ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.11

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.11】2013年8月期上期業績レポート
取材概要「デフレ脱却に向けた安倍政権の3本の矢政策が好感され、円安・株高が進み景況感が改善してきた。景気や個人消費の回復・拡大は同社にとって・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年5月14日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(4/19現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,800円 9,477,401株 36,014百万円 31.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
50.00円 1.3% 351.16円 10.8倍 844.56円 4.5倍
※株価は4/19終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2013年8月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略(後述)を推進している。連結子会社8社と共にグループを形成し、安定成長を続けるカラオケ事業と認知度の向上で事業が急拡大しているフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業の育成にも取り組んでいる。
 
【沿革】
1954年に都内で飲食店として創業し、64年に現在本社のある群馬県前橋市に移転。67年に(有)新盛軒として法人組織に改組した。会社が大きく変わり始めたのは、現在、社長を務める腰髙博氏に実質的な経営権が委ねられてから。博氏のリーダーシップの下、90年にカラオケボックス事業に参入。レーザーディスクを使ったスナックやバー等でのカラオケから通信システムを活用したカラオケボックスへ需要がシフトする流れをつかみ事業を軌道に乗せた。95年8月の腰髙博氏の社長就任以降は、不況等で廃業するカラオケボックスを利用する出店モデル(居抜き出店)を開発し業容を拡大。2000年3月に(株)コシダカに組織及び名称を変更した。
 
06年3月には(株)カーブスジャパンのフランチャイジーとしてフィットネス事業に進出し、07年6月にJASDAQ上場。08年10月には(株)カーブスジャパンを子会社化(実質持株比率90%)し、現在、グループでFC(フランチャイズチェーン)本部の運営とフィットネスクラブの直営店展開を行っている。
 
10年9月には純粋持ち株会社へ移行し、(株)コシダカホールディングスに組織及び名称を変更。併せて、ボウリング事業を手掛ける(株)スポルトを子会社化した。中長期的にグループシナジーを出し難い事と経営資源を集中させる必要もあったため、(株)スポルトは黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)。現在、よりグループシナジーが期待できる温浴事業の育成や海外展開に向けた基盤整備に取り組んでいる。
 
 
【事業セグメントとグループ】
(1)事業セグメント
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種の温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。12/8期の売上構成比は、カラオケ事業54.9%、カーブス事業33.5%、温浴事業2.1%、ボウリング事業8.8%(12年10月に撤退)、その他0.7%。
 
 
国内カラオケ市場はリーマン・ショックを境に4,200億円前後から3,800億円前後に縮小し、その後、横ばいが続いているが、同社のカラオケ事業は“地域密着によるリーズナブルでフレンドリーな接客サービス”を強みに店舗ネットワークを広げ、売上を伸ばしている。
 
 
リーマン・ショック以降、国内フィットネス市場が3,000億円弱で推移する中、カーブス事業は右肩上がりの成長を続けており、フィットネスチェーンとしては国内最大の店舗数を誇る。女性のためのコミュニティ作りが成功のポイントであり、50代以上が会員全体の79.3%を占める。
 
 
 
(2)グループ
グループは、純粋持株会社である(株)コシダカホールディングスと、カラオケ事業、カーブス事業、温浴事業、及び不動産管理や知的財産管理を手掛ける連結子会社8社。カラオケ事業は(株)コシダカが国内で326店舗を、(株)韓国コシダカが韓国ソウル市内で2店舗を、それぞれ運営。カーブス事業は、中間持株会社(株)カーブスホールディングスの下、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC本部の運営と直営店展開を手掛け、連結子会社(株)北海道コシダカ及び(株)シュクランがフランチャイジーとして直営店を多店舗展開している(店舗数は直営+FC合わせて1,248店舗)。また、11年11月に多店舗展開を本格化した温浴事業は(株)コシダカが新規事業として育成中の事業であり、7店舗を展開している(店舗数は、いずれも13年2月末)。
 
 
【強み】
(1)成長事業を生み出す業態開発力&アクティブシニア層向けマーケットでの実績
同社の強みは、成熟した国内市場にあっても高い成長を可能にする業態開発力と、今後の更なる成長が期待できるアクティブシニア層向けマーケットでの実績。主力事業であるカラオケやフィットネスは今となっては耳目を誘う事業ではないが、視点や取り組み方を変えたり、新たな顧客層をターゲットとしたりする事で、独自のカラオケやフィットネスのビジネスモデルを確立している。また、地域密着の事業展開が、アクティブシニア層の開拓はもとより、ファミリー層等の取り込みにつながっており、そのノウハウや経験が大きな財産となっている。
 
(2)施設の再生・企業の再生のノウハウと実績
カラオケ事業の成功の一因でもある「居抜き出店」の実績を積み上げてきたことで、施設の再生や企業の再生といった面でもノウハウと経験の蓄積が進んでいる。育成中の温浴事業や黒字化に目処を付けた後に売却(12年10月)したボウリング事業においては、こうした「再生」ノウハウが地域密着による顧客開拓手法と共に活かされている。
 
 
 
成長戦略
 
「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において「既存業種新業態」戦略を進める事で業容の拡大を図っていく考え。当面の数値目標として「グループ売上高1,000億円」を掲げており、M&Aに機動的に対応する他、東アジアを中心に海外の成長力も取り込んでいく。
 
(1)「既存業種新業態」の開発
「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変えると共に、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法。
 
女性専用30分健康体操教室「カーブス」
“女性専用30分健康体操教室”として順調に拡大しているカーブス事業も「既存業種新業態」の概念に沿ったもの。フィットネス自体は珍しくないが、ターゲットとする客層、施設等で従来のフィットネスとは一線を画しており、「アクティブシニア層」及び「地域密着」をキーワードに、買収後に同社が花開かせた(同事業では、50代以上の女性が会員数の79.3%を占めている)。
 
一人専用のカラオケ「ワンカラ」
現在、「既存業種新業態」としてカラオケ事業で「ひとりカラオケ専門店「ワンカラ」の開発に取り組んでいる。通常、カラオケはグループで利用するが、「ワンカラ」は純粋に「歌う」事を追求した一人専用「新感覚」カラオケボックス(楽器演奏の練習等に使用される事も少なくない)。“いかにコストを抑えるか”が事業のポイントであり、実証実験を続けてきたが、12年12月22日にオープンした秋葉原店はそれまでのワンカラ店舗よりも初期投資を30%削減。3か月後の13年3月には黒字化に成功しており、ワンカラ業態の収益化に目処を付けた。今後、FCも含めた多店舗展開を進めていく考え。
 
(2)数値目標
内需関連ビジネスを手掛ける企業の事業環境は総じて厳しいものの、65兆円と言われる国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さ。しかも、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの向こう10年程度は更なる市場拡大が見込まれている。
 
同社は、「アクティブシニア層」をターゲットとし、施設や企業の再生も含めた豊富なノウハウと実績を活かして国内余暇市場を深耕していく考え。売上高1,000億円を視野に、当面の目標を18/8期に売上高650億円としており、既存事業間のシナジーを追求すると共に「既存業種新業態」の開発に取り組んでいく。セグメント別では、カラオケ事業において、「アクティブシニア層」をより意識して、従来からの客層や販売手法に囚われない新たな業態の開発に取り組み多店舗展開を進める。居抜き出店(後継者難等で廃業するカラオケボックスの利用)と建築出店(内装等から手掛ける通常の出店)を並行して進めていく考えで、都心ではワンカラを積極展開していく。当面の目標は「ワンカラ」のFC展開を含めた500店舗のネットワーク構築と売上高250~300億円。カーブス事業においては、「~筋トレを歯磨きに~」のスローガンの下、日本中に運動習慣を広げていく。ビルインタイプ、ロードサイドタイプ、ショッピングセンタータイプ等、多様な出店スタイルを念頭に既存加盟店の旺盛な多店舗展開意欲に応えていく考えで(近年の出店は約8割が既存加盟店の増店)、1,500店舗体制の構築とビジネスモデルの更なる強化に取り組む事で売上高200~250億円を目指す。一方、全国展開が緒に就いたばかりの温浴事業については、シニア・ファミリー層に特化した業態開発と居抜き出店方式によるNo.1チェーンの構築を目指しており、50店舗体制、売上高100億円を当面の目標としている。
M&Aへの対応と海外展開により収益の押し上げも図る考えで、海外展開については、2店舗を展開している韓国(4月に3号店をオープンする予定)でノウハウの蓄積を図り、その後、経済成長著しい東アジア諸国全域で事業展開を進めていく。
 
 
 
2013年8月期上期決算
 
 
前年同期比3.3%の増収、同0.1%の経常減益
売上高は前年同期比3.3%増の163億70百万円。ボウリング事業の売却が14億74百万円の減収要因となった他、東日本大震災後に高まった安近短志向の一巡でカラオケ事業が伸び悩んだものの、加盟店の出店増とプロテイン等の通販の好調でカーブス事業の売上が伸長。育成中の温浴事業も店舗の増加で売上が2億27百万円から7億78百万円に拡大した。
 
利益面では、カラオケ事業における「ひとりカラオケ専門店ワンカラ」の業態開発や新規出店の増加に加え、立ち上げ中の温浴事業の店舗増等もあり、売上総利益率が低下。事業拡大に伴う販管費の増加が負担となり、営業利益が同2.5%減少した。ただ、金融収支の改善等で、経常利益はほぼ前年同期並みを確保。商業施設(東京都豊島区)の売却益15億35百万円等を特別利益に計上したため、四半期純利益は20億54百万円と同69.3%増加した。
 
 
 
東日本大震災後の安近短志向の反動で売上が伸び悩む中、「ワンカラ」の業態開発費など先行投資が利益を圧迫
売上高92億81百万円(前年同期比0.5%増)、セグメント利益12億56百万円(同17.9%減)。6店舗の新規出店を行う一方、3店舗を閉鎖した結果、上期末の店舗数は326店舗と、前年同期末(317店舗)比9店舗、前期末比3店舗、それぞれ増加した。
 
売上の面では、「まねきねこ」の新店が2億23百万円、「ワンカラ」の新店が1億04百万円、それぞれ増収要因となったものの、東日本大震災後に高まった安近短志向の一巡で既存店売上高が同2%減少(2億79百万円の減収)した事が響いた。
利益面では、仕入高、配信料、労務費等でコスト削減が進んだものの、「ワンカラ」の業態開発(2億42百万円の原価増)等で原価率が75.0%と0.6ポイント上昇(売上原価は同1.4%増の69億66百万円)。「まねきねこ」の新規出店に伴う地代家賃(24百万円増)や開店諸費用(27百万円増)の増加に加え、水道光熱費や広告宣伝費等も増加し販管費が10億58百万円と同27.0%増加し利益を圧迫した。
 
 
店舗数(前年同期比13.5%増)、会員数(同22.4%増)が順調に増加。通販売上も伸長
売上高60億15百万円(前年同期比25.1%増)、セグメント利益11億76百万円(同44.7%増)。58店舗の新規出店を行い、上期末の店舗数は1,248店舗(内グループ直営店44店舗)と、前年同期末(1,100店舗)比148店舗、前期末比51店舗、それぞれ増加。会員数は519千人と、前年同期(424千人)比95千人、前期末比15千人、それぞれ増加した。
 
売上の面では、既存加盟店の増店(多店舗展開)を中心にした店舗増・会員増に加え、プロテインの定期購入等の通販も好調を持続。ロイヤリティ収入など加盟店からの継続的な収入が4億96百万円、通販売上が6億15百万円、それぞれ増加した(この他、直営店売上が1億12百万円増加する一方、スポット売上等が減少した)。
利益面では、通販の増加で原価率が60.2%と前年同期比1.4ポイント上昇した(売上原価:同28.2%増の36億23百万円)他、事業の拡大で販管費も小幅増加したものの増収効果で吸収。セグメント利益率は19.6%と同2.7ポイント上昇した。
 
 
「イオン志摩湯処まねきの湯」(福岡県)をオープン。課題だったコスト削減に目処
売上高7億78百万円(前年同期比242.7%増)、セグメント損失2億円(前年同期は42百万円の損失)。11月に「イオン志摩湯処まねきの湯」(福岡県)をオープンし、上期末の店舗数は7店舗となった。前期から今期上期にかけてオープンした店舗の寄与で売上が増加したものの、光熱水道費(1億71百万円増)、労務費(1億82百万円増)、地代家賃(95百万円増)、仕入高(79百万円増)等を中心にした売上原価の増加を吸収できなかった。ただ、コージェネレーション等、省エネ設備の導入による水道光熱費の削減に目処が付き、黒字化が視野に入ってきた。
 
(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)
上期末の総資産は前期末比17億77百万円増の218億21百万円。営業CFの増加と有形固定資産の売却で前年同期は4億95百万円だったフリーCFが49億19百万円に増加した事で現預金が大幅に増加。この他、ソフトウエア仮勘定(5億04百万円増)等で無形固定資産が、長期貸付金(4億33百万円増)等で投資その他も増加した。有利子負債を中心に負債が減少する一方、純資産が大幅に増加したため、自己資本比率は45.3%と同5.4ポイント上昇した。
 
 
 
 
2013年8月期業績予想
 
 
通期予想は前期比6.5%の増収、同21.7%の経常増益
売上高、営業利益、及び経常利益の予想に変更はなく、上期の特別利益の計上を踏まえて当期純利益のみ上方修正した。下期も引き続きカーブス事業の売上・利益が伸びる他、カラオケ事業や温浴事業も新規出店効果で売上が増加。増収に伴う限界利益の増加で営業利益が49億50百万円と同21.4%増加する見込み。
期末配当は1株当たり25円を予定している。固定資産の売却に伴い発生した特別利益を株主に還元する考えで、1株に付き5円の特別配当が含まれている(上期末配当25円にも5円の特別配当が含まれており、年配当は特別配当10円を含む50円となる。
 
(2)セグメント別の下期の取り組み
カラオケ事業
下期は10店舗の新規出店を予定しており、既存店売上高の前提は前年同期比98%。下期のポイントは、①居抜き出店の再強化と建築出店の推進、②既存店のリニューアル積極化、③ワンカラの収益化・FC展開、及び④韓国3号店のオープン、の3点。
カラオケ店舗数No.1の維持を念頭に店舗ネットワークの拡大を図る考えで、建築出店に加え、後継者難や経営悪化で中小チェーン等の店舗を中心に居抜き案件が増えている事を踏まえて過去2年間控えていた居抜き出店を改めて強化する。また、年間30~40店舗(3月末で13店舗実施)のペースでリニューアルを実施し既存店の底上げも図る。一方、新業態ワンカラについては、初期投資を30%削減した秋葉原店が3ヵ月で黒字転換(12月にオープンし3月に黒字化)した事で収益化の目処が付いた。今後、FCも含めた多店舗展開を本格化する。また、海外展開については、韓国で出店コストを抑えた3号店のオープンが4月の第4週に予定されている。韓国では、カラオケ店舗内での飲食が禁止されている事もあり、今後は他のアジア諸国に軸足を移して事業を進めていく。
 
カラオケボックス用新システム「すきっと」のロケーションテストを開始
独自に開発を進めてきたカラオケボックス用新システム「すきっと」のロケーションテストを4月下旬から開始する。カラオケボックス用システムは、(株)第一興商とブラザー工業(株)傘下の(株)エクシングの2社が独占しているため、どのオペレータも同じシステムを使用しており差別化が難しい。このため、同社では、これまでにないコンテンツ・サービスの提供による他チェーン店との差別化を目指してカラオケ用新システム「すきっと」の開発を進めてきた。4月から「カラオケ本舗まねきねこ」及び「ひとりカラオケ専門店ワンカラ」の3店舗でロケーションテストを実施する。
名称の「すきっと」は「Smart Karaoke Internet Terminal」の頭文字をとったもの。Webサイト「すきっとねっと」と連携したサービスを提供し、「すきっとねっと」会員は個人コンテンツを「すきっとねっと」にアップロードしておけば、カラオケ店舗で「すきっと」にダウンロードして視聴する事ができる(動画コンテンツであれば、カラオケの背景映像に指定する事も可能)。また、「すきっとねっと」にコンテンツを投稿すると、第三者が「すきっと」にダウンロードして視聴する事もできる。ユーザー自身のオリジナルコンテンツを取り込む事ができる参加型カラオケのアプリケーションを順次リリースしていく予定。
 
カーブス事業
下期は72店舗のオープンを予定しており(通期130店舗のオープン)、①積極出店の継続、②既存加盟店の多店舗展開、及び③店舗業績の向上に取り組む。具体的には、フィットネス業界No.1の純増店舗数維持を念頭に、出店意欲が旺盛な既存加盟店の多店舗展開を支援していく。また、並行して既存店強化にも取り組んでいく考えで、顧客満足度向上に向けたサービス強化策、夏のテレビCMなど広告宣伝費の積極投下、更には来期に向けた新商品開発等の施策を進めていく。
 
温浴事業
課題だった水道光熱費の削減に向け、ガスを燃料に発電と給湯を同時に行うコージェネレーション、必要な時に必要最小限のエネルギーで運転するインバーター制御、及び深夜電力を利用して湯を温めて昼利用する電気温水器(密閉式のため熱効率に優れる)の3点セットからなる省エネ設備を導入する。成果をあげている集客についても、更なる新規のファン獲得のため各店舗で独自のイベント開催を積極化する(「東京健康ランドまねきの湯」では週替イベント風呂や月替人工温泉等を実施しており、「群馬県箕郷温泉まねきの湯」では健康歌体操教室や日替イベントを実施している。いずれものイベントも好評で集客につながっている)。
 
 
 
今後の注目点
デフレ脱却に向けた安倍政権の3本の矢政策が好感され、円安・株高が進み景況感が改善してきた。景気や個人消費の回復・拡大は同社にとってプラスなのだが、一時的に安近短志向と真逆の傾向が強まる可能性がある事も頭に入れておきたい。
もっとも、その辺りは同社も承知の上で、カラオケ事業においては、ローコストオペレーションに磨きをかけると共に出店を加速し収益機会を拡大させていく考え。幸い、強みを有する地方都市等では後継者難等で居抜き案件の引き合いが増えていると言う。加えて、首都圏攻略の切り札となる一人カラオケ専門店「ワンカラ」のビジネスモデルも固まってきた。また、引き合い案件は豊富にあるが、エネルギーコストの重さが課題だった温浴事業についても、コージェネレーション、インバーター制御、及び電気温水器を組み合わせた省エネ設備の導入で負担軽減が進む見込み。一方、中高年女性のコミュニティづくりを成功要因とするカーブス事業は、既存加盟店の増店意欲が旺盛で当面の不安は少ない。新たな商材の開発による通販事業の拡大も期待されるところ。好材料が多く、リスク管理にも抜かりがない事から、一時的な現象に一喜一憂する必要はない。