ブリッジレポート
(2722) 株式会社IKホールディングス

スタンダード

ブリッジレポート:(2722) アイケイ 2019年5月期決算

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飯田 裕 会長兼CEO

株式会社アイケイ(2722)

 

企業情報

市場

東証2部・名証2部

業種

小売業(商業)

代表取締役

会長兼CEO

飯田 裕

所在地

名古屋市中村区名駅3-26-8 KDX名古屋駅前ビル

決算月

5月末日

HP

https://www.ai-kei.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

471円

7,808,000株

3,677百万円

9.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

12.00円

2.5%

53.76円

8.8倍

359.61円

1.3倍

*株価は 7/17終値。発行済株式数、ROE、DPS、EPS、BPSは19年5月期決算短信より。

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年5月(実)

13,908

205

182

73

9.85

5.00

2017年5月(実)

15,273

557

554

425

57.13

7.50

2018年5月(実)

18,337

898

899

641

86.07

10.00

2019年5月(実)

17,614

431

437

238

31.85

12.00

2020年5月(予)

16,946

577

585

402

53.76

12.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。2017年12月1日付、2018年4月1日付でそれぞれ1:2の株式分割を実施。
EPS、DPSは遡及して調整。

 

株式会社アイケイの2019年5月期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年5月期決算概要
3.2020年5月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年5月期の売上高は前期比3.9%減の176億14百万円。インバウンド需要が低調。粗利率は上昇し、粗利額も増加したが、テレビショッピングの主力商品「バタフライアブス」の売上効率が低下。販管費増をカバーできず営業利益は同51.9%減の4億31百万円となった。18年10月19年4月と2度の業績見通し下方修正を行った。5期ぶりの減収減益となった。

     

  • 20年5月期の売上高は前期比3.9%減の169億46百万円、営業利益は同33.6%増の5億77百万円の予想。配当は前期と変わらず12.00円/株の予定。予想配当性向は22.3%。世界で唯一の「マーケティングメーカー」を極めるために、BtoCとBtoBtoCの歯車を回しながらマーケットデータを分析し、それを商品開発に生かし、プロモーション付きで再度BtoCとBtoBtoCの多彩な販路へ商品を販売していく。また、社員教育制度の充実、RPA・AIを駆使した社内業務の効率化など「生産性の向上」にも注力する。

     

  • 残念ながら再度の下方修正となり、5期ぶりの減収減益となってしまった。減収の主要因であるインバウンド需要の落ち込みは今期も大きな回復は望みにくいであろうから、今期以降の回復のカギを握るのは新しいビジネスモデルとして前期にほぼ確立した「TVショッピングを起点としたマルチチャネル販売」がどこまで強力に稼働するかであろう。会社側は、最適なTVショッピング枠のポートフォリオを組むことができるレベルまで商品ラインアップは充実してきたと考えている。実績のあるヒット商品「バタフライアブズ DT」を始めとした各製品の販売動向を注目したい。

     

  • 一方、同社成長戦略の大きな柱となるメイクアップ化粧品「LB」の中国市場での販売は、今期中にNMPA(旧CFDA)の許認可が20SKU追加される予定で、既存SKUと合わせラインアップは50SKUとなり、本格展開の基盤ができあがる。台湾、香港、韓国でも動きが出始めているということであり、具体的な進捗を期待したい。

     

1.会社概要

独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」。雑貨類・食品類・化粧品といった商品を生協、通販会社、店舗、TVショッピングなど多様な販売先を通じて販売するメーカーベンダー事業、化粧品を販売するSKINFOOD事業、コンタクトセンターの構築等を提供するITソリューション事業の3事業を展開。
経営理念に「ファンつくり」を掲げ、全てのステークホルダーにファンになってもらえるグループ経営を目指している。

 

【1-1 沿革】

高校・大学時代を自由な校風の中で過ごし、元来起業家精神が旺盛であった飯田 裕氏(現代表取締役会長兼CEO)は、損害保険会社勤務を経て1982年5月にアイケイ商事有限会社を設立。様々な商材の販売を手掛けていた中で、愛知県生活協同組合連合会の購買担当者の知遇を得て1983年4月に同生協の口座を開設し、職域生協との取引を開始した。
最初の商材である充電式クリーナーのチラシ販売が大ヒットとなったことが契機となり、全国他生協への横展開が進むとともに、取扱商品も増加し、業容は急速に拡大。2001年12月にJASDAQ市場に上場した。
上場に伴う認知度及び信用力の向上もあり百貨店通販や通販会社への商品供給も本格的に始まり、販売先も着実に拡大し、2007年5月期まで25期連続増収を達成した。

 

しかしリーマンショックで成長にブレーキがかかったのをきっかけに、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」への転換を図るとともに、それまでの「B to B to C」に加え直接消費者に商品を提供する「B to C」チャネルも構築し再び成長軌道に回帰した。
2014年9月にはTVショッピング大手である株式会社プライムダイレクトを100%子会社にするなど、M&Aにも積極的に取り組んでいる。

 

【1-2 経営理念】

ファンつくり

21世紀のリーディングカンパニーとなるために追及すべきことは売上高、資本金、社員数の多寡ではなく、100年先の未来を見据えたとき、出来るだけ多くの方に「ファン」になって頂くことが企業としての繁栄に繋がると考え、「アイケイに関わる全ての人たちに『ファン』になって頂く」ことを目標として、「ファンつくり」を経営理念とした。

 

【1-3 事業内容】

19年5月期までの事業セグメントは、雑貨類・食品類・化粧品などを販売するメーカーベンダー事業、化粧品を販売するSKINFOOD事業、コンタクトセンターの構築等を提供するITソリューション事業の3つ。
なお、20年5月期より経営スピードの向上、成長事業への集中投資等が成長に必要であることに加え、投資家の理解促進のために事業セグメントを「BtoBtoC事業」「BtoC事業」「その他」に変更することとした。

 

 

*新セグメントについて
旧セグメントを以下のように新セグメントに組み替える。

旧セグメント

事業内容

新セグメント

メーカーベンダー事業

生協ルートでの卸売

BtoBtoC事業

通販ルートでの卸売

店舗ルートでの卸売

海外ルートでの卸売

インバウンドルートでの小売

BtoC事業

TV・ECルートでの小売

SKINFOOD事業

SKINFOOD店舗での小売

ITソリューション事業

通話録音システムの構築等

その他

*ITソリューション事業は、重要性に乏しいので「その他」とする。

 

(1)メーカーベンダー事業
メーカーとして企画・開発した化粧品、アパレル、靴・バッグ、美容・健康関連商品等を、生協、通販会社、店舗など多様な販売先に提供する「メーカーベンダー業態」と、自社WEBSITEや子会社のTVショッピング枠を通じて直接消費者に提供する「メーカー小売業態」の2業態を展開している。
アジアを中心とした海外のバラエティショップ、ドラッグストア、TVショッピング、WEBサイトにも商品を提供している。

 

(主な販売ルート)

生協ルート

コープさっぽろ、コープ東北、コープデリ連合会、パルシステム連合会、東都生協、ユーコープ、東海コープ事業連合、コープきんき事業連合、コープこうべ、コープCSネット、コープ北陸事業連合、グリーンコープ事業連合、コープ九州事業連合、全国の学校生活協同組合、愛知県生活協同組合連合会、日本生活協同組合連合会など。

通信販売ルート

㈱高島屋、㈱三越伊勢丹、㈱東急百貨店、㈱ディノス・セシール、㈱ベルーナ、㈱千趣会、㈱ニッセン、イオンリテール㈱、㈱ジャパネットたかた、㈱オークローンマーケティング、auコマース&ライフ㈱、㈱エー・ビー・シーメディアコム、アスクル㈱、㈱J・A・Fサービス、㈱JALUX、㈱JR東日本商事、㈱読売エージェンシー、㈱世界文化社、㈱小学館集英社プロダクション、㈱QVCジャパン、㈱グランマルシェ、㈱産経デジタル、㈱日テレ7、㈱ロッピングライフ、㈱ニッポン放送プロジェクト、㈱日本文化センター、㈱全国通販、グリーンスタンプ㈱、㈱シャディ、㈱テレビショッピング研究所など。

店舗ルート

バラエティー系:㈱ドン・キホーテ、㈱長崎屋、㈱UDリテール、㈱ロフト、㈱コスメネクスト、㈱東京ドーム、㈱SLHプラザスタイルカンパニー、㈱イズミ、㈱東急ハンズなど。

ドラッグ系:㈱マツモトキヨシホールディングス、㈱ツルハホールディングス、㈱コクミン、㈱クリエイト

エス・ディー、㈱アインファーマシーズ、 ㈱サンドラッグ、㈱トモズ、スギホールディング

ス㈱、㈱ココカラファインなど。

H C 系 :DCMホールディングス㈱、コメリ㈱、㈱カインズ、㈱ナフコなど。

家電系:㈱ヤマダ電機、㈱ビックカメラ、㈱ヨドバシカメラなど。

海外ルート

ニュージーランド、アメリカ、中国、台湾、香港、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピン、オーストラリア、ベトナム、カンボジア

 

(主な取扱製品)

 

≪化粧品≫

 

 

< LB >

< B!FREE+ >

 

 

< intima >

< SKINFOOD >

 

 

 

≪雑貨品≫

 

< バタフライアブス DT >

 

< LOCOX >

 

< ステップ8 >

 

< スピードヒートベスト >

 

 

 

≪食品≫

 

 

< 熟成黒にんにく >

< はとむぎエキス >

 

 

< ローカロ生活>

< プロシア8 >

 

(同社WEBSITEより)

 

 

(2)SKINFOOD事業
100%連結子会社株式会社フードコスメが、韓国化粧品ブランドのフードコスメティック「SKINFOOD」の店舗展開を国内主要都市の駅ビルを中心に行っている。
店舗数は、2019年5月末現在、直営店21店舗、FC店2店舗の合計23店舗。

 

(3)ITソリューション事業
100%連結子会社アルファコム株式会社が、音声通話録音システム「Voistore」などコンタクトセンター構築に関わるシステムや、ビジネス版LINE「LINE WORKS」、チャットシステム「M-Talk」などを販売している。

 

 

【1-4特長と強み:マーケティングメーカーとしてのビジネスモデル】

同社を特徴づけている最大のポイントは、独自のプロモーション戦略で商品の企画・製造・販売・物流を自社で一貫して行う「マーケティングメーカー」としてのビジネスモデルであろう。
同社のビジネスモデルは以下の3つの機能によって構成されている。

 

(1)強力な商品開発・発掘・調達力
幅広い販路から得た情報や30年以上に亘って培ってきた経験を活かし、魅力ある商品を開発・発掘・調達している。
月に1回「開発承認会議」を開催し、それぞれ7~8名で構成される化粧品、雑貨、食品の3チームが、役員や販売担当責任者に対して新商品の提案を行う。
チャレンジを貴ぶ同社では各チームが自由な発想の下、毎月平均10以上のアイテムを提案するが、全てが承認されるわけではない。
同社では商品開発について「オリジナリティ重視」、「徹底的な差別化」等を定めた「開発十訓」が定められており、提案された商品はこれを基に厳しく批評されたり、宿題を出されたりするが、こうしたプロセスが開発担当者を鍛え、更なる商品開発力の強化に繋がっている。

 

(2)高いマーケティング力
ヒット商品の開発にあたって大きな力を発揮しているのが「高いマーケティング力」だ。
候補となった商品が実際に売れるのかを多彩な販売チャネルを使ってテストマーケティングを実施。その結果を受け、パッケージ、時期、ターゲット、価格など、様々な点で工夫を加え新たなプロモーションを行うことで、数多くのヒット商品を生み出している。

 

(3)多彩な販売チャネル
上記の多彩な販売先に対し単に商品を提案するのではなく、他チャネルでの成功事例なども合わせ、その販売チャネルで最も売れる売り方や見せ方も提案している。
販売先のニーズやフィードバックにアイケイならではのアイデアを融合させ、日々ブラッシュアップを行っている。
商品選定にとどまらず、カタログや媒体の制作、品質管理、受注業務、物流業務、カスタマーサービスまで、販路に合わせた全てのソリューションを販売先に提供しているのも大きな特徴である。

 

ソリューション

概要

制作

企画に合わせたチラシ・カタログサイズで売れる紙面を制作する。

受注業務

電話、メール、FAX、はがきなど全ての受注スタイルに対応したフレキシブルな基幹システムを有しており、より正確で迅速な受注業務を行っている。

品質管理

コンプライアンス遵守のほか、商品ジャンルごとに自主基準を設け、クレームの未然防止につなげる商品チェックを行っている。

物流業務

5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)の行き届いた自社物流センターからエンドユーザー宛に個別宅配の出荷を行っている。

カスタマーサービス

社内スタッフによるコールセンターで商品の問合せ、配送や交換相談までアフターサービスをワンストップで対応している。

 

多くの同業他社が商品の企画・マーケティングのみに特化していたり、販売チャネルが店舗に限られていたり、商品の製造や物流を他社に一任していたりするのに対し、同社は柔軟に対応できるシステムとノウハウを持つことで、他社には真似のできない独自のプロモーション戦略を実行することが可能である。

 

 

【1-5 ROE分析】

 

13/5期

14/5期

15/5期

16/5期

17/5期

18/5期

19/5期

ROE(%)

4.2

-2.3

-3.4

4.9

25.0

29.0

9.1

 売上高当期純利益率(%)

0.51

-0.29

-0.40

0.53

2.79

3.50

1.35

 総資産回転率(回)

2.81

2.74

2.75

2.93

3.04

3.19

2.69

 レバレッジ(倍)

2.89

2.91

3.07

3.18

2.95

2.60

2.51

 

3要素全て低下、中でも売上高当期純利益率の低下の影響からROEは1ケタ台まで低下した。
今期の売上高当期純利益率は2.37%の前期より上昇する予想。確実な業績予想達成によるROEの上昇が期待される。

 

2.2019年5月期決算概要

(1)連結業績概要

 

18/5月期

構成比

19/5月期

構成比

対前期比

期初予想比

修正予想比

売上高

18,337

100.0%

17,614

100.0%

-3.9%

-13.8%

+0.7%

売上総利益

7,794

42.5%

7,974

45.3%

+2.3%

-

-

販管費

6,895

37.6%

7,543

42.8%

+9.4%

-

-

営業利益

898

4.9%

431

2.5%

-51.9%

-59.0%

+1.1%

経常利益

899

4.9%

437

2.5%

-51.3%

-59.0%

-0.3%

当期純利益

641

3.5%

238

1.4%

-62.9%

-66.9%

-17.9%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。修正予想は19年4月発表分。

 

インバウンド需要低調で減収。売上効率の低下、販管費増で減益。
売上高は前期比3.9%減の176億14百万円。インバウンド需要が低調。
粗利率は上昇し、粗利額も増加したが、テレビショッピングの主力商品「バタフライアブス」の売上効率が低下。
販管費増をカバーできず営業利益は同51.9%減の4億31百万円となった。
18年10月19年4月と2度の業績見通し下方修正を行った。5期ぶりの減収減益となった。

 

(販管費の推移)

 

18/5期

売上比

19/5期

売上比

前期比

人件費

1,433

7.8%

1,416

8.0%

-1.2%

広告宣伝費

2,840

15.5%

3,286

18.7%

+15.7%

荷造運賃

1,087

5.9%

1,124

6.4%

+3.4%

販管費合計

6,895

37.6%

7,543

42.8%

+9.4%

単位:百万円

 

TVショッピングの放映枠の増加と新商品のテスト販売の増加等で広告宣伝費の売上比率が上昇した。
荷造運賃も増加した。

 

◎四半期動向

 

17/5

1Q

2Q

3Q

4Q

18/5

1Q

2Q

3Q

4Q

19/5

1Q

2Q

3Q

4Q

売上高

3,177

3,893

4,094

4,108

4,239

5,032

4,178

4,887

4,790

4,566

4,067

4,191

増収率

+1.2%

+8.4%

+12.1%

+16.6%

+33.4%

+29.2%

+2.1%

+19.0%

+13.0%

-9.3%

-2.7%

-14.2%

営業利益

57

153

210

135

208

310

90

289

61

156

56

157

増益率

+227.1%

+382.1%

+156.1%

+83.8%

+260.9%

+101.9%

-57.2%

+114.2%

-70.4%

-49.5%

-37.5%

-45.7%

営業利益率

1.8%

3.9%

5.1%

3.3%

4.9%

6.2%

2.2%

5.9%

1.3%

3.4%

1.4%

3.8%

*単位:百万円
四半期ベースでは、第2四半期から3四半期連続で前年同期比減収減益となった。

 

(2)セグメント別動向

 

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

売上高

 

 

 

 

 

メーカーベンダー事業

17,089

93.2%

16,336

92.7%

-4.4%

SKINFOOD事業

1,033

5.6%

1,009

5.7%

-2.3%

ITソリューション事業

214

1.2%

268

1.5%

+25.4%

合計

18,337

100.0%

17,614

100.0%

-3.9%

営業利益

 

 

 

 

 

メーカーベンダー事業

657

3.8%

385

2.4%

-41.4%

SKINFOOD事業

232

22.5%

37

3.7%

-83.8%

ITソリューション事業

2

1.3%

3

1.3%

+27.1%

調整額

5

-

5

-

-2.5%

合計

898

4.9%

431

2.5%

-51.9%

*単位:百万円。営業利益の構成比は営業利益率。

 

①メーカーベンダー事業
減収減益。
生協ルート、店舗卸ルートでの売上は増収だったが、インバウンド需要の減速や中国でのNMPA(National Medical Products Administration:国家薬品監督管理局、旧 CFDA)登録の遅れもあり海外ルートが減収となった。
また、TV媒体等を増加させたことから広告宣伝費が前期より23%増加した一方、今後のテストマーケティングのための露出も増やしたためTVショッピングの売上効率(MR=メディアレーション)が190%から171%にダウンしたことにより、十分な収益を確保できず減益となった。

 

(販売ルート内訳)

 

18/5期

構成比

19/5期

構成比

前期比

生協

6,807

40%

6,997

43%

+2.8%

WEB・TV

4,436

26%

4,262

26%

-3.9%

通信販売

2,780

16%

2,438

15%

-12.3%

海外

1,699

10%

1,064

7%

-37.4%

店舗

1,366

8%

1,573

10%

+15.2%

*単位:百万円。

 

②SKINFOOD事業
減収減益。
2018年10月、SKINFOOD 事業のフランチャイザーである韓国・SKINFOOD Co.,Ltdがソウルの裁判所に回生手続(日本の民事再生手続に相当)開始の申立てを行ったことなどから若干の減収。
ただ、インバウンド需要の減速によりインバウンド店舗運営代行での収入が大きく減少したため減益となった。
19年5月末の店舗数は直営店21店舗(前年同期末20店舗)、FC店2店舗(同3店舗)の合計23店舗。

 

③ITソリューション事業
増収増益。
主力商品のM-Talk(チャットシステム)の売上が堅調に推移した。

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18年5月末

19年5月末

 

18年5月末

19年5月末

流動資産

5,324

5,741

流動負債

3,175

3,123

現預金

560

410

仕入債務

1,431

1,094

売上債権

2,678

2,766

短期借入金

631

1,143

たな卸資産

1,533

2,054

固定負債

589

1,006

固定資産

964

1,077

長期借入金

328

742

有形固定資産

322

364

負債合計

3,764

4,129

無形固定資産

166

121

純資産

2,524

2,688

投資その他の資産

475

590

利益剰余金

1,753

1,917

資産合計

6,288

6,818

負債純資産合計

6,288

6,818

*単位:百万円

 

 

借入金残高

959

1,885

 

 

 

自己資本比率

40.1%

39.4%

 

たな卸資産の増加で流動資産は前期末に比べ4億17百万円の増加。固定資産は同1億12百万円増加し、資産合計は同5億29百万円増加の68億18百万円となった。借入金の増加などで負債合計は同3億64百万円増加の41億29百万円となった。利益剰余金の増加などで純資産は同1億64百万円増加の26億88百万円。
自己資本比率は前期末より0.7%低下し39.4%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/5月期

19/5月期

増減

営業CF

722

-722

-1,444

投資CF

-243

-275

-32

フリーCF

478

-998

-1,477

財務CF

-42

852

+895

現金同等物残高

687

542

-145

*単位:百万円

 

利益減、仕入債務の減少などで営業CFおよびフリーCFはマイナスに転じた。
長短借入金の増加で財務CFはプラスに転じた。キャッシュポジションは低下した。

 

3.2020年5月期業績予想

(1)通期業績予想

 

19/5月期

構成比

20/5月期(予)

構成比

前期比

売上高

17,614

100.0%

16,946

100.0%

-3.8%

営業利益

431

2.5%

577

3.4%

+33.6%

経常利益

437

2.5%

585

3.5%

+33.6%

当期純利益

238

1.4%

402

2.4%

+68.8%

*単位:百万円。予想は会社側発表。

 

減収増益。
売上高は前期比3.9%減の169億46百万円、営業利益は同33.6%増の5億77百万円の予想。
配当は前期と変わらず12.00円/株の予定。予想配当性向は22.3%。

 

(2)今後の戦略

全社的な取り組みとしては、世界で唯一の「マーケティングメーカー」を極めるために、BtoCとBtoBtoCの歯車を回しながらマーケットデータを分析し、それを商品開発に生かし、プロモーション付きで再度BtoCとBtoBtoCの多彩な販路へ商品を販売していくことに加え、社員教育制度の充実、RPA・AIを駆使した社内業務の効率化など「生産性の向上」にも注力する。

 

(同社資料より)

 

(3)セグメント動向

【1-3 事業内容】で触れたように、経営スピードの向上、成長事業への集中投資等が成長に必要であることに加え、投資家の理解促進のために今期より事業セグメントを「BtoBtoC事業」「BtoC事業」「その他」に変更することとした。

(同社資料より)

 

加えて、ダイエットサプリメントのWEB販売を行っているグレーシャス社を2019年9月1日付けでアイケイが吸収合併する予定であるほか、香港のI.K Trading Company Limitedと艾瑞碧(上海)化粧品有限公司を2020年5月期より連結対象とする。

 

(セグメント別売上予想)

 

19/5期

構成比

20/5期(予)

構成比

前期比

BtoC事業

5,991

34.0%

4,607

27.2%

-23.1%

BtoBtoC事業

11,354

64.5%

12,019

70.9%

+5.9%

その他

268

1.5%

320

1.9%

+19.0%

合計

17,614

100.0%

16,946

100.0%

-3.8%

*単位:百万円

 

①BtoC事業
◎TV・ECルート
新商品のテストマーケティングを繰り返し、来期以降も安定的にヒット品をデビューさせる体制構築を目指す。
以前より常に5アイテム程度のヒット品を確保できる状態を保ち、TVショッピング枠の最適化を計ってきたが、ラインアップの充実により、最適なTVショッピング枠のポートフォリオを組むことができるようになってきた。

 

(雑貨品)
・バタフライアブスのリニューアル版「バタフライアブス DT」の拡販
・新商品「ステップ8」、「エアーヨーン」の放映枠拡大
・10月から「スピードヒートベスト」の販売開始

 

(食品)
・「黒にんにく」のテレビ放映開始

 

◎店舗ルート
SKINFOOD化粧品の店舗販売を拡大する。
・サンプル引換券、LINE獲得、友人紹介カードにより反復来店率の向上を図る。
・接客の強化やInstagram公式アカウントの活用により記憶に残る店づくりに努める。
・「食べ物からできた化粧品=SKINFOOD」という安全・安心を訴求し、再ブランディングを図る。

 

②BtoBtoC事業
◎成長事業の推進
*LBを始めとした化粧品群
・「LB」の取扱店舗数を2,000店舗から、今期末2,300店舗へ拡大する。
・「スリーインワンアイブロウ」の新色3色を発売するほか、新商品「ハイマットルージュ」「パウダーアイシャドウ」の発売を開始するなど、ラインアップを拡充する。
・SNS(Youtube、Instagram)を用いた販売促進を強化する。

 

*海外での化粧品販売の拡大
・海外子会社2社の連結による海外販売の強化
・中国でのNMPA(衛生登録)の取得による販路の拡大

 

◎BtoC事業とのシナジー強化
・TVショッピングを起点としたマルチチャネル販売を強化し、中でも自社開発商品の販売拡大・粗利益率の向上を目指す。

 

4.今後の注目点

残念ながら再度の下方修正となり、5期ぶりの減収減益となってしまった。減収の主要因であるインバウンド需要の落ち込みは今期も大きな回復は望みにくいであろうから、今期以降の回復のカギを握るのは新しいビジネスモデルとして前期にほぼ確立した「TVショッピングを起点としたマルチチャネル販売」がどこまで強力に稼働するかであろう。
会社側は、最適なTVショッピング枠のポートフォリオを組むことができるレベルまで商品ラインアップは充実してきたと考えている。実績のあるヒット商品「バタフライアブズ DT」を始めとした各製品の販売動向を注目したい。
一方、同社成長戦略の大きな柱となるメイクアップ化粧品「LB」の中国市場での販売は、今期中にNMPA(旧CFDA)の許認可が20SKU追加される予定で、既存SKUと合わせラインアップは50SKUとなり、本格展開の基盤ができあがる。台湾、香港、韓国でも動きが出始めているということであり、具体的な進捗を期待したい。

 

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

7名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2018年12月14日

 

<基本的な考え方>
当社は、コーポレート・ガバナンスが有効に機能することが求められる中、上場企業として社会的使命と責任を果たすため、経営基盤を充実し、尚且つ高い倫理観を保持し、経営の透明性を一層高めることで、信頼される企業を目指してまいります。
また、当社は経営環境の変化に迅速かつ的確に対応できる経営体制の確立を重要な経営課題の一つと考えており、定時取締役会(月1回開催)、臨時取締役会(必要に応じて随時開催)のほか、常勤取締役(監査等委員である取締役を含む)及び執行役員による社内役員会(週1回開催)、チームマネージャー職以上で構成されるTOP会議(週1回開催)の開催により、多方面からの情報共有に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

【補充原則1-2.(4)議決権の電子行使、招集通知の英訳】

当社は、現状、議決権電子行使プラットフォームの利用や株主総会招集通知の英訳等は行っておりませんが、機関投資家や海外投資家の株主構成等を踏まえ、株主の利便性も考慮し、必要に応じて検討してまいります。

【補充原則4-1.(2)中期経営計画の説明】

当社は、中期計画を策定しておりますが、中期ビジョンを掲げることで株主・投資家との共有認識を醸成できるよう努めております。中期の利益計画については開示しておりませんが、今後も開示の有無について検討いたします。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

原則

開示内容

【原則1-4 いわゆる政策保有株式】

当社は、取引先との継続的かつ安定的で良好な取引関係の維持・強化につながる政策保有株式を保有します。ただし、リターンとリスク等を踏まえ、中・長期的な観点から定期的に検証し、必要性が認められなくなった場合には売却を進めます。当該株式については、毎年、取締役会において保有目的や合理性、取得価格と時価との比較、受取配当金の状況等を検証し、保有の必要性を確認しております。

議決権行使については、すべての議案に対して、原則、賛成行使しますが、株主価値の毀損につながる議案に関しては個別に精査いたします。

なお、議決権行使は、当該会社の状況や当社との関係維持・強化などを総合的に判断するため、外形的な基準を設けておりません。

【原則5-1 株主との建設的な対話に

関する方針】

当社では、管理チーム総務グループをIR担当部署とし、株主からの対話の依頼に対しては、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するよう合理的な範囲で対応しております。

代表取締役会長が、株主や機関投資家に対して、決算説明会を年に2回開催しております。なお、説明会に参加できない株主や投資家に対しては、当社のホームページにその決算説明会資料及び動画を掲載しております。

 

 

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