ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

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ブリッジレポート:(4319)TAC vol.19

(4319:東証1部) TAC 企業HP
斎藤 博明 社長
斎藤 博明 社長

【ブリッジレポート vol.19】2016年3月期第2四半期業績レポート
取材概要「5期ぶりの増収、2桁増益、5期ぶりの中間配当実施と、好材料が目白押しの決算であった。加えて、事業再構築は前期までにほぼ完了し、資格試験申・・・」続きは本文をご覧ください。
2015年12月25日掲載
企業基本情報
企業名
TAC株式会社
社長
斎藤 博明
所在地
東京都千代田区三崎町3-2-18
決算期
3月 末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年3月 19,537 140 404 208
2014年3月 20,526 1,034 1,299 816
2013年3月 20,999 136 377 977
2012年3月 22,578 -606 -530 -799
2011年3月 24,575 465 283 -244
2010年3月 23,991 623 442 40
2009年3月 21,092 1,330 1,352 669
2008年3月 20,741 1,069 1,230 443
2007年3月 20,553 1,173 1,333 742
2006年3月 19,828 421 631 249
2005年3月 19,669 459 558 81
2004年3月 19,542 988 943 470
株式情報(12/18現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
229円 18,503,932株 4,237百万円 4.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
2.00円 0.9% 20.27円 11.3倍 236.95円 1.0倍
※株価は12/18終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期実績。
 
TACの2016年3月期第2四半期決算概要等についてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。
 
 
【沿革】
1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙いM&Aを実施。
 
【強み】
(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み高い生産性を実現していることも強みとなっている)。
 
(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。
 
(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。
 
 
 
ROEは、マージンの低下に加え総資産回転率も低下したため前々期に比べ大きく下落した。
先ずは今期以降、本格的な収益力回復を遂げることが出来るのか?がカギとなる。
2002年以降の平均ROEは10.5%と比較的高水準で推移している。
 
 
2016年3月期第2四半期決算概要
 
売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大きく異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。
 
季節的特徴について
同社が扱う主な資格講座の本試験は、第2四半期(7月~9月)及び第3四半期(10月~12月)に集中しており、特に公認会計士・税理士講座等の主力講座においては、第2・第3四半期は試験が終了した直後で、翌年受験のための新規申し込みの時期となり、一方、第4四半期(1月~3月)及び第1四半期(4月~6月)は全コースが出揃う時期にあたる。
第2・第3四半期は、現金売上及び売掛金売上は多いものの受講期間に応じて前受金に振り替えられる一方、経費は毎月一定額計上されるため売上総利益率は減少する傾向がある。これに対して第4・第1四半期はこれらの前受金が各月に売上高に振り替えられる期になるため売上総利益率は増加する傾向がある。
 
 
5期ぶりの増収、コストは横這いで2桁の増益
現金ベース売上高は前期比8.1%増の104億72百万円。発生ベース売上高は同2.3%増の105億96百万円。財務・会計分野、金融・不動産分野が好調だったのに加え、医療・福祉分野でM&Aによって子会社化した関西2社の業績取り込みも寄与した。
売上原価、販管費における賃借料、人件費が、前年並み若しくは微減であったため、営業利益は同33.5%増の10億52百万円となった。営業外収益において投資有価証券運用益16百万円、営業外費用において支払利息37百万円等があった結果、経常利益は同12.1%増の10億46百万円、四半期当期純利益は同12.3%増の6億44百万円となった。
好調な業績推移を受け、第2四半期業績見通しを上方修正した。
5期ぶりに中間配当1.00円/株を実施した。
 
 
【個人教育事業】
現金ベース売上高は前年同期比5.7%増加の66億56百万円。
消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響が大きかった昨年との比較になるため大幅な増収だった。
多くの講座で前年同期を上回ったが、特に増加額が大きかったのは公認会計士講座、公務員講座、宅地建物取引士講座等だったが、その他の講座も堅調だった。
引き続きコスト削減を進めており、講師料、教材制作のための外注費、賃借料等の営業費用は同2.7%減の63億34百万円となり、この結果、現金ベースの営業利益は3億22百万円と、前年同期の2億13百万円の損失からは大きく改善した。
教室系講座と通信系講座の比率は58.5%対41.5%で、4期前の63.9%対36.1%からその差は縮小している。
 
【法人研修事業】
現金ベース売上高は前年同期比6.1%増加の23億55百万円。営業利益は同13.8%増の7億10百万円だった。
法人研修事業セグメント売上高の過半を占める企業研修売上は、景気回復による企業の採用人員増や、既存社員の人材育成に注力する企業の増加を背景に、内定者研修、新人研修や職階別研修等の受注が好調に推移し同8.2%増加した。企業が人事考課のための試験をアウトソースする動きも広がっている。
講座別では、宅建が同14.0%増、建築士が同103.0%増と大きく伸長し、ビジネススクール、証券アナリストもそれぞれ同23.4%増、7.8%増と好調だった。一方、FPが同12.0%減、マンション管理士が同18.3%減等となっている。
提携校事業は、会計士、宅建、公務員等が消費税増税による駆け込み申込みの反動減の影響が大きかった昨年を上回り、全体では同4.4%増となった。地方専門学校に対するコンテンツ提供も増加している。
大学内セミナーは、簿記が同16.6%増、会計士が同33.6%増、公務員が12.7%増と増加した一方、司法試験が同15.3%減、行政書士が同1.6%減となり、全体では同7.0%増となった。
自治体からの委託訓練は、景気回復による需要の減少で同21.0%の減少となったほか、昨年消費税のバージョンアップ特需があった税務申告ソフト「魔法陣」は同9.2%の減少となった。
 
【出版事業】
売上高は前年同期比24.7%増加の11億48百万円、営業利益は同61.7%増の3億93百万円。(同事業では、前受金調整がないため現金ベースと発生ベースの売上高は一致する。)
TAC出版では、従来の分かりやすさに見やすさ・理解しやすさを付加したフルカラー書籍(簿記・宅建士・FP等)を初めて刊行した他、タイムリーにマイナンバーに関する書籍等を出版した。また、自社の日商簿記書籍利用者のために、2016年度以降に予定されている日商簿記検定の出題試験区分改定への対応をサポートする特設サイトを設け、出版物以外の側面からも受験生を支援する施策を展開している。
講座別では、全体的に好調な講座が多く、特に簿記、宅建士、FPは大きく伸長した。
W出版では、会社法や商業登記法の改正関連書籍が好評で、司法試験・司法書士が売上を伸ばした。販売促進の面では取引書店に月1度送付する「TAC定期便」を通じた書店の売上サポート、「TACグループ資格祭り」の開催等による大手書店との連携強化、直販サイト(サイバーブックストア)やアマゾン、独学道場(独学者向けのオリジナル講座)を通じた売上拡大に継続して取り組んだ。また8月には、近畿エリアの営業を強化する目的で大阪に営業拠点を開設した。商品力の向上及び販売力の強化が、出版物の返品の減少という好循環にもつながっている。
 
【人材事業】
売上高は前年同期比25.7%増加の3億42百万円。営業利益は同127.0%増の35百万円となった
医療系人材サービスは、医療事務スタッフ関西とクボ医療の関西2社の業績6か月分(前期は3か月分)が加わり大きく増加した。また、収益拡大を目指し、2015年7月に診療報酬に係るコンサルテーションサービスやクラウドを利用したレセプトチェックサービスなどを展開する(株)TMMCと資本・業務提携契約を締結した。
 
 
【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2014年の本試験申込者は2,510千人(前年比-8.3%)と、2010年の3,086千人をピークに4年連続して減少しているが、そろそろ下げ止まりになると会社側は見ている。
主な資格マーケットは以下の様な概況となっている。

<会計系>
簿記検定は各級とも受験者数が減少し、全体では前年比9.1%減少した。
会計士も同17.8%減と受験者数の減少が続くが、監査法人をはじめ会計士業界は人手不足の状況となっており、今後の受験者数の増加が期待される。
税理士試験は長期低落中で、2014年の受験者数は同9.9%減少した。

<法律系>
司法試験予備試験の受験申込者数は前年比12.1%増となっており、2011年の試験開始以来、3年連続で増加した。

<公務員系>
リーマンショック後の2009年度より公務員の志望者が急増してきたが、2014年度はアベノミクスによる景気回復傾向を受けて申込者数は前年度に引き続き減少した。国家総合職・一般職の2014年度申込者数が同2.7%の減少なのに対し、地方上級は同4.6%減と景気回復に伴う申込者数の減少は地方公務員に色濃い。教員採用試験の申込者数は15万人前後で安定的に推移している。
(以下、同社動向。)
 
財務・会計分野
発生ベース売上高は前年同期比5.7%増加の15億56百万円。
公認会計士について、大手監査法人は一昨年からの積極採用姿勢が続いており、本試験合格者はほぼ全員が採用される良好な状況となっている。年2回の短答式試験の受験者数(名寄せした合計ベース)は、平成27年度は10,180人と前年から690人減少したが、数千人規模で受験者数の減少が続いていた近年の状況からはだいぶ落ち着きを取り戻してきた。同社の新規学習者向け入門コースの受講申込みは前年を大きく上回って推移しており、現金ベース売上高は同18.7%増となった。
簿記検定講座の売上はほぼ前年並みだったが、「スッキリわかる」「みんなが欲しかった!」「よくわかる」といったシリーズものの簿記関連書籍の売れ行きが好調で、現金ベース売上高は同9.0%増となった。
 
経営・税務分野
発生ベース売上高は前年同期比3.2%減の21億99百万円。
平成27年度の税理士試験受験申込者数は47,145名(前年比5.5%減、国税庁発表速報値)と依然として減少傾向が続いている。また、平成27年度の本試験が昨年度よりも2週間遅い日程での実施だったため、本試験後の税理士講座への申し込みが昨年に比べ遅れている。こうしたことから、現金ベース売上高は同1.3%減となった。
中小企業診断士は、今年度の1次試験の合格率が高かったことで受験経験者向けコースの申込みが低調だったが、夏のキャンペーン効果もあり講座の売上は前年をやや上回った。また、受験対策書籍の販売が好調に推移し、現金ベース売上高は同3.1%増となった。
この結果、同分野の現金ベース売上高は前年同期並みの水準となったが、前受金調整額が大きく減少したため、発生ベース売上高は減収だった。
 
金融・不動産分野
発生ベース売上高は前年同期比13.0%増の17億51百万円。
景気回復や不動産市場の活発化により、現金ベース売上高は、宅建が同27.2%増、不動産鑑定士が同48.9%増、マンション管理士が同4.3%増、建築士が同65.0%増と不動産系は好調だった。
また証券アナリスト同19.1%増、ビジネススクール同61.7%増と順調だった。FP講座は、第1四半期では前年同期を下回っていたが、第2四半期では同1.9%増とプラスに転じた。
 
法律分野
発生ベース売上高は前期比6.1%減の9億2百万円。
司法試験講座は、平成27年の司法試験予備試験出願者数が12,543人(前年12,622人)と依然として高水準を維持しており、同社の「4A基礎講座」も初学者から受験経験者まで幅広く支持を集めている。また、新たに投入した予備試験の直前対策講座などのオプション商品も好評で順調に受講者数を伸ばし、現金ベース売上高は同5.6%増となった。
また、行政書士講座の申し込みは前年並みだったが、W出版の「合格革命」シリーズの売れ行きが好調で、現金ベース売上高は11.7%増となった。
一方、弁理士および通関士は低調で、それぞれ現金ベース売上高は同10.9%減、同15.7%減となった。
 
公務員・労務分野
発生ベース売上高は前年同期比1.0%増の27億52百万円。
社会保険労務士講座は、初学者向けの「総合本科生Wide」及び新コース「総合本科生Wide+Plus」、受験経験者向けに新規に投入した「上級演習本科生」などが好評で、現金ベース売上は前年同期を上回ったが、前受金調整額が大きく減ったため発生ベース売上高は同11.3%減となった。
公務員講座は、平成27年度の国家総合職試験申込者数が増加に転じたことを受けて、国家総合職・外務専門職講座も好調に推移した。また、国家一般職・地方上級講座は、民間就職状況が好転し公務員志望者が減少傾向にある中で、売上を確保するために新たに数的処理の講義を手厚くした商品を導入したところ好評で、現金ベース売上高は同8.4%増となった。
 
情報・国際分野
発生ベース売上高は前年同期比0.4%増の7億11百万円。
情報処理講座は、個人向けではITパスポートが前年を下回ったが、試験要綱が改定され従来より受験しやすくなる応用情報コースやITストラジテストなどの高度系の集客が好調だった。一方、法人向けの企業研修は微減となり、講座全体での現金ベース売上高は同1.9%減となった。また、CompTIA講座はメインの企業研修が好調。米国公認会計士、米国税理士(EA)、米国公認管理会計士(USCMA)、TOEIC(R)TEST等の国際資格の現金ベース売上高は同13.7%増となったが、前受金調整額が減少し発生ベース売上高は同3.4%増にとどまった。
 
医療・福祉分野
発生ベース売上高は前年同期比88.7%増の1億4百万円。
医療系人材サービスでは、(株)医療事務スタッフ関西において中規模のクリニックを新たに獲得、(株)TAC医療事務スタッフは他社のサービスとの差別化をすることで収益の拡大を図るため、2015年7月に診療報酬に係るコンサルテーションサービスやレセプトチェックサービスを提供する(株)TMMCと資本・業務提携した。医療事務スタッフを養成する医療事務講座も2015年1月の開講以来、着実に受講者数を伸ばしている。
 
その他
売上高(現金ベース売上高=発生ベース売上高)は前年同期比0.6%増の6億16百万円。
税務申告ソフト「魔法陣」の売上は、昨年は消費税増税に伴うバージョンアップが需要があった反動で同9.2%減、受付雑収入は同5.5%減となった。一方、人材子会社TACプロフェッションバンクが行う人材ビジネスについては、会計業界の人材ニーズが旺盛で会計士・税理士向けの就職説明会が好評で広告売上高は前年を上回ったが、人材紹介売上および人材派遣景売上は低迷した。
 
 
2016年3月期第2四半期の受講者数は126,295名で前年同期比5.7%増加し、消費税増税前の駆け込み申込みによる反動減の影響が残った前年同期を上回った。
個人受講者は85,565名(同1.6%増、1,349名増)、法人受講者は40,730名(同15.4%増、5,430名増)となった。
個人・法人を合わせた講座別では、宅地建物取引士講座が同8.4%増、建築士講座が同45.0%増、証券アナリスト講座が同47.3%増、ビジネススクールが同36.8%増と大きく伸長したほか、簿記検定講座、中小企業診断士講座、不動産鑑定士講座、マンション管理士講座、情報処理講座、CompTIA講座等で受講者数が増加した。
一方、公認会計士講座(同9.3%減)、社会保険労務士講座(同7.2%減)、司法書士講座(同10.6%減)、行政書士講座(同5.5%減)等は受講者数が減少した。
法人受講者は、通信型研修が同24.6%増、学内セミナーが同16.8%増、提携校が同3.2%増となった一方、委託訓練は景気回復に伴い同20.8%減となった。
 
 
現預金の増加等で流動資産は前期末比13億99百万円増加した。投資有価証券の増加など固定資産は同2億84百万円増加し、資産合計は同16億84百万円増加の229億89百万円となった。
仕入債務が同1億12百万円減少、有利子負債残高が同9億73百万円増加し、負債合計は同10億73百万円増加の179億90百万円となった。純資産は利益剰余金の増加等で同6億10百万円増加の49億98百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より1.1%上昇し21.7%となった。
 
 
利益増などで営業CFはプラスに転じ、投資有価証券の取得による支出増などで投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFは大きく好転した。長期借入金による収入増などで財務CFのプラス幅は拡大した。
キャッシュポジションは上昇した。
 
 
2016年3月期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。微増収ながらも大幅増益
通期の業績予想に変更は無い。現金ベース売上高は前期比8.0%増の203億61百万円を予想。事業の性格上、一定規模の拠点ネットワーク維持のためには売上高の維持・拡大が不可欠であり、金融・不動産分野、教職員対策講座など堅調な講座を拡大させると共に、新規講座の開発やアライアンス強化で売上拡大を目指す。また、成長のための投資(新規事業の開拓)を行うとともに、コスト削減にも継続的に取組む。
営業利益は同348.2%増の630百万円。本社ビル取得に要した一時的な諸費用がなくなること及び賃借料の削減などで、販管費が前期より減少し大幅増益を見込む。
第3四半期は投資先行の期であること、売上動向にも不透明感があること等から、会社側は下期業績を慎重に見ている。
配当は前期より1円増配の2.00円/株を予定。予想配当性向は9.9%。
 
(2)中長期の取り組み
売上高の維持拡大に向けては、(株)オンラインスクールにおける課金サービス、前回のレポートで紹介した医療系人材事業の推進(株式会社TMMCとのアライアンス)、建築士講座の拡大、語学事業への注力などを挙げている。
この中で2012年11月に新規開校した建築士講座は、優秀な講師陣、ポイントを絞ったオリジナルj教材、合格第一主義によるカリキュラム、競合他社との価格優位性などを要因に、申込状況は好調に推移している。
不動産市場の活発化を追い風に更なる売り上げの拡大を図る考えだ。

また、成長投資としてはシナジーの見込めるM&A案件に積極的に取組んでいく。
 
 
今後の注目点
5期ぶりの増収、2桁増益、5期ぶりの中間配当実施と、好材料が目白押しの決算であった。加えて、事業再構築は前期までにほぼ完了し、資格試験申込者は下げ止まり傾向で受講者数も増加に転じているが、株価は冴えない展開が続いており、PBRは再び1倍を割り込む水準で推移している。
投資家は持続的な業績回復に対してまだ確信を持てていないという事だろう。
ここ数年で積極的に展開したM&Aやアライアンスがいつ頃から実際の収益に貢献してくるのかが大きなポイントとなろう。