ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

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ブリッジレポート:(2317)システナ vol.22

(2317:東証1部) システナ 企業HP
逸見 愛親 社長
逸見 愛親 社長

【ブリッジレポート vol.22】2014年3月期上期業績レポート
取材概要「上期の「Tizen」関連の売上は2億円程度で、通期では5億円の見込み。実際の商用化は3年後で、当面はR&Dが続く見込みだが、顧客が主導し価格・・・」続きは本文をご覧ください。
2013年12月17日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社システナ
社長
逸見 愛親
所在地
東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階
決算期
3月 末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年3月 31,662 2,244 2,292 1,203
2012年3月 30,630 1,822 1,918 904
2011年3月 39,176 2,579 2,661 2,957
2010年3月 3,636 490 536 340
2009年10月 8,161 1,261 1,258 1,180
2008年10月 9,603 1,816 2,153 1,275
2007年10月 7,930 1,595 1,555 849
2006年10月 5,917 961 967 602
2005年10月 4,180 717 691 561
2004年10月 3,093 677 643 391
2003年10月 2,461 516 511 280
2002年10月 1,940 398 380 196
2001年10月 1,524 180 175 93
株式情報(11/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
721円 25,818,600株 18,615百万円 9.3% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 4.2% 41.33円 17.4倍 462.15円 1.6倍
※株価は11/29終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは、前期末実績、BPSは、第2四半期末実績。
 
システナの2014年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末のほぼ全ての工程に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識と基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。グループは、同社の他、連結子会社5社、持分法適用会社3社。
 
※ 上記の他、米国でモバイル及び通信関連の開発・検証やTizen搭載のスマートデバイス及びオートモーティブデバイスの研究開発等を目的に、13年11月に米国カリフォルニア州に全額出資子会社を設立した。
 
【事業内容】
13年5月1日付けでソリューションデザイン事業を、プロダクトソリューション事業、サービスソリューション事業、金融・基盤システム事業の3事業に再編したうえで、新たに海外事業をセグメントに加えた。
14/3期上期の売上構成比は、プロダクトソリューション事業24.1%、サービスソリューション事業6.8%、金融・基盤システム事業10.9%、ITサービス事業14.3%、ソリューション営業42.4%、クラウド事業1.6%、コンシューマサービス事業0.2%、及び海外事業(同0.0%)の8事業に分かれ、営業利益ベースではプロダクトソリューション事業が全体の42.4%を占める。
 
プロダクトソリューション事業
モバイル端末ソフト開発支援・品質評価や自社製端末開発、車載や家電等の組み込みソフト開発を手掛ける。顧客は、国内外の携帯端末メーカーや通信キャリアに加え、情報家電メーカー、エネルギー関連、インフラ関連、車載関連と幅広い。モバイル端末向けでは、最上流工程(企画、仕様策定)から最下流工程(品質評価)に至る全工程への対応が可能で、メーカーや通信キャリアとの取引を通じて開発に携わったモバイル製品は800機種を超える。また、Android、iOS等の現行のプラットフォーム上での開発に加え、Tizen、Firefox OS等の次世代プラットフォーム上での端末開発でも末開発豊富な実績を有する。カーエレクトロニクスやネット家電、M2M(Machine-to-Machine)等の非携帯分野への事業展開にも力を入れている。
 
サービスソリューション事業
各種Webサイト、バックエンドシステム(Webサイトの統合管理システムの構築)、及びアプリ・コンテンツ開発といったWeb関連の開発を手掛けており、顧客は、インターネットを利用した各種サービスの提供企業、ゲーム、証券、教育等のネットビジネスを展開する企業等。また、近年では自社商材の開発・販売にも力を入れており、デジタルサイネージソリューション「Totally Vision」、MDM(Mobile Device Management)製品の「cloud step MDM」、企業内狭域SNS「Compath」、スマートフォン向けフィッシング詐欺防止ソリューション「WebShelter」等の自社商材を有する。
 
金融・基盤システム事業
国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発経験を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システム及び対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。
 
ITサービス事業
システムやネットワークの運用・保守・監視、ヘルプデスク・ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等で幅広い。
 
ソリューション営業
ITプロダクト(サーバ、PC、周辺機器、ソフトウエア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売からサービス提供へシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へのニーズの変化に対応する事で事業拡大、高付加価値化を図っている。主要顧客は電機メーカー、外資系企業。
 
クラウド事業
クラウド型サービスの導入支援及びアプリケーションの提供を手掛けている。アプリケーションとしては、代表的なクラウド型サービスである「Google Apps for Business(以下、Google Apps)」やOffice製品・サーバ製品をクラウド型で提供する「Microsoft Office 365」を扱っており、同社の独自サービス「cloudstep」とのセット販売で付加価値を高めている。「cloudstep」とは、「Google Apps」や「Microsoft Office 365」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上するために同社が開発した業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。 現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。
 
コンシューマサービス事業
連結子会社(株)GaYaが主体の事業。スマートフォン向けソーシャルゲームの企画・開発・提供、受託開発・開発支援に係る収益がセグメントされている。
 
海外事業
13年4月にタイの首都バンコクに設立した現地法人Systena (THAILAND) Co.,Ltd.を設立した(連結子会社)。タイ及び周辺諸国に進出している日系企業や現地企業に対するIT機器の販売やITサポート及びソリューションを提供しており、日本仕様のきめ細かい顧客対応が、現地企業の対応に満足していない日系企業等から高い評価を受けている。
 
 
 
事業戦略  14/3期の積極投資について
 
14/3期上期は営業利益が5億88百万円と前年同期比46.8%減少し、通期でも19億10百万円と同14.9%減少する見込み。「Tizen」関連のR&Dを含めた先行投資が利益を圧迫するためだ。国内携帯電話メーカーやキャリア等の端末開発支援で業容を拡大させてきた同社だが、スマートフォンの普及で国内での端末開発需要が減少しており、新たな成長の芽を育てる必要性に迫られている。
 
この一環として、現在、取り組んでいるのが、R&D「Tizen」Project(Tizen関連投資+HTML5関連投資)、自社商材の販売、車載関連・家電等のデジタル機器の開発、クラウド事業の育成、海外展開、及びSNSゲームコンテンツの育成の6項目。Tizenのサプライヤーとしてのポジションを確立し受託ビジネスからライセンスビジネスへのシフトを進める共に、クラウド、海外、SNSゲームといった成長分野を取り込んでいく考え。尚、HTMLはWeb上の文書を記述するためのコンピュータ言語で、HTML5はその最新バージョン。Webアプリケーションのプラットフォームとしての機能やマルチメディア要素が実装されている。
 
(1)R&D「Tizen」Project(Tizen関連投資+HTML5関連投資)
LinuxベースのOSである 「Tizen」への投資目的は事業構造の転換。言い換えると、顧客が主導する受託開発から脱却し、「Tizen」のサプライヤーとして自らが主導するビジネスモデルに転換すると共に事業領域を拡大する事。14/3期は11億円の投資を計画しているが、その60%が「Tizen」及びその技術バックボーンである「HTML5」への投資である。
 
ターゲットする顧客は、「Tizen Association Partner Program」の参加企業及び自動車メーカーが主導するLinux Foundation Automotive Grade Linuxの参加企業。「Tizen Association Partner Program」とは、Tizen協会(本部:米国ニュージャー州)が立ち上げた「Tizen」 OSの開発と商用化を加速するためのパートナー・プログラムで日本企業ではNTTデータMSE、パナソニック、シャープ、Goo Technologies、アクセス、コナミ、工業大学等が参加している。一方、Linux Foundation Automotive Grade Linuxは「Tizen」プロジェクトと連携して、車載用機器向けのOS開発に取り組んでいる。参加企業は、トヨタ自動車、日産自動車、Jaguar Land Roverの自動車メーカーの他、アイシン・エイ・ダブリュ、デンソー、富士通、HARMAN、Intel、日本電気、Reaktor、NVIDIA、ルネサス、サムスン、Symbio、Texas Instruments Incorporated(TI)等。
 
16/3期までに、「Tizen IVI(車載情報機器向けTizen OS)」を切り口に非携帯分野(特に自動車)への事業領域拡大を図る他、アジアを中心にTizen等のスマートフォンやタブレット端末の販売や国内外向け各種端末のOEM供給、更には、狭域SNS、MDM(Mobile Device Management:モバイル機器管理)、M2M(Machine-to-Machine:機器間の通信制御)、サイネージ等の自社商材の販売について道筋を付けたい考え。
尚、IVI(in-vehicle infotainment:車載インフォテインメント)とは、車載用の情報端末の総称。例えば、インターネットを利用した各種サービスやナビゲーション機能等を提供する。
 
「Tizen」とは?
「Tizen」とは、LinuxベースのOSS(オープンソースソフトウエア)。スマートフォンやタブレット等のモバイルOSとしての話が先行しているが、本来は、IVI、STB(セットトップボックス)といった様々な機器を対象としている。また、Tizenは技術バックボーンとしてHTML5を採用しているため、低スペックな端末での軽快な動作も特徴。SNSゲームの場合、ブランザアプリでもネイティブアプリ並みのレスポンスを実現する。
 
なぜ「Tizen」か?
モバイル端末のOSとしてはAndroidやiOS のシェアが高いが、GoogleやAppleに利益が集中するビジネスモデルへの反発もあり、多くのキャリア、ベンダー、業界がオープンソースによる"第3のOS"を模索している。こうした中、海外も含めた通信キャリア、パソコンに次ぐビジネスの育成に力を入れている半導体最大手の米Intel、自動車業界等が "第3のOS"として注目しているのが「Tizen」であり、特に自動車業界は、車載IVI、或いはIVIとスマートフォンを連携させるプラットフォームの両面から「Tizen」に強い関心を示している。
 
同社はメーカー以外のソフト開発会社としては初めて、大手通信キャリアから「認定アプリベンダー」に認定され、ソフトベンダーとして唯一、「Tizen」プラットフォーム(「Tizen」OS)上でアプリ開発を行っており、かつ、「Tizen」関連の開発で既に豊富な経験を有している。また、14/3期には、R&D「Tizen」Projectをスタートさせ、日本初の「Tizen」タブレット」のリファレンスモデル(「Tizen」OSを搭載した参照モデル)を発表した他、Tizen Association Partner Program及びLinux Foundation Automotive Grade Linuxに新たに加盟し、情報収集を強化している。
 
尚、同社が開発した「Tizen」タブレットは、アジア最大級の最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」(13年10月1日~5日)において、米Intelのブースで公開した他、「スマートフォン&モバイルEXPO」(10月23日~25日)や韓国「Tizen Developer Summit Korea 2013」にも出展。この他、14年2月にスペインで開催される「Mobile World Congress 2014」への出展を予定している。
 
(2)リソース不足解消のための地方拠点拡充投資
車載機器や家電等向けのシステムの開発需要は旺盛だが、同社においてはリソース不足が受注の制約要因になっている。これまで活用していたオフショア開発は技術者の動員力が最大のメリットだが、ここにきて単価の上昇が顕著。一方、ニアショア開発は相対的にコストパフォーマンスが向上しており、地方では動員力も向上している。このため、同社はニアショア拠点である札幌、広島、福岡の開発センターの強化を進めており、オートモーティブ関連市場への進出を視野に名古屋営業所を10月に開設した。
 
(3)クラウド事業投資
自社商材の提供による付加価値の高いストックビジネスを確立するべく、営業力強化、開発力強化に向けた人材投資と自社商材の開発投資を進めている。14/3期は「cloudstep」にシステナ版グループウエア機能として新たに掲示板サービス「cloudstep share(シェア)」の販売を開始し、加えてGoogleAppsとcloudstepのサービスを一覧で表示できる「cloudstep Portal(ポータル)」の開発を進めている。
 
(4)海外投資(タイ子会社、米国子会社)
タイ子会社
東南アジアの成長をシステナグループに取り込むべく、13年4月、タイの首都、バンコクに現地法人を設立した。3年での黒字化を目指しており、現在、現地の有力IT企業とのパートナーシップの構築やアプリベンダーとの新サービスの共同開発を進めている。主な取り組みと進捗状況は次の通り。
 
 
上記の他、情報サイトをベースとしたモバイルアプリサービスを準備中(日系企業・赴任者向けのモバイル情報サイトを開発中)の他、バンコクを流通拠点としたIT機器の物販ビジネスを計画中である。
 
米国子会社
11月1日に米国カリフォルニア州に100%子会社「Systena America Inc.」を設立した。顧客の米国進出に伴う米国でのモバイルや通信関連の開発・検証支援事業や「Tizen」など第3のOSを搭載したスマートデバイスやオートモーティブデバイスの研究開発を進めていく他、最新技術・サービスの動向調査やインキュベーションセンターとしての機能も持たせる。また、SNSゲーム、自社商材コンテンツを利用したスマホアプリの展開も計画している。
 
(5)SNSゲームコンテンツ投資(子会社(株)GaYa)
3月にブラウザ版で提供を開始した釣りゲームのプラットフォームの横展開とカードバトルゲームのエンジンのプラットフォームへのライセンス提供を進めている。
 
 
 
2014年3月期上期決算
 
 
Tizen関連を中心にした積極投資で一時的に収益性が低下
売上高は前年同期比1.0%減の152億98百万円。クラウド等の新規事業の売上が増加したものの、ビジネスモデルの再構築や収益性重視の受注政策を進めた既存事業の売上が減少した。利益面では、事業戦略に沿って実施したTizen関連のR&Dを含めた先行投資が利益を圧迫したが、売上高・利益共に期初予想を上回った。
 
 
プロダクトソリューション事業
ビジネスモデルを再構築するべく、情報家電、エネルギー、インフラ、車載関連等の非携帯分野へ進出し、営業を強化している。上期は国内メーカーのスマートフォン商品ラインナップの減少による受注減をキャリアプラットフォーム開発・品質検証でカバーした。また、自社開発製品で日本初の「Tizen タブレット」を発表した。
 
サービスソリューション事業
インターネットを利用したサービス、販売、証券、教育といったネットビジネス分野での受注が好調だったが、サイネージステムの導入遅延で売上が期初予想に届かなかった。また、9月に発表した自社開発のスマートフォン向けフィッシング詐欺防止ソリューション「Web Shelter」は金融機関からの引き合いが旺盛で下期の収益貢献が期待される。
サービスソリューション事業においてもTizen関連ビジネスを手掛けており、「Tizen IVI用O2Oソリューション」で自動車メーカー、カーナビメーカー、家電メーカー、レンタカー会社等への展開を推進した。
 
金融・基盤システム
組織力の強化に取り組むと共に、受注案件の選択と集中を進めている。この上期は、不採算プロジェクトからの撤退が完了し、ロイヤルクライアントから増員を中心に案件を獲得した他、他部門との連携により、機器調達からアプリケーション基盤構築、開発、運用、保守までの一貫受注にも成功した。
 
ITサービス
売上拡大よりも利益重視を念頭にグループの顧客資産を活用した「1クライアント複数サービスの提供」を展開している。この一環として、上期はソリューション営業の物販と連携して、機器選定から基盤構築、導入支援、運用・保守までの収益性の高いサービス提案に注力した。また、ワールドワイドに展開する金融機関のヘルプデスクの受注にも成功しており、引き続き英語対応やチーム対応の強みを活かした高収益案件の獲得に力を入れていく。
 
ソリューション営業
ITサービス等、他事業との連携によるワンストップサービスと、データセンターや仮想デスクトップ等の新ソリューションの拡大に力を入れている。この上期は、Windows XPのサポート終了に対応したPCリプレースやサーバ仮想化案件が増加した。ただ、利益面では、円高修正で海外メーカー製PCの仕入原価が上昇し利益率が低下した。
 
クラウド
新サービス「cloudstep Share」追加による差別化が奏功し、大型案件を複数獲得した他、既存顧客の契約更新も順調に進み増収増益。中堅・中小企業をターゲットにグループウエアのリプレース需要の取り込にも力を入れており、足元、順調に契約獲得が進んでいる。サービスソリューション事業で開発した独自商材をはじめとする新サービスでラインアップを拡充し、引き続き競争力の強化に取り組んでいく。
 
コンシューマサービス
「釣りゲーム」のプラットフォーム横展開とカードバトルゲームのエンジンのライセンス提供に取り組んでおり、この上期は8月に月次損益が黒字化した。引き続き多数プラットフォームへのライセンス提供に取り組んでいく考え。
 
海外事業
4月にタイに現地法人を設立し、11月に営業を開始した。「Google Apps」や「cloudstep」等のクラウド型サービスの営業を進めており、地場タイ企業との提携やM&A等にも柔軟に対応していく考え。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて11億22百万円減の188億82百万円。収益性重視で選択と集中を進めた結果が財政状態にも反映され、バランスシートのスリム化が進んだ。この結果、CFも改善し、大幅な営業減益となったものの、運転資金の減少で営業CFは前年同期の11億06百万円から12億93百万円に増加。定期預金の預け入れや差入保証金の減少で投資CFのマイナスも縮小し、フリーCFが12億37百万円と前年同期比で倍増した。
 
 
 
2014年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更なく、前期比1.3%の増収、同14.9%の営業減益
売上高は前期比1.3%増の320億76百万円。クラウドやコンシューマサービスの売上が伸びるものの、事業の再構築を進めている金融・基盤システムの売上が減少する他、R&D「Tizen」Projectへの研究開発要員の重点投入による人材リソース不足でプロダクトソリューションの売上が伸び悩む。また、ハード販売からサービス販売への移行を進めるソリューション営業も、通期では売上がわずかに減少する見込み。
 
営業利益は同14.9%減の19億10百万円。人材投資、R&D「Tizen」Project関連の研究開発投資、クラウド事業投資、海外投資(タイ子会社)、SNSゲームコンテンツ投資等、来期以降の成長に向けた投資が重なり利益を圧迫する。
 
 
 
今後の注目点
上期の「Tizen」関連の売上は2億円程度で、通期では5億円の見込み。実際の商用化は3年後で、当面はR&Dが続く見込みだが、顧客が主導し価格競争が激しい受託開発から脱却し、「Tizen」のサプライヤーとして自らが主導するビジネスモデルへの転換を目指す試みは興味深い。一方、米国展開では、米国携帯電話3位のスプリントを買収したソフトバンクへの開発・検証支援で早期の収益計上が期待できそうだ。「Tizen」の開発・商用化に力を入れているIntelのオフィスにも近いため、「Tizen」関連のビジネスにもプラスになると思われる。