ブリッジレポート
(2925) 株式会社ピックルスコーポレーション

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ブリッジレポート:(2925)ピックルスコーポレーション vol.24

(2925:JASDAQ) ピックルスコーポレーション 企業HP
宮本 雅弘 社長
宮本 雅弘 社長

【ブリッジレポート vol.24】2014年2月期第3四半期業績レポート
取材概要「同社の業績は、経営努力では完全に回避できない天候や気温等の影響を受ける。売上・利益共に過去最高を見込む14/2期の業績ではあるが、秋以降・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年2月12日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社ピックルスコーポレーション
社長
宮本 雅弘
所在地
埼玉県所沢市くすのき台3-18-3
決算期
2月末日
業種
食料品(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年2月 24,063 915 974 570
2012年2月 21,587 982 1,066 591
2011年2月 20,824 577 624 365
2010年2月 18,234 536 583 322
2009年2月 18,502 399 413 202
2008年2月 17,870 286 373 205
2007年2月 16,775 293 355 218
2006年2月 16,563 158 205 -37
2005年2月 18,186 74 146 144
2004年2月 18,038 268 285 99
2003年2月 18,047 101 98 36
2002年2月 16,542 548 514 230
2001年2月 16,895 302 287 266
株式情報(1/21現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
835円 6,394,561株 5,339百万円 8.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.4% 113.67円 7.3倍 1,127.52円 0.7倍
※株価は1/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROEは前期末実績。
 
ピックルスコーポレーションの2014年2月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
浅漬・キムチ・惣菜の製造・販売及び漬物等の仕入販売を行なっており、連結子会社8社及び持分法適用会社4社と共に全国的な製造・販売ネットワークを構築している。「野菜の元気をお届けします」をスローガンに掲げ、コーポレートカラーの緑は新鮮感を表す。自社製品は、契約栽培によるトレーサビリティの確保された国産野菜(約70%が契約栽培)が中心で保存料・合成着色料は使用しない。また、製造現場では、工場内での温度管理の徹底や入室前の全従業員の服装・健康チェック、更にはISO9001、HACCPの取得や5S活動に取り組む等、「安全な食へのこだわり」は強い。
 
13/2期の品目別売上構成は、製品売上が64.1%(浅漬・キムチ47.0%、惣菜14.5%、ふる漬2.6%)、商品(漬物)売上が35.9%。資本関係では、東海漬物(株)が株式の46.6%を保有(13年12月18日現在)するが、取引はふる漬等の仕入がわずかにあるのみ(13/2期は仕入高全体の1.9%)。主要な販売先は、セブン&アイ・ホールディングス(3382)で、13/2期は同グループ向けの売上が全体の35.6%(12/2期は37.9%)を占めた。
 
【強み】
大ヒットしている「ご飯がススムキムチシリーズ」や各種惣菜等、切れ目無く新商品を投入できる商品開発力と、全国をカバーする営業・製造・物流ネットワークを強みとする。キムチの製法や味付け手法は多種多様。同社は強みである商品開発力を活かしてキムチのラインナップを強化する事で継続的に需要を生み出しており、この商品開発力が第3の柱として育成中の惣菜事業にも活かされている。また、もう一つの強みである全国ネットワークについて言えば、漬物業界・惣菜業界において、全国ネットワークを有するのは同社のみである。
 
 
【市場動向と事業戦略】
(1)市場動向
漬物市場の動向
漬物市場は約3,500億円(工業統計2013.08:野菜漬物製造業出荷額3,265億円、食品新聞2013.08:漬物品目別推定出荷額3,250億円)。コメ消費の減少、食の多様化、少子高齢化等の影響を受けて、漬物市場は縮小傾向にあるものの、品目別では、沢庵等のふる漬市場の縮小が大きい一方で、浅漬やキムチの市場は安定成長が続いている。また、徐々に寡占化も進んでいるが、同社(シェア7.3%でトップ)を含めた上位10社のシェアは32.6%に過ぎず、上位企業による寡占化はこれから。
昨今、円安による海外産原料価格の上昇で海外原料に頼るメーカーの収益が悪化している他(同社は100%国産原料)、健康志向、惣菜化、機能性訴求等をキーワードにした商品開発が事業拡大に不可欠な要素となりつつある。
 
 
惣菜市場の動向
単身世帯の増加や高齢化の進展、更には女性の社会進出もあり、惣菜市場は拡大傾向にある。同社の資料によると、米飯類や調理パン・調理麺等も含む惣菜市場の規模は約8兆1,238億円。このうち、同社の事業領域である一般惣菜市場は3兆5,736億円で、販路別の内訳は、食料品スーパー1兆107億円、総合スーパー5,073億円、コンビニ3,194億円、専門店・百貨店等が1兆7,361億円。
同社は、7年ほど前に惣菜事業に本格参入した後発企業だが、製品開発力、全国をカバーする製造拠点、更には直販ならではのきめ細かい営業を強みに売上を順調に伸ばしている。ライバルとなるのは、フジッコ、エバラ食品、ケンコーマヨネーズ、デリア食品、大堀、イニシオフーズ等。いずれも400~500億円規模の年商を誇るが、13年度予想ベースの同社の当期純利益は、予想売上高が500億円のエバラ食品とほぼ同水準。また、キユーピーグループのデリア食品においては、売上高が400億円を超えるものの、当期純利益は同社を下回るようで、収益性の面で同社は惣菜大手に引けをとらない。
 
 
(2)事業戦略
継続的な新製品の開発・投入、広告宣伝・販促活動、及び全国を網羅する営業・物流ネットワークを三位一体とする事業戦略を推進し、既存取引先の深耕と新規取引先の開拓に取り組んでいく考え。
 
①継続的な新製品の開発・投入
継続的な新製品の投入で浅漬・キムチ、惣菜の売上が順調に増加しており、浅漬・キムチでは、今期、独自技術により美味しさを追求した浅漬の減塩製品、生きて腸まで届く植物性乳酸菌「Pne-12」を添加し機能性を高めつつ、日本人好みの食べやすい味に仕上げた「ピーネ乳酸菌キムチ」、更には川越達也シェフとのコラボ製品「ご飯がススムキムチ×川越達也オススメカクテキコラボキムチ」等を投入。
また、惣菜では、12年10月に子会社化したメンマの専門メーカーである東洋食品(株)を活用した商品開発にも取組んでいる。最近の惣菜商品の売れ筋としては、「ナムルセット」、「ふろふき大根」、「メンマと豆もやしの黒こしょう和え」、「オクラのおひたし」、「サラダ」等がある。
 
②広告宣伝・販売促進
様々な媒体を活用して広告宣伝活動を展開している。例えば、お馴染みの西武ドームでの看板に加え、テレビ・ラジオCM、レシピ本、「川越達也のキムチ研究所」や「GOGO!ご飯がススム隊」のTV番組等。ラジオCMでは、全国(TBSラジオ)、北海道、首都圏、中京、開催、中国・四国等、テレビCMでは、首都圏(日本テレビ、TBS、フジテレビ)、北海道、中国・四国等でオンエアされた。
 
③全国ネットワークを活かした営業戦略
自社工場や物流管理センターに加え、子会社4社・合弁会社4社等との連携により、漬物・惣菜メーカーとしては唯一、全国を網羅した生産・物流体制を構築している事が同社の強みで、全国どこにでも同じ品質・同じ味の製品を届ける事ができる。ちなみに、浅漬は賞味期限が短いため(冷蔵管理で4日~7日)、生産は受注生産。各得意先からオンラインで注文を受け、365日休まず生産を行っている。また、品質を維持するため、得意先の店頭とはコールドチェーン(低温・冷蔵・冷凍の状態を保ったままの流通)で結ばれている。
このインフラを活かすと共に売場提案の強化等によりスーパーや生協との取引拡大を図っていく考えで、惣菜の拡大に向け、従来の漬物売場だけでなく、惣菜売場等への営業も強化している。また、プライベートブランドへの対応を含めてコンビ二との取引拡大にも力を入れている。
 
手薄だった中国・四国地区事業の強化・拡大
西日本は子会社(株)ピックルスコーポレーション関西(京都府大山崎町)の事業エリアであり、浅漬、キムチ、惣菜の製造販売、漬物の仕入販売を行っている。この6月には、手薄だった中国・四国地区や九州地区の強化に向け広島工場(広島県府中市)が稼働した。(株)ピックルスコーポレーション関西の14/2期売上高は39億63百万円を見込んでおり、このうち9億円が広島工場の寄与によるもの(京都本社工場は30億63百万円)。
 
 
 
中期経営目標として掲げていた15/2期の売上高255億円、営業利益11億円を1年前倒しで達成できる見込み。6月に稼働した広島工場を起点に引き続き中国・四国地区の販売を強化していく考えで、現在、合弁会社で展開している九州地区のてこ入れも図る。品目別では、12/2期に12.1%だった惣菜の売上構成比が15/2期には17.3%に上昇する見込み(12/2期比で70%弱の増収)。浅漬・キムチは構成比が48.0%から45.9%に低下するものの、売上高は12/2期比で13%弱の増加を見込む。
また、販路については、スーパーにおける売場拡大(精肉売場、麺売場等)に取り組む考えで、子会社東洋食品(株)やグループ外企業との連携等で漬物・惣菜以外の製品開発にも力を入れる。
尚、期の設備投資は13億14百万円に膨らむが(減価償却費4億52百万円)、15/2期は4億円に減少する見込み(同4億42百万円)。
 
 
2014年2月期第3四半期決算
 
 
前年同期比7.4%の増収、同9.7%の経常減益
売上高は前年同期比7.4%増の196億91百万円。独自に開発した植物性乳酸菌「ピーネ12」を使用した「生きて腸まで届くピーネ乳酸菌キムチ」、期間限定の「ご飯がススムキムチ×川越達也オススメカクテキ コラボキムチ」、更には埼玉県深谷市イメージキャラクター“ふっかちゃん”とのコラボレーションによる「ご飯がススム 深谷ねぎキムチ」等の新製品を投入。全国の製造・販売拠点を活用した営業活動や、CM等の広告宣伝活動及び売り場提案等の販売促進活動の成果と新製品投入効果が相まって売上が増加した。
また、中・四国地区の強化に向け、子会社(株)ピックルスコーポレーション関西の広島工場が完成し、6月より製品出荷を開始した。
 
ただ、利益面では、度重なる台風の接近・上陸による影響で第3四半期に原料野菜の価格が高騰。テレビCM等の全国的な広告宣伝活動による販管費増も負担となり、営業利益が6億88百万円と同15.8%減少した。四半期純利益が同5.6%の減少にとどまったのは、貸倒引当金の戻入等による営業外損益の改善と税負担率の低下による。
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて9億98百万円増の147億84百万円。売上が順調に伸びた事に加え、第3四半期末が金融機関の休日だったため売上債権及び仕入債務が増加した。自己資本比率は48.8%と前期末に比べて0.3ポイント低下した。
 
 
2014年2月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比6.0%の増収、同21.9%の経常増益
通期業績予想に変更はなかった。ただ、11月以降の急激な気温の低下やその後の寒波の影響等による生育不良で足元も原料野菜価格の高止まりが続いており、第4四半期の収益が影響を受ける可能性がある。配当は1株当たり12円の期末配当を予定している。
 
(2)ご飯がススムキムチコラボレーション「サッポロ一番 カップスター “ご飯がススム”キムチ味」
14年1月14 日、サンヨー食品(株)との共同開発による「サッポロ一番 カップスター “ご飯がススム”キムチ味」を発売した。知らない人はいないであろうカップ麺の人気ブランド「カップスター」。その誕生日である1975年1月18日は「カップスターの日」として日本記念日協会の認定を受けている。この度、発売された「サッポロ一番 カップスター “ご飯がススム”キムチ味」は、この記念日を盛り上げるべく、(株)ピックルスコーポレーションとサンヨー食品(株)のコラボレーションで誕生した(商品の発売はサンヨー食品)。
 
(株)ピックルスコーポレーションの売れ筋商品「ご飯がススムキムチ」の特徴であるかつおのうま味やりんごの甘味を加え、誰もが食べやすいキムチ風味のスープに仕上げた。なめらかでシコシコとした食感のめんと、白菜キムチ、キャベツ、かき卵、ねぎの具材がキムチ風味のスープとよく絡む。ご飯だけでなく、ラーメンにもよく合うキムチの味わいを堪能して頂きたい。

希望小売価格 170円(外税)
 
 
今後の注目点
同社の業績は、経営努力では完全に回避できない天候や気温等の影響を受ける。売上・利益共に過去最高を見込む14/2期の業績ではあるが、秋以降の天候不順や低温を考えると下振れ懸念を払しょくできない。しかし、継続的な新製品の投入に加え、広島工場の稼働効果もあり、売上が順調に伸びている。このため、成長トレンドは不変であり、目先の業績変動に一喜一憂する必要はないと考える。
尚、新聞報道によると、25~34歳の既婚女性は半数以上が共働きで、65歳以上の高齢者の一人暮らしも全世帯のほぼ1割にあたる約500万世帯を数えると言う。こうした世帯構成の変化を受け、総菜や弁当など調理の手間が省けて無駄がない「中食」の市場が拡大しており、外食産業総合調査研究センターによると、2012年の中食(給食を除く)の市場規模は5兆9,500億円と前年比2.9%の増加で、年連続の市場拡大であると言う。OEMへの対応も含めて、サラダ感覚で食べる事ができるキムチ製品や野菜系の惣菜製品に強みを持つ同社のビジネスチャンスは拡大していると考えていいだろう。