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(9068) 丸全昭和運輸株式会社

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ブリッジレポート:(9068)丸全昭和運輸 vol.1

(9068:東証1部) 丸全昭和運輸 企業HP
浅井 俊之 社長
浅井 俊之 社長

【ブリッジレポート vol.1】会社概要・今後の戦略レポート
取材概要「同社株とTOPIXとの相対株価を見ると、10年間ではほぼイーブンのパフォーマンスだが、1直近1年間ではTOPIXを大きくアウトパフォームしており、中計・・・」続きは本文をご覧ください。
2018年12月19日掲載
企業基本情報
企業名
丸全昭和運輸株式会社
社長
浅井 俊之
所在地
神奈川県横浜市中区南仲通2-15
決算期
3月末日
業種
陸運業(倉庫・運輸関連業)
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年3月 110,685 6,091 6,786 4,699
2017年3月 104,824 5,555 6,149 4,420
2016年3月 99,902 5,293 5,864 3,978
株式情報(12/14現在データ)
株価 発行済株式数 時価総額 ROE(実) 売買単位
2,841円 20,393,975株 57,939百万円 6.1% 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
60.00円 2.1% 261.85円 10.8倍 4,278.21円 0.7倍
※株価は12/14終値。発行済株式数、BPSは19年3月期第2四半期決算短信より。ROEは前期実績。
2018年10月1日付で5:1の株式併合を実施。DPS(予)は当該分割を考慮。
 
丸全昭和運輸株式会社の会社概要、今後の戦略などをお伝えします。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
海・陸・空の複合一貫輸送に取り組む総合物流企業。現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供、「プラスα」のオペレーション、国内外に広がる物流ネットワーク、物流と情報を繋ぐITシステム等が強み。顧客の大半が上場企業という顧客基盤をベースに着実な収益拡大を継続。ロジスティクスを包括的に受託し、全体最適化を実現する「MARUZEN 3PL service」の拡大に注力。減配は一度もなく、前期まで4期連続の増配を実施。 【1-1 沿革】 1931年8月17日 創業者中村全宏(なかむら まさひろ)氏が同社の前身である「丸全昭和組」より「丸全昭和運輸株式会社」と改称し、京浜工業地帯の鉄鋼、化学メーカーなど、重厚長大産業の顧客を中心に、工場資材、原料、製品の荷造りなど構内作業や運搬を開始した。 また、設立と同時に、中村氏の名前である全宏の「全」の字を「○」で囲んだ店のマークも作られた。 「○」には「永遠」に続く企業であってほしいという願い、「全」には「一度踏み出した道だ、何があってもこの業を全うしよう」という固い決意が込められている。 店名としては最初、「昭和組」も候補に挙がったが、創業当時は昭和6年と、昭和時代も始まったばかりで、店名に「昭和」をつける企業が多かったことから、「昭和」の上に創業者中村全宏氏の「全」をとった「丸全」をつけた。 創業時から単なるトラック輸送だけではなく、上記の構内作業、通関など様々な業務を一括して請け負う「複合一貫輸送」を特徴として顧客企業のニーズを取り込んでいった。 第二次世界大戦後の復興、高度成長の波にも乗り企業規模は急速に拡大、1963年には東証一部に上場した。 国内ネットワークを拡大するのと並行し1971年には国際航空貨物取扱業務に進出。1974年には「MARUZEN OF AMERICA,INC」(ロサンゼルス)、「丸全昭和(香港)有限公司」を設立するなど、海外ネットワークの拡大も積極的に推進する。 2004年には現在の同社を特徴づける3PL事業システムが本格的に稼働を開始。 その後も、M&Aも活用して国内外のネットワーク拡充を進めている。 【1-2 経営理念】 以下の社是、経営理念を掲げている。 仕事への熱い思い入れと、それをやり遂げる不断の努力が如何に大切であるかということを意味している。 創業者中村全宏の精神であり、今も全社員に受け継がれている。 1991年、物流新時代を自社が切り拓き、物流の発展に貢献するための道標を示したものとして発表された。 【1-3 市場環境】 国土交通省が発表した「物流を取り巻く現状について」(2017年2月)によれば、国内貨物輸送量は長期的には減少傾向に、一方国際貨物輸送量は増加傾向にある。 また構造的な人手不足も運輸業界にとっては大きな課題となっており、関連企業はIT活用を含めた様々な施策による効率化に取り組んでいるほか、運送費用の値上げを試みている。 ※売上高、営業利益は今期会社側予想、単位は百万円。ROEは前期実績、単位は%。時価総額は12月14日終値ベース×12月6日時点直近の短信記載の発行済株式数。単位は百万円。PER(予)・PBR(実)は12月14日終値ベース。単位は倍。 同社は他社に比べ企業規模は小さいものの、収益性、資本効率は上位グループにある。 ただ同じBtoB物流企業の中では唯一のPBR1倍割れであり、一層の認知度向上が必要である。 【1-4 事業内容】 (概要) 3PLサービスや海・陸・空一体の複合一貫輸送によるロジスティクスをグローバルに展開している。 また、工場や大学の移転、プラント輸出等の各種大型機器の解体から、移設・組立・据付まで一貫して行う機工関連業務、精密機器輸送や危険品輸送等、専門知識と高い技術力を伴う高品質な物流サービスを提供している。 (主要顧客) 創業時より重厚長大型産業の顧客企業が多いが、近年では新規開拓により顧客の業種はより幅広いモノとなっている。 主な顧客及びグループは以下の通り。 昭和電工、JFEスチール、富士フィルム、昭和産業、ライオン、LIXIL、TOTO、三井化学、日本電産など。 顧客別売上高ベスト10で総売上の約3割、ベスト50で同約6割、ベスト100で同約7割を占め、ほとんどが上場企業またはそのグループ会社となっており、優良な顧客基盤を有している。 (主な物流サービス) ◎3PLサービス 調達・生産・販売・回収に係わるロジスティクスを包括的に受託し、ロジスティクスの全体最適化を実現している。 ※3PLとは? サードパーティー・ロジスティクスの略。企業の抱えるさまざまな業務の内、物流部門を第三者企業に委託する業務形態を指す。 効率的な物流ルートの構築は企業にとって極めて重要な課題であるが、企業が自前でトラックなどの交通手段、荷物を保管しておく倉庫、必要な人的資源やソフトウェアなどを全て揃えるのは大きな手間と資金がかかる。 そこで、そうした物流業務を丸ごと専門に扱っている外部業者にアウトソーシングし、企業は自社の貴重な経済資源を中核業務に集中させるほうが様々なメリットを得ることができるため、3PLの活用が急速に拡大してきた。 3PL導入のメリットとしては、本業集中による商品やサービスの品質向上、在庫最適化を通じた業務の効率化やキャッシュフローの改善などが挙げられる。 例えば、最重要課題となる「単価」と「物量」で構成される物流コストの削減においては、物流部門は物流の管理・運営機能を担っている為、コントロールできるのは「単価」の低減に限られ、それも一定の基準に達すると限界がくる。それに対し、物量はコントロール不可能であり、生産計画・納入条件など「生産部門」、「営業部門」の制約によって決まる。 従って、物流コストの削減は物流部門だけでなく「生産部門、「営業部門」が三位一体となり全体を最適化するSCM(サプライチェーンマネジメント)の実現が不可欠となるわけだが、同社の提供する「MARUZEN 3PL service」では、顧客と共同で経営戦略に沿った物流の全体設計を策定し、従来の物流業者としての立場を超えて、実物流業務、オペレーション管理にとどまらず、SCM全体を見据えた企画・調整機能も提供しており、この点が大きな特徴である。 また、顧客が求める物流の全体設計と共にPDCAサイクルを回し、継続的な改善活動を提案しながら、共同で更なる物流の効率化を追求している。 この「MARUZEN 3PL service」の効果的な運用を可能にしているのが自社開発した3PL情報システム「MLPシステム」である。 「MLPシステム」は、全てのロジスティクスプロセスを一元的に管理し、顧客の大切な貨物情報をWeb上でリアルタイムに公開するなど「物流の見える化」を可能としている。 同社では物流改善活動の第一歩は「物流の見える化」の推進であると考えているが、その為の効率的な運用と物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には多大なコストが必要であり、同システムを利用することにより、顧客企業は新たなシステム投資費用を最小限に抑えることが可能である。 3PLにおける同社のもう一つの違い・特徴は、同社が「アセット型3PL」であるという点である。 「アセット型3PL」とは文字通り自社で倉庫や輸送手段、物流拠点などを所有しているプレーヤーであり、これに対し自社ではそれらを所有しておらず、輸送業者や倉庫業者と提携して荷主企業のニーズに対応していく業者を「ノンアセット型3PL」と呼ぶ。 高品質なサービスを追求する同社は倉庫など施設を原則的に自社で保有していることにくわえ、トラックのドライバーの安全教育、構内作業の標準化等にも力を入れているため、顧客からの厚い信頼を得ている。 また自社施設であるため顧客に対しきめ細かいデータの提供も可能で、前述のPDCAサイクルをより効果的に回すことができる点も、同社の3PLサービスが顧客に評価される要因となっている。 ◎グローバル物流 国内拠点と世界20か所の拠点網および海外パートナーとの連携により、顧客企業の海外進出、生産拠点の移設などの海外展開をサポートしている。また海外物流システムで現地での物流プロセスを可視化し、海外拠点間の物流効率化、サプライチェーンの効率化を実現している。 ◎トラック輸送 コンピューター、医療機器、各種検査装置などの精密機械から建設機械・建設資材などの重量物や危険物等の化学品、また事務所や個人引越等の一般貨物まで幅広く対応。専門スタッフが安心できるきめ細やかなサービスを提供している。 鉄道、内航海運、航空輸送による一貫した最適な物流プランを提案している。 ◎港湾サービス 海上輸送の窓口の港湾において、高いセキュリティ、コンプライアンス体制を背景に、輸出入貨物の通関、輸出梱包など迅速なサービスを提供している。 ◎鉄道輸送 幹線輸送の鉄道部分を担うJR貨物と全国の集荷・配達の鉄道貨物利用運送事業者と連携し、荷物を戸口から戸口へ届ける複合一貫輸送サービスを行っている。 ◎保管・流通加工 全国各地に配置している倉庫・物流センターで、貨物の入出庫から保管(在庫管理)、流通加工などを情報システムを駆使してシームレスに行っている。 MLPシステムが入出庫・保管状況などの情報を一元管理。検品、ラベル貼り、小分け、半製品の組立など、ニーズに合わせた流通加工を行うほか、物流センターやSP倉庫の効率的な運用に関する様々な提案を行い、庫内作業の最適化を実現している。 ◎構内作業 顧客の有する工場・倉庫内で梱包や流通加工、横持輸送、本船積みを伴う出荷作業等、ニーズに合わせた構内作業を行っている。 構内作業のスペシャリストがお客様の工場・倉庫内物流の最適化を実現します。 作業進捗、在庫状況などの情報管理を徹底し、お客様のご要望にお応えします。 作業に応じた荷役機械をご用意し、無理・無駄のない構内作業をご提案します。 (事業セグメント) 報告セグメントは「物流事業」、「構内作業及び機械荷役事業」の2つ。この他、報告セグメントに含まれない事業として建設業、警備業、不動産業、保険代理業、自動車整備業等のサービスを提供している。 全売上高に占める割合は、貨物自動車運送事業 45%、倉庫業16%、構内作業及び機械荷役事業14%などとなっている。 貨物自動車運送事業においては自社保有1,000台を含め4,000台のトラックを有している。 【1-5 特長と強み】 1931年の創業以来、顧客の製造現場において、顧客と一体となって物流業務を行うことを得意分野としてきた同社の、製品の品質向上、業務の合理化、効率化を追求する挑戦を間近で支えた経験は、アセット型3PL事業者として多様な業界への顧客に対して提供している物流提案や物流サービスの基盤となっている。 ①現場の「知恵と実績」を活かしたソリューションの提供 顧客の製造現場、流通現場を支えてきた「現場」を知るスタッフを企画担当として配置し、その専門性と物流知識を活かし、データに基づき物流システムの改革、物流現場レベルでの改善提案などを行っている。 リードタイムの短縮、物流コストの圧縮、在庫適正化によるキャッシュフローの増加など、サプライチェーンを最適化することで、顧客の企業価値を最大化する提案を行っている。 現在、石化業界、鉄鋼業界を始め建設機械、日用品、食品業界など多岐に亘る顧客と取引しており、それらの経験と実績を基に、顧客の業種・業態に合わせた最適なロジスティクス・ソリューションを提供している。 人手不足、高齢化が進む中、こうした知恵と実績をどのようにして継承し、また新たな知恵を生み出すか、持続可能なものとするかは今後の課題であるが、マニュアル化、標準化、IT化など様々な取り組みを進めている。 ②「プラスα」のオペレーション これまでアセット型3PL事業者として、センター内作業、構内作業、流通加工など様々なオペレーションを行ってきた同社のオペレーションの特徴として、通常の物流作業に「プラスα」となる付加価値を顧客に提供していることが挙げられる。 「プラスα」とは、例えば原料の充填や部品のピッキング・梱包など一般的な流通加工に加え、その前後の工程となる、材料の調合、部品の組み立てなど製造工程の一部を代行するサービス。品質はもとより、顧客のニーズに合わせ業務をカスタマイズする力、それを標準化し継続する力は顧客に高く評価されている。 ③国内外に広がる物流ネットワーク 国内においては、得意先の多種多様なニーズに対応可能な輸送車両。それらを利用した大都市間を結ぶ幹線ネットワーク、大都市をカバーする配送ネットワークなどの輸送ネットワークを全国に展開する物流拠点と共に運用しており、アセット型3PLである同社の強力な事業基盤となっている。 特に大型コンピュータ輸送からスタートした精密機械輸送、大型建機輸送からスタートした重量物輸送は多くの顧客に支持されている。 海外においては海外現地法人、海外パートナーとの連携により世界のあらゆる地域に貨物を輸送するネットワークを構築している。国内から海外へ、また海外から国内への原材料、部品、完成品の供給に国内外のネットワークを使い、一貫したサービスを提供している。 特に中国を初めとする東南アジアに力を入れており、物流拠点の拡大、車両・荷役機器などハードウエアの装備を推進している。その他、海上輸送での重量物・プラント輸送には、豊富な経験と実績を有し、国内の機工事業と合わせ、国内外で一貫したプラント輸送サービスを提供している。 ④物流と情報を繋ぐITシステム これまで培ってきたノウハウを結集し、自社開発したMLPシステム(3PL情報システム)は、全てのロジスティクスプロセスを一元管理しWeb上で公開することで、在庫情報、輸配送情報、KPI(評価指標)情報等、顧客のロジスティクス戦略をサポートするうえで欠かせない情報を提供している。 物流データの蓄積・分析を支える物流システムの構築には、多大なコストがかかるが、同システムの活用により顧客は新たなシステム投資を最小限に抑えることが可能である。 ⑤優良顧客に支えられた安定した事業基盤 前述のように上場企業またはそのグループ会社からの売上が大半を占めており、優良な顧客に支えられた安定した事業基盤と、それをベースに安定した売上・利益を生み出している点も大きな特徴と強みと言えるだろう。 前期まで5期連続で増収増益を達成し、今期も6期連続で増収増益となる見込みである。 また配当についても減配は一度もなく、前期まで4期連続の増配を実施している。 【1-3市場環境】で触れたように、運送業界を取り巻く環境は決して良好ではないが、優良な顧客を多数有する同社は、リーマンショック時には減収を経験したものの、中心顧客となる重厚長大型企業に加え、景気の影響を受けにくい日用雑貨企業など新規顧客開拓を積極的に進めてきた。 今後も後述する「3PLサービス」および「グローバル展開」によって着実な収益拡大を目指している。 【1-6 目標とする指標】 コーポレートガバナンス報告書内、(原則1-3 資本政策の基本的な方針)において以下の3つを掲げている。 (1)財務健全性の確保 持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指すためには経営基盤を強化することが必要と考え、成長投資とリスクの許容ができる範囲内で自己資本の水準を保持することを基本としており、自己資本比率は、現状では連結ベースで50%以上を考えている。 (2)持続的成長と企業価値向上のための投資 内部留保資金は、物流拠点の確保、保管設備の増強ならびに輸送力強化・環境対応のための車両・機械荷役装置への投資やM&Aによる事業拡大などに活用し、資本の効率向上に努めている。 自己資本利益率(ROE)は連結ベースで6%以上を安定的に達成できる企業体質を目指している。 (3)株主還元 配当については、業績と配当性向、自己資本利益率などを総合的に勘案し、長期的に安定した配当を継続することを基本方針としている。 配当性向は、5年間の連結ベースで平均20~30%程度を目途としており、自己株式取得は、財務状況を考慮しつつ市場環境や資本効率等を勘案し、必要に応じて検討する。 【1-7 ROE分析】 ROEは着実に向上している。今後もマージン改善をベースにしたROEの向上実現に取り組んでいくということだ。 マージン改善に向けては、注力している3PLはまだまだ改善の余地が大きいということで、売上の拡大とともに3PLのブラッシュアップに取り組んでいく。
 
 
業績動向
増収増益。利益は期初計画を上回る。 営業収益は前年同期比4.6%増の568億円。物流事業、構内作業及び機械荷役事業ともに堅調に推移した。 営業総利益は同12.4%増加。粗利率は0.7%上昇した。 販管費は同3.4%増加したが増収効果で吸収し、営業利益は同18.2%増の35億円となった。 西日本豪雨の影響などで営業収益は期初予想を下回ったが、各利益は計画を超過した。 <物流事業> 増収増益。 (貨物自動車運送事業) 増収。関東地区では、ステンレス原料や工業用ガス、橋梁輸送が減少したが、住宅資材や土砂改良剤は増加。中部地区では、冷却設備が増加、関西地区では、日用雑貨に加えモーター関連製品が増加した。 (港湾運送事業) 微増収。関東地区では、非鉄金属の輸入が減少した一方、輸入青果物や車両が増加した。 (倉庫業) 大幅増収。関東地区では、住宅資材や幼児用教材が増加。中部地区では、化成品が増加し、関西地区では、日用雑貨や車両部品が増加した。 (鉄道利用運送事業) 大幅減収。西日本豪雨による山陽本線の不通により、九州向けのJR貨物の取扱いが減少した。 (その他の物流附帯事業) 減収。外航船収入では、中東向けプラント案件や東南アジア向け設備輸送の取扱いが減少し、内航船収入では、穀物が増加したが、石炭や非鉄金属は減少。 航空収入では、変電所設備の輸出業務終了に伴い減収となった。 荷捌収入は、精密機器が減少したが、医療用フィルムや住宅資材が増加し増収となった。 <構内作業及び機械荷役事業> 増収増益。 構内作業は、非鉄金属や石炭が減少したが、工業用ガスや工作機械が増加し増収。 機械荷役事業は、クレーン作業が増加し増収となった。 <その他事業> 減収減益。 工事収入は、国内の移設案件の受注が減少。地代収入も、契約終了に伴う減床があり、ともに減収。 建物及び構築物、投資有価証券の増加などで資産合計は同27億円増加の1,303億円となった。 短期有利子負債の減少などで負債合計は同20億円減少の444億円。 利益剰余金の増加などで純資産合計は同48億円増加の859億円。 自己資本比率は前期末より2.3%上昇し65.8%となった。 前年同期に比べ売上債権増加額が減少し、営業CFのプラス幅は拡大。 前年同期にあった定期預金の預入による支出が無くなり投資CFのマイナス幅は縮小。 フリーCFのプラス幅は拡大した。 財務CFのマイナス幅はほぼ変わらず。キャッシュポジションは上昇した。 業績予想に変更無し。6期増収増益予想。 業績予想に変更は無い。 売上高は前期比3.9%増の1,150億円。営業利益は同6.7%増の65億円。 第6次中期経営計画最終年度も、品質の向上、企業基盤の強化、営業力の強化を図り、6期連続の増収増益を目指す。 18年10月1日実施の株式併合(5:1)を考慮した年間配当予想は60円/株。予想配当性向は22.9%。
 
 
第6次中期経営計画 ~「熱と努力」で更なる飛翔~
同社は2016年3月、2017年3月期から2019年3月期の3年間を対象期間とする第6次中期経営計画を策定し現在進行中である。 この中計では、グローバル化やテクノロジーが更に進展した世界を次のステージ(NEXT STAGE)と位置付け、その中でも存在感を発揮し続ける企業として、基盤を強化する3 年間としている。 そのために、「ガバナンスの強化」、「品質(サービスレベル)の向上」、「営業力の強化」に重点を置き、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を図る考えだ。 (1)目指す姿 「グローバルな視点でサプライチェーンを最適化するロジスティクス・パートナー」 ②定量目標 持続的な売上、利益の成長、資本効率の向上を目指している。3PLによる新規顧客開拓が順調に進んでいることなどを主要因に、16年3月に作成した定量目標に対し17年3月期、18年3月期と着実に実績は目標を上回ったことから、18年6月に最終年度となる今期の数値を上方修正した。 (3)投資計画 設備投資:200億円、M&A:50億円。 当面は国内の物流拠点の更なる拡充を進めていく。最近では堺倉庫(大阪府)、鹿島バルクターミナル(茨城県)などを竣工した。 投資は営業CFの範囲内で行うことを原則としている。 M&Aも積極的に展開。2015年には日本電産グループの物流子会社「日本電産ロジステック株式会社」を子会社化したが、これを契機に日本電産グループとの取引も拡大している。
 
 
今後の注目点
同社株とTOPIXとの相対株価を見ると、10年間ではほぼイーブンのパフォーマンスだが、1直近1年間ではTOPIXを大きくアウトパフォームしており、中計最終年度となる今期予想数値を上方修正したことを市場は評価している。 ただ投資家としては上方修正したという事実だけでなく、減配を一度も行ったことがないことも含め、優良顧客基盤をベースとした同社の安定した収益体質について改めて着目してみたい。 また、来期発表されるであろう、次期中期経営計画の目標とそれを実現するための施策についてのもう少し具体的な開示も期待したい。 相対株価(上:10年間、下:1年間)、青:同社株、赤:TOPIX
 
 
 
 
<参考:コーポレートガバナンスについて>
◎コーポレート・ガバナンス報告書 最終更新日:2018年7月3日 <基本的な考え方> 1.基本的な考え方 当社は激変する経営環境に対し迅速かつ的確に対応し、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を実現できる体制を確立するため、株主をはじめとするステークホルダーに対し経営の透明性をより高めるとともに、経営理念にも掲げております社会規範の遵守を励行し、コーポレート・ガバナンスの強化と充実に取り組むことが重要な経営課題であると位置づけております。 2.基本方針 (1)株主の権利・平等性の確保 当社は、法令に従い株主の権利及び平等性を確保するとともに外国人株主や少数株主に配慮し、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備に努めます。 (2)株主以外のステークホルダーとの適切な協働 当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の創出を実現するためコンプライアンスを重視しつつ、株主、顧客、取引先、社会、従業員等の様々なステークホルダーの利益を考慮して適切な協働と良好な関係の維持に努めます。 (3)適切な情報開示と透明性の確保 当社は、会社の財務情報及び非財務情報について法令に基づく情報開示を適切に行うとともに、法令に基づく情報開示以外にも株主をはじめとするステークホルダーにとって有用性の高い情報については主体的に提供するよう努めます。 (4)取締役会等の責務 当社の取締役会は、株主に対する受託者責任・説明責任を踏まえ、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を促進し、収益力・資本効率等の改善を図るため、 1.中期経営計画を策定し企業戦略の方向性を定める。 2.内部統制システム、リスク管理・コンプライアンス体制を整備し取締役のリスクテイクを支える。 3.社外取締役を複数選任することで取締役に対する実効性の高い監督体制を構築する。 4.社外監査役を過半数選任することで取締役の職務の執行に対する独立性の高い監査体制を構築する。 以上の4点をはじめとする役割・責務を適切に果たすよう努めます。 (5)株主との対話 当社は、会社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のため、株主との建設的な対話を行い経営計画等の内容について明確に説明するとともに、株主からの意見、要望等は取締役会に報告し、経営に反映させるよう努めます。