ブリッジレポート
(4312) サイバネットシステム株式会社

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ブリッジレポート:(4312)サイバネットシステム vol.3

(4312:東証1部) サイバネットシステム 企業HP
安江令子 社長執行役員
安江令子 社長執行役員

【ブリッジレポート vol.3】2018年12月期業績レポート
取材概要「売上面では、ANSYSや光学系を中心に順調だった。今19/12期の保守契約の増加につながる新規顧客の獲得も進んだ。海外も、中国、台湾の販売子・・・」続きは本文をご覧ください。
2019年3月20日掲載
企業基本情報
企業名
サイバネットシステム株式会社
社長執行役員
安江 令子
所在地
東京都千代田区神田練塀町3 富士ソフトビル
決算期
12月末日
業種
情報・通信
財務情報
項目決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益
2018年12月 19,719 1,502 1,684 -656
2017年12月 17,987 1,504 1,639 937
2016年12月 16,031 1,027 1,001 462
2015年12月 15,518 851 1,003 463
2014年12月 15,396 810 974 596
株式情報(2/26現在データ)
株価 発行済株式数(自己株式を控除) 時価総額 ROE(実) 売買単位
620円 31,158,269株 19,318百万円 - 100株
DPS(予) 配当利回り(予) EPS(予) PER(予) BPS(実) PBR(実)
15.38円 2.5% 30.75円 20.2倍 408.80円 1.5倍
※株価は2/26終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。
 
サイバネットシステムの2018年12月期決算の概要と2019年12月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。
 
今回のポイント
 
 
会社概要
 
“CAEソリューション”と“ITソリューション”を事業の柱として、“ものづくり”を支援している。CAE(Computer Aided Engineering)とはコンピュータによる工学支援の事で、コンピュータ上で仮想設計し、仮想実験(シミュレーション)する事。“ものづくり”において、高品質、開発期間の短縮、及び開発コストの削減を実現すると共に、試作実験に伴い発生する廃材の削減を通して環境にも優しい。同社は、世界的に実績のある20社以上・50種類以上の多彩なソフトウェアのライセンス販売・保守サービスや業務の受託サービス等を、自動車、機械、電機等の約2,000の企業や500の研究機関・大学へ提供している。

グループは、連結子会社14社。北米、英、仏、独、ベルギー、アジアに展開し、主な連結子会社のうち、開発子会社は3社あり、公差解析(設計時に設定した寸法のバラツキの許容範囲を計算すること)ソフトウェアを開発・販売・技術サポートしているSigmetrix.L.L.C.(米)、数式処理システムのWATERLOO MAPLE INC.(カナダ)、PIDO(Process Integration Design Optimization:最適化支援)ツールの開発・販売・技術サポートのNoesis Solutions NV(ベルギー)。販売子会社は3社あり、CAEソリューションのCYBERNET SYSTEMS(SHANGHAI) CO.,LTD. (上海)、CYBERNET SYSTEMS TAIWAN CO.,LTD.(台湾、出資比率57%)、及びCYFEM Inc.(韓国、同65%)がある。
 
【企業理念(Corporate Philosophy)】
企業理念は、「私たちは高付加価値、高品質のサービスをもって、満足度の高い“ソリューション”を提供し、顧客と社会の発展に寄与する」。「つくる情熱を、支える情熱」(Energy for Innovation)をメッセージとして掲げ、いつも顧客と共に歩み、頼りにされる、顧客にとって、CAEの「First Contact Company] を目指している。
 
 
【事業内容】
当事業は、CAEソリューションや関連する技術サービス等を提供するCAEソリューションサービス事業とITソリューションやデータソリューションのITソリューションサービス事業に分かれ、CAEソリューションサービス事業が全体の80%以上を占める。
 
CAEソリューションサービス事業
CAD (Computer Aided Design:コンピュータによる設計支援)システムと連動して解析・シミュレーションを行うCAEソフトウェア(以下、ソフト)やハードウェア(以下、ハード)の販売や技術サポート等の代理店ビジネス及びベンダービジネスに加え、顧客の高度な要求にソリューションを提供するコンサルティングサービス、電子回路や基板の設計、モデルベース開発(MBD、後述)、更には最適設計支援等のエンジニアリング(受託)サービス、及び、セミナー、ユーザーカンファレンス、事例発表会の開催等のユーザー教育・支援サービスを提供している。
 
CAE6応用分野と開発子会社・販売子会社
当セグメントの動向は、同社(個別)が提供する6つの応用分野と開発子会社及び販売子会社に分けて説明されている。

CAE6応用分野
①MCAE(Mechanical CAE)
CADでのデザインが終わった後に、構造、伝熱、電磁場、熱流体等の解析をサポートするソフトウェア及びサービスを提供する。主力商品は、米ANSYS Inc.製品のマルチフィジックス(複数の物理的な力)の解析ツール「ANSYS」。

②光学設計
レンズ設計などの光学解析、照明解析、光通信システム解析及び有機ELや光学部材特性等の測定ツールやソリューション、及びサービスを提供する。主力商品は、米Synopsys社製「CODE V」(光学設計評価プログラム)、同「LightTools」(照明設計解析ソフトウェア)など。

③EDA(Electronic Design Automation)
電子機器や半導体の設計を自動化するソフトウェア、及びプリント基板設計・解析・製造/実装までの運用提案・設計解析サービスを提供する。主力商品は、米Mentor Graphics社製「Xpedition Enterprise」、同「HyperLynx」など。

④MBD(Model Based Development)
MBDとは構想・設計・検証といった開発プロセスを数理モデルに基づき実施する設計手法。主力製品は、同社グループのMaplesoft社製品であり、STEMコンピューティング・プラットフォーム「Maple」や同システムレベルモデリング・シミュレーションツール「MapleSim」など。

⑤テスト・計測及びその他
テスト・計測分野では、同社が開発したFPD(Flat Panel Display)自動検査システムなどの提供。その他の分野では、同社グループ製品である3次元公差マネジメントツール(評価対象の組立部品寸法、部位バラツキ評価を基にしたコストと品質の最適化)、最適設計支援ツール(解析の自動化、ロバスト制御・信頼性評価、品質工学適用等)に加えて、CAE技術教育サービスなどを提供している。

開発子会社
3次元公差解析ソフト(歩留まり計算ソフト)「CETOL 6σ」の開発・販売・技術サポートを行うSigmetrix.L.L.C.(米)、様々な物理現象を数式化(見える化)する数式処理ソフト「Maple」や1D CAEソフト「MapleSim」の開発・販売・技術サポートを行うWATERLOO MAPLE INC.(カナダ)、及びPIDO(Process Integration Design Optimization:最適化支援)ソフト「Optimus」の開発・販売・技術サポートを行うNoesis Solutions NV(ベルギー)の3社。

販売子会社
CAEソリューションのCYBERNET SYSTEMS(SHANGHAI) CO.,LTD. (上海)、CYBERNET SYSTEMS TAIWAN CO.,LTD.(台湾)、CYFEM Inc.(韓国)、及び2018年11月に設立したCYBERNET SYSTEMS MALAYSIA SDN.BHD.(マレーシア)の4社。
 
ITソリューションサービス事業
ITソリューション分野とデータソリューション分野に分かれる。ITソリューションでは、サーバー・クライアントPC等のウイルス感染・情報流出等を防ぐSymantec社のエンドポイント・セキュリティ製品や「SKYSEA Client View」(SKY社)・「QND Advance」(クオリティソフト社)等のIT資産管理ソリューション、データベース開発支援やアプリケーション性能管理等、企業のITインフラを支える様々なソリューションを提供している。

一方、データソリューションでは、CAE解析データを分かりやすく可視化する可視化ソリューションや、AR(拡張現実)・VR(仮想現実)、ビッグデータ等、ものづくり支援につながるデジタルソリューションを提供している。AR関連ではARアプリ開発ツールやARコンテンツ配信システム等、VR関連ではVR設計レビュー支援システムや3次元アプリケーション合成表示ソフトウェア等、ビッグデータ関連では自社製品ビッグデータ可視化ツール「BIGDAT@Viewer(ビッグデータビューア)等」を提供している。
この他、顧客の環境に応じた運用コンサルティング、導入支援、ユーザー教育支援等のサービスを提供している。
 
 
 
 
 
2018年12月期決算
 
 
前期比9.6%の増収、同0.2%の営業減益
売上高は前期比9.6%増の197億19百万円。主力のMCAE(Mechanical CAE)分野、光学設計評価プログラム等の光学設計分野、及び1D CAEツール等のMBD(Model Based Development)分野が好調に推移し、CAEソリューションサービスの売上が同9.6%増加する中、Symantec社製品の好調等でITソリューションサービスが同18.8%増と伸びた。子会社では、光学系ソフトウェアを中心に中国・韓国の販売子会社の売上が増加したが、カナダ・米国の開発子会社が苦戦した。

営業利益は同0.2%減の15億02百万円。MCAE分野での原価率の高い商品やITソリューションサービスの売上構成比が高まったため原価率が2.8ポイント上昇し売上総利益が同2.6%増と伸び悩んだ。一方、販管費は、MBSE(要求分析から検証までの開発工程全般をモデルベースで進める開発手法)や内視鏡画像診断支援ソフトウェアの研究開発費の増加に加え、2017年11月に事業を開始した韓国子会社のコストが通期で発生した事もあり、同3.2%増加した。

為替差益51百万円の計上(前期は為替差損33百万円)等で営業外損益が改善したものの、カナダ及びベルギー子会社ののれん等の減損損失17億01百万円など特別損失20億60百万円を計上した事や繰延税金資産の取り崩しに伴う法人税等の増加で6億56百万円の最終損失となった。同社が重視しているのれん償却前営業利益は同5.4%減の16億92百万円(計画18億33百万円)。EBITDAは19億91百万円と同3.5%減少したものの、計画(19億49百万円)を上回った。
 
営業・経常利益の期初予想との差異
売上が期初予想を上回る中、採用未達等による人件費の下振れで販管費が予想を下回ったものの、原価率の高いITソリューションサービスの売上構成比が上昇した事や開発子会社の苦戦で営業・経常利益が下振れした。子会社は、利益率の高い一括計上できる契約のOEM案件が獲得できなかったこと等が響いた。
 
 
期末配当は当初の予定通り実施
期末配当に変更はない。「今回開示した減損損失が臨時かつ非現金支出費用である」として、当初の予定通り、1株当たり8.26円を実施する考え。上期末配当8.26円と合わせて16.52円となる。
 
 
 
CAEソリューションサービス
売上高163億45百万円(前期比9.6%増)、営業利益26億87百万円(同1.6%減)。MCAE分野、光学設計分野、MBD分野を中心に売上が増加したが、商品構成の変化でMCAE分野の利益率が低下した事に加え、MBSE 関連の研究開発費の増加、一括計上できる契約の大型OEM案件が獲得できなかったこと等による開発子会社の苦戦、及び韓国子会社のコストが通期で発生した事等で営業利益が減少した。

MCAE分野(個別ベースで前期比10.4%増の69億37百万円)では、主力の米ANSYS Inc.製品(マルチフィジックス解析ツール)の新規ライセンス販売が、電気機器業界、機械・精密機器業界を中心に増加した他、保守契約の更新も進んだ。エンジニアリングサービスも、モデルリダクション(1Dモデル化)や解析自動化の需要増で電気機器業界向け増加した。

光学設計分野(同7.9%増の29億75百万円)では、アジア系企業の日本国内での開発強化を受けて主力の米Synopsys社製「CODE V」(光学設計評価プログラム)の新規ライセンス販売・保守契約更新が共に増加した。一方、米Synopsys社製「LightTools」(照明設計解析ソフトウェア)は保守契約の更新が進んだものの、新規ライセンス販売が減少した。

EDA(Electronic Design Automation)分野(同26.5%減の3億82百万円)ではEMC課題(電子機器等から発生するノイズによる誤動作を防止するための規格・規制への対応)に特化したエンジニアリングサービスが増加したものの、米Mentor Graphics社製「Xpedition Enterprise」や「HyperLynx」等の電子回路基板設計ソリューションが減少した。

MBD分野(同9.7%増の10億27百万円)では、熱問題対策ニーズの増加で同社グループ製品である1D CAEツール(下流段階で利用する3Dに対して、上流段階で利用する解析・設計支援ツール)の新規ライセンス販売が、機械・精密機器及び電気機器業界を中心に増加し、保守契約の更新も進んだ。モデルベース開発のエンジニアリングサービスは、自動車業界の活発な開発投資を受けて、従来からの自動運転及びMBSE関連が増加する中、EV関連が伸びた。

上記の他、テスト・計測分野(同7.4%減の1億32百万円)では医療機器で使われる散乱部材の測定用途や電機業界での新素材研究の測定用途で照明設計解析ソフトウェアの光学精度向上に寄与する高精度散乱測定器が増加したものの、同社製品で収益性の高いFPD(Flat Panel Display)自動検査システムが減少した。その他分野(同10.3%減の3億71百万円)では、同社グループ製品である3次元公差マネジメントツールや最適設計支援ツール共に新規ライセンス販売が減少した(更新は進んだ)。
 
MCAE、光学設計、MBDは順調だったが、EDAの落ち込みでCAEソリューション全体の売上が前年同期比1.3%減少した。
 
開発子会社
様々な物理現象を数式化(見える化)する数式処理ソフト「Maple」や1D CAEソフト「MapleSim」の開発・販売・技術サポートを行うWATERLOO MAPLE INC.(カナダ)は現地通貨ベースで前期比15.3%の減収(円ベース同16.0%減収)。日本及び欧州で売上が増えたものの、北米及び中国で減少した。
PIDO(Process Integration Design Optimization:最適化支援)ツール「Optimus」の開発・販売・技術サポートを行うNoesis Solutions NV(ベルギー)は同3.4%の減収(同0.6%の増収)。「Optimus」が北米及び中国で増加したが、日本及び欧州で減少した。
3次元公差解析ソフト(歩留まり計算ソフト)「CETOL 6σ」の開発・販売・技術サポートを行うSigmetrix.L.L.C.(米)は同7.2%の減収(同8.8%の減収)。「CETOL 6σ」の販売が欧州で増加したが、他の地域で減少した。

販売子会社
CAEソリューションのCYBERNET SYSTEMS(SHANGHAI) CO.,LTD. (上海)は現地通貨ベースで前期比22.1%の増収(円ベース同23.5%)。CYBERNET SYSTEMS TAIWAN CO.,LTD.(台湾)は同30.8%の増収(同30.8%の増収)。共に、主力の光学系ソフトウェア及びANSYS Inc.製品(マルチフィジックス解析ツール)の販売が好調に推移した。2017年11月に事業を開始したCYFEM Inc.(韓国)も、主力商品である光学系ソフトウェアの販売が順調に立ち上がった。
 
ITソリューションサービス
売上高38億74百万円(前期比18.8%増)、営業利益3億96百万円(同22.2%増)。ITソリューション分野において、Symantec社製品等のセキュリティ関連ソリューションや「SKYSEA Client View」(SKY社)・「QND Advance」(クオリティソフト社)等のIT資産管理ツールが増加し、データソリューション分野において、VR製品バーチャルデザインレビューやMRデバイスを用いた作業支援システム等の開発請負サービスが増加した。また内視鏡画像診断支援ソフトウェアが想定以上に早い18年12月に承認を得た。
 
業種別売上高(個別)
通期の個別売上高は前期比9.7%増の157億29百万円。その他製造(20億14百万円、売上構成比12.8%)が前期比13.3%増、輸送用機器(22億95百万円、同14.6%)が同12.7%増、及び教育・官公庁(13億56百万円、同8.6%)同10.8%増、と二桁の増収。機械・精密機器(24億19百万円、同15.4%)も同8.4%増加したが、電気機器(46億79百万円、同29.8%)は同1.5%の増加にとどまった。この他、情報・通信(8億76百万円、同5.6%)が同10.3%増、その他(20億87百万円、同13.3%)が同26.2%増。
 
 
輸送用機器が同7.9%減少(通期では前期比12.7%増)した他、機械・精密機器も同3.5%の増加にとどまった(通期では同8.4%増)。
 
契約別売上高(個別)
通期の契約別売上高は前期比8.9%増の136億46百万円。内訳は、次期以降の更新契約につながる新規契約が同11.1%増の51億18百万円、更新契約が同7.7%増の85億27百万円。第4四半期は新規契約・更新契約共に減速し、前年同期比2.8%の増加に留まった。
 
 
 
 
期末総資産は前期末との比較で16億70百万円減の192億17百万円。借方では、のれんが18億10百万円(減損15億36百万円、償却1億90百万円、為替換算83百万円)、貸方では、純資産が13億44百万円、それぞれ減少した。自己資本比率66.3%(前期末67.6%)。
 
 
 
2019年12月期業績予想
 
 
前期比1.4%の増収、同1.2%の営業増益予想
個別ベースの前期第4四半期に輸送用機器が前年同期比減収となった他、電気機器や機械・精密等も売上の伸びが鈍化する等で、個別売上高が前年同期比3.8%の増加にとどまった(連結ベースでは前々期のOEMの反動で4.1%減)事を踏まえて慎重な業績予想となった。
売上高が200億円と前期比1.4%の増加にとどまる中、国内外で人材投資を継続する。売上の増加とのれん償却費(18/12期計上額1億90百万円)がなくなる事等で人材投資等のコストを吸収して営業利益は15億20百万円と同1.2%増加する見込み。ただ、為替差益の剥落や助成金収入(同1億02百万円)の減少を織り込んだため。

尚、18/12期に開始した中期経営計画(後期)において、最終の20/12期に売上高300億円、売上高営業利益率10%超を目指していたが、海外ビジネスの計画達成が困難であると判断し、この目標を、一旦、取り下げる事とした。

配当は1株当たり上期末7.69円、期末7.69円、年15.38円(配当性向50%)を予定している。
 
(2)中期事業計画基本方針
同社グル一プは中長期的な安定かつ継続的成長に向け、次に掲げる新たな中期事業計画基本方針に基づき経営に取り組んでいく。

”つくる情熱を支える情熱”をモットーとし、科学技術計算及びエンジニアリング分野にて、先端的なソリューション、サービスを提供し続け、継続的な増収増益を達成する体制を作りあげます。
・基礎収益力の更なる強化のため、中長期に渡り経営システム基盤強化を行います。
・グル一プガバナンス体制を再構築し、経営管理の強化を行います。
・更なる女性・シニア・グローバル人材の活用も含め、ダイバーシティマネジメ卜の推進を行います。
・CAEソリューションならびAI、セキュリティ分野への積極的な投資を行います。
・ASEANを含む海外営業の強化を行います。
 
(3)代表取締役の異動
2019年3月8日開催予定の第34回定時株主総会の決議及びその後に開催される取締役会をもって、現在、代表取締役 副社長執行役員を務める安江令子氏が、代表取締役 社長執行役員 最高経営責任者に就任する。新たな経営体制の下、グループのガバナンス体制を再構築し、海外事業を強化する事で一層の成長発展を目指す考え。
安江氏は1968年生まれ。1991年3月に津田塾大学 学芸学部 数学科を卒業し、(株)松下電器情報システム名古屋研究所(現パナソニックアドバンストテクノロジー(株))に入社。その後、アンワイヤード・プラネット、モトローラ(株)、SEVEN Networks,Inc.、Qualcomm,Inc.を経て、2009年7月に富士ソフト(株)に入社。執行役員 国際事業部長、常務執行役員 国際事業部長を歴任した。2018年1月にサイバネットシステム(株)に転じ、副社長執行役員に就任。同年3月、代表取締役 副社長執行役員に就任した。
 
 
今後の注目点
18/12期総括
売上面では、ANSYSや光学系を中心に順調だった。今19/12期の保守契約の増加につながる新規顧客の獲得も進んだ。海外も、中国、台湾の販売子会社で新規顧客が進み、ANSYS・光学系共に伸びた。両子会社は、日本との緊密な連携が好業績の背景にあり、サイバネットシステム(株)の強みである提案力を高く評価しているようだ。今後、サポート体制をより強化していく考え。一方、開発子会社は、カナダ子会社が一括計上できる契約の大型OEM案件を獲得できなかった等、北米中心とした事業会社向け拡販が想定のスピードで進まなかった。
もう一つの柱であるITソリューションはセキュリティ関連ソリューションが伸びた。ベンダーであるSymantec社が総合的なサポート力のある代理店として、サイバネットシステム(株)を推奨している事が背景にあるようだ。
 
19/12期予想は慎重
順調に売上が増加した18/12期だったが、主要取引先である自動車や電機が投資を抑制する等、下期にかけ潮目が変わったと言う。自動車については、今後も最先端分野の投資が続いていくとみているが、顧客にとっての決算期末である3月に向け、どれだけ予算を消化するか注視している状態。このため、19/12期の業績予想は、リスクファクターを勘案し慎重な予想となった。前期に新規顧客の開拓が進んでいるため保守の増加が見込まれるが、伸びは鈍化するとみている。
 
IT投資、人材投資、事業投資を継続
ただ、中期事業計画基本方針に示されたように、中期経営計画(後期)の方向性は変わらず、IT投資、人材投資、事業投資を継続していく考えだ。IT投資については、利益率・生産性向上のための投資が不足していた事が反省点であり、基幹システムの強化や生産管理システムの導入を行うと共に、より効率的な在宅、直行直帰等の勤務体制を可能にする。人材投資については、海外子会社への関与を強化し、事業部門のみでなく管理部門からも人を派遣する。国内では開発力強化のためのエンジニアの採用や新卒採用を強化する。また、ダイバーシティマネジメントの一環として、中国・台湾子会社で董事を務め、韓国子会社の代表理事でもある女性常務執行役員が、この3月に取締役に就任する。事業投資については、CAEソリューションではMBSEに前期(1億円)と同程度の投資を継続する。カナダの開発子会社内にMBSEの組織を作り日本から直接指揮を執る。AIを搭載した内視鏡画像診断支援ソフトウェアは18年12月に想定以上の早さで承認を得た。今後、医療分野へも取り組みを強化していく(セグメントはITソリューションサービス事業に属し、応用分野別ではデータソリューション分野)。
 
ASEANを強化
海外では、北米の梃入れと共に、ASEANを強化する。この一環として、2018年11月にマレーシアに子会社を設立した。この3月に営業を開始する予定。サイバネットシステム(株)の恒木取締役がマレーシア子会社の社長を兼務しており、サイバネットシステム(株)が積極的に関与していくと言う。顧客は日系とローカルで、これまで、台湾が一部カバーしていたため完全な新規開拓ではなく、顧客グリップを強化する事になる。今後、タイ、シンガポールにも注目していくと言う。

車載ソリューションに強みを持つパナソニックアドバンストテクノロジー(株)や、アンワイヤード・プラネット、モトローラ(株)、SEVEN Networks,Inc.、Qualcomm,Inc.といった外資系企業での勤務経験を持つ安江令子社長の下で進められる新たな成長戦略に期待したい。
 
 
 
 
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>
 
 
◎コーポレート・ガバナンス報告書       更新日:2019年03月11日
基本的な考え方
当社は、あらゆる企業活動の場面において関係法令の遵守を徹底し、社会倫理に適合した行動をとることを、「サイバネットグループコンプライアンス行動指針(以下「サイバネット行動指針」という。)」として掲げております。これは、全てのステークホルダーに対する当社の基本姿勢であります。また、当社はコーポレート・ガバナンスにおける基本的な考え方としてサイバネット行動指針を尊重し、経営の健全性の確保、アカウンタビリティ(説明責任)の明確化、適時かつ公平な情報開示に努めております。そして、経営判断の迅速化と業務執行の監督機能強化を図るとともに、リスク管理及び牽制機能が効いた組織づくりに努めております。
 
<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの各原則につきまして、全てを実施しております。
 
<開示している主な原則>
[原則3-1 適切な情報開示と透明性の確保]
(1) 経営理念や経営戦略、経営計画
当社は、「企業理念」及び「中期事業計画基本方針」をホームページに掲載しております。下記のURLよりご覧ください。
(企業理念) http://www.cybernet.jp/company/about/philosophy/
(中期事業計画基本方針) http://www.cybernet.jp/company/policy/midterm/

[原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針]
当社は、IR担当部門を設置しており、同部門の担当役員は、管理部門の担当役員として、管理部門間の有機的な連携を図っております。また、同部門は、半年に一度、代表取締役、および担当役員に対し、IR活動報告を行っております。なお、インサイダー情報の管理に関しては、後項「V.2.(3)ディスクロージャーポリシー」及びホームページに掲載しております「情報開示基準(ディスクロージャー・ポリシー)」を下記URLよりご覧ください。
(情報開示基準(ディスクロージャー・ポリシー))
http://www.cybernet.jp/ir/ir_policy/standard/

なお、当社の主なIR活動は次のとおりです。
(1) 決算説明会(年1回)
(2) 株主総会(年1回)
(3) 個人投資家向説明会(不定期)
(4) 機関投資家向個別面談
(5) 電子メールによる情報提供