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(6826) 本多通信工業株式会社

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ブリッジレポート:(6826)本多通信工業 vol.17

(6826:東証1部) 本多通信工業 企業HP
佐谷 紳一郎 社長
佐谷 紳一郎 社長

【ブリッジレポート vol.17】2018年3月期第3四半期業績レポート
取材概要「総じて業績好調な主要コネクタメーカーの中で売上高、時価総額規模からは下位に属する同社だが、過去1年間の株価パフォーマンスはTOPIXおよび上位・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年2月6日掲載
企業基本情報
企業名
本多通信工業株式会社
社長
佐谷 紳一郎
所在地
東京都品川区北品川5-9-11 大崎MTビル
決算期
3月末日
業種
電気機器(製造業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2017年3月 17,205 1,425 1,476 1,542
2016年3月 17,119 1,301 1,237 1,364
2015年3月 16,639 1,415 1,565 1,440
2014年3月 14,824 932 975 1,479
株式情報(1/29現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
1,440円 23,909,654株 34,429百万円 15.0% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
18.00円 1.3% 60.56円 23.8倍 489.03円 2.9倍
※株価は1/29終値。発行済株式数、BPSは直近期決算短信より。ROEは前期実績。
 
本多通信工業の2018年3月期第3四半期決算概要などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
車載、FA機器、通信インフラ、民生機器用途向けの電気コネクタおよび光コネクタの製造販売を行う。「Segments No.1」を掲げ、特定分野での高い競争力を追求している。長い歴史の中で培われた幅広い設計技術力、産業用機器向けで培った長期信頼性と堅牢性に関するノウハウ、多品種少量生産体制などが特長。子会社ではソフトウエア開発なども手掛けている。グループ認知度の向上に向けて、複数存在していたブランドを「HTK」に統一。グループは同社と連結子会社7社(国内2社、海外6社)の計9社で構成されている。(2017年9月末現在)
 
【沿革】
1932年5月に精密ねじ加工業として現在の東京都目黒区で創業。第二次大戦後は、日本電信電話公社(現NTT)の電話交換機用プラグ・ジャック、防衛庁向けプラグ・ジャックを始め、その発展形となるコネクタの製造販売を手掛け、業容を拡大。2001年に東証2部に上場した。だが、ITバブル崩壊で売上が急減。数度のリストラクチャリングを経て、成長路線への復帰と拡大発展をめざし、2008年に松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)と資本業務提携契約を締結。2014年2月、約80年に亘って本社を置いていた目黒から品川区へ本社を移転した。
2016年3月、東証1部に上場した。
 
【経営理念など】
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事をめざし、「Segments No.1」を掲げている。
また、新中期経営計画「GC20」策定に際し、グループの企業理念として「Value by Connecting」を新たに掲げた。 豊かな未来のために「人」、「もの」、「情報」をつなぎ、価値を創造し続ける事を目指すというビジョンを示したもの。
 
【佐谷 紳一郎社長プロフィール】
佐谷紳一郎社長は1957年11月生まれの現在60才。松下電工株式会社(現パナソニック株式会社)では事業戦略企画部門に在籍し、M&Aや他社とのアライアンス締結等に長年に亘り携わってきた。そうした中、コネクタ事業のアライアンス先として幅広い技術力・製品ラインアップを有する企業を調査している中、本多通信工業の実力に着目し、アライアンスを推進、2008年資本業務提携を実現させた。同年、取締役就任。2009年にはパナソニック電工を退社し、同社副社長に就任。2010年4月に同社社長に就任した。社長就任後は中期経営計画「Plan 80」を策定・実行。基本戦略として「Segments No.1」を設定し、複数のニッチ分野でNo.1となることを目指すと共に、様々な構造改革を断行し、黒字体質の確立、財務基盤の安定化を実現した。中期経営計画「DD15」で事業拡大と体質強化を進めた現在は、良い会社(Good Company)かつ過去最高業績更新をターゲットとする新中期経営計画「GC20」を推進中で、ワンランク上の企業作りに取り組んでいる。
 
【事業内容】
事業セグメントはコネクタ事業と情報システム事業の2つ。
 
 
◎コネクタ事業
<コネクタとは?>
電子回路や光通信において配線基板同士を接続し、電気や信号を繋ぐために用いられる部品・器具のこと。基板をはんだ付けや圧着で接続した場合、分断時にはケーブル切断等が必要になり再接続は困難となるが、コネクタを使用した場合、手または簡易的な工具を用いて容易に繰り返し脱着することが可能であるため、ほぼ全ての電子機器で使用される。
 
<利用分野>
長年の経験で培われた高い技術力により、以下の6分野を中心に付加価値の高く、顧客志向のコネクタを始めとした製品をラインアップしている。
 
 
2017年3月期の分野別売上構成比率(全売上高に対する構成比)は、車載分野35%、FA分野19%、通信分野17%、民生分野11%となっている。
最も構成比の高いで車載分野において、安全性や運転性能向上の観点から車載カメラやセンサの搭載台数が増加しているカーエレクトロニクスの成長に対応して投資や製品開発を進めている。
 
◎情報システム事業
通信分野でのソフトウエアの重要性が高まる中、1983年に事業をスタート。
システム開発から保守運用まで幅広いソリューションを展開している。なかでも仮想化(*)サーバの構築では業界屈指の技術を有し、クラウドコンピューティングの広がりに貢献している。
世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れている。
 
*仮想化とは?:1台のサーバ(物理サーバ)を複数台の仮想的なサーバ(仮想化サーバ)に分割して利用する仕組み。それぞれの仮想化サーバではOSやアプリケーションを実行させることができ、あたかも独立したコンピュータのように使用することが可能となる。
サーバ台数の適正化や消費電力を含めた運用管理コストの低減など、企業のITコスト見直しニーズに対応し、注目が集まっている。
また、仮想化環境下ではハードウェア等を新たに購入しなくても新サーバを容易に追加することができるため、ビジネスの変化に迅速かつ柔軟に対応するというITシステムニーズに対する有効なソリューションの一つとなっている。
 
【特徴と強み】
① 幅広い設計技術力
前述のように、同社のコネクタは、様々な分野で用いられている。
同社は、日本電信電話公社(現NTT)を始めとした多くの顧客からの様々なニーズに対応したカスタマイズによる製品作りに長年取り組んできた。この「顧客密着度の高さ」が、同社の幅広い設計技術力の源泉である。
 
② 長期信頼性と堅牢性
制御装置に用いられる「1.27mmピッチコネクタ」、FTTH(Fiber To The Home:光通信のための光ファイバーを家屋内に引き込むこと)に用いられる「シャッター付きSC形プラグ」、プロジェクタに用いられる「高耐圧電源用コネクタ」などで強みを持っている。
これらは、顧客から長期信頼性や堅牢性が求められる分野であり、長年に亘って培ってきた同社の技術力や製造能力が顧客に高く評価されている証となっている。こうした強みを活かし、安全性という面でハードルの高い車載分野での売上を大きく伸ばしている。
 
③ 多品種少量生産
同社は現在約4,000品目のコネクタを生産しているが、このうちの月間生産個数が1万個未満の品目数は94%を占める。また生産金額ベースでも1万個未満の生産が62%、1万個以上が38%と、多品種少量生産が同社の特長となっている。
こうした状況に対応し、国内工場、海外工場の2つの車輪で最適なものづくりを行っている。
国内工場(安曇野工場:旧松本工場)は1万個未満の多品種少量生産の拠点。今後も同社の得意技を磨き、迅速な納入を行うため国内で稼動を続ける。
海外工場(深圳工場)は1万個以上の中量品の一気通貫生産を行い、機動力を高め世界で戦うための拠点とする。

一方、多品種少量生産ながらも短納期を実現させ、顧客から発注を受けたら1週間以内での製品配送を確約する「1weekデリバリーサービス」に2013年から積極的に取組んでいる。
現在の取扱品目数はシステム化を進めた安曇野物流ハブの完成によりそれまでの倍にあたる約1,000品目に拡大している。
 
 
2017年3月期のROEは前期を上回り15.0%となった。総資産回転率、レバレッジは低下したがマージンが改善した。
2020年に向けた目標とする経営指標に「ROE 13%以上」を掲げている。
原価低減や新製品開発によるマージンの向上に加え、在庫水準のコントロールによる総資産回転率の向上にも取組んでいく考えだ。
 
 
2018年3月期第3四半期決算概要
 
 
2桁の増収増益
売上高は前年同期比17.0%増の145億86百万円。旺盛な設備投資需要を受けFA分野が牽引。引き続き車載分野が好調。情報システムも伸張し全分野で増収となった。
営業利益は同63.0%増の15億62百万円。営業利益率も3%上昇し、引き続き10%を超えているが、人件費増、仕入れコスト増が表面化してきたことに加え研究開発など仕込み活動を引き続き展開していることから、前期(第2四半期)比では65百万円の減益となった。
経常利益は同64.5%増の16億65百万円。為替差益は同33百万円増の60百万円。
四半期純利益は同39.8%増の11億55百万円。特別利益に投資有価証券売却益75百万円を、特別損失に環境対策費80百万円を計上した。
 
 
*FA
スマホ、半導体向けおよび自動化・省人化など設備投資需要が引き続き旺盛。ただ、資材調達及び人員確保難で顧客の生産力に天井感も出始めているという。
 
*通信
光ファイバーメンテナンス商品が一段落した。新事業である「AOC(Active Optical Connector)」のマーケティングを開始した。
 
*民生
SDソケットUHSIIの採用機種が広がった。東京オリンピック・パラリンピック向けの納入が始まった。
 
*車載
数量は増加したがタイバーツ高で対2Qの伸び率は低下した。春節休暇(2月中旬)を踏まえた安定供給体制の確保に注力している。
 
*情報システム
クラウド、DC(データセンター)、IoT、AI案件で活況が続いているが、要員確保が課題となっている。
 
 
現預金、売上債権の増加で流動資産は前期末比11億5百万円増加。有形固定資産の増加で固定資産は同2億円増加し、資産合計は13億4百万円増加の162億17百万円となった。
負債合計は同5億円増加の45億23百万円。利益剰余金の増加で純資産合計は同8億3百万円増加の116億93百万円。
この結果、自己資本比率は前期末比0.9%低下し、72.1%となった。
 
(4)トピックス
◎グループ体制整備、経営合理化を図り海外連結子会社を合併
香港におけるグループ体制を整備し、経営の合理化を図るため、コネクタなどの製造・販売を手掛ける100%子会社のHONDA CONNECTORS MFG.(HK) LIMITED(中国語表記:香港本多有限公司)とコネクタなどの販売を行っている同じく100%子会社HTK HONG KONG LIMITEDを合併することとした。
合併後の商号はHTK C&H HONG KONG LIMITED(中国語表記:香港本多通信工業有限公司)。
合併の効力発生日は18年4月1日の予定。
 
 
2018年3月期業績予想
 
 
業績および配当予想を再度上方修正
FAおよび車載分野が好調に推移していることから、17年10月に続き業績予想を上方修正した。
売上高は前期比12.2%増の193億円の予想。営業利益は同40.4%増の20億円を計画。人件費や原材料などコスト増を踏まえたうえで増収効果、合理化、生産性向上により吸収し、2桁の増益を見込む。
業績予想の上方修正に伴い株主還元方針である総還元性向30%に基づき、配当予想を前回の15円/株から3円/株増額し、18円/株とした。予想配当性向は29.7%。
期末レートは前回(17年10月)の1USD=108円から110円に修正。期中レートは110円で変わらない。
 
(2)足元の取り組み
①コスト増への対応
人手不足、原材料不足、設備業者不足を背景としたコスト増が顕在化しつつあるが、自動化や省人化(ロボット、セル生産設備、IoT検査システムの導入)、パートナー企業との協働による合理化の推進、業務改革(基幹システムの刷新、ムリ・ムダ・ムラの解消)など、ハード面及びソフト面からの生産性向上を更に進め、コスト吸収を図る。

②仕込みの加速
◎車載カメラ用コネクタ
(次世代商品の開発)
自動運転技術が進化するに伴い搭載されるカメラは台数が増加するのみでなく、「ビュー(見る)」から「センシング(測る)」へと、より高性能な次世代デジタルカメラ需要が拡大することを見据え、同カメラ用コネクタの創出に取り組んでいる。また、カメラ以外に車内ネットワーク用コネクタの開発も進めている。

(製造力の増強)
年間生産個数を2016年の1,000万個から2020年には2,000万個まで引き上げる計画だが、まずは1,500万個体制の構築に注力している。
全自動ライン設備は概ね完成しており、2018年5月の稼働に向けて現在追い込み中である。

(品質力の強化)
サプライヤーも含めたグローバルなトレーサビリティの確立を進めており、テストランから本格稼働へと移行中である。

◎業務用コネクタ
(新事業の創出)
次代の主力製品の一つと位置付けている8K対応の光コネクション「AOC(Active Optical Connector)」を2017年11‐12月に開催された「SYSTEM CONTROL FAIR 2017(SCF2017)」に出展しサンプル出荷を開始した。
FA機器におけるマシンビジョン、医療用機器の内視鏡や手術モニタ、セキュリティにおける監視カメラ、パブリックモニタなど、同社が得意とする少量多品種マーケットを想定し参入を目指している。

(機能の移転)
2016年1月に設計機能の一部を東京から安曇野に移管したが、更なる商品開発力の強化と合理化を図り、2018年4月には設計及び企画機能を追加移転する。
 
 
今後の注目点
総じて業績好調な主要コネクタメーカーの中で売上高、時価総額規模からは下位に属する同社だが、過去1年間の株価パフォーマンスはTOPIXおよび上位企業を大きく上回っている。
各中期経営計画の確実な進捗によるスケールの拡大や収益性・資本効率性の向上に加え、「Good Company」を目指す中、コーポレートガバナンスを中心とした各ステークホルダーとの信頼関係構築のための取り組みも高く評価されているものと思われる。
短期的にはコストアップ傾向の下での利益の着地水準を、中期的には売上高250億円実現に向けた仕込みがどのタイミングで寄与し始めるかを注目したい。
 
 
 
 
 
<参考1:中期経営計画「GC20」>
 
全てのステークホルダーから信頼と期待をされる「よい会社」であるとともに、過去最高の売上、利益を更新し持続的成長企業へのスケールアップを目指すのが2021年3月期を最終年度とする新中期経営計画「GC20」。
 
(1)基本コンセプト
GC20の基本コンセプトは、『事業戦略として「Segments No.1戦略の深耕」、プラットフォーム戦略として「コンパクト経営の追求」により価値を創造し続けるGood Companyを目指す。』というもの。
また、Good Companyを持続的なものにするのが、グループ企業理念とコーポレートガバナンス基本方針である。
 
(2)グループ企業理念
今回のGC20策定に際し、同社ではグループの企業理念として「Value by Connecting」を新たに掲げた。
豊かな未来のために「人」、「もの」、「情報」をつなぎ、価値を創造し続ける事を目指すというビジョンを示したもの。
 
 
(3)コーポレートガバナンス基本方針
金融庁と東京証券取引所により策定された「コーポレートガバナンス・コード」が2015年6月1日から適用されるのに先立ち、2015年5月22日、「コーポレートガバナンス基本方針」を公表した。
株主を始めとした全てのステークホルダーとの信頼関係構築のためのコーポレートガバナンスの重要性を深く認識したうえで、最良のコーポレートガバナンスを実現することが自社の責務であると宣言している。
 
(4)事業戦略
特定分野で特徴あるソリューションを提供することで顧客に「この分野なら本多通信グループに限る」と高く評価される事を目指すのが「Segments No.1戦略」。
これまでも同社では、様々なNo.1商品を生み出してきたが、現在の形ではそれぞれの商品の持続性・継続性は不十分と考えている。

そこで、それぞれのNo.1商品を核に水平展開と次世代化で「Segments No.1 領域」を創り出し、特長のある価値を提供する事で持続的成長を目指していく。




その展開モデルは、現在のSegments No.1商品/サービスを核に、次世代商品やサービスを創出し、顧客の具体的な欲求である「ウォンツ」を解決するというもの。
同社の強みである、スピード、カスタム対応、少量短納期、周辺技術を差異化要因とし、新たな顧客、新たな市場への展開を図る。
 
分野別のSegments No.1 戦略は以下の通りである。
 
①業務用コネクタ Segments No.1 戦略:サービスとの融合戦略で顧客価値を倍化
長年培ってきた堅牢性や長期信頼性というハードの強みに、少量短納期、カスタマイズに加え、コネクタに付随する適切なハーネスもあらかじめ接続するワンストップ受注といった「サービス」を融合させ、顧客満足度を引上げる。
世界的にIoT、4Kや8Kの高画質化ニーズが高まる中、通信分野(海外における光通信化)、FA分野(グローバルな生産性向上ニーズ)、業務分野(セキュリティニーズ)において、堅牢性や長期信頼性といったノウハウの展開や高速POFによる市場創出により、通信分野やFA分野で規模と収益性を堅持する。
 
 
②車載用コネクタ Segments No.1 戦略:ADASコネクタへ進化させ、将来価値を倍化
自動車の安全系機能の進化スピードは目を見張るものがある。
自動車の目となる車載カメラも、パーキングアシストなど「撮る」機能から、ADAS(Advanced Driving Assistant System:先進運転支援システム)というコンセプトの下、車線検知、歩行者認識、衝突防止といった「測る」機能がより重要になると同時に、各自動車メーカーに限らずGoogleなど大手IT企業も含め、自動運転システムの開発が加速している。

ADASを構成するものは、車載カメラに加え、センサ、ミリ波レーダー(ミリ波帯の電波を用いて100m程度の範囲の状況を探知可能なレーダーシステム)、レーザー、ECU(エンジンコントロールユニット:エンジンの運転制御を電気的な補助装置を用いて行う際に、それらを総合的に制御するマイクロコントローラ)、電子ミラー、カーナビ、HUD(Head Up Display:フロントガラスに運転者向けの基本的な情報の画像を提供する)など、多岐にわたり、その全てがデジタル高速伝送により情報のやり取りが行われ、コネクタの活躍するシーンはますます拡大する。

こうした流れの中、車載カメラ数量は2014年度から2020年度で約3.5倍の14,000万個に、ADAS市場も同期間に2.5倍の7,700億円に急成長すると見られており、同社では高速伝送、小型化などコネクタメーカーならではのノウハウを注入したADAS用コネクタを開発し、急成長市場に投入する。

販売は、北米のTier1(自動車部品メーカーのうち、自動車メーカーに直接納入する一次サプライヤー)メーカーへの参入を狙う。また、製造においては中国、東アジアに次ぐ拠点づくりの検討を開始している。
 
 
③情報システム Segments No.1 戦略:インテグレーションで事業価値を倍化
サーバ効率化のための仮想化において業界屈指の技術を有しており、現在はクラウドコンピューティングの広がりの中、世界的ベンダーとの連携により、上流工程からの受注に力を入れ高付加価値の一括案件の獲得を進めている。今後は、データの収集から分析までを一括して請け負うビッグデータ基盤ソリューションを提供し、特徴あるSegments No.1の獲得を目指す。
成長市場において、企画から運用までフルサポートする総合提案で収益性の向上にも取り組む。
 
 
(4)プラットフォーム戦略:コンパクト経営の追求
以上の様な事業戦略の下で営業利益率の向上を目指す同社だが、繰越欠損が無くなること等から今後の実効法人税率の上昇は避けられず、市場の期待に応える水準のROE、ROAを実現するためには「資産の軽量化/高回転化」、具体的には総資産回転率の引き上げが重要な課題となる。
前期の同回転率は1.39回だったが、以下のような取り組みによって1.4~1.5の達成を目指す。
 
ROICを意識した事業投資。設備は小型、省スペースおよび転用が可能なものとする。またEMSの活用など、社外リソースとの共創を進める。
ロスや無駄をなくしての生産性向上。製造や業務品質の向上。遊休資産や過剰在庫の極小化に取り組む。
CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の短縮
機動的な資本政策
 
(5)目標とする経営指標
2016年3月期から2018年3月期までの「貯めのSeason1」と、2019年3月期から2021年3月期までの「収穫のSeason2」の2つの期間から構成される「GC20」において、以下のような経営指標の達成を目指している。

<策定当初の計画>
 
(6)よい会社に向けて
全てのステークホルダーからの信頼と期待の下、組織力と人材力の強化に最注力し、持続的成長を遂げる「よい会社」を目指す。
 
 
<参考2:コーポレートガバナンスについて>
 
 
◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2017年6月27日