ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

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ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ vol.60

(6914:東証1部) オプテックスグループ 企業HP
代表取締役会長兼CEO 小林 徹
代表取締役会長兼CEO 小林 徹
代表取締役社長兼COO 小國 勇
代表取締役社長兼COO 小國 勇
【ブリッジレポート vol.60】2017年12月期第1四半期業績レポート
取材概要「前期子会社化したシーシーエスの寄与と為替影響を除いた増収率はプラス7.2%であった。決して大きな伸びではないものの、前期は減収と振るわなか・・・」続きは本文をご覧ください。
2017年5月16日掲載
企業基本情報
企業名
オプテックスグループ株式会社
代表取締役会長兼CEO
小林 徹
代表取締役社長兼COO
小國 勇
所在地
滋賀県大津市雄琴 5-8-12
決算期
12月
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2016年12月 31,027 3,015 3,086 1,809
2015年12月 27,793 3,161 3,222 2,051
2014年12月 25,678 2,558 3,043 1,897
2013年12月 23,582 2,108 2,628 1,620
2012年12月 20,699 1,398 1,680 825
2011年12月 18,502 1,677 1,830 1,033
2010年12月 17,395 1,705 1,761 981
2009年12月 15,124 620 735 332
2008年12月 20,916 2,661 2,489 1,004
2007年12月 22,167 3,854 4,075 2,377
2006年12月 20,294 3,728 3,921 2,282
2005年12月 19,012 2,655 2,776 1,584
2004年12月 17,138 2,159 2,321 1,297
2003年12月 15,173 2,203 2,215 1,354
2002年12月 13,047 1,595 1,546 951
株式情報(5/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
3,315円 17,341,997株 57,488百万円 7.4% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
45.00円 1.4% 144.15円 23.0 1,480.66円 2.2倍
※株価は5/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
オプテックスグループの2017年12月期第1四半期決算概要、中期経営方針などについてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサや世界シェア30%・国内シェア60%の自動ドアセンサを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサ事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
 
 
【1-1. 事業内容】
事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連、EMS関連等からなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、スポーツクラブ運営を手掛ける「その他事業」に分かれる。
 
 
【1-2 .強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】
確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。
 
 
【1-3. 沿革】
1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約60%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNo.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。
 
 
 
16/12期のROEは売上高当期純利益率の低下を主因として7.4%と、4期ぶりに8%を下回った。
同社では、目標とする経営指標の1つにROEを掲げ「10%以上」を目標としている。今期は8%以上への回復を目指している。
 
 
2017年12月期第1四半期決算概要
 
 
M&A効果、FA好調で2桁の増収増益
売上高は前年同期比38.9%増の91億45百万円。防犯関連、自動ドア関連が為替の影響(255百万円のマイナス)等で減収だったが、FA事業が堅調だったことに加え(オプテックス・エフエー 3億円のプラス)、シーシーエスの子会社化が寄与(23億円のプラス)した。国内売上は同75.2%増の40億31百万円、海外売上は同19.4%増の51億14百万円だった。
連結子会社化に伴い販管費も増加したが、増収効果で吸収し営業利益は同49.8%増の13億32百万円となった。(為替影響はマイナス135百万円)
持分法による投資利益の増加、為替差損の縮小で経常利益は同79.6%増加の13億9百万円となった。
 
 
 
 
 
◎SS事業
(防犯関連)
日本 :警備会社向け屋外警戒用センサ販売が堅調に推移した。
AMERICAs :北米地域で新製品の大口受注を獲得した。重要施設向け屋外警戒センサ販売は堅調だったが為替影響により横這いとなった。
EMEA :重要施設向け屋外警戒センサ及び南欧向け住宅用屋外警戒センサ販売が堅調に推移したものの為替影響により減収となった。
アジア :韓国及びオーストラリア代理店向け屋外警戒センサ販売が堅調に推移した。
 
(自動ドア関連)
日本 :自動ドア用センサ、工場向けシャッター用センサ販売が堅調に推移した。
AMERICAs :北米大手顧客向け自動ドア用センサ販売が前年同期比を下回った。
EMEA :欧州大手顧客向け自動ドア用センサ販売が前年同期比を下回った。
 
◎FA事業
日本 :半導体、二次電池、フラットパネルディスプレイ、電子部品、食品業界向けに検査用LED照明、画像センサ、変位計の販売が好調に推移した。
EMEA :OEM先への販促推進活動の効果により変位計の販売が順調だった。
アジア:中国での省人化設備投資活況に伴い、スマートフォン業界向けを中心として、変位計の販売が順調だった。
 
◎MVL照明事業
日本 :ソリューションの拡充と提案の強化が進行し受注機会が増加した。
AMERICAs :北米地域での積極的な営業活動により、既存顧客向けの売上と新規案件が増加した。
EMEA :欧州地域の半導体市場が回復基調にあり、大手顧客向けの売上が堅調に推移した。
アジア:シンガポール、マレーシア、タイで売上が堅調に推移した。
 
 
売上増に伴う売上債権、たな卸資産の増加で流動資産は8億78百万円の増加。無形固定資産の減少により固定資産は同2億93百万円減少し、資産合計は同5億84百万円増加し、382億65百万円となった。
仕入債務の増加により負債合計は同2億55百万円増加の92億81百万円。
円高により為替換算調整勘定がマイナスとなり、非支配株主持分が減少したが資本剰余金、利益剰余金が増加し、純資産は同3億30百万円増加の289億84百万円。
この結果、自己資本比率は前期末の65.0%から3.8%上昇し68.8%となった。
 
 
2017年12月期通期業績予想
 
 
業績予想に変更無し。各事業とも堅調で2桁の増収増益
業績予想に変更はない。売上高は前期比14.7%増加の356億円を予想。防犯関連、自動ドア関連、FA事業、マシンビジョン照明事業ともに増収を見込んでいる。シーシーエス(株)、ガーダソフトビジョンが通期で寄与する。
営業利益は同22.7%増の37億円を見込み、利益率も上昇する。
配当は前期同様の45円/株を予定。予想配当性向は31.2%。
 
 
◎SS事業
(防犯関連)
日本 :「防災照明用途」製品の販売を強化する。公共、事業所向けの営業推進で新規案件獲得を増やす。
AMERICAs :「大型重要施設向け」案件を確実に獲得する。省施工、ローコスト住宅用屋外警戒センサを拡販する。
EMEA :屋外警戒用センサのシェアを堅持する。南欧向け住宅用屋外警戒センサの新製品を発売する。
アジア :「東南アジア向け」機械警備用センサの販売を強化する。
 
(自動ドア関連)
日本 :新安全規格に対応した製品ラインナップを拡充する。画像センサを搭載した高付加価値商品等を発売する。
AMERICAs :新安全規格施行に合わせ、規格対応製品の販売を開始する。北米大手顧客向けに主力センサのOEM供給がスタートする。
EMEA :AMERICAs同様、欧州大手顧客向けに新しいOEM機種を投入する。EN規格に対応したラインナップの拡充に取り組む。
 
◎FA事業
日本 :エレクトロニクス業界への変位計、ファイバーセンサ、LED照明等の拡販に注力する。
EMEA :OEM先への変位計の供給と販促推進による欧州での事業拡大に注力する。
アジア :中国市場の強化に向けて、営業拠点を拡大し販売網を強化する。
 
◎MVL事業
日本 :レンズ・カメラ等を活用したソリューションをさらに拡充。 顧客への提案ステージを上げ、競合との差別化を推進する。
AMERICAs :現地のサポート体制強化し、増加している特注対応力を増やす。メキシコでのビジネス拡大に注力する。
EMEA :顧客訪問を積極的に行い、新規顧客、既存顧客を開拓する。営業力を強化し、特注案件獲得数を増やす。
アジア :中国で力のある販売代理店を開拓する。マレーシア・タイ・ベトナムなどの新規開拓地に注力する。
 
 
今後の成長戦略
 
今期より持株会社体制に移行し、大胆に未来を描き、よりスピード感を持って行動することで『「新しい」を生み出す』ことを目指す同社は、その要となる成長戦略において、「Visual Verification (画像確認)」「ファクトリーオートメーション」の2つを柱に据えている。
 
①成長戦略
◎Visual Verification(画像確認)
センサのみによる異変検出は誤報など正確性の観点から課題が多い。そのため、例えば英国では警官が現場に駆け付けるか否かはセンサによる感知のみでなくカメラ画像による確認を行った後に判断することとなっている。また米国では州によっては誤報による駆け付けは罰金扱いとなる。
加えて、こうしたレジデンシャル(住宅等)向けのみでなく、世界各地でテロが頻発する一方で新興国において重要施設などインフラの整備が加速するなか、ハイエンド向けにおいても画像確認の必要性は増大している。

こうしたVisual Verification(画像確認)ニーズの拡大に対応し、世界の監視カメラ市場はネットワークセキュリティカメラを中心に今後2018年にかけて年率15%で成長すると予想されている。

同社グループは、レジデンシャル市場において世界大手セキュリティメーカーとのタイアップにより、「センサ」で検出し、「カメラ」で撮影し、その信号を「ワイヤレス」で送信する新製品を開発、投入、拡販を図る。
またハイエンド市場においては、同社が掲げる「I o S(Internet of sensing solution)」のコンセプトの下、世界ナンバーワンの市場シェアを有する「屋外事前防犯」において新たなソリューションの拡販を推進していく考えだ。
 
◎ファクトリーオートメーション
ファクトリーオートメーションの分野ではオプテックス・エフエーの「センサ事業」とシーシーエスの「マシンビジョン照明事業」のシナジー効果を追求していく。

オプテックス・エフエーの強みは、「高品質で低価格製品を生み出す研究開発力」、「世界No.1のSICK AG社と協業し、世界60カ国以上に販売するグローバル展開力」、「研究開発とマーケティングに特化し高収益体質を実現しているファブレス経営」といった点。
一方のシーシーエスは、「豊富なノウハウに裏打ちされたライティングソリューション力 No.1」、「世界シェア30%でNo.1」、「断トツのモノづくり力」を強みとしている。

こうした両社の強みを組み組み合わせ、販売・提案においては、高付加価値製品のトータル提案、2社共同の新規顧客開拓、新しいソリューション提案を進める。
また、開発・生産においては、共同調達を含めた開発効率化によるスピードアップと品質向上、生産の効率化を目指している。

オプテックス・エフエーは、グループシナジーを活かし、主力顧客である食品・医薬品・化粧品業界に加え、電気・電子・半導体や自動車業界における新規顧客開拓を進め事業拡大を狙う。

シーシーエスは、競合との差別化を推進するために照明のみでなくカメラ、レンズ、システムへと顧客へのソリューションを拡充。更なるシェアアップを狙う。
 
②経営指標と業績目標
オプテックスグループの経営指標として、「売上成長率15%以上」、「売上高営業利益率15%以上」、「ROE10%以上」への引上げを目指していく。
売上高営業利益率の引き上げに関しては、継続的なコストダウンに取り組むほか、為替の影響をいかにして吸収するかがポイントとなるため、国内売上比率の引上げ、海外生産体制の拡充にも注力する。
2019年の業績目標としては、売上高500億円、営業利益75億円を掲げている。
 
 
今後の注目点
前期子会社化したシーシーエスの寄与と為替影響を除いた増収率はプラス7.2%であった。
決して大きな伸びではないものの、前期は減収と振るわなかった国内の防犯および自動ドア関連が復調してきたのは明るい変化である。進捗率を見ても、全体及び各事業ともほぼ計画通り進んでいるようだ。
今後は為替という不確定要因は避けられないものの減収が続いているウェイトの大きいEMEA防犯関連の回復動向を注目したい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2017年4月10日