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宮澤 一洋 社長
宮澤 一洋 社長

【ブリッジレポート vol.2】2014年6月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社及び同業他社の業績、時価総額、株価指標を比較してみた。同社はPER、PBRではGMOペイメントゲイトウェイには及ばないものの・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年3月18日掲載
企業基本情報
企業名
ウェルネット株式会社
社長
宮澤 一洋
所在地
東京都千代田区内幸町1-1-7
決算期
6月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年6月 6,866 1,393 1,420 759
2012年6月 6,254 1,198 1,278 728
株式情報(3/7現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,011円 9,858,146株 19,825百万円 9.8% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
40.00円 2.0% 79.70円 25.2倍 794.46円 2.5倍
※株価は3/7終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。
 
東証2部に上場するウェルネット株式会社の会社概要、2014年6月期第2四半期決算、今後の取組み等について、ブリッジレポートにてご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
消費者が商品やサービスを購入した際の電子決済スキームを販売事業者に提供。
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、商品やサービスを購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする「快適な直売プラットフォーム」を提供することを基本コンセプトに事業を展開。
主力サービスであるマルチペイメントサービスは、国内大手航空会社、大手高速バス会社、大手通販会社等豊富な導入実績を誇る。創業以来、常にチャレンジを続ける企業DNAも大きな特徴。
 
【沿革】
北海道のガス、燃料販売会社の(株)一高たかはしの、新規事業開発をミッションとした子会社として誕生。
当時すでにコンビニエンスストアの店頭での公共料金の支払い取り扱いは始まっていたが、これが通信販売に拡大するとの動きを捉えて事業化に着手した。
請求書の印刷・発送から収納情報の処理まで一貫運用する「請求書発行代行サービス」、コンビニエンスストアの店頭で24時間365日支払が可能な「コンビニ収納代行サービス」を開発。販売事業者にとっては多額な開発コストのかかる収納システムを無償で配布したことにより、同社システムは急速に普及した。
続いて、紙の請求書を使用せずリアルタイムで電子請求・電子決済を同社1社との接続で実現できる、現在の中心システムを開発。利便性及び様々な収納機関と接続するための開発や契約が不要な点が評価され、航空会社、バス会社等による導入が進み、業績は順調に拡大。2004年JASDAQに上場した。
その後も、Amazon、ヤフーショッピング、楽天オークション、LCC(格安航空会社)といった大手企業への「マルチペイメントサービス」提供が進んでいる他、数多くの実績を誇るケータイチケットサービスの提供等、近年急速に進んでいる電子チケットサービスにも注力している。
 
 
【市場環境】
経済産業省の「平成24年度我が国情報経済社会における基盤整備(電子商取引に関する市場調査)」(2013年9月27日発表)によれば、日本の消費者向け電子商取引市場(B to C)の市場規模は2012年 9.5兆円で、前年に比べ12.5%の増加となった。2007年の5.3兆円から毎年10%内外の伸び率で着実に拡大している。
 
 
また(株)野村総合研究所が公表している、2017年度までのIT主要市場の規模とトレンドついての展望(2012年11月21日発表)によると、2012年から2017年までの「B to C市場」の年平均成長率は11.1%で、2017年の市場規模は17.3兆円(2012年10.2兆円)と予測している。

一方経産省調査によれば、EC化率(商取引のうちどの程度がインターネットを通じて行われているか)は小売・サービス業全体で3.11%とまだまだ小さい。
これらのことから、電子商取引の伸び率は当面年率10%程度のスピードで拡大していくと見られている。
 
 
【事業内容】
「リアルタイム」と「ワンストップ」をキーワードに、サービスや商品を購入する消費者には時間と場所の制約を受けずに、いつでもどこでも欲しいものを購入できる「利便性」を、同社の直接の顧客である販売事業者には「販売機会の極大化」を可能とする快適な「直売プラットフォーム」を提供している。

提供するサービスは①マルチペイメントサービス、②オンラインビジネスサービス、③電子認証サービスの3サービスから成る。
 
(1)マルチペイメントサービス
「売上高6,154百万円、売上構成比89.6%(2013年6月期実績)」
 
以下の5サービスから構成されている。
 
必要なソフトウェアは同社が無償で提供するため、顧客である販売事業者はシステム開発に係る経費と時間を大幅に軽減できる。
同社の受取手数料(売上高)は、初期設定料、月額基本料金、1決済毎の手数料などで構成されている。また手数料は固定制と従量制で構成されているため、事業者の初期投資を低減させている。
 
①ビリングサービス
A:コンビニ収納代行サービス
同社のバーコード付払込取扱票付請求書を発行するシステムと同社が契約するコンビニなどの請求代金回収経路を通じて、売掛金の回収業務を代行するサービス。
コンビニ・郵便局で支払可能なバーコード付払込取扱票付請求書は、同社が開発した払込取扱票発行・収納情報受信ソフト「コンペイ君」 を使用することで、販売事業者自身が自ら簡単に印刷することができ、かつ入金情報受信及び入金消込も「コンペイ君」で行うことができる。
収納情報は、支払いがあった翌営業日(郵便局からの振込は2 営業日後) に配信され、入金消込処理が自動化される。
現在、通信販売をはじめ燃料代金・各種会費等の主として後払い代金収納に利用されている。
 
<メリット&特徴>
全国のコンビニエンスストア(16チェーン。2013年6月時点)で24時間365日支払可能なので、郵便局・銀行の営業時間を気にする必要が無い。
パッケージソフトウェア「コンペイ君」を無償で提供するため、販売事業者は約1か月で運用開始可能。
自社で払込取扱票を印字でき、収納データもバーコードの数字だけなので顧客情報漏洩の心配が無い。
 
B:請求書発行代行サービス
同社がバーコード付払込取扱票付請求書(銀行振込の場合は払込依頼書付請求書) の印刷・封入・封緘・郵送までを代行し、かつ入金確認及び入金消込まで、トータルに請求書発行・収納業務をサポートする。
特に物流を伴わないサービス等 (ガス料金、各種会費) の代金収納に利用されている。
また、情報授受と収納情報授受を自動的に行うサービス(請求書発行・収納代行パッケージ「ところくん」) も提供している。
 
②E-ビリングサービス
ビリングサービスとは異なり、決済に必要な請求書の作成及び郵送を行うことなく、ウェルネットサーバとコンビニエンスストアに設置されているKIOSK端末、POSレジ、ATM、ネットバンキングなどと接続し、またクレジットカード、電子マネー等を利用して決済を行うサービス。
 
<各利用方法>
◎KIOSK端末の場合
消費者がインターネット等で注文や予約をし、その際に示された決済番号を端末に入力すると、注文内容が画面表示される。その内容が正しければ「確認」ボタンを押すと、バーコード付受付票が出力されるので、その後その受付票を持ってレジで代金を支払う。
◎POSレジ&ATMの場合
レジで店員に「オンライン決済」と告げるとPOSレジのタッチパネルにテンキーが表示される。そこに消費者が決済番号を入力すると、画面に注文内容が表示される。内容が正しければ「確認」ボタンを押して代金を支払う。ATMの場合もほぼ同様の画面操作を行い、現金またはキャッシュカードで代金を支払う。
 
<メリット&特徴>
請求書や払込票を作成、送付する手間とコストを掛けること無く、リアルタイムの電子請求・電子決済を同社1社との接続によりワンストップで実現できる。
販売事業者は様々な収納機関(コンビニ、銀行、郵便局等) と接続するための開発や契約を個別に行う必要がなく、同社との契約のみでさまざまな決済手段を消費者に提供できる。
情報授受用モジュールは同社が無償提供。
最新の決済システムの開発や対応は同社が行うので、都度のシステム開発が不要。
延滞金や追加購入した場合等、収納内容(金額)に変更があった場合でも、同社の特徴である「リアルタイム」での対応により最新の金額による決済が可能。
2000年5月にサービス提供が開始されたこのサービスは、後述のように国内主要航空会社、主要高速バス会社、電力会社、大手通信販売会社等で利用され豊富な実績を誇っている。
 
③ネットDE受取サービス
キャンセルに伴う返金など、販売事業者から消費者への振込をインターネットを利用して、より効率的に行うサービス。
消費者は販売事業者から受け取ったIDを利用して専用サイトにアクセスし、振込みを受けるための口座情報を入力する。
 
<メリット&特徴>
消費者が入力した情報をもとに口座確認が行われ、自動的に振込処理が行われるため、販売事業者自らが口座確認を行う必要が無く、事務負担が軽減される。
返金処理の当日対応が可能なため、販売事業者にとっては顧客満足度向上につながる。
販売事業者は返金システムの開発が不要。
口座情報を保持する必要もないため、個人情報保護に関するリスクを低減できる。
 
④コンビニ現金受取サービス
「ネットDE受取サービス」同様、販売事業者から消費者へキャンセルに伴う返金などを行うサービスだが、「ネットDE受取サービス」と異なり、銀行口座が不要。
ローソンの店頭マルチメディア端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とID を入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。
 
<メリット&特徴>
販売事業者は消費者の口座情報を持つリスクを回避できる。
また、郵便振替や銀行振込の手数料が発生しないことから、コスト削減が可能。
口座情報の誤りによる差し戻しなども発生せず、スムーズに返金を受け取ることができる。
 
④その他サービス
マルチペイメントサービスを特定の販売事業者向けにカスタマイズし、運用まで含めたサービス提供を行っている。
 
(2)オンラインビジネスサービス
「売上高629百万円、売上構成比9.2%(2013年6月期実績)」
 
①PINオンライン販売サービス
コンビニの店舗に設置されているPOSレジ・KIOSK端末と同社サーバー間のネットワークを利用し、携帯電話・国際電話・電子マネーなどのプリペイドカードをオンラインで販売するサービス。
オンライン販売により、従来のようにあらかじめカード形式のプリペイドカードを仕入れる必要がなく、販売時点の仕入となるため、キャッシュ・フローを大きく改善させると同時に欠品がなくなる。 また、取り扱うカードの増加、変更などが容易となるなど、オンラインシステムならではの多くのメリットがある。
 
②各種申込みサービス
コンビニに設置されているKIOSK端末を利用し、漢字検定、英語検定といった検定試験や大学受験、模擬試験などの各種申込みを行うことができ、決済までを合わせてワンストップで行うことができるサービス。
 
(3)電子認証サービス
「売上高81百万円、売上構成比1.2%(2013年6月期実績)」
 
①電子チケットサービス
スマートフォンや携帯電話の画面に表示される二次元コードをチケットなどに利用できるシステム。
マルチペイメントサービスと一緒に利用すると、申込~決済~チケット受取の全てをスマートフォンや携帯電話、PCで完結できる。
消費者がインターネットでチケット等を予約しマルチペイメントサービスで決済を済ませると携帯電話にメールが配信される。メールに記載されたURLにアクセスすると、二次元コードのチケット画面を取得でき、取得した二次元コードをコードリーダーにかざすことで入場認証を行う。
 
<メリット&特徴>
紙のチケット・クーポン・会員証の製作及び送付が不要。
受付からチケット発行までがオンラインで処理できるため開催まで間際まで販売できる。
ペーパーレスなので環境に優しい。
入場記録が残るのでマーケティングデータとしての利用が容易。
同社では、航空券用QRコードを日本で初めて実用化。以降、Jリーグ、札幌ドーム向けの大規模入場認証システムに豊富な実績がある。
 
②「SUPER SUB」サービス
チケット発行・決済・認証をワンストップで提供するオンラインチケットソリューション。
個別開発やサーバのつなぎ込といった複雑なステップが不要なため、企業のみならず一般個人も主催者登録が可能。
航空会社、バス会社といった既存の大口事業者に加え、低コストで効率的に利用事業者数を増大させることを狙い、2012年6月に提供を開始した。
 
<メリット&特徴>
イベント等の主催者は、開催期間、会場、チケット単価など基本的情報を同社が提供する登録画面に入力するだけで、簡単にイベント受付、チケット受付・販売ページを作成することができる。(現在はPCサイトのみ)
同画面のリンクを自分のイベントページに設置するだけでチケット販売を開始できる。
参加申込者はPC、スマートフォン、携帯電話からチケットを購入できる。
発券されたチケットにはQRコードが付き、専用のアプリで入場認証を行う。確実に認証でき、スムーズなイベント運営をサポートする。
マルチペイメントサービス同様、豊富な決済手段を提供している。
申込から導入、チケット発売までおおよそ3週間程度と短期間で稼動させることができる。
初期費用、月額基本料は無料。コストはチケット発行手数料の5%のみで、運用コストは格安。
 
常設施設の入場券のみならず、期間限定イベント、ライブ、講演会・セミナー、地域イベント、有料パーティー、同窓会など、10~5,000人規模のイベントに適している。
 
 
特徴と強み
 
①豊富な導入実績&強固な顧客基盤
同社のマルチペイメントサービスは、導入時の開発費および収納機関との個別契約が不要というハードルの低さが評価され、下記の様に業界を代表するリーディングカンパニーに導入されている。
特にリアルタイム性が求められる航空会社、バス会社からの評価の高さは同社にとって大きな財産となっている。
この強固な顧客基盤は同社を支える重要な「見えざる資産」と評価できるだろう。
 
 
②常にチャレンジを続ける企業DNA
請求書発行サービス、収納代行サービス、マルチペイメントサービス、ケータイチケットサービスなど、同社の開発した様々なシステムはほぼ全てが日本で初めて実用化されたものとなっており、加えて同システムの優秀さは、上記実績が証明している。
同社は大企業の系列であるわけではなく、ヒト・モノ・カネといった経営資源が決して豊富な状態でスタートした訳ではない。
にもかかわらず電子決済の分野で「デファクトスタンダード」とも言える地位を確立することができた大きな要因の一つには、同社が創業時から生まれ持つ、「常にチャレンジを続ける」という企業DNAがあるのだろう。

宮澤社長は、ビジネスの意味、醍醐味を「自分の可能性を信じ続け、自分があったら便利だなと思う仕組みを自らリスクをとって開発し、すぐに提供できる具体的な形として提供する事」と考えている。
また、インタビューの中でも、「自社でなければできないものを世の中に送り出す事こそが同社の存在意義であり、それが無ければ企業として存在する意味が無い」と述べていた。

社員数は80名弱と小さな所帯ではあるが、後述する「ウェルネットアレテー」に代表される理念、心得をしっかりと掲げていることも企業DNA継承のカギとなっていると思われる。
 
 
2014年6月期第2四半期決算概要
 
 
マルチペイメントサービスが牽引し、増収・増益。計画も上回る。
売上高は前年同期比9.8%増収の37億円。EC市場の拡大に支えられ、マルチペイメントサービスが牽引した。
販管費も増加したが増収効果で吸収し、営業利益は同8.5%増加の8億円だった。
売上、利益とも期初計画を上回り順調な進捗だった。
 
 
<マルチペイメントサービス>
EC市場の拡大に支えられ、堅調な伸びとなった。
Jetstar、PeachAviationなどLCC(格安航空会社)のみでなく、JAL、ANAなど大手航空会社も好調だった。
2012年5月に起きた高速ツアーバス事故をきっかけに、ツアーバスが廃止となったため、同社の主要顧客である路線バス会社も好調。乗客数増のみでなく単価も上昇した。
新たに「コンビニ現金受取サービス」を開始した。まずは円滑なオペレーションを行うために取扱額の上限を9,999円としているが、オペレーションがスムーズに行われるようになれば上限引き上げを要請していく。こうしたサービスは定着するのに凡そ1年半くらいはかかるため、収益への貢献は来期後半からと考えている。
 
<オンラインビジネスサービス>
従来型のPINオンライン(SNSやオンラインゲーム用電子マネー)の販売は減少した。 一方POSでPINをアクティベートするギフトカードの新サービスは順調に伸びたが、PINオンラインの減少を埋めることはできなかった。
 
<電子認証サービス>
Jリーグ電子チケットサービスの提供が終了したことに伴い減価償却負担も減少した。
 
 
現預金、有価証券の増加により流動資産は39億円の増加。現預金には回収代行業務に係る収納代行預り金(翌月には事業者へ送金される。)129億円が含まれている。固定資産は139百万円の増加で、総資産は40億円増加した。
負債面では、売上増に伴う収納代行預り金の増加などで流動負債が40億円増加し、負債合計も39億円増加した。
この結果、自己資本比率は前期末比6.4%低下の32.8%となった。
 
 
前期は連結決算であったため比較は記載していない。
大幅な営業CFおよびフリーCFの黒字を計上している。
 
(3)トピックス
◎「コンビニ現金受取サービス」の提供を開始
(株)ローソンと提携し、2013年10月8日より、「コンビニ現金受取サービス」をコンビニエンスストア業界で初めて全国のローソン店舗(2013年8月末現在、10,179店舗。ローソンストア100を除く)で提供を開始した。
ローソンの店頭マルチメディア端末「Loppi」に消費者が販売事業者から交付された現金受取番号とIDを入力し、発行された引換券を店頭レジへ持参すると現金を受け取ることができる。
詳細は、【事業内容】(1)マルチペイメントサービス④コンビニ現金受取サービスを参照。
 
◎「STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェー・ピー)」がマルチペイメントサービスを導入
(株)ブラケット社が提供するサービス「STORES.jp(ストアーズ・ドット・ジェーピー)」が、ウェルネットのマルチペイメントサービスを導入。全国のコンビニエンスストアでの決済が開始された。

「STORES.jp (ストアーズ・ドット・ジェーピー)」は、ウェブサイト制作の知識が無くても、簡単にオンラインストアを作ることができるサービスで、新規登録から開業までに要する時間は最短2分。その利便性が評価され、2012年9月のサービス提供開始から現在までで6万店以上のストアがオープンしている。「STORES.jp」でクレジットカード、代引などに加え、今回、決済機能としてコンビニ決済が初期設定として追加されたことで、ストアオーナーとユーザー双方の利便性は更に向上すると両社は考えている。
「STORES.jp」コンビニ決済対応チェーンは現時点では下記の通りとなっている。
ローソン、ファミリーマート、サンクス、サークルK、ミニストップ、デイリーヤマザキ、スリーエフ、セイコーマート
 
◎東証2部へ上場
2014年2月28日付で、JASDAQから東京証券取引所市場第二部へ市場変更となった。
次のステップへの準備にも着手している。
 
◎自社株買いを発表
同じく2014年2月28日、昨年9月に続き、株主還元水準の向上および資本効率改善を目的として自社株買いを行うことを発表した。
買付上限は15万株(自己株式を除いた発行済株式総数の1.52%)、3億円。
期間は2014年3月3日から6月30日までとしている。
株主還元方針にあるとおり、今回取得した自社株を含め、今期末に保有する自社株については当期純利益の50%分を償却する予定。残余分はストックオプション等に充当するため継続して保有する。
 
 
2014年6月期通期業績見通し
 
 
業績予想に変更無し。増収・増益を計画。純利益8億円を100% 株主に還元。
売上は、主力サービスであるマルチペイメントサービスが、航空会社、バス会社等主力顧客を中心に引き続き堅調な成長を見込んでいることから前期比9.2%増収の75億円を計画。「バス IT化 プロジェクト」開始に伴うプロモーション費用などもあり、販管費率は若干上昇するが、増収効果で吸収し、営業利益は増益を予想している。
新中期経営3か年計画の配当方針に従い、純利益8億円全額を株主に還元する予定。
配当性向を50%とし(前期33.1%)、配当は前期比15.00円/株増配の40.00円/株へ。残額約4億円全てを自己株式の取得および消却に充当する。
 
 
 
「バス IT化プロジェクト」および「カイゼン」の進捗
 
同社は中期経営3か年計画において、今後の成長戦略の主軸を「事業開発とカイゼン」と位置付けている。
このうち、事業開発に関しては「次世代を担うビジネススキームの確立」を目指しているが、その中心的なものが前回のレポートでも紹介した「バスIT化プロジェクト」だ。
概要、進捗などは以下の通り。

航空券販売におけるインターネット予約の比率は2000年にはわずか3%であったが、現在は約65%にまで拡大している。同社は、予約のみでなく発券までも可能にしたシステムを航空会社のために開発したが、これによって航空各社はそれまで旅行代理店に支払っていた手数料を大幅に削減する事が出来た。
このことから、ICTは「革新的な直売モデル」を提供するプラットフォームであることが証明された。

同社はこの航空券販売におけるノウハウを活用し、それまでは時間内にバス会社の窓口に行かなければ購入できなかった都市間高速バスのチケットを、インターネットで予約後、24時間コンビニで購入できるサービスを2001年3月に日本で初めて実用化した。以降100社を超えるバス事業者と契約し、数百路線のバスチケットの発券を行っている。
航空会社に比べ企業規模が小さいバス会社には自前でシステムを開発する体力は無いため、同社のシステムを共同で利用し、販売できたチケット分を売上として受け取る方が合理的であるため、多くのバス会社が利用している。

現在、これらノウハウの集大成ともいえる大規模な統合モデルを都市間高速バス向けに開発中で、他にはない独創的な仕組みを搭載し、バス会社、利用者双方に大きなメリットを提供する考えだ。
 
<利用者のメリット>
スマートフォンを使って手軽にバスの検索、チケット購入ができる。
単なる乗換案内ではなく、現在の自分の位置と目的地およびそこに到着するための最適なバスが紐付けられている「直感的に使える地図アプリ」(バス会社の実際に運行している道路情報を基に構築)を搭載
車載端末及びGPSの利用により、途中の停留所でも「目的のバスがまだ来ていないのか?もう行ってしまったか?」、「満席なのか?空席はあるのか?」がわかる。
購入後の予約変更も可能
 
<バス会社のメリット>
電子車掌機能で、チケットを購入していないフリーの乗客を乗せることができるか否かも判断できる等、効率的な在庫管理と販売機会の増大を図ることができる。
スマホ画面上に電子チケットを配布することによる確実な決済が可能
スマホ、タブレットの利用により専用端末の開発が不要で導入コストを抑えることができる。
 
2014年夏にはサービス第1弾をスタートさせ、長年培ってきた信頼関係をベースに多くのバス会社による採用を進めていく。バス会社は地域密着型企業であるため、同システムを利用してバス会社が活性化すれば地域社会の活性化にもつながるため、社会的意義も大きい事業であると考えている。

機能拡充、システム安定運用、コストパフォーマンス向上を目指す「カイゼン」も重要な課題として取り組んでいる。
これまで同社はスピードを最優先にシステムを構築してきたため、つぎはぎにつぎはぎを重ねたような状況になっており、効率性の点で大きな課題となっている。そこで、稼動の平準化のための仮想化、重複を避けるための機能のモジュール化を進め、トラフィック当たりのコスト低減を図る。
札幌に専門の組織を立上げ、プロジェクトをスタートさせた。
メタボ体質から脱却し、筋肉質に変身するための極めて重要な作業と位置付けている。
 
 
今後の注目点
同社及び同業他社の業績、時価総額、株価指標を比較してみた。
同社はPER、PBRではGMOペイメントゲイトウェイには及ばないものの、電算システム、東証1部を上回り、その成長性を高く評価されている。
ただ、売上規模ではほぼ同水準のGMOペイメントゲイトウェイを、時価総額、PER、PBRでは大きく下回っている。
 
 
そこで、最近企業評価の指標として重要性がさらに高まっているROEを見てみると、同社のROEは10%弱と、日本企業の中では高水準にあるものの、GMOペイメントゲイトウェイとは現時点では大きな開きが存在している。
 
 
ご存知のように、ROEは売上高純利益率、総資産回転率、レバレッジ(ここでは総資産を純資産で割ったものを使用)という3つの指標を掛け合わせたものとなる。
この表からわかるように、両社の売上高純利益率およびレバレッジの差がROEの差に繋がっている。

一般的にレバレッジは、借入金を増やすなど技術的な手法で上昇させることが出来るため、高レバレッジを要因とした高ROEは評価されないケースもある。
ただ、両社のビジネスモデルにおいては、収納代行預り金が、資産(現預金)、負債(預り金)の両建てで計上されているため、レバレッジが高いということは相対的に、純資産(純粋な企業規模)に比して、より多くの預り金が発生している(事業規模が大きい)ということを意味するとも解釈できるので、レバレッジの比較はあまり意味をなさないとも言える。
そうなると、やはりポイントは売上高純利益率となる。ROEのみが株価評価の要因ではないが、GMOペイメントゲイトウェイ並みのROE及び株価評価を得るには、収益性をいかにして引き上げるかが、注目点の一つになるとは言えるだろう。

同社は中期経営3か年計画の中で、最終年度(2016 年 6月期)の ROE目標を15%と設定している。
「バスIT化プロジェクト」および「カイゼン」を通じて更なる高収益企業を目指す同社の取組みを注視したい。
 
 
参考:中期経営3か年計画(2013年7月~2016年6月)について
 
2010年8月に前回の中期経営計画(2011年6月期~2015年6月期)を公表し実行してきたが、経営環境の変化に対応し、新たに「中期経営3か年計画」を策定した。
①前計画の検証
前経営計画の各戦略などに関し、現在までの進捗について以下のように自社評価している。
 
 
②環境認識と事業戦略
右肩上がりの成長率を維持しているEC市場を事業ドメインとしており、その中で確立した高い競争優位のスキームにより業績を伸ばしてきた。
一方で、事業スキームにもライフサイクルがあり、そのままでは陳腐化が避けられないため、今後も現状のビジネススキームのさらなる発展と新規事業開発へのチャレンジを続けていく。常に「可視化」による客観的評価を行う
ITの本質を、「価値生産者がエンドユーザーと直接結びつき、商品・サービスを、時間と場所の制約を超えて直接売買できるしくみ」と認識している。
快適かつ先進的な決済プラットフォームをコアとし、その周辺に事業領域を拡大することで継続的な利益成長を達成する。
 
③今後の成長戦略(事業開発・カイゼン)
成長を支える今後3年間の具体的な重点施策を、
①次世代を担うビジネススキームの確立
②カイゼン(機能拡充・システムの安定運用・コストパフォーマンスの向上=筋肉質の企業体質作り)の2つに分け、それぞれ以下の様な具体策を掲げている。
 
次世代を担うビジネススキームの開発
①バスの革新的直売モデルをバス事業者と一体となって推進
同社は2001年3月、都市間高速バスの予約済みチケットを24時間コンビニで購入できるサービスを日本で初めて実用化し、以降100社を超えるバス事業者と契約、数百路線のバスチケット発券を行っている。また、電子チケット領域においては航空券用ケータイチケットを皮切りに、たとえば札幌ドームなどでチケット発券・認証の実績とノウハウを積み重ねてきた。

これらノウハウの集大成ともいえる大規模な統合モデルを都市間高速バス向けに開発中。 都市間高速バスの市場規模は1~1.5兆円程度と同社では考えている。
このモデルはバス事業者・利用者双方の利便性を飛躍的に高めることができる革新的なサービスで、新たな需要も掘り起こすものであり、2014年春までにリリースする予定。
バス利用者は、安心・確実に目的地までのバス便を検索・予約できる一方、バス事業者も、効率的な在庫管理をリアルタイムで行い、販売機会の増大と確実な決済を行う事が出来る。
長年培ってきた信頼関係をベースにバス事業者と協働してマーケティング、プロモーションを行っていく。
②コンシューマ向けサービスの開発・提供
同社が手掛けてきた決済サービスのコアは、事業者向けの販売代金回収モデルが主流だが、これに加え便利なコンシェルジュ機能をスマートフォンのアプリケーションとして提供することで、支払者となるコンシューマ側に立った支払代行サービスの提供を開始する。2014年夏頃リリース予定。
 
カイゼン(機能拡充・システム安定運用・コストパフォーマンス向上)
③バリュートランスファープラットフォームの機能拡充(既存サービスの拡充)
指定された銀行口座へ入金することで瞬時に返金できる"ネットDE 受取"に加え、銀行口座以外で受取が可能となるような受取手段の拡充を目指す。
これにより銀行口座がなくても送金できるようになるため、送金ニーズに幅広く対応することができるようになる。
マルチペイメントサービスに新たな付加価値が加わることになるため、収納代行の拡大に繋がると考えている。
④システム安定運用・コストパフォーマンス向上
データセンターが処理するデータ量はここ数年飛躍的に増加。また同社サービスはリアルタイム処理が大きな特徴でもあることから、システムの安定運用は極めて重要と認識している。 そのため、「安定運用」と「運用コスト軽減」を同時に実現する社内体制の整備と教育訓練などを札幌事業所の重点課題として取り組む。
具体的には2年間をかけて開発した「原価構成分析システム」で可視化されたスキーム毎の設備投資効率・原価測定に基づき、運用の自動化・効率化を推進すると共に、必要に応じてサービスの統廃合を行っていく。
 
④成長シナリオ達成のための体制
成長戦略の両輪(「事業開発」と「カイゼン」)を強力かつスピーディーに推進するために、これら関連プロジェクトを社長直轄として推進する。
若手社員の積極的な登用とともに、必要な人材は外部にも求め「想いを共有できる人」を採用し、目標を達成できる体制を整える。
目的達成へのモチベーション高揚のためにストックオプションなど諸施策も有効に活用する。
会社としての存在意義と社員の行動指針を“ウェルネットアレテー”として定め、実効性のあるガバナンスを実現しているが、これを改めて徹底させる。
(アレテーとはギリシャ語で、「徳」、「優れた者」、「卓越したもの」を意味する。)
 
*ウェルネットアレテー
“あったら便利なしくみ”を作り続けることで社会に貢献します。
その「しくみ」を広く世の中に提案・普及させます。
そこから得た「利益」を社員、株主、次の投資として配分します。
*ウェルネット社員アレテー
既成概念にとらわれず発想します。
まず自分の頭で考え、全体最適な提案をします。
議論はオープンに行い「決めるべき人」が決め、組織として実行します。
「誰が」「何を」「いつまでに」を常に明確にします。
実行結果を検証し、さらに改善、を繰り返します。
報告は正直、正確、迅速に行います。
提供役務と対価を文書化して合意後に取引を行います。
清廉を旨とし、接待、贈り物を受けません。
 
⑤中期経営3か年計画の数値目標
◎営業利益目標 20億円(2016年6月期)
中期経営計画の初年度および2 年目は成長戦略の具体的重点諸施策への投資、特に「バスIT化プロジェクト」向けプロモーションに注力する事等から利益成長率は一時的に低下。
最終年度である2016年6月期に営業利益20億円(2013年6月期比143%)を確実に達成し、その後のさらなる利益成長の礎を築いていく。
 
 
M&Aについては、現時点で具体的な案件が無いためスケジュールしていないが、良い案件があれば積極的に推進し数値目標への上乗せを図る。
 
◎株主へ中期経営計画中の利益を100%還元
信用力維持、中核事業の拡充、新規事業開発の原資として今後も必要十分な手元資金は維持していくが、すでに財務面の健全性は十分に備わったと判断しており、今後は、株主への還元を今まで以上にダイナミックに行うこととし、中期経営計画中の利益は100%株主に還元する。
具体的には下記の2施策を実行する。
A) 中期経営計画中の配当性向を特殊要因は除いて、従来の 33.3%から50%に引き上げ、株主への安定的で高い配当利回りを目指す。
B) 税引後利益のうち、配当後残額のすべてを自己株式の取得・消却に充当し、利益の 100%を株主に還元する。
現状保有する自己株式は売渡請求用の自己株式、株式給付信託「J-ESOP」等を除き消却し、新たに取得した自己株式は、用途を目標達成のためのストックオプション等に限定し、その他は消却する。
 
◎ROE目標 15%(2016年6月期)
成長戦略の着実な推進、収益力の強化、配当額増加、自己株式の取得・消却を実施し、ROEの向上およびEPSの増加を目指す。
中期経営3か年計画最終年度(2016年6月期)の ROE目標を15%とする。