ブリッジレポート
(3633) GMOペパボ株式会社

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ブリッジレポート:(3633)GMOペパボ vol.2

(3633:JASDAQ) GMOペパボ 企業HP
佐藤 健太郎 社長
佐藤 健太郎 社長

【ブリッジレポート vol.2】2016年12月期第2四半期業績レポート
取材概要「前回のレポートでも紹介したように、「minne」の将来像として「日本のものづくりを集めた巨大な経済圏を構築」することをビジョンとして・・・」続きは本文をご覧ください。
2016年8月30日掲載
企業基本情報
企業名
GMOペパボ株式会社
社長
佐藤 健太郎
所在地
東京都渋谷区桜丘町26-1 セルリアンタワー
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2015年12月 5,697 -621 -597 -797
2014年12月 4,533 724 742 410
2013年12月 4,165 725 743 408
2012年12月 3,809 686 699 396
株式情報(8/15現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,560円 2,634,154株 9,377百万円 -51.6% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
0.00円 - 0.00円 - 384.32円 9.3倍
※株価は8/15終値。発行済株式数、ROE、BPSは直近期決算短信より。
 
GMOペパボの2016年12月期第2四半期決算概要などをご紹介します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
インターネットを使って自己表現したい個人ユーザーに対し、レンタルサーバー、ドメイン取得、オンラインショップ構築ASPなど各種サービスを提供。内製化による多様なサービス提供、独自の企業文化などが特長・強み。
既存のストック事業の安定収益に加え、2012年にスタートしたハンドメイド作品のCtoCハンドメイドマーケット「minne」(ミンネ)による更なる成長を目指している。
 
【沿革&社長プロフィール】
2003年1月、同社創業者である家入 一真(いえいり かずま)氏が個人向けホスティング事業を目的とし、有限会社paperboy&co.を設立した。
当時日本におけるインターネット環境は既に草創期から普及期に入ってはいたものの、ウェブサイトを通じて情報を発信するためには自らサーバーを持たないと活動ができない時代で、各種サービスは法人向けが主流で価格も高額であり、個人が気軽に利用することは難しかった。

そうした中同社は、「自己を表現したい個人」にインターネットのインフラを安価に提供することを目指し、月額数百円でのホスティングサービスを開始した。また1年後には、ドメイン取得代行サービスを開始するなど、インターネットを利用して情報発信、自己表現をしたい個人ユーザーのニーズを多角度から捉えて事業は順調に拡大した。
また当時米国で普及の兆しが見えていたブログにもいち早く注目して日本語で利用できる環境を構築したことも、成長の大きな原動力となった。
2004年3月にはGMOインターネット株式会社(当時:グローバルメディアオンライン株式会社)を割当先とした第三者割当増資を実施し、GMOグループの一員となった。
当時、paperboy&co.に対しては複数の大手インターネット企業が強い関心を持ち、資本参加を申し入れていたが、法人中心にサービスを展開していたGMOグループが、シナジー効果や新サービスの作り易さ等から最適と判断した。
その後も、オンラインショップ構築ASPサービス、クリエイター向けレンタルサーバー提供サービス等の新サービスを相次いでリリースし業績は順調に拡大。2008年12月、JASDAQ市場に上場し、2014年4月、現社名に商号を変更した。

佐藤 健太郎社長は1981年1月生まれ。自らHPの制作などを行い、学生時代から家入氏に乞われ同社の前身会社の手伝いをしていた同氏は、2003年1月同社設立に参加。社長室長、代表取締役副社長経営企画室長などを務めた後、2009年3月に代表取締役社長に就任した。GMOインターネット社の取締役でもある。
 
【経営理念など】
以下のような、経営理念やミッションを掲げ、個人ユーザーに対しより魅力的でより使いやすいインターネット環境を提供する事を目指している。
 
 
【事業内容】
以上の、経営理念やミッションの下、「インターネットで何かを始めたい」個人ユーザーに対し様々なインターネットサービスを利用しやすい価格で提供し、インターネットを通じた個人の表現活動を支援している。
事業は「ホスティング事業」、「EC支援事業」、「ハンドメイド事業」、「コミュニティ事業」の4分野を中心に構成されている。
 
 
<ホスティング事業>
ウェブサイトやホームページを開設するためのサーバーや各種機能、ドメイン等を提供。各サービスの利用料が主な売上となっている。
 
 
<EC支援事業>
電子商取引(EC)の運営を支援するオンラインショップ構築サービス、オンラインショッピングモール運営、店舗ホームページ構築サービスを格安の料金で提供。サービスの利用料金や手数料を主な売上としている。
 
 
<ハンドメイド事業>
現在同社が育成に最も注力しているのがハンドメイド作品のCtoCハンドメイドマーケット「minne」で、量的重要性が増したため今期よりEC支援事業から分離・独立した報告セグメントとした。
 
 
<概要>
2012年にスタートした「minne」は、自分が制作したハンドメイド作品を発表・販売したい作家と、一点ものや個性豊かな作品を購入したい消費者をインターネット上でつなぐ CtoCのハンドメイドマーケット。
2016年6月末現在、登録作家数25.2万人、出品作品数327万点と国内最大のサービスへと成長しており、今後もさらに拡大のスピードを上げ、圧倒的なNo.1を目指している。
成長スピードを加速させるための様々な新企画を社内で検討している中で、「自己表現者を支援する」という同社の方向性に合致していることから、同サービスの開発に着手した。
 
<市場規模と成長の背景>
インターネットを介して消費者間でモノの売買やサービスの提供を行う「CtoC」ビジネスが急速に拡大している。
オークション、フリーマーケット、チケット売買、民泊など扱うモノやサービスは様々であるが、「minne」が取り扱う国内ハンドメイドの市場規模及び推移を同社では以下の様に推定している。
 
 
規模はまだ小さいものの、市場が急速に拡大する中、「minne」はそれを大きく上回るスピードで流通額が拡大している。
 
*CtoC市場成長の背景
CtoC市場の成長には、主に以下の3つの背景があると言われている。

①スマートフォンの普及
PCを用いて作家が自分の作品を出品する場合、作品の撮影、PCへの画像取り込み、説明原稿の入力・アップといった作業が必要となるが、現在は多くのサービスがスマホに最適化しているため、スマホのカメラで写真を撮影し、必要なテキストをフォームに入力するだけで簡単に出品することができ、出品のハードルが大きく下がっている。

②所有からシェアへの意識の変化
大量生産・大量消費の時代から、環境やサステナビリティなどモノを大切にする考え方が普及し始めたことで、自分が所有していても使わないものをシェアする「シェアリングエコノミー」が拡大しており、オークション、フリーマーケットなどはまさにそうした流れに対応したものである。

③個人が実力を発揮できる場
インターネットは世界中と繋がることが出来るため、個人でも実力さえあれば無名でも、著名人や大手企業等と同等の活躍することが可能であることが多くの事例で明らかになっている。そうした流れに刺激を受けてCtoC市場での自己表現や活躍を目指す個人が増加している。「minne」に出品する作家もまさにそうした個人である。
 
*海外のハンドメイドマーケットプレイス
世界最大のハンドメイドマーケットプレイス運営会社Etsy, Inc.(NASADQ上場、ETSY)の概要を知ることは、「minne」の今後を見る上で参考となるだろう。
 
 
 
Etsy, Inc.が運営するハンドメイドマーケットプレイス「Etsy」の流通額は2005年の設立から3年目の2008年には105億円(1USD=120円換算)まで拡大し、さらにその後2014年には2,318億円と6年間で年率67%という急成長を遂げている。
一方、2012年にスタートした「minne」の流通額は4年目の前期2015年12月期44.6億円を受け、5年目となる今2016年12月期は100億円を目標としており、ここまでの流通額推移は非常に似たものとなっている。
グローバルマーケットを対象とする「Etsy」との単純な比較は難しいが、CtoCマーケット成長の波に乗り「minne」の流通額が飛躍的に拡大する素地は整っているということができるだろう。
 
 
*ビジネスモデル、決済手段
売買が成立した際、同社は販売金額の10%を手数料として引いた金額を売主(作家)へ支払う。
販売代金のやりとりに関しては、「買主:商品を受け取ってから、代金を支払いたい。」および「売主:代金を受け取ってから、商品を発送したい。」といった双方のニーズを満たすために同社が仲介を担うエスクローサービスを採用している。
 
<minneの進捗>
同社は2015年10月よりminneのアプリダウンロード数及び流通額の月次ベースでの状況開示を開始した。
下のグラフにあるように、流通額、DL数ともに順調に増加しているが、更なる拡大を追求し各種施策を推進している。
 
 
<コミュニティ事業>
ブログなどインターネット上でのコミュニケーションを軸としたサービスを提供しており、無料サービスについては広告掲載料、有料サービスについては利用料金が主な売上となっている。
 
 
【特徴と強み】
1.内製化による多様なサービス提供
【事業内容】の項にあるように、同社は極めて多様なサービスを提供しており、この点が同業他社に比べた大きな違いとなっている。
佐藤社長によれば、こうしたサービスの多様性は、開発のみでなくデザインやマーケティングまで全てを内製化できる仕組みを有しているからこそ可能で、これはスピードやクオリティにおける優秀性にも繋がっており、インターネットビジネスを成功させる上で極めて重要なポイントであるということだ。
 
2.独自の企業文化
同社は「自己表現したい個人」を応援することをミッションとしているが、そのためには同社自身も表現者でなければならないと考えており、インターネットを通じた積極的なアウトプットを行う事が企業文化として定着している。
 
 
2015年12月期は「minne」への広告宣伝を中心とした積極投資により営業利益以下損失となった。今期も引き続き投資フェーズであるため、当期純利益は0百万円の予想であるが、インターネット事業を手掛ける同社のベーシックなROEは高水準である。
 
 
2016年12月期第2四半期決算概要
 
 
増収、営業損失幅は縮小
売上高は前年同期比28.6%増加の34億24百万円。既存のストック型事業において順調に契約件数が増加した。
売上総利益も同35.7%増加。TVCMやWebプロモーションなどによる「minne」への積極投資により販管費は同27.5%増加し、営業利益は1億19百万円の損失となった。「minne」への広告宣伝費は第2四半期累計で7億円となっている。
 
 
四半期別では売上高が過去最高を更新するとともに、営業利益はTV広告を抑制したこともあり、55百万円の黒字となった。
 
 
①ホスティング事業
増収・増益となった。
レンタルサーバーサービスは新規契約を対象として3ヶ月無料キャンペーンを行ったことなどにより、契約件数は前年同期末比13,597件、3.3%増の429,474件と堅調に推移した。また、ドメイン取得代行サービス「ムームードメイン」は、各種ドメイン割引キャンペーンの定期的な実施及び更新率の上昇を図ったことから、登録ドメイン数は前年同期末比137,220件、13.8%増の1,133,611件となった。顧客単価も上昇している。
 
②EC支援事業
増収・増益となった。
「カラーミーショップ」では、継続的にアップセルやクロスセルの推進に努めたことから、契約件数は前年同期末比1,359件、3.1%増の44,615件と堅調に推移し、顧客単価も上昇した。
また、オリジナルグッズ作成・販売サービス「SUZURI」では、著名なクリエイターとのコラボレーション企画などを積極的に展開したことにより、会員数は順調に推移し、2016年6月に10万人を突破した。売上高もまだ水準は低いものの前年同期に比べ3倍に拡大した。
 
③ハンドメイド事業
大幅増収となった。損失幅は若干縮小した。
「minne」では、Web広告の積極的な展開に加え、新たな取り組みとして2016年4月に東京ビッグサイトで「minne」のイベントとして、過去最大となる物販イベント「minneのハンドメイドマーケット」を開催するなど認知度の向上を図ったことから、2016年6月末の作家数、作品数はそれぞれ25.2万人、327万点となった。
またアプリのダウンロード数は2016年6月末で602万DLとなっている。
一方、2Qの流通金額は20.4億円と、1Qに比べ第3.7%の増加にとどまった。これは、1Qに比べプロモーション費用を抑制したこと、熊本の震災により消費マインドが低下傾向となったことに合わせて同社からのプッシュも抑制したこと、GWの影響で購入件数が減少したこと等が要因である。
 
④コミュニティ事業
減収・増益だった。
ブログサービス「JUGEM」の有料会員数及びPV数が引き続き減少傾向にあるため、コストコントロールによる利益確保に注力した。なお、2016年1月18日の株式譲渡に伴い株式会社ブクログは今期より連結子会社から外している。
 
 
現預金、売掛金の増加で流動資産は前期末に比べ3億6百万円増加の33億80百万円。固定資産はほぼ変わらず、資産合計は同3億17百万円増加の43億80百万円となった。
未払金の増加などで流動負債は同3億32百万円増加の33億70百万円となり、負債合計は同3億74百万円増加の34億24百万円となった。
利益準備金の減少で純資産は同56百万円減少の9億55百万円となった。
この結果自己資本比率は前期末より3.5%低下し20.7%となった。
 
 
税金等調整前当期純損失幅の縮小、その他の流動資産減少等から営業CFはプラスに転じた。
前期にあった有価証券の償還による収入および匿名組合出資金の払戻しによる収入が無くなったため、投資CFはマイナスに転じた。フリーCFはプラスを維持。
配当金の支払額が減少し財務CFのマイナス幅は縮小した。
キャッシュポジションは3億40百万円低下した。
 
 
2016年12月期業績見通し
 
 
業績予想に変更無し。今期も「minne」への積極投資を継続。
業績予想に変更は無い。売上高は前期比20.2%増の68億50百万円を予想。既存事業のストックおよび「minne」の流通額が増加する。第2四半期の売上高進捗率は50%で、順調に推移していると会社側は判断している。
「minne」への積極投資を行いつつコストコントロールも進め、営業利益以下の収支均衡を達成する。
今期も無配を予定。
 
(2)今後の取り組み
引き続き主力のストック型事業における「有料契約件数増×顧客単価アップ」と、「minneへの積極投資」という2つのテーマに注力する。
 
①主力事業における取組
ストック型事業においては顧客満足度の向上を通じて「有料契約件数増×顧客単価アップ」を進め、売上、利益の着実な拡大を図る。成果が出始めていると会社側は考えている。
 
*ホスティング事業「ロリポップ!」
主要な機能を網羅していながらもリーズナブルにレンタルサーバーが利用できるスタンダードプラン(月額500円より、容量120GB)が人気を集めている。
従来の同プランよりも格段に提供内容が向上しており、共有サーバーでありながらも専有並みにプランのように快適なスピードで使用できる。また、電話サポートも利用できるなど利用者の満足度を高めた結果、ロリポップ!新規契約件数に占めるスタンダードプランの割合は2014年1月の9.3%が2016年6月には37.5%まで上昇。
顧客単価アップに繋がっている。
 
*EC支援事業「カラーミーショップ」
2016年5月にはネットショップの構築・運営において創意工夫を凝らしている店舗を発掘し表彰するカラーミーショップ大賞2016の授賞式を開催するなど認知度の向上に取り組んでいる。
一方、提供しているプランのうち、「月額3,240円、フリーページ上限数10,000ページ、1商品当たりの画像枚数50枚」という、中小規模ショップを対象に高機能を提供するレギュラープランが伸長している。
カラーミーショップ新規契約件数に占めるレギュラープランの割合は2014年1月の11.5%が2016年6月には35.1%まで上昇している。

また、カラーミーショップでは豊富なオプション(アクセス解析、各種決済機能、梱包・決済・発送代行サービス、クーポン機能等)を取り揃えているが、こうしたオプションを利用している店舗は、利用していない店舗に比べて1店舗当たりの流通額が4.4倍(今2Q累計実績)となっている。この実績をベースに、アクセス解析を中心としたオプションの利用を推奨した結果、オプションの利用が拡大し、顧客単価は前年に比べ10%以上の上昇を見せている。
 
*その他
◎奄美市と地方再生に向けた連携協定を締結
<連携協定締結の背景>
奄美市では、豊かな自然資源を持ちながらも、島内に大規模な産業がなく雇用を確保しにくいという離島特有の課題を抱えていることから、場所や時間の制約を克服できるIT関連事業に着目し、2015年より「フリーランスが最も働きやすい島化計画」を開始している。
奄美市はこの計画に基づき、民間通信事業者による光ブロードバンド整備を支援するなど、積極的に「情報(ICT)」環境を構築するとともに、民間企業と連携しながら、ICTを活用した仕事機会の創出、定住促進、子育て支援(在宅ワーク支援)などの取り組みを行っている。
一方同社は、「インターネットで可能性をつなげる、ひろげる」というミッションのもと、インターネットの活用に関連したイベントの開催や、クリエイターの育成を支援する取り組みにも力を入れており、インターネットを活用した新たな働き方を提案し、その環境づくりや人材育成を支援していくことで地方創生を推進するために、連携協定を締結した。

<今後の展開>
同社が提供するサービスに関するセミナーや勉強会を奄美市内で積極的に開催し、インターネットを活用した新たな働き方の提案および人材育成の支援を行う。既に2016年7月には奄美大島内のハンドメイド作家向けの勉強会等を行った。
今後は今回の奄美市とのアライアンスを成功事例として様々な地方自治体との連携を進めていく考えだ。
 
◎ペパボ研究所の設立
「なめらかなシステム」の実現をコンセプトに、新技術の創造と実践に取り組む研究開発組織「ペパボ研究所」を2016年7月1日(金)に設立した。
「なめらかなシステム」とは、生物の細胞が持つ生命維持機能をインターネットサービスに応用した新しいシステムの構想で、AI(人工知能)により、システム自体がサービスを自律制御し、異常が起きる前に自動的に再構築するという仕組みのこと。「ペパボ研究所」では、この「なめらかなシステム」の実現に向けた新技術の研究開発および情報発信、サービスへの実装までを一貫して行っていく。
 
②「minne」への積極投資
国内のハンドメイドCtoC市場の拡大に加え、「お買い物体験の最大化」をテーマに、作家と購入者双方へ向けた各種プロモーション及び機能開発等を進める事で「minne」の流通額を拡大させ、今期は流通額100億円を目指している。

第2四半期累計の流通額は40億円であった。
「minne」の流通額は主に「DAU×購入率×購入単価」で成り立っておいることから、今期はこの3つをKPIとしている。
DAU(Daily Active User: 1日に最低1度アプリを立ち上げたユーザーの数)は拡大しているが、購入率及び購入単価は横ばいが続いている。
この課題を解決し、流通額100億円を実現するために以下のような施策を推進する。
 
*購入率の上昇
「見つけやすい」、「買い物しやすい」環境の整備を進める。

「見つけやすい」環境のために、UIおよびUX(※)の専門家とともに日々の改善を実施している。
※UI(User Interface):ユーザとデジタル機器とのコミュニケーションがスムーズに行われるようにアシストするOSやアプリの画面などを指す。UX(User Experience): ユーザが特定のサービスを使ったときに得られる経験や満足などを意味する。

また「買い物しやすい」環境のために、キャリア決済などを8月より順次リリースする予定だ。
作品検索から購入完了までをストレスフリーで買い物体験をできるように機能を改善・拡充する。
 
*購入単価の引上げ
「ハンドメイド=安物」というイメージを打破することを目指す。
Webマガジン「minne mag.(ミンネマグ)」のスタートに加え、特集や人気作品などコンテンツの強化、検索機能とアルゴリズムの改善(ビッグデータを基としたレコメンド機能)に引き続き注力し、クオリティと価格のバランスが取れている作品が目につきやすくなる仕組みを作る。
価格競争を起こさず、適切な価格が実現する事が重要と考えている。

今期100億円の流通額を達成するには、EC市場全体が活性化する年末商戦の時期が大きなポイントとなる。
第3四半期以降は、年末商戦における流通額最大化に向けて上記施策の準備を行う期間と考えており、全体の収支も含め、いつからアクセルを踏むかを見極めていくという事だ。
 
 
今後の注目点
前回のレポートでも紹介したように、「minne」の将来像として「日本のものづくりを集めた巨大な経済圏を構築」することをビジョンとして掲げている。
佐藤社長によれば、今期の100億円は登山に例えればまだ1合目であり、カテゴリーの拡大を進めつつ、ハンドメイドマーケットでの圧倒的なトップを目指していくということだ。
ただ、足元は熊本の震災といった外部要因に加え、流通額の増加率鈍化といった課題もあり、7月までの累計は47億円。残り5カ月で53億円を積み上げるのは大きなチャレンジとなろう。短期的には月次の流通額をウォッチしつつも、中長期的にはカテゴリーの拡大、作家数や作品数の推移など、山の頂を目指す取り組みに注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
同社は最新のコーポレートガバナンス報告書を2016年6月30日に提出している。
またJASDAQ企業として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施している。