ブリッジレポート
(3778) さくらインターネット株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(3778) さくらインターネット 2018年3月期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

 

 

田中 邦裕 社長

さくらインターネット(3778)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

田中 邦裕

所在地

大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 35階

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

788円

37,620,256株

29,645百万円

4.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.50円

0.3%

17.28円

45.6倍

209.03円

3.8倍

*株価は04/27終値。
*発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

10,576

964

857

516

59.52

10.00

2016年3月(実)

12,086

978

822

443

15.95

2.50

2017年3月(実)

13,961

1,018

804

548

15.74

2.50

2018年3月(実)

17,033

745

574

349

9.29

2.50

2019年3月(予)

20,400

1,200

1,000

650

17.28

2.50

*単位:百万円、円。
*予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
*2016年3月期より連結決算。2015年9月、1株を4株に分割。

 

 

さくらインターネットの2018年3月期決算の概要と2019年3月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2018年3月期決算
3.2019年3月期業績予想と取り組み
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 18/3期は前期比22.0%の増収、同26.7%の営業減益。同25.3%増とVPS・クラウドの好調が続く中、高火力のスーパーコンピュータ案件をけん引役に専用サーバが同28.2%増と伸長。ビットスター(株)等のM&A効果もあり、売上が伸びた。IoTサービスの立ち上がりの遅れで売上が期初予想には届かず各種の投資が利益を圧迫したが、2017年10月にデータセンターの集約化が完了し、11月には石狩データセンター(DC)3号棟が稼働する等(共に先行費用が発生した)、成長に向けた基盤整備が進んだ。

     

  • 19/3期は前期比19.8%の増収、同60.9%の営業増益予想。主要サービスの利用中件数は順調に増加しており、VPS・クラウドが同31.3%増、専用サーバが同13.2%増と伸長。近年、成長が鈍化していたレンタルサーバもテコ入れを図る。利益面では、石狩DC3号棟の通期稼働やエンジニアを中心にした積極採用による減価償却費や人件費の増加を吸収。営業利益及び経常利益が過去最高となった11/3期の実績に迫り、当期純利益は過去最高を更新する。配当は1株当たり2.5円の期末配当を予定している(予想配当性向14.5%)。

     

  • メインフレームを中心に据える「第1のプラットフォーム」、サーバ・クライアント・インターネットによる「第2のプラットフォーム」を経て、クラウド・ソーシャル・ビッグデータ・モビリティによる「第3のプラットフォーム」の時代を迎えている。IDCJapanでは、企業が「第3のプラットフォーム」技術を活用して、競争上の優位性を確立する事をデジタルトランスフォーメーション(DX)と定義しており、同社は、“DXを支えるプラットフォーマー”として、「第3のプラットフォーム」を提供する事でDX(競争力強化)を支援していく。19/3期は「第3のプラットフォーム」構築に向けた取り組みを進める。

     

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:いずれもフロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアでデータセンターを運営し、サーバの設置スペースと電源やネットワーク回線等を提供するハウジングサービスとサーバ環境(コンピュータリソース)をインターネット上で提供するホスティングサービスを手掛けている。多くのホスティングサービス事業者がインフラ(データセンター施設)を外部に依存するのに対して、同社はインフラを自社で保有する事で高収益を追求し(価格競争力の源泉となる)、このインフラをハウジングサービスの提供にも活用する事で稼働率を上げ固定費リスク(インフラ保有リスク)を軽減している。

 

【1-1 企業理念】

同社は、下記のミッション、ビジョン、バリューを企業理念として定め、これを実現することによって、全てのステークホルダーから価値ある企業として支持される事を目指している。
コーポレート・ミッション : 使命
私たちは、人々とビジネスの可能性を広げるデータセンターサービスの提供を通じ、インターネットによってひらかれる創造性と驚きに満ちた未来の実現に貢献します。

 

コーポレート・ビジョン : 目指す姿

サービス

高品質で低価格なITプラットフォームと革新的で面白いインターネットサービスの提供

インフラストラクチャー

スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現

テクノロジー

価値あるサービスの実現とインターネットの発展に寄与する先進的な技術の探究

 

コーポレート・バリュー : 重視する価値観
・質の高いサービスを生みだす絶えざるイノベーション
・コストパフォーマンスを支える卓越したオペレーション
・すべての活動のベースとなる良質なコミュニケーション

 

【1-2沿革】

1996年12月に創業し、1999年8月、レンタルサーバサービスと専用サーバサービスの提供を目的とした、さくらインターネット(株)として法人組織に改組。同年10月に大阪と東京にデータセンターを開設し、ハウジングサービスを開始した。2005年10月に東証マザーズに株式を上場した。2008年2月に双日(株)と資本提携し(持分法適用会社)、2011年2月には資本関係を強化すると共に(連結子会社)、業務提携契約を締結(2017年3月に公募増資と(株)双日の株式一部売出し等により持分法適用会社)。同年11月にはクラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設した。
2015年4月に(株)Joe'sクラウドコンピューティングを子会社とし連結決算に移行。2016年5月にはセキュリティを強化するべくゲヒルン(株)を子会社化し、2017年1月に大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)に強みを持つアイティーエム(株)(当時はエヌシーアイ(株))を、同年9月に小中規模法人向けMSPに強みを持つビットスター(株)を子会社化。2018年5月には、ハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーションを手掛けるプラナスソリューションズ(株)を設立し、同年8月にストレージ仮想化技術に強みを持つIzumoBASE(株)を子会社化した。

 

【1-3 事業内容】

事業は、ハウジングサービス、ホスティングサービス(専用サーバ、レンタルサーバ、VPS・クラウド)、及びドメイン取得サービス、SSL取得サービス(独自ドメインによるサーバ証明書の取得代行)、子会社事業等のその他サービスに分かれ、18/3期の売上構成比は、15%、68%(うち、専用サーバ23%、レンタルサーバ18%、VPS・クラウド27%)、17%。

 

ハウジングサービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するサービス。ラック単位で設置スペースを貸し出す「ラック貸し(回線、電源等も提供)」が中心だったが、自社で土地建物を保有する石狩データセンターの稼働に伴い「スペース貸し」(大規模ハウジング)を開始した。

 

ホスティングサービス
専用サーバサービス、レンタルサーバサービスの物理ホスティングと、VPSサービス、クラウドサービスの仮想ホスティングに分かれる。

 

専用サーバサービス
同社が所有する物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらの専用サーバ」)。専門知識を要するサーバのメンテナンス等の負担があるものの、独自にサーバの設定が可能である事や、ソフトウェアのインストールに制約が無い事等、レンタルサーバサービスと比べて自由度の高い点が特徴。専用サーバは、クラウド・VPS等の仮想サーバの普及により売上が減少していたが、新サービスの導入以降、パフォーマンスの安定性や高性能なDB・ストレージの活用といった機能面でのメリットやクラウドに比べ規模拡大に伴い料金が増加しにくいコスト面での優位性から、特に高速処理が要求されるAI分野での利用等で見直されつつあり、クラウド(仮想サーバ)と専用サーバ(物理サーバ)を併用する顧客も増えている。
尚、新サービスはクラウドサービスの対抗商品として2012年2月にサービスを開始した。物理サーバをクラウドのように利用できる一方、仮想化技術を用いた通常のクラウドに比べて性能やセキュリティが各段に優れる(最少プランは従来価格のままでサービススペックを2倍以上に引き上げた)。台数制限がなく、複数台構成も可能で、申し込みから最速10分で利用できる。

 

レンタルサーバサービス
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で利用できるサービス。1台の物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらのマネージドサーバ」)と1台の物理サーバを複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)を提供。サーバの設定やソフトウェアのインストールに一定の制約があるものの、専門知識を要するサーバのメンテナンス等は同社が代行するため、利用者は作業負担を大幅に軽減する事ができる。

 

VPS・クラウドサービス
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)を提供。物理サーバ(専用サーバサービスやレンタルサーバサービス)よりも自由度が高く、かつコストパフォーマンスに優れる。

 

 

 

2.2018年3月期決算

(1)連結業績

 

17/3期

構成比

18/3期

構成比

前期比

期初予想

予想比

売上高

13,961

100.0%

17,033

100.0%

+22.0%

19,300

-11.7%

売上総利益

4,177

29.9%

4,818

28.3%

+15.3%

 -

-

販管費

3,159

22.6%

4,072

23.9%

+28.9%

 -

-

営業利益

1,018

7.3%

745

4.4%

-26.7%

1,050

-29.0%

経常利益

804

5.8%

574

3.4%

-28.6%

870

-34.0%

当期純利益

548

3.9%

349

2.0%

-36.3%

530

-34.1%

*単位: 百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

前期比22.0%の増収、同26.7%の営業減益
売上高は前期比22.0%増の170億33百万円。同25.3%増とVPS・クラウドの好調が続く中、高火力のスーパーコンピュータ案件をけん引役に専用サーバが同28.2%増と伸長。この他、レンタルサーバが同5.0%増と堅調に推移した他、大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)を手掛けるITM社及び北海道札幌市を拠点に中小規模の企業を中心にMSP等を手掛けるビットスター社の連結でその他も同61.7%増加した。

 

営業利益は同26.7%減の7億45百万円。石狩データセンター3号棟稼働やサーバ・ネットワーク機器投資に伴う減価償却費・リース料等の増加に加え、データセンター業務委託費や子会社連結による外注費の増加等もあり、売上総利益率が1.6ポイント低下。社内システム開発エンジニア及び子会社営業人員の増加による人件費の増加や大阪新本社の地代家賃の増加等による販管費の増加が負担になった。

 

期末従業員数は68名増の563名。ビットスター社社員43名が加わった事が主な増加要因。前々期、前期と100名程度採用した同社はエンジニア・営業を中心に19名の増加にとどまった。

 

期初予想との比較では、当期より開始したIoTサービスの立ち上がりの遅れ等で売が下振れする中、前期までの人材投資を含めた各種の投資が負担になった。

 

サービス別売上高

 

17/3期

構成比

18/3期

構成比

前期比

ハウジング

2,467

17.7%

2,486

14.6%

+0.8%

専用サーバ

2,995

21.5%

3,841

22.6%

+28.2%

レンタルサーバ

2,990

21.4%

3,138

18.4%

+5.0%

VPS・クラウド

3,683

26.4%

4,615

27.1%

+25.3%

その他

1,825

13.1%

2,951

17.3%

+61.7%

合計

13,961

100.0%

17,033

100.0%

+22.0%

*単位: 百万円

 

 

営業費用の対前期増減要因と増減額

売上高

+3,071

 

 

売上原価

+2,430

販管費

+913

減価償却費・リース料の増加(石狩DC3号棟稼動、サーバ等投資)

+924

社内システム開発等エンジニアの増員等

+428

外注費(子会社、ハウジング対応業務委託)の増加

+390

地代家賃の増加(大阪本社、子会社)

+210

エンジニアの増員、平均報酬の増加等

+365

組織体制見直しによる手数料の原販変更

+62

販売用機材の増加

+311

減価償却費・リース料の増加

+59

サーバ・ネットワーク機器保守コスト等修繕費の増加

+264

手数料(子会社)の増加

+35

電力費の増加(スーパーコンピュータ案件等)

+165

計上時期変更による株主優待費用の増加

+22

ドメイン調達コストの増加

+66

のれん償却費の増加

+17

データセンター最適化による賃料の減少

-125

その他販管費の増加

+80

その他売上原価の増加

+70

 

 

*単位:百万円

 

自己資本比率が改善し、営業キャッシュ・フロー(CF)は前期比65.6%増

 

財政状態

 

17年3月

18年3月

 

17年3月

18年3月

現預金

4,868

4,612

短期有利子負債

1,463

1,111

売上債権

1,362

1,571

短期リース債務

1,119

1,211

流動資産

7,961

7,739

前受金

2,833

3,079

有形固定資産

15,659

15,912

長期有利子負債

5,287

4,680

無形固定資産

1,295

1,280

長期リース債務

5,386

5,506

固定資産

18,043

18,371

負債

18,396

18,221

資産合計

26,005

26,111

純資産

7,609

7,889

*単位: 百万円

 

期末総資産は前期末と比べて1億60百万円増の261億11百万円。借方では、借入金の返済や給与支給時期変更に伴う一時的な影響等で現預金が減少する一方、サーバ・ネットワーク機器や大阪新本社関連設備等で有形固定資産が増加。貸方では、前受金、未払消費税、サーバ・ネットワーク機器のリース債務が増加する一方、返済により借入金が減少した。自己資本比率30.1%(前期末29.3%)。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

17/3期

18/3期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー(A)

1,852

3,067

+1,215

+65.6%

投資キャッシュ・フロー(B)

-5,410

-1,382

+4,028

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-3,558

1,685

+5,243

-

財務キャッシュ・フロー

4,349

-1,941

-6,290

-

現金及び現金同等物期末残高

4,868

4,612

-256

-5.3%

*単位: 百万円

 

減価償却費の影響が大きかった事もあり(17/3期15億98 →18/3期 22億90百万円)、営業利益は前期比26.7%減少したが、営業CFは30億67百万円と同65.6%増加。石狩DC3号棟関連の投資が前期でピークアウトしたため投資CFのマイナス幅が縮小し、16億85百万円のFCFを確保した。

 

設備投資は42億円(17/3期は石狩DC3号棟31億円等で合計81億円)。主なものは、サーバ・ネットワーク機器27億円、データセンター7億円(うち石狩3号棟2億円)、IoT・事務所関連・システム等2億円。

 

ROE分析

 

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

ROE

10.62%

13.88%

13.21%

9.12%

4.52%

 売上高当期純利益率

3.52%

4.88%

4.58%

3.93%

2.05%

 総資産回転率

0.76回

0.76回

0.74回

0.63回

0.65回

 レバレッジ

3.96倍

3.76倍

3.90倍

3.71倍

3.37倍

*ROE(自己資本利益率)は「売上高当期純利益率(当期純利益÷売上高)」、「総資産回転率(売上高÷総資産)」、「レバレッジ(総資産÷自己資本、自己資本比率の逆数)」の3要素を掛け合わせたものとなる。ROE = 売上高当期純利益率 × 総資産回転率 × レバレッジ
*上記は決算短信及び有価証券報告書のデータを基に算出しているが、算出に際して必要となる総資産及び自己資本は期中平残(前期末残高と当期末残高の平均)を用いている(決算短信及び有価証券報告書に記載されている自己資本比率は期末残高で算出されているため、その逆数と上記のレバレッジは必ずしも一致しない)。

 

(2)第4四半期(1-3月)業績

 

17/3-1Q

2Q

3Q

4Q

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

構成比

3Q比

売上高

3,224

3,298

3,366

4,072

4,014

4,105

4,513

4,399

100.0%

-2.5%

売上総利益

974

1,013

1,024

1,164

1,130

1,168

1,254

1,265

28.8%

+0.8%

営業利益

291

297

234

194

114

189

226

216

4.9%

-4.5%

経常利益

251

253

190

108

65

154

180

174

4.0%

-3.1%

四半期純利益

156

161

125

104

26

78

113

130

3.0%

+14.4%

EBITDA

662

677

638

594

636

744

804

828

18.8%

+2.9%

売上総利益率

30.2%

30.7%

30.4%

28.6%

28.2%

28.5%

27.8%

28.8%

-

-

営業利益率

9.1%

9.0%

7.0%

4.8%

2.8%

4.6%

5.0%

4.9%

-

-

*単位: 百万円

 

ビジネスチャンスを捉えるべく広告宣伝費を積み増し
第3四半期(10-12月)に機器販売のスポット売上があった反動を吸収できなかったが(その他の減収要因)、ハウジング、専用サーバ、レンタルサーバ、VPS・クラウドは、いずれも売上が増加した。

 

利益面では、減価償却費・リース料等が増加したものの、上記のスポット機器販売がなくなった事やデータセンター最適化効果による賃料の減少で売上総利益が増加した。販管費の増加を吸収できず営業減益となったが、販管費の増加はビジネスチャンスを捉えるべく広告宣伝費を積み増した事による。四半期純利益が増加したのは所得拡大促進税制の適用を受けて法人税が減少したため。

 

四半期業績の推移

 

17/3-1Q

2Q

3Q

4Q

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

構成比

3Q比

ハウジング

600

605

593

666

607

607

622

649

14.8%

+4.3%

専用サーバ

690

680

753

870

945

962

962

969

22.0%

+0.7%

レンタルサーバ

729

742

751

766

774

782

787

795

18.1%

+1.0%

VPS・クラウド

852

905

906

1,018

1,069

1,106

1,195

1,243

28.3%

+4.0%

その他

350

364

361

749

617

646

946

742

16.9%

-21.6%

合計

3,224

3,298

3,364

4,069

4,014

4,105

4,513

4,399

100.0%

-2.5%

*単位: 百万円

 

営業費用の対前四半期増減要因と増減額

売上原価

-124

販管費

+20

3Qに発生の販売機材原価の減少

-173

広告宣伝費の増加

+10

データセンター最適化による賃料の減少

-30

その他販管費の増加

+10

減価償却費・リース料の増加(石狩DC3号棟稼動、サーバ等投資)他

+79

 

 

*単位: 百万円

 

四半期キャッシュ・フローの推移

 

17/3-1Q

2Q

3Q

4Q

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

営業CF(A)

705

741

29

376

461

1,099

555

951

投資CF(B)

-2,047

-118

-1,615

-1,629

-357

-391

-392

-241

フリーCF(A+B)

-1,342

623

-1,586

-1,253

103

708

162

710

財務CF

-16

-395

1,228

3,533

-459

-495

-464

-521

現金等残高

2,718

2,946

2,589

4,868

4,513

4,726

4,423

4,612

*単位: 百万円

 

賞与支給や法人税等の納付の影響で四半期毎の営業CFには振れが生じるが、基本的に黒字で安定している。石狩DC3号棟関連の投資が前期でピークアウトしたため、当期は期を通してFCFも黒字を維持した。

 

 

 

 

 

3.2019年3月期業績予想と取り組み

(1)連結業績

 

18/3期 実績

構成比

19/3期 予想

構成比

前期比

売上高

17,033

100.0%

20,400

100.0%

+19.8%

営業利益

745

4.4%

1,200

5.9%

+60.9%

経常利益

574

3.4%

1,000

4.9%

+74.1%

当期純利益

349

2.0%

650

3.2%

+86.0%

*単位: 百万円

 

前期比19.8%の増収、同60.9%の営業増益予想
売上高は前期比19.8%増の204億円。主力のVPS・クラウドが同31.3%増と引き続き高い伸びを示す中、高火力コンピューティングの増加等、高性能・低コストコンピュータ需要の高まりで専用サーバが同13.2%増加する。この他、サービス強化(後述)でレンタルサーバが同22.0%増、エンジニア増員によるサービス開発の加速でその他も同24.7%増加。ハウジングも前期と同水準を維持する。

 

利益面では、減価償却費・リース料やエンジニア人件費、販売用機材等を中心に売上原価が同12%弱、人件費、広告宣伝費、及びコミュニケーションツール導入やIoT開発関連等で販管も同17~18%増加する見込みだが、売上の増加と売上総利益率の改善で吸収。営業利益は12億円と同60.9%増加する見込み。営業利益及び経常利益は過去最高となった11/3期の実績に迫り、当期純利益は過去最高を更新する。
積極的に採用活動を行う考えで、新卒採用はグループで83名(単体4名)を予定している。

 

設備投資は、データセンター31億円(うち石狩DC3号棟20億円)、サーバ・ネットワーク機器48億円等、計84億円を計画している。石狩DC3号は1,900ラック相当の収容力があるが、現在は1部屋(120ラック相当)が稼働可能な状態にあり、うち一部ラックが稼働している。19/3期は更に2部屋(240ラック相当)の稼働準備を進める。

 

サービス別売上高

 

18/3期 実績

構成比

19/3期 予想

構成比

前期比

ハウジング

2,487

14.6%

2,480

12.2%

-0.3%

専用サーバ

3,841

22.6%

4,350

21.3%

+13.2%

レンタルサーバ

3,139

18.4%

3,830

18.8%

+22.0%

VPS・クラウド

4,615

27.1%

6,060

29.7%

+31.3%

その他

2,951

17.3%

3,680

18.0%

+24.7%

*単位: 百万円

 

専用サーバの売上高45億50百万円には、高火力コンピューティングの売上高約8億円が含まれる(1億円増)。また、VPS・クラウドの売上高60億60百万円のうち、クラウドの売上は約38億円(11億円増)。その他の売上高36億80百万円には、IoTサービスの売上約5億円が織り込まれている。

 

営業費用の対前期増減要因と増減額

売上高

+3,366

 

 

売上原価

+2,198

販管費

+713

減価償却費・リース料増

+864

人件費増加

+200

エンジニアの増員、平均給与増加

+431

広告宣伝費増加

+165

販売用機材の増加(IoT含む)

+306

手数料増加(コミュニケーションツール導入、IoT開発関連)

+123

子会社の外注費用等、手数料増加

+282

減価償却費・リース料増

+50

サーバ・ネットワーク機器保全コスト等修繕費増加

+99

決済手数料増加

+37

電力費の増加

+70

地代家賃(前期の子会社増加)

+29

その他売上原価の増加

+146

その他販管費の増加

+109

*単位: 百万円

 

(2)19/3期の取り組み

基本方針は、「成長する環境での事業活動」と「成長する分野への集中投資」。「成長する環境での事業活動」では、ホスティング・クラウドサービス、IoT分野、AI分野、及びデータ流通分野での取り組みを進め、「成長する分野への集中投資」では、エンジニア採用を強化すると共に子会社との連携を強化して付加価値の向上・拡大に取り組んでいく。

 

「成長する環境での事業活動」
ホスティング・クラウドサービスでは、VPS・クラウドの機能強化・改善を継続すると共に、近年、伸びが鈍化しているレンタルサーバをてこ入れする。この一環として、VPS・クラウドでは、3月にクラウドサーバ専用の管理画面機能の提供を開始した。一方、レンタルサーバでは3月に全プランをHTTP/2に対応させ、4月にはWordPressなどPHPアプリケーションを高速化した。5月にはコントロールパネを刷新する予定だ。
この他、新サービスとして、コンテナ型仮想化技術「Docker」を利用した新たなホスティングサービス「Arukas」の提供を3月に開始した。

 

IoT分野では、IoTに必要なプラットフォーム「sakura.io」のライセンス方式での販売とIoTに必要な通信機能「セキュアモバイルコネクト」の販売に力を入れる。既に、シェアサイクルサービス「メルチャリ」(2018年2月サービス開始)への「sakura.io」の提供や(プロトコルライセンス方式での提供)、国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)等が神奈川県横須賀市で実施しているLPWA方式3種(SIGFOX、LoRa、Wi-SUN)を同時に使用する実証実験への「LoRa」を使った通信モジュールの提供等の実績がある。
尚、LPWAとは、Low Power Wide Areaの略で、低消費電力で広いエリアをカバーできる無線ネットワークの事。代表的な規格として「LoRa」、「SIGFOX」、「NB-IoT」等がある。また、「メルチャリ」は、(株)メルカリのグループ会社である(株)ソウゾウが2月に開始した自転車のシェアサービスで、駐輪場等に置かれた自転車をスマホの操作で借りる事ができる。シェアサイクル用コネクティッド・ロックに「sakura.io」の通信モジュールが内蔵されている。

 

AI分野では、AI・機械学習(囲碁・将棋ソフト等)、計測(新材料の研究)、映像制作(CG映画等)、仮想通貨等をターゲットにしている。AI分野のビジネスレイヤーは、アプリケーションデータ(活用)、データ・アナリシス(分析)、アルゴリスム(ソリューション)、ハードウェア(システム基盤)に分ける事ができるが、同社はハードウェア(高火力コンピューティングの提供)にフォーカスして事業を進める。

 

データ流通分野では、将来のデータ流通市場拡大に向けてビッグデータ取得に注力する。スマートシティ・スマートビル向けデータ流通システムの実証実験の一環として、福岡地所(福岡県福岡市、代表取締役 榎本一郎)の物件で2月からビル関連データの取得・公開業務を開始しており、3月には平成30年度政府衛星データのオープン化及びデータ利用環境整備事業の委託先に指定された。また、3月末に北海道石狩市とIoT等の情報技術を活用した地域活性化に関する包括連携協定を締結し、4月からLoRaを利用した河川水位計測システムの試行運用を開始した。いすれも対価を得る事はできないが、収集・蓄積したデータを自由に利用できる。

 

「成長する分野への集中投資」
14/3期末に236名だった同社の従業員は、エンジニアを中心にした積極的な採用で18/3期末には563名に増加している。19/3期以降も、エンジニアを中心に積極的な採用を続けていく。
また、時代の変化に対応して、提供価値の幅を広げると共に質を向上させる事でビジネスチャンスを捉えていく。これまで同社は、ITプラットフォーム(クラウド・ホスティング、ビッグデータ収集・流通、IoTプラットフォーム等)として、基本的価値+多くの顧客が求める価値を標準サービス内で提供してきたが、今後は、これに加えて、グループ企業間の連携で個別ニーズに対応したITソリューション(SI、MSP等)を提供する事で、各社単独では対応できなかった顧客・案件を取り込んでいく。このため、MSPを手掛けるITM社やビットスター社との連携を強化する事はもちろんだが、5月に大口案件へのソリューション提案に特化した子会社プラナスソリューションズ(株)を設立する。プラナスソリューションズ(株)は、ITインフラの設計、構築、販売、運用、保守、その他サービスを提供するSIerではあるが、従来のようにオンプレミスのシステムを対象とするのではなく、クラウドで提供するハイパフォーマンスコンピューティング領域でインテグレーションサービスを提供する(大規模・高速コンピューティングリソース+システム設計・運用・保守までのワンストップ提供)。主なターゲット顧客は、官公庁・大学・公共・研究機関、民間の研究開発部門・情報システム部門・サービス部門である。

 

上記の基本方針に加え、働きやすさ、働き甲斐の向上にも引き続き注力していく。

 

(3)成長イメージ

既存分野と新たな成長分野を両輪として成長を実現していく。既存分野とは、レンタルサーバや専用サーバ等の安定成長分野とVPS・クラウドの今後の成長分野。一方、新たな成長分野とは、AI・IoTといった分野である。レンタルサーバや専用サーバ等の安定成長分野ではM&Aによるスケールメリットの追求やオペレーションの効率化で安定的に利益を創出し、新規顧客獲得と利用単価の引き上げで成長分野であるVPS・クラウドを伸ばし成長を加速させる。そして、顧客の実用化支援を通じたシェア拡大でIoT・AI分野等でのポジションを早期に確立し、その収益を既存分野の収益に積み上げていく。
そして、成長のその先にイメージしているのは、データ取引所等、“データへのアクセスに不可欠なプラットフォーマー”である。

 

(同社資料より)

 

 

4.今後の注目点

メインフレームを中心に据える「第1のプラットフォーム」、サーバ・クライアント・インターネットによる「第2のプラットフォーム」を経て、クラウド・ソーシャル・ビッグデータ・モビリティによる「第3のプラットフォーム」の時代を迎えている。同社の資料によると、IDCJapanでは、企業が「第3のプラットフォーム」技術を活用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立する事をデジタルトランスフォーメーション(DX)と定義している。この事は、『企業間競争を勝ち抜くためにはDXが不可欠であり、そのためには「第3のプラットフォーム」技術の活用がポイントになる』と言い換える事ができるだろう。
同社は、“DXを支えるプラットフォーマー”として、「第3のプラットフォーム」を提供する事で企業の競争力強化を支援していく。具体的には、「第3のプラットフォーム」の基盤となる、クラウドプラットフォーム、IoTプラットフォーム、データプラットフォームを構築し(クラウドプラットフォームは既に構築済みのため一段の強化)、それらをインテグレートしてユーザーに提供していく(“DXを支えるプラットフォーマー”を目指す事は、既存分野と新たな成長分野を両輪とする成長の実現にもつながる)。
クラウドプラットフォーム強化に向けたVPS・クラウドの機能強化・改善とレンタルサーバのてこ入れ、IoTプラットフォーム「sakura.io」と「セキュアモバイルコネクト」の販売本格化、データプラットフォームの構築に向けた企業や自治体とのアライアンス、更には子会社プラナスソリューションズ(株)の設立等、具体的な取り組みが既に始まっている。19/3期は、専用サーバ、レンタルサーバ、VPS・クラウド、及びその他で高い売上成長を見込んでおり、上記の取り組みの成果が一部織り込まれている。このため業績の進捗(=取り組みの進捗)に注目していきたい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書  更新日:2017年07月07日
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
 特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
補充原則4-2-1 【経営陣の報酬】
取締役の報酬は、代表取締役が業務分掌の内容や業績への貢献度等を総合的に勘案し、取締役会に提案のうえ、取締役会で個別に決定しております。なお、今後は中長期的な業績と連動する報酬や自社株での報酬についても引き続き議論し、設定すべきことを検討いたします。

 

原則4-9 【独立社外取締役の独立性判断基準及び資質】
株主総会招集通知、有価証券報告書及びコーポレート・ガバナンス報告書に記載しております。今後選任基準を策定することを検討いたします。

 

補充原則4-11-3 【取締役会全体の実効性について】
取締役会全体の実効性に関しては、適切な意思決定を行うため取締役会上程議案についての事前審議等が実施され、取締役会に担当責任者が出席し案件の説明と質問への回答を行う等、議論が十分になされていると考えております。今後については、概要についての開示を検討いたします。

 

<開示している主な原則>
原則1-4 【政策保有株式】
現在当社は上場会社株式を保有しておりません。

 

原則1-7 【関連当事者間の取引】
関連当事者との取引については、少数株主の利益保護のため、関連当事者以外と取引を行う場合と同様、当社の社内諸規程に基づいて取引の可否を決定しております。なお、関連当事者との取引については、より慎重に判断を行うためにその取引金額の多寡に関わらず、取引内容についてその取引の合理性や取引条件の妥当性等の検証を行い、その結果を取締役会に報告し、取締役会において十分に審議しており、少数株主の利益を害することとならないよう体制を整えております。

 

原則5-1 【株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、取締役(CFO)をIR担当取締役とするとともに、経理財務部にIR担当者を配置しております。株主や投資家に対しては、四半期毎に決算説明会を開催しております。決算説明会の資料及び説明会の動画を弊社ホームページに掲載することにより、個人投資家に向け当社に対する理解度向上に向けた取り組みを行っております。株主との対話(面談)の対応は、経理財務部のIR担当者が行っております。また、株主の希望や面談を行う株主の株式数に応じて、社長や取締役(CFO)が面談に対応しております。なお、対話を通じた株主からの意見については、適時開示担当部署が集約し、経営陣に共有する仕組みを構築しております。投資家との対話の際は、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わる事項を対話のテーマとすることにより、インサイダーの情報の管理に留意しております。

 

 

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