ブリッジレポート
(2708) 株式会社久世

JASDAQ

ブリッジレポート:(2708)久世 vol.14

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久世 健吉 社長
久世 健吉 社長

【ブリッジレポート vol.14】2015年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「売上総利益率が底打ちから回復に向かう一方、販管費率がピークアウトした事を確認できた。売上総利益率の改善は仕入価格上昇分の価格転嫁や代・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年3月10日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社久世
社長
久世 健吉
所在地
東京都豊島区東池袋2-29-7
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2014年3月 62,268 41 238 100
2013年3月 56,060 544 697 367
2012年3月 51,053 380 408 173
2011年3月 46,774 230 342 80
2010年3月 42,666 271 394 123
2009年3月 42,181 225 334 171
2008年3月 42,540 283 443 240
2007年3月 42,847 402 507 262
2006年3月 41,491 336 390 246
2005年3月 39,087 255 297 126
株式情報(2/16現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
715円 3,878,979株 2,773百万円 2.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.7% - - 1,235.43円 0.6倍
※株価は2/16終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
久世の2015年3月期第3四半期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループでソース、ブイヨン、スープ及び調理食品など食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。
グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、築地市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社5社、及び水産物売買業の豊洲フーズ(株)、中国での業務用食材卸売事業を描ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区では6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと業務提携している(12年6月)。
 
 
【事業内容】
事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、14/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.4%、7.4%、0.2%。また、販売チャンネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ29.2%、ディナーレストラン・ホテル・会館20.7%、惣菜・デリカ・娯楽施設・ケータリング14.8%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ35.3%。

食材卸売事業では、取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。
一方、食材製造事業では、連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。
 
【フードサービスソリューションカンパニーを標榜
   -運ぶ、つくる、考える。そして品質管理- 】
同社は 「頼れる食のパートナー」 として、品質管理に努めると共に、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、仕入・物流、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フード・サービス・ソリューション・カンパニー」である。
 
「運ぶ」  料理のプロの多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から沖縄まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。
「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、料理のプロの多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。
 
 
「つくる」  商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。
 
 
「考える」  情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、食材セミナー(毎月1回)やプロ向け展示会「Food Service Solution」(年2回)の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。
 
「品質管理」  商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社が、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、お客様満足度No.1を目指している。
 
【2020年3月期 売上高1,000億円を目指して】
同社の推計では、国内の業務用食材市場は約4兆円で、同社のシェアは未だ1.3%に過ぎない(首都圏に限っても、約3.2%のシェアにとどまる)。成熟した国内業務用食材市場ではあるが、同社にとって広大な市場であり、「三大都市圏NO.1」と「お客様満足度NO.1」を目指す事で業容拡大を図っていく考え。

また、キスコフーズ インターナショナル リミテッド(ニュージーランド)製品の、東南アジア、中国、中近東等への展開(日本を経由せず直接輸出)や中国での業務用食材卸事業の育成で海外事業も拡大させ、創業85周年を迎える20/3期に売上高1,000億円の達成したい考え。目標達成に向けた基本戦略として、国内外での攻めの営業体制の確立、商品開発を軸とした戦略推進、及び1,000億企業への体制構築を挙げている。
 
 
*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。
 
この数年、同社は売上の高い伸びを背景にした利益率と資産効率の改善で同業他社を上回るROEを実現してきたが、14/3期(13年度)は利益率の悪化でROEが低下した。仕入価格の上昇や労務費・燃料費の増加に加え、顧客ニーズへの対応に追われ採算管理が甘くなった事が原因だ。ただ、13年度は同業他社も利益率の悪化でROEが低下している事から、事業環境の悪化によるところも大きかったと思われる。
成長軌道への回帰に向け、現在、物流改革と顧客毎の採算管理の強化に取り組んでいる。この取り組みは1,000億企業への体制構築にもつながるもので、当面は前向きな踊り場が続く見込み。
 
 
 
2015年3月期第3四半期決算
 
 
前年同期比10.4%の増収、同273%の経常増益
既存顧客の深耕と新規顧客の開拓が進んだ食材卸売事業をけん引役に売上高が前年同期比10.4%増加。第1四半期(4-6月)を底とする売上総利益率の改善が続く一方、上昇が続いていた販管費率がピークアウト。これにより、営業損益が4四半期ぶりに黒字化し、5四半期ぶりに前年同期の実績を上回った。

セグメント別では、食材卸売事業が売上高168億59百万円(前年同期比11.0%増)、セグメント利益1百万円(前年同期はセグメント利益64百万円)、食材製造事業が売上高15億14百万円(同3.9%増)、セグメント利益2億19百万円(同39.5%増)、不動産賃貸事業が売上高3百万円、セグメント利益29百万円。
 
 
 
 
 
 
上期の苦戦が響き、前年同期比10.2%の増収ながら、1億20百万円の経常損失
売上高は前年同期比10.2%増の519億68百万円。食材卸売事業の売上が同10.5%増の481億59百万円と高い伸びを示す中、食材製造事業の売上も自社ブランド商品の販売強化が成果をあげ37億99百万円と同6.0%増加した。

営業損益は2億47百万円の損失(前年同期は75百万円の利益)。売上総利益率が前年同期と同水準に回復したものの、物流費を中心にした増加した販管費をカバーするには至らなかった。セグメント別では、食材製造事業の営業利益が売上の増加とコストダウンにより3億75百万円と同23.0%増加したものの、前年同期は3億52百万円を計上した食材卸売事業の営業損益が上期の苦戦で4百万円の損失となった(セグメント別の営業損益は連結調整前)。
 
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて61億46百万円増の251億49百万円。仕入債務の増加によるキャッシュ・フローの改善で現預金が増加した。短期的な支払い能力を示す流動比率は110.4%(前期末118.9%)。一方、長期的な財務の安定性を示す固定比率118.3%(同101.0%)。流動性に富み、かつ、長期的な安全性にも優れた財務体質は同社の強みの一つである。
 
 
2015年3月期業績予想
 
 
通期業績予想に変更はなく、前期比10.0%の増収、1億75百万円の経常損失(前年同期は2億38百万円の利益)
売上総利益率の改善や物流改革の成果が顕在化しつつあるものの、価格、物流フィー、店着時間等、顧客別の交渉が進行中である事等を踏まえて、上期決算発表時に修正した通期の業績予想を据え置いた。配当は1株当たり12円の期末配当を予定している。
 
 
今後の注目点
売上総利益率が底打ちから回復に向かう一方、販管費率がピークアウトした事を確認できた。売上総利益率の改善は仕入価格上昇分の価格転嫁や代替え商品の提案営業が軌道化してきた事を示しており、販管費率のピークアウトは、庫内作業、配送管理、配車最適化等の物流改革の成果が顕在化しつつある事や価格、物流フィー、店着時間等、顧客別の交渉が進展している事を示すものと考える。また、四半期ベースの売上高が過去最高を更新している事から、攻めの営業を展開しつつ、収益性の改善が図られていると理解する。利益重視のあまり営業が委縮するリスクを警戒していたが、杞憂に終わった。第4四半期もこのトレンドを維持できれば、成長軌道への回帰が鮮明になってくるものと思われる。