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(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.14

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.14】2014年8月期第1四半期業績レポート
取材概要「第1四半期はカラオケ事業の先行投資負担から減益となったものの、当初から計画していた事であり、悲観する必要はない。むしろ、新規出店が・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年2月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
群馬県前橋市大友町1-5-1
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(1/20現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,080円 9,477,401株 29,190百万円 33.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
50.00円 1.6% 277.50円 11.1倍 1,122.85円 2.7倍
※株価は1/20終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
コシダカホールディングスの2014年8月期第1四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略(後述)を推進している。連結子会社8社と共にグループを形成し、安定成長を続けるカラオケ事業と認知度の向上で事業が急拡大しているフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業の育成にも取り組んでいる。
 
【事業セグメントとグループ】
(1)事業セグメント
事業は、「カラオケ本舗まねきねこ」(郊外中心)やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」(都心や地方都市の繁華街で展開)を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種の温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業等のその他に分かれる。13/8期の売上構成比は、カラオケ事業55%、カーブス事業40%、温浴事業5%、その他1%。
 
(2)グループ
グループは、純粋持株会社である(株)コシダカホールディングスと、カラオケ事業、カーブス事業、温浴事業、及び不動産管理や知的財産管理を手掛ける連結子会社8社。カラオケ事業は(株)コシダカが国内で338店舗を、(株)韓国コシダカが韓国ソウル市内で3店舗を、それぞれ運営。カーブス事業は、中間持株会社(株)カーブスホールディングスの下、連結子会社(株)カーブスジャパンが女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」のFC本部の運営と直営店展開を手掛け、連結子会社(株)北海道コシダカ及び(株)シュクランがフランチャイジーとして直営店を多店舗展開している(店舗数は直営+FC合わせて1,339店舗)。また、11年11月に多店舗展開を本格化した温浴事業は(株)コシダカが新規事業として育成中の事業であり、7店舗を展開している(店舗数は、いずれも13年8月末)。
 
 
 
成長戦略
 
(1)事業環境  余暇活動の主役となる年代層が10代から60代以上に変化
「レジャー白書2013」(公益財団法人日本生産性本部)によると、2012年の余暇市場はほぼ横ばい(前年比0.3%減)の64兆7,272億円。このうち、娯楽部門は前年比0.7%増で、テレビゲーム・ゲームソフト、ゲームセンターが減少したものの、東日本大震災(以下、震災)後の落ち込みの反動でパチンコ・パチスロと公営競技が伸びた他、カラオケボックス(ルーム)も若干増加した。カラオケボックス(ルーム)は震災後の「安近短志向」の高まりで11年から12年にかけて市場が拡大したが、12年後半は「安近短志向」の一巡で市場拡大にブレーキがかかったようだ。

また、「レジャー白書2013」は余暇活動の主役となる年代層についても言及しており、過去10年間で主役が10代から60代以上に変化した、としている。ちなみに、高齢者が余暇活動を開始・再開した理由としては、「年齢や健康、体力にあっているから」、「費用が負担できるから」等が多いと言う。
 
(2)成長戦略  「総合余暇サービス提供企業」を標榜し、“既存業種新業態」戦略”を推進
約65兆円の国内余暇市場は同社にとって無限とも言える広さだ。足元で余暇活動の主役が60代以上に変化している事からもわかるように、特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの向こう10年程度、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「「総合余暇サービス提供企業」のコンセプトの下、「アクティブシニア層」をターゲットとし、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において、既存事業間のシナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進める事で業容の拡大を図っていく考え。
数値面では、中長期の目標としてグループ売上高1,000億円としている。
 
カラオケ事業  国内でのアクティブシニア層の開拓と海外展開
国内カラオケ市場はリーマン・ショックを境に4,200億円前後から3,800億円前後に縮小し、その後、横ばいが続いているが、同社のカラオケ事業は“地域密着によるリーズナブルでフレンドリーな接客サービス”を強みに店舗ネットワークを広げ、売上を伸ばしている。今後は、国内において「カラオケ=健康」のコンセプトの下、アクティブシニア層の開拓にこれまで以上に力を入れていく。具体的には、オリジナルのカラオケボックス用新システム「すきっと」(後述)導入による差別化戦略の徹底、社員独立制度Be Ambitiousの展開(オーナーシップによる営業力強化)、及び都市部でのワンカラのドミナント展開による国内500店舗体制の早期構築に取り組む(13/8期末338店舗)。
また、韓国・東南アジアでの多店舗展開に取り組む。韓国では既に多店舗展開に目処を付けており、東南アジアでは13年11月にKOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd. (シンガポール)を設立しており、KOSHIDAKA INTERNATIONAL Pte.Ltd.を拠点に調査・開店準備を進めていく。
 
 
(注)オリジナルのカラオケボックス用新システム「すきっと(Smart Karaoke Internet Terminal)」
カラオケボックス用システムは2社による寡占市場のため、オペレータ(カラオケボックス・ルームの運営事業者)間での差別化が難しい。このため同社は、これまでにないコンテンツ・サービスの提供で競合するチェーン店との差別化を図るべくカラオケ用新システム「すきっと」を開発した。「すきっと」はユーザー自身のオリジナルコンテンツを取り込む事ができる「参加型カラオケ」との位置付けで、Webサイト「すきっとねっと」と連携したサービスが特徴。具体的には、スマホをリモコンとして利用でき、自分の好きな動画を背景に歌う事ができ、お気に入りの曲が200 曲まで登録可能。また、自分の歌の録音・ダウンロード及び録画・公開が可能な上、原曲に近いサウンドでの採点や自分でカラオケを作る機能も備えている。今後も参加型カラオケの機能に即したアプリケーションを順次リリースして行く予定で、ユーザーの囲い込みを図っていく。「カラオケ本舗まねきねこ」及び「ひとりカラオケ専門店ワンカラ」の3店舗で実施したロケーションテストの結果も良好で、14/8期から導入が始まった(13 年10月より、群馬20店舗から供用開始)。
 
カーブス事業  「~筋トレを歯磨きに~」のコンセプトの下、日本中に運動習慣を!
リーマン・ショック以降、国内フィットネス市場が3,000億円弱で推移する中、カーブス事業は右肩上がりの成長を続けており、現在、フィットネスチェーンとしては国内最大の店舗数を誇る。女性のためのコミュニティ作りが成功のポイントであり、50代以上が会員全体の79.3%を占める。
「~筋トレを歯磨きに~」のコンセプトの下、日本中に運動習慣をひろげるべく改革・改善に継続的に取り組んでおり、当面の目標としていた1500店舗(13/8期末1,339店舗)、70万会員(58.6万人)の達成まであと一歩のところに来ている。ビルインタイプ、ロードサイドタイプ、ショッピングセンタータイプと、多様な出店スタイルも強みであり、また、FC加盟企業の多店舗展開意欲(近年出店店舗の約8割が既存FCの増店)も旺盛な事から未だ出店よりは大きいようだが、中長期的には健康長寿をサポートできる企業(運動・食事・睡眠)へ進化できるか否かポイント。
 
 
温浴事業  シニア・ファミリー層に特化した業態開発と早期黒字体質の定着
シニア・ファミリー層に特化した業態開発に取り組む事で1店舗当たり入場者増と満足度向上を図っていく。燃料価格の変動等でコスト管理の難しい事業だが、省エネ設備導入と人員の効率化など管理オペレーションの向上で14/8期は黒字転換が見込まれる。黒字体質を定着させ多店舗展開を加速させる事で、早期にカラオケ事業、フィットネス事業に次ぐ第3の柱として事業基盤を確立したい考え。
 
 
 
 
2014年8月期第1四半期決算
 
 
カラオケ事業の先行投資が負担となり同26.1%の営業減益
売上高は前年同期比5.9%増の80億79百万円。新規出店(既存加盟店の追加出店)効果や既存店舗の稼働率向上に加え、プロテイン等の会員向け商品販売(通信販売)も堅調に推移したカーブス事業が増収をけん引。カラオケ事業も厳しい事業環境の中、新規出店効果で前年同期並みの売上を確保した。
利益面では、先行投資によるカラオケ事業の損益悪化が響いたものの、増収効果でカーブス事業の収益性が一段と改善した他、省エネ設備導入と人員の効率化など管理オペレーションの向上で温浴事業の損失も大幅に減少した。
 
 
カラオケ事業
売上高41億07百万円(前年同期比0.2%増)、セグメント損失2億33百万円(前年同期は1億63百万円の利益)。震災後の「安近短志向」が一巡する中、競争激化や景況感の回復を受けた余暇活動の多様化もあり、既存店が苦戦したものの、新規出店効果で売上がわずかに増加した。ただ、新規出店が前年同期の3店舗から8店舗に増加した事で開店諸費用が増加した他、リニューアル費用やカラオケ新システム「すきっと」の減価償却費の計上等、先行投資が増加。第1四半期は季節的に売上のボリュームが小さい事もあり、セグメント損失となった。

第1四半期末の国内店舗数は前期末比8店舗増の346店舗(前年同期末比20店舗増)。新業態「ワンカラ」の新規出店を再開した他、既存業態「まねきねこ」も新規出店とリニューアルにより質量両面で店舗ネットワークの強化に取り組んでおり、この第1四半期は8店舗の新規出店を行うと共に、16店舗でリニューアルを実施した。

尚、カラオケ事業は厳しい事業環境が続いているが、「顧客にとって新しい楽しみ方とサービスを考案し提供していく事で市場の活性化を促す事が重要」と言うのが同社の考え。カラオケ新システム「すきっと」はこの一環として開発されたものである。
 
カーブス事業
売上高は35億63百万円(前年同期比17.7%増)、セグメント利益8億16百万円(同24.1%増)。新規出店効果に加え、マーケティングの革新(チラシ、インフォマーシャルなど既存手法の革新と新たな手法の確立)や新商品の開発・投入による商品販売の増加で売上高が増加。既存店舗の稼働率も向上し利益率も改善した。

第1四半期末の国内店舗数は前期末比42店舗増加(同3.1%増)の1,381店舗(内グループ直営店45店舗)。会員数は同22千人増加(3.8%増)の608千人(前年同期末の店舗数はグループ直営店44店舗を含む1,232店舗、会員数533千人)。

尚、コミュニティ的な一体感の下で楽しくエクササイズを行う事ができるカーブスは他のフィットネスクラブと一線を画しており、現在、競合らしい競合がない状態。1店舗当たりの会員数は損益分岐点(350人~352人)を大きく上回り、各店舗の経営も安定している。また、「カーブス30分健康体操」の科学的効果検証(メタボ予防、介護予防、認知機能等)にも取り組んでおり、東北大学内店舗等、大学施設内の店舗で科学的効果の検証作業が進められている。
 
温浴事業
売上高3億50百万円(前年同期比3.9%増)、セグメント損失78百万円(前年同期は1億63百万円の損失)。新規出店はなかったが売上高が順調に増加。省エネ設備導入と人員の効率化など管理オペレーションの向上で損失が大幅に減少した。

当期は新規出店の計画がないが、カラオケ健康歌体操教室やロウリュ(熱気浴・蒸気浴)といった新たなコンテンツの開発に加え、新規のファン獲得をも視野に入れた各店独自イベントの積極展開等で既存店の売上増に取り組んでいる。当期は通期での黒字化(94百万円のセグメント利益)を計画しており、これを踏まえて15/8期以降は攻めの経営に転じ、多店舗展開を進めたい考え。
 
 
2014年8月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、通期で前期比10.3%の増収、同11.3%の経常増益を見込む
売上高は前期比10.3%増の380億59百万円。前期比約3倍の新規出店を計画しているカラオケ事業の売上高が同11.2%増加する他、新規出店と新商品投入等による会員向け商品販売の増加でカーブス事業の売上も同8.6%増加。温浴事業も、新規の出店計画はないが、新たなコンテンツの投入や各店独自イベントの積極展開等で売上が同23.1%増加する見込み。

営業利益は同11.9%増の46億46百万円。新規出店に伴う開店諸費用やリニューアル費用の増加等でカラオケ事業の利益が同5.7%減少するものの、店舗数・会員数共に増加するカーブス事業の利益が同19.5%増加する他、温浴事業も損益が4億10百万円強改善し黒字転換する見込み。当期純利益が減少するのは、前期の利益を押し上げた一時的な要因が無くなるため。
売上高、営業利益、経常利益は過去最高の更新が見込まれる。1株当たり年50円の配当を予定している(上期末25円、期末25円)。
 
 
 
カラオケ事業
新規出店効果(前期比約3倍)で売上高が208億28百万円と前期比11.2%増加するものの、開店諸費用やリニューアル費用の増加「すきっと」の開発費の償却も始まるため、セグメント利益は20億80百万円と同5.7%減少する見込み。

新規出店は、まねきねこ45店舗、ワンカラ20店舗の計65店舗と前期(22店舗)の約3倍を計画。併せて、40~50店舗で内外装一新等のリニューアルを実施する(前期は30店舗)。また、カラオケの新しい楽しみ方を提案する「すきっと」の導入を開始し、競合店との差別化と新たな来店動機の掘り起こしに取り組む他、オーナーシップを持った社員の育成と営業の活性化を念頭に社員独立制度「Be Ambitious」を推進する。

海外展開では、韓国において、早期の黒字化に成功した韓国3号店をモデル(郊外型での出店)に積極展開を進める。韓国では、ソウル市の江南(カンナム)にオープンした1号店及び同鍾路(チョンノ)にオープンした2号店が苦戦したものの、仁川市にオープンした3号店が早期の黒字化に成功した。また、11月には海外展開の第2弾として、シンガポールに子会社を設立した。
 
カーブス事業
売上高150億46百万円(前期比8.6%増)、セグメント利益30億55百万円(前期比19.5%増)。既存加盟店の追加出店を中心に120店舗の新規出店を計画しており、期末店舗数は1,459店舗となる見込み。尚、既存加盟店意欲が旺盛なため、数年前から新規加盟店を抑制している。
 
温浴事業
売上高18億94百万円(前期比23.1%増)、セグメント利益94百万円(前期は3億17百万円の損失)。14/8期に黒字化を達成し、15/8期以降は攻めの経営に転じ、多店舗を進めたい考え。
 
 
今後の注目点
第1四半期はカラオケ事業の先行投資負担から減益となったものの、当初から計画していた事であり、悲観する必要はない。むしろ、新規出店が順調だった事を評価したいし、今後、徐々に顕在化してくるであろう新規出店やリニューアルの効果に期待したい。また、カーブス事業が引き続き好調である事や温浴事業において省エネ設備導入効果や管理オペレーションの向上効果が顕在化してきた事も確認できた。第1四半期は減益決算となったものの、なすべき施策が着実に実施されていると考えて良いのではないか。