ブリッジレポート
(9423) 株式会社フォーバル・リアルストレート

スタンダード

ブリッジレポート:(9423)フォーバル・リアルストレート vol.7

ブリッジレポートPDF

 

 

 

吉田 浩司 社長

株式会社フォーバル・リアルストレート(9423)

 

企業情報

市場

東証JASDAQ

業種

情報・通信

代表取締役社長

吉田 浩司

所在地

東京都千代田区神田神保町3-23-2 錦明ビル

決算月

3月

HP

https://www.realstraight.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

80円

23,422,800株

1,873百万円

38.0%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

1.40円

1.8%

2.56円

31.3倍

12.83円

6.2倍

*株価は5/29終値。発行済株式数、BPSは前期末実績、ROEは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

686

-

21

16

0.75

0.00

2016年3月(実)

925

32

32

32

1.40

0.00

2017年3月(実)

1,146

45

46

73

3.15

1.00

2018年3月(実)

1,281

56

56

68

2.93

1.20

2019年3月(実)

1,517

68

68

100

4.29

1.40

2020年3月(予)

-

75

75

60

2.56

1.40

*単位:円、百万円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益(以下、純利益については同様)。

 

フォーバル・リアルストレートの2019年3月期決算概要、2020年3月期業績予想、主な取り組み等についてご報告致します。

 

 

目次

 

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算
3.2020年3月期業績予想
4.主な取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年3月期の売上高は前期比18.4%増の15億17百万円。不動産仲介等の売上高が同24.2%増の1億58百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同17.8%増の13億59百万円と両事業とも好調だった。利益面では、OA機器販売のボリュームが拡大したため、粗利率は低下したが、粗利額は同13.9%増加。人件費中心に販管費も同13.2%増加したがこれを吸収し、営業利益は同21.3%増の68百万円、経常利益は同20.7%増の68百万円となった。5期連続の増収増益を達成。単価上昇など良好な事業環境に加え、物件獲得のための営業戦略も奏功し、利益は期初予想を上回って着地した。同社は売上高については予想を開示していないが、こちらも社内計画を上回った。好調な業績動向を踏まえ期末配当を従来予定の1.20円/株から1.40円/株に修正した。配当性向32.6%。

     

  • 20年3月期は営業利益、経常利益ともに前期比10.1%増の75百万円の予想。6期連続の増益を見込んでいる。低空室率、賃料堅調という事業環境に今期も大きな変化はないと認識しており、引き続きオフィス環境関連業務の収益拡大を図るべく、集客強化・成約率向上・顧客接点増加のための取り組みを強化していく。特に前期実績を上げた「比較的経験年数の少ないスタッフが小型物件を、経験豊富なスタッフが中大型物件を手掛ける営業戦略」を今期も積極的に推進する。配当は、前期と同じく1.40円/株を予定している。予想配当性向は54.7%。

     

  • 不動産仲介、内装工事及び付随サービスともに好調。5期連続の増収増益で、売上(社内計画)・利益とも予想を上回る好決算であった。会社側によれば不動産仲介件数のピークは2013年で、前期19年3月期の件数は15年3月期レベルという事だが、売上高は13年3月期を上回っており、単価上昇が不動産仲介売上拡大に寄与している。ただ、件数についても、「小型物件と中大型物件の担当制」、「不動産仲介と内装設計・OA機器販売の担当制」など、効率的な成約件数増を図る施策が功を奏しボトムアウトしてきたようだ。今期6期連続の増益を見込む同社の売上・利益の進捗を、ウォッチしていきたい。

     

1.会社概要

【1-1 事業内容】

「私たちはつねに経営視点でオフィスの成長ストーリーを描き実現するための方法をご提案することでお客様の成長に伴走していきます。」という考えの下、企業のオフィス移転をトータルにサポート。
不動産仲介(物件探し)から、内装・レイアウト設計、ネットワーク環境やOA 環境構築、オフィス機器・什器の手配、引越手配、更には旧オフィスの退去計画までを一貫してサポートしている。

 

(同社資料より)

 

 

【1-2 事業セグメント】

セグメントはソリューション事業の単一セグメント。
売上高は不動産仲介等の売上高および内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高の2つで構成されている。

 

 

【1-3 ビジネスモデルと強み】

・不動産情報をドアノックツールとしてオフィス移転需要を掘り起こし、その際に発生するコンサルティングを含めた、内装工事、OA・ネットワーク機器の更新、各種サービスの取次、更には旧オフィスの原状回復等の需要を取り込んでいく。

 

・通常、不動産仲介を行った顧客とは仲介時限りの取引関係となってしまうのに対し、OA・ネットワーク機器の新規導入や定期的な更新の提案などを行う同社は、仲介後もそうした顧客基盤をベースにストック型収益を上げることが可能である。また、そうした顧客接点を通じて顧客企業の増床・移転ニーズを他社に先駆けて吸い上げることもできる。

 

・需要の掘り起こしはWeb サイトを中心に、電話によるアウトバンドの営業も展開。引き合いがあれば、営業担当者にIT コンサルタントが同行して、不動産仲介物件だけでなく、オフィス移転後のIT コンサル、内装、各種サービスの取次、引っ越し、退去後の原状回復等の提案を行う。

 

・オフィスの移転には、通常、不動産会社、運送会社、内装工事会社、更には旧オフィスを管理する不動産会社(退去に伴う敷金の返金等で問題が生じる事が少なくない)等、多くの関係先と関わる必要があるが、同社と契約すれば、窓口を一本化でき、仮にトラブルが発生したとしても、同社が責任をもって対応する。

 

・不動産仲介の際に、引っ越し業者の紹介や取り次ぎをする不動産会社はあるが、内装工事やオフィス移転に際して更新する情報機器等に関するコンサルから手配・セッティングまで対応できる不動産会社はほとんどない。

 

・これまでは一人の営業社員が「不動産仲介」および「内装設計・OA機器販売等」の両方を担当していたが、2019年3月期より担当をそれぞれに分けることとした。
顧客にとっては窓口が一つの方が利便性は高いという面はあるものの、効率的な成約件数増を図るとともに顧客との関係を深化させるためには担当制を導入し、それぞれの業務に特化することが適切であると判断した。

 

【1-4 ROE分析】

 

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE(%)

38.3

51.9

33.8

38.0

売上高当期純利益率(%)

3.53

6.43

5.36

6.62

総資産回転率(回)

3.32

3.14

2.76

2.66

レバレッジ(倍)

3.27

2.57

2.29

2.16

 

安定的に高いROEを実現・維持している。
自己資本が積み上がりレバレッジが低下する中で、収益性を改善した結果としての高ROEは大いに注目されよう。

2.2019年3月期決算概要

(1)連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

1,281

100.0%

1,517

100.0%

+18.4%

-

売上総利益

689

53.8%

784

51.7%

+13.9%

-

販管費

632

49.4%

716

47.2%

+13.2%

-

営業利益

56

4.4%

68

4.5%

+21.3%

+4.8%

経常利益

56

4.4%

68

4.5%

+20.7%

+4.8%

当期純利益

68

5.4%

100

6.6%

+46.3%

+54.5%

*単位:百万円。

 

5期連続の増収増益。予想も上回る。
(事業環境)
大手不動産会社の調べによると、東京都心5区(千代田・中央・港・新宿・渋谷区)のオフィスビル市場においては、2019年3月末時点の平均空室率が1.78%となり、前年同月比1.02%低下。一方、東京都心5区の2019年3月末時点における平均賃料は21,134円/坪と前年同月比で1,435円(7.28%)上昇した。

 

(業績概要)
売上高は前期比18.4%増の15億17百万円。引き続き顧客企業の移転時における、不動産物件の仲介から内装工事、各種インフラの整備やオフィス機器・什器の手配までをトータルにサポートするソリューション事業を中心に事業活動を進めた。
売上の内訳は、不動産仲介等の売上高が同24.2%増の1億58百万円、内装工事及びそれに付随するサービスに関する売上高が同17.8%増の13億59百万円と両事業とも好調だった。

 

利益面では、OA機器販売のボリュームが拡大したため、粗利率は低下したが、粗利額は同13.9%増加。人件費中心に販管費も同13.2%増加したがこれを吸収し、営業利益は同21.3%増の68百万円、経常利益は同20.7%増の68百万円となった。

 

5期連続の増収増益を達成。単価上昇など良好な事業環境に加え、物件獲得のための営業戦略も奏功し、利益は期初予想を上回って着地した。同社は売上高については予想を開示していないが、こちらも社内計画を上回った。

 

好調な業績動向を踏まえ期末配当を従来予定の1.20円/株から1.40円/株に上方修正した。配当性向は32.6%。

 

(2)売上高の内訳

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

不動産仲介等

127

9.9%

158

10.4%

+24.2%

内装工事及び付随サービス

1,154

90.1%

1,359

89.6%

+17.8%

連結売上高

1,281

100.0%

1,517

100.0%

+18.4%

*単位:百万円

 

◎不動産仲介
顧客単価が前期比約4%上昇、成約件数が同約17%増加し、売上高、利益とも前期を上回った。
同社では数年前より人員増を積極的に進めてきたが、比較的経験年数の少ないスタッフが小型物件を、経験豊富なスタッフが中大型物件を手掛ける営業戦略が奏功し成約件数は2桁増加。

 

◎内装工事やOA機器・什器の販売
顧客単価が前期比約27%上昇、成約件数が同約3%増加し、売上高、利益とも前期を上回った。
不動産仲介における大型物件増加に伴い、同サービスにおいても件数が増加、単価も上昇している。

 

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

◎主要BS

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

流動資産

434

555

流動負債

222

295

現預金

273

390

仕入債務

103

117

売上債権

142

153

負債合計

222

295

固定資産

56

95

純資産

268

355

投資その他の資産

48

84

利益剰余金

151

223

資産

490

650

負債純資産

490

650

*単位:百万円

 

現預金の増加等で資産合計は前期末比1億60百万円増加の6億50百万円。仕入債務、未払金の増加等で負債合計は同73百万円増の2億95百万円。
利益剰余金の増加で純資産は同86百万円増の3億55百万円。
この結果自己資本比率は前期末より0.2ポイント低下し46.2%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/3期

19/3期

増減

営業CF

28

143

+115

投資CF

-15

0

+16

フリーCF

13

144

+131

財務CF

-21

-27

-5

現金・現金同等物

273

390

+117

*単位:百万円

 

税金等調整前当期純利益の増加等で営業CFのプラス幅は拡大。
差入保証金の差入による支出が減少した一方、差入保証金の回収による収入があり、投資CFはプラスに転じ、フリーCFのプラス幅は拡大した。
配当金支払額の増加で財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2020年3月期業績予想

◎連結業績予想

 

19/3期

構成比

20/3期(予)

前期比

売上高

1,517

100.0%

-

-

営業利益

68

4.5%

75

+10.1%

経常利益

68

4.5%

75

+10.1%

当期純利益

100

6.6%

60

-40.2%

*単位:百万円

 

2桁増益で、6期連続の増益を予想。
営業利益、経常利益ともに前期比10.1%増の75百万円の予想。6期連続の増益を見込んでいる。

 

低空室率、賃料堅調という事業環境に今期も大きな変化はないと認識している。
そうした事業環境の下、オフィス環境関連業務の収益拡大を図るべく、集客強化・成約率向上・顧客接点増加のための取り組みを強化していく。
特に前期実績を上げた「比較的経験年数の少ないスタッフが小型物件を、経験豊富なスタッフが中大型物件を手掛ける営業戦略」を今期も積極的に推進する。
配当は、前期と同じく1.40円/株を予定している。予想配当性向は54.7%。

 

4.主な取り組み

持続的に売上、利益を拡大させるための主な取り組みは以下の通り。

 

①人員の増強
同社では着実な売上増のためには不動産仲介を担当する営業社員の増強が必要と考え、年間6名程度を目途に新卒社員の採用を続けている。状況に応じて中途採用も行っているが、現在のところ新卒採用は順調に進んでいる。

前述のように、前期より、経験の浅い社員は小型物件、経験豊富な社員は中大型物件を手掛けることとし、これが成約件数の2桁増に繋がった。着実な営業社員増がこの成果に繋がっている。

 

②WEBを中心とした集客強化・確実な顧客化
不動産仲介を伸長させるには集客数の増大およびその後の確実な顧客化が必要だが、この点でも様々な取り組みを進めている。

 

Web サイトを中心としたインバウンドにおいては掲載情報量に加え、近年は情報の質の高さも集客の重要な要素となっているため、写真や説明文章の制作については専門のカメラマンやライターを採用するケースを増やしている。
360度カメラを用いてWeb サイト来訪者の関心を高めるといった工夫も行っている。

 

また、集客した見込み先の顧客化確率をアップさせるため、問い合わせ対応や物件情報の収集・整理を担う営業推進部を設置した。役割分担を明確化し、成約率向上を図る。

 

③人材育成
最も重要な経営資源の一つ、人材の育成について積極的な投資を行っている。
宅建(宅地建物取引主任者)を手始めに、二級建築士や一級建築士など、より高度な資格の取得もバックアップしていく考えだ。

 

5.今後の注目点

19年3月期は不動産仲介、内装工事及び付随サービスともに好調。5期連続の増収増益で、売上(社内計画)・利益とも予想を上回る好決算であった。
会社側によれば不動産仲介件数のピークは2013年で、前期19年3月期の件数は15年3月期レベルという事だが、売上高は13年3月期を上回っており、単価上昇が不動産仲介売上拡大に寄与している。
ただ、件数についても、「小型物件と中大型物件の担当制」、「不動産仲介と内装設計・OA機器販売の担当制」など、効率的な成約件数増を図る施策が功を奏しボトムアウトしてきたようだ。
今期6期連続の増益を見込む同社の売上・利益の進捗を、ウォッチしていきたい。

 

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

4名、うち社外0名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年7月4日

 

基本的な考え方
当社は、経営の透明性及び健全性の確保、向上に努めることは、企業の当然の責務であると認識しております。企業価値の向上と競争力強化のためには、常に組織の見直し及び職務権限の明確化を図り、コーポレート・ガバナンスが有効に機能するよう取り組んでおります。また、意思決定の迅速化のために、取締役会の機能充実を図るとともに、監査役及び監査役会による監視、内部統制の体制についても強化しております。

 

<実施しない原則とその理由>
当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則を全て実施しております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

Copyright(C) 2019 Investment Bridge Co.,Ltd. All Rights Reserved.