ブリッジレポート
(6065) ライクキッズネクスト株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(6065)サクセスホールディングス vol.7

(6065:東証1部) サクセスホールディングス 企業HP
柴野 豪男 会長
柴野 豪男 会長
野口 洋 社長
野口 洋 社長
【ブリッジレポート vol.7】2014年12月期業績レポート
取材概要「認可保育園の新規開設には、建築関連費用や備品類の購入、保育士等の採用活動費といった開園準備費用を要する。このため、積極的な施設の開設・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年5月12日掲載
企業基本情報
企業名
サクセスホールディングス株式会社
取締役会長
柴野 豪男
代表取締役社長
野口 洋
所在地
神奈川県藤沢市鵠沼石上1-1-15 藤沢リラビル3階
決算期
12月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2013年12月 8,673 559 705 400
2012年12月 7,248 412 660 353
2011年12月 6,006 362 491 256
2010年12月 5,237 185 178 33
株式情報(4/3現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,212円 5,240,956株 6,352百万円 26.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 2.5% 70.36円 17.2倍 378.49円 3.2倍
※株価は4/3終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
サクセスホールディングスの2014年12月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
持株会社である同社と事業会社の(株)サクセスアカデミー(100%子会社)の2社でグループを構成。「人から"ありがとう"といわれるサービスを提供する」をグループ理念に掲げ、「子育て支援」を根幹とする総合的ライフスタイルサポート事業の展開を目指している。
 
【事業内容】
病院・大学・企業等の事業所内保育施設を受託運営する受託保育事業と、「にじいろ保育園」ブランドの認可・認証保育園等(この他、学童クラブ、児童館、全児童対象施設)を運営する公的保育事業を2本柱とし、14/12期の売上構成比は、それぞれ36.6%、63.4%。14/12期期末施設数は255施設(受託保育事業167施設・公的保育事業88施設)
 
受託保育事業 委託先の予算や要望に合わせた保育設計と利用者の勤務に合わせた柔軟な開園時間
病院や大学、老人介護施設、企業などが設置主体となる保育施設の運営受託事業。委託先の要望に応え、様々な規模や利用時間、保育内容を実現する。委託先の予算や要望に合わせた保育設計を特徴としており、利用定員数や施設場所、利用時間帯、保育の内容など、様々な要望に応えている(10名未満の小規模施設、既存社宅・寮を改装した保育所、外国語対応の保育士の配置等)。また、利用者の勤務に合わせた柔軟な開園時間も特徴で、「保育所」が利用者の勤務時間に与える制約を解消する(例:土日祝日、深夜早朝の利用)。初めて事業所内保育を始める事業者だけではなく、既に自営している事業者からも、きめ細かな保育施設の運営が評価されている。尚、受託する保育施設は、「設置主体従業員」の“福利厚生施設”として設置され、同社は運営料支払いを受ける。施設が一定の条件を満たしていれば、設置主体には助成金が支給される。14/12期期末施設数は167施設。内訳は、院内保育143施設、事業所内保育等24施設。
 
主な取引先
国立・公立大学病院 東京大学、大阪大学、東北大学、筑波大学、神戸大学、千葉大学、富山大学、福井大学など
私立大学病院 東京医科大学、東海大学、帝京大学、日本医科大学、東邦大学、自治医科大学など
医療法人等 虎の門病院、三宿病院、立川病院、聖隷佐倉市民病院、河北総合病院、長津田厚生総合病院など
大学 東京大学、大阪大学、神戸大学、福井大学、電気通信大学、群馬大学など
企業 武田薬品工業株式会社など
 
公的保育事業 認可保育園などの公的保育施設の運営
「にじいろ保育園」ブランドで展開する「認可保育所」や「認証保育所」に加え、「小規模保育施設」、「学童保育」、「児童館」等の保育施設運営を行っている。14/12期期末施設数は88施設(認可・認証保育園48施設、学童クラブ・児童館27施設、小規模保育等13施設)。
「認可保育所」は、運営する同社、利用者共に自治体との契約となる。利用者は自治体(市区町村)に申し込み、保育料を市区町村に支払う。一方、同社は自らの負担で施設を整備し、自治体から施設運営料の支払いを受ける。自治体によっては設備補助金制度があり、また、自治体によって施設運営料は異なるが、基本的に回収リスクはない。
「認証保育所」はスペースの制約から「認可保育所」の設置が難しい東京都の制度で、横浜や川崎(共に神奈川県)等にも類似した保育所制度がある。利用者は個別に施設運営者と契約し、同社は利用者から徴収する利用料と自治体からの補助金が収益となる(「小規模保育施設」は、認証保育所と同様のスキーム)。
 
主な取引先
【東京都】 練馬区、中央区、大田区、目黒区、杉並区、品川区、江戸川区、
中野区、新宿区、調布市、三鷹市、小平市、町田市、小金井市
【神奈川県】 横浜市、川崎市、藤沢市、横須賀市、逗子市
【千葉県】 浦安市、佐倉市
【愛知県】 名古屋市
【宮城県】 仙台市
 
 
【サクセスホールディングスの6つの強み】
従量制の請求方法
事業所内保育を自営すると利用者の不規則な勤務時間に合わせた保育施設の運用が負担になるため、保育施設の利用者数、利用時間を制限する事になってしまう(利用者の少ない土日は閉園、夜19時以降は利用不可等)。一方、同社の保育施設は従量制による請求のため、利用時間と利用者数に従って委託先に請求する。このため、会社側は、「日曜も利用したい。しかし、少人数」、「毎日ではないが、夜勤時間も使いたい」、「幼稚園利用時間の前後で使いたい」といった従業員の多様な要望に応える事ができる。
 
自然共育(しぜんともいく)を軸とした保育
子どもたちの成長に欠かせない自然体験を通じた「自然共育」(商標登録)を軸とした保育に取り組む事で、子どもたちの感性、優しさ、考える力等、人としての基盤を育んでいる。
 
24時間365日の運営対応
事業所内保育を自営すると土日祝日や深夜早朝も営業している職場においては、一般的な認可保育園だけでは働きながら子育てが難しい。しかし、24時間365日利用可能とすると、保育士のシフト管理も煩雑になる。一方、病院内保育施設運営で豊富な実績を有する同社は柔軟な利用時間に対応できる。現在、「24時間365日利用したい」、「夜勤は月曜、木曜だけ」等、様々な要望に合わせた施設運営を実施している。
 
255通りの運営スタイル
急性期病院では夜勤や365日の要望がり、研究者や留学生の利用が多い大学では、英語対応や給食等の保育内容に対する要望等、受託保育(事業所内保育)は、委託事業者毎に事情が異なる。利用者の要望に合わせ、施設運営を続けてきた結果、運営スタイルも多様になった。
 
IT化による運営管理システム
従量制の請求、委託先の要望に応じた運営、24時間365日の保育等を実現するにはITを活用した運営管理が必須。しかし、既存ソフトには同社のニーズを満たすものが見つからないため自社でシステムを開発した。保育士の事務業務の軽減を図ると共に園の運営管理機能を強化した。主な機能は、児童の登降園情報、シフト作成管理、従業員勤怠管理、請求書作成、児童・従業員情報等。
 
優秀な人材と充実した研修・育成制度
保育園を支えているのは保育士である。このため同社は様々な内容規模で研修を実施しており、同社の保育士は保育の実践経験と様々な研修を経て成長していく。
 
 
事業環境
 
【事業環境】
「男女共同参画白書 平成25年版」によると、平成に入り「共働き世帯数」が「男性雇用者と無業の妻からなる世帯数」を逆転し、現在は共働き世帯が大幅に増えている。一方、「厚生労働省平成24年国民生活基礎調査の概況」によると、子供のいる世帯の年収は平成8年をピークに低下傾向にある。この結果、子供がいる共働き世帯が増加し、保育所利用児童数も増加傾向にあるが、保育所の整備が追い付いておらず、保育所に入れない待機児童の増加が社会問題化している事は周知の通り。待機児童数は、2010年の26,275人をピークに漸減傾向にはあるものの、14年末で21,371人と待機児童問題の解消には程遠い状態。地域別では、地方での待機児童解消は緩やかに進む一方、東京都が増加傾向にある(厚生労働省「保育所関連状況取りまとめ」:平成26年4月1日)。
 
首都圏の待機児童数11,907人
東京都8,672人、埼玉県905人、千葉県1,251人、神奈川県1,079人
 
 
【待機児童解消に向けた施策】
待機児童解消加速化プラン
2013年6月、2013年度から2017(平成29)年度にかけての5年で40万人分の保育の受け皿を確保し、従来の計画よりも2年前倒しで待機児童の解消を目指す「待機児童解消加速化プラン」が内閣府から公表された。
 
 
子ども・子育て支援新制度
2015年度(平成27年度)には「子ども・子育て支援新制度」も始まる。「子ども・子育て支援新制度」とは、2012年(平成24年)8月に成立した「子ども・子育て支援法」、「認定こども園法の一部改正」、「子ども・子育て支援法及び認定こども園法の一部改正法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」の子ども・子育て関連3法に基づく制度の事で、同社が強みを有する事業所内保育も給付対象となる(従来は、一定の条件を満たした一部施設にのみ給付されていた)。
 
子ども・子育て支援新制度では、幼稚園、保育所、認定こども園への給付に加え、待機児童解消に向け、施設の拡充を加速させるため、居宅訪問型教育、家庭的保育、小規模保育、事業所内保育といった小規模な施設も給付の対象となった。
 
「子ども・子育て支援新制度」の下で、保育士確保のための取り組みである「保育士確保プラン」や保育の担い手を増やす事を目的とした認定制度「子育て支援員」の導入も発表されている。「保育士確保プラン」では国全体で新たに確保が必要となる保育士の数を6.9万人と推計し、保育士資格取得支援や保育士試験の年2回実施(現在は年1回)、更には保育士の待遇改善等、保育士の確保に向けた具体的な施策が示されている。一方、「子育て支援員」は、子育てが一段落した主婦に20~25時間の研修を受講してもらい(子育て支援員として登録)、保育現場で働いてもらおうという制度。この資格は認可園では働けず、小規模保育所や事業所内保育所、家庭的保育、学童クラブ等での勤務となるが、事業所内保育施設を数多く運営している同社にとっては期待の持てる制度である。
 
【シェア拡大余地が大きい株式会社運営の認可保育所 -シェアは未だ2%弱-】
株式会社が運営する認可保育所のシェアは上昇傾向にあるが、株式会社の比率は2013年で未だ1.97%程度に過ぎない。競合他社をみると、2012年度の業界1位がJPホールディングス(売上高157億47百万円)、2位こどもの森(同92億50百万円)、3位同社(同86億73百万円)、4位ピジョン(72億40百万円)。2011年に同社は順位を一つ上げたが、過去数年間、保育業界上位の顔ぶれは変わらない。
 
 
 
2014年12月期決算
 
 
前期比16.6%の増収、同3.3%の経常増益
受託保育12施設、認可保育園8施設、学童クラブ4施設、小規模保育4施設の計28施設の運営を新たに開始。施設数の増加で売上高が101億13百万円と前期比16.6%増加した。利益面では、新規開設の準備費用や募集採用費が負担となり、営業利益が3億69百万円と同34.0%減少したものの、設備補助金収入の増加(1億82百万円→3億27百万円)による営業外収益の増加と税負担の減少で当期純利益は前期と同水準(同1.0%減)の3億96百万円を確保した。1株当たり当期純利益は75.75円(前期:76.49円)。
 
 
新たに稼働した12施設の寄与で売上高が37億01百万円と前期比4.7%増加したものの、人件費及び募集採用費の増加が負担となり、営業利益は3億28百万円と同17.3%減少した。
 
 
新たに稼働した16施設(認可保育園8施設、学童4施設、小規模保育4施設)の寄与で売上高が64億11百万円と前期比24.8%増加したものの、新規開設費用及び募集採用費の増加が負担となり、営業利益が5億58百万円と同4.7%減少した。
 
 
期末の総資産は前期末に比べて21億57百万円増の76億42百万円。公的保育事業における新規施設の設備投資により、総資産が増加すると共に、借入金が増加し総負債が増加。利益計上により、純資産も増加した。自己資本比率は26.0%(前期末31.3%)。
 
 
税負担が減少する一方、補助金収入が増加した事で営業CFが増加したものの、設備投資の増加でフリーCFは7億84百万円のマイナスとなった。一方、財務CFは12億01百万円の黒字。長期借入金の積み増しで資金需要に対応した。
 
 
東証発表の「決算短信集計」によると、14年8月15日現在の東証1部、東証2部、及びマザーズ上場企業の13年度のROEは、金融を除く全産業8.58%(前期は5.30%)、製造業8.47%(同4.78%)、非製造業8.74%(同6.04%)。同社のROEは東証上場企業の平均を大きく上回っている。

また、同業のJPホールディングス(2749)との比較でも、利益率では一歩譲るが、高い資産効率(受託保育事業を手掛けている事が要因と思われる)を実現すると共にレバレッジを効かせる事で、JPホールディングス(2749)を上回るROEを実現している。ただ、売上高(JPホールディングス/同社=1.6倍)、当期純利益(同2.2倍)、総資産(同1.8倍)、自己資本(同2.6倍)、と事業規模や財務基盤の厚みで差は大きい。

ROEも事業の拡大と自己資本の充実と共に低下傾向にあり、今後、業容を拡大させつつ、高いROEを維持できるかが注目される。
 
 
2015年12月期業績予想
 
【代表取締役の異動】
2015年1月1日付けで野口 洋 取締役管理部長が代表取締役社長に就任した。待機児童問題など我が国の子ども・子育てをめぐる様々な課題を解決するために、2015年度から「子ども・子育て支援新制度」が予定されており、保育事業の経営環境も大きな転機を迎える。今回の代表取締役の異動は、環境の変化に迅速に対応し、更なる事業の拡大を図るべく、経営体制を強化するものだ。
尚、代表取締役社長を務めていた柴野 豪男氏は、同日付けで取締役会長に就任した。

代表取締役社長に就任した野口 洋氏は、1991年10月にセンチュリー監査法人(現 新日本有限責任監査法人)に入所。アミタ株式会社(現アミタホールディングス株式会社)を経て、2010年5月に株式会社サクセスアカデミーに入社。執行役員管理部長、取締役管理部長を歴任された。
 
 
前期比12.5%の増収、同3.5%の経常減益
最もニーズが高い認可保育所9施設、学童保育6施設、及び受託保育13施設程度(相手先の都合で変動する可能性がある)の新規開設を予定しており、施設数の増加で売上高が113億75百万円と前期比12.5%増加する見込み。セグメント別の売上の見通しは、受託保育事業の売上が同11.2%増の41億15百万円、公的保育事業の売上が同13.2%増の72億60百万円。

新規開園に伴う建築関連費用や備品類の購入費用、更には保育士等の採用活動費といった開園準備費用が負担となり営業利益が2億33百万円と同36.8%減少するものの、営業外収益に計上する設備補助金収入の寄与で経常利益は同3.5%減の6億58百万円を確保できる見込み。この結果、1株当たり当期純利益は70.36円が見込まれる(前期:75.75円)。

配当は、1株当たり上期末15円、期末15円の年30円を予定している。同社は配当と内部留保充実のバランスを総合的に判断し、業績や設備投資の進捗等を見ながら柔軟に対応していく考え。
 
 
 
既存市場の深耕と新規市場の拡大に取り組む。既存市場の深耕では、広域エリアで受託保育の拡充を図ると共に、ニーズの多い首都圏を中心に公的保育の新規施設の開設を進める。また、新規サービスとして、施設を利用している保護者に対する保育以外の子育て支援サービスの事業化に向け準備を進めている。

一方、新規市場の拡大では、法的にも追い風が吹いてきた受託保育において企業向け事業所内保育の拡充を図り、公的保育においては、株式会社の公的保育施設の運営実績がない自治体で小規模保育施設の運営実績の積み上げを図る。また、新規サービスでは、保育の実践ノウハウ紹介サイト「保育の引き出し」を開設した他、保育事業でのノウハウを活かした行政機関等から要望の多い研修事業等の準備を進めている。
 
(3)ジェイコムグループとの連携
保育業界は、待機児童解消を目指す国の後押しもあり事業環境は良好だが、保育士が不足しボトルネックになっている。このため同社はジェイコムホールディングス傘下の人材サービス会社ジェイコム(株)との連携を強化している。
具体的には、同社が保育サービスのノウハウと保育士採用で豊富な経験を持つ人材をジェイコム(株)に転籍させ、ジェイコム(株)が同社の採用活動を代行している。ジェイコム(株)は、サクセスホールディングス(株)が有する人材採用ノウハウを活かして人材と案件のマッチング力を高め、グループ外企業が運営する保育施設へも保育士紹介・派遣等の人材サービスを拡大させていく考えだ。
 
 
 
今後の注目点
認可保育園の新規開設には、建築関連費用や備品類の購入、保育士等の採用活動費といった開園準備費用を要する。このため、積極的な施設の開設は目先の利益圧迫要因となるが、同社は待機児童解消に寄与するべく新規開設を積極的に進めていく考え。もちろん、中期的には、社会貢献だけでなく、優良資産の積み上げによる業容の拡大と収益基盤の安定化で株主にも報いる事ができる。
また、2015年度に本格的にスタートする「子ども・子育て支援新制度」では、同社が強みを有する事業所内保育が助成金の給付対象となるため、受託保育事業の収益性改善に寄与するものと思われる。