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ブリッジレポート:(2462)ジェイコムホールディングス vol.28

(2462:東証1部) ジェイコムホールディングス 企業HP
岡本 泰彦 社長
岡本 泰彦 社長

【ブリッジレポート vol.28】2014年5月期第3四半期業績レポート
取材概要「来年の話になるが、改正労働者派遣法が2015年4月1日に施行される。改正のポイントとしては、①専門26業種の区分をなくし派遣期間の上限を「業務・・・」続きは本文をご覧ください。
2014年5月13日掲載
企業基本情報
企業名
ジェイコムホールディングス株式会社
社長
岡本 泰彦
所在地
大阪市北区角田町8番1号 梅田阪急ビルオフィスタワー19階
決算期
5月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年5月 15,196 798 906 599
2012年5月 17,518 914 1,044 603
2011年5月 15,905 901 955 489
2010年5月 13,522 789 834 475
2009年5月 14,162 913 953 340
2008年5月 12,404 885 907 489
2007年5月 9,605 812 786 444
2006年5月 6,657 594 552 274
2005年5月 4,684 284 281 152
2004年5月 3,271 142 141 56
2003年5月 2,222 90 88 45
2002年5月 1,616 77 76 40
2001年5月 1,369 73 70 34
株式情報(4/30現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
745円 9,173,935株 6,835百万円 12.5% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 4.0% 15.04円 49.5倍 537.82円 1.5倍
※株価は4/30終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
ジェイコムホールディングスの2014年5月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
携帯電話業界やアパレル業界を中心にグループで総合人材サービス事業を展開しており、保育や介護等の分野を育成中。「…planning the Future ~人を活かし、未来を創造する~」をジェイコムグループの経営理念に掲げ、より多くの人々に就業機会を提供するべく、M&Aや事業提携を積極的に進めサービス領域を広げている。

グループは、純粋持株会社である同社の他、派遣や業務請負等の総合人材サービスと携帯電話キャリアショップの運営を手掛けるジェイコム(株)、及び事務職を中心とした人材派遣・人材紹介やビジネススクール事業を手掛ける(株)エースタッフ、13年10月4日に、投資事業を行う連結子会社が子会社化した(ジェイコムホールディングス(株)の孫会社)、介護施設運営の(株)サンライズ・ヴィラと、介護施設の食堂等を手掛けるジャパンコントラクトフード(株)の連結子会社5社。持分法適用関連会社サクセスホールディングス(株)とその傘下で認可保育園等の運営を手掛ける(株)サクセスアカデミー。
 
【事業セグメント】
事業セグメントは、人材派遣、業務受託、紹介予定・職業紹介等の総合人材サービス事業と、携帯電話キャリアショップ運営のマルチメディアサービス事業に分かれ、13/5期は前者が連結売上高の約96%を占めた。また、総合人材サービス事業は、契約形態別に、派遣契約、業務委託契約(同社から見た場合、業務受託)、及び紹介予定・職業紹介契約に分かれ、セグメント内の売上構成比(13/5期、以下同じ)は、それぞれ63.9%、34.5%、1.6%。一方、業界別では、携帯電話業界86.3%、アパレル業界8.4%、情報通信業界2.1%等。また、地域別では、東日本地区48.8%、西日本地区40.1%、東海地区11.1%。
 
【強みと成長戦略】
主力の携帯電話業界向け人材サービスにおいては、業界特化により蓄積してきたノウハウ、コミットした販売台数の達成率を含めた豊富な営業実績、更には接客だけでなく在庫管理や人員配置など販売に関する全業務への対応力といったサービス面でのアドバンテージに加え、安定した資本力(無借金経営)や東証一部上場企業ならではのコンプライアンスといった非サービス面での強みを有する。現在、この磐石な事業基盤を背景に第2の柱であるアパレル業界向けが伸びている他、第3の柱の育成に取り組んでおり、保育業界や介護業界向けでも成果を挙げつつある。
 
【若年層のステップアップを支援】
総合人材サービス事業では、派遣社員等やアルバイトを受け入れる企業側のメリットだけを追求するのではなく、働く側のキャリアアップにも配慮している。具体的には、派遣社員もしくはアルバイトとして採用した社会経験の浅い学生やフリーター等の若年層を、教育やOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)により勤続年数に応じてステップアップさせ、最終的には希望する職業へ正社員として就職できるよう支援するシステムが構築されている。
 
 
2014年5月期第3四半期決算
 
 
前年同期比9.5%の減収、同59.3%の経常減益
連結売上高は前年同期比9.5%減の105億44百万円。第3四半期(12-2月)より介護関連2社の損益計算書を連結した事が前年同期比10%弱の減収要因となった他(介護関連サービスとして売上高11億40百万円を計上)、マルチメディアサービス事業の売上も4億64百万円と同5.0%増加したものの、販売職の人材確保が想定通りに進まなかった携帯電話業界向けを中心に総合人材サービス事業の売上が89億38百万円と同20.3%減少した。

尚、13年10月に介護施設運営の(株)サンライズ・ヴィラ及び食堂・給食の運営受託を手掛けるジャパンコントラクトフード(株)を子会社化しており、第2四半期(9-11月)より貸借対照表の連結を開始し、第3四半期より損益計算書の連結を開始した。

利益面では、適正価格での受注に取り組んだ結果、総合人材サービス事業の売上総利益が1.1ポイント改善したものの、介護関連サービス2社の連結直後の整備により連結ベースでは売上総利益率が低下。2社の子会社化に伴い発生した「のれん」の償却費や早期収益化に向けた営業・管理両面での体制整備にかかる費用が利益を圧迫。また、グループをあげて保育・介護業界向けサービスを第3の柱として確立するべく実施した人員の拡充等の先行投資も負担となった。
 
 
 
(2)総合人材サービスの動向
契約形態別では、人材確保での苦戦と適正価格での受注にこだわった事で業務委託契約が前年同期比44.9%減と落ち込んだ他、派遣契約も同8.5%減少。一方、保育・介護業界をはじめ、正社員の確保に苦戦する顧客向けに紹介予定・職業紹介契約が同70.3%増加した。

業界別では、人材需要が増加した金融、保育、介護、及びその他業界向けが増加したものの、前期に発生した一部通信キャリアによる直雇用化や受託案件の一部終了の影響が残る中、販売職を希望する求職者の減少で人材確保が進まなかった携帯電話業界向けが前年同期比26.1%減少。アパレル業界向けサービスも、一部の大口顧客の派遣利用停止で同8.9%減少した。

顧客別では、携帯電話関連が前年同期比26.1%と落ち込んだ。このうち、携帯キャリア向けは前期に発生した一部キャリアの直雇用化や受託案件の一部終了の影響で前年同期比19.9%減少。人材確保での苦戦と適正価格での受注にこだわった事で販売代理店向けも減少した。

地域別では、携帯電話業界向けの苦戦が響き、全国的に売上が減少した。
 
 
 
 
(株)サンライズ・ヴィラ及びジャパンコントラクトフード(株)を子会社化した事で、第3四半期末の総資産は81億17百万円と前期末に比べて18億91百万円増加した。有利子負債は子会社の借入金及び社債であり、同社及び上記2社以外の子会社は無借金経営を続けている。上記2社の子会社化に伴う利益剰余金の減少と少数株主持分の発生で純資産が減少したため、自己資本比率は58.5%と前期末に比べて22.0ポイント低下した。
 
 
 
 
2014年5月期業績予想
 
 
介護関連子会社の体制整備に伴う先行投資が利益を圧迫
第3四半期決算を踏まえて通期業績予想を下方修正した。売上高は前期比2.6%減の148億円。介護関連2社の連結で24億25百万円が上乗せされるものの、携帯電話の販売職希望の人材不足等で携帯電話業界向けの売上が前期の125億80百万円から減少するとみている。適正価格での受注に努める事で売上総利益率が改善する見込みだが、減収の影響と販管費の増加で営業利益は1億96百万円と同75.5%減少する見込み。

尚、第4四半期(3-5月)は、第3四半期並みの売上高を予想している。営業損益は若干の改善が見込まれるものの、介護関連2社の初期投資分をカバーするには至らないとみている。

配当は1株当たり15円の期末配当を維持する考えで、上期末配当と合わせて年30円となる見込み。同社は、財務体質の更なる強化と事業への再投資による企業価値の向上を図りつつ、積極的かつタイムリーに利益還元していく事で株主に報いていく考え。この考えの下、連結配当性向35%以上を目標に(14/5期は予想ベースで約200%)、上期末配当及び期末配当の年2回の配当を実施している。
 
 
携帯電話業界
携帯電話業界では販売員の需要が増加しているが、飲食業界等、他業界での賃金上昇等もあり、販売職希望の求職者が減少傾向にある。同社は、従来からの採用チャネルに加え、既存スタッフからの紹介等にも力を入れており、また、既存スタッフの定着率向上に向け、研修体制の強化やスタッフが働きやすい環境づくりにも取り組んでいる。この他、未経験者を企業で必要とされる人材に育成する同社ならではのノウハウを活かした教育により、働く人材の育成にも努めている。
 
アパレル業界
13年9月1日を効力発生日として、アパレル業界向け人材サービスの(株)アイ・エフ・シーをジェイコム(株)が吸収合併した。(株)アイ・エフ・シーは、住金物産(株)〔13年10月1日より日鉄住金物産(株)〕の100%子会社としてアパレル業界でのデザイナーやパタンナー等の人材紹介実績を積み上げてきた。アパレル業界向けサービスをジェイコム(株)に一本化する事で競争力の強化とグループ経営の効率化を図っていく考え。
尚、第3四半期累計期間は、一部の大口顧客の派遣利用停止で売上が減少したものの、業界での知名度向上に伴い大口顧客との取引額・取引者数は増加傾向にある。大手顧客から店舗での販売業務の一括請負を受注する等、取引内容が多様化している事に加え、高級ブランド店やコスメ関係からの引き合いも増加している。採用も順調で、採用増⇒新規開拓⇒採用増と、好環が続いている。
 
保育業界
モバイル・アパレルに次ぐ第3の柱とするべく育成中の保育業界向けは、持分法適用関連会社のサクセスホールディングス(株)が子会社サクセスアカデミー(株)を通して受託保育事業と公的保育事業を手掛けており、ジェイコム(株)が保育士紹介・派遣等の人材サービスを提供している。
保育業界は、待機児童解消を目指す国の後押しもあり事業環境は良好だが、保育士不足がボトルネックになっている。このため、サクセスホールディングス(株)は、成長のカギとなる保育士確保に向け、ジェイコム(株)と連携を強化している。ジェイコム(株)は、サクセスホールディングス(株)が有する人材採用ノウハウを活かして人材と案件のマッチング力を高め、グループ外企業が運営する保育施設へも保育士紹介・派遣等の人材サービスを拡大させていく。尚、サクセスホールディングス(株)は14年4月に東証1部に上場した。
 
介護業界
ジェイコム(株)が介護業界向けサービスを提供しているが、人材採用及び教育ノウハウの取得や介護業界での知名度の向上等、シナジー効果が期待できる事から、13年10月4日に連結子会社ACAヘルスケア・再編1号投資事業有限責任組合が、介護施設を運営する(株)サンライズ・ヴィラ、食堂運営や給食サービス等を手掛けるジャパンコントラクトフード(株)を子会社化した(共に発行済株式総数の87%を取得。ジェイコムホールディングス(株)の孫会社となる)。介護施設の運営会社だけでなく、人材の確保や入居者向けサービス等、関連サービスへの展開も視野に入れている。スピード感のある事業展開を可能にするため、営業・管理の両面において体制強化を進めている。
 
(3)介護・保育等の人材不足解消に向けた中長期戦略
介護・保育業界では人材不足がサービス拡充のボトルネックとなっており、社会的な問題として議論もされている。同社は、これまでに蓄積してきた「未経験者を働く人材へと育成する」ノウハウを活かして介護・保育等の人材育成に取り組み、紹介・派遣とのシナジーを高めていく考え。

現状の介護・保育業界の求職者は未経験や無資格が大半で戦力化が難しい。このため、自ら運営する資格取得学校の介護職員初任者研修講座等を通じて資格取得から支援していく考えで、バックアップ受講料割引やキャッシュバック等の負担軽減策の導入でエントリーしやすい環境の整備も進んでいる。資格取得後は企業ニーズと求職者の経験を踏まえてマッチングさせる事でスキル不足や経験不足等の課題解決をサポートし、有資格・経験者の育成と囲い込みを図る。更に、こうした育成実績と東証1部の信用力や総合人材サービスの実績によるシナジーを追求する事で、全国展開のネットワークでの希少な人材の確保につなげていく。
 
 
今後の注目点
来年の話になるが、改正労働者派遣法が2015年4月1日に施行される。改正のポイントとしては、①専門26業種の区分をなくし派遣期間の上限を「業務」から「人」へ(キャリア形成の実現機会が増えるため、登録者の増加が見込まれる)、②常用雇用された人は派遣先で期限なく働く事が可能(常用雇用に転換するケースでは派遣会社の負担が増加)、③有期雇用された人は派遣先で最長3年働く事が可能、④派遣元に対し計画的な教育訓練、キャリアコンサルティングの義務付け、及び⑤全ての派遣事業者を許可制にする(許可基準は純資産額が20百万円、現預金額が15百万円以上等)等を挙げる事ができる。
今回の改正で企業が外部労働力を活用しやすくなるため人材派遣会社のビジネスチャンスが拡大するが、④と⑤の影響で、教育できる派遣会社に対する評価とニーズの高まりが予想される事に加え、財務基準も設定されるため、業界の再編・淘汰が進む可能性がある。整備された教育体制と上場企業としての優れた財務基盤を有する同社は、規制緩和+αの恩恵を享受できるのではないだろうか。