ブリッジレポート
(2157) 株式会社コシダカホールディングス

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ブリッジレポート:(2157)コシダカホールディングス vol.24

(2157:JASDAQ) コシダカホールディングス 企業HP
腰髙 博 社長
腰髙 博 社長

【ブリッジレポート vol.24】2016年8月期第3四半期業績レポート
取材概要「通期予想に対する進捗率は、売上高75.2%、営業利益73.7%、経常利益70.4%。カラオケ事業とカーブス事業を中心に売上が順調に増加しており・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年8月16日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社コシダカホールディングス
社長
腰髙 博
所在地
東京都港区浜松町2-4-1 世界貿易センタービルディング
決算期
8月末日
業種
サービス業
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年8月 44,257 4,394 4,492 2,098
2014年8月 37,720 4,276 4,370 2,423
2013年8月 34,515 4,151 4,237 3,072
2012年8月 33,746 4,077 4,096 2,279
2011年8月 29,093 3,356 3,336 2,877
2010年8月 21,932 2,503 2,579 1,125
2009年8月 18,955 1,496 1,427 549
2008年8月 13,649 691 731 421
2007年8月 11,332 535 561 134
2006年8月 8,878 552 560 319
2005年8月 6,360 403 400 233
2004年8月 3,552 340 337 192
2003年8月 2,037 104 99 57
株式情報(7/4現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,057円 17,954,591株 36,933百万円 16.2% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
30.00円 1.5% 130.59円 15.8倍 725.99円 2.8倍
※株価は7/4終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
コシダカホールディングスの2016年8月期第3四半期決算と2016年8月期業績予想について、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“総合余暇サービス提供企業”を標榜し、「アミューズメント」、「スポーツ・フィットネス」、「観光・行楽」、「趣味・教養」の4分野で「既存業種新業態」戦略を推進。安定成長を続けるカラオケ事業と高い成長を続けるフィットネス(カーブス)事業を二本柱に、上場以来、増収・増益を続けており、新規事業として温浴事業を育成中である。
尚、「既存業種新業態」戦略とは、既に社会に存在し誰もが知っている業種において、視点や取り組み方を変え、従来と異なる新たな顧客層をターゲットとする事で全く新しいサービスや運営手法を生み出し、独自のビジネスモデルを確立していく事業手法。
 
【企業理念 -豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献-
企業理念は、「進化させた有意なサービス・商品を常に考案し、そして全世界の人々に提供し続けることによって、豊かな余暇生活の実現と希望に溢れた平和な世界の構築に貢献すること」。この企業理念の下、①安近短の身近な余暇の分野において既存業種新業態を追求する、②各国地域並びに各業種の実情に即した最適な業態、仕組みを開発する、③顧客のニーズを探求し、驚きと感動を与える質の高いサービス・商品を常に提供する、④強い志と企業家精神を持って活躍する人材を育成する、及び⑤業態間のシナジーを図り、グループ力を最大限に発揮する、の5つをビジョンとして掲げている。
 
【事業セグメントとグループ】
事業は、「カラオケまねきねこ」やひとりカラオケ専門店「ワンカラ」を運営するカラオケ事業、“女性専用30分健康体操教室”として中高年齢層をターゲットに女性専用フィットネスクラブ「Curves(カーブス)」を展開するカーブス事業、新規事業として育成中の温浴事業(各種温浴設備を備えた施設の運営。「居抜き出店方式」のノウハウを活用し店舗展開)、及び不動産管理事業に分かれる。グループは、持株会社である(株)コシダカホールディングス、及びその傘下で各事業を展開する連結子会社11社と非連結子会社4社。

15/8期の売上構成比は、カラオケ事業53.8%、カーブス事業42.1%、温浴事業3.4%、不動産管理事業0.7%。連結調整利益構成比は、カラオケ事業23.6%、カーブス事業75.6%、温浴事業△1.8%、不動産管理事業2.5%。
 
 
 
非連結子会社は、TV電話ソフト「スカイプ」を使って海外のネイティブ講師とパソコンで英会話学習をするオンライン英会話事業「e英会話」関連の(株)イングリッシュアイランドとEEIKAIWA INC.、及びKOSHIDAKA R&C Co., Ltd.。
 
【成長戦略】
約73兆円の国内余暇市場(公益財団法人 日本生産性本部「レジャー白書2015」)は同社にとって無限とも言える広さだ。特にシニア市場は、団塊の世代(1947年~49年までの間に出生した世代)が75歳を迎えるまでの間、高い成長が見込まれている。こうした中、同社は「総合余暇サービス提供企業」をコンセプトに、「アクティブシニア層」をターゲットとし、“アミューズメント(カラオケ)”、“スポーツ・フィットネス(カーブス)”、“観光・行楽(温浴)”、“趣味・教養”の4分野において、事業間シナジーを追求すると共に「既存業種新業態」戦略を進め業容の拡大を図っていく考え。グループ売上高1,000億円を中長期の目標としている。
尚、「カラオケ白書2015」によると、2014年度(14年4月1日~15年3月31日)の国内カラオケボックス市場は3,979億円(13年度3,957億円、12年度3,912億円。09年以降、概ね3,800億円~3,900億円で推移している)。また、新聞報道等によると、フィットネスクラブの市場規模は4,100億円程度で、ここ数年は横ばいの状態が続いているという。
 
カラオケ事業における取り組み
国内のカラオケ産業は大手チェーンへの集約が進み、大手チェーン間での顧客獲得競争が激化している。同社は店舗網の拡充を図ると共に、同社店舗のコンセプトである「安心・安全、リーズナブル、フレンドリー」の浸透とカラオケの新しい楽しみ方や新しいサービスを開発に取り組む事で差別化を図っていく。シンガポールでカラオケ事業の海外展開も進めている。韓国では、13店舗を展開(16/8期上期末現在)する子会社 韓国コシダカがビジネスモデルの確立に成功し、FC化も念頭に店舗数拡大を目指している。一方、シンガポールでは、K BOX ENTERTAINMENT GROUP PTE.LTD.(以下、K BOX)が11店舗を展開しており、「カラオケまねきねこ」への転換を進めている(設備と店舗運営方式両面からの日本方式の導入)。
 
カーブス事業における取り組み
当事業のコンセプトは、高齢化社会が急速に進展する中で、一人一人が正しい運動方法を身につけ習慣づけていく事を支援し、既存の会員と共に、こうした仲間を増やしていく活動を通して未病率の改善や健康寿命の延伸に貢献すると共に事業の拡大を図っていく事。この事業コンセプトの下、顧客視点に立った通いやすい店舗(加盟店)網の構築と、各店舗を会員が成果を実感し、それを喜び合えるようなコミュニティに創り上げていく事を目指して本部と加盟店が一体となって取り組みを進めている。この他、トレーニングとの相乗効果が高いプロテイン等、会員向けの物販にも力を入れており、この一環として(商品購入につなげるべく)、簡易食事診断とこれを基にした食生活改善提案等も実施している。
 
温浴事業における取り組み
現在、東京健康ランドまねきの湯(東京都)、郡山湯処まねきの湯(福島県)、箕郷温泉まねきの湯(群馬県)、大分森温泉まねきの湯、らんぷの湯花園店(共に大分県)の5店舗を運営している。人材育成システムを活用した固定費削減や店舗営業(接客サービス)等、カラオケ事業で培ってきた様々なノウハウの活用と省エネに向けた取り組みで16/8期はセグメント損益の黒字転換が見込まれる。
 
 
2016年8月期第3四半期決算
 
 
前年同期比15.3%の増収、同3.2%の営業減益
売上高は前年同期比15.3%増の373億01百万円。国内外での積極的な新規出店や前年に実施したM&A効果でカラオケ事業の売上が同17.4%増と伸びた他、店舗数・会員数の増加や物販(プロテイン)の増加でカーブス事業の売上も同13.9%増加。店舗数減少の影響を吸収して温浴事業の売上も同2.6%増加した。

利益面では、カラオケ事業における新規出店の増加及びカーブス事業における物販の増加で売上総利益率が低下する中、カラオケ事業における店舗のスクラップ&ビルド等で販管費が増加したため、営業利益が36億41百万円と同3.2%減少。為替差損1億31百万円(前年同期は為替差益24百万円を計上)等で営業外損益も悪化したが、特別損益の改善(固定資産売却益が増加する一方、固定資産除却損等が減少)で四半期純利益は17億81百万円と同0.3%増加した。
 
 
 
カラオケ事業
売上高205億39百万円(前年同期比17.4%増)、セグメント利益7億80百万円(同34.4%減)。新規出店効果や2015年4月に子会社化した(株)ムーンの期初からの寄与等で売上が増加したものの、店舗のスクラップ&ビルドによる営業費用の増加でセグメント利益が減少した。ただ、3-5月の3か月間では、前年同期比17.2%の増収、同0.4%の営業増益。

国内では、様々なターゲット顧客層が重なり合う首都圏への集中出店を進めた事に加え、2015年9月に将来の中核顧客を為す高校生にフォーカスした新サービス「ZEROカラ」を立ち上げた。また、自社端末「すきっと」を武器としたコンテンツホルダーとのコラボレーション企画に引き続き取り組んだ他、店舗運営の中核を担うアルバイトスタッフのモチベーションを高め定着率の向上を図るために、継続勤務報奨制度「まねきマイル(社内呼称)」を創設しスタートさせた。
海外では、韓国においてソウル周辺に直営店舗を展開し、シンガポールにおいて既存店舗のリニューアルによる営業形態転換(K-BOXのまねきねこ化)を進めた。

第3四半期末の国内店舗数は前期末に比べて36店舗増の448店舗(前年同期末403店舗)。新規出店に加え、18店舗(前年同期末26店舗)でリニューアルを実施した。社員独立制度による独立者が運営する店舗は19店舗。一方、海外店舗数は前期末に比べて5店舗増の24店舗(前年同期末16店舗)。内訳は、シンガポール11店舗(同10店舗)、韓国13店舗(同6店舗)。
 
(※)「ZEROカラ」は、2人以上の高校生グループを対象に、1オーダー制で室料を時間無制限(混雑時には制限がある他、22時以降は利用不可)の「0円」にするサービス。高校生の来店数の減少が続いていた事とシニア層の取り込みによる一段の収益拡大が難しくなっていた事等から導入した。「ZEROカラ」は家族等の取り込みにもつながっている模様。
 
カーブス事業
売上高153億67百万円(前年同期比13.9%増)、セグメント利益32億86百万円(同6.7%増)。一部のFCが熊本地震の影響を受けたものの、店舗数及び会員数の順調な増加に加え、店舗での運動と相乗効果の高いプロテインの会員による定期購入も拡大した。

第3四半期末の国内カーブス店舗数は、前期末に比べて73店舗増(増加率4.5%)の1,675店舗(前年同期末1,563店舗)、会員数は同27千人増(増加率3.8%)の738千人(同669千人)。
 
温浴事業
売上高11億64百万円(前年同期比2.6%増)、セグメント利益53百万円(前年同期は84百万円の損失)。不振店を閉鎖した影響を吸収して売上高が増加する中、不振店の閉鎖効果に加え、省エネ化と原油安による水道光熱費の減少もあり、セグメント損益が黒字転換した。
 
 
第3四半期末の総資産は前期末に比べて40億64百万円増の347億28百万円。借方では、業容拡大で流動資産が増加した他、店舗数の増加で固定資産が増加。貸方では、長期借入金を中心に有利子負債が増加した。自己資本比率は38.9%(前期末43.7%)。
 
(4)「VRカラオケ」のトライアルをカラオケまねきねこ新宿歌舞伎町1号店にて開始
5月2日より、「VRカラオケ」のトライアルをカラオケまねきねこ新宿歌舞伎町1号店で開始した。「VRカラオケ」サービスは、「すきっと」と連動して提供するサービスで、「すきっと」に接続されたHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着する事で全方位映像として収録したアーティストの映像を楽しみながらカラオケを歌唱する事ができる。

第一弾コンテンツとして提供する楽曲は、ヴィジュアル系ロックバンド「lynch.」の「EVOKE」。映像は、昨年実施された「すきっと」とのコラボレーション企画のスペシャルライブ会場で収録されたもので、全方位カメラを「lynch.」5人のメンバーが囲んで演奏・歌唱した映像である(誰をどのタイミングで見るかは歌い手次第)。順次、VRコンテンツを充実していく考えで、複数の「すきっと」コラボレーションアーチストでVR映像の収録を予定している。
尚、このサービスは、アプリケーションとして、(株)UEIソリューションズが提供する「VRider」を利用している。また、有償サービスのため、1回の視聴に300円(税込)が必要となる。
 
(株)UEIソリューションズ及び「VRider」について
(株)UEIソリューションズは、人工知能及び応用ソフトウェアの企画・研究・開発・コンサルテーションを手掛ける(株)UEIの子会社。(株)UEIが培ってきた技術やノウハウを基に、より世界を楽しくイノベーションするアプリケーションの開発に取り組んでいる。
一方、「VRider」は、最大8Kの動画制作に対応した実写特化の動画VRコンテンツ制作ソリューション。VR動画企画立案・コンサルティング、VR動画撮影・エンコーディング、及びVR動画再生ソフトウェア「VRider Player」、の3つのサービスで構成されており、低コストでVRコンテンツを作成できる(複数台のカメラで撮影した動画を高解像度で円周動画としてオーサリングしてVRコンテンツを作成する)。
 
 
2016年8月期業績予想
 
 
通期予想に変更はなく、前期比12.1%の増収、同12.4%の営業増益予想
通期予想に変更はなかった。売上については3事業そろって増加を見込んでおり、利益については、カーブス事業の順調な増加に加え、温浴事業の通期での黒字確保やカラオケ事業の期末にかけての収益性改善を見込んでいる。
期末配当は前期と同額の1株当たり年15円を予定している(上期末配当15円と合わせて年30円)。
 
 
 
今後の注目点
通期予想に対する進捗率は、売上高75.2%、営業利益73.7%、経常利益70.4%。カラオケ事業とカーブス事業を中心に売上が順調に増加しており、利益面では、温浴事業において黒字体質が定着しつつある事が確認できる上、カーブス事業も、想定を上回って推移していると思われる。しかし、カラオケ事業の利益率改善が遅れ気味のようだ。国内外での積極的な出店に加え、国内での「ZEROカラ」の育成及び人手不足対策やシンガポールのてこ入れ、更には、「VRカラオケ」のトライアル等、取り組みの成果を来期の業績に、どのように反映させる事できるか注目したい。
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社はコーポレートガバナンス・コード適用以降のコーポレートガバナンス報告書を2016年5月11日に提出しており、JASDAQ上場企業としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施している。