ブリッジレポート
(4323) 日本システム技術株式会社

プライム

ブリッジレポート:(4323)日本システム技術 2018年3月期決算

ブリッジレポートPDF

 

 

平林 武昭 社長

日本システム技術株式会社(4323)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

平林 武昭

所在地

大阪市北区中之島二丁目3番18号 中之島フェスティバルタワー29階

決算月

3月末日

HP

http://www.jast.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,490円

5,248,020株

7,819百万円

9.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

28.00円

1.88%

111.47円

13.4倍

1,181.54円

1.3倍

*株価は6/26終値。発行済株式数は直近期決算短信より(発行済株式数から自己株式を控除)。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

11,505

363

435

228

43.56

25.00

2016年3月(実)

11,821

401

441

291

55.62

25.00

2017年3月(実)

14,223

571

623

410

78.26

25.00

2018年3月(実)

15,630

741

785

579

110.36

28.00

2019年3月(予)

15,765

865

875

585

111.47

28.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様

 

日本システム技術の2018年3月期決算概要などについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2018年3月期決算概要
3.2019年3月期業績見通し
4.今後の計画・方針
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 2018年3月期の売上高は前期比9.9%増の156億30百万円。売上高は製造業及び通信業向けの案件が増加したソフトウェア事業などが寄与し増加した。営業利益は同29.9%増の7億41百万。製造業及び通信業向けの案件が増加したソフトウェア事業や収益性の高い案件項目の売上が増加したパッケージ事業で増加した。

     

  • 19年3月期は、売上高が前期比0.9%増の157億65百万円の予想。大型案件の受注が一段落することにより微増にとどまる。営業利益は同16.7%増の8億65百万円の予想。研究開発費のピークアウトと前期発生した不採算案件がなくなり損益が改善する見込み。配当は前期の28円/株(普通配当25円/株と東証1部指定替えの記念配当3円/株)と同額の期末28円/株と実質3円/株の増配予定。

     

  • パッケージ事業では主力製品である「GAKUEN」において次世代フラッグシップ製品のリリースを予定している。学生支援から教育支援へ進化させた「GAKUEN」の次世代フラッグシップ製品の導入は、既存顧客との取引深耕のみならず新規顧客の開拓にも好影響を与えるものと予想される。

     

1.会社概要

ソフトウェア事業(18/3期売上構成比67.7%)、主に教育機関向け業務パッケージの開発・販売(同14.4%)、及び情報システム関連機器等の販売(同11.6%)、医薬ビックデータ(同6.2%)を行っている。

 

<沿革>

設立は、1973年3月。JAST(同社)の特徴である教育機関向け業務パッケージには、90年代前半から取り組んでおり、94年10月に学校事務支援統合システムパッケージソフト「GAKUENシリーズ」の販売を、98年8月に大規模大学向けERP「GAKUEN REVOLUTION(学務)」の販売を、2000年2月に学校関係者間の情報ネットワークを実現する統合型Webサービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT」の販売を、それぞれ開始。01年11月のジャスダック上場を経て、03年2月に東証二部に株式を上場、2017年6月に一部へ市場変更した。

 

 

<特徴>

1.理念重視の経営
「情報化の創造・提供による社会貢献」をモットーとして、いかなる企業系列にも属さない完全独立の立場を堅持することにより、業種、技術分野、プラットフォーム等を問わず、常に最新の技術に挑戦しつつ、自由な立場で幅広い分野の開発業務に取り組むことを経営の基本方針としている。

 

この基本方針に則り、顧客、株主、社員、社会がそれぞれWin-Win(双方有益)の関係を築くべく、「四方良し」の理念を掲げ、それぞれの価値を最大化し、全体としての企業価値を高めることにより、安定的成長を実現することを目標としている。

 

また、このような成長の原動力となるのは従業員一人一人の情報システム開発に対する情熱と顧客への誠心誠意のサービスであり、そのためには人間力の研鑽が何よりも先行すべきである、との信念に基づいた「人づくり」経営に徹することにしている。

 

(経営理念の基本的考え方)
「天爵を修めて人爵これに従う」=天爵を修めることで、はじめて人爵を与えられる。人爵を得て、その結果として天爵を与えられることはない。

 

2.広範な情報サービスの提供と自社ブランド確立
メーカーや系列等一切の成約を受けず、自由な立場で広範な分野のサービスを提供することが出来る。
以下の既存3事業をメインとしているが、近年の変化として、自社ブランドサービスの拡大に注力し、構成比引上げを目指している。
具体的には、医療情報(レセプト自動点検等)サービス、銀行向けCRMソリューション「BankNeo」、スマートフォンアプリ群「京都禅寺巡り」などが挙げられる。

 

(事業セグメント)
1.ソフトウェア事業(ソフトウェアの個別受託開発) ⇒ SIerの側面
①ビジネスアプリケーション
 各業界向けにシステムの提案から開発、運用、保守まで一貫したITサービス
②エンジニアリングアプリケーション
 携帯電話やAV機器組込システム、CAD、構造分析、自動車設計、交通管制など通信・制御システム
③その他自社ブランドサービス
・金融機関向けパッケージソリューション
 地銀、信金、信組向けCRM/SFAシステム「BankNeo」
・スマートデバイス
 観光アプリ「京都禅寺巡り」他、スマホアプリ
 ビジネス向け、スマートデバイスを活用したトータルソリューション

 

2.パッケージ事業(大学経営ソフトウェアパッケージの開発、販売) ⇒ パッケージメーカーの側面
大学経営システムのトップブランド「GAKUEN」シリーズ戦略的を中核とした、文教ITのトータルソリューション

 

3.システム販売事業(マルチベンダー/ITインフラの構築) ⇒ 販社(BtoB)の側面
文教・公共系マルチベンダーのITインフラ構築、大型サイネージ端末関連ソリューションなど、独自のサービス

 

4.医療ビックデータ事業(医療情報データの点検分析及び関連サービス)
レセプト自動点検、ジェネリック通知、各種分析サービス、データヘルス計画、ニ次点検業者向けシステム提供など医療関連のビックデータソリューション

 

3.グループ拠点展開
大阪と東京の2本社制を敷いており、早くから海外に開発拠点を展開している事も特徴。また、2006年8月には、大学向けマーケットを中心とする文教分野での業容拡大を図るべく、首都圏の大規模大学を中心に、システム機器等の販売で実績のあるアルファコンピュータ(株)の全株式を取得した。これにより、パッケージ、情報機器及びネットワーク等を一貫して提供する大学向けSI(システム・インテグレーション)事業の大規模展開が可能となった。
加えて、JMICS(医療情報サービス)を独立事業化、2013年7月には(株)ODKソリューションズの発行済株式総数の3.66%を取得、資本提携をおこない、文教分野での相互事業拡大を狙う。また、2016年5月には広範な分野でシステム・ソリューションビジネスを展開する総合ソフトウェア開発企業である(株)アイエスアールを子会社化。東京エリアでの事業拡大およびSI サービスの強化に寄与するものと期待される

その他、2017年11月には㈱コウェルへの出資及び協業強化。これにより、日本及びベトナムにおけるグローバル・アウトソーシング拡大、パッケージ商材の開発、ITエンジニアの採用・育成等を協業することが可能となった。更に、2018年4月にJAST Asia Pacific Co., Ltdを同社の99.97%の出資によりタイに設立。ASEAN地域のビジネス展開の中心として、現存の海外拠点との協調により、課題解決、さらなる事業の継続・発展を目指す。

 

(同社資料より)

 

4.国内トップシェアの大学業務パッケージ及びその進化
大学向け経営改革ソリューションとして提供している統合業務パッケージは、94年10月の発売以来、376校(18年6月8日現在)への導入実績を有し、文教マーケットにおいて高い評価を受けている。

 

特徴は、大規模な総合大学から小規模の短期大学に至るまで、主要業務を全方位でカバーしているため、パラメーターの設定だけで大学個々のニーズに柔軟に対応できる事。つまり、カスタマイズの必要がないため、ユーザーは導入時及びその後の運用・メンテナンスに関わるトータルコストを削減する事ができる。なお、1案件あたりの導入金額は数10万円~数億円と、導入規模により広範囲にわたる。

 

少子化問題への取り組み戦略のひとつとして、大学各校は優秀な学生を確保するべく、学生向けサービスや経営品質の向上に取り組んでいる。しかし、全国に約1,200校あると言われる大学・短大の大半がメインフレーマー等による手作りのシステムやカスタマイズを前提としたパッケージを使っているという。品質・価格両面での優位性に強み。
加えて、当初の事務支援から、運用サービス、KIOSK端末等OEM機器、BCP対策、学生育成支援、経営戦略支援など、大学を取り巻く総合ITサービスに進化している点も特徴である。

 

 

5.国内唯一の統合医療データ分析サービス「JMICS」
レセプト内容点検を行うことで、定例的にレセプト情報を蓄積し、医療情報基盤を構築。また、健康診断結果情報・加入者情報他を付加することにより、保険事業推進へ更なる活用が望まれる。
提供サービスは、点検サービス、医療費適正化サービス、保険事業支援サービス、事務効率化サービスと多岐にわたり、ワンストップで利用可能。

 

(同社資料より)

 

6.その他の特長
(人材重視) ⇒ 品質安定、低コスト体質
・新卒中心の採用と長期的な人材育成
・人材流動の激しい業界内で高い社員定着率を維持

 

(特徴的な営業戦術) ⇒ 異なる4事業が共存
・ソフトウェア事業:SE自らがリピート案件発掘、新規顧客は専門営業がソリューション提案
・その他事業:代理店、教育機関、官公庁、健保組合等、異種カスタマ層へのマーケティング展開

 

(品質、信頼へのこだわり) ⇒ 高いリピートオーダー率、大手顧客との長期取引
・「一括丸投げ」は行わず、社員中心のプロジェクト編成
・請け負ったら顧客が満足するまでやり抜く、途中退場はしない

 

(徹底したコスト管理) ⇒ 問題の早期発見による不採算案件の最小化、低コスト体質
・間接部門を含む全活動をプロジェクト化し原価管理
・コンパクトな本社間接部門

 

 

2.2018年3月期決算概要

(1)連結業績

 

17/3期

構成比

18/3期

構成比

前期比

売上高

14,223

100.0%

15,630

100.0%

+9.9%

売上総利益

2,935

20.6%

3,345

21.4%

+14.0%

販管費

2,364

16.6%

2,603

16.7%

+10.1%

営業利益

571

4.0%

741

4.7%

+29.9%

経常利益

623

4.4%

785

5.0%

+25.8%

親会社株主に帰属する四半期純利益

410

2.9%

579

3.7%

+41.0%

*単位:百万円。

 

前期比9.9%の増収、同29.9%営業増益
2018年3月期の売上高は前期比9.9%増の156億30百万円。売上高面では、製造業及び通信業向け案件の増加などが寄与しソフトウェア事業が増加した他、自治体向けレセプト管理クラウドサービスの導入増により医療ビックデータ事業などで増加した。
営業利益は同29.9%の7億41百万円、売上が増加したソフトウェア事業や、収益性の高い案件項目の売上増加が寄与したパッケージ事業などで増加した他、医療ビッグデータ事業においても、前期に比べセグメント損失が縮小した。収益性の高い案件項目の売上増加などにより、売上総利益率は21.4%と同0.8ポイント上昇した。売上高対販管費率は同0.1ポイント上昇したものの、売上高営業利益率は、4.7%と前期に比べ0.7ポイント上昇した。その他、営業外収益で前期に発生した受取補償金15百万円がなくなったものの、経常利益も前期比25.8%増加した。特別損益は特別損失で6百万円の減損損失が発生した程度。

 

研究開発費用は前期比38%の増加

 

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

前年比

差額

増減率

研究開発の合計

269

346

332

458

+126

+38%

ソフトウェア事業

62

54

0

64

+64

-

パッケージ事業(GAKUEN事業)

206

239

286

274

-12

-4%

医療ビックデータ事業

0

52

45

98

+53

+118%

その他

0

0

0

20

+20

-

*単位:百万円。

 

ソフトウェア事業は、金融機関向けの次世代の開発が増加。パッケージ事業は、次世代製品の開発とGAKUEN中国版の開発が増加したものの、今後研究開発費はピークアウトする見込み。医療ビックデータ事業は、点検性能向上とサービス拡大に対応したもの。また、その他は新ビジネスの調査と研究に対応したもので今後も増加が予定されている。

 

(2)セグメント別動向

 

売上高

セグメント利益

 

17/3期

18/3期

前期比

17/3期

18/3期

前期比

ソフトウェア事業

10,058

10,584

5.2%

394

448

+13.8%

パッケージ事業

2,274

2,254

-0.9%

218

254

+16.4%

システム販売事業

1,116

1,816

62.7%

6

46

+601.0%

医療ビッグデータ事業

774

974

25.9%

-45

-12

-

調整額

-

-

-

-2

4

 

合計

14,223

15,630

9.9%

571

741

+29.9%

 

◎ソフトウェア事業(受注ソフトウェアの個別受託開発)
サービス・流通業、金融・保険・証券業及び官公庁向け案件等が前年より減収傾向で推移したものの、製造業及び通信業向け案件がそれぞれ増収となり、売上高105億84百万円(前期比5.2%増)、セグメント利益4億48百万円(前期比13.8%増)となった。

 

◎パッケージ事業(学校業務改革パッケージの販売及び関連サービス)
仕入販売及びEUC(End User Computing:パッケージの周辺システムの受託開発)が前年を下回った一方で、収益性の高い導入支援、大学向けPP(プログラム・プロダクト)販売及び保守が増収となり、売上高22億54百万円(前期比0.9%減)、セグメント利益2億54万円(前期比16.4%増)となった。

 

 

◎システム販売事業(IT機器の販売及び情報通信インフラの構築)
大学及び公共系案件の増収により、売上高18億16百万円(前期比62.7%増)、セグメント利益64百万円(前期比601.0%増)となった。

 

◎医療ビッグデータ事業(医療情報データの点検、分析及び関連サービス)
自治体向けレセプト管理クラウドサービスの導入が堅調に推移し、売上高9億74百万円(前期比25.9%増
セグメント損失12百万円(前期はセグメント損失45百万円)となった。

 

 

 

18/3期の売上高は、製造業、教育機関、医療他向けの業種構成比が上昇した。
また、大手顧客別では、上位6社向けが42.4%(前期40.6%)、大学等教育機関直接取引13.6%(同13.4%)などの構成比が高まった。

 

(3)第4四半期(1-3月)の業績推移

 

第4四半期(1-3月)の業績は、売上高、営業利益ともに過去と比較し高い水準となった。
ソフトウェア、パッケージ及びシステム販売は、顧客の検収時期が多くの企業の会計期末にあたる3月に大きく集中し、次いで第2四半期末に当たる9月に集中する傾向がある。

 

(4)財政状態及びキャッシュフロー

<財政状態>

 

17/3月末

18/3月末

 

17/3月末

18/3月末

現預金

2,365

2,994

買入債務

1,122

2,040

売上債権

4,374

4,991

 短期有利子負債

35

226

流動資産計

7,750

9,743

流動負債計

3,078

4,564

建物

322

282

 長期有利子負債

28

20

土地

142

142

退職関連引当金

1,283

1,346

有形固定資産 

599

523

固定負債計 

1,461

1,498

無形固定資産計

158

124

負債合計

4,540

6,062

投資その他の資産計

1,773

1,918

純資産合計

5,741

6,246

固定資産合計

2,530

2,565

負債純資産合計

10,281

12,308

資産合計

10,281

12,308

自己資本比率

55.4%

50.4%

*単位:百万円。

 

18年3月末の総資産は17年3月末比20億27百万円増の123億8百万円。資産面では現預金、売上債権、たな卸資産等が、負債・純資産面では仕入債務、短期借入金、前受金等、利益剰余金等が主な増加要因。自己資本比率は17年3月末の55.4%から50.4%へ低下した。

 

<キャッシュ・フローの状況>

 

17/12期

18/12期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

132

642

510

+385.2%

投資キャッシュ・フロー

494

147

-346

-70.2%

フリー・キャッシュ・フロー

626

790

163

+26.1%

財務キャッシュ・フロー

-122

38

161

-

現金及び現金同等物の四半期末残高

1,951

2,785

833

+42.7%

*単位:百万円。

 

CFの面から見ると、前期との比較で、売上債権の増加額の縮小や仕入債務の増加額の拡大などにより営業CFのプラスが拡大した。定期預金の減少額の縮小などにより投資CFのプラスが縮小したもののフリーCFのプラスは拡大した。また、短期借入金の増加などにより、財務CFはプラスへ転じた。この結果、キャッシュポジションは大幅に増加した。

 

(5)トピックス

◎東京大学との医療ビッグデータを活用した産学共同研究開始
2017年5月25日、国立大学法人東京大学大学院医学系研究科医療経済政策学 田倉 智之 特任教授の研究グループとの間で、同社が蓄積している100万人にのぼる医療ビッグデータを活用した共同研究を開始したと発表した。

 

(目的及び内容)
この共同研究では、東京大学大学院医学系研究科医療経済政策学 田倉 智之 特任教授協力のもと、JMICSに蓄積された100万人にのぼるレセプトデータを活用し、医療費適正化と国民の健康福祉の向上のため、医療費増加要因の解明に向けた研究を行う。
(なお、今回の共同研究に使用するデータは、レセプトデータから個人情報に当たる部分を取り除いた研究用データであり、利用に関しては保険者(健康保険組合、自治体)から許諾を得ている。)

 

共同研究における第一段階として、具体的には、透析導入に伴う公的助成制度による経済負担の軽減や生活指導などの介入が受療行動や診療構造にどのような影響を与えるのか、行動経済学の観点から解析を行う研究を実施する。
また、この研究により有用性が認められた成果については、それらを具体化・実施する為のシステム開発も視野に入れており、同社から保険者およびヘルスケア関連企業へシステムを提供することで、各種医療保険制度における保険者の医療費適正化促進を目指す。
なお、この共同研究では、JMICS利用事業者である株式会社メディブレーン(本社:大阪市中央区)ともデータ提供等にて協力し研究にあたる。

 

◎東証一部へ市場変更
2017年6月23日、東京証券取引所市場第一部へ市場変更した。

 

◎大学向けスマートフォンアプリ販売開始
同社は、大学向け「スマートフォンアプリ」を開発し、平成29 年10 月10 日より販売を開始した。大学向け教務システムの公式スマホアプリとして国内初のリリースとなり、西日本最大規模の学生数を誇る近畿大学で平成29年10 月16 日より学生向けにサービスをスタートした。

 

(新商品の概要)
「スマートフォンアプリ」は、同社製の大学向けWeb サービスシステム「UNIVERSAL PASSPORT EX」の学生向け新機能としてリリース。学生は、休講や教室変更など大学からのお知らせ、授業開始の案内をスマートフォンのプッシュ通知で受け取る事が可能。また、履修登録と完全連動した時間割を自動で作成し、授業に関連する出欠状況やシラバスを確認する事が可能となる。

 

◎株式会社コウェルへの出資と協業強化
当社は、グローバルIT ソリューション企業の株式会社コウェルとの協業関係の強化に向けて、2017年11月にコウェル社が新規発行する普通株式2,500 株(発行済株式数の2.44%)を第三者割当増資により引き受けた。同社は、今回の出資により、今後コウェル社と以下の業務上の協業を期待している。
1.日本及びベトナムにおけるグローバル・アウトソーシングの拡大及び国内向け営業協業の強化
2.パッケージ商材の共同開発及び販売
3.特定領域におけるグローバルIT エンジニアの採用・育成の強化(DeepLearning、xR、クラウドインテグレーション、EC など)

 

◎JAST Asia Pacific Co., Ltdの設立
同社は、2018年4月にJAST Asia Pacific Co., Ltdを同社99.97%の出資によりタイに設立した。成長著しい東南アジアでのビジネスの拡大と拠点力の強化を目的とし、ASEAN地域のビジネス展開の中心として、現存の海外拠点との協調により、課題解決、さらなる事業の継続・発展を目指す方針。

 

 

3.2019年3月期業績見通し

(1)通期連結業績見通し

 

18/3期 実績

構成比

19/3期 予想

構成比

前期比

売上高

15,630

100.0%

15,765

100.0%

+0.9%

営業利益

741

4.7%

865

5.5%

+16.7%

経常利益

785

5.0%

875

5.6%

+11.5%

当期純利益

579

3.7%

585

3.7%

+1.0%

*単位:百万円。

 

前期比0.9%増収、同16.7%営業増益予想
同社は、年度スローガンのキーワードとして「Callenge&SpeedでJASTビジョン2020を実現しよう」を掲げている。開発業務、営業戦術、内部管理等の全てにおいて、より一層変化・変革のスピードを上げ、部門・個人の目標必達に邁進することで、受託開発型ビジネスの案件規模拡大及び収益性・生産性の向上と、自社ブランド製品を核とする同社主導型ビジネスの拡大を図る。また、同時に、既存商材に続く、新たな商材を発信するための最先端テクノロジーを中心とした研究開発や、自社ブランドの海外販売戦略の強化並びにM&Aを含めたアライアンスの拡大等による継続的成長を目指す方針。
売上高は前期比0.9%増の157億65百万円の予想。大型案件の受注が一段落することにより微増にとどまる。
営業利益は同16.7%増の8億65百万円の予想。売上高営業利益率は、前期比0.8ポイント上昇の5.5%の前提。
次世代製品の開発にからむ研究開発費がピークアウトすることに加え、前期発生した不採算案件がなくなることから収益性が改善する見込み。
配当は、前期の28円/株(普通配当25円/株と東証1部指定替えの記念配当3円/株)と同額の期末28円/株と実質3円/株の増配を予定。予想配当性向は25.1%。

 

会社計画の19/3期の営業利益は、前期比1億24百万円増加を見込む。

 

その内訳は以下のとおり。

増減要因

増益幅(億円)

ソフトウェア事業の拡大と収益性向上

約+2.9

GAKUEN事業の増益

約+1.3

新規事業の推進

約▲0.5

その他販売管理費の増加(一般管理費増、オフィス関連費用増等)

約▲2.5

 

18/3月末の受注残高は42億71百万円と、17/9月末の56億80百万円から減少したものの、17/3月末の38億99百万円から増加した。
研究開発費は、17年3月期に3億32百万円、18年3月期に4億58百万円を計上したが、今期は次世代製品の開発ピークアウトにより微減の計画。ソフトウェア事業では「BankNeo」の次世代製品及び機能強化、パッケージ事業では「GAKUEN」の新製品及び中国展開の拡大、医療用ビックデータ事業では「JMICS」の性能強化・向上、サービス拡大を掲げている。その他、新規事業と先端技術の開発と研究に関連する研究開発費は積極的に投入する方針。

 

4.今後の計画・方針

(「JASTビジョン2020」のポイント)

◇2020年の事業の姿「受託型事業50%(現在70%)、ブランド事業50%(同30%)」
◇受託型事業では、先端の高利益分野のシフトを進めながら、収益性を向上させる。
◇ブランド事業では、自社ブランドの拡大を図る。
◇目指す「立ち位置」として、①業界の第一階層へ、②アライアンスの推進(協業、M&A等)、③グローバル化を加速(ASEAN、中国等)、④人財・処遇の超一流化を挙げている。

 

(事業別施策)

*パッケージ事業
現行ビジネスの脇を固めた上で、「GAKUEN」の中国版の収益化、ASEANへ事業の拡大とグローバル化を加速する。今後次世代フラッグシップ製品のリリースを予定している他、IR,フィンテック関連サービス・商材の開発も推進し、「文教ITの圧倒的リーダー」を目指す。

 

GAKUEN新製品のコンセプト

(同社決算説明会資料より)

 

*医療ビッグデータ事業
「JMICS」は、月間レセプト処理数1,000万枚/総契約先数100超というボリュームへ拡大したのみならず、レセプト点検からビッグデータとICTの融合による医療情報ソリューションに進化した。
国策による追い風と、規模・技術優位性を活かし、関連サービス(医療費適正化、データヘルス、データ利活用、パッケージ化)の拡大と高収益化を図る。また、産・学とのアライアンスの拡大(アカデミア・関連業界との協業)により先端的分析・利活用サービスを強化するとともに、AI・ディープラーニング関連テクノロジーの組込等により、さらなる成長を目指す。

 

*「Bank Neo」
導入実績は30行となり、現在は25行以上と商談が進んでいる。今後も次世代製品の開発と機能強化に注力する。

 

(その他)

*コーポレートガバナンス(主なもの)
現在社外取締役2名(取締役総数7名)、社外監査役2名(監査役総数3名)で、形式的充足や人材の持ち合いは行わない。
関連当事者取引等は、原則行わない。また、政策保有株式は、基本理念である完全独立系が前提。

 

*財務情報開示・会計統制
連結・単体とも決算機能は大阪本社で集中管理。収益責任部門からの独立性を保持。
内部監査、監査法人監査、J-soxで統制を補完・強化する他、FD(フェア・ディスクロージャー)ルールへの対応を強化する。

 

*働き方改革
2018年3月期の月間平均残業時間は約17時間だった。
36協定超過ゼロを継続するとともに、私事による在館時間ゼロ目指した対策を強化する。
有給休暇取得率向上に向け、取得奨励日やメモリアル休暇など取り組みを進める。

 

5.今後の注目点

パッケージ事業では主力製品である「GAKUEN」において次世代フラッグシップ製品のリリースを予定している。学生支援から教育支援へ進化させた「GAKUEN」の次世代フラッグシップ製品の導入は、既存顧客との取引深耕のみならず新規顧客の開拓にも好影響を与えるものと予想される。次世代フラッグシップ製品の発売が今後同社の業績へどの様なインパクトをもたらすのか注目される。また、「GAKUEN」は、中国及びASEANでの販売拡大も期待される。今後いかなる戦略によりグローバル規模で「GAKUEN」の販売を拡大させるのか注目される。
また、医療ビッグデータ事業では「JMICS」が寄与し、前期順調に売上が拡大した他、セグメント損失も大幅に減少した。当初想定の「レセプト点検」にとどまらず、ビッグデータとICTの融合による「医療情報ソリューション」へ進化しており、今後の成長加速が期待される。先行投資負担が軽くなることから今期は医療ビッグデータ事業の黒字転換が期待される中、どこまで利益を積み上げることができるのか医療ビッグデータ事業の損益動向が注目される。
更に、同社は自社ブランド事業の売上比率を全体の半分に引き上げるべく、前期より研究開発費を増加させ自社ブランド製品の開発を強化している。「GAKUEN」、「JMICS」、「BankNeo」に続く、収益性の高い同社オリジナル製品の開発状況からも目が離せない。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2017年6月28日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【原則1-2.株主総会における権利行使】

 <補充原則1-2-4>

機関投資家、海外投資家を含め株主が議決権を行使しやすい環境作りの必要性は認識しております。議決権行使プラットフォームの利用につきましては議決権行使率や機関投資家の比率を、招集通知の英訳につきましては海外投資家の比率を、それぞれ勘案しながら、導入するか否かを判断してまいります。なお、海外投資家に会社状況を理解していただくべく、決算短信及び主要な開示事項の英訳版につきましては、当社ホームページに掲載しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

政策保有株式に関する方針及びその議決権行使についての基準は以下のとおりであります。

 ・政策保有に関する方針

 上場株式を保有しないことを原則としますが、業務提携その他経営上の合理的な理由から保有する場合には、目的に応じた保有であることを定期的に確認いたします。

 ・政策保有に係る議決権の行使についての基準

 政策保有株式に係る議決権行使については個別に判断いたします。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、株主との建設的な対話を通じ、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するように努めております。株主との建設的な対話を促進するための体制整備に関し、株主との対話を統括する役員としてIR担当部門、経営企画部門を統括する役員を指定し、株主との対話を補助する各部門間の情報共有を正確かつ確実に行ってまいります。また、決算説明会や個人投資家向け説明会を通じ、代表取締役自身が株主と直接対話する場を設けております。なお、株主との対話に際しては、インサイダー情報の漏洩防止に努めております。

 

 

 

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