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ブリッジレポート:(2462)ジェイコムホールディングス vol.27

(2462:東証1部) ジェイコムホールディングス 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.27】2014年5月期第2四半期業績レポート
取材概要「通期業績予想に変更はなかったが、(株)サンライズ・ヴィラやジャパンコントラクトフード(株)の業績が織り込まれていないため、今後・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年2月4日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコムホールディングス株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市北区角田町8番1号 梅田阪急ビルオフィスタワー19階
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年5月 15,196 798 906 599
2012年5月 17,518 914 1,044 603
2011年5月 15,905 901 955 489
2010年5月 13,522 789 834 475
2009年5月 14,162 913 953 340
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(1/22現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
788円 9,173,935株 7,229百万円 12.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 3.8% 65.40円 12.0倍 537.82円 1.5倍
※株価は1/22終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ジェイコムホールディングスの2014年5月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話業界やアパレル業界を中心にグループで総合人材サービス事業を展開しており、保育や介護等の分野を育成中。「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をジェイコムグループの経営理念に掲げ、より多くの人々に就業機会を提供するべく、M&Aや事業提携を積極的に進めサービス領域を広げている。

グループは、純粋持株会社である同社の他、派遣や業務請負等の総合人材サービスと携帯電話キャリアショップの運営を手掛けるジェイコム(株)、及び事務職を中心とした人材派遣・人材紹介やビジネススクール事業を手掛ける(株)エースタッフ、13年10月4日に、投資事業を行う連結子会社が子会社化した(ジェイコムホールディングス(株)の孫会社)、介護施設運営の(株)サンライズ・ヴィラと、介護施設の食堂等を手掛けるジャパンコントラクトフード(株)の連結子会社5社。持分法適用関連会社サクセスホールディングス(株)とその傘下で認可保育園等の運営を手掛ける(株)サクセスアカデミー。
 
【事業セグメント】
事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定・職業紹介等の総合人材サービス事業と、携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業に分かれ、13/5期は前者が連結売上高の約96%を占めた。また、総合人材サービス事業は、契約形態別に、派遣契約、業務委託契約(同社から見た場合、業務受託)、及び紹介予定・職業紹介契約に分かれ、セグメント内の売上構成比(13/5期、以下同じ)は、それぞれ63.9%、34.5%、1.6%。一方、業界別では、携帯電話業界86.3%、アパレル業界8.4%、情報通信業界2.1%等。また、地域別では、東日本地区48.8%、西日本地区40.1%、東海地区11.1%。
 
 
 
2014年5月期上期決算
 
 
前期に発生した減収要因が残る中、人員増強やM&A等の先行投資が負担となり減収・減益
前期に発生した減収要因とは、抵触日の到来に伴う一部通信キャリアによる派遣社員の直接雇用化と不採算案件の見直しによる受託案件の終了。利益面では、不採算案件の見直しや適正価格での受注促進に加え、紹介予定派遣・職業紹介の寄与もあり売上総利益率が改善したものの、減収の影響が大きかった事に加え、足下の旺盛な人材需要への対応と派遣法改正論議の進展による今後の需要増を見据えて計画通り人員増強を行った事、更には新規事業育成に向けたM&Aの実施もあり、販管費がわずかな減少にとどまった。

尚、減収・減益自体は当初から予想していたが、人気機種の在庫不足による派遣先の販促の遅れや業績予想に織り込んでいなかった関連会社株式の追加取得による持分法投資利益の減少等で、売上・利益共に期初予想を下回った。
 
 
(2)総合人材サービスの動向
連結売上高の95.3%を占めた総合人材サービスの売上高は前年同期比23.8%減の59億54百万円。契約形態別では、不採算案件の見直しに伴い業務委託契約の売上が同46.3%減と落ち込んだ他、派遣契約も前期に発生した抵触日の影響に加え、高スキル人材の確保に苦戦した事や適正価格での受注に努めた影響で売上が同12.9%減少。一方、正社員採用を志向する顧客を中心に紹介予定派遣や職業紹介の売上が増加した。業界別では、主力の携帯電話業界向けが、前期に発生した抵触日の影響等で同29.1%減少した他、第2の柱として育成中のアパレル業界向けも大口顧客の業績不振で同12.7%減少。一方、未だ売上規模は小さいものの、保育業界や介護業界向けが増加した。
 
 
 
 
 
 
上期末の総資産は前年同期末に比べて24億92百万円増の87億18百万円。(株)サンライズ・ヴィラ及びジャパンコントラクトフード(株)の13年10月末現在の貸借対照表を連結した事等で、借方では、売上債権(4億31百万円増)、建物(5億24百万円増)、及び敷金(5億41百万円増)が増加した他、のれん9億09百万円を新たに計上。貸方では、未払金(3億60百万円増)や未払費用(2億06百万円増)が増加した他、短期借入金1億97百万円、社債1億08百万円、長期借入金6億98百円、及び受入入居保証金6億94百万円を新たに計上した。この結果、自己資本比率は57.6%と前期末に比べて22.9ポイント低下した。
 
 
2014年5月期業績予想
 
 
通期予想は前期比1.3%の減収、同1.5%の経常増益
引き続き携帯電話業界の人材需要は旺盛だが、前期に発生した一時的な要因による上期の苦戦が響き、売上高、利益共に前期並みにとどまる見込み。配当は1株当たり上期末15円、期末15円の年30円を予定している。
 
(2)14/5期の重点施策
14/5期は重点施策として、①サービス品質の向上、②モバイル・アパレルの次の柱となる新規事業の確立、③グループ会社の管理体制強化、④事業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持、の4点を挙げている。
 
①サービス品質の向上
提供している全てのサービスにおいて、顧客からも求職者からも選ばれ続けるようサービス品質の向上に努める。グループの拡大により保育・介護業界をはじめとするサービス提供先の拡大、教育体制の強化を図り、求職者の満足度を高める。
 
 
 
②モバイル・アパレルの次の柱となる新規事業の確立
アパレル業界向けに次ぐ第三の柱として保育・介護業界向けサービスの早期確立に邁進。新たに子会社化した介護施設を運営するサンライズ・ヴィラとの取り組みを強化する。
 
アパレル分野
競合他社にない提案力・マッチング力や全国的な拠点展開による地方案件への対応力等が評価され、モバイルに次ぐ柱として育ちつつある。高級ブランド店やコスメ関係からの引き合いも増加しており、採用や新規開拓において好循環が続いている。
 
保育分野
持分法適用関連会社サクセスホールディングス(株)が、グループで認可保育園・認証保育所や公設民営保育園等の運営及び学校・病院・企業の保育施設の運営受託を手掛けている他、人材サービスを提供しているジェイコム(株)が保育士の派遣等を手掛けている。
サクセスホールディングス(株)は社内に新設した人材開発部を中心にジェイコムグループとの連携を強化し保育士確保を全国規模で進めている。一方、ジェイコム(株)はサクセスホールディングス(株)から人材を招聘(転籍)し保育士の採用代行業務を強化している。保育サービスのノウハウを蓄積し、関連業務での新たな展開も模索していくとしている。
 
介護分野
10月4日に連結子会社ACAヘルスケア・再編1号投資事業有限責任組合が、介護施設を運営する(株)サンライズ・ヴィラ、食堂運営や給食サービス等を手掛けるジャパンコントラクトフード(株)を子会社化した(共に発行済株式総数の87%を取得。ジェイコムホールディングス(株)の孫会社となる)。

(株)サンライズ・ヴィラ(神奈川県厚木市)は、医療法人によるバックアップの下、神奈川県下で介護付き有料老人ホーム等を運営しており、有料老人ホームの運営事業者としては居室数で30位前後。一方、ジャパンコントラクトフード(株)(東京都千代田区)は食堂・売店の運営受託や福祉施設・病院等の給食サービスを手掛けている。
ジェイコムグループは、今回のM&Aを介護関連サービス進出への第一歩として、既存事業とは別の新しいプロフィットセンターへ育成していく考え。一方、(株)サンライズ・ヴィラは、ジェイコムグループの支援の下で人材確保の強化・効率化を図っていく。

尚、ACAヘルスケア・再編1号投資事業有限責任組合は、(株)サンライズ・ヴィラ及びジャパンコントラクトフード(株)の発行済株式総数1,000株のうち、400株を代表取締役社長の鈴木 輝雄氏より取得すると共に、第三者割当増資により3,600株を取得した(自己資金を充当)。
 
 
厚生労働省「平成23年度 介護保険事業状況報告(年報)」によると、2011年度(平成23年度)の介護サービス市場規模は8兆2,253億円。また、厚生労働省「社会保障・税一体改革で目指す将来像」によると、介護サービス利用者数は2012年度の452万人が2025年度には657万人(1.5倍)、居住系サービスは12年度の33万人分が62万人分(1.9倍)へ拡大する(この他、介護施設数:98万人分→133万人分(1.4倍)、介護職員数:149万人→237~249万人)。
 
介護・保育等の人材不足解消に向けた中長期戦略
未経験者を働く人材へと育成するジェイコムならではのノウハウを活かし、社会的な課題である介護・保育の人材不足解消にも取り組んでいく考え。無資格未経験者、有資格未経験者、有資格有経験者のそれぞれに応じた施策を用意する事で、資格取得から、経験・スキルアップ、更にはステップアップへと導いていく考え。
 
 
③グループ会社の管理体制強化
サクセスホールディングスが東証二部上場。サンライズ・ヴィラをはじめ、他の事業会社についても、高収益体制を確立できるよう管理面・営業面からサポート。
 
④事業環境に迅速に対応できるコンプライアンス体制の維持
法改正や規則の情報をグループ間で共有。社員・スタッフ一人ひとりへ法令順守の意識付けを恒常的に実施。現場重視の動きにより、コンプライアンス違反が起こりにくい環境を作る。
 
 
今後の注目点
通期業績予想に変更はなかったが、(株)サンライズ・ヴィラやジャパンコントラクトフード(株)の業績が織り込まれていないため、今後、修正される可能性がある。売上については上方修正されるだろうが、人材の入れ替えや管理体制の強化等でコストが先行するため、利益は下振れする可能性がある。ただ、上記2社は営業と収益管理の両面で、これまで十分な対応がとられておらず、中期的には事業拡大と収益性改善の余地が大きいと言う。この他、14/5期は主要顧客の苦戦で事業拡大ピッチが鈍るアパレル分野も、大手アパレルメーカーからの受注が大型化・中長期化しているとの事でモーメンタムは良好。保育分野も、サクセスホールディングス(株)の新施設開設ペースが東証2部上場を機に加速しており、公的保育事業拡大に不可欠な信用力も高まっている。加えて、主力の携帯電話業界向けも、労働者派遣法改正が追い風となる見込みで、来15/5期の見通しは明るい。