ブリッジレポート
(2708) 株式会社久世

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ブリッジレポート:(2708)久世 vol.17

(2708:JASDAQ) 久世 企業HP
久世 健吉 社長
久世 健吉 社長

【ブリッジレポート vol.17】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「同社は業界に先駆けて商物分離(営業と物流の分業化)を導入し、それぞれの業務で業務効率を高めたが、11/3期以降、売上が急拡大する中で物流費を・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月8日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社久世
社長
久世 健吉
所在地
東京都豊島区東池袋2-29-7
決算期
3月 末日
業種
卸売業(商業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 68,044 -365 -199 -412
2014年3月 62,268 41 238 100
2013年3月 56,060 544 697 367
2012年3月 51,053 380 408 173
2011年3月 46,774 230 342 80
2010年3月 42,666 271 394 123
2009年3月 42,181 225 334 171
2008年3月 42,540 283 443 240
2007年3月 42,847 402 507 262
2006年3月 41,491 336 390 246
2005年3月 39,087 255 297 126
株式情報(11/26現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
695円 3,878,927株 2,696百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
12.00円 1.7% 56.72円 12.3倍 1,188.85円 0.6倍
※株価は11/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
久世の2016年3月期上期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
外食産業や中食産業向けの食材卸を中心に、グループで食材の製造・販売も手掛けている。取扱品目は約30,000アイテムに上り、冷凍・常温品はもちろん生鮮品から消耗品等のノンフードまで幅広い。
グループは、同社の他、ソース・スープ類の製造・販売を手掛けるキスコフーズ(株)、ニュージーランドでソース類の製造を手掛けるキスコフーズインターナショナルリミテッド、生鮮野菜など農産品の仕入・販売を行う(株)久世フレッシュ・ワン、築地市場に基盤を持つ水産物仲卸大手の旭水産(株)、及び海外戦略の立案と情報収集の役割を担う久世(香港)有限公司の連結子会社5社、及び水産物売買業の豊洲フーズ(株)、中国で業務用食材卸売事業を手掛ける久華世(成都)商貿有限公司の非連結子会社2社。また、中京地区では6,000店の取引先を有する酒類販売大手(株)サカツコーポレーションと12年6月に業務提携している。
 
 
【経営理念とC&G活動の取組み】
「フードサービス・ソリューション・カンパニー」として「頼れる食のパートナー」を目指し、次の経営理念を掲げている。

私達は、明るい信頼される会社にします。
私達は、お客様の立場に立ち、最高の商品とサービスを提供します。
私達は、絶えず革新に挑戦し、たくましい会社にします。
私達は、お客様、お取引先の繁栄と株主、社員の幸福に貢献します。
私達は、そのために会社の成長と発展を果たします。
 
C&G(Change&Grow for The Good Company)活動の取組み
上記の経営理念の下、取り組みを進めているのが、「三大都市圏No.1」、「お客様満足度No.1」を目指して2009年6月に立ち上げたのが、「C&Gプロジェクト」である。第1次C&G中期経営計画「意識・行動改革」(10/3~12/3)、第2次C&G中期経営計画「1000億円企業への基盤づくり」(13/3~15/3)を経て、16/3期に第3次C&G中期経営計画「収益の基盤構築」(~18/3)がスタートした。
 
【事業内容】
事業は、食材卸売事業、食材製造事業、及びグループ会社向けが大半を占める不動産賃貸事業に分かれ、15/3期の売上構成比(連結調整前)は、それぞれ、92.6%、7.2%、0.2%。また、販売チャネル別(個別ベース)では、居酒屋・パブ27.8%、ディナーレストラン・ホテル・専門店20.9%、惣菜・デリカ・ケータリング・娯楽施設・その他14.6%、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ36.7%。
 
食材卸売事業
取扱が難しい生鮮品を含めた業務用食材全般に加え、割りばし、ナプキン、洗剤といった消耗品等のノンフードまでを幅広くカバーし、取扱品目は約30,000アイテムを数える。近年、プライベートブランド(PB)商品や生鮮三品の取扱いにも力を入れている。
 
食材製造事業
連結子会社キスコフーズ(株)が食品製造工場を有し、ソース、ブイヨン、スープ及び調理食品等の自社ブランド製品及びOEM製品の製造・販売を行っており、その子会社(久世の孫会社)キスコフーズ インターナショナル リミテッド(KISCO FOODS INTERNATIONAL LIMITED)が、ニュージーランド・クライストチャーチ市において、オリジナルのフォンドヴォー(仔牛骨、牛肉、野菜等を原料としたソース)やベシャメルソース(バターと小麦粉を原料としたホワイトソース)の製造を行っている。
 
【フードサービスソリューションカンパニーを標榜   - 運ぶ、つくる、考える。そして品質管理 - 】
同社は 「頼れる食のパートナー」 として、顧客へ様々な情報を提供し、顧客と共に、仕入・物流、店舗経営、商品開発等について考え、問題の解決に取り組んでいる。目指すところは、「運ぶ」、「つくる」、「考える」それぞれの機能を総合的に組み合わせ、より高い付加価値を生み出す提案営業重視の「フード・サービス・ソリューション・カンパニー」である。
 
「運ぶ」  料理のプロの多様な要望に応える事の難しさ
同社においては「個店向け配送」と「チェーン店向け配送」の2通りがあり、「個店向け配送」は、幅広い品揃えで様々な業態(洋食、和食、中華、ホテル、居酒屋、バル、カフェ、病院、商業施設等)に対応し、自社の物流センターから配送。一方、「チェーン店向け配送」はチェーン店独自の品揃えに対応し、自社の物流センターと外部倉庫を利用した久世全国ネットワーク(KZN)の併用で、北海道から沖縄まで全国にチェーン展開している顧客に食材を届けている。
 
 
「運ぶ」(配送)は食材専門商社としての根幹に関わる業務だが、時間指定、配送頻度、納品場所等、料理のプロの多様な要望に応えつつ、しっかりと収益管理していく事は実に難しい。昨今の店舗運営は生産性の向上を迫られる一方、労務管理に対する指導が強化されているため、店着時間がピンポイントで指定される事が多く、これに対応しようとすると物流コストが跳ね上がる。このため、納入価格、物流フィー、店着時間を総合的に勘案して取引条件を決める必要があり、オペレーションの難易度があがっている。
 
「つくる」  商社の枠を超えた事業展開で収益力の強化と顧客満足度の向上を両立
厨房での手間やコスト削減を念頭に新しいメニューやプライベート(PB)商品を開発し、顧客のニーズに合った商品提供を行っている。
 
 
「考える」  情報提供で顧客のビジネスを側面から支援
「顧客ニーズ」、「メニュートレンド」、「メニューの差別化」等を基本に顧客ごとのオリジナルメニューの開発やムリ・ムダのない調理オペレーションの提案、更には同社の商品を使用したメニューレシピやトレンド情報の提供等、日々の顧客支援に加え、食材セミナー(毎月1回)やプロ向け展示会「Food Service Solution」(年2回)の定期開催で「食のヒントとなる情報」の発信も行っている。
 
「品質管理」  商品はもちろん、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務で品質向上を推進
1981年に社内に品質管理部門を設け、取引先の品質に関する要望や問い合わせに対し、迅速に対応できる体制を構築しており、細菌検査、生産委託先工場の製造管理、商品規格書の作成・提供、物流センター、各営業拠点の衛生管理チェック等を実施している。また、2010年に「久世グループ品質方針」及びISO22000に基づいた久世グループの品質保証の仕組みである「久世クオス(久世QUALITY SYSTEM)」を策定し、新しい品質への取組みをスタート。13年4月には、キスコフーズ(株)が、同年8月には同社が、それぞれISO22000の認証を取得した。商品の品質だけでなく、営業、物流、受発注等のサポート部門を含め、全ての業務の品質の向上を推進し、「お客様満足度No.1」を目指している。
 
【沿革】
1934年4月現在本社を置く池袋にてトマトケチャップやソースの製造を開始した。50年1月に(株)久世商店として法人組織に改組し、67年7月に現商号の(株)久世に変更。直販(中間流通を通さず飲食店等に直接販売)を特徴とするケチャップやソースのメーカーとして経営基盤を確立した。
しかし、70年代に入り、トマト加工品の輸入自由化への対応を迫られた事やその後の勃興期を迎えていたファミリーレストランが業務用食材をフルラインで取り扱う米国型ディストリビューター機能を必要としていた事を踏まえ、食材の卸事業に事業をシフトさせた。元来、直販メーカーとして飲食店等のユーザーと直接取引していた強みに加え、外食チェーン等の市場拡大も追い風となり事業が順調に拡大。77年4月には神奈川県横浜市に神奈川営業所を開設し、千葉、埼玉、東京都下にネットワークを広げた。

食材関連ビジネスに限定しつつも多角化を進め、79年8月には結婚式利用の増加で繁忙を極めたホテル厨房を支援するべく連結子会社キスコフーズ(株)を設立し、業務用高級スープやソースの製造を開始。90年代には、中京地区、関西地区への拠点展開も進め、2001年9月にJASDAQに株式を上場。上場を機に国内の強化はもちろん、海外展開も進めた。
 
2009年7月 生鮮品の取扱い強化の一環として、生鮮野菜類の卸に特化した(株)久世フレッシュ・ワンを設立
2011年5月 ソース類の製造強化を目的にキスコフーズ インターナショナル リミテッドをニュージーランドに設立
同年 9月 海外戦略の拠点として、久世(香港)有限公司を設立
2012年5月 久華世(成都)商貿有限公司を設立し、中国での業務用食材卸事業を開始
同年 6月 中部地区の営業力強化を目的に(株)サカツ コーポレーションと業務提携
2013年4月 資材や消耗品等、ノンフードPB「キッチンサポート」ブランドを立上げ
同年 8月 ISO22000認証取得
 
 
第3次C&G中期経営計画
 
【事業環境  -三大都市圏で大きな潜在成長力を有する(株)久世-】
「業務用食品卸売業年鑑2015年版」によると、国内の業務用食材市場は約4.1兆円の巨大市場であり、このうち首都圏が約1兆7,370億円、関西圏が約8,030億円、中部圏が約4,530億円。同社は首都圏でトップクラスの売上を誇るが、その同社でさえ、首都圏でのシェアは約3.6%にとどまり、全国では約1.5%。同社にとって国内市場は広大な市場であり、3大都市圏での事業拡大余地は大きい(社内的には、首都圏シェア10%の早期達成を目指している様だ)。
 
【第3次C&G中期経営計画「収益の基盤構築」  -“ Chance, Change, Challenge&Grow ”-】
第1次C&G中期経営計画「意識・行動改革」(10/3~12/3)、第2次C&G中期経営計画「1000億円企業への基盤づくり」(13/3~15/3)を経て、16/3期から第3次C&G中期経営計画「収益の基盤構築」(~18/3)がスタートした。

第3次C&G中期経営計画では、安定的収益の確保と業務効率の改善に取り組むと共に、グループの総合力を発揮する事で「収益の基盤構築」を図る考え。グループ事業の基本戦略として、チェーン戦略(KZN)、エリア戦略、生鮮品・高付加価値食材戦略、商品開発・製造戦略、及び海外事業戦略、を掲げており、これら5つの戦略を遂行する事で、18/3期に営業利益7億円を達成したい考え。

尚、これまで18/3期の売上高目標を700億円としていたが、16/3期に実施した不採算取引の縮小・撤退を踏まえて、今後、売上高目標を見直す考え。ただ、不採算取引の縮小・撤退に伴う見直しであるため、利益面では、計画達成に向け、“一歩”、あるいは“数歩”前進と言う事になる。
 
 
 
 
2016年3月期上期決算
 
 
前年同期比0.3%の増収。営業損失が前年同期の2億23百万円から31百万円に縮小
売上高は前年同期比0.3%増の337億75百万円。食材卸売事業を中心とする不採算取引の縮小・撤退に加え、食材製造事業での一部ユーザーからの受注繰延等もあり、19億円の減収要因が発生したが、新規顧客開拓及び既存顧客のインストアシェアアップによる20億円(各10億円)の増収で吸収した(差し引き約1億円の増収)。
販売チャネル別売上構成比(個別ベース)は、居酒屋・パブ28.2%(前年同期27.6%)、ディナーレストラン・ホテル・専門店22.3%(同20.4%)、デリカ・惣菜・ケータリング・娯楽施設・その他14.7%(同14.7)、ファーストフード・ファミリーレストラン・カフェ34.8%(同37.3%)。

営業損失は前年同期の2億23百万円から31百万円に縮小。仕入価格上昇に対応した代替え商品提案の成果が顕在化してきた事に加え、一部商品での価格転嫁も進み、売上総利益率が16.9%と0.4ポイント改善。物流改革が成果を上げ始めた事で物流費の膨張による販管費の増加にも歯止めがかかり(増収ながら物流費が28百万円減少)、第2四半期(7-9月)に限れば、営業損益が99百万円の黒字に転換。保険解約益60百万円を営業外収益に計上した事等で、前年同期は1億76百万円の損失だった経常損益が82百万円の黒字に転換。子会社 久世(香港)有限公司所有の投資有価証券売却益60百万円を特別利益に計上した事等で最終利益は1億13百万円を確保した。
 
 
上期末の総資産は前期末に比べて3億64百万円増の199億73百万円。現預金、売上債権、仕入債務が増加する一方、借入金の返済を進めた事で有利子負債が減少した。流動比率109.6%(前期末112.5%)、固定比率107.6%(同108.4%)、自己資本比率23.1%(同23.5%)。財務内容は流動性に富み、かつ長期安定性を有する。
 
 
運転資金が増加したものの、8億75百万円の営業CFを確保しており、投資CFのマイナスも大半は定期預金の預け入れによるもの。
 
 
取り組みの成果(上期のレビュー)と下期以降の取り組み
 
(株)久世において、営業、物流、商品の各部門が収益改善に向けた取り組みを進める一方、グループ各社が事業拡大に向けた取り組みを推進し、それぞれが一定の成果をあげた。
 
(1)営業、物流、商品の各部門が収益改善に注力
営業部門
提案営業等、顧客毎のキメ細かい対応で関係を強化する事でインストアシェアアップに成功し、既存顧客の売上を10億円増加させると共に、新規顧客も新たに1,400店舗を開拓し10億円の売上を上げた。その一方で、主要顧客の1社である(株)モンテローザとの取引が2016年1月末をもって終了する事となった。
(株)久世は(株)モンテローザの約2,000店舗のうちの750店舗について、店舗配送・商品保管・庫内作業等の物流業務を一手に引き受け、これを専門業者に外部委託していたが、委託経費が収入を上回る状態が続いていた。双方と話し合いを続けてきたが、取引条件の改善が難しいため、この取引を終了する事となった。(株)モンテローザ向けの売上は15/3期実績で約97億(売上構成比約14%)に上り、16/3期(2月・3月分)は15億円程度の減収要因にとどまるが、来17/3期は100億円近い減収要因が発生する事になる。しかし不採算取引だったため、利益面ではプラス要因。
 
物流部門
物流費を削減するべく、遠隔地配送や納品時間の制約等の課題に対してIT化を中心に全般的な効率化に取り組んでいる。その1つである物流動態管理システムは車両管理や配送コース組みを効率化するシステムであり、今回、従来の体感的なコース組みを廃し、GPS等を活用した自動配送機能によるコース組みをスタートさせた。また、ボイスピッキングシステムは誤配の防止と業務の効率化に加え、ピッキング従事者の生産性管理にも寄与する。いずれのシステムも、継続的に機能向上に取り組んでいく。
 
商品部門
品ぞろえを意識するあまり、増加傾向が続いていたロングテール商品の見直しを行い、廃棄ロスを削減する。この一環として、顧客ニーズをつかみ、品ぞろえに反映させていく考えで、カテゴリー別に対象商品をピックアップして商品の集約を進めた他、営業エリア毎に担当バイヤーを決め、仕入から販売までの一貫したマーチャンダイジング体制を整備した。
 
(2)グループ各社の事業拡大に向けた取り組み
生鮮品・高付加価値食材戦略、商品開発・製造戦略、及び海外事業戦略を推進した。
 
生鮮品・高付加価値食材戦略
久世フレッシュ・ワン
9月1日、良質な商品の安定調達と協働による産地開拓及び商品開発を目的に、横浜中央市場の青果仲卸会社 (株)丸ユ商店(本社:横浜)と業務提携した。また、10月1日には、広域チェーン向け及び神奈川エリアでの青果販売の拡大と営業力の強化を目的に、横浜事業所を横浜市戸塚区に開設した。この他、商品の調達ルートの拡大を図るべく、9月に大田市場及び横浜市場で買参権を追加取得した(従来、買参権を保有しているのは築地市場のみだった)。
 
旭水産
豊洲新市場(2016年11月予定)移転及び築地魚河岸(2016年10月開設予定)への出店準備を進めた。築地魚河岸へ出店する店舗は、早朝にプロ向けの販売を行い、午前9時以降、消費者向け販売を行う事で幅広いニーズを取り込んでいく。
 
商品開発・製造戦略
久世PB商品(年商50億円)において、新商品の投入よりも、既存商品の品質と価格の見直しに軸足を置いて取り組んだ。このため、上期はリニューアル及び新発売が3アイテムにとどまり、下期も、4アイテムを新発売するにとどまる。
また、製造事業強化にも取り組み、キスコフーズが高品質・高価格帯マーケットのニーズに合った商品開発3アイテムをリニューアル発売した他、ユーザーの要望を商品開発に活かす体制づくりの一環として、6月にテクニカルサポート部門を新設した。
 
海外事業戦略
製造事業では、キスコフーズインターナショナルが、日本国内でのバター不足を踏まえて、外食ユーザー向けのバタールー販売を大きく伸ばした。また、中国での卸売事業では、久華世(成都)が、成都、重慶での卸売事業を順調に拡大させた。日本食・西洋食の柱商品を育成し、継続的に市場シェアの拡大に取り組んでいく考え。また、生鮮事業では、旭水産の東南アジア・北米向け輸出が順調に増加した。下期は台湾向けの輸出を開始する予定で、通期の売上高は対前年比150%以上の伸びを見込んでいる。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更はなく、前期比6.4%の減収ながら、営業利益1億20百万円を見込む
上期の利益が大幅に上振れしたものの、業績予想に変更はなかった。下期も、収益改善を最優先に、採算を重視した営業体制の整備を進めると共に物流業務の効率化に取り組む考え。

通期業績予想には、不採算取引の縮小・撤退に伴う減収要因として80億円程度が織り込まれており、利益面では、不採算取引の縮小・撤退に伴う売上総利益の減少約3億円、システム投資や商品開発、及び海外での営業強化に伴う先行投資的な営業費用の増加等を織り込む一方、9億円程度の物流の効率化効果を見込んでいる。
配当は前期と同額の1株当たり期末12円を予定している。
 
 
今後の注目点
同社は業界に先駆けて商物分離(営業と物流の分業化)を導入し、それぞれの業務で業務効率を高めたが、11/3期以降、売上が急拡大する中で物流費を含めた顧客別の採算管理が甘くなった。しかし、上期の業績が示しているように、顧客別採算管理や物流改革等の取り組みが進み課題は克服されつつあり、16/3期の営業黒字確保に目処が付いた。収益回復に期待する一方、採算を重視するあまりの営業活動の萎縮を懸念していたが、上期は新規顧客開拓及び既存顧客の深耕が共に順調で、その懸念も杞憂に終わった。通期の業績予想は売上面で十分な減収要因を織り込んでいるため、更なる不採算取引の見直しがあったとしても、売上が下振れする可能性は低い。一方、利益面では、収益の回復ピッチが想定以上と思われ、上振れ期待が高まっている。通期の黒字化はもちろん、成長軌道への回帰が見えてきたと考える。