ブリッジレポート
(2708) 株式会社久世

JASDAQ

ブリッジレポート:(2708)久世 vol.15

(2708:JASDAQ) 久世 企業HP
久世 健吉 社長
久世 健吉 社長

【ブリッジレポート vol.15】2015年3月期業績レポート
取材概要「同社の売上高は06/3期から10/3期にかけて410億円から430億円のボックス圏で推移したが、第1次C&G中期経営計画「意識・行動改革」(10/3~12/3)・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月16日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社久世
社長
久世 健吉
所在地
東京都豊島区東池袋2-29-7
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 68,044 -365 -199 -412
2014年3月 62,268 41 238 100
2013年3月 56,060 544 697 367
2012年3月 51,053 380 408 173
2011年3月 46,774 230 342 80
2010年3月 42,666 271 394 123
2009年3月 42,181 225 334 171
2008年3月 42,540 283 443 240
2007年3月 42,847 402 507 262
2006年3月 41,491 336 390 246
2005年3月 39,087 255 297 126
株式情報(6/4現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
690円 3,878,979株 2,676百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.7% 56.72円 12.2倍 1,188.85円 0.6倍
※株価は6/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
久世の2015年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。
グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、築地市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社5社、及び水産物売買業の豊洲フーズ(株)、中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区では6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと業務提携している(12年6月)。
 
 
【経営理念とC&G活動の取組み】
同社グループは、会社創設以来、「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として、「頼れる食のパートナー」を目指し、その成長と発展を図ってきた。この基本理念の下、次の経営理念を掲げている。

私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。
 
C&G活動の取組み
同社グループは、「三大都市圏No.1」「お客様満足度No.1」の実現を目指し、営業利益の向上と組織力の強化を図るべく、 2009年6月に「C&Gプロジェクト」(Change & Grow for The Good Company)を立ち上げ、“意識と行動の変化”に取り組んでいる。

この取り組みは、さまざまな社会環境の変化に対応していくために不可欠な要素であり、久世グループとして登る山が変わり、より高いチャレンジングな目標を掲げる必要が生じてきた事が背景にある。今までと同じ視点での積み上げ方式の考え方では目標の達成が難しくなっているため、自らの行動や意識を変化させ、更に成長させなければ、高い目標を達成する事は難しい、というのが同社の考え。このためにグループを挙げて「C&Gプロジェクト」に取り組んでいる。
 
【事業内容】
事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、15/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.6%、7.2%、0.2%。また、販売チャンネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ27.8%、ディナーレストラン・ホテル・専門店20.9%、惣菜・デリカ・ケータリング・娯楽施設・その他14.6%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ36.7%。

食材卸売事業では、取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。
一方、食材製造事業では、連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。
 
【フードサービスソリューションカンパニーを標榜  -運ぶ、つくる、考える。そして品質管理- 】
同社は「頼れる食のパートナー」として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、仕入・物流、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フード・サービス・ソリューション・カンパニー」である。
 
「運ぶ」  料理のプロの多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から沖縄まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。
「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、料理のプロの多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。
 
 
「つくる」  商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。
 
 
「考える」  情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、食材セミナー(毎月1回)やプロ向け展示会「Food Service Solution」(年2回)の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。
 
「品質管理」  商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社が、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。
 
【業績推移と今後の見通し】
 
円安の進行に伴う仕入価格の上昇や燃料費の高騰及び人手不足等による物流費の負担増で14/3期後半から業績が急激に悪化したが、個社別採算管理や物流改革等の取り組みを進め16/3期以降の業績回復に目処を付けた。16/3期から始まる第3次中期経営計画(後述)において「安定的収益基盤の構築」に取り組む事で成長軌道への回帰を図る考えだ(16/3期から18/3期の売上高及び営業利益は第3次中期経営計画に基づくもの)。
 
 
第3次C&G中期経営計画
 
【事業環境 外食業界の変化】
「外食率と食の外部化率の推移」(公益財団法人 食の安全・安心財団)によると、外食市場は1997年の約29兆円をピークに減少しているが、2012年時点で約23兆円と巨大市場である事に変わりはない。また、外食市場の縮小に伴い外食率(注1)も1997年にピークを迎えたが食の外部化は進んでおり、食の外部化率(注2)は1997年から上昇が続き、2012年には45.1%に達した(食の外部化率上昇の背景には、中食市場の拡大があると考えられている)。外食業界の変化に対応して成長分野を取り込む事ができるか否で、外食業界の企業間格差が広がっていくものと思われる。成熟した外食業界ではあるが、ビジネスチャンスは少なくない。
 
 
また、「業務用食品卸売業年鑑2015年版」によると、国内の業務用食材市場は約4.1兆円と巨大市場であり、このうち首都圏が約1兆7,370億円、関西圏が約8,030億円、中部圏が約4,530億円。同社は首都圏でトップクラスの売上を誇るが、その同社でさえ、首都圏でのシェアは約3.6%にとどまり、全国では約1.5%。このため、同社にとって国内市場は広大な市場であり、3大都市圏での事業拡大余地は大きい。

(注1)外食率(%)=外食市場規模÷全国食料・飲料支出額
(注2)食の外部化率(%)=広義の外食市場規模(小売業市場規模を含む)÷全国食料・飲料支出額
 
【第3次C&G中期経営計画「収益の基盤構築」 -“ Chance, Change, Challenge & Grow ”-】
第1次C&G中期経営計画「意識・行動改革」(10/3~12/3)、第2次C&G中期経営計画「1000億円企業への基盤づくり」(13/3~15/3)を経て、16/3期から第3次C&G中期経営計画(~18/3)がスタートする。安定的収益の確保と業務効率の改善に取り組むと共に、グループの総合力を発揮する事で「収益の基盤構築」を図る考え。グループ事業の基本戦略として、チェーン戦略(KZN)、エリア戦略、生鮮品・高付加価値食材戦略、商品開発・製造戦略、及び海外事業戦略、を掲げており、これら5つの戦略を遂行する事で、18/3期に売上高700億円、営業利益7億円を達成したい考え。
 
 
安定的収益の確保
安定的収益の確保のためのポイントは、「組織的営業体制の確立」、「物流業務の効率化」、「競争力のある購買・仕入と製造卸への挑戦」の3つ。

「組織的営業体制の確立」では、久世全国ネットワーク(KZN)物流の強みを活かして、全国展開のチェーン店の開拓に注力する。ただ、収益性重視の観点から、遠隔地配送や制約条件のついた物流は取引条件を精査して取引個々の収益管理を徹底する考えで、新規顧客は、配送条件や採算条件を検討したうえで配送コースを意識した開拓を進める。また、既存顧客においては、業態や客単価等、顧客毎の特性に応じた取り組みを進めインストアシェアアップにつなげる。エリアについては、引き続き、首都圏・中部圏・関西圏の三大都市圏を中心とするものの、2020年の東京オリンピックを見据え、首都圏(主に東京・神奈川)を重点地区として取り組む。

「物流業務の効率化」では、効率的なセンター運営の実現に向け商品の集約を進めると共に、不採算取引の漸減と採算性を考えたコース設定に取り組む。また、一段の物流の効率化に向け、関東新物流センターの設置を検討する。

「競争力のある購買・仕入と製造卸への挑戦」では、商品集約・仕入先メーカーの集約でコストメリットを追求し仕入価格の低減を図ると共に、品質・価格等において優位性のあるPB商品の開発・販売にも取り組む。現在8%程度の売上比率を15%程度に引き上げたい考えで、メーカーポジション商品の開発として、ドルチェーゼ(デザート・コーヒー)に続く商品群の開発やキスコフーズインターナショナルでの特長ある酪農品を利用した商品開発に取り組む。
 
業務効率の改善
業務効率の改善に向け、情報システムの整備を進める。具体的には、新基幹システムの導入、WMS(倉庫管理システム)や配車管理システムなど物流システムの導入、更には営業システムツールによる営業力の強化を図るべく営業支援システムを導入する。1億50百万円から2億円程度の投資を予定しているが、リースを併用する事で過度な負担の発生を回避する考え。
 
グループ総合力の発揮
ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズ・キスコフーズインターナショナル(KFI)、生鮮野菜など農産品の仕入・販売の(株)久世フレッシュ・ワン(KFO)、築地市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、及び中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)、と言った子会社個々の事業を強化すると共にグループシナジーを追及していく。

キスコフーズ・キスコフーズインターナショナル(KFI)については、高品質・高価格帯マーケットを中心にコンセプトを絞った商品開発に取り組むと共に、新規販売チャネルの開拓を進める。(株)久世フレッシュ・ワン(KFO)については、重点エリア(都内5区)に加え、東京・神奈川へ業務を拡大させる。また、仲卸との関係強化や産地契約による仕入の多角化も図る。築地卸として高い評価を得ている旭水産(株)については、高価格帯商品の取り扱いを強化して、ミドル~アッパー層向けの売上拡大につなげる。また、東南アジアや北米をターゲットとした輸出拡大に取り組む他、豊洲市場・築地新市場への対応も進める(15/3期は70百万円だった鮮魚輸出が16/3期は1億円に増加する見込み)。久華世(成都)については、中国国内での販売エリアの拡大を図ると共に(新拠点重慶での営業強化)、久世・キスコ商品の販売強化でメーカーポジションに挑戦する。
 
 
 
2015年3月期決算
 
 
前期比9.3%の増収、経常損失1億99百万円(前期は2億38百万円の利益)
新規開拓(売上42億円、1,800店舗増)と既存顧客の深耕に加え、期初に子会社化した旭水産(株)の寄与(売上高25億21百万円)もあり、食材卸売事業の売上が631億57百万円と同9.6%増加。食材製造事業の売上も48億74百万円と同5.3%増加した。
ただ、円安、原料高の影響で食材卸売事業の利益率が悪化する中、人件費や運賃を中心にした販管費の増加が負担となり、営業損益は3億65百万円の損失(前年同期は41百万円の利益)。受取事務手数料(14/3期:71百万円、15/3期:80百万円)や協賛金収入(14/3期1億22百万円:、15/3期1億44百万円)の計上で経常損失は1億99百万円にとどまったが、旭水産(株)ののれん償却費1億84百万円を特別損失に計上した事等で最終損失は4億12百万円に拡大した。

尚、人件費の増加(2億15百万円)は、新卒及び中途採用等による人員増が要因であり、成長投資の一環である。一方、運賃の増加(8億7百万円増)は、(株)久世がチェーン企業との取引を拡大させた事に伴う地方及び遠隔地への配送の増加が主な要因。特にチェーン企業が出店を増やしている大型SC内店舗は納品時間の制約が厳しいため(ピンポイントの納品時間指定)、配送車両の台数を抑えて効率よく配送する事ができないケースが多かった(店舗毎の要求に応えるためにイレギュラー配送等で配送車両を増やさざるを得なかった)。この他、新物流拠点(藤沢DC、大阪天保山DC)の開設に伴う経費増やIT投資(システム導入)も販管費の増加要因となった。

配当は前期と同額の1株当たり期末12円を予定している。
 
 
(2)15/3期の取り組み
 
同社の業績は季節性があるため四半期毎の振れはあるものの、採算重視の営業や物流の採算改善と精度向上等、取り組みの成果が徐々に現れてきた。また、海外事業展開やグループ力の強化でも成果をあげた。
 
採算性を重視した攻めの営業
個社別採算管理を徹底し、顧客別に収益改善のための交渉を開始した。顧客毎、店舗毎の交渉を短期間でまとめる事は難しく、16/3期以降も継続的に取り組んでいく考え。既に説明した通り、15/3期の新規開拓については、採算重視の営業に徹しつつ、1,800店舗を新規開拓し、42億円の売上高を計上した。新規開拓した顧客については、取引開始から個社別採算管理を徹底している。
 
物流の採算改善と精度向上
委託配送費削減に向け、遠隔地配送等の不採算コースの見直しを顧客と共に進めた。複数の取引先との取引解消も含めて交渉は進展しており、2月頃から効果が出始めている(期末時点での採算面で課題がある顧客は数社にとどまる)。16/3期は既存顧客ベースで9億円程度の物流費削減効果が期待できる。
また、新発注システム、配車システム、及び配送運行管理システムを相次いで導入し、システム面からの強化も進めた。新発注システムの導入は未だ一部のディストリビューションセンター(以下、DC)に限られるが、導入したセンターでは在庫の5%削減に成功。順次、導入センターを増やしていく考え。また、配車システムの導入で、より精度の高いコース設定が可能になった。16/3期は配車の効率化効果が期待でき、中期的には配車台数の伸び抑制も期待できる。また、配送運行管理システムの導入により、顧客からの問合せに対して迅速な対応が可能になった。
 
すべての業務の品質向上
横浜DCにおいて、配送時間の遅延率が低下し、業務の精度が向上した。
 
海外事業展開の促進
ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナル(製造事業)において利益体質が定着してきた他、中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)も事業が順調に拡大し、16/3期の黒字化に目処を付けた。
 
グループ力の強化
旭水産(株)と(株)久世との相互顧客紹介により取引先の間口が広がった(グループの取引先店舗数が6.9%増)。また、青果事業(久世フレッシュ・ワン)と水産事業(旭水産)とのコラボレーション案件も商談が進行中であり、16/3期以降、成果があがってくる見込み。
 
 
期末総資産は前期末に比べて6億08百万円増の196億10百万円。売上の増加に伴う売上債権、たな卸資産、仕入債務の増加に加え、株価の上昇による評価益の増加で投資有価証券も増加した。流動比率112.5%(14/3期118.9%)、固定比率108.4%(同93.0%)、自己資本比率23.5%(同25.2%)。
 
 
税金費用の減少(△2億59百万円→△45百万円)、期末の曜日の関係、更には物流の効率化もあり、運転資金が減少したため、前期は10億82百万円だった営業CFが1億07百万円の黒字に転換した。一方、投資CFは設備投資の減少や子会社化した旭水産(株)が保有する現金の取り込みもあり、マイナス幅が縮小。フリーCFの改善で新たな資金の借り入れが抑制される一方、長期借入金の約定返済が進んだため財務CFはマイナスとなった。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
前期比6.4%の減収ながら、営業損益が1億20百万円の黒字に転換
売上高は前期比6.4%減の637億円。食材卸売事業は、既存顧客のインストアシェアアップ、新規開拓、更にはグループシナジー等による売上増が見込まれるが、遠隔地配送等の不採算コースの見直しに伴い発生する80億円程度の減収要因をカバーできない見込み。一方、ドルチェーゼ(デザート・コーヒー)に続く商品群の開発や、特長ある酪農品を利用した商品開発と東南アジアや中国への展開によるキスコフーズインターナショナルの事業拡大で食材製造事業は売上の増加が見込まれる。

営業損益は、前期の3億65百万円の損失から大幅な改善が見込まれ、1億20百万円の利益を確保できる見込み。取引の見直しが3億円程度の売上総利益の減少要因となるが、9億円程度の物流の効率化効果が期待できる。システム投資や商品開発、及び海外での営業強化に伴う先行投資的な営業費用の増加が見込まれものの、個社別採算管理を徹底する効果も徐々に顕在化してくる見込み。
配当は前期と同額の1株当たり期末12円を予定している。
 
 
(2)16/3期の取り組み
第3次C&G中期経営計画に基づき、収益改善に取り組むと共にグループ力を活かした事業戦略を推進する。
 
収益改善に向けた取り組み
2015年4月に商品本部を新設し、営業本部、物流本部、経営サポート本部と合わせて4本部体制とすると共に、各本部に企画部を設置した。マネジメント力の強化と部門間シナジーを追及する事で収益の改善につなげていく考えだ。営業部門は既存顧客のインストアシェアアップと採算性を重視した新規顧客開拓を推進すると共に、代替商品の提案や価格改定交渉を進め粗利改善・粗利率の向上に取り組む。物流部門は物流の効率化とセンター在庫の適正化に取り組み物流費の削減につなげる。また、商品の集約により効率的なセンター運営を実現してミス・ロスの削減を図る。商品部門は取り組み強化メーカーとの協働によるマーケットシェアの拡大とコスト競争力の向上に力を入れる。
 
グループ力を活かした事業戦略
グループ力を活かし、生鮮品・高付加価値食材戦略、商品開発・製造戦略、及び海外事業戦略の3つの戦略を推進する。
生鮮品・高付加価値食材戦略では、(株)久世フレッシュ・ワンと旭水産(株)が生鮮と鮮魚の品ぞろえを武器に協働で顧客開拓に取り組む他、豊洲新市場への移転(2016年11月予定)及び築地新市場(仮称)開設(2016年10月予定)に対応した準備を進める。
商品開発・製造戦略では、PB・CFD商品の改良及び販売拡大に取り組むと共に、キスコフーズ(株)が高品質・高価格帯マーケットのニーズに合った商品開発に取り組み製造事業を強化する。
海外事業戦略では、キスコフーズインターナショナルが競争力のある商品の開発と供給でキスコフーズ(株)とのシナジーを追及する(製造事業)。久華世(成都)は、成都及び重慶において日本食・西洋食で柱商品を育成し、市場シェアの拡大を図る(卸売事業)。また、旭水産(株)が東南アジアや北米への輸出を強化する(生鮮事業)。
 
 
今後の注目点
同社の売上高は06/3期から10/3期にかけて410億円から430億円のボックス圏で推移したが、第1次C&G中期経営計画「意識・行動改革」(10/3~12/3)及び第2次C&G中期経営計画「1000億円企業への基盤づくり」(13/3~15/3)における取り組みの成果で、11/3期から15/3期にかけての5年間では約60%増加した(15/3期売上高680億円)。売上面で高い成果をあげたが、個社別採算管理や遠隔地配送・制約条件付き配送等での取引条件の設定に甘さが残った事がこの間の反省点である(円安が追い打ちをかけた面もある)。しかし、足元では、この反省を踏まえた取り組みが成果をあげつつあり、四半期ベースの業績トレンドは既に回復傾向を示している。16/3期下期には回復基調が鮮明となり、17/3期以降、売上高1,000億円の早期達成を目指してアクセルを踏み込む事になるのだろうが、その際、今回得た経験値は大きな財産になるはずだ。