ブリッジレポート
(3778) さくらインターネット株式会社

東証1部

ブリッジレポート:(3778) さくらインターネット 2019年3月期上期決算

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投資家向けIRセミナープレミアムブリッジサロン開催!

 

 

 

田中 邦裕 社長

さくらインターネット(3778)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報・通信

代表取締役社長

田中 邦裕

所在地

大阪市北区大深町4-20 グランフロント大阪 タワーA 35階

決算月

3月

HP

https://www.sakura.ad.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

632円

37,620,256株

23,776百万円

4.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.50円

0.4%

17.28円

36.6倍

209.03円

3.0倍

*株価は10/26終値。
*発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

10,576

964

857

516

59.52

10.00

2016年3月(実)

12,086

978

822

443

15.95

2.50

2017年3月(実)

13,961

1,018

804

548

15.74

2.50

2018年3月(実)

17,033

745

574

349

9.29

2.50

2019年3月(予)

20,400

1,200

1,000

650

17.28

2.50

*単位:百万円、円。
*予想は会社予想。2016年3月期より当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。
*2016年3月期より連結決算。2015年9月、1株を4株に分割。

 

 

さくらインターネットの2019年3月期上期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期上期決算
3.2019年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19/3期上期は前年同期比11.0%の増収、同6.6%の営業減益。VPS・クラウドが同19.3%増と伸びた事に加え、昨年9月に子会社化したビットスター(株)や政府衛星データ案件も増収に寄与した。石狩データセンター3号棟稼動やサーバ・ネットワーク機器投資に伴う減価償却費・リース料の増加やエンジニア・営業人員の増員等で営業減益となったものの、想定に沿った着地。

     

  • 通期予想に変更はなく、前期比19.8%の増収、同60.9%の営業増益予想。通期予想に対する進捗率は、売上高44.2%、営業利益23.6%。売上面では、機能拡充で既存サービスのテコ入れを図る他、レンタルサーバでは他社からの受入が予定されている。また、政府衛星データ案件が通期で寄与する他、複数の大口案件の商談が年明け以降の契約に向け進行中。利益面では、IoTモジュール原価やサ一ビス機材の投資時期見極めにより減価償却費・リース料及び修繕費が想定を下回る見込み。

     

  • 創業以来、同社はコストパフォーマンスに優れたインターネットインフラの提供にフォーカスしてきたが、現在、IoT・AIに関連したデータプラットフォームやMSD等、インターネットインフラに関連した付加価値分野の強化に取り組んでいる。エンジニアや営業の増員は、この一環。特にエンジニア採用はサービス強化を目的としたもので、エンジニア派遣のようにエンジニアの増員がすぐに売上に反映されるものではないため当面は先行投資になる。

     

     

1.会社概要

東京(西新宿、東新宿、代官山:いずれもフロア単位の賃借)、大阪(堂島:フロア単位の賃借)、北海道(石狩:土地建物保有)の3エリアでデータセンターを運営し、サーバの設置スペースと電源やネットワーク回線等を提供するハウジングサービスとサーバ環境(コンピュータリソース)をインターネット上で提供するホスティングサービスを手掛けている。多くのホスティングサービス事業者がインフラ(データセンター施設)を外部に依存するのに対して、同社はインフラを自社で保有する事で高収益を追求し(価格競争力の源泉となる)、このインフラをハウジングサービスの提供にも活用する事で稼働率を上げ固定費リスク(インフラ保有リスク)を軽減している。

 

【1-1 企業理念】

同社は、下記のミッション、ビジョン、バリューを企業理念として定め、これを実現することによって、全てのステークホルダーから価値ある企業として支持される事を目指している。
コーポレート・ミッション : 使命
私たちは、人々とビジネスの可能性を広げるデータセンターサービスの提供を通じ、インターネットによってひらかれる創造性と驚きに満ちた未来の実現に貢献します。

 

コーポレート・ビジョン : 目指す姿

サービス

高品質で低価格なITプラットフォームと革新的で面白いインターネットサービスの提供

インフラストラクチャー

スケールメリットと柔軟性を兼ね備えたコスト競争力の高いITインフラの実現

テクノロジー

価値あるサービスの実現とインターネットの発展に寄与する先進的な技術の探究

 

コーポレート・バリュー : 重視する価値観
・質の高いサービスを生みだす絶えざるイノベーション
・コストパフォーマンスを支える卓越したオペレーション
・すべての活動のベースとなる良質なコミュニケーション

 

【1-2沿革】

1996年12月に創業し、1999年8月、レンタルサーバサービスと専用サーバサービスの提供を目的とした、さくらインターネット(株)として法人組織に改組。同年10月に大阪と東京にデータセンターを開設し、ハウジングサービスを開始した。2005年10月に東証マザーズに株式を上場した。2008年2月に双日(株)と資本提携し(持分法適用会社)、2011年2月には資本関係を強化すると共に(連結子会社)、業務提携契約を締結(2017年3月に公募増資と(株)双日の株式一部売出し等により持分法適用会社)。同年11月にはクラウドコンピューティングに最適化した日本最大級の郊外型大規模データセンターを北海道石狩市に建設した。
2015年4月に(株)Joe'sクラウドコンピューティングを子会社とし連結決算に移行。2016年5月にはセキュリティを強化するべくゲヒルン(株)を子会社化し、2017年1月に大規模法人向けMSP(マネージメント・サービス・プロバイダ:サーバやネットワークの監視運用保守を請負う)に強みを持つアイティーエム(株)(当時はエヌシーアイ(株))を、同年9月に小中規模法人向けMSPに強みを持つビットスター(株)を子会社化。2018年5月には、ハイパフォーマンスコンピューティング領域のインテグレーションを手掛けるプラナスソリューションズ(株)を設立し、同年8月にストレージ仮想化技術に強みを持つIzumoBASE(株)を子会社化した。

 

【1-3 事業内容】

事業は、ハウジングサービス、ホスティングサービス(専用サーバ、レンタルサーバ、VPS・クラウド)、及びドメイン取得サービス、SSL取得サービス(独自ドメインによるサーバ証明書の取得代行)、子会社事業等のその他サービスに分かれ、18/3期の売上構成比は、15%、68%(うち、専用サーバ23%、レンタルサーバ18%、VPS・クラウド27%)、17%。

 

ハウジングサービス
同社が運営するデータセンター内に、顧客所有の通信機器類を自由に設置できるスペースと、インターネット接続に必要な回線や電源などを貸与するサービス。ラック単位で設置スペースを貸し出す「ラック貸し(回線、電源等も提供)」が中心だったが、自社で土地建物を保有する石狩データセンターの稼働に伴い「スペース貸し」(大規模ハウジング)を開始した。

 

ホスティングサービス
専用サーバサービス、レンタルサーバサービスの物理ホスティングと、VPSサービス、クラウドサービスの仮想ホスティングに分かれる。

 

専用サーバサービス
同社が所有する物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらの専用サーバ」)。物理サーバをクラウドのように利用できるが、仮想化技術を用いた通常のクラウドに比べて性能やセキュリティが各段に優れる。専門知識を要するサーバのメンテナンス等の負担があるものの、独自にサーバの設定が可能である事や、ソフトウェアのインストールに制約が無い事等、レンタルサーバサービスと比べると自由度が高い。台数制限がなく、複数台構成も可能で、申し込みから最速10分で利用できる。専用サーバは、クラウド・VPS等の仮想サーバの普及により売上が減少していたが、パフォーマンスの安定性や高性能なDB・ストレージの活用といった機能面でのメリットやクラウドに比べ規模拡大に伴い料金が増加しにくいコスト面での優位性から、特に高速処理が要求されるAI分野での利用等で見直されつつあり、クラウド(仮想サーバ)と専用サーバ(物理サーバ)を併用する顧客も増えている。

 

レンタルサーバサービス
同社が所有する物理サーバと豊富な機能をメンテナンス不要で利用できるサービス。1台の物理サーバを専用で利用できるサービス(「さくらのマネージドサーバ」)と1台の物理サーバを複数の顧客が共同で利用するサービス(「さくらのレンタルサーバ」)を提供。サーバの設定やソフトウェアのインストールに一定の制約があるものの、専門知識を要するサーバのメンテナンス等は同社が代行するため、利用者は作業負担を大幅に軽減する事ができる。

 

VPS・クラウドサービス
仮想化技術により、物理サーバ上に複数の仮想サーバを構築し、そのひとつひとつが専用サーバのように利用できるサービス。基本的に仮想サーバ1台毎の単体契約となるサービス(「さくらのVPS」)と、契約の中で複数台サーバの申し込みとそのネットワーク設定を可能とし、日割や時間割での課金が可能なサービス(「さくらのクラウド」)を提供。物理サーバ(専用サーバサービスやレンタルサーバサービス)よりも自由度が高く、かつコストパフォーマンスに優れる。

 

 

2.2019年3月期上期決算

(1)上期連結業績

 

18/3期 上期

構成比

19/3期 上期

構成比

前年同期比

売上高

8,120

100.0%

9,014

100.0%

+11.0%

売上総利益

2,299

28.3%

2,545

28.2%

+10.7%

販管費

1,995

24.6%

2,261

25.1%

+13.3%

営業利益

303

3.7%

283

3.1%

-6.6%

経常利益

219

2.7%

208

2.3%

-4.9%

四半期純利益

105

1.3%

108

1.2%

+3.1%

*単位: 百万円
*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)。

 

減価償却費・リース料の増加等、先行投資負担で減益ながら、想定に沿った着地
売上高は前年同期比11.0%増の90億14百万円。VPS・クラウドが同19.3%増と伸びる中、昨年9月に子会社化した中小規模法人向けMSPに強みを持つビットスター(株)の期初からの寄与や政府衛星データ案件の売上計上でその他の売上が同20.5%増加した。

 

営業利益は同6.6%減の2億83百万円。データセンター拠点集約による賃料の減少等があったものの、石狩データセンター3号棟稼動やサーバ・ネットワーク機器投資に伴う減価償却費・リース料の増加に加え、販売用機材等の増加もあり、売上原価が64億69百万円と同11.1%増加。社内システム開発エンジニアの増員や子会社営業人員の増加で販管費も同13.3%増加した。
助成金収入21百万円の計上等で営業外損益が改善した他、特別損失の減少や税効果会計の影響もあり、四半期純利益は同3.1%増加した。北海道胆振東部地震の影響は軽微で、災害による損失7百万円を特別損失に計上するにとどまった。

 

サーバ・ネットワーク機器の更新や石狩データセンター3号棟(2部屋増床を計画)等で約17憶円の設備投資を実施
上期は、石狩3号棟4億円、同1・2号棟1億円、サーバ・ネットワーク機器10億円等、約17億円の設備投資を行った。通期では、石狩3号棟20億円、同1・2号棟3億円、サーバ・ネットワーク機器48億円、その他データセンター8億円等、約84億円を計画。

 

積極採用を継続。エンジニアや子会社の営業人員中心に55名の増員
上期末の従業員は618名(前期末563名)。エンジニア30人、管理4人に加え、ビットスター社10人、プラナス7人等、55名の増員。

 

サービス別売上高

 

18/3期 上期

構成比

19/3期 上期

構成比

前年同期比

ハウジング

1,215

15.0%

1,341

14.9%

+10.4%

専用サーバ

1,908

23.5%

1,926

21.4%

+0.9%

レンタルサーバ

1,556

19.2%

1,626

18.0%

+4.5%

VPS・クラウド

2,176

26.8%

2,597

28.8%

+19.3%

その他

1,263

15.6%

1,522

16.9%

+20.5%

合計

8,120

100.0%

9,014

100.0%

+11.0%

*単位: 百万円

 

営業費用の対前年同期増減要因と増減額

売上高

+893

 

 

売上原価

+647

販管費

+266

減価償却費・リース料の増加(石狩CD3、サーバ投資等)

+298

人件費の増加(社内システム開発エンジニア・子会社営業)

+153

販売用機材の増加等

+185

子会社の増加による旅費交通費の増加

+21

エンジニアの増員等

+122

減価償却費・リース料の増加

+16

子会社における外注費の増加

+52

社内コミュニケーションツール導入等による消耗品の増加

+13

電力費の増加

+49

広告宣伝活動の強化

+12

データセンター拠点集約による賃料の減少

-118

その他販管費の増加

+51

その他売上原価の増加

+59

 

 

*単位: 百万円

 

(2)四半期業績の推移

 

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

19/3-1Q

2Q

構成比

前四半期比

売上高

4,014

4,105

4,513

4,399

4,399

4,614

100.0%

+4.9%

売上総利益

1,130

1,168

1,254

1,265

1,212

1,332

28.9%

+9.9%

営業利益

114

189

226

216

112

171

3.8%

+52.4%

経常利益

65

154

180

174

63

144

3.2%

+126.8%

四半期純利益

26

78

113

130

39

69

1.5%

+77.2%

EBITDA

636

744

804

828

726

808

17.5%

+11.3%

*単位: 百万円

 

第2四半期(7-9月)は前四半期比増収増益
売上高は前四半期比4.9%増の46億14百万円。前四半期にスポットの機器御販売があったハウジングを除く全てのサービスで売上が増加。専用サーバはGPUを使ったサーバで競合が増えてきたものの増収を維持し、高速化等の機能向上が奏功したレンタルサーバが、既存顧客の深耕でVPS・クラウドが、それぞれ増収。ビットスター(株)の寄与や政府衛星データ案件の売上計上でその他の売上が大きく伸びた。
営業利益は同52.4%増の1億71百万円。子会社外注費の増加や季節要因と値上げによる電力費等、変動費を中心にした売上原価の増加を吸収して売上総利益が同9.9%増加。子会社を含むエンジニア・営業販促人員の増加や株主優待費用の発生による販管費の増加を吸収した。

 

サービス別売上高

 

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

19/3-1Q

2Q

構成比

前四半期比

ハウジング

607

607

622

649

673

668

14.5%

-0.7%

専用サーバ

945

962

962

969

956

969

21.0%

+1.3%

レンタルサーバ

774

782

787

795

804

821

17.8%

+2.2%

VPS・クラウド

1,069

1,106

1,195

1,243

1,284

1,312

28.4%

+2.2%

その他

617

646

946

742

680

841

18.3%

+23.7%

*単位: 百万円

 

営業費用の対前四半期増減要因と増減額

売上原価

+94

販管費

+60

子会社における外注費の増加

+26

人件費の増加(子会社含む、営業販促人員増強)

+30

季節要因による電力費の増加

+20

株主優待費用の発生

+15

エンジニアの増員等

+13

子会社を含む人材紹介手数料の増加

+11

減価償却費・リース料の増加(石狩CD3稼動、サーバ等)

+10

Q1発生のイベントWebプロモ等の広告宣伝費の減少

-33

その他売上原価の増加

+25

その他販管費の増加

+37

*単位: 百万円

 

 

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年3月

18年9月

 

18年3月

18年9月

現預金

4,612

3,962

短期有利子負債

1,111

1,506

売上債権

1,571

1,779

前受金

3,079

3,183

たな卸資産

754

906

長期有利子負債

4,680

4,294

流動資産

7,513

7,321

長期リース債務

5,506

5,602

固定資産

18,597

18,946

負債

18,221

18,347

資産合計

26,111

26,268

純資産

7,889

7,920

*単位: 百万円

 

上期末の総資産は前期末と比べて1億56百万円増の262億68百万円。借方では、配当金の支払いや法人税の納付、更には借入金の返済等で現預金が減少する一方、石狩データセンター3号棟増床に伴い建設仮勘定が増加。貸方では、石狩デ一夕センター3号棟増床に伴い短期借入金が増加する一方、返済により長期借入金が減少した。

 

四半期キャッシュ・フロー

 

18/3-1Q

2Q

3Q

4Q

19/3-1Q

2Q

営業CF

461

1,099

555

951

316

558

投資CF

-357

-391

-392

-241

-316

-571

財務CF

-459

-495

-464

-521

-543

-93

現金等残高

4,513

4,726

4,423

4,612

4,068

3,962

*単位: 百万円

 

CFの面では、8億74百万円の営業CFを確保した。石狩データセンター3号棟増床の着手金支払い等で投資CFは8億87百万円のマイナス。ほぼ営業CF内の投資となっており、余剰資金を借入金の返済に充てた。

 

(4)北海道胆振東部地震(9月6日発生)の石狩データセンターへの影響

石狩は震度5弱の震度だったが、建物への特段の被害はなかった。停電に対しては、非常用電源による約60時間の電力供給で対応したため、運用にも影響はなかった。約60時間の停電後、北海道内の電力供給は正常化しており、石狩データセンターも通常通り稼働している。非常用電源に用いた重油代等7百万円を災害による損失として特別損失に計上した。

 

3.2019年3月期業績見通し

(1)連結業績

 

18/3期 実績

構成比

19/3期 予想

構成比

前期比

売上高

17,033

100.0%

20,400

100.0%

+19.8%

営業利益

745

4.4%

1,200

5.9%

+60.9%

経常利益

574

3.4%

1,000

4.9%

+74.1%

当期純利益

349

2.0%

650

3.2%

+86.0%

*単位: 百万円

 

通期予想に変更はなく、前期比19.8%の増収、同60.9%の営業増益予想
通期予想に対する進捗率は、売上高44.2%、営業利益23.6%、経常利益20.9%、当期純利益16.7%。利益面での進捗が遅れているように感じるが、想定に沿った進捗である。
売上面では、未だ市場が成長途上にあるIoTサービスが予算を下回る見込みだが、政府衛星データ案件に係る売上計上や研究開発機関等向けの3件の大口案件の商談が年明け以降の契約に向け進行中。レンタルサーバではヤフーからの受入が予定されている。VPS・クラウド、レンタルサーバ、専用サーバ(既存)は、新規サービスや機能拡充でテコ入れを図る。
利益面では、大口案件や機器販売等の原価が予想を上回る見込みだが、IoTモジュール原価やサ一ビス機材の投資時期見極めにより減価償却費・リース料及び修繕費が想定を下回る吸収する。

 

(2)成長戦略

デジタルトランスフォーメーション(DX)時代を支えるプラットフォーマーを目指して
メインフレームを中心に据える「第1のプラットフォーム」、サーバ・クライアント・インターネットによる「第2のプラットフォーム」を経て、クラウド・ソーシャル・ビッグデータ・モビリティによる「第3のプラットフォーム」の時代を迎えている。IDCJapanでは、企業が「第3のプラットフォーム」技術を活用して新たな価値を創出し、競争上の優位性を確立する事をデジタルトランスフォーメーション(DX)と定義しており、Fintec(IT×金融)、自動運転(IT×自動車)、遠隔診療(IT×医療)、スマート農業(IT×農業)等が新たな価値創出の一例だ。今後、「第3のプラットフォーム」技術の活用による新たな価値創出に向けた取り組みの活発化が予想される。

 

DX時代はデータ資源の重要性が高まる。データ資源は収集・分析する事で情報となり、情報は意思決定・行動に活用される。このため、データが市場での優位性の基準となる。同社は、データ資源の収集・分析に必要な、クラウドプラットフォーム、IoTプラットフォーム、データプラットフォーム、及びITソリューションを提供する事で、DX時代を支えるプラットフォーマーになる事を目指している。2018年8月にはサービス開発を加速するためのストレージ系エンジニアの獲得を目的にIzumoBASE(株)を子会社化し、9月から連結決算に取り込んだ。IzumoBASE(株)は東大初のベンチャーで、豊富な知見と高い技術力を持つストレージソフトウェアエンジニアをチームとして保有している。今回のM&Aを機にグループでストレージサービスを内製化し、サービス開発を加速させていく考え。

 

現状のサービスポートフォリオイメージ  DX分野への全方位の取り組みで数年後の大きな成長を目指す


(同社資料より)

 

働きやすさの向上
「働きやすさ、働き甲斐の向上」に向けた取り組みも成長戦略の一つ。給与の増加、現場社員の増加、オフィス環境の向上、及び勤務時間短縮の4 項目を課題として掲げ、取り組みを進めてきた。この一環として、在宅勤務制度、勤務時間のスライド、更には業務完了後であれば定時の30分前に退社可能等の施策を盛り込んだ社内制度「さぶりこ」を導入した他、育児や介護のための短縮勤務や2 日以上の連続休暇で1 日につき5,000円支給といった取り組みを実施した。また、2017年1月には副業を含む社外活動をパラレルキャリアとして奨励する事も発表している。この他、事務負担の軽減効果も期待できるため、社員が従来よりも早く給料を受け取る事ができるように支払期日を変更した他、人員増による収容面積不足解消と社員のモチベーション向上を念頭に大阪本社の移転を行った。
こうした取り組みの結果、現在の離職率はIT企業としては極めて低い1~2%程度。「今後、人材面での制約から事業の拡大が難しい企業が出てくる可能性があるが、当社においては、人的リソースがボトルネックになる事はなく、DCというリソース面での充実もあり、AI・IoT分野で成長が可能な素地ができた」と田中社長は自信を示す。

 

環境変化を踏まえ、成長のための投資、働きやすさ向上に注力

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

創業以来、同社はコストパフォーマンスに優れたインターネットインフラの提供にフォーカスしてきたが、DX時代を支えるプラットフォーマーを目指して、IoT・AIに関連したデータプラットフォームやMSD等、インターネットインフラに関連した付加価値分野の強化に取り組んでいる。エンジニアや営業の増員はこの一環で、特にエンジニアの確保は数年後には一段の深刻化が予想されている。ただ、同社のエンジニア採用はサービス強化を目的としたもので、エンジニア派遣のようにエンジニアの増員がすぐに売上に反映されるものではない。このため当面は先行投資になる。この上期は前年同期比で減価償却費が約3億円増加し、人件費が約1.5億円増加した結果、営業利益が0.2億円減少したが、「投資を抑制するよりも、いかにトップラインを上げるか、が課題」と言うのが田中社長の考えだ。もっとも、リファーラル採用等の増加でコストを抑えた採用ができている事に加え、働きやすさ・働き甲斐の向上に取り組んでいる成果で離職率も1~2%に低下しており、人材投資の効率は向上しているようだ。
また、グループ経営も強化する。上期は、VPS・クラウドの増加や官公庁案件で同社の業績が順調な一方、大型案件の解約等で子会社合計の損益が80百万円程度の営業損失になった模様(前年同期は35百万円程度の利益)。これまでは自主性を重視してきたが、人員の派遣等による支援でテコ入れを図る考え。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外3名

監査役

4名、うち社外3名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書  更新日:2018年07月10日
基本的な考え方
当社のコーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方は、当社が企業規模を拡大していくのに並行して、経営管理組織の整備を推進し、各部門の効率的・組織的な運営及び内部統制の充実を図ることであり、その基本姿勢を基に現在まで努力してまいりました。
特に、インターネット業界は、目に見えない多数の利用者に対して通信施設を開放しており、世界中のインターネット利用者を市場として成立している事業でありますので、他業界以上の大きな社会的責任を背負っております。当社におけるコーポレート・ガバナンスの確立は、このような社会的責任を果たしていくことを可能にする経営基盤であると考えております。

 

<各原則に基づく主な開示>
【原則3-1 情報開示の充実】
(1)企業理念、経営戦略、経営計画
企業理念や中期的な目標をホームページや説明会資料にて開示しております。
企業理念 : https://www.sakura.ad.jp/ir/managerial_policy.html
説明会資料 : https://www.sakura.ad.jp/ir/library.html
(2)コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方について
本報告書 I.1の「基本的な考え方」に記載しております。
(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続
取締役及び監査役の報酬等の決定に関する方針をコーポレート・ガバナンスに関する報告書及び有価証券報告書にて開示しております。また、2018年6月開催の株主総会招集通知にも記載しております。
(4)取締役会が経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続
取締役候補者の指名にあたっては、当社の事業に強い関心を持ち、当社の企業理念を実現するために行動し、豊富な実務実績や専門的な知識を有しているもの、会社経営等で豊富な知識を有しているもの等、高い知見により当社の経営を適切に監督しうるものを取締役候補者として指名いたします。監査役候補者の指名にあたっては、当社の事業に強い関心を持ち、監査役の役割・責任を高いレベルで体現し、中立的・客観的な視点から監査を行い、経営の健全性確保に貢献できるもので、監査を実施するための豊富な経験、高い知見を有しており、専門的な知識を有しているものや会社経営等で豊富な知識を有しているものを監査役候補者として指名いたします。
(5)経営陣幹部の選任と取締役・監査役候補の個々の選任・指名について
取締役候補者及び監監査役候補者の個々の選任理由につきましては、株主総会招集通知に記載しております。

 

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】
当社は、取締役(CFO)をIR担当取締役とするとともに、経理財務部にIR担当者を配置しております。株主や投資家に対しては、年2回以上の決算説明会を開催しております。決算説明会の資料及び説明会の動画を弊社ホームページに掲載することにより、個人投資家に向け当社に対する理解度向上に向けた取り組みを行っております。
株主との対話(面談)の対応は、経理財務部のIR担当者が行っております。また、株主の希望や面談を行う株主の株式数に応じて、社長や適時開示担当取締役(CFO)が面談に対応しております。
なお、対話を通じた株主からの意見については、適時開示担当部署が集約し、経営陣に共有する仕組みを構築しております。投資家との対話の際は、当社の持続的成長、中長期における企業価値向上に関わる事項を対話のテーマとすることにより、インサイダーの情報の管理に留意しております。

 

 

東証コーポレート・ガバナンス情報サービス : http://www2.tse.or.jp/tseHpFront/CGK010010Action.do?Show=Show

 

 

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