ブリッジレポート
(4043) 株式会社トクヤマ

東証1部

ブリッジレポート:(4043)トクヤマ vol.5

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横田 浩

代表取締役

社長執行役員

株式会社トクヤマ(4043)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

化学(製造業)

代表取締役社長執行役員

横田 浩

所在地

東京都千代田区外神田1-7-5 フロントプレイス秋葉原

決算月

3月

HP

http://www.tokuyama.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,562円

69,934,375株

179,171百万円

24.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

DPS(予)

70.00円

2.7%

438.88円

5.8倍

2,199.83円

1.1倍

*株価は5/24終値。発行済株式数、BPSは前期末実績、ROEは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2014年3月(実)

287,330

20,270

14,965

10,218

29.37

6.00

2015年3月(実)

302,085

19,530

12,920

-65,349

-187.85

0.00

2016年3月(実)

307,115

23,071

17,725

-100,563

-289.10

0.00

2017年3月(実)

299,106

39,720

33,998

52,165

147.78

0.00

2018年3月(実)

308,061

41,268

36,196

19,698

259.81

30.00

2019年3月(実)

324,661

35,262

33,400

34,279

493.26

50.00

2020年3月(予)

343,000

39,000

39,000

30,500

438.88

70.00

*単位:円、百万円。予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。
2017年10月1日より売買単位を1000株から100株へ変更するとともに、同日付で株式併合(5株を1株へ併合)を実施。DPSは併合を考慮した年間配当金合計。EPS、DPSは遡及再計算していない。

 

 

トクヤマの2019年3月期概要、中期経営計画の進捗、横田社長へのインタビューなどをお伝えします。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算概要
3.2020年3月期業績見通し
4.中期経営計画「再生の礎」の進捗
5.横田社長に聞く
6.今後の注目点
<参考1:中期経営計画「再生の礎」>
<参考2:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年3月期の売上高は前期比5.4%増の3,246億円。苛性ソーダの販売価格是正が進んだほか、半導体関連製品を中心に総じて販売が堅調に推移し全セグメントで増収。ただ石炭や国産ナフサなど原燃料コストの上昇等で粗利率は同2.4ポイント低下し、粗利額も同2.0%減少。販管費の増加を吸収できず営業利益は同14.6%減の352億円となった。第4四半期(1-3月)に主力製品の販売数量が計画未達となったこと、原燃コスト上昇が予想を上回ったことなどから、売上、利益ともに通期見通しを下回った。

     

  • 20年3月期の売上高は前期比5.7%増の3,430億円、営業利益は同10.6%増の390億円を予想。主要製品の販売数量が増加する。全セグメントで増収増益を見込んでいる。為替は110円/USDと1円の円高を想定。国産ナフサは前期の49,500円/klから44,000円klへ下落するとの前提で原燃料コストは20億円程度の減少となる。配当は年間合計70.00円/株を予定。予想配当性向は15.9%。

     

  • 横田 浩社長に前期決算の振り返り、中期経営計画の進捗、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。「まだまだ変革は道半ばだが、収益力は着実に向上し、成長材料も多数育っている。株主や投資家の皆様には是非これからも当社の挑戦を応援していただきたい。」とのことだ。

     

  • 増収ながら減益、計画未達という前期決算であったが、中計3年間の積み上げは着実に進んだ。半導体分野の足踏みなどマイナス材料もあるが、成長事業分野において放熱材料、歯科器材など好調な実績を上げ、下支えとなり始めているという。インタビューにあるように、この2年は2025年に向けて本格的に飛躍するための仕込の時期であり、減価償却費も増加するが、今期は増収増益を見込んでいる。短期的には今期売上、利益を着実に伸ばしていくことができるかを、中長期的には、エレクトロニクス分野、ヘルスケア分野での新たな成長材料の登場、加えて「E:環境」分野でのリスクを最小化しつつビジネスチャンスを創出する取り組みに注目したい。

     

1.会社概要

ソーダ灰、苛性ソーダなど幅広い用途に用いられる必要不可欠な基礎化学製品、多結晶シリコンを始めとする半導体関連製品、国内第4位の生産量のセメントのほか、メガネ関連材料やジェネリック医薬品原薬などを展開する総合化学メーカー。1918年創業。多様な特有技術から生み出される先端製品、高度に統合・集積された徳山製造所の競争力などが大きな強み。

 

【1-1 沿革】

1918年にガラスの原料であるソーダ灰(炭酸ナトリウム)の国産化を目指し、創業者 岩井勝次郎により「日本曹達工業株式会社」として設立された。現在でもソーダ灰製造を継続する唯一の国産メーカーである。
1938年にはソーダ灰事業の副産物を生かした湿式法によるセメント製造を開始した。
第二次大戦後、無機関連事業を伸張させた後、高度経済成長時代に入ると、塩化ビニルやポリプロピレンなど石油化学関連事業を拡大させた。
2度のオイルショックを経た後は、電子材料・ファインケミカルなど高付加価値分野へ進出。1984年には、現在では世界トップスリーに入る多結晶シリコン事業に進出した。また、1985年には電子部品の放熱材料として用いられる窒化アルミニウム粉末を独自開発の製法である還元窒化法により製造を開始した。
以降も、メガネレンズ材料や歯科器材など生活・医療分野、環境・エネルギー分野などへ事業フィールドを拡大させてきた。

 

ただ、2009年にマレーシアに設立した連結子会社「トクヤママレーシア」における多結晶シリコン事業が市況下落により大幅に収益が悪化。これにより15年3月期、16年3月期に多額の減損損失を計上し無配に転じた。
こうした状況に対し、2016年5月には「財務基盤の再建」に向けた種類株式の発行による資金調達を実施。
同時に、「あらたなる創業」に向けたビジョンの下、5年間の中期経営計画「再生の礎」を策定・発表し、組織風土の変革、事業戦略の再構築などの重要課題に取り組んでいる。18年3月期には4期ぶりの配当を実施した。

 

【1-2 経営理念など】

1989年に制定された「基本理念」、「行動指針」の抜本的な見直しを行い、2016年の中期経営計画「再生の礎」策定時に、新たに「存在意義、「目指す姿」、「価値観」からなる、あらたなる創業に向けた「トクヤマのビジョン」を制定した。
2018年に創業100年を迎える同社が、次の100年に向けて「トクヤマ再生の礎」を築き、持続的成長を遂げていくためには、改めてトクヤマの存在意義と進むべき方向性を明確にする必要があると考えた。
事業戦略をはじめとする会社の活動の大本は、このビジョンに繋がっている。

 

(トクヤマのビジョン)

存在意義

化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する

目指す姿

量から質へ

 

(2025年度)

◇ 先端材料世界トップ

◇ 伝統事業日本トップ

価値観

◇ 顧客満足が利益の源泉

 

◇ 目線はより広くより高く

 

◇ 前任を超える人材たれ

 

◇ 誠実、根気、遊び心

 

【1-3 事業内容】

事業セグメントは化成品、特殊品、セメント、ライフアメニティー、その他の5つ。(報告セグメントは前者4つ。)

 

◎化成品
<概要・主要製品>
ソーダ灰、苛性ソーダ、塩化カルシウムなど、幅広い用途に用いられ、各産業において必要不可欠な基礎化学製品を取り扱っている。
また、苛性ソーダの製造工程で発生する塩素と水素は多結晶シリコンの製造工程で使用されるなど、効率的な事業運営が行われている。
「顧客に選ばれ続けるトクヤマを実現する」という部門目標のもと、顧客企業個々のニーズに見合った安定的かつタイムリーな製品・サービスの提供に努めている。

 

事業

特長

主要製品

ソ-ダ・塩カル

国内需要の伸び悩みや輸入品の増加による競争激化から、事業環境は厳しく、国内のソーダ灰製造メーカーは現在同社1社。国内メーカーとしての存在意義と責任は今まで以上に大きく、創業以来培ってきた技術と、長年にわたり築き上げてきた顧客との信頼関係を軸に、競争力を維持・強化し国内市場で確固たる地位を築いくことを目指している。

また珪酸ソーダカレットは、原料であるソーダ灰や苛性ソーダから一貫して自社生産する競争力と生産能力の高さを武器に国内トップシェアを誇っている。

ソーダ灰、塩化カルシウム、珪酸ソーダ、重曹

クロルアルカリ・塩ビ

苛性ソーダ生産能力は年間49万トンで国内第3位。また、併産される塩素を利用して多様な製品を生産しており、同社の競争力を下支えしている。これらの製品群は多岐にわたるため、特定の分野の消費動向から受ける影響が少ないのも特長。

塩化ビニル樹脂(塩ビ)はその40%が石油由来で、残りの60%は塩由来。石油への依存度という面からは、塩ビは省資源性の高いプラスチックである。さらに塩ビ製の複層ガラスサッシは住宅の保温効果に優れ、冷暖房のエネルギーを節約することによる地球温暖化ガスの排出削減にも有効である。

苛性ソーダ、塩化ビニルモノマー、酸化プロピレン、メチレンクロライド

ニューオーガニックケミカルズ

同社の工業用イソプロピルアルコール(IPA)は、大気汚染物質や産業廃棄物が全く排出されない無公害のプロセスが特徴。

自社技術であるプロピレンの直接水和法は、1974年日本石油学会技術進歩賞、75年毎日工業技術賞、76年日本化学会化学技術賞を受賞した。また、省エネルギー、低コストといった特性に加えて、高純度の製品を提供できるため、品質面でも高い評価を受けている。

工業用イソプロピルアルコール(IPA)

 

主要製品

用途

ソーダ灰

ガラス原料、グラスウール原料、石けん・洗剤原料、かん水、水処理助剤 他

塩化カルシウム

凍結防止剤、防塵、除湿剤、廃液処理、食品添加物

 

(同社提供)

 

<基本方針と施策>
顧客ニーズに沿った、高品質及びコスト競争力に優れた基礎化学素材及びサービスを提供することにより、顧客の事業発展に貢献するとともに、中核事業として安定的かつ、継続的な収益向上に貢献する。

 

事業

主要施策

ソ-ダ・塩カル

・ 国内単一メーカーとして、安定供給・品質を維持

・ 融雪向け粒状塩化カルシウムの増産

クロルアルカリ・塩ビ

・ 苛性ソーダ・塩素の更なる原価低減を目指した自家発電と電解の競争力強化

・ 塩化ビニルモノマーの輸出拡大とプラントフル稼働の維持

・ 塩素誘導品(塩ビ、酸化プロピレン、クロロメタン他)の収益力強化

 

◎特殊品
<概要・主要製品>
取扱製品群は、エネルギー、エレクトロニクス、環境など多方面に亘る。半導体に使われる高純度多結晶シリコンは、世界有数のシェアを有する。またその副生物から製造する乾式シリカはシリコーンゴムや複写機トナーなどに使用されている。放熱性に優れた窒化アルミニウムは、半導体製造装置のほか、インバーター、LEDなどの省エネルギー分野で、電子工業用高純度薬品は半導体、液晶パネルの製造などで使用されている。

 

事業

特長

主要製品

電子材料

徳山製造所において年産8,500トンの多結晶シリコン生産能力を有し、国内一位。

多結晶シリコン

乾式シリカ

独自の技術により開発されたレオロシールは高度に精製した原料ガスを酸水素炎中で高温加水分解させ、反応から包装まで全てクローズドシステムで一貫した管理のもとに製造されている。そのため、高純度、高分散性、高比表面積という特徴を有しており、多くの用途で使われている。日本国内だけでなく中国にも生産拠点を持ち、事業の最適化を図りながら、安定・継続的な供給に努め、世界市場を視野に入れて更なる事業拡大を目指している。

乾式シリカ

放熱材

窒化アルミニウム粉末から、顆粒、粉末を焼結したセラミックスなど、用途にあわせた製品を展開している。独自開発の製法・還元窒化法は、不純物の極めて少ない良質な製品を生み出し、その製造能力は世界最大の年産600トンを誇る。窒化アルミニウム粉末では、世界シェア70%を獲得している。

窒化アルミニウム

ICケミカル/洗浄システム

アジアの成長市場に向け、より高純度な製品を供給すべく、製造・販売拠点を各地に展開している。

電子工業用高純度薬品、ポジ型フォトレジスト用現像液

 

主要製品

用途

多結晶シリコン

半導体ウエハ

乾式シリカ

各種エラストマー、各種シーラント、液状樹脂製品、粉体製品

窒化アルミニウム

電子部品の放熱材料

電子工業用高純度薬品

ウエハ、電子デバイス等の精密洗浄及び乾燥

 

 

(多結晶シリコン)

 

(窒化アルミニウムセラミックス)

 

(同社提供)

 

<基本方針と施策>
顧客から選ばれ続ける製品の供給と開発品の提案により事業と収益の拡大を図る。

 

事業

主要施策

多結晶シリコン

・ 最先端品を始めとし顧客要求品質を的確に把握し、品質世界一・コスト極小化を実現

乾式シリカ

・ シリコン、CMP向けに続く高機能品の拡充

・ 徳山化工におけるコストダウンと高付加価値化

ICケミカル

・ 先端半導体向け製品の品質追求、拡販

放熱材

・ 窒化アルミ粉末生産能力増強 (480から600トン/年へ、18年4月稼働開始)

・ 窒化ホウ素、窒化アルミニウムフィラーの事業化

 

同社が製造している世界シェア30%の多結晶シリコンや放熱材用窒化アルミニウムなど半導体製造プロセスに不可欠な様々な半導体関連製品は、同社が長年かけて開発・蓄積してきた様々な特有の要素技術の組み合わせから創出された先端材料であり、どれも世界的に極めて高い競争力を有している。

 

(同社資料より)

 

半導体製造分野では半導体の大容量化・小型化に伴う 半導体の微細化・3次元化が急速に進んでいる。
同社の「半導体用高純度多結晶シリコン」、「電子工業用高純度薬品」は、歩留まり悪化を引き起こす不純物、残渣物を極限まで低減させた超高純度材料であり、微細化・3次元化を進める半導体メーカーから高い評価を得ている。

 

また、半導体の安定した動作に不可欠な放熱材料においても同社製品の評価は高い。
近年、車載用、産業機器、電鉄向けパワーデバイスの高出力化・小型化に伴い放熱材料の需要が急増しているが、同社では、窒化アルミニウム粉末、窒化アルミニウムセラミックス、窒化ホウ素など、独自の還元窒化法により開発された不純物の極めて少ない高熱伝導率の放熱材料を供給している。

 

上の図の様に、原料から最終製品に至る半導体製造プロセスにおいて、「点」ではなく、多様な先端製品を「面」で供給することで、より大きな事業機会を創出し、需要を取り込んでいく考えだ。

 

◎セメント
<概要・主要製品>
1938年、徳山製造所内の副産物の有効活用という観点でスタートした。徳山製造所南陽工場で製造するセメントやセメント系固化材など関連製品は、生コンクリートやコンクリート二次製品として、住宅・ビル・ライフラインを支える構造物、港・橋・道路など社会資本となり人々の暮らしを支えている。
社内だけでなく、社外からも廃プラスチックや家庭ゴミを燃やした後の灰など多くの廃棄物を受け入れ、セメントを製造する工程で原料や熱エネルギーとして利用しており、資源循環型社会の形成に貢献している。

 

事業

特長

主要製品

セメント

徳山製造所南陽工場は、単一工場としては国内最大規模。

セメント事業は国内第4位で、東京・大阪・広島・高松・福岡を主な拠点として、地域に根ざした営業活動を展開している。また東京・大阪・広島・福岡の4地区にセメント試験室を設置。セメントおよびセメント系固化材の使用に際し、施工前の配合試験、施工後の管理試験を実施し、きめ細かいユーザーサポートを提供している。

 

またセメント系やモルタル系の各種建材製品をトクヤマエムテックが製造販売するほか、同社独自の漆喰をシート化する技術により、建築内装材「漆喰ルマージュ」や、古典的なフレスコ画の技法に漆喰による立体造形技術を組み合わせた最新フレスコ技法「Fresco Graph」などを展開し、セメント・建材分野で培った技術で新たな事業機会を追求している。

ポルトランドセメント、高炉セメント、セメント系固化材

資源環境

低含水・高含水汚泥設備や鋭角廃棄物処理施設など様々な再資源化設備で、廃プラスチック類、汚泥、ガラスくずを始め多様な廃棄物を受け入れている。

廃棄物処理

 

<基本方針と施策>
事業環境の変化に柔軟に対応し、最適な製造・販売・物流体制を整備・構築する。輸出拡大による廃棄物処理収益の最大化、原価低減による競争力強化を図る。

 

事業

主要施策

セメント

・ 生産効率及び原単位改善と廃棄物受入増を軸とした原価低減

・ 4号キルン(セメントの焼成に使う窯)を最大限活用した輸出の拡大による収益確保

・ トクヤマエムテックによるインフラの補修・補強事業の拡充

資源環境

・ 原料系の最適化と可燃系廃棄物の活用促進及び燃料化プラント事業の最適化

・ 廃石膏ボードリサイクルなど既存リサイクル事業の安定操業及び新たなリサイクル事業の創生

 

2013年6月に買収したトクヤマニューカレドニアは、営業利益、キャッシュ・フローともに4期連続で大幅黒字を継続している。クリンカ(セメントの製造過程でできる塊状の物質で、粉砕してセメントを作る。)の輸出先としてもセメント部門の収益改善に寄与している。

 

中長期では人口減に伴う国内需要の縮小が不可避であるため、安定した輸出先の確保による販売数量の増大、セメント工場の稼働率向上、廃棄物受け入れ拡大を目指し、トクヤマニューカレドニアに続く海外粉砕工場の展開を検討・推進していく。

(同社資料より)

 

◎ライフアメニティー
<概要・主要製品>
トクヤマ本体が手掛けるファインケミカル事業とNF事業および、グループ会社が開発・製造・販売するイオン交換膜、歯科材料、臨床検査システム、ポリオレフィンフィルム、樹脂サッシ等から成る。
ファインケミカル事業では、同社の強みである有機合成技術から生まれた、メガネ関連材料やジェネリック医薬品原薬・中間体を中心に事業展開をしており、NF事業では、水は通さず空気や湿気は通すというフィルムを製造販売している。
海外グループ会社としては、中国はじめ新興国で急速に需要が伸びている紙おむつ用の通気性フィルムの製造販売を担っている上海徳山塑料などがある。

 

事業

主要製品

ファインケミカル

医薬品原薬・中間体(アミノ基保護材、縮合剤)、プラスチックレンズ関連材料(フォトクロミック材料、ハードコート剤)

NF

微多孔質フィルム

(株)トクヤマデンタル

歯科医療器材の製造・輸出入・販売

(株)エイアンドティー

臨床検査試薬・機器システムの開発・製造・販売

サン・トックス(株)

ポリオレフィンフィルムの製造・販売

(株)アストム

脱塩・濃縮用イオン交換膜及び電気透析装置の製造販売

(株)エクセルシャノン

樹脂サッシ及び関連製品、住宅用建築資材の製造販売

 

(医薬品)

(同社提供)

 

<基本方針と施策>
顧客起点の開発・製造・販売体制の確立・強化により、国内外の市場で優位なポジションを獲得。事業の拡大を図り、人々の生活・健康(QOL)の改善に貢献する。

 

事業

主要施策

ファインケミカル

メガネ用調光材料のシェア拡大、用途開拓

NF

中国事業の立て直し

歯科器材事業

審美充填材料を中心とした海外展開の加速

医療診断システム事業

江刺工場増設(17年9月~)による生産体制強化

ポリオレフィンフィルム事業

製造設備のスクラップアンドビルドによる生産性改善(17年10月~)

イオン交換膜

海外大型案件への対応

樹脂サッシ

ゼロエネルギーハウス(ZEH)向け拡販

 

同セグメントでは、フォトクロミック材料(調光材料)の成長に力を入れている。

 

フォトクロミック材料とは、太陽光(紫外線)を照射すると無色からグレーやブラウンなどに発色し、照射を止めると再び無色の状態に戻る樹脂材料。
近年では、スポーツウェア・ドライブウェア用途に加え、有害紫外線への意識の高まり、高齢化にともなう緑内障など眼の疾患増加を背景に、フォトクロミック材料の使用が増大している。

 

 

同社製品は、「赤・青・黄の3原色発色による豊富なカラーバリエーション」、「速い発色および退色速度」、「夏場の高温下でも十分な発色性能」、「優れた耐久性」、「紫外線を99%以上カット」といった特長を持っている。
こうした特長を訴求し、製品仕様に関する顧客ニーズへの対応など細やかな顧客対応や製品ラインナップの拡充によりシェア拡大を図るとともに、視認性向上、紫外線遮蔽などの特長を活かした新規用途の開拓も進める。

 

 

 

(同社資料より)

 

◎その他
報告セグメントである「化成品」、「特殊品」、「セメント」、「ライフアメニティー」に含まれない事業セグメントで、海外販売会社、運送業、不動産業などを含む。

 

【1-4 研究開発】

「化学技術で暮らしに役立つ価値を創造する」という研究開発の理念に基づき、①顧客起点をベースに事業にコミットした研究開発の推進、②特有技術の深耕と新技術との融合によるオンリーワン、ナンバーワン技術の創出、③技術を基軸としたマーケットインによる独自製品の創出、の4つを目指して研究開発に取り組んでいる。

 

高齢化社会の到来、環境重視、ICT技術の飛躍的発展・普及などを見据え、化学メーカーとしてこれまでに培ってきた無機や有機の材料合成、高純度化、結晶・析出、粉体制御、焼結などの特有技術をベースにしつつ、更に新たな技術を融合して、先端材料で世界トップとなる研究開発を目指している。

 

研究開発拠点として「開発センター(つくば研究所)」(茨城県つくば市)、「分析・解析センター(徳山総合研究所)」(山口県周南市)を持ち、東西2拠点体制を敷いている。
「開発センター(つくば研究所)」では、中長期的な視点に立った先端技術開発、基盤技術としての分析解析技術開発、複合材料を特徴とする歯科材料分野、高付加価値製品をターゲットとした有機ファインケミカル分野の研究開発を行っている。

 

徳山製造所内に立地する「分析・解析センター(徳山総合研究所)」は、徳山地区の研究・開発の拠点。
徳山地区の開発グループのみならず様々な研究・開発チームが集まることによって得られるシナジー効果や、ものづくりの現場である製造部にも近く情報交換が容易といったメリットも大きい。

 

【1-5 同業他社】

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

ROE

ROA

時価総額

PER

PBR

4005

住友化学

2,440,000

5.2

205,000

0.4

8.4%

12.3

6.0

804,546

7.9

0.8

4042

東ソー

860,000

-0.2

95,000

-10.2

11.0%

15.1

13.1

456,088

6.8

0.8

4043

トクヤマ

343,000

5.7

39,000

10.6

11.4%

24.6

9.0

179,171

5.8

1.2

4063

信越化学

-

-

-

-

-

12.8

14.0

3,986,149

-

1.6

4118

カネカ

650,000

4.7

40,000

11.0

6.2%

6.7

4.8

260,440

10.8

0.1

4183

三井化学

1,540,000

3.8

105,000

12.4

6.8%

14.3

7.0

491,438

6.2

0.8

4185

JSR

508,000

2.3

44,500

3.4

8.8%

7.8

6.4

338,963

10.7

0.8

4205

日本ゼオン

330,000

-2.2

30,000

-9.5

9.1%

7.2

8.4

247,743

10.4

0.9

5711

三菱マテリアル

1,700,000

2.2

51,000

38.4

3.0%

0.2

2.6

371,326

12.3

0.6

※売上高、営業利益は今期予想、単位は百万円。ROE、ROAは前期実績、単位は%。
時価総額、PER(予)・PBR(実)は5月24日終値ベース。単位は百万円、倍。信越化学は現時点では業績予想未公表。

 

同業他社に比較し、売上規模は下位に属するものの、2桁の営業利益率、ROEもトップで収益性および資産効率性は高いが、株価評価は中低位に属する。

 

【1-6 特長と強み】

①多様な特有技術から生み出される先端製品
有機・無機合成、高純度化、粉体制御、結晶・析出、焼結、電解、精製、焼成、資源再処理など長年に亘って蓄積・磨き上げてきた特有技術をベースにしつつ、更に新たな技術を融合して、無機薬品、セメント、シリカ、シリコン、窒化アルミニウム、半導体用高純度薬品、レンズ材料、イオン交換膜、各種フィルムや樹脂、センサ材料、歯科材料等の先端製品を生み出してきた。

 

例えば、放熱材で幅広く用いられている窒化アルミニウム粉末を創り出す還元窒化技術は同社のオリジナル。
不純物の極めて少ない良質な同社の窒化アルミニウム粉末はその競争力の高さから70%の世界シェアを有している。
また、現在では世界最高レベルの高純度を実現し、世界のトップスリーに入る多結晶シリコンも、自社の電解プラントから生成される水素と塩素の有効活用を目的に進出したものであり、極めて幅広く、奥の深い技術基盤がこのような飛躍を可能にしたと言えるだろう。

 

②高度に統合・集積された徳山製造所の競争力
特有技術により生み出される製品の低コストでの製造、世界中への供給のために不可欠なのが徳山製造所。
国内有数の港湾インフラと自家発電所を有する徳山製造所は、以下のような特長を持っている。

 

国内第8位の発電量の自家発電所により、競争力あるコストで電力を使用することができる。

無機・有機化学、セメント、電子材料などの工場が複合的に集積し、原料・製品・副産物・廃棄物を相互に有効活用することが可能である。

セメントキルン(セメントの焼成に使う窯)への自社廃棄物受入れによりゼロエミッションを実現している。また、周南コンビナートの外部企業の廃棄物も受け入れており、環境面での社会貢献も果たしている。

 

(同社資料より)

 

また、大型輸送船も着岸可能な水深10メートル以上の天然の良港も有しているため、原材料および製品の大量搬入・搬出も可能。
徳山製造所における高度に統合・集積された高効率の生産・供給体制は同社競争優位性の源泉となっている。

 

 

2.2019年3月期決算概要

(1)連結業績概要

 

18/3月期

構成比

19/3月期

構成比

前期比

期初予想

売上高

308,061

100.0%

324,661

100.0%

+5.4%

-1.0%

売上総利益

100,346

32.6%

97,996

30.2%

-2.3%

-

販管費

59,077

19.2%

62,733

19.3%

+6.2%

-

営業利益

41,268

13.4%

35,262

10.9%

-14.6%

-7.2%

経常利益

36,196

11.7%

33,400

10.3%

-7.7%

-1.8%

当期純利益

19,698

6.4%

34,279

10.6%

+74%

+27.0%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

価格効果で増収も原燃料コスト増で減益。
売上高は前期比5.4%増の3,246億円。苛性ソーダの販売価格是正が進んだほか、半導体関連製品を中心に総じて販売が堅調に推移し全セグメントで増収。
ただ石炭や国産ナフサなど原燃料コストの上昇等で粗利率は同2.4ポイント低下し、粗利額も同2.0%減少。販管費の増加を吸収できず営業利益は同14.6%減の352億円となった。
第4四半期(1-3月)に主力製品の販売数量が計画未達となったこと、原燃コスト上昇が予想を上回ったことなどから、売上、利益ともに通期見通しを下回った。

 

(2)セグメント別動向

売上高

18/3月期

構成比

19/3月期

構成比

前期比

期初予想比

化成品

935

30.4%

983

30.3%

+5.1%

-3.6%

特殊品

586

19.0%

596

18.4%

+1.7%

-5.4%

セメント

873

28.3%

923

28.4%

+5.7%

-0.8%

ライフアメニティー

515

16.7%

543

16.7%

+5.4%

-3.0%

その他

545

17.7%

623

19.2%

+14.3%

+15.4%

調整額

-376

-

-425

-

-

-

合計

3,080

100.0%

3,246

100.0%

+5.4%

-1.0%

営業利益

 

 

 

 

 

 

化成品

161

17.2%

168

17.1%

+4.3%

-6.7%

特殊品

110

18.8%

99

16.6%

-10.0%

-10.0%

セメント

45

5.2%

32

3.5%

-28.9%

-28.9%

ライフアメニティー

37

7.2%

32

5.9%

-13.5%

+6.7%

その他

62

11.4%

43

6.9%

-30.6%

+22.9%

調整額

-4

-

-23

-

-

-

合計

412

13.4%

352

10.8%

-14.6%

-7.2%

*単位:億円。利益の構成比は売上高利益率。

 

 

*化成品
増収増益。

苛性ソーダ

国内販売価格の是正も進んだ。

塩化ビニル樹脂

販売数量は堅調に推移したものの、国産ナフサ等の原料価格の上昇により製造コストが増加し、減益。

塩化カルシウム

暖冬の影響で販売数量が減少し、減益。

 

*特殊品
増収減益。

多結晶シリコン

販売数量が堅調に推移したものの、原燃料価格の上昇等により製造コストが増加し、減益

電子工業用高純度薬品

半導体製品用途で販売数量が増加したものの、国産ナフサ等の原料価格の上昇により 製造コストが増加し、減益

放熱材

半導体製造装置部材向けを中心に販売数量が増加し、好調に推移

 

*セメント
増収減益

セメント

国内の出荷が軟調に推移したことや、 石炭等の原料価格の上昇により製造コストが増加し、減益

資源環境事業

ほぼ前年同期並みの業績

 

*ライフアメニティー
増収減益

プラスチックレンズ関連材料

メガネレンズ用フォトクロミック材料の出荷が好調

イオン交換膜

出荷は堅調に推移したものの、大型案件のあった対前期比では減益

医薬品原薬・中間体、歯科器材

販売数量が増加し、業績は堅調に推移

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18年3月末

19年3月末

 

18年3月末

19年3月末

流動資産

191,031

202,936

流動負債

93,032

93,248

現預金

57,229

68,613

仕入債務

47,610

47,268

売上債権

79,660

80,358

固定負債

132,325

122,856

たな卸資産

39,430

43,474

負債合計

225,357

216,104

固定資産

170,917

176,693

純資産

136,591

163,525

有形固定資産

110,242

116,104

株主資本

119,288

150,095

無形固定資産

2,766

1,973

利益剰余金

90,752

121,901

投資その他の資産

57,908

58,614

負債純資産合計

361,949

379,630

資産合計

361,949

379,630

有利子負債残高

139,916

128,964

*単位:百万円。有利子負債にはリース債務を含む。

 

現預金の増加、機械装置及び運搬具、土地の増加などで、資産合計は同176億円増加の3,796億円となった。
有利子負債の減少で、負債合計は同92億円減少の2,161億円。
利益剰余金の増加で、純資産は同269億円増加の1,635億円。
この結果、自己資本比率は前期末から5.5ポイント上昇し40.2%となった。
DEレシオは前期末の1.11から0.84へ低下。
中期経営計画最終年度の21年3月末は「有利子負債1,200億円、自己資本1,400億円、現預金800億円、DEレシオ0.9」を目標としている。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/3月期

19/3月期

増減

営業CF

61,885

38,531

-23,354

投資CF

-12,665

-16,174

-3,509

フリーCF

49,220

22,357

-26,863

財務CF

-101,209

-21,104

+80,105

現金同等物残高

66,807

67,991

+1,184

*単位:百万円。

 

前期にあった事業譲渡損が無くなったことなどから営業CFのプラス幅は縮小した。
同じく前期にあった子会社株式売却による収入が無くなったことなどから投資CFのマイナス幅は拡大。フリーCFはプラスを維持。
社債の償還による支出が無くなり、財務CFのマイナス幅は縮小。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2020年3月期業績予想

(1)通期業績予想

 

19/3月期

構成比

20/3月期(予)

構成比

前期比

売上高

324,661

100.0%

343,000

100.0%

+5.7%

営業利益

35,262

10.9%

39,000

11.4%

+10.6%

経常利益

33,400

10.3%

39,000

11.4%

+16.8%

当期純利益

34,279

10.6%

30,500

8.9%

-11.0%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

増収増益を予想
売上高は前期比5.7%増の3,430億円、営業利益は同10.6%増の390億円を予想。主要製品の販売数量が増加する。
全セグメントで増収増益を見込んでいる。
為替は110円/USDと1円の円高を想定。国産ナフサは前期の49,500円/klから44,000円klへ下落するとの前提で原燃料コストは20億円程度の減少となる。
配当は年間合計70.00円/株を予定。予想配当性向は15.9%。

 

(2)セグメント別動向

売上高

19/3期

構成比

20/3期(予)

構成比

前期比

化成品

983

30.3%

1,030

30.0%

+4.8%

特殊品

596

18.4%

670

19.5%

+12.4%

セメント

923

28.4%

940

27.4%

+1.8%

ライフアメニティー

543

16.7%

580

16.9%

+6.8%

その他

623

19.2%

640

18.7%

+2.7%

調整額

-425

-

-430

-

-

合計

3,246

100.0%

3,430

100.0%

+5.7%

営業利益

 

 

 

 

 

化成品

168

17.1%

185

18.0%

+10.1%

特殊品

99

16.6%

110

16.4%

+11.1%

セメント

32

3.5%

35

3.7%

+9.4%

ライフアメニティー

32

5.9%

40

6.9%

+25.0%

その他

43

6.9%

45

7.0%

+4.7%

調整額

-23

-

-25

-

-

合計

352

10.8%

390

11.4%

+10.8%

*単位:億円。

 

(各セグメントの見通し)

分野

事業環境など

取り組み

化成品

旺盛なアジア地区の需要を背景に、苛性ソーダや塩化ビニル樹脂を中心として、販売数量については堅調な推移を見込む。

主要製品における拡販及び原単位や固定費削減などのコスト競争力強化を推進し、安定した収益確保に努める。

特殊品

半導体市場は中国の景気減退等により一時的に停滞しているものの、長期的には成長が見込まれており、IoTや5Gの導入に伴う微細化の進展により、高品質化と安定供給に対する顧客からの要求がますます高まっている。

半導体向け多結晶シリコンは、品質を更に追求し、他社と差別化した高付加価値品の拡販により収益拡大を目指す。

電子工業用高純度薬品は、日本・台湾・中国での生産能力増強を進め、アジア地域における需要に対応した供給体制を確立する。

放熱材は、生産能力増強を進めるとともに、製品のラインナップを増やすべく開発に注力する。

セメント

国内の民間需要は、東京エリアでの再開発工事などにより引き続き好調に推移し、官公需については国土強靭化計画の推進により一定量の増加が見込まれ、総需要は微増する。

原料コスト増加分の販売価格への転嫁、輸出数量や廃棄物受入数量の増大、及び製造コストの徹底した削減等により収益確保に努める。

ライフアメニティー

国内市場は緩やかな回復基調が続くことが予想されるものの、海外市場は国際情勢や各国の通商政策の先行き不透明感が増しており、中国や新興国の景気減速が懸念される。

ヘルススケア関連製品の顧客ニーズや市場の変化に対応した新製品開発と販売活動に注力し、収益拡大を目指す。

 

(3)投資実績・計画

 

今期の投資は、設備投資で101億円増、研究開発で13億円増と成長事業、伝統事業ともに積極的な投資を行う。
投資の内訳は増設・拡販4割、維持更新が3割、合理化インフラが1割、研究開発が2割という構成。
主な成長投資案件は、窒化アルミ粉末・顆粒増産、TMAH増強、半導体用薬液出荷設備、港湾インフラ整備など。

 

 

4.中期経営計画「再生の礎」の進捗

(1)目標数値の進捗

項目

16年3月期

19年3月期

21年3月期

目標

19/3期の進捗評価

売上高

3,071億円

3,246億円

3,350億円

計画通り進捗

営業利益

230億円

352億円

360億円

原燃料価格上昇を吸収しきれずに減益、目標未達

ROA

5.7%

9.5%

10%

総資産回転率は前年比で改善したものの、インプットコスト増による売上高営業利益率低下により目標未達

 売上高営業利益率

7.5%

10.9%

10%

 総資産回転率

0.77回転

0.88回転

1.0回転

CCC

69日

60日

55日

計画通り進捗

D/Eレシオ

4.7倍

0.8倍

1倍

達成済み、維持

*CCC:売掛債権回転日数+たな卸資産回転日数-買入債務回転日数。ROA:営業利益÷総資産。

 

営業利益については単年度では減益であったが、この3年間では、原燃料高というマイナス要因があったものの、トクヤママレーシアの譲渡、数量増、価格改定、原価低減などで約120億円を積み上げることができた。

 

CCCはあと5日程度の短縮に向け、たな卸資産の圧縮・在庫削減に取り組む。

 

(2)重点課題と施策

4つの重点課題についての前期の成果と今期の施策は以下の通り。

重点課題

19年3月期の成果

20年3月期の施策

1.組織風土の変革

*ダイバーシティ推進

*社外人材の積極登用

*シニア社員人事制度の運用

*総合人事制度の改定

*社外人材の積極登用(継続)

*働き方改革推進

2.事業戦略の再構築

*半導体用多結晶シリコンの品質差別化・価格是正

*放熱材製品群のラインナップ拡充*放熱材、ICケミカル製品の能力増強

*ヘルスケア関連製品の海外展開加速

*港湾・構内物流の強化・効率化

*ヘルスケア関連事業展開

*IoT、AI活用による業務効率化、プラント運営効率化

*環境関連事業(水素活用、水処理、CO2関連)の強化

3.グループ経営の強化

*微多孔質フィルム中国2社、エクセルシャノンの収益改善

*新事業評価制度の運用開始

*物流関連グループ会社間の連携強化による物流の効率化、費用削減

4.財務体質改善

*劣後ローン借換

*有利子負債の削減、金利負担軽減

*A格復帰に向けた自己資本積上

 

最も重視している組織風土変革は、道半ばであるが引き続き注力する。
財務体質の改善は更なる強化を図る。

 

(3)事業への取り組み

①成長事業
<ICT関連製品>

半導体ウェハ用原料

*フル生産維持

*更なる高品質の追及による他社との差別化

フォトレジスト用現像液

*能力増強(20年4月営業運転開始予定)

半導体精密洗浄

*徳山化工および台湾第2工場によるアジアの高純度I PA供給体制強化

*新規エッチング材料開発

CMP用原料

*乾式シリカの販売数量増

放熱材

*能力増強(20年4月営業運転開始予定)

*製品ラインナップ拡充

 

足元はやや一服だが、中長期的な需要拡大は確実であるため、能力増強、品質向上に向けた投資や開発を進める。

 

<ヘルスケア関連製品>

医薬品原薬・中間体

*医薬品事業の安定と拡大

*医薬品周辺事業(化粧品、サプリ、動物)の展開

メガネ関連材料

*顧客との協業による販売拡大

*特有技術の他分野への展開

歯科器材

*大型新製品(コンポジットレジン)北米で先行上市、欧州・日本で今後展開

診断システム

*グローバル展開強化による販売先拡大

 

「なおす:治療」、「たもつ:維持」、「ふせぐ:予防」、「しらべる:診断」という各視点から独自の製品づくりを進める。
従来のジェネリックに加え創薬分野への進出も検討しているほか、病気になり難い身体作りという観点からサプリメントの開発にも注力する。
また、家畜の健康に向け動物医療周辺材料にも参入する。
歯科器材については高評価を獲得し、現在米国で計画上回る売れ行きとなっており、増産体制を構築して欧州やアジアでも拡販する。
またメガネ関連材料については、材料の供給にとどまらない事業展開も視野に入れている。

 

②伝統事業
2018年度のコスト削減額は、2017年度を上回り、2020年度目標にほぼ到達した。
今期•2019年度は、新規のコスト削減テーマの立ち上げなどにより、更なる積上げを図る考えだ。

 

(4)配当

中期経営計画に沿った利益計画を前提に、今期の配当は前述の通り年間合計70.00円/株を予定。予想配当性向は15.9%。

 

 

5.横田社長に聞く

横田 浩社長に前期決算の振り返り、中期経営計画の進捗、株主・投資家へのメッセージなどを伺った。

 

Q:「まず最初に前期決算の振り返りを伺いたいと思います。事業環境についての認識、良くできた部分、足りなかった点などをお話しください。」
A:「前期は残念ながら増収ではあっても減益で、期初計画に対して未達という結果となりました。半導体の需給が踊り場を迎えたことに加え、発電所トラブルに起因する減産および安定供給に向けた減産分を補うための外部調達などが足を引っ張りました。一方で、放熱材料、歯科器材など当初の見込み通りしっかりと伸ばすことができた事業もあり、前期の反省も踏まえたうえで、新たな成長事業をさらに伸ばして今期は増収増益達成を目指します。」

 

前期は残念ながら増収ではあっても減益で、期初計画に対して未達という結果となりました。
そうした中、業績に影響を与える事業環境という意味では、次の2点が挙げられます。
一つは半導体の需給が踊り場を迎えたということ。もちろん中長期的には需要は拡大していくと見てますが、前期に関しては前々期あたりの勢いがなくなりました。
二つ目が、地球温暖化・気候変動リスクへの世界的な意識の高まりです。
当社は石炭を使用した火力発電所を稼働させています。また、石炭を原料とするセメント事業を手掛けていることから、石炭燃焼によるCO2の排出量については、中長期的に経営に対する相当に大きなインパクトとなるということを改めて認識しておく必要があります。

 

計画未達となった要因としては半導体需要の足踏みに加え、年末にかけて発生した発電所トラブルに起因する減産および安定供給に向けた減産分を補うための外部調達が挙げられます。上期までは比較的順調であっただけに残念でした。
今期は維持更新投資もしっかり行い、そうした想定外のトラブルがないように備えたいと思います。

 

一方で、当初の見込み通りしっかりと伸ばすことができた事業もあります。
一つは放熱材料。
近年、車載用、産業機器、電鉄向けパワーデバイスの高出力化・小型化に伴い放熱材料の需要が急増していますが、当社では、窒化アルミニウム粉末、窒化アルミニウムセラミックス、窒化ホウ素など、独自の還元窒化法により開発された不純物の極めて少ない高熱伝導率の放熱材料を供給しており、高い評価を頂いています。
半導体関連は全般には横這いという状況ですが、放熱材料に関しては着実に伸ばすことができました。

 

加えて、メガネ関連材料および歯科器材も順調でした。
特に今年に入ってから販売を開始した歯科器材は大変好調です。
いわゆる虫歯の修復材料なのですが、通常は、元の歯の色との違和感がないようにするためには、20~30色の中から選択して調合し、着色して修復しなければならず、手間はかかるし在庫も保有しなければなりません。これに対し、当社の修復剤は色を調合する手間がいらないことからコストパフォーマンスに極めて優れており、この点を米国の著名な歯科医に評価いただき、強力に推奨していただきました。
そうしたこともあり、今年2月に米国で発売したところ、しっかり準備をしていたにもかかわらず欠品となってしまいました。
今期は増産体制を強化し、今後は米国に加え、欧州やアジアにも供給してきたいと考えています。
今期は前期の反省も踏まえたうえで、新たな成長事業をさらに伸ばして増収増益の達成を目指します。

 

 

Q:「では続いて中期経営計画について伺います。社長がご自身最大ミッションと認識していらっしゃるのが組織風土の変革、人創りということだと思いますが、この点での取り組みや実績、社内の変化などについてお話しください。」
A:「引き続き社外人材の登用を強化するとともに、内部のビジネスリーダー育成にも取り組み始めました。ただ、中期経営計画がスタートして3年が経ちますが、会社全体としての社員の意識の変化は、まだまだ鈍いというのが正直な感想です。適切な危機感をもって時間はかかりますが組織風土改革、人創りをやり続けなければならないと強く感じています。」

 

引き続き社外人材の登用は積極的に進めています。昨年採用した社外人材が今回は役員になりましたし、他業界で活躍した人物を、女性を含めて、部長クラスのビジネスリーダーとして登用するなど、中堅層からリーダー層まで幅広く人材を登用し、仕事への取り組み方、ものの考え方など、社内に刺激を与えています。
加えて、内部人材の活性化も必須ですから、ビジネスリーダー育成プログラムを昨年から開始しました。
30代半ばから40代半ばで各職場のエース級を10人ずつぐらい人選し、1年目は様々な勉強、2年目は自らビジネスプランの作成を行います。目先の仕事のみでなく視野を広げてマネージメントの感覚を若いうちから持ってもらうことが目的です。
また、国際化に向けての本格的な人創りも今年はスタートさせようと考えています。

 

ただ、中期経営計画がスタートして3年が経ちますが、会社全体としての社員の意識の変化は、まだまだ鈍いというのが正直な感想です。
確かにリーダーの意識が変化してきた部署・部門は仕事のやり方、スピード感がだいぶ変わってるのは事実です。
特に成長事業を手掛けているセクションは感度が高いのですが、やはり伝統事業、100年やってるような仕事のほうは感度が鈍く、スピードが不足していると感じます。
国内にしか目が向いていなかった人間が、海外のビジネスにも目を向けるというケースも出てきましたので、多少変わりつつあるのかなとは思いますが、まだまだ一部にとどまってるというのが実態です。

 

当社は、2014年から2017年くらいまでトクヤママレーシアに起因する困難な状況からの回復を最優先課題として取り組んでいた訳ですが、その間同業他社は積極的に構造改革、生産性の向上、成長戦略確立に経営資源を傾けてきており、その成果が出てきていると感じています。
それに対して当社は今やっと取り組みが本格的に始まったという部分もあり、適切な危機感をもって時間はかかりますが組織風土改革、人創りをやり続けなければならないと強く感じています。

 

 

Q:「では続いて、事業に関して注力しているのはどんな分野でしょうか?」
A:「エレクトロニクスは中長期には間違いなく伸びる訳ですから、短期的には様々な変動があっても手を緩めずにしっかり投資していきます。ヘルスケアは非常に息の長い仕事なので、これも成果がすぐに出ないからといって諦めず、5年、10年、20年というスパンで取り組んでいかないといけません。」

 

まずエレクトロニクスですが、これは中長期では間違いなく伸びる訳ですから、短期的には様々な変動があっても手を緩めずにしっかり投資していきます。
また、ヘルスケアは非常に息の長い仕事なので、これも成果がすぐに出ないからといって諦めず、5年、10年、20年というスパンで取り組んでいかないといけません。
エレクトロニクスのほうは、グローバルにこの分野の最先端を行く大企業との関係を構築・深化させていく必要があります。ようやく少しずつではありますが実績も出始めていますので、時間はかかりますが2年先、3年先のテーマに取り組み、彼らにとって絶対必要であるというポジションを構築しなければなりません。

 

そのための取り組みの一つがオープンイノベーションですが、約2年取り組んできた結果、開発のパイプラインが大変増えてきました。開発のスピード感も上がっており、オープンイノベーション効果は顕在化してきたと言えると思います。

 

 

Q:「ところで、近年重要性が注目されるESGについて御社の取り組み、社長のお考えをお聞かせください。」
A:「環境問題を我々のリスクであると認識するとともに、積極的に当社のビジネスチャンスにも繋げるように取り組んでいこうと考えています。また、環境に対する取り組みを自社だけではなく、行政、地域を巻き込んだ取り組みに発展させてくということも重要と考えています。加えて、経営体制としてのガバナンスの強化はもちろんですが、会社全体の意思決定そして実行のスピードアップのためには基本的には現場で決めて動く、つまり意思決定をより現場に近いところでやれるような組織に変えていきたいと思っています。」

 

(E:環境について)
昔水銀問題で苦しんだ当社は真面目に環境問題について取り組んできた会社だと思っていますが、近年要求が急速に高まっているグリーンハウスガス対策については更に加速していかねばならないと考えています。
今までの当社の強みであった自家発電自体が大きなリスクになってきましたので、このリスクをいかにミニマイズしてビジネスへの影響を小さくできるかが大きな課題と認識しています。加えてその取り組みが世の中から評価いただけるようなスピード感の下で、実績を挙げていくことも不可欠です。

 

そのために、大学の一流の先生方とプロジェクトを組んでアドバイスを頂いています。また、今までは対応の主体は工場だったのですが、研究開発部門もこのプロジェクトに入れて、効果的な技術、ポテンシャルな技術も含めて、可能性のあるものはずっとウオッチしながら、適用できるものはどんどん試していくこととしています。

 

またこれまでとは違った観点からの取り組みも重要です。
今までは、できるだけ効率を上げて、消費電力を減らし、それによって発電量をコントロールして二酸化炭素を減らす、あるいは一部バイオマスを利用するといった取り組みだったのですが、もう少しスコープを広げて、発生する二酸化炭素を有効に使える技術はないかとか。

 

あるいは、我々の電解の工場では苛性ソーダを製造する際に水素と塩素が発生するのですが、完全な二酸化炭素フリーという形で、再生化可能エネルギー源として水素を作り、我々が水素をエネルギー源として使うと同時に、新たなビジネスにつなげるという事もあり得ると思います。
環境問題を我々のリスクであると認識するとともに、積極的に当社のビジネスチャンスにも繋げるように取り組んでいこうと考えています。

 

(S:社会について)
我々のやっているこうした取り組みを、今後どうやって発信してくのか、また、例えば環境に対する取り組みを自社だけではなく、行政、地域を巻き込んだ取り組みに発展させてくということが重要と考えています。
具体的には、例えば当社周辺自治体の公共施設に私共の余剰の電力を供給するといったことです。
地域の財政的な支えになることに加え、余剰なエネルギーを使ってもらうことで、地域全体トータルとして発電効率を上げ、二酸化炭素の発生を削減することに繋げられると思いますので、社会への貢献という意味で、積極的に取り組んでいきたいと考えています。

 

(G:ガバナンスについて)
経営体制としてのコーポレートガバナンスの強化はもちろんですが、それ以上に、会社全体の意思決定そして実行のスピードアップのためには基本的には現場で決めて動く、つまり意思決定をより現場に近いところでやれるような組織に変えていきたいと思っています。
ただ、そのためには、社員全体のレベルが上がっていかないと、経営としては安心して任せることができないので、そういう意味でも人創りが最も重要な課題です。ただ単に制度上・形式上のコーポレートガバナンス体制をどうするかという以上に、会社全体の底上げにこれまで以上に注力していきたいと考えています。

 

 

Q:「では最後に株主・投資家へのメッセージをお願いいたします。」
A:「今期で中計は4年目に入りましたが、数字的には計画を順調にクリアしてきました。今後2年間は次の飛躍のための仕込みの時期。まだまだ変革は道半ばではありますが、収益力は着実に向上し、成長材料も多数育ってきています。株主や投資家の皆様には是非これからも当社の挑戦を応援していただきたいと思います。」

 

今期で中計は4年目に入りましたが、数字的には計画を順調にクリアしてきました。
元々中計は前半戦の5年と後半戦の5年という2つのパートに分かれていて、2025年になりたい姿を設定して、トップ戦略を打ち出してるのですが、2019年度と2020年度、この2年が次の飛躍につながる、足腰を鍛えなければならない最も重要な2年と考えています。
前半戦はどちらかと言うと、マレーシアからの脱却という側面が強く、昨年から成長戦略に舵を切ってはいるのですが、本格的に実行していくのは19年度、20年度。
つまり、この2年間にスピード感を持って、風土改革を進めながら新しいものを取り入れ、その種をまいて次の5年で刈り取る、本当の意味での成長のための仕込みの時期になります。
逆に言えば、この2年でそういう体制に変革していかないと、次の5年の飛躍はないと思っています。

 

おかげさまで財務的にもフリーハンドの幅を大きく広げることができましたので、今期の300億円レベルの投資を当面続けていこうと思っています。
基盤事業、いわゆる伝統事業では持続可能性を重視したテコ入れを、成長事業については積極的な研究開発や設備投資を行っていきます。

 

まだまだ変革は道半ばではありますが、収益力は着実に向上し、成長材料も多数育ってきています。
株主や投資家の皆様には是非これからも当社の挑戦を応援していただきたいと思います。

 

6.今後の注目点

増収ながら減益、計画未達という前期決算であったが、中計3年間の積み上げは着実に進んだ。半導体分野の足踏みなどマイナス材料もあるが、成長事業分野において放熱材料、歯科器材など好調な実績を上げ、下支えとなり始めているという。インタビューにあるように、この2年は2025年に向けて本格的に飛躍するための仕込の時期であり、減価償却費も増加するが、今期は増収増益を見込んでいる。
短期的には今期売上、利益を着実に伸ばしていくことができるかを、中長期的には、エレクトロニクス分野、ヘルスケア分野での新たな成長材料の登場、加えて「E:環境」分野でのリスクを最小化しつつビジネスチャンスを創出する取り組みに注目したい。

 

<参考1:中期経営計画「再生の礎」>

15年3月期、16年3月期に多額の減損損失を計上し無配に転じた同社は、新たな利益成長の原動力が必要であることから、2016年5月、「あらたなる創業」に向けたビジョンの下、5年間の中期経営計画「再生の礎」を策定・発表した。
組織風土の変革、事業戦略の再構築などの重要課題に取り組んでいる。

 

(1)中期経営計画「再生の礎」概要
①現状認識

 

無機化学・有機化学を事業基盤とした当社は、1970年代のオイルショックを経て、スペシャリティケミカル分野への進出や海外展開を推し進め、事業を拡大してきた。

2000年代後半に特殊品事業の収益性が上昇する一方で、化成品やセメントを中心とする汎用品事業は、国内の市場縮小の影響を受け、収益性が低下してきた。

高効率な製造所、国内屈指の自家発電能力などの創業来の強みを生かした化成品、セメント等を基盤とし、スペシャリティケミカル分野へ進出を図り、高純度化、粉体制御、有機・無機合成、結晶・析出、焼結など、新たな強みを培ってきた。

一方、スペシャリティケミカル分野で蓄積された技術力を、半導体向け多結晶シリコン以外の事業の拡大に十分に結びつけることができていなかった。新規事業創出の空白期間ができてしまった。

ネット有利子負債は2009年には実質無借金に近い水準まで低下したものの、その後マレーシアへの巨額投資に向けた資金調達により急速に増加し、財務体質も大幅に悪化。15年度のD/Eレシオは4.7倍まで上昇した。

 

 

こうした現状認識の下、伝統事業では国内汎用品市場の縮小、電子材料事業では成長率の鈍化が予想される中、以下の反省点を克服し、新たな利益成長の原動力を創り出すことが不可欠であると考えている。

 

「徳山製造所への過信と依存」
「内向き思考、待ちの姿勢の蔓延」
「コーポレートガバナンスの弱体化」
「全社及び各部門の戦略方向性が不明確」

 

②経営方針
以下の「トクヤマのビジョン」をベースに、事業体質の転換、仕事のやり方の抜本的な見直しを経営戦略の柱とし、2025年度までの達成を目指す。

 

(トクヤマのビジョン)

存在意義

化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する

目指す姿

量から質へ

 

(2025年度)

◇ 先端材料世界トップ

◇ 伝統事業日本トップ

 

 

価値観

◇ 顧客満足が利益の源泉

◇ 目線はより広くより高く

◇ 前任を超える人材たれ

◇ 誠実、根気、遊び心

 

(中長期の経営戦略)

経済環境の変動に強く、持続的に成長する 強靭な事業体質へ転換

従来の仕事のやり方の抜本見直しによる 全社的な低コスト体質への転換

 

(事業戦略の再構築)

 

目指す姿

達成手段

重視する指標

「成長事業」

・特殊品

・ライフアメニティー

・新規事業

『特有技術で先端材料の世界トップになる』

・顧客ニーズを徹底理解し、特有技術でニーズに応える

◇ 徹底した顧客起点の事業活動

◇ オープンイノベーションの活用

◇ アライアンス活用

◇ 研究開発体制の見直し

EBITDA成長率

「伝統事業」

・化成品

・セメント

『競争力で日本トップになる』

・汎用品市場で勝ち抜く

・貪欲に効率を追求する事業

◇ 維持更新投資の厳格化と、 競争力強化への戦略投資

◇ 定修期間の短縮化による修繕費の効率化

◇ 部門横断の改善活動強化

◇ アライアンス活用

ROA、CCC

 

(成長事業のドライバー)
成長事業では、先端分野において培ってきた特融技術を活用し、社会のニーズに応える製品開発を行う。
分野としては、ICT、ヘルスケアに期待している。
ICT分野においては、放熱材料の窒化アルミニウム生産ラインの増設、窒化ホウ素の事業化、多結晶シリコンの増産に取り組む。
ヘルスケア分野においては現在展開中の歯科器材、診断薬分野を核に、M&Aも視野に入れながらさらなる成長を目指している。

 

(部門横断的コスト削減活動)
原燃料、修繕費、物流費といった主要コスト項目削減のため、従来とは異なる部門横断的なアプローチや戦略的な設備投資実施によるコスト削減を目指す。
2020年に目標とする全社コスト削減額は40億円。

 

(研究開発)
既存事業の拡大、及び特有技術を活かした新規領域への展開を実現するため、研究開発体制を顧客ニーズに立脚したものへと転換する。
研究開発人員もコーポレートではなく、事業部やグループ会社のウェイトを高め、より一層外を向いた研究開発を進める。

 

(設備投資計画と戦略的投資枠の設定)
2016~2020年度5年間累計設備投資は960億円を計画。うち26%を多結晶シリコン高品質化対応、放熱材料拡充など新増設へ振り向け成長への足場作りを進める。
同時に成長事業の拡大や、伝統事業の競争力強化を目的とした戦略的投資枠200億円を別途設ける。内訳は、伝統事業に65%、成長事業に35%。

 

③重点課題と施策
4つの重点課題と施策を掲げ取り組みを進めている。

重点課題

施策

1.組織風土の変革

人事評価制度、グループ会社との人材交流、社外人材の積極登用などの抜本的な制度変革。

2.事業戦略の再構築

徹底した顧客起点の事業活動と顧客ニーズに立脚した研究開発体制への転換による、特有技術を活用した新規領域への展開。

アライアンスやオープンイノベーションなど、他社との提携による人材や情報等、経営資源の補強。

3.グループ経営の強化

グループ会社各社の位置づけを今一度明確にし、グループの成長戦略やコスト削減への貢献を求め、グループ全体としての経営管理を一段と強化

4.財務体質改善

利益の積み上げによる自己資本の回復。

優先株発行による財務基盤の早期安定化と、将来の成長加速に向けたM&A等への機動的対応への準備。

 

④最終年度(2020年度)達成目標

項目

目標

テーマ

売上高

3,350億円

量より質を重視

営業利益

360億円

高付加価値品シフトとコスト削減

ROA

10%

徳山製造所の潜在力の顕在化

 売上高営業利益率

10%

貪欲に効率化を追求

 総資産回転率

1.0回転

定期修理期間短縮などによる改善

CCC

55日

在庫削減、取引条件改善

D/Eレシオ

1倍

利益蓄積と外部資本による改善

*ROAは営業利益÷総資産。

 

 

<参考2:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年11月29日

 

<基本的な考え方>
当社は、2016年に制定した「トクヤマのビジョン」において、トクヤマグループの存在意義を「化学を通じて暮らしに役立つ価値を創造する」と定めました。トクヤマグループが培ってきた化学技術を用いて、新しい価値を創造し、提供し続けることを通じて、人々の幸せや社会の発展に貢献していきます。新しい価値を創造し、提供し続けることは、株主の皆様をはじめとして、顧客、取引先、従業員、地域社会等のステークホルダーの方々との信頼と協働によってこそ可能であり、それが持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に繋がると考えております。その実現のためには、コーポレートガバナンスは経営の重要な課題であり、常に充実を図ってゆく必要があると認識しています。以上が基本的な考え方です。
基本方針としては、コーポレートガバナンスコードを踏まえて、株主の皆様の権利・平等性の尊重、各種ステークホルダーとの適切な協働、適切な情報開示と透明性の確立、取締役会の独立性整備と監督機能の強化、意思決定の迅速化と責任の明確化、および株主の皆様との建設的な対話などに努めます。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

補充原則4-1-3【最高経営責任者の後継者計画】

最高経営責任者(社長執行役員)の選任については、経営理念や経営戦略を踏まえ慎重に行っていますが、後継者を計画的に育成するサクセションプログラムについては、その導入が課題であると認識しており、引続き検討します。

手続きについては、公正性・透明性を保証するために、人材委員会で慎重に審議の上、取締役会へ答申しており、これを受けて取締役会で決議しています。

補充原則4-11-1【取締役会の多様性に関する考え方】

「原則3-1(iv) 経営陣幹部の選解任と取締役の指名における方針と手続」にある通り、取締役会の全体としてのバランス及び多様性に配慮していますが、ジェンダー及び国際性を含む領域での多様性の確保が課題であると認識しています。

この点については、引続き検討します。

 

<開示している主な原則>

原則

開示内容

原則1-4【いわゆる政策保有株式】

当社は、経営戦略の一環として、取引の維持強化、資金調達、原材料の安定調達等事業活動の必要性に応じて、政策的に上場企業の株式を保有することがあります。

この政策保有上場株式については、効率的な企業経営を目指す観点から、可能な限り縮減します。

また、毎年取締役会において、リスクを織り込んだ資本コストと便益との比較により経済合理性を検証し、将来の見通しを踏まえて保有の適否を確認します。

当社は、当社と投資先企業双方の企業価値への寄与を基準に議決権を行使します。

原則5-1【株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、株主・投資家の皆様からの理解と信頼を得るため、会社の経営・財務情報のみならず社会に提供する製品・サービス、環境的・社会的側面などの非財務情報についても、適時・適切にかつわかりやすく開示するよう努めています。情報開示の基本姿勢、適時開示体制については、本報告書の「V-2.その他コーポレートガバナンス体制等に関する事項(適時開示体制の概要)」をご覧ください。

株主・投資家の皆様との建設的な対話を促進する統括的な役割は、広報・IRグループ所管部門長が担います。

対話の企画、実施などについては、広報・IRグループが主体となり、経営企画、経理・財務、CSR、総務、研究開発、事業部門など社内の各部署と密接に連携しています。

経営トップ自らが株主・投資家と対話を行うIR活動として、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会を年4回開催している他、証券会社主催のカンファレンスやスモールミーティングへの出席などを随時実施しています。またIR活動を担当する広報・IRグループは、国内外の機関投資家との

個別面談や個人投資家向け会社説明会などを行っています。その他IR活動の詳細については、本報告書の「III-2.IRに関する活動状況」をご覧ください。

株主・投資家の皆様との対話で得られたご意見等につきましては、経営トップと関係部署の責任者が出席するIR会議の中で確認・共有しているほか、IR報告書により社内の各部署へフィードバックし、経営戦略や事業戦略の策定や軌道修正に活かし、企業価値向上につなげています。

なお、インサイダー情報の管理については、社内規程を定め、秘密保持誓約等で情報管理を徹底しています。

 

 

 

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