ブリッジレポート
(9698) 株式会社クレオ

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ブリッジレポート:(9698)クレオ vol.2

(9698:JASDAQ) クレオ 企業HP
柿﨑 淳一 社長
柿﨑 淳一 社長

【ブリッジレポート vol.2】2019年3月期第1四半期業績レポート
取材概要「同社の業績には季節性があり、特に利益面での通期業績に対する1Qのインパクトは小さいが、全ての事業で計画を上回る上々のスタートとなった。加・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年8月29日掲載
企業基本情報
企業名
株式会社クレオ
社長
柿﨑 淳一
所在地
東京都品川区東品川4-10-27 住友不動産品川ビル
決算期
3月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 12,268 410 457 305
2017年3月 11,559 296 333 267
2016年3月 10,305 348 368 413
2015年3月 11,425 357 380 213
株式情報(8/9現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
930円 8,299,418株 7,718百万円 5.9% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
20.00円 2.2% 48.20円 19.3倍 636.37円 1.5倍
※株価は8/9終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。
 
クレオの2019年3月期第1四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
多様なソリューションを提供するシステムインテグレーター。2,000社を超える企業ユーザーを誇る業務用パッケージ「ZeeMシリーズ」(人事・会計・資産管理等を網羅するERP)や業務効率の向上・コスト削減に寄与するBPM(Business Process Management:ビジネスプロセス管理)「BIZ PLATFORM」等の業務ソリューション、官公庁・自治体・公益法人・大企業向けシステム開発、国内大手ポータルサイト事業者向けWebシステム開発・運用、更には優良顧客を有するコールセンターサービス等を手掛ける。 グループは、同社の他、(株)ココト、(株)クリエイトラボ、(株)アイティアイ、(株)アダムスコミュニケーションの連結子会社4社。アマノ(6436)とヤフー(4689)が、それぞれ同社株式の30.57%、12.71%を保有し、同社はアマノの持分法適用関連会社に当たる。また、18/3期は富士通(株)と富士通グループ企業向けの売上が連結売上高の30.3%、ヤフー(株)向けが13.8%を占めた。 【企業理念】 私たちは、「人間の想像力」と「世界中のテクノロジー」を結合することで、「感動!」を生む変革を起こし、豊かな未来社会の実現を目指します。 【ロゴに込めた想い】 同社のロゴには、「感動」、「創造」、「永遠(とわ)」という3つの「想い」が込められている。 「感動」。常に周囲の期待を超え、驚きを提供していく姿をロゴに託した。ロゴはエクスクラメーションマーク(感嘆符)をかたどり、球形は同社自身を表す。共に語り、共に考え、共に成長するという共創の精神を象徴している。 「創造」。知識や技術、関係の新たな結びつき(新・結合=イノベーション)を発見、創造し続ける決意を象徴している。同社自身を示すこの球体から、次代を担う人財、製品、サービスが次々と生まれ、大きく育っていく姿を表している。100年企業を目指し、時代時代にあわせ、変化し続ける姿である。 「永遠(とわ)」。ステークホルダーに寄り添う企業でありたいという願いが込められている。同社自身である球体が、顧客や社会、株主に寄り添っているというイメージを表現している。社会に貢献できる価値を提供し続ける企業でありたい、という願いを象徴した。 【事業内容とグループ企業】 事業は、ソリューションサービス事業、受託開発事業、西日本事業、及び子会社の事業領域であるシステム運用・サービス事業、サポートサービス事業の5事業に分かれる。18/3期の売上構成比は、それぞれ、25%、11%、11%、17%。36%。 ソリューションサービス事業 2,000社以上のユーザー企業を抱える中堅企業向け業務用パッケージ(人事・会計・資産管理ERP)「ZeeMシリーズ」、業務効率の向上やコスト削減に寄与するBPM「BIZ PLATFORM」、更にはERPとBPMのノウハウと、ホワイトカラーの定型的な作業を自動化するRPA(Robotic Process Automation)技術を組み合わせた新サービスであり、人とロボットが混在した業務プロセスを実現するRPAソリューション等を提供している。 提案力・販売力の強化による新規開拓とクロスセルによる既存客の深堀 持株会社体制の下では、製品毎に扱う子会社が決まっていたためシナジーを発揮できていなかったが、2017年4月に事業・組織再編を行い、ソリューションサービス事業として同社に集約し統合ソリューションを本格化させた。また、事業をクレオに集約した事で筆頭株主であるアマノ(6436)との販売連携も進めやすくなった。アマノの顧客層はクレオのユーザー層と重なる部分があり、今後、販売力の強化も進む見込み(従来は、直販展開)。加えて、導入企業が2,000社を超える「ZeeMシリーズ」も、人事・会計・資産管理等がフルセットで導入されているケースは必ずしも多くない。このため、「BIZ PLATFORM」やRPAソリューションのクロスセルも含めて深堀していく考え。 受託開発事業 大企業向けシステムの受託開発、官公庁・自治体向けのシステム、新聞社の組版システム、公営競技のオッズシステム等、信頼性と実績が重視される案件が多い。また、富士通経由の案件が多い事も特徴であり、短期的なぶれはあるが、安定成長が期待できる事業である。協力会社を含めた「人」の確保がポイントになる。 西日本事業 名古屋以西の顧客に対して、ソリューションサービスや受託開発サービスを提供する“mini クレオ”的な事業であり、安定成長が期待できる事業である。 システム開発・サービス事業 連結子会社(株)ココトの事業領域であり、主に国内大手ポータルサイト事業者(ヤフー:4689)とそのグループ企業に対して、ポータルサイトやWebサービスの基盤となるサーバシステムの開発、保守、ハッキング対策等も含めた運用サービスを提供している。従来、持株会社傘下の複数のグループ企業で対応してきたが、2016年4月に設立した(株)ココトに集約された。これにより営業・開発面でグループ力を発揮できるようになり、ヤフーのグループ企業に取引が広がっている。ヤフーの深堀とグループ企業の開拓で事業を拡大させていく考え。 サポートサービス事業 ヘルプデスクやテクニカルサポートを中心としたサポート&サービス、及び選挙の出口調査、社会調査、市場調査等、インバウンド・アウトバウンド両対応のコールセンターサービスを提供している。技術系では富士通系とNEC系にサービスを提供する等、優良顧客をバランス良く抱えている事が当事業の強み。安定成長が期待できる事業だが、課題は「人」の確保。このため、外国人採用にも力を入れている。
 
 
中期経営計画(18/3期~20/3期)
【基本方針】 基本方針は、①実感できる成長力、②グループ総合力、③安定した株主還元、及び④コーポレート・ガバナンス強化。 ①実感できる成長力については、最終となる20/3期の目標として、売上高150億円、営業利益10億円(営業利益率6.7%)を掲げており、営業利益は過去最高益(「筆まめ」がけん引したWindows95発売後の8.8億円)の更新を目指している。②グループ総合力については、クロスセル及び部門連携を強化すると共に新規事業の創出に取り組む。③安定した株主還元については、配当性向40%を維持すると共に、自己資本比率70%超過額を原資として自己株取得を実施する。④コーポレート・ガバナンス強化については、株主との対話強化、役員報酬制度改定、及び独立役員(社外取締役又は社外監査役)選任を挙げている。 18/3期は受託開発事業での失注の影響で売上が期初予想に届かなかったものの、事業・組織再編による費用最適化効果で営業利益率の改善が想定以上に進み営業利益は期初予想を上回った。同社は「新体制において複数の事業におけるリスクの分散、相互補完が適切に行われている結果と認識しており、中期経営計画に基づく事業運営は所定の成果を得ている」と評価している。 19/3期は、ソリューションサービス事業の売上増と収益性改善が続く中、受託開発事業が回復する他、その他の事業も堅調な推移が見込まれる。既存事業の利益を原資に、「クレオRPAサービス」等の新規事業に投資していく。 20/3期は、統合ソリューションとクロスセルの軌道化によるソリューションサービス事業の売上拡大と一段の収益性の改善を見込む。受託開発事業、西日本事業、システム運用・サービス事業、サポートサービス事業については、人材の確保が課題になる事業もあるが、既存の優良顧客及びそのグループ企業向けを中心に堅調な推移が見込まれる。 【目標達成に向けて】 「モノ」から「コト」へ、顧客内No.1に向けた取り組み 業務パッケージ「ZeeMシリーズ」、BPM「BIZ PLATFORM」、「クレオRPAサービス」等の製品(モノ)の販売だけでなく、企業課題を解決するサービス(コト)を提供する“統合ソリューション”にシフトする。このため、他社製品の取り扱いも強化し、「点」であった製品を「線」でつなぎ(統合)提供していく。例えば、18/3期に東武トップツアーズ(株)から受注した大規模な統合ソリューション案件では、「ZeeM 人事給与」、アマノの就業管理システム「TimePro-VG」、及び業務プロセス管理ツール「BIZ PLATFORM」による事業基盤構築の提案が評価された。 注力サービス「クレオRPAサービス」 「クレオRPAサービス」は、既に説明した通り、ERPとBPMのノウハウにRPA技術を組み合わせ、内部統制対応機能(ロボット作成・リリース管理、問い合わせ管理)による基幹業務領域の業務自動化を可能にするクラウド型RPAサービス。人と口ボッ卜が混在した業務プ口セスの可視化と統制を実現する事で将来のAI投入によるデジタルトランスフォーメーションへの備えにもなる。部門向け(経理、人事、IT)ロボットテンプレートを標準装備している。導入に当たっては、業務コンサルティングを提供(RPAの早期稼働 + 業務適正化支援)する。PoC(効果検証)支援サービスも用意されており、口ボッ卜の利用時間に応じた従量課金制(ROI適正化に貢献)。 顧客とのエンゲージメントの強化 クレオユーザー会を通して顧客とのエンゲージメントも強化する。ZeeMユーザーを対象としていた「ZeeMユーザー会(人事・経理部門)」を、これまでの活動実績とノウハウを基に、対象を全てのクレオユーザーに広げ、「クレオユーザー会」としてリニューアルする。顧客内No.1を目指し、経営課題から業務課題まで幅広く相談に乗るITコンシェルジュとなるべく、人事部門、経営部門、IT部門、及び経営層向けに有益な情報を提供していく。 戦略実行を可能にする人財投資 ワークスタイルを変革すると共に、ヘルシーカンパニーに向けた取り組みを進める。ワークスタイルの変革では、人事制度見直しにより労働環境の改善を図る他、労働形態の自由度を高めるための「テレワ一ク」を試験導入する。また、ベースアップも実施する。ヘルシーカンパニーに向けた取り組みでは、万歩計による日々の運動支援を継続する他、健康のものさしとなる数値を調査し改善を図る。
 
 
2019年3月期第1四半期決算
前年同期比10.2%の増収、営業利益4百万円(前年同期は1億15百万円の損失) 売上高は前年同期比10.2%増の28億39百万円。前年同期に売上が落ち込んだ受託開発事業が同47.8%増と伸びる等、サポートサービス事業を除く全ての事業で売上が増加した。サポートサービスは調査サービスの減少で売上がわずかに減少したものの、減収自体は当初から想定しており、期初計画を上回る着地となった。 利益面では、前年同期は1億15百万円だった営業損益が4百万円の利益に転じた。前期に受注した統合ソリューション案件の寄与による製品ライセンスの売上増でソリューションサービス事業の利益が同5.3倍に拡大する等、サポートサービスを除く全ての事業で増益となり、利益率も改善した。 ソリューションサービス事業で提供している人事給与や会計ソリューション(「ZeeMシリーズ」)は新年度からの切り替えに備えて期末に導入が集中する。また、受託開発事業において、富士通グループを介して受託する官公庁向けシステム開発も年度末に納期が集中するため、第4四半期の売上ボリュームが最も大きくなり、利益面でも同様となる。 ソリューションサービス事業は売上高6億83百万円(前年同期比9.1%増)、営業利益87百万円(前期比429.8%増)。中堅企業向け業務用パッケージ(人事・会計・資産管理ERP)「ZeeMシリーズ」、業務プロセス管理システム「BIZ PLATFORM」、人とロボットが混在した業務プロセスを実現するRPAソリューション「クレオRPAサービス」等を提供しており、複数製品・サービスを組み合わせて提案する統合ソリューションの営業を強化している。第1四半期は前期に受注した大規模統合ソリューション案件の製品ライセンス売上の計上等が寄与した。 受託開発事業は売上高2億55百万円(前年同期比47.8%増)、営業利益33百万円(前期比724.5%増)。富士通グループやアマノ(株)等の大手企業からシステム開発を受託している。第1四半期は案件受注が計画通りに推移した事に加え、前年同期に主要既存顧客からの案件失注等で落ち込んだ反動もあり、大幅な増収・増益となった。 西日本事業は売上高2億95百万円(前年同期比18.8%増)、営業利益24百万円(前期比229.0%増)。名古屋以西の顧客に対する自社製品・サービスの販売及び受託開発サービスを提供している。第1四半期は同地域の顧客に対する「ZeeMシリーズ」をはじめとするソリューションサービスの販売が増加した。 システム運用・サービス事業は売上高5億72百万円(前年同期比19.3%増)、営業利益45百万円(同97.0%増)。主に国内大手ポータルサイト事業者に対してシステム開発・保守・運用サービスを提供しており、第1四半期は主要顧客の旺盛なIT投資を背景に売上高・利益共に大きく伸びた。 サポートサービス事業は売上高10億32百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益12百万円(同57.5%減)。ヘルプデスク、テクニカルサポート等のサポート&サービス、社会調査・市場調査等のコールセンターを提供しており、第1四半期は調査サービスの既存顧客からの受注が減少した。ただ、減収・減益は織り込み済みで、売上高は計画を上回った。
 
 
2019年3月期業績予想
上期及び通期の業績予想に変更はなく、通期で前期比6.8%の増収、同38.8%の営業増益予想 第1四半期の売上・利益の上振れは、統合ソリューション案件の売上計上が計画よりも早まった事が要因。このため、業績予想を据え置いた。通期では、前期受注した統合ソリューション案件が寄与するソリューションサービス事業及び受注回復が見込まれる受託開発事業を中心に全ての事業セグメントで売上・利益の増加が見込まれる。西日本事業、システム運用・サービス事業、サポートサービス事業も、人材確保等に伴うコスト増はあるものの、増益基調を維持する見込み。 配当は、1株当たり5円増配の期末20円を予定している(予想配当性向41.6%)。
 
 
今後の注目点
同社の業績には季節性があり、特に利益面での通期業績に対する1Qのインパクトは小さいが、全ての事業で計画を上回る上々のスタートとなった。加えて、同社においては、スポット的な案件が少なく、大手企業向け等の安定性と継続性のある案件が多い。このため、業績予想は保守的ながら精度が高く、通期の業績予想達成に不安は少ないと考える。ソリューションサービス事業において成果が出始めている統合ソリューションとクロスセルの軌道化に、はっきりとした道筋をつける事ができるか、が今期のポイント。人材の確保と関連するコストコントロールと共に注目していきたい。
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書更新日:2018年06月28日 基本的な考え方 当社は適正なコーポレート・ガバナンス体制を構築し、不断の向上に努めることが経営の透明性・公正性を高め、企業価値の向上に寄与するものと考えております。特にコーポレートガバナンス・コードを遵守することが当社のより良いガバナンスの確立に寄与するとの基本的な考え方に基づき、基本5原則以外の原則、補充原則についても順次自主的に実施していくことを方針とし、既に実施しているものについてその内容を本報告書に記載しております。 <実施しない主な原則とその理由> 当社は、JASDAQ上場会社として、コーポレートガバナンス・コードの基本原則のすべてを実施しております。 基本原則以外の原則、補充原則のうち、開示が求められ、当社が既に対応を行っている原則については、下記の「コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示」にその概要を記載しております。 <開示している主な原則> 【原則1-4. 政策保有株式】 政策保有株式については、保有に関する方針、議決権行使に関する方針を定め、以下の通り開示しております。 原則的に新たな保有は行わず、既に保有している株式については、段階的に残高の削減を行うことを基本方針としております。 政策保有株式に関する基本方針と保有状況についてのお知らせ https://www.creo.co.jp/news/n160729-2/ 【原則3-1.情報開示の充実】 本原則に定められた開示事項のうち、「(i)会社の目指すところ(経営理念等)や経営戦略、経営計画」について以下の通り開示を行っております。 企業理念・行動指針 https://www.creo.co.jp/corporate/concept/ 中期経営計画(2017年度~2019年度) https://www.creo.co.jp/ir/plan/ 東証コーポレート・ガバナンス情報サービス:http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show