ブリッジレポート
(9445) 株式会社フォーバルテレコム

東証2部

ブリッジレポート:(9445)フォーバルテレコム vol.33

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(9445:東証マザーズ) フォーバルテレコム 企業HP
谷井 剛 社長
谷井 剛 社長

【ブリッジレポート vol.33】2013年3月期業績レポート
取材概要「従前のサービスにかかる課金収入の減少からストック収益の減少が未だ継続しており同社の成長の足かせとなっている。しかし、13/3期までに・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年7月30日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社フォーバルテレコム
社長
谷井 剛
所在地
東京都千代田区神田錦町三丁目26番地 一ツ橋SIビル2F
決算期
3月
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 11,990 421 422 253
2012年3月 13,470 323 302 177
2011年3月 13,560 391 391 155
2010年3月 13,956 347 327 194
2009年3月 15,042 391 388 133
2008年3月 13,466 337 344 192
2007年3月 12,461 845 840 975
2006年3月 11,024 859 868 841
2005年3月 7,740 470 452 726
2004年3月 6,114 214 205 205
2003年3月 7,746 93 40 69
2002年3月 11,879 -1,732 -1,779 -4,939
2001年3月 18,224 284 134 45
2000年3月 20,503 53 -50 88
株式情報(6/28現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
30,500円 166,932株 5,091百万円 13.8% 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
1,500.00円 4.9% 1,557.52円 19.6倍 11,014.28円 2.8倍
*株価は6/28終値。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
中小・中堅法人向けにOA・ネットワーク機器の販売やサービスの取次ぎを展開するフォーバル(8275)の連結子会社。フォーバルの連結決算において、フォーバルテレコムビジネスグループとしてセグメントされている(13/3期はフォーバルの連結売上高の31.4%を占めた)。グループは同社の他、連結子会社4社、持分法適用関連会社1社、非連結子会社1社。
 
【事業内容と企業グループ】
同社及び連結子会社(株)FISソリューションズによる法人向けVoIPサービス(高速ブロードバンド回線を利用した電話やインターネット接続サービス)や法人向けFMC(Fixed Mobile Convergence)サービス「2way Smart」の提供と関連機器販売の「IP&Mobileソリューション事業」、連結子会社(株)トライ・エックスを中心に普通印刷・特注文具の製造・販売を手掛ける「ドキュメント・ソリューション事業」、及び(株)保険ステーションによる保険やプライバシーマーク等に関する各種コンサルティング等の「コンサルティング事業」に分かれる。また、持分法適用関連会社(出資比率50%)で、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブが「2way Smart」の企画開発及び関連するハードウエア開発を手掛けている。
 
 
【沿革】
中堅・中小企業をターゲットとして、「新しい あたりまえ(業務革新につながる新商品や新サービス)」を提供するフォーバルグループ。その回線リセーラー(電気通信事業者から回線を仕入れてエンドユーザーに再販する)「フォーバル・インターナショナル・テレコミュニケーションズ(株)」として95年4月に設立され、「fit(フィット)コール」のブランドで国際電話サービスを開始。96年に市外電話サービス、97年に市内電話サービスと取扱いを広げた。98年8月に現商号へ変更し、99年10月に「fit接続サービス」、2000年2月に「fitホスティングサービス」、同年9月にはインターネットサービスと音声サービスを組み合せた「iパックサービス」を開始する等、インターネット関連ビジネスを拡大。同年11月に東証マザーズに株式を上場した。02年2月にソフトバンクBB(株)と合弁会社を設立し、中小法人向けVoIP(インターネット上で音声データを送受信する技術)及びADSLサービスを開始。03年10月にはブロードバンドの軸足を光ファイバーに移し、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」サービスを開始。光ファイバーを利用したブロードバンドの普及を捉え利益を急拡大させた。
 
 
今後の成長戦略
 
 
08/3期以降は、光ファイバー対応IP電話「FTフォン」の販売が一巡する中、リーマンショック、その後の景気悪化、更には東日本大震災と、同社のターゲットである中堅・中小企業を取り巻く環境が厳しさを増した。足元、回線利用にかかる継続収入が下支えとなり一定の利益水準を維持しているものの、閉塞感は否めない状況にある。

この状況を打破し、成長軌道への回帰を図るべく開発したサービスがホワイトビジネスフォンパック(WBP)である。WBPは、固定回線サービス、携帯電話サービス、IP電話サービス、及びブロードバンド接続サービスを一つのパッケージとして商品化し、このサービスの利用に必要な携帯電話(IP電話機)及びゲートウェイ装置も合わせて提供する。固定回線サービスと携帯電話サービスを融合し(FMC)、オフィスの置型電話を整理する事で利便性を損なわずに通信費の削減を実現するサービスであり、必要な機器も同社グループが提供する。

WBPを構成する実際のサービス及び商品が、スマートフォンを利用したFMC(Fixed Mobile Convergence:固定電話と携帯電話の融合)サービス「2way Smart(ツーウェイスマート)」(11/3期販売開始)及び独自開発の携帯電話対応アプリ、光ファイバーによる超高速ブロードバンドサービスを介してクラスA(固定電話同等品質)という最高水準による高品質音声(電話)を実現した法人向けIP電話サービス「スマートひかり」(12/3期発売開始)、そして独自開発のゲートウェイ装置「SWIFT BOX」(13/3期発売開始)である。
 
(1)スマートフォンを利用したFMCサービス「2waySmart(ツーウェイスマート)」
「2waySmart」では、1台のスマートフォンが、社外では携帯電話として、社内では内線電話として利用できる。このため、社内のビジネスフォン(固定の電話機)が不要になり、また、回線を引き回す必要も無いため、オフィスをスマートにする事ができる。また、携帯電話なのに、固定電話発信ができるため、通話料の削減も可能となる。その他、1台のスマートフォンで、会社の代表電話と内線と携帯電話を使い分けて発信と受信することが可能。加えて、固定電話からスマートフォンへ、スマートフォンからスマートフォンへの電話転送も簡易にできる。
また、iPad向けの「2waySmart」を投入。これにより、iPadが社内の電話にも使用できる。電話しながらWEBを閲覧することも、簡易CTIシステムとして使用することも可能となる。
 
 
(2)法人向けIP電話サービス「スマートひかり」
12/3期に販売を開始した「スマートひかり」は光ファイバーによる超高速ブロードバンドサービスを介してクラスA(固定電話同等品質)という最高水準による高品質音声(電話)を実現した法人向けIP電話サービス。全国一律のわかり易い料金プランとスマート(リーズナブル)な通話料金を特長とする。

(社)電気通信事業者協会の「テレコムデータブック2010(TCA編)」によると、固定電話からの発信(国内向け通話)の79%は2分以内。このデータを基に「スマートひかり」の通話料金(税別、以下同じ)は全国一律2分5.5円に設定されている(大手キャリアでは市内3分8.5円、県内市外3分20~40円等)。また、携帯電話向けは全キャリア一律で60秒16円(同20~40円)、国際電話は米本土で60秒2.5円(同60秒60円等)。また、従来であれば個別契約が必要だった、音声通話(基本3通話で追加可能)とプロバイダー一体型の光インターネット接続料(最大で下り100Mbps)が一本化(ワンビリング)されているため事務の負担も軽い。更には、万が一、光回線が障害を起こした場合でも、自動迂回着信機能を備えているため、事前に指定した番号に着信する。
その他、スマートひかり加入者同士の通話は申込や登録を行わなくとも無料となる。或いは、今使用している電話番号(03~06~から始まる固定電話番号)を乗せ替えてそのまま使えるためNTTの基本料金が不要になるなどのメリットもある。
 
(3)ゲートウェイ装置「SWIFT BOX」
12年4月23日に「SWIFT BOX(スイフトボックス)」の販売を開始した。「SWIFT BOX」はIP電話システム(IP-PBX、IP電話主装置)とオールインワン型ネットワークセキュリティシステム(UTM、総合型脅威管理システム)を融合したハイブリッドな通信&セキュリティ・ソリューション。
 
 
投資を抑えてセキュアかつ効率的なIP統合オフィス環境を実現
「SWIFT BOX」は、IPビジネスフォンとネットワークセキュリティという異なる分野の機能を世界で初めて一体化(同社調べ)する事で、IPネットワーク上で制御される端末のほとんどを1台でコントロールできるようにした。価格は従来の総合型脅威管理システムと同程度の価格に設定されているため、従来の総合型脅威管理システムへの投資と同額で、セキュアかつ効率的なIP統合オフィス環境を実現できる。
「SWIFT BOX」の導入により、統合脅威管理(UTM)がオフィスのネットワークセキュリティを守り、IP電話システム(IP-PBX)がオフィスの通信環境の効率化と低コスト化を実現する。
 
 
 
(4)販売パートナーの注力分野で収益機会を創出する
「2way Smart」、「スマートひかり」、及び「SWIFT BOX」は、いずれも高い利便性を有する事に加え、コスト面での優位性も顕著なだけに今後の収益貢献が期待される。それぞれの事業分野で強みを持つ販売パートナーとタイアップを行う。スマートデバイスとブロードバンドによる「新しいあたりまえ」をコンセプトに、パートナー群の注力分野で収益機会を創出することを通じて事業の拡大を目指す。今後ドキュメントとスマートデバイスなどの新規販売分野の早期の立ち上げが期待される。
 
 
 
2013年3月期決算
 
 
前期比11.0%の減収、同39.8%の経常増益
売上高は前期比11.0%減の119.9億円。コンサルティング事業が伸びたものの、子会社の直販部門を適正規模に再編したIP&Mobileソリューション事業や前期末に(株)新英の事業を売却したドキュメント・ソリューション事業の売上高が減少した。
営業利益は同30.2%増の4.2億円。上記の事業譲渡と業務のアウトソーシング等が寄与し、販売管理費が72百万円減少。持分法による投資利益(9.6百万円)等の計上を中心に営業外損益も改善した。前期に計上した投資有価証券売却損(28.7百万円)やのれん減損損失(57.2百万円)が今期は減少したことから法人税等の増加を吸収し当期純利益は253.9百万円と同43.0%増加した。持分法による投資利益は、(株)光通信(9435)グループの(株)アイ・イーグループとの合弁会社(株)ホワイトビジネスイニシアティブにおいてハードウエアの販売が好調なことが寄与している。(株)新英の事業譲渡による影響額は、売上高-743百万円、売上総利益-139百万円、営業利益-3百万円。
営業利益以下の利益は期初予想を上回ったことから、配当も期末800円(年間1,500円)と期初計画通りとなった。
 
 
 
連結の売上総利益は24百万円増加し、売上総利益率も2.4%改善。個別ベースの売上高総利益は、従前のサービスにかかる課金収入の減少からストック収益が減少したものの、IP統合に向け高採算のオリジナル製品の販売の増加などにより一時収益が増加したことから、全体として44百万円増加した。また、子会社の売上総利益は事業譲渡の影響などで、△19百万円減少したものの、利益率の改善効果が大きく、子会社の売上総利益率は3.7%改善した。
((株)新英の事業譲渡による影響額は、売上高-743百万円、売上総利益-139百万円)
 
 
(株)新英の事業譲渡による影響額は、-136百万円。今後、販売や開発への投資を行うことから、販管費は若干増加する見込み。
 
 
IP&Mobileソリューション事業   売上高90.7億円(前期比10.2%減)、セグメント利益192百万円(同20.7%増)
子会社の直販部門を適正規模に再編した効果で、売上高は減少したものの、セグメント利益は大幅に増加した。
 
ドキュメント・ソリューション事業  売上高16.9億円(前期比26.7%減)、セグメント利益148百万円(同47.9%増)
減収は(株)新英の事業譲渡による影響が大きい。(株)新英の事業譲渡による影響額は、売上高-743百万円、営業利益-3百万円。季節要因による販売増加も利益に寄与した。
 
コンサルティング事業   売上高12.0億円(前期比14.1%増)、セグメント利益119百万円(同9.7%増)
プライバシーマーク・ISO認証取得コンサル、請求システム(ワンビリングサービス)のOEM供給、及び企業向け保険販売などが中心。法人向け損害保険代理店の拠点を積極的に増やしていることから、売上は順調に拡大しているが先行投資負担から利益率は低下。
 
 
13/3期末の総資産は、前期末比8.1億円減の52.4億円。総資産減少の主な要因は、フォーバルグループ全体の財務戦略もあり、余剰資金を有利子負債の削減に充てた事や事業譲渡が影響。自己資本比率は13/3期末の自己資本比率は35%と12/3期末の30%から上昇し財務の健全性が高まった。有利子負債の圧縮は一服し、14/3期以降投資見合いにより微増となる見込み。
CFの面では、3.0億円のフリーCFを確保したものの、有利子負債の削減や配当の支払いによるキャッシュ・アウトがこれを上回った。
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
前期比0.1%の増収、同0.6%の経常増益
売上高は前期比0.1%増の120億円の計画。売上高は、収益性の高い「スマートひかり」及び「SWIFT BOX」等のサービスや積極的に拠点数を増やしている保険ステーションの売上拡大が予想されるものの、従来型の課金収益の減少傾向が続く見込み。
営業利益は、同2.1%増の430百万円の計画。収益性の高いサービスの拡大が寄与するものの、販売及び、開発の強化のために先行投資を行うため微増を予定。過去3ヶ年有利子負債の圧縮と販売管理費の削減を積極的に行ってきたものの、今後は成長見合いで投資を拡大する方針であり、有利子負債と販売管理費も微増に転じる可能性が高い。 配当は前期と同じ1株当たり年間1,500円を予定。
 
(2)今後拡大が期待されるアプリケーションの一例
Wi-FiやBluetoothを利用してi-PadやiPhoneのファイルを他のi-PadやiPhoneへ転送できる「ぱっと転送」、複数台の、i-PadやiPhone上で会議、プレゼンテーションを行うためのアプリケーションである「ぱっと会議」、法人向けクラウドストレージサービス「Smartストレージ」、更には1台のスマートフォンを社外では携帯電話、社内では内線電話として利用するための「2way Smart」等を既にラインナップしており、今後も順次拡充していく考え。
「ぱっと転送」は、全世界で20万ダウンロードを突破し(2013年5月12日現在)、App Storeにおける総合ランキングや仕事効率化ランキングにおいて1位を獲得する国が複数ある。
 
 
 
今後の注目点
従前のサービスにかかる課金収入の減少からストック収益の減少が未だ継続しており同社の成長の足かせとなっている。しかし、13/3期までに「2way Smart」、「スマートひかり」及び「SWIFT BOX」といった中期的な成長に向けたサービスや商品のラインナップの拡充と整備が進み、競争力は高まっている。「SWIFT BOX」などのハードの販売増加により13/3期の単体売上総利益が増加していることは注目に値する。今後、マイナス要因が減少する中、「2way Smart」や「SWIFT BOX」の普及が「スマートひかり」の通信料の増加につながり、単体の売上総利益において課金によるストック収入がどのタイミングで増加に転じるのか?注目される。
また、同社はパートナーとの連携により、事業の拡大を目指している。既存の収益基盤のみならず、新規にパートナー展開を強化するドキュメントとスマートフォンの分野において、メーカー及び代理店とのタイアップが図られ早期に収益化に結びつくのかにも注目していきたい。