ブリッジレポート
(6498) 株式会社キッツ

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ブリッジレポート:(6498)キッツ vol.14

(6498:東証1部) キッツ 企業HP
堀田 康之 社長
堀田 康之 社長

【ブリッジレポート vol.14】2014年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期は厳しい決算となったが、建築設備市場及び機械装置関連市場向けを中心に国内バルブ事業の見通しが明るさを増している。東北地方・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年9月3日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社キッツ
社長
堀田 康之
所在地
千葉市美浜区中瀬1-10-1
決算期
3月末日
業種
機械(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 111,275 6,558 6,521 4,039
2012年3月 108,446 4,638 4,388 2,480
2011年3月 106,059 6,341 5,929 3,063
2010年3月 96,592 6,976 6,248 3,079
2009年3月 127,095 7,188 6,475 3,396
2008年3月 149,274 11,615 10,525 6,290
2007年3月 149,512 11,342 10,652 9,973
2006年3月 107,631 9,673 9,132 8,070
2005年3月 95,705 9,627 8,513 5,804
2004年3月 73,802 4,181 2,962 1,598
株式情報(8/14現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
446円 109,220,713株 48,712百万円 7.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
10.00円 2.2% 39.36円 11.3倍 542.41円 0.8倍
※株価は8/14終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
キッツの2014年3月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
バルブを中心とした流体制御機器・装置の総合メーカー。バルブは、「水道メータ周り」、「ガスメータ周り」、「給湯器」等で目にする身近な存在だが、家庭だけでなく、あらゆる産業設備に使われており、同社は素材からの一貫生産を基本に、青銅、鋳鉄、ダクタイル鋳鉄(強度や延性を改良した鋳鉄)、ステンレス鋼等を素材に数万種をラインナップしている。また、バルブの材料として使用される伸銅品の外販を行っている他、フィットネス事業やホテル事業等も手掛けている。バルブでは国内トップ。伸銅品では国内2位のポジションにある。同社を含めた33社でグループを構成している。
 
【事業セグメントの概要】
事業は、バルブ事業、伸銅品事業、及び総合スポーツクラブの経営(フィットネス事業)やホテル・レストラン経営(ホテル事業)のその他に分かれ、13/3期の売上構成比は、それぞれ75.9%、16.1%、8.0%。
 
バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・ガスなど)を「通す」、「止める」、「流れを絞る」等の機能を持つ機器で、ビル・住宅設備用、給水設備用、上下水道用、消防設備用、機械・産業機器製造施設、化学・医薬・化成品製造施設、半導体製造施設、石油精製・コンビナート施設など様々な分野で使用されている。同社は世界有数のバルブメーカーであり、耐食性に富む青銅製や経済性に優れた黄銅製の汎用バルブ、或いは付加価値の高いボールバルブ等のステンレス製バルブにおいて特に高いシェアを有する。鋳物からの一貫生産も同社の特徴で、日本で最初に「国際品質保証規格ISO9001」の認証を取得。材質や弁種のラインナップを充実させ、建築設備や各種プラントだけでなく環境・エネルギー・半導体分野にも展開しており、また、グローバルコストの実現に向けて海外生産拠点の強化にも取り組んでいる。13/3期の海外売上比率は約34%。
 
伸銅品事業
伸銅品とは、銅に亜鉛を加えた「黄銅」、すず及びりんを加えた「りん青銅」、ニッケル及び亜鉛を加えた「洋白」等の銅合金を、溶解、鋳造、圧延、引抜き、鍛造等の熱間または冷間の塑性加工によって、板、条、管、棒、線等の形状に加工した製品の総称。キッツグループの伸銅品事業は(株)キッツメタルワークスの事業分野であり、黄銅製の材料を用いた「黄銅棒」を製造・販売している(黄銅棒はバルブ部材の他、水栓金具、ガス機器、家電等の部材としても使用されている)。
 
 
 
2014年3月期第1四半期決算
 
 
前年同期比0.6%の減収、同32.0%の経常減益
売上高は前年同期比0.6%減の270億40百万円。国内の需要低迷と海外売上の伸び悩みでバルブ事業の売上が同3.5%減少したものの、数量・価格の両面で前年同期を上回った伸銅品事業の売上が同16.4%増と伸びた。
 
利益面では、販売数量減と銅市況の上昇によるバルブ事業の原価率悪化が響き、売上総利益が同7.0%減少。人件費や減価償却費を中心に販管費も増加したため、営業利益は10億65百万円と同38.6%減少した。支払利息の減少や為替差損益の改善(△47百万円→74百万円)に加え、減損損失も減少したが(1億05百万円→25百万円)、税負担率の上昇で四半期純利益は5億63百万円と同35.0%減少した。
 
 
バルブ事業
売上高は前年同期比3.5%減の197億17百万円。このうち国内売上高は同5.2%減(約7億円減)の125億94百万円。半導体関連市場や大型プロジェクト物件に改善の兆しがみられたものの、主力の建築設備市場向けや設備投資の動向に左右される機械装置関連の需要が低迷した他、オイル&ガス向けの売上も減少した。海外売上高は同0.3%減の71億23百万円。洪水後の復旧需要の反動や日系企業の大型プロジェクト物件の減少等によるタイ市場の大幅な落ち込み(約6億円減)が響き、アセアン・その他が約2億円の減収。回復傾向にあるものの、中国の売上も約1億円減少した(この他、中東が約2億円減)。一方、円安効果が大きかったが、北米が約1億円やヨーロッパが約4億円、それぞれ売上が増加した。
利益面では、円高是正効果があったものの、数量減の影響が大きかった事に加え、銅市況の上昇もあり原価率が悪化。人件費や減価償却費を中心にした経費も増加し、セグメント利益は16億42百万円と同29.5%減少した。
 
伸銅品事業(連結子会社(株)キッツメタルワークスの事業領域)
売上高は前年同期比16.4%増の53億12百万円。第1四半期の国内黄銅棒市場は14,560トン/月と需要の低迷で前年同期比5%減少したものの、同社の伸銅品事業においては材料相場の上昇で製品価格が同 8%上昇し、販売重量も11%増加した。材料相場の上昇が緩やかな上昇だったため価格転嫁が進み収益性も改善し、セグメント利益は1億47百万円と同19.9%増加した。
 
その他
売上高は前年同期比8.9%減の20億10百万円、セグメント利益は同77.3%減の7百万円。このうちフィットネス事業は会員数の減少で売上が同4.5%減少。ホテル事業も昨年12月(翌年前半の団体予約受付期にあたる)に発生した笹子トンネル事故の影響が残り同8.0%の減少。利益面では、売上高の減少でフィットネス事業の利益が同50.7%減少した他、ホテル事業の利益も同3.8%減少した。
 
 
(3)会社別動向
個別業績は、売上高が前年同期比3.7%減の155億94百万円(計画163億50百万円)、営業利益が同39.9%減の5億76百万円(同8億円)、経常利益が同1.7%減の12億10百万円(同15億16百万円)、四半期純利益が同5.2%増の8億09百万円(同9億78百万円)。売上の内訳は、国内が同3.4%減の108億87百万円、海外が同3.8%減の47億7百万円。国内は、プラントのプロセスラインに使用する鋳鋼バルブの売上が増加したものの、建築設備向けが中心の青黄銅バルブが苦戦した他、機械装置向け等のステンレスバルブの売上も減少した。一方、海外は、アジア向け及びヨーロッパ向けが増加したものの、北米及び中東向けの減少をカバーできなかった。利益面では、売上が減少する中、ITや開発関連費用等の増加が負担となったが、受取利息・配当金や為替の影響による営業外収益の増加でほぼ前年同期並みの経常利益を確保した。
 
子会社では台湾北澤やステンレスバルブのキッツ昆山(中国)が売上・利益を伸ばし、キッツ閥門も売上高が増加し損益が改善した。一方、国内子会社では、販売会社である東洋バルブの売上・利益が減少したものの、水市場向け製品に特化し業績が下期偏重の清水合金製作所はほぼ横ばい。その他では、独Perrinがユーロ安の修正で減収となり、損失計上(現地通貨ベース)。キッツアメリカもドル安修正で減収・減益(同)。半導体製造装置向けのキッツSCTは韓国向け低採算案件の売上計上で売上が横ばいながら、大幅な減益となった。
 
 
第1四半期末の総資産は前期末比20億13百万円増の1,019億85百万円。運転資金の増加と、これに対応するべく短期借入金を積み増した事が総資産増加の主な要因。たな卸資産の増加は、建築設備市場及び機械装置関連市場の想定外の苦戦によるものだが、第2四半期以降、減少に転じる見込み。自己資本比率は59.5%。
CFの面では、利益の減少とたな卸資産の増加等で前年同期は6億04百万円だった営業CFが24億25百万円のマイナスに転じた。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比7.8%の増収、同8.9%の経常増益
通期予想に変更はなかったが、上期予想を引き下げる一方、下期予想を引き上げた。主力のバルブ事業が第1四半期を底に回復に向かう見込み。配当は、上期末配当を1株当たり0.5円増配の5円とする考えで、期末配当5円を合わせて年10円を予定している。
 
 
(2)セグメント別見通し
バルブ事業
国内外で第1四半期を底に回復に向かう見込み。国内では、建築設備市場及び機械装置関連市場向けの需要と相関性の高い新築住宅着工や機械受注統計が回復傾向を示しており、水市場向けも例年通り期末にかけて売上が増加する。また、半導体市場向けは大口の受注を抱えており、採算の改善も見込まれる。一方、大型の新規案件が期待しにくい石油関連市場はメンテナンス需要を中心に収益の確保に努め、大型プロジェクト物件はLNG基地プラント建設等の物件対応で収益の確保を図る。
海外は、タイ市場の苦戦が続くものの、インドネシアがラマダン明けの9月以降回復。北米では、2014年1月から実施される鉛レス規制への対応製品の投入で需要の取り込みを図る。南米については、チリに現地社員を配置して同地区の開拓を進めている。一方、金融問題に揺れるヨーロッパは、2013年1月に設立したKITZ EUROPE GmbH(ドイツ)の下で、Perrinブランド(ドイツ)、ISOブランド(スペイン)、キッツブランドの製品の拡販を図る。
 
伸銅品
足元、ガスは調整局面にあるが、自動車が堅調に推移しており、水栓関連も季節要因で下期に重要が増加する。引き続き売上及び出庫値幅の確保に取り組んでいく考え。
 
その他
フィットネス事業は各種入会キャンペーンやスイミング及び体育の短期教室の実施で会員増を図ると共に、各店舗へコンディショニングマシンを設置し健康管理面でのニーズに応える。また、ホテル事業では、秋・冬の団体予約獲得に向け地域営業を強化する他、NETエージェント向けの企画も見直す。また、商品原価の見直しと新商品の投入でサービスエリアでの物販の収益性向上を図る。
 
 
 
今後の注目点
第1四半期は厳しい決算となったが、建築設備市場及び機械装置関連市場向けを中心に国内バルブ事業の見通しが明るさを増している。東北地方で東日本震災後の復興需要が本格化しているが、バルブ需要は工事の最終段階で顕在化してくるため、同社がその恩恵を受けるのはこれから。また、消費税率引き上げ前の駆け込み需要で、関東地区のマンション販売等が好調に推移しており、年度末の引渡しを前にバルブ需要も顕在化してくるものと思われる。数量が回復してくれば利益面でのインパクトも大きい。第2四半期決算で、想定に沿った下期の方向付けができるかどうか注目したい。