ブリッジレポート
(8130) 株式会社サンゲツ

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ブリッジレポート:(8130)サンゲツ vol.3

(8130:東証1部,名証1部) サンゲツ 企業HP
安田 正介 社長
安田 正介 社長

【ブリッジレポート vol.3】2015年3月期業績レポート
取材概要「中期経営計画の中で、様々な体制強化や制度改革はスピーディーかつ大胆に進み、社員の意識も大きく変わり始めたようだ。今後は意識変化の浸透・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年6月30日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社サンゲツ
社長
安田 正介
所在地
名古屋市西区幅下1-4-1
決算期
3月末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 132,050 8,031 8,506 4,402
2014年3月 131,978 8,952 9,475 5,459
2013年3月 123,150 8,020 8,393 4,806
2012年3月 118,518 7,095 7,180 4,151
株式情報(6/12現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,803円 73,072,924株 131,750百万円 3.7% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45.00円 2.5% 75.27円 24.0倍 1,625.21円 1.1倍
※株価は6/12終値。発行済株式数は直近期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。
 
株式会社サンゲツの2015年3月期決算概要などをご紹介致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
壁紙、カーペット、カーテンなどインテリア商品の専門商社最大手。商社ではあるがデザインや機能など製品の企画・開発から手掛ける「ファブレス企業」。安定した業績を生み出すビジネスモデル、主要商品の高いシェア等が強み。中期経営計画において資本コストを上回るROEの早期実現を掲げる。
グループ企業に、エクステリア商品の専門卸「株式会社サングリーン」、照明器具の企画、設計、製造、販売を行う「山田照明株式会社」の2社を有する。
 
【沿革】
1849年(嘉永2年)、表具(布や紙などを張って仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など)を商う「山月堂」創業。1953年、創業家により株式会社サンゲツとして株式会社化。1970年代後半以降、東京、福岡、大阪を始め全国で事業展開。1980年、名古屋証券取引所市場第2部に上場。1996年、東京証券取引所市場第1部上場。海外にも進出し、トータルインテリアを供給するブランドメーカーとしての地位を確立する。
2014年4月、安田正介氏が初めて創業家メンバー以外から代表取締役社長に就任。第1期(創業)、第2期(株式会社化)に次ぐ、第3期(第3の創業)として位置づけ、新たなステージに臨む。
 
【会社理念など】
社是「誠実」を掲げ、以下の「サンゲツ三則」をモットーに、インテリアを通じて社会に貢献し、豊かな生活文化の創造に寄与する事を理念としている。
 
 
【市場環境】
◎概観
同社の主力商品である壁紙や床材の出荷状況は国内建設市場の動向に影響される。人口減少や家族構成の変化による新設住宅着工戸数の減少やデフレ経済における販売の低下で国内インテリア市場は下のグラフの様に、縮小傾向にある。
 
 
一方、下のグラフは、同社売上高、国内インテリア市場、新設住宅着工戸数(国土交通省発表)の推移を比較したもの。
同社の売上高及び国内インテリア市場の動向は、新設住宅着工戸数にほぼリンクしてきたが、リーマンショック後の動きを見ると、市場全体及び新設住宅着工件数はリーマンショック前の水準にまで達していないのに対し、同社売上高は2000年頃の水準にまで回復している。
 
 
これは、民間住宅以外に、非住宅市場の開拓に注力してきたことによるものである。
 
 
国土交通省発表の建設投資の推移によれば、民間住宅投資に比べ、民間非住宅建築投資は、金額は民間住宅投資よりも低いものの、2000年レベル近辺まで上昇している。また、新設の事務所および店舗の床面積も15,000千m2に近づくところまで回復している。
また、一般財団法人建設経済研究所が発表した「建設経済モデルによる建設投資の見通し」(2014年10月22日発表)によれば、民間非住宅建築投資の対前年度伸び率は2013年度の11.1%増(見込み)に次ぎ、2014年度(見通し)7.6%増、2015年度(見通し)2.4%増と、緩やかな回復傾向が続くと予想されている。
少子高齢化・人口減少の進行で住宅着工戸数は長期的には減少傾向にあり厳しい状況であろうが、2020年の東京オリンピックを控え、民間非住宅市場の開拓に関しては良好な市場環境が当面は続くものと考えられる。
 
◎同業他社
インテリア、内装材を扱う主な同業他社としては以下の3社が上げられる。
 
PBRは同社のみが1倍を超えてはいるものの、依然として低水準にとどまっており、中期経営計画で示したROE改善策が鍵を握っている。
 
【事業内容】
壁紙、床材、カーテン、椅子生地などインテリア商品の企画開発及び販売が中心事業。生産設備を持たない「ファブレス経営」が特色だが、単なる商社ではなく、扱う商品はすべて自社で企画・デザイン・開発を行っている。子会社を通じてエクステリア事業、照明事業も展開している。
 
 
 
商品数は約13,000点と他に類を見ない多彩なラインアップを誇っている。
主力の壁紙で商品数は約5,000点。2年毎に見本帳の更新を行っているが(カーテンは3年毎)、旧い商品を見品帳から外し、新しい商品に入れ替える所謂「改廃率」は壁紙で50~55%程度だが、同業他社では35~40%以下という事だ。商品を入れ替えるのは、容易ではない。廃止されたデザインの商品は破棄しなければならないため無駄が発生してしまうが、見本帳の鮮度もユーザー満足度を高める重要な要素であり、効率と鮮度のバランスを取ることができるのは、同社の体力や長年に亘るノウハウの蓄積によるものだろう。
 
◎営業体制
名古屋の本社の他、全国に8か所の支社、55か所の支店・営業所・事務所を持ち、重要な営業拠点として6か所のショールームを有している。
 
 
最終的に商品を納入し、売上を立て、代金が入金されるのは上図右の川下の内装仕上げ段階で、主な相手先は代理店を通じた内装工事業者やインテリアショップ、建材店となるが、その前工程での商品PRも重要だ。
住宅やビルが竣工するまでには、発注者(施主)、設計事務所、デザイン事務所、ゼネコン、サブコン、ハウスメーカーなど、数多くのプレーヤーがかかわっており、インテリアをデザインや機能から最終的に選択する意思決定は川上から始まっているケースも多数ある。

そのため、同社では見本帳、TVCM、ショールームなど様々な機会を通じて商品のPRを行っている。もちろん「待ち」のみでなく、法人営業部(全国的に法人顧客をカバー)をはじめとした全国の営業員約400名が、各担当先に足を運び情報提供・収集、提案を行っている。

主として代理店を経由した販売スタイルをとっているが(名古屋を中心とした中部地域の一部では直接販売)、顧客数は中部地域だけで約6,000社。代理店を通しているので正確な数字は把握できていないが、全国の顧客数は数万社にのぼる。
 
◎物流体制
全国13か所に物流センターを含めた物流施設を保有している。
東・名・阪・九州はほぼ全商品が常に在庫されており、出荷点数は一日6万点に上るが、欠品率は1日平均で約0.13%(約70点程度)となっている。
内装の工期に合わせた「Just in Time」を全国物流ネットワークによって実現している。
仕入先は約100社と広範囲に亘っている。
 
②「エクステリア事業」
(2015年3月期 売上高 14,698百万円、営業利益 455百万円)
2005年に子会社化した株式会社サングリーンが門扉、フェンス、テラスなどのエクステリア商品を国内で販売している。
 
③「照明事業」
(2015年3月期 売上高 3,988百万円、営業利益 30百万円)
2008年に子会社化した山田照明株式会社がダウンライト、Zライトなどの一般照明器具を国内外で販売している。
 
 
中期経営計画に基づく資本政策を発表し、「資本コストを上回るROEの早期実現と、中長期的にはより高いROE水準(8~10%)の達成を目指す。」と述べている。
具体的には、「2014年度下期より最短3年間、最長5年間で自己資本の金額を2014年3月末比で100億円~200億円の圧縮を目指す。」ということであるが、2017~2019年度の目標としているROE 8~10%を達成するためには、資本政策の実施と同時に、売上高当期純利益率の一段の向上も必要となるだろう。
 
【特徴と強み】
 
①安定した収益を生み出すビジネスモデル
同社は製造部門を持たない「ファブレス経営」の先駆けとも言うべき存在で、製造部門を持たないため固定費負担が小さい。また、商品数13,000点、仕入先100社以上、顧客数万件と、多くの面で分散が効いており、建設市場動向に連動する景気敏感型企業でありながら業績変動は決して大きくなく、設立以来赤字決算を行ったことが無い。
 
②「創る」・「提案する」・「届ける」
「創る」
同社は商品の製造を行ってはいないが企画・デザイン・開発は自社で行っている。
先々代の社長時代からサンゲツ三則にある「創造的デザイン」に力を入れており、積極的な投資を行っている。
同社で様々なデザインをベースに約20名の企画担当者が、デザインを練り上げ、同社オリジナルデザインを開発している。担当者育成は海外の展示会への参加、営業の意見のヒアリング、デザイン顧問とのディスカッションなど、OJTで行っている。若い感覚をより積極的に採用していく方針だ。
商品ラインアップは他社には例を見ない約13,000点。また2~3年ごとに定期的に改訂する28種類の見本帳も他社にはない同社の大きな特徴。
 
 
「届ける」
先述の様に、商品の全点常備在庫を行い、内装工期に合わせて「Just in Time」を実現する全国の物流ネットワークを有するのは同社の強みである。
ただ、全点在庫は一方で過剰在庫や低効率につながりかねず、同社の様な注文に応じて正確に加工して出荷する加工物流において、ロス率を上げない正確な加工技術とスピードが重要な要素となる。
1ロール50mの壁紙があり、30mの注文があった場合、同社の場合は正確に30mでカットして出荷し、加工後残った素材は次の注文に合わせ効率的にカットし、なるべく無駄が出ないように加工する。こうした加工技術は同社が長年蓄積してきた貴重なノウハウによるものである。
 
 
「提案する」
同社の営業スタッフ数は全従業員数のおよそ3分の1に当たる約400名で、業界最大である。
全国63拠点で前述のような、提案営業を展開している。6か所のショールームには64名のショールームスタッフが在籍。また、各商品を組み合わせた室内空間を顧客にイメージしてもらうためのデザインボードを作成するインテリアデザインスタッフが51名おり、その提案力も業界最高水準となっている。
 
 
 
2015年3月期決算概要
 
 
営業強化で増収も販管費増で減益。
売上高は前期比0.1%増の1,320億円。新見本帳の発行、設計・施主へのきめ細かい営業強化、リフォーム・非住宅分野での新商品開発を進めた。上期は順調だったものの、下期苦戦し前年並みの確保にとどまった。
原料価格の高騰を受けて販売価格の改定を実施したことで粗利率が同1.1%改善したものの、運送費の値上がり、人材強化のための人件費増(昇給・昇格など)のほか、事業施設整備に伴う物流設備や社屋の設備修繕費など政策的コストを計上し、販管費が増加したため吸収しきれず、営業利益は同10.3%減の80億円。社員寮などの保有不動産売却を前提とした減損損失11億円、資産除却損1億円を計上したこと等から当期純利益は同19.4%減の44億円となった。粗利率改善とコストコントロールの奏効により利益は計画を上回った。
 
(2)外部環境
<関連市場の状況>
2014年度の新設住宅着工戸数は前年度比1.8%減少の88万戸と大きく減少。着工と内装工事のタイムラグ(約4か月)により、上期の影響は限定的だったが、下期は大きく影響を受けた。
リフォーム需要も消費税増税前の駆け込み需要の反動の影響は大きかった。
非住宅分野の内装工事は職人不足、資材コスト上昇の影響で工事量はマイナスの影響を受けた。

<取扱い商材市場>
壁装材の出荷数量は上期マイナス2.3%、下期マイナス9.4%で通期では6.0%の減少。数量は減少したがシェアはアップした。
床材では、カーペットが通期マイナス29.6%、事務所などで使用されるカーペットタイルが同1.2%のマイナス、長尺フロアは同0.6%のプラス。店舗で使用されるフロアタイルは同0.6%マイナスであったが、同社売上高は増収でシェアは上昇した。
 
 
壁装事業部、床材事業部、カーテン事業部の3つの利益責任を有する組織を設立し、それぞれの事業部において新しい商品開発、マーケティング戦略の立案を行うとともに、3事業部共通の課題である新しいプロモーション、ブランディング政策の見直しを実行した。

<壁装材>
「リザーブ1000」、「リアテック」、「エクセレクト」の3つの新しい見本帳を発刊したが、消費増税前の駆け込み需要の反動による新設住宅着工戸数の落ち込みや、リフォーム市場の低迷を受け減収となった。
一方、前期以来の原材料高騰による仕入価格上昇を、市場の理解を得て販売価格に転嫁することが出来たため、粗利は増加した。

<床材>
医療・福祉施設、商業施設といった非住宅分野の市場が拡大し、メンテナンス性や衝撃吸収性に優れた高機能商品が好調に推移した結果、増収となった。ただ、原材料費の高騰や為替の影響によるコスト上昇から粗利はほぼ前年比横ばいとなった。

<カーテン>
見本帳改訂に伴う価格改定により粗利率は改善したが、新築住宅市場の低迷、駆け込み需要からの反動減が影響し、減収となった。
 
②エクステリア事業
エクステリア市場においても新設住宅着工戸数の落ち込みが影響し、特に10月以降は前年の増税前特需を上回ることができず、エクステリア事業は減収・減益となった。
ただ、積極的な営業強化策を実施したため、2014年2月に開設した横浜支店を含む関東地区では前年比約30%の増収となった。
 
③照明事業
医療・ホテル・オフィスなどの非住宅分野及びZライト販売先への付加価値商品の販売を強化した。さらに、重点顧客と位置付ける設計事務所、照明デザイン事務所への営業活動に注力したことにより、非住宅分野での売上が増加したため増収となった。前期に評価損を計上した商品の受注が回復したため黒字に転換した。
 
 
国債の償還による現預金増などで流動資産は前期末に比べ83億円増加した。一方、保有資産の減損損失計上や投資有価証券の減少などで、固定資産は同111億円減少。資産合計は同28億円減少して1,430億円となった。
仕入債務の減少等で、流動負債が同19億円減少して、負債合計も同16億円減少し、243億円となった。
純資産は利益剰余金の減少等で同11億円減少し、1,187億58百万円。
自己資本比率は前期末に比べ0.8%上昇の83.0%となった。
 
 
仕入債務の減少、たな卸資産の増加などで営業CFのプラス幅は縮小。投資有価証券の取得額縮小などで投資CFはプラスに転じ、フリーCFのプラス幅は拡大した。
自己株式の取得額増加で財務CFのマイナス幅は拡大した。キャッシュポジションは上昇した。
売上が横這いの中で運転資本が増加している点は課題と捉えている。
「ROIC(投下資本利益率)改善委員会」を設置して社内意識の改革を進める。
 
 
2016年3月期業績見通し
 
 
小幅の増収・増益
売上高は前期比2.6%増の1,355億円を予想。通年では新設住宅は微増を想定しているが、前年度後半の低迷が上期の内装工事に影響する。リフォームは微増、非住宅は前年並みを想定している。販売価格是正で今上期もコスト増を吸収するとともに評価損の発生している商品を圧縮し粗利率は0.2ポイント改善。引き続き昇給・昇格、人事制度改訂による人材関連コスト増やデザイン力強化、事業基盤整備のための費用など販管費は上昇するが、増収効果で吸収し営業利益は同2.7%増の82億円を予想。前期にあった減損損失や除却損がなくなるため当期純利益は2桁の増加を見込む。配当は中間、期末それぞれ22.50円/株の合計45.00円/株を予定。予想配当性向は59.8%。
 
 
 
中期経営計画 Next Stage Plan G の進捗状況
 
2014年を「第3の創業」と位置付け、新しいステージに立つ同社の今後のビジョンや方向性を示すために策定した「中期経営計画(2014-2016) Next Stage Plan G」の進捗は以下の通りであった。
 
 
1)事業基盤の整備
ガバナンス体制の強化
6月18日開催の株主総会において「監査等委員会設置会社」へ移行すると共に、創業家の会長、専務取締役が退任し、安田社長を筆頭とする6名の業務執行取締役と5名の監査等委員取締役(社外取締役)を選任した。業績や株価による評価を重視した役員報酬制度への変更を行った。また、役員定年制も導入するなど、同社の長い歴史の中でも、極めて大きな体制の変更に着手した。

社員の意識改革推進
2017年3月期当期純利益63億円達成を行使条件とする有償ストックオプション(対象者はグループ企業を含めた役員、管理職350名)および資本コスト6%達成をトリガーとする業績連動賞与の導入、能力主義を明示した人事給与制度、昇格の早期化・拡大といった施策を相次いで導入した。

この他、ブランドの再強化を目指した「リブランディング」や、ITシステム構築、リスク管理強化に着手した。
 
2)事業戦略の再構築
組織の見直し
事業部制を導入したほか、法務、品質管理、経理などの分野で新たに優秀な人材を獲得し、本社機能を強化した。
また、川下・消費者戦略の強化を目指す新市場開発室やリフォーム事業推進室の設置、専門・特化した営業強化のためのフィルム担当・椅子生地事業室の設置、施主や設計営業の強化を図るためのハウジング事業部や法人営業部の増員などを進めた。

物流拠点整備
新たなSCMの基盤作りの第一歩として新しい物流拠点を関東エリアに2施設、中部エリアに1施設を開設する。
どちらも2年程度を掛けて現在の3拠点を2拠点に移転・統合を進める。人員や輸送費の削減を進めると共に、営業強化にも繋げる。特に関東では、多くの仕入先企業が存在する埼玉県に久喜センターを建設。集配機能に加え、集荷機能も強化する。

ショールーム政策
2015年7月、旗艦ショールームを赤坂から品川に移転する。
新ショールームは、商品展示の場に加え、各種内装材を使ったコーディネーションの提案力を高める事を目的としている。そのために、モデルルームの数、面積を大幅に増やし、3Dシミュレーションシステムなど最新のデジタルシステムを導入したほか、設計士が内装材を実際に施工してみることが出来るインテリアラボ(プロユーザー向け非居住用内装材検討コーナー)を新たに設置するなど、「日本の部屋作りをもっと楽しく」をコンセプトに、『見る』、『選ぶ』、『組合せる』楽しみが溢れるショールームとする。
また、設計事務所、デザイン事務所などが顧客向けに実施するセミナー会場スペースも拡張した。

このほか、既存の東名阪、岡山、広島、九州に加え、リフォーム需要を対象とした小型のショールームを地方に開設する。
 
3)ステークホルダーの評価向上
資本政策
3年間の連結総還元性向を平均100%以上とすることを目標としており、2015年3月期は、自己株式取得47.8億円、総配当額30.7億円で総還元額は78.5億円、総還元性向は178.6%となった。
また、資本効率性の向上をめざし、最短3年間、最長5年間で自己資本を100~200億円の圧縮を目指しているが、前期は株主資本で36億円、自己資本で11億円を削減した。

社会貢献策
従来の社会貢献策に加え、自社の事業を活かし、社員一人一人が自主的に参画する社会貢献活動を拡充している。具体例としては、名古屋市内の児童養護施設等で同社の商材を活用して社員有志が内装改善工事を実施した。名古屋以外の地域での展開も検討している。
 
 
安田社長に聞く
 
2014年4月、創業家以外から初めて社長に就任した安田正介社長に1年間の振り返り、中期経営計画の進捗、投資家へのメッセージ等を伺った。
 
<1年を振り返って>
昨年4月に社長就任以降、様々な課題に取り組んできた。もちろん全てがすぐに結果には結びついている訳ではないが、まずは経営者として決断し、実行すべきことは確実に進めることが出来たと考えている。特に、事業基盤の整備、中でも、ガバナンス体制の変革、組織の見直しは、トップダウンでスピーディーかつ大胆に進めることが出来た。
また、事業戦略の再構築に関しては、当社に不足している部分、強化すべき課題などを明確にすることができた一方、長い社歴を持つ当社ではあるが、事業拡大に向けてまだまだ「やれること」や「チャンス」が沢山あることも、この1年でわかってきた。
社長就任や中期経営計画の発表を通じて「サンゲツが変わってきた」ことを知った外部の方々から様々なビジネスオファーを頂くようになってきたこともこの1年を特徴づける現象だと思う。
2年目の今期は、新体制の下で、より明確な成長戦略を推進していく。
 
<中期経営計画の進捗>
①社員が経営を担う事業基盤の整備
第三の創業の本質は「社員が経営を担う真の上場企業」へ発展することだが、それに向け、社員の意識をどう変えるかが大きな課題だ。当社の大部分を占める営業社員にとっては日々の業務のウェイトの高さから、会社の変化を自分のもの、現実のものと感じにくい。
そこで、昨年11月より営業業務改革を推進するために各支社横断の業務改革委員会を設置した。まず、受注業務および営業支援業務を派遣社員で行うようにし、それまでの担当社員を営業ラインへ異動させた。
また、従来は一人の営業社員が一つの地域を担当する自己完結型の営業体制だったのを、今年4月からはより広い地域をチームで担当する新体制に変更した。こうした現場での変化は従来の当社ではなかったことであり、社員は会社の変化を実感し始めている。
また、創業家の退任による新路線への転換の明確化、有償ストックオプションの導入なども大きなインパクトだった。特にストックオプションに関しては、サングリーン、山田照明のグループ2社の反応も大きく、業績や株価に対する意識向上に繋がっている。
加えて、昇格の早期化・拡大や7月から実施する能力主義による人事給与制度等を通じ、社員の意識が大きく変化していることを実感している。
役員定年制度を導入した事もあり、次世代経営幹部育成も私の大きな責務となる。社内研修制度の導入、社外研修への参加など社員が成長するための機会を増大させている。社内研修では私自らが社員に対し、「自分が何を求められているのか?」、「社員の位置・役割が大きく変わる中何をなすべきかの自覚」といったことを語っている。社員の意識が変化するのに伴い、研修に参加するモチベーションも大きく向上していると感じている。
事業基盤の整備の中では、付加価値向上のための「リブランディング」の重要性も指摘しておきたい。今後、より消費者に近いところでビジネスを行いながら、同時に非住宅等、設計士、デザイナーといったプロフェッショナルを引き付けるためにはそれぞれの訴求対象別に魅力的なブランドを再構築する必要がある。2017年4月より新たなロゴの使用をスタートさせ、当社の主力製品とも言うべき「見本帳」の在り方も見直していく。
 
②事業戦略の再構築
Value Chain軸として、国内市場を対象とした「新市場開発室」を新設した。これは、消費者の嗜好やニーズを直接的に拾い上げてビジネスにつなげていくことを目的としている。これまでも当社の商材は一般家庭に使用されているがあくまでも間接的なもので商流の中でそうなっているだけのもの。ところが近年では大手デパートの中に壁紙の小売コーナーが設けられるなど、壁紙は消費者の身近なものになっており、内装リフォームの際に直接消費者が壁紙を選択する機会も増加している。こうした中、単価および付加価値を向上させるには消費者の嗜好をくみ取った商品開発が欠かせない。「新市場開発室」の室長には、これまで当社の壁紙商品開発を担ってきた責任者を任命した。当初は戸惑いもあったようだが、今は旺盛な挑戦意欲を持って新分野開拓に邁進している。
また商品事業軸としては椅子生地事業室を新設した。椅子生地は、営業チャネルが異なることもあり、これまでほとんど手を付けていなかった。そのため、専任の組織を新設し新市場を開拓する。
この2つにとどまらず、当社が「やれること」はまだまだ沢山あると考えている。Value Chain軸、地域軸、商品事業軸全てにおいて、アライアンスを含めて事業領域を拡大させていく。
 
③ステークホルダーの評価向上
昨年発表した資本政策は各方面から大きな反響を呼んだ。ただ一部では、当社の真意が正確に伝わらなかったことは残念だ。
この3年間は仕込みの時期であり、成長のための様々な投資を増加させていくため、短期的には利益の伸びは低くならざるを得ない。そうした中でも当社を中長期の視点で応援して頂ける株主に対して可能な限り、持続可能な株主還元策を拡充することが必要と考え、総還元性向平均100%以上を始めとする資本政策を発表・実行した。決して現在の株主に対する株価へのインパクトを期待してROEを引き上げるために自己資本の削減を進めたわけではない。この点、正しくご理解いただきたい。
今後も、中長期的に株主のリターンが向上するよう機動的に自己株式の取得や増配を検討してゆく。
 
④創業以来の理念・社是・考えの継承
今回創業家が完全に退任し、サンゲツは文字通りパブリック・カンパニーとなった訳だが、一方で、当社の創業期、成長期の意識、想い、エネルギーといったものは着実に継承していかなければならない。
当社が業界トップ企業となるきっかけとなった関東進出の際に作成した初代の見本帳は今でも社内に保管されているが、これは今見ても素晴らしいもので、創業者の事業に対する熱い想いが伝わってくる。
「第三の創業」にあたっては、こうした貴重な品々も活用して、言葉面だけではなく理念や考えを継承し、チャレンジを続けて行かなければならない。
 
<投資家へのメッセージ>
売上、利益の拡大というリターンをしっかりとお返しするにはもう少し時間がかかるかと思うが、そのための基盤整備は進んでおり、足腰は確実に強化され、次の成長へのトライアルは既に始まっている。
また、資本政策で述べているように、可能な限り株主に対しては十分な還元、対応を進めて行きたいと考えている。そうした点を理解し、今後とも是非中長期の視点で応援していただきたい。
 
 
今後の注目点
中期経営計画の中で、様々な体制強化や制度改革はスピーディーかつ大胆に進み、社員の意識も大きく変わり始めたようだ。今後は意識変化の浸透度合い、スピードが問われることとなろう。数字を含めて外形的に把握することは難しいが、次回以降のレポートでもフォローしていきたい。
一方で、新市場開発、非住宅分野の拡大の進捗も引き続き注目したい。
 
 
 
<参考:中期経営計画 Next Stage Plan G>
 
2014年を「第3の創業」と位置付け、新しいステージに立つ同社の今後のビジョンや方向性を示すため、「中期経営計画(2014-2016) Next Stage Plan G」を策定した。
同計画の目標を、「事業体制の再整備と強化を進め、将来の成長のための仕込みを行い、サンゲツの次のステージを切り拓く3年間」としている。
 
 
これに加え、「4)創業以来の理念・社是・考えの継承」の4つを具体的な施策として掲げ進めて行く。
 
 
3)ステークホルダーの評価向上
これまで同社は、継続的な企業価値向上が株主への利益貢献の基本であるとの認識のもと、安定的な配当を継続的に実施してきた。(過去5年間合計の配当性向実績は70%を超えている。)
また、売上高、収益性などを重視し、バランスシートについては安全性を優先した経営を行ってきた。
しかし、昨今の国内資本市場の流れを鑑み、今後は安全性と収益の拡大に加え、バランスシートの効率化や資本コストを意識した経営への転換が必要と認識しており、以下のような資本政策を実施することを2014年11月7日に発表した。
 
 
中期的成長のための投資はもちろん必要で、また景気変動に対応した体力を温存しておく必要もあるが、ここ数年内で大規模なM&A等、大型投資を行う可能性は低いと考えている。また、規模の拡大や収益性を高めるために現在のファブレス経営から「製造部門」の保有へ転換する事も長期的にはあり得るが、その場合でも、ここ数年間はマイノリティ出資やパートナーシップ強化など、実力を蓄える時期であり、その意味でも多額の手元資金は不要であるため、株主への還元を積極化する事とした。
ただ、株価のボラティリティを上げることは同社にとっても株主にとっても利益が無いので、一時的ではなく「継続的な株主還元」が重要であるとの考えから期間を最短3年間、最長5年間と設定した。
 
<目標>
◎2014~2016年度 目標
将来の成長のための基盤整備に先行投資を行いつつ、史上最高益の更新を目指す。
 
 
インテリアは、既存事業においてリニューアルや大規模改修、病院や介護関連施設への注力を進めると共に、高付加価値商品へのシフトやカーテン事業の売上回復を見込んでいる。
新規事業や海外事業は仕込みの時期であるため、販管費のみを見込んでいる。
エクステリア事業は限定的な拡大を前提としており、照明事業は安定的な事業基盤の確立を優先するステージであり、収益の拡大は見込んでいない。

◎2017~2019年度 目標
この中期経営計画をベースに、次の中期経営計画の最終2020年3月期には、「新規事業・海外事業・連結会社での本格的な収益の実現」、「インテリア事業収益の着実な拡大」、「新たな資本政策の導入」により、「ROE 8~10%の達成」を目標としている。