ブリッジレポート
(4847) 株式会社インテリジェント ウェイブ

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ブリッジレポート:(4847)インテリジェント ウェイブ vol.17

(4847:JASDAQ) インテリジェント ウェイブ 企業HP
山本 祥之 社長
山本 祥之 社長

【ブリッジレポート vol.17】2013年6月期業績レポート
取材概要「13/6期は大型開発プロジェクトへの対応に追われたが、貴重な開発体験だった事に加え、期末までに止血が完了しV字回復への体制も整った・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年8月27日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社インテリジェント ウェイブ
代表取締役社長
山本 祥之
所在地
東京都中央区新川1-21-2 茅場町タワー
決算期
6月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 5,870 -677 -587 -349
2012年6月 5,241 131 154 270
2011年6月 4,762 321 341 129
2010年6月 4,956 358 387 211
2009年6月 5,527 228 235 187
2008年6月 6,695 417 403 -5
2007年6月 6,367 389 407 -295
2006年6月 7,137 1,482 1,452 947
2005年6月 5,174 678 688 264
2004年6月 5,257 371 365 156
2003年6月 5,891 1,177 1,161 539
2002年6月 5,505 1,854 1,846 1,003
株式情報(8/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
25,100円 263,400株 6,611百万円 - 1株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
500.00円 2.0% 949.13円 26.4倍 16,883.87円 1.5倍
※株価は8/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
インテリジェント ウェイブの2013年6月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
クレジットカードの決済システムに強みを持つソフトウエア開発会社。リアルタイム処理が可能な高度なネットワーク技術、システムを止めないためのノンストップ技術、更には高度なセキュリティ技術を技術基盤としており、証券関連の情報集配信システムでも豊富な実績を有する他、カード不正利用検知システムや内部情報漏洩対策システム等も手がける。大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有する筆頭株主。グループは、同社の他、韓国で開発・販売を手掛ける連結子会社INTELLIGENT WAVE KOREA INC.及び持分法適用関連会社(株)ODNソリューションの2社。
 
【事業内容】
事業は、カードビジネスのフロント業務、システムソリューション業務、セキュリティシステム業務、及び新規事業の収益が計上されているその他に分かれ、13/6期の売上構成比は、それぞれ54.5%、34.8%、8.6%、2.0%。この他、報告セグメントではないが、大日本印刷(株)との連携の下、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューション事業にも力を入れている。
 
カードビジネスのフロント業務
クレジットカード会社、銀行、大手小売業等向けに、「NET+1」をベースにしたカード決済にかかるフロント業務のシステム構築を行っている。フロント業務のシステムとは、クレジットカード会社が加盟店や信用情報センターとの接続に必要なシステム。銀行(CD/ATM、海外ATM網等の対外系接続システムとの接続)や消費者金融等でも使われている。「NET+1」はハードと自社開発のパッケージソフトからなり、大手クレジットカード会社向けではシェア70%の実績を有する。また、「加盟店や決済代行会社等向けに初期投資の抑制とランニングコストの低減が可能なLinux 対応の「Linux NET+1」の提供も行っている。
 
システムソリューション業務
クレジットカード会社等に対するソフトウエア開発及びシステム保守、クレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」に係るソフトウエア開発及びシステム保守、オンライン証券会社・機関投資家(バイサイド)向け高速情報基盤システム(証券取引所等から提供される市況データや気配値等を素早く社内の各端末に配信するシステム)の構築、及び大日本印刷グループ企業向け等のソフトウエア開発等を行っている。
 
セキュリティシステム業務
「NET+1」や「ACE Plus」等で培ったネットワーク技術やでセキュリティ技術をベースとしており、情報セキュリティ対策システム「CWAT」を中心に事業展開している。
 
その他(新規事業)
イスラエルCHECKMARX社製ソースコード解析ツール「CxSuite(シーエックススイート)」によるソリューション等、自社製品と他社製品(パッケージ)を組み合わせたクロスソリューションを手掛けている他、企業ウェブサイトの付加価値を高める自社開発のナビゲーションツール「Face(フェイス)コンシェル」の育成に取り組んでおり、大日本印刷(株)との連携の下で営業活動を行っている。
 
 
※ ソースコード解析ツール「CxSuite」(イスラエルCHECKMARX社製品)
Webアプリやサイトの脆弱性を検出・解析・解決するためのパッケージ製品。個人情報の流出、システムダウン、改ざん等につながる脆弱性を静的に検出・解析・解決できる(ソースコードを解析する事で稼働テストに先駆けて、脆弱性を発見し、原因を特定すると共に修正作業を行う事ができる)。
 
※ Webサイトのナビゲーションシステム「Faceコンシェル」(自社開発製品)
Webサイトのナビゲーションやレコメンデーション等のWebコンシュエルジュサービスをチャットによる対話形式で円滑に行うシステム。同社の技術と韓国Saltlux社製セマンティック・ソリューション(高品質キーワード検索)「IN2」とを融合させたシステムであり、Webサイト上でのコミュニケーション基盤(特にスマートフォンに最適化した)を提供する。また、状況に応じて、リアルチャットに切り替える事もできる(システムに代わってオペレータがチャットで対応する)。
 
【沿革】
1984年12月、米国ノンストップコンピュータ・メーカーの日本法人 日本タンデムコンピューターズの社長等を務めた現会長の安達一彦氏が中心となり、コンピュータ機器の輸出入・販売、コンピュータソフトウェアの開発等を目的に設立された。当時のソフト開発会社はメーカーの下請けが多かったが、同社は自主独立を志向しパッケージソフトの開発を目指し、米国製の24時間稼動ノンストップコンピュータ向けパッケージソフトの開発に取り組んだ(24時間稼動ノンストップコンピュータに独自開発のパッケージソフトを組み込んで販売)。当時の日本において、24時間ノンストップでコンピュータが稼動しているのはクレジットカード業界のみであったため、自ずと同業界との関係が深くなったと言う。
 
転機となったのが89年の「NET+1」の開発。価格競争力や短納期といったパッケージソフトの持つ強みに加え、カスタマイズの容易さ等が評価され、大手クレジットカード会社や消費者金融等のノンバンクはもちろん、銀行等でも利用が広がった。「NET+1」の開発により、クレジットカード会社向けのパッケージソフト開発会社として認知され、クレジットカードビジネスの拡大に乗って業容を拡大、2001年6月に株式を店頭登録した(現在はJASDAQに上場)。
 
10年4月には大日本印刷(株)が同社株式の公開買付けを行い、議決権の過半を取得した(現在、大日本印刷(株)が議決権の50.61%を保有)。以後、大日本印刷グループ内での豊富な開発案件の取り込みに加え、大日本印刷(株)との連携による同グループの優良な顧客資産の掘り起こしに取り組んでおり、その成果も順調にあがっている。
 
 
 
2013年6月期決算
 
 
前期比12.0%の増収ながら、5億87百万円の経常損失(前期は1億54百万円の利益)
売上高は前年同期比12.0%増の58億70百万円。大日本印刷グループ関連の大型案件が一巡した事等でシステムソリューション業務の売上が減少した他、新製品の投入を控えていたセキュリティシステム業務の売上もわずかに減少したものの、前期から手掛けている大型開発プロジェクトの売上計上でカードビジネスのフロント業務の売上が大きく伸びた。
 
一方、営業損益は6億77百万円の損失。増収のけん引役となった大型開発プロジェクトが不採算となった他(第3四半期に収束し9億80百万円の損失を計上)、追加対応が発生した小型開発プロジェクトで1億50百万円の損失を計上したため(うち80百万円は原価引き当て。14/6期第1四半期に収束予定)、売上原価が53億97百万円と同39.6%(15億29百万円)増加した。
ただ、持分法適用関連会社化した(株)ODNソリューション(沖縄県浦添市)にかかる投資利益59百万円の計上、投資有価証券売却益67百万円の計上、更には税効果会計の影響(繰延税金資産187百万円を計上すると共に法人税額等の調整を実施)もあり、当期純損失は3億49百万円にとどまった。
尚、(株)ODNソリューションは、クレジットカード会社のバックオフィス業務に強みを持つシステム開発会社。(株)インテリジェント ウェイブがシステム開発における業務領域を拡大していくに当たってのパートナーとしての位置付けである。また、予想との比較では、上記の小型プロジェクトの影響で営業損失が予想を上回ったものの、(株)ODN ソリューションの寄与や税効果会計の影響等で当期純損失は予想を下回った。
 
 
 
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高は前年同期比39.4%増の32億01百万円。大型案件の売上計上でソフトウエア開発が同41.6%増加した事に加え、ネット銀行系カード会社の更新需要の取り込み等でハードウエア販売も同56.0%増と伸びたが、大型開発プロジェクトが不採算となった事でセグメント損益は2億42百万円の損失となった。
 
尚、大型開発プロジェクトは業務領域拡大に向けた取り組みとして、クレジットカードのオンライン決済に係るシステム開発案件において、フロント業務だけでなく、バックオフィス業務に係るシステムも一括して受注した。この第3四半期に収束したが、外注費を中心に当初見積を上回る経費が発生し製造原価が大幅に増加し不採算化となった。しかし、納品したシステム自体についてはユーザーから高い評価を得る事ができた。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発   1,252百万円 → 1,773百万円
自社開発パッケージ    71百万円 →   57百万円
保守          376百万円 →  409百万円
ハードウエア販売    587百万円 →  916百万円
仕入パッケージ      4百万円 →   43百万円
 
システムソリューション業務
売上高は前年同期比11.0%減の20億44百万円、セグメント利益は同31.4%減の2億58百万円。クレジットカード会社等に対するソフトウエア開発及びシステム保守やクレジットカード不正利用検知システム「ACE Plus」に係るソフトウエア開発及びシステム保守、証券系では、オンライン証券会社向け高速情報基盤システムの構築等を手掛けた他、カードビジネスのフロント業務の受注案件だった大型開発プロジェクの支援も行ったため、ソフトウエア開発、自社開発パッケージ、及び仕入パッケージの売上が増加したが、前期に更新需要が多かった反動でハードウエア販売が落ち込んだ事が響いた。
 
ハードウエア販売が落ち込む中、ソフトウエア開発や自社開発パッケージが堅調に推移したため、本来であれば売上構成の良化で収益性が改善するところだが、大型開発プロジェクの支援に伴い、同プロジェクト関連の売上と共に相応の損失を計上したため利益が減少した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発   1,220百万円 → 1,188百万円
自社開発パッケージ    52百万円 →   78百万円
保守          304百万円 →  297百万円
ハードウエア販売    464百万円 →  170百万円
仕入パッケージ     244百万円 →  292百万円
 
セキュリティシステム業務
売上高は前期比3.1%減の5億06百万円。注力していた既存顧客深耕が成果をあげ、追加オーダーや新規導入で「CWAT」の売上が増加したものの、保守売上の減少をカバーできなかった。一方、利益面では、シンクライアント端末の操作履歴を取得・管理する新製品「VeTracer(ヴィー・トレーサー)」の開発に取り組み、開発に係るコスト(プロパー人件費)を資産計上したため(販売が本格化する次期以降で償却する)、前期比は32百万円だったセグメント利益が1億37百万円に拡大した。当セグメントでは、利益体質が定着してきた事を踏まえて、次なる課題であるトップラインの引き上げに取り組んでおり、現在、新製品の開発に力を入れている。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発     36百万円 →   56百万円
自社開発パッケージ    48百万円 →  105百万円
保守          355百万円 →  313百万円
ハードウエア販売     0百万円 →   0百万円
仕入パッケージ      82百万円 →   30百万円
 
その他(新規事業)
売上高は前期比5.6%減の1億18百万円、セグメント損失1億18百万円(前期も同額の損失)。新規事業として、新たな分野での自社製品開発や他社製品を用いたソリューションを手掛けており、関連した製・商品やサービスにかかる収益が当セグメントで計上されている。13/6期は企業のWebサイトやモバイルサイトの利用者に対するナビゲーションを的確に行い、サイトの付加価値を高めるシステムツール(ナビゲーションツール)「Face コンシェル(フェイスコンシェル)」や各種業務アプリケーションのソースコード上の脆弱性を検知するパッケージ製品「CxSuite(シーエックススイート)」の売上を計上した。
 
主なサブセグメントの増減
ソフトウエア開発     43百万円 →   40百万円
自社開発パッケージ    5百万円 →   0百万円
仕入パッケージ      77百万円 →   66百万円
 
 
期末総資産は前期末比6億07百万円減の57億55百万円。不採算プロジェクトの発生による損益とCFの悪化で現預金及び純資産が減少した。ただ、流動性に優れ、有利子負債に依存しない優れた財務内容は維持されており、自己資本比率は77.3%。
 
 
 
13/6期の受注高は大型開発プロジェクトの受注があった12/6期を0.7%上回る58億03百万円(11/6期比19.5%増)。カードビジネスのフロント業務においては、クレジットカード会社のシステム更新等、これまで先送りにされていた設備投資案件の引合いが増加しており、受注高が同10.7%増加した。
受注残高は前期末比2.8%減の22億88百万円。大型開発プロジェクトの受注残を抱えていた前期末の実績をわずかに下回ったものの、11/6期末比では25.0%増の22億88百万円と高水準。
 
 
2014年6月期業績予想
 
 
前期比2.2%の増収、4億円の経常利益
主要顧客によるシステム開発案件の増加と製品販売の強化で大型開発プロジェクト一巡の影響を吸収して売上高は60億円と前期比2.2%の増加。当期売上計上分も含めて不採算案件への対応が前期で一巡しているため売上原価が減少し、4億円の営業利益を確保できる見込み。
 
尚、売上高を製品売上と商品売上に分けると、商品売上が12億20百万円と同19.7%減少するものの、製品売上が47億80百万円と同9.9%増加して吸収する。また、営業損益が10億77百万円改善するが、その要因は、売上原価(主に外注費)の減少9億69百万円、及び製品売上の増加による売上総利益の増加1億08百万円。
 
 
 
カードビジネスのフロント業務
売上高は前期比0.3%増の32億10百万円。大型開発プロジェクト一巡の影響をクレジットカード会社のシステム開発案件の増加等でカバーして前期並みの売上を確保できる見込み。不採算案件の影響がなくなるため前期は2億42百万円の損失だった損益が8億円の利益に転じる。前期の反省を踏まえて、開発案件の見積から開発体制に至る一連の業務の見直しも進める。
尚、13/6期の大型開発プロジェクトの売上寄与は7億円。14/6期以降は同プロジェクトに係る保守売上2億円を計上する。
 
システムソリューション業務
売上高は前期比3.1%減の19億80百万円。大型開発プロジェクトの支援で上積みされた売上が無くなり減収となるものの、本来の業務は、カード系でプリペイド関連やスマートフォン決算関連で既存顧客のソフトウエア開発が増加し、オンライン証券や市場統合案件等で証券系も堅調な推移が見込まれる。利益圧迫要因がなくなり、セグメント利益は3億60百万円と同39.5%増加する見込み。カードビジネスのフロント業務と同様に、開発案件の見積から開発体制に至る一連の業務の見直しも進める。
 
セキュリティシステム業務
売上高は前期比10.7%増の5億60百万円、セグメント利益は同70.8%減の40百万円。「CWAT(シーワット)」の新バージョンや新製品「VeTracer(ヴィー・トレーサー)」の投入効果で売上が増加するものの、資産計上したコストの償却が始まるため利益が減少する。
 
その他(新規事業)
売上高は前期比111.9%増の2億50百万円、セグメント損失60百万円(前期は1億18百万円の損失)。「Faceコンシェル」のサービスが9月に始まり、売上が増加する。セグメント損失60百万円は上期の計上で、同サービスが軌道に乗る下期は損益が均衡する見込み。
 
(3)14/6期業績への寄与が見込まれる新製品群
14/6期業績への寄与が見込まれる新製品として、仮想環境下での端末操作管理ツール「VeTracer」、情報漏えい対策システム「CWAT Version 5.0」、及びWebサイトのナビゲーションツール「Faceコンシェル」の3製品を挙げる事ができる。各製品の概要は次の通り。
 
仮想環境下での端末操作管理ツール「VeTracer」
「VeTracer」は、米国Citrix Systems社の仮想化ソリューション「XenApp™(バージョン 5.0/6.5)」上で稼働するシンクライアント端末の操作履歴を取得し、管理するシステムツール。仮想化サーバーへのログオン、アプリケーションの起動と操作、ファイルの操作など端末上の全ての動作をログとして記録し管理する。
 
大企業を中心に、情報漏えいを防ぐためパソコンをシンクライアントに置き換える仮想環境化が進んでいるが、これにあわせて端末の操作履歴を管理するニーズも高まっている(情報漏えいの危険性を高めるファイル操作や印刷等の記録を完全に残す事で危険な行為の特定と防止につながり、漏えい事故が起きた時の検証、挙証等でもログの取得は大前提となる)。
 
「VeTracer」は、仮想デスクトップ環境を提供するサーバソフト「CITRIX XenApp」上で操作されるパソコンやシンクライアント等の端末側の操作ログ管理を目的に開発された。このため、大日本印刷グループの日本ユニシス(株)等、「CITRIX XenApp」の代理店経由での拡販を考えている。14年4月にWindows XPのサポートが終了するが、これを機にパソコンを廃してシンクラインに移行する企業が多く、こうした需要を取り込んでいく考え。4月末に出荷を開始した。
 
 
情報漏えい対策システム「CWAT Version 5.0」
6月10日に情報漏えい対策システム「CWAT Version 5.0」の出荷を開始した。「CWAT」は、パソコン等の情報端末(クライアント)によるファイルのコピーや印刷、アプリケーションの起動、プリントスクリーン、メール送信やWeb操作などを常時監視しつつ、企業内で設定されたルールに合わせて不正なクライアント操作を検知し、リアルタイムに警告を発信し、操作を中止させる事で情報漏えいを防止する。また、USBやCD-ROMなど外部デバイス・メディアへの接続や書込みを監視し、データやファイルの不正な持ち出しも未然に防止する。Version 5.0は従来の製品に比べて操作性を向上させ、使い勝手を良くした。
Version 4.0までの導入実績は712社570,000台にのぼり、中期的な目標として導入累計1000社を目指している。
 
 
Webサイトのナビゲーションツール「Faceコンシェル」
Webサイトのナビゲーションやレコメンデーション等のWebコンシュエルジュサービスをチャットによる対話形式で円滑に行うシステム。同社の技術と韓国Saltlux社製セマンティック・ソリューション(高品質キーワード検索)「IN2」とを融合させたシステムであり、Webサイトに最適なナビゲーションを提供する事でサイトの付加価値を高める。尚、「Faceコンシェル」はサイトでの問題解決をしやすくする事に焦点を当てて開発されたシステムだが(コールセンターの負担軽減を実現する)、状況に応じて、リアルチャットに切り替える事もできる(システムに代わってオペレータがチャットで対応する)。また、親会社である大日本印刷(株)の営業と親和性が高い事も「Faceコンシェル」の特徴。販促の支援やコールセンターの負担軽減等で提案しやすいと言う。
 
 
 
取材を終えて
13/6期は大型開発プロジェクトへの対応に追われたが、貴重な開発体験だった事に加え、期末までに止血が完了しV字回復への体制も整った。足元の受注環境も好転しており、カードビジネスのフロント業務では、プリペイドカード関連やスマートフォンを使った廉価なクレジットカードの決済システム関連の引き合い・受注が増えているようだ。プリペイドカードと言うと、イオングループの電子マネーWAON(ワオン)やセブン&アイグループのnanaco(ナナコ)等のハウスプリペイドが良く知られているが、最近では、VisaやMasterCard等が新しい客層の開拓を目的にプリペイドカードに力を入れていると言う。こうしたプリペイドカードをハウスプリペイドに対してブランドプリペイドと呼ぶが、ブランドプリペイドはクレジットカードやブランドデビット等を使うようにVisaやMasterCard等、国際ペイメントブランドのネットワーク上で利用できる事が強みだ。
また、システムソリューション業務では、カード系でチャージバック関連の案件獲得で成果があがっているようだ。チャージバックとは、国際クレジットカードの利用での決済と不正請求等に関するクレームの処理についてのルールだが、国内の処理とは異なるためトラブルが多いと言う。このため、以前から同社はチャージバックをスムーズに実施するためのシステム提案を行ってきたが、ここにきて営業努力が実を結びつつある。また、証券系では、ネット証券の活発なシステム投資や東証・大証の合併関連の取り込みに成功している模様。
景況感の改善や証券市場の活況を受けて、過去数年間の提案営業の成果が顕在化してきたようだ。売上・利益予想の着実な達成と共に、来期以降の更なる飛躍につながる受注動向にも注目してきたい。