、地方競馬場で導入が進んでいる「Totally Vision」も注目度が高い。競馬場では、オッズ情報やパドック情報、レース情報を配信するシステムとして利用されている。
このシステムの特徴は、アナログの設備のままTCP/IPを使ってデジタルのコンテンツを送信できることと、標準でスマートフォンやタブレットにWi-Fi(無線LAN)でデータを送る事ができることである。尚、NFC(Near Field Communication)とは、10cm程度の至近距離でデータ通信を行う近距離通信の国際標準規格。また、M2M(Machine To Machine)とは、ネットワークにつながった機器同士が相互に情報を交換し、人の手を介さずに自動的に状況をチェックし最適な状態に設定を行うシステム。
 
(2)新サービス
新サービスについては、ITサービス事業において、BCP(Business continuity planning:事業継続計画)対策サービスが実績を上げている。東日本大震災以降、各企業がBCP対策を強化しており、本社だけではなく、地方拠点においてもBCP対策を進める企業が増えている。また、企業が海外に拠点を立ち上げる際にサポートを行うグローバルサービス(TOEICの高得点者による充実したサポート体制が強みとなっている)にも注力している。
ソリューション営業ではVDI(仮想デスクトップ)ソリューションが好調だ。VDIソリューションとは、クライアントPCの環境をサーバーの仮想環境に集約するソリューションで、クライアントPCはネットワーク経由でサーバーに接続して使用するため、更新などのメンテナンスが容易になるとともに情報漏洩リスクが低減できるため需要が多く、技術的に難易度が高いため利益率も高い。この他、DC(データセンター)ソリューションを今期から開始した。来期以降の収益貢献が見込まれる。
 
これらの新商材・新サービスは、売上面での貢献はもちろん、収益性の向上にもつながる事から、中期3カ年計画に達成に寄与するものと期待されている。
 
 
今後の注目点
今期の好業績は、スマートフォン関連市場の拡大を追い風に(株)システムプロ時代からの強みであるプロダクトソリューションやサービスソリューション(いずれもソリューションデザイン事業)が好調である事に加え、カテナ(株)を吸収合併して2年が経過し、ALLシステナとしての体制が整ってきた事が要因だ。特にソリューション営業は提案営業力が強化された事で収益力の向上が顕著である。また、主力のソリューションデザイン事業を中心にその他の事業でも新商材・新サービスの開発・投入が相次いでいる事に加え、人材の育成や財務内容の改善が進んでいる事も確認できた。