ブリッジレポート
(3110) 日東紡

プライム

ブリッジレポート:(3110)日東紡績 2019年3月期決算

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辻 裕一 社長

日東紡株式会社(3110)

 

企業情報

市場

東証1部

業種

ガラス・土石製品(製造業)

代表取締役CEO

辻 裕一

所在地

東京都千代田区麹町2-4-1 麹町大通りビル

決算月

3月末日

HP

https://www.nittobo.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

2,349円

39,935,512株

93,808百万円

9.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

40.00円

1.7%

159.78円

14.7倍

2,312.06円

1.0倍

*株価は 7/11終値。発行済株式数、ROE、DPS、EPS、BPSは19年3月期決算短信より。

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

86,199

10,893

10,974

5,598

140.50

30.00

2017年3月(実)

83,324

11,148

11,396

7,479

188.57

35.00

2018年3月(実)

84,526

10,837

11,071

10,253

263.97

40.00

2019年3月(実)

82,292

8,198

8,934

7,984

205.76

40.00

2020年3月(予)

90,000

8,500

8,800

6,200

159.78

40.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。

 

日東紡績株式会社の、業績動向、中期経営計画の進捗状況などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算概要
3.2020年3月期業績見通し
4.中期経営計画「Go for Next 100」の進捗
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

 

 

今回のポイント

  • 19年3月期の売上高は前期比2.6%減の822億円。繊維、原繊材が減収。営業利益は同24.3%減の81億円。高付加価値品のうちスペシャルガラスは好調だったものの、スマートフォンの生産調整から極細ヤーン・極薄クロスが減収でマイナス寄与となった。原燃料費の高騰も影響した。成長のための基盤強化投資は予定通り実行。経常利益は同19.3%減の89億円。前期の為替差損がなくなり為替差益2億円を計上。当期純利益は同22.1%減の79億円。投資有価証券売却益8億円を特別利益に、減損損失10億円を特別損失に計上した。ほぼ19年2月発表の修正予想通りの着地だった。

     

  • 20年3月期の売上高は前期比9.4%増の900億円の予想。原繊材事業、機能材事業、ライフサイエンス事業が牽引。営業利益は同3.7%増の85億円を計画。スペシャルガラスの設備投資効果が下期から発現する計画で前期比増益。引き続き、新規投資にかかる減価償却費を含めた中長期的成長を目的とした基盤強化を実行する。また、今期も円高、オイル価格および物流費等の物価上昇の影響も見込んでいる。配当は前期と同じく40円/株の予定。予想配当性向は25.0%。為替の前提は前期の110.7円/USDより2.7円円高の108.0円/USD。

     

  • 前回のレポートでは、「短期的には、第3四半期、第4四半期でどれだけ売上を積み上げていくかを注目したい」と述べたが、高付加価値品のうちスペシャルガラスは好調だったものの、スマートフォンの生産調整から極細ヤーン・極薄クロスが低調で、19年3月期は減収減益となってしまった。今期も上期はスローな展開が続くため通期でも小幅な増収増益にとどまる見通しだが、スペシャルガラスの生産増強が下期から収益貢献することもあり、下期の年ベース換算で「売上高960億円、営業利益110億円」と急回復する見込みで、中期経営計画「Go for Next 100」最終年度21年3月期計画は十分達成可能であると会社側は考えている。最終年度に向けた足場固めとして今期の進捗をウォッチしていきたい。加えて、引き続き中期経営計画「Go for Next 100」における各種施策の進展、中でも「Tガラス」、「NEガラス」の増強に加え、第二の柱と位置付けるメディカル事業の成長スピードに注目したい。

     

1.会社概要

祖業である繊維事業の技術を活用して日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功。糸の製造からガラスクロス加工、複合材料の開発まで一貫して行うことで、電子材料、産業資材など幅広い分野に製品を提供している。
なかでも、独自技術で製造するミクロン単位のガラス糸で織る超極薄ガラスクロスは、小型・軽量・高機能化が進むパソコンやスマートフォンなどの電子機器の精密基材として使用され、高い競争力を有している。
また、ライフサイエンス事業における「体外診断用医薬品」は、日本国内では10を超える品目でトップシェアを獲得している。

 

【1-1 沿革】

1898年、福島県郡山に設立された「郡山絹糸紡績株式会社」が前身であり、120年の歴史を持つ。
1923年、1918年設立の福島紡織株式会社(旧 福島精練製糸株式会社)が片倉製糸岩代紡績所(旧 郡山絹糸紡績株式会社)を買収する形で日東紡績株式会社が創立される。
1938年には日本で初めてグラスファイバーの工業化(量産化)に成功。世界では米国のオーエンスコーニングファイバーグラス社が同時期に工業化を行っている。
1949年には日本で初めてグラスウールの製造を開始した。
1969年に繊維事業で培った技術を活かし、プリント配線基板用ガラスクロスの製造を開始したほか、1982年に血液凝固因子検査薬を製造開始、1983年に世界で初めて機能性ポリマー「PAA®」の工業化に成功するなど、新規分野へのチャレンジを続け、事業分野を拡大させてきた。
2023年4月の創立100周年に向け「長期ビジョン101」と中期経営計画「Go for Next 100」を策定、推進中である。

 

【1-2 経営理念】

『日東紡グループは「健康・快適な生活文化を創造する」企業集団として社会的存在価値を高め、豊かな社会の実現に貢献し続けます。』という経営理念を掲げている。

 

また、以下のような日東紡宣言において、全てのステークホルダーとの協働の下、社会の「ベストパートナー」となることを目指している。

日東紡グループは社会の「ベストパートナー」を目指します。

(日東紡BP宣言)

私たちは、お客様の求めるものを絶えず追究し、お客様に「安心と信頼」を誠実にお届けすることを喜びとします。

また、企業活動を通じ株主・投資家・行政・地域社会等すべてのステークホルダー(社会)と共に喜びを分かち合うことを大切にします。

私たちは自立した一人ひとりの社員の可能性を尊び、自由闊達にアイデアを出し合いながらチームワークにより力を発揮する企業集団を目指します。

私たち企業グループは社員の成長が会社の成長であることを信じ、社員に成長と自己実現の機会を提供します。社員はまず第一に良き市民であり、深く考え、広く見渡し、果敢に行動します。そして粘り強くやり遂げます。

(同社HPより)

 

【1-3 事業内容】

(1)事業内容
衣料品を中心とした繊維製品の製造販売を行う「繊維事業」、ガラス繊維を用いた各種製品を製造販売する「グラスファイバー事業」、免疫系体外診断薬やスペシャリティケミカル製品の製造販売を行う「ライフサイエンス事業」の3つに大別される。
報告セグメントは、「グラスファイバー事業」を用途別に「原繊材事業」、「機能材事業」、「設備材事業」の3つに分類。「繊維事業」、「ライフサイエンス事業」と合わせた5セグメントで構成される。この他に、報告セグメントに含まれない不動産事業、サービス事業などからなる「その他」がある。

 

 

①繊維事業
ストレッチ素材の先駆けとなる二層構造糸「C・S・Y」(コア・スパン・ヤーン)や、高いシェアを誇るレディース向け接着芯地「ダンレーヌ」、2015年グッドデザイン・ロングライフデザイン賞を受賞した「日東紡の新しいふきん」など、衣料に不可欠な糸から副資材、製品に至るまで、多様化する顧客のニーズに対して独自の技術を駆使した製品を提供している。

 

(同社資料より)

 

②グラスファイバー事業
日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功し、現在では糸の製造から、ガラスクロス加工、複合材料の開発まで一貫して行い、幅広い分野に製品を提供している。
なかでもミクロン単位の超極薄ガラスクロスは小型・軽量・高機能化が進むスマートフォンなど電子機器の精密基材として使用されその品質は高い評価を受けている。
他にも住宅用断熱材などに使用するグラスウールの製造を日本で初めて開始し、断熱材のパイオニアとして高い独自技術を誇っている。特に、高性能グラスウールは高気密・高断熱住宅の断熱材として省エネ社会に貢献している。

 

(主な用途)

高機能電子基板

超極薄ガラスクロスは、絶縁性・耐熱性・寸法安定性に優れ、主に電子基板の絶縁層として利用されている。より薄く、均一な繊維分布により、電子機器の更なる小型・高機能化に寄与している。

スマートフォン筐体用複合材料(FF)

独自技術によりグラスファイバーの断面を通常の円形でなく、長円形にすることで複合材料として使用した際に成型品の反り・ねじれを抑える。わずかな歪みも許されないスマートフォン等の小型電子機器の筐体に使用されている。

自動車

「FRP(繊維強化プラスチック)」は、軽量で高強度の素材として、自動車の様々な部品で幅広く使われている。同社のグラスファイバーは高い形状安定性や加工性だけでなく、耐衝撃性や耐熱性などの特長で電動化や高度運転支援へと進化する自動車に新しい価値を提案する。

樹脂コーティング膜材

超極細グラスファイバーを用いて作る膜材用ガラスクロスは屋内テニスコート、テント倉庫用膜材、各種イベント用として広く用いられているほか、多目的スタジアムやサッカー場などでも採用されている。

住宅用断熱材(グラスウール)

グラスウールは、高い断熱性能を発揮し、気密性、防音性にも優れ、住宅・ビルなどの建築物から、船舶・車両などに幅広く使用されている。

 

<グラスファイバーとは?>
ガラスを1,300℃以上の高温で溶かして引き延ばし、繊維状にしたもの。
日本では、同社が1938年に初めて工業化に成功し、その後急速な発展を遂げた。
強度、耐熱性、不燃性、電気絶縁性や耐薬品性などの特徴を持ち、建築資材、FRP(繊維強化プラスチック)、プリント配線基板用電気絶縁クロスなど様々な場面で用いられ、その優れた特性により幅広い産業で利用されている。

 

(組成・特性)
前述のように、強度、耐熱性、不燃性、電気絶縁性など特徴とするが、特に電子材料などの用途では、高強度、高弾性、低誘電などの性能がこれまで以上のレベルを求められている。

 

(製造方法)
ガラス原料を1,300~1,600℃の高温で溶融したのち、紡糸ノズルを通し、巻き取ることで糸状に成形する。高温度下における温度制御など、非常に精密なコントロール技術が必要とされる。
ガラスの素地を機械から高速で引き出したグラスファイバーの細さは、直径4~24マイクロメートル。(※人間の毛髪の細さは50~100マイクロメートル程度。)
紡糸されたグラスファイバーはそれぞれ用途に応じた製品形態に加工される。

 

(主な製品形態)
◎ヤーン
ヤーン(撚糸)には、同時に紡糸された数百本のフィラメントで構成されたストランドに一方向性の撚りをかけたものである単糸と、単糸を数本撚り合わせた合撚糸などがある。
主に4.0μmから7.4μmのフィラメントからなるストランドに撚りをかけた単糸である「Eガラスヤーン」は、電気絶縁性、耐熱性、引張強度、寸法安定性に優れプリント配線基板用として一般的に使われているほか、産業資材用としても、独自の表面処理技術により樹脂との相溶性が高く、作業性が良好な複合材料基材として評価が高い。

 

◎ガラスクロス
グラスファイバーのヤーンを織物にした(クロス状にした)ガラスクロスは、プリント配線基板のほか、制振材、テント膜、道路補強材など幅広い用途で用いられている。
中でもプリント配線基板や電子部品に用いられるガラスクロスは同社が世界に誇る主力製品である。

 

【プリント配線基板用ガラスクロス】
プリント配線基板とは、樹脂などの基盤本体表面に銅などの金属で細かい配線が形作られており、この配線上に抵抗やコンデンサ、ICチップなどの部品をハンダで固定して取り付けたもので、PC、スマートフォン、サーバ、医療機器、産業ロボット、自動車、航空機に至るまで、全ての電子機器の性能を左右する重要な部品。

基板本体の絶縁体には、ガラスのほかポリエステルを始めとした樹脂など様々な材料が用いられているが、高絶縁性、高強度性、耐熱性、寸法安定性などの特徴を持つグラスファイバー(ガラスクロス)は、プリント配線基板材料に最も適した材料であるとされている。

 

デジタル技術の目覚しい発展に伴い、パソコン、スマートフォンに代表される電子機器の軽薄短小化、高機能化が進み、ガラスクロスに対する性能向上ニーズは益々高まっている。
そうしたニーズに対応し、同社は、ガラス組成開発とその繊維化技術および織物加工など独自技術を基に、一貫メーカーの強みを活かして「低誘電特性ガラスクロス(NEガラス)」「低CTE特性ガラスクロス(Tガラス)」「極薄ガラスクロス」などの高機能ガラスクロス製品を開発し、高いシェアを有している。
「低誘電特性ガラスクロス(NEガラス)」
コンピュータ、モバイル、通信インフラ等の高速・高周波化が進み、プリント配線基板には、伝送損失を改善する低誘電材料が求められている。
同社では、これを実現するために、従来の「Eガラス」に比べて、アルカリ土類成分(CaO、MgO)の成分比率を低く抑える一方で、ホウ酸(B2O3)の成分比率を高めることで、「Eガラス」と同等の特性をもちながら優れた低誘電率ならびに低誘電正接を実現した「NEガラス」を独自開発した。
主としてデータセンターや基地局サーバー用電子基板に用いられている。

 

「低CTE特性ガラスクロス(Tガラス)」
「Tガラス」は、標準品の「Eガラス」に比べて、シリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)の成分比率を高めることで、ガラス繊維の持つ機械的・熱的性能を格段に高度化している。
その特長である低熱膨張特性及び高引張り弾性を利用して、優れた寸法安定性と剛性アップを実現し、高性能電子材料として主にスマートフォンなどに搭載される半導体パッケージ向け電子基板に用いられている。
また、炭素繊維やアラミド繊維などと同様に先端複合材料の補強材としても優れているため、航空、宇宙、スポーツ分野に単独または炭素繊維とのハイブリッド資材としても使用されている。

 

「極薄ガラスクロス」
プリント配線基板の高密度実装、軽薄短小化に対応するための材料として、より薄いガラスクロスの需要が高まっている。同社の極薄ガラスクロスは薄さに加え、レーザー、ドリル穴加工ともに微小径穴加工性に優れており、更に積層板としての寸法安定性、表面平滑性などにも優れている。 

 

グラスファイバー事業内のセグメント別製品形態や用途は以下の通り。

 

 

(同社資料より)

 

③ライフサイエンス事業
メディカル事業部門と環境・ヘルス事業部門から構成されている。

 

メディカル事業部門は、血液検査や尿検査で使用される体外診断薬および機能性ポリマーを軸とするスペシャリティケミカルス製品の製造・販売を行っている。
健康診断や人間ドックで使用されている血液や尿などから健康状態を調べる「体外診断用医薬品」は、原料である抗血清から最終製品である診断薬までをグループ内で一貫製造することで、高品質と安定供給を両立している。
その品質の高さが評価され、世界中の医療現場で用いられており、日本国内では10を超える品目でトップシェアを獲得している。
スペシャリティケミカルス事業では、独自性の高い機能性ポリマー(ポリアリルアミン・ポリアミンシリーズ)の開発・販売を手掛けている。化成品・医薬品メーカーや研究機関等と一体となった研究開発、顧客ニーズを捉えた製品提案が特長であり、ニッチ市場に強く、日本国内に留まらずグローバル市場へも積極展開を進めている。

 

環境・ヘルス事業は、長年培ってきた技術を生かし、飲料事業を展開している。
飲料事業は、プライベートブランドを中心に、ペットボトルの成形から飲料の製造とボトリングまで行っている。

 

(同社資料より)

 

(2)研究開発
同社グループでは、創業以来、研究開発・技術開発を積極的に進め、数々の同社グループならではの製品を世の中に送り出してきた。
今後も研究開発が同社の競争力及び企業価値向上の源泉となる。

 

近年、顧客のニーズが益々高度化・多様化する一方、グローバルな競争は一段と激しくなっている中で、特色と強みを生かして、付加価値が高く独自性の強い商品・サービスをタイムリーに提供し、将来を見据えた研究開発・技術開発を進めるために2017年、総合研究所を設立した。
従来通り各事業部門において専門性の観点から研究開発・技術開発を深掘りしつつ、スピードを重視し、事業間シナジーの追求も見据え、総合研究所による全社横断的マネジメントにも取り組んでいく。
加えて、各分野において、研究スピードの向上と視野拡大のため、オープンイノベーションの観点から産官学共同研究なども積極的に進めている。

 

全社的な研究開発力を一段と強化するため、福島県郡山市に新建屋「NI-CoLabo」を建設することとした。 総工費は27億円で2020年4月に竣工の予定である。社内各事業の研究開発部門を1か所に集約するとともに、社外のユーザーなどとの協業も推進する考えで、同社研究開発体制のシンボル的存在となる。
また、2018年7月には、ライフサイエンス事業強化のため新たな研究開発拠点として川崎市ナノ医療イノベーションセンターにサテライトラボ「NI-Tech」を開設した。

 

【1-4 特長と強み】

◎時代のニーズを的確にとらえて製品を供給
日本で初めてグラスファイバーの工業化に成功したほか、グラスウールの製造を日本で初めて開始したように、ガラス繊維の世界で常に日本及び世界をリードしてきた同社は、九十余年に亘る歴史の中で、常に世の中の変化やニーズを的確にとらえてグラスファイバーを中心に様々な製品を開発・供給してきた。
最終製品を製造しているわけではないので目に触れることはないが、世の中に欠くことのできない素材を供給し、我々の暮らしを陰で支えている。

 

◎独自技術による高い競争力
世界に多くのガラス繊維メーカーがある中で、電子材料用ガラスクロスにおいて優れた低誘電率ならびに低誘電正接(NEガラス)、高い寸法安定性と剛性アップ(Tガラス)を実現し、十分なボリュームを安定的に供給可能な体制を構築しているのはほぼ同社のみである。
また、メディカル事業部門の体外診断用医薬品において10を超える品目で国内トップシェアを獲得している事も、同社の独自技術による高い競争力を示している。

 

【1-5 ROE分析】

 

14/3期

15/3期

16/3期

17/3期

18/3期

19/3期

ROE(%)

6.3

6.8

7.6

9.8

12.5

9.1

 売上高当期純利益率(%)

4.53

5.09

6.49

8.98

12.13

9.70

 総資産回転率(回)

0.63

0.64

0.60

0.59

0.59

0.55

 レバレッジ(倍)

2.21

2.09

1.96

1.86

1.75

1.69

 

20年度8%以上、23年度10%以上という目標を掲げている。
19/3期のROEは9.1%。引き続き高付加価値製品の販売拡大、原価低減の推進がカギとなろう。

 

2.2019年3月期決算概要

(1)連結業績概要

 

18/3月期

対売上比

19/3月期

対売上比

前期比

期初予想比

修正予想比

売上高

84,526

100.0%

82,292

100.0%

-2.6%

-7.5%

-0.9%

売上総利益

30,214

35.7%

27,660

33.6%

-8.5%

-

-

販管費

19,376

22.9%

19,461

23.6%

+0.4%

-

-

営業利益

10,837

12.8%

8,198

10.0%

-24.3%

-24.1%

-3.6%

経常利益

11,071

13.1%

8,934

10.9%

-19.3%

-18.8%

-0.7%

当期純利益

10,253

12.1%

7,984

9.7%

-22.1%

+3.7%

+5.1%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。修正予想比は19年2月発表予想に対する比率。

 

減収減益
売上高は前期比2.6%減の822億円。繊維、原繊材が減収。
営業利益は同24.3%減の81億円。高付加価値品のうちスペシャルガラスは好調だったものの、スマートフォンの生産調整から極細ヤーン・極薄クロスが減収でマイナス寄与となった。原燃料費の高騰も影響した。成長のための基盤強化投資は予定通り実行した。
経常利益は同19.3%減の89億円。前期の為替差損がなくなり為替差益2億円を計上した。
当期純利益は同22.1%減の79億円。投資有価証券売却益8億円を特別利益に、減損損失10億円を特別損失に計上した。
ほぼ19年2月発表の修正予想通りの着地だった。

 

(2)セグメント別業績概要

 

18/3月期

構成比

19/3月期

構成比

前期比

期初予想比

修正予想比

売上高計

84,526

100.0%

82,292

100.0%

-2.6%

-7.5%

-0.9%

繊維

4,945

5.9%

4,862

5.9%

-1.7%

-10.0%

-2.8%

原繊材事業

29,172

34.5%

26,442

32.1%

-9.4%

-15.3%

-3.8%

機能材事業

13,750

16.3%

14,043

17.1%

+2.1%

-5.1%

+0.3%

設備材事業

21,622

25.6%

21,785

26.5%

+0.8%

-5.3%

+1.3%

ライフサイエンス事業

12,992

15.4%

13,692

16.6%

+5.4%

+2.2%

+0.7%

その他

2,041

2.4%

1,466

1.8%

-28.2%

+22.2%

+4.7%

営業利益計

10,837

12.8%

8,198

10.0%

-24.3%

-24.1%

-3.6%

繊維事業

-452

-

-373

-

-

-

-

原繊材事業

6,559

22.5%

3,937

14.9%

-40.0%

-36.5%

-1.6%

機能材事業

2,130

15.5%

2,031

14.5%

-4.6%

-11.7%

-7.7%

設備材事業

831

3.8%

629

2.9%

-24.3%

-21.4%

-10.1%

ライフサイエンス事業

2,858

22.0%

2,644

19.3%

-7.5%

-7.2%

-2.1%

その他

-139

-

211

14.4%

-

-

-

*単位:百万円。売上高は外部顧客への売上高。利益構成比は売上高に対しての構成比。期初予想比は同社資料をベースに弊社計算。

 

①繊維事業
増収・損失縮小。
芯地製品は上半期にレディース向けを中心に好調に推移したが、下半期は天候不順や暖冬の影響を受け厳しい状況が続いた。値上げの浸透や中国から日本への生産移管により収益性は改善した。原糸製品はカジュアル衣料用途のCSY糸の販売が低迷した。

 

②原繊材事業
減収減益。
スマートフォンの生産調整の影響を受け、高付加価値品を中心に電子材料向けガラスヤーンや強化プラスチック用途の複合材の販売が低迷した。第1四半期に実施した大型の設備改修により収益が悪化した。

 

③機能材事業
増収減益。
高速大容量通信向けに資する電子材料向けスペシャルガラスの需要は引き続き堅調だったが、日東紡澳門玻纎紡織有限公司の台風被害により収益が悪化した。

 

④設備材事業
増収減益。
設備・建設資材向けのガラスクロスの販売は安定的に推移したが、住宅向け断熱材は第1四半期に実施した大型の設備改修や物流費・資材費・燃料費などの上昇の影響により収益が悪化した。

 

⑤ライフサイエンス事業
増収減益。

 

*メディカル
免疫系体外診断薬を中心に国内、海外向けの販売に注力するとともに、原価低減に努めたが、一方で研究・販売体制強化に伴う費用が増加した。

 

*スペシャリティケミカルス
高付加価値品を国内外に安定的に供給した。

 

*飲料
多品種小ロット需要への幅広い対応を継続した一方で、原料や物流費が上昇した。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18/3末

19/3

 

18/3

19/3

流動資産

73,065

72,674

流動負債

32,726

32,066

現預金

18,673

16,145

仕入債務

9,331

9,415

売上債権

25,891

25,353

短期借入金

10,274

12,998

たな卸資産

25,118

28,585

固定負債

26,886

28,193

固定資産

74,095

78,326

長期借入金

6,383

9,696

有形固定資産

42,693

47,523

負債合計

59,612

60,259

無形固定資産

1,510

1,680

純資産

87,548

90,740

投資その他の資産

29,890

29,122

利益剰余金

45,105

51,440

資産合計

147,160

151,000

負債・純資産合計

147,160

151,000

 

 

 

借入金合計

16,657

22,694

*単位:百万円

 

現預金は減少したが、有形固定資産の増加等で資産合計は前年末に比べ38億円増加の1,510億円となった。
負債合計は同6億円増加の602億円。
利益剰余金が同63億円増加した一方、その他有価証券評価差額金が25億円減少し、純資産は同31億円増加の907億円。
この結果、自己資本比率は前期末から0.5ポイント上昇し59.4%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/3期

19/3期

増減

営業CF

7,791

5,317

-2,474

投資CF

2,524

-11,389

-13,913

フリーCF

10,315

-6,072

-16,387

財務CF

-9,467

3,948

+13,415

現金同等物残高

18,324

16,145

-2,179

単位:百万円

 

固定資産の取得による支出増などで投資CF、フリーCFはマイナスに転じた。
借入金の増加で財務CFはプラスに転じた。
キャッシュポジションは低下した。

 

 

3.2020年3月期業績予想

①連結業績予想

 

19/3月期

対売上比

20/3月期(予)

対売上比

前期比

売上高

82,292

100.0%

90,000

100.0%

+9.4%

営業利益

8,198

10.0%

8,500

9.4%

+3.7%

経常利益

8,934

10.9%

8,800

9.8%

-1.5%

当期純利益

7,984

9.7%

6,200

6.9%

-22.3%

*単位: 百万円。予想は会社側発表。

 

*上下推移

 

20/3期上期(予)

前年同期比

20/3期下期(予)

前年同期比

売上高

42,000

+1.2%

48,000

+17.7%

営業利益

3,000

-31.7%

5,500

+44.5%

単位: 百万円

 

増収・営業増益。下期より回復。
売上高は前期比9.4%増の900億円の予想。原繊材事業、機能材事業、ライフサイエンス事業が牽引。
営業利益は同3.7%増の85億円を計画。引き続き、新規投資にかかる減価償却費を含めた中長期的成長を目的とした基盤強化を実行する。また、今期も円高、オイル価格および物流費等の物価上昇の影響も見込んでいる。
売上、利益ともに下期からの急回復を予想している。
配当は前期と同じく40円/株の予定。予想配当性向は25.0%。
為替の前提は前期の110.7円/USDより2.7円円高の108.0円/USD。

 

(事業環境、市場環境など)
米中貿易摩擦、中国経済の減速懸念、英国EU離脱、消費税率引き上げ等により、事業環境は更に厳しくなるものと認識している。
電子材料市場では、スペシャルガラスは5G高速大容量通信の用途拡大により基地局向け及びデータセンターの高性能サーバー向け需要の増加を今期も見込んでいる。
一方前期低調だった極細ヤーンは、スマートフォンの高性能化、流通在庫消化から回復を予想している。

 

(同社の施策)
スペシャルガラス生産の増強が下期から収益に貢献する。
また、グラスファイバー事業とメディカル事業の基盤強化を引き続き推進する。

 

②セグメント動向

 

19/3期

20/3期(予)

前期比

売上高

822

900

+9.4%

繊維事業

48

40

-16.7%

原繊材事業

264

290

+9.8%

機能材事業

140

200

+42.9%

設備材事業

217

210

-3.2%

ライフサイエンス事業

136

150

+10.3%

その他

14

10

-28.6%

営業利益

82

85

+3.7%

繊維事業

-4

-1

-

原繊材事業

39

34

-12.8%

機能材事業

20

28

+40.0%

設備材事業

6

2

-66.7%

ライフサイエンス事業

26

30

+15.4%

その他

-7

-8

-

*単位:億円。外部顧客への売上高。

 

4.中期経営計画「Go for Next 100」の進捗

 

(1)「長期ビジョン101」と中期経営計画「Go for Next 100」
同社では、国内の少子化・超高齢化・総需要減少の中で、生き残りを図ると同時に海外に目を向け持続的な成長を目指すために「長期ビジョン101」を策定し、創立101年目にあたる2023年度の目指すべき姿を、「顧客と技術を基軸とした、特色ある事業・商品群を持ち、創業の地・福島から、そして日本から世界へイノベーション(革新)を発信し続ける企業」としている。

 

これを踏まえ、「長期ビジョン101」の実現に向けた第1ステージとして2020年度を最終年とする中期経営計画「Go for Next 100」を策定し現在推進中である。
現在の収益性を持続できる基盤を確立した上で、将来の成長のチャンスをとらえるとともに、自社グループの優位性を見極めてこれを徹底的に追求する。

 

(2)各事業における取組
「長期ビジョン101」では2023年度の各事業における目指すべき企業像を以下のように設定している。

グラスファイバー事業

市場環境が大きく変化する中で、顧客に高付加価値商品を安定的に供給し、ガラス繊維業界のリーダーとしての地位を確固たるものにする。

メディカル事業

セルフメディケーションに資する高品質の体外診断薬を供給する。

繊維事業

商品の高付加価値化を推進し、繊維技術の産業資材分野への応用を進め、小さくてもしっかり稼げる事業にする。

 

①グラスファイバー事業
テーマとしては、グラスファイバー事業の強みを活かし、「電子材料分野の更なる強化」と「産業資材分野の強化」を挙げている。

 

(同事業の強み)
◎製品特性
*極細ヤーン
世界で最も細いヤーンを安定した品質で生産することができ、電子機器の小型化、薄型化を実現する。

 

*NEガラス
低誘電特性を持ち伝送ロスとノイズを低減する。今期以降急速な普及が見込まれる5Gによる高速・大容量通信に貢献する。
*Tガラス
高強度、低熱膨張を実現し、高密度パッケージ基板に不可欠である。

 

◎技術特性
*紡糸工程と製織工程の双方を持ち、一貫生産が可能である。紡糸工程・製織工程の双方を大規模で保有している企業は少ない。
*紡糸工程においては、世界で最も細いガラスヤーン(4μ)や、NEガラスヤーン・Tガラスヤーンを安定的に生産している。
*製織工程においては、紡糸工程のノウハウを生かし、各々のヤーン特性に応じた最適な織工程や処理工程を実現している。

 

「電子材料分野の更なる強化」
5Gに代表される高速大容量通信社会の実現により半導体の微細化、高性能化が更に進み、高付加価値ガラスクロスの需要増加が引き続き見込まれる。こうした状況に対応し、高付加価値製品「Tガラス」、「NEガラス」などスペシャルガラスの更なる用途開発と生産能力増強、「Eガラス」における極細化・細番手化の推進、M&Aによる生産能力補完を進める。

 

「産業資材分野の強化」
スペシャルガラスの産業資材分野への投入、海外市場への積極的な進出、カスタマーソリューション部の新設を挙げている。
カスタマーソリューション部の新設により、現在は半導体パッケージ向け電子基板に用いられる「Tガラス」、データセンターや基地局サーバー向け電子基板用途の「NEガラス」の新たな用途拡大を推進する。
「Tガラス」は、飛行機や自動車向けの高強度ガラスを利用した複合材料ニーズに、「NEガラス」は低誘導・低伝送損失ニーズに対応した産業資材向けビジネスを強化する。

 

投資については、「Eガラス」の極細化、高付加価値製品「Tガラス・NEガラス」の生産能力増及び用途拡大に向けて重点的な投資を行う。

 

グラスファイバー事業の各事業における主要施策は以下の通り。

原繊材

*ヤーン生産能力増強

・スペシャルガラス(T・NE)ヤーン製造能力増強

(日東グラスファイバー工業:稼働 2019年下期)

(福島第一工場:稼働 2020年)

(Nittobo Asia Glassfiber(台湾):稼働2021年)

・ヤーン細番手生産能力増強

(Nittobo Asia Glassfiber:稼働 2019年下期)

 

*複合材向スペシャルガラス(NE)設備導入

(富士ファイバーグラス:稼働2018年上期)

機能材

*高付加価値ガラスクロス製造能力増強

(福島第2工場/織機、処理能力向上:稼働2018年下期)

*BaotekIndustrial Materials(台湾)の株式取得(2018年8月)

(処理工程:極薄クロス製造対応:稼働 2019年下期)

設備材

*細繊維GW製造能力増強

*ノンホルムアルデヒドGW製造能力増強

 

*NEガラス、Tガラスとも増大する需要を確実に取り込むべく、2022年度に向け台湾、福島での新炉増設の詳細検討を始めている。
*各製品とも日本および台湾、マーケットに近い場所での生産能力を増強する。

 

②メディカル事業
「バリューチェーンにおける各機能の強化、特に原料調達力の向上」と、「グローバルな生産・販売・薬事承認のサプライチェーン構築」の2つを事業戦略として掲げている。
同社の強みである日米における一貫生産体制を更に磨き上げ、Self medicationに資する多様化・精緻化に対応した高付加価値試薬を供給する。

 

体外診断薬事業に関して以下のような施策を推進する。

新工場建設

ニットーボーメディカル(日本)、Nittobo America(米)、日米それぞれの生産拠点において新工場を建設する。生産能力拡張は2020年から着手する。

研究・生産能力の強化

*リムコ社出資(遺伝子組換えカイコを用いた体外診断薬原料の開発・生産)

*フロンティア研究所取得(モノクローナル抗体の研究開発・生産)

*FAN設立(藤倉化成株式会社との合弁、体外診断薬原料の研究開)

営業

米国販売網および薬事承認ノウハウの強化

(Kamiya Biomedical Companyの子会社化)

 

③繊維事業
2つの構造改革を進める。

 

<構造改革1>
日東紡は、100%子会社である日東紡(中国)有限公司を1995年、中国江蘇省無錫市に設立。1997年の操業開始以来、高品質かつ高機能芯地を生産してきたが、人件費、環境規制対応コストの上昇、円安人民元高の進行などにより汎用品市場における価格競争が激化し業績が低迷していた。
そこで同社を中国現地企業(浙江銀瑜新材料股份有限公司)に譲渡することとした。
この中国企業は日東紡貿易無錫有限公司より販売・生産・開発の支援を受け、これまで通り現在の顧客へ商品供給を行う。
繊維事業の運営の効率化及び競争力強化を図る。

 

<構造改革2>
以下のような付加価値の高い商品開発を進める。

機能性商品の展開

*機能性を付与した芯地(消臭、脱臭、抗菌、防汚、冷感、帯電防止)、原糸(消臭、吸水、速乾、軽量)の開発

*イノベーティブファブリックの強化(防風、ワタ芯、シャンブレー)

*スポーツ用途等ファッション衣料以外の商材展開(裏材、バンテージ)

環境配慮商品の展開

*フッ素フリー芯地

*リサイクル原料を活用した商品のラインナップ拡充

*染色工程での節水対策

産業資材分野への展開

*グラスファイバー事業部門とのコラボレーションを強化

*産業資材商品の早期上市

 

(3)数値目標
「Go for Next 100」における2020年度および「長期ビジョン101」における2023年度の数値目標は以下の通り。
(収益目標)

 

17年度

18年度

19年度(予)

20年度(計画)

23年度(計画)

売上高

845

822

900

1,000

1,500

営業利益

108

82

85

120

150

経常利益

111

89

88

120

150

当期純利益

103

79

62

80

100

EBITDA

150

122

139

200

-

ROE

12.5%

9.1%

-

8%以上

10%以上

NET有利子負債

11

88

-

100以下

実質ゼロ

自己資本比率

58.8%

59.4%

-

60%以上

70%

*単位:億円
(設備投資・研究開発)

 

17年度

18年度

19年度(予)

20年度(計画)

研究開発費

16

15

18

20以上

売上高R&D比率

1.9%

1.8%

2.0%

2.0%以上

設備投資(検収額)

70

119

213

550

*単位:億円。20年度計画の設備投資は4年間累計

 

(物価前提)

 

17年度

18年度

19年度(予)

20年度(計画)

為替レート(¥/$)

111.2

110.7

108.0

100

オイル価格

55.9

69.4

-

60

*オイル価格はドバイ原油、単位:USD/BBL

 

23年度の事業ポートフォリオの姿として、「高付加価値化の更なる進展と海外売上比率の拡大」「第2の柱としてのメディカル事業の確立」を掲げており、安定した収益構造の確立を目指している。

 

EBITDAについては、グラスファイバー事業における国内での極細ヤーン・極薄クロスへの投資、海外におけるヤーン細番手化への投資、台湾Baotek社M&Aによるヤーンからクロスまでの台湾における一貫生産体制の強化、国内外におけるスペシャルガラス製造能力の更なる向上に加え、メディカル事業における日米一貫生産体制の更なる強化や海外展開の強化など成長投資の実行による収益力の向上を通じて、20年度200億円、23年度230~250億円への拡大を目指していく。

 

(設備投資・償却費・研究開発費)
設備投資については、中期経営計画期間4年間で550億円の投資を計画しているが、19年3月期終了時点で約9割にあたる約500億円の投資内容を意思決定済である。
総合研究所のスタッフも、前期の95名から今期は106名に増員。今後も増強を続ける。

 

5.今後の注目点

前回のレポートでは、「短期的には、第3四半期、第4四半期でどれだけ売上を積み上げていくかを注目したい」と述べたが、高付加価値品のうちスペシャルガラスは好調だったものの、スマートフォンの生産調整から極細ヤーン・極薄クロスが低調で、19年3月期は減収減益となってしまった。
今期も上期はスローな展開が続くため通期でも小幅な増収増益にとどまる見通しだが、スペシャルガラスの生産増強が下期から収益貢献することもあり、下期の年ベース換算で「売上高960億円、営業利益110億円」と急回復する見込みで、、中期経営計画「Go for Next 100」最終年度21年3月期計画は十分達成可能であると会社側は考えている。
最終年度に向けた足場固めとして今期の進捗をウォッチしていきたい。
加えて、引き続き中期経営計画「Go for Next 100」における各種施策の進展、中でも「Tガラス」、「NEガラス」の増強に加え、第二の柱と位置付けるメディカル事業の成長スピードに注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

指名委員会等設置会社

取締役

6名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月27日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主・投資家をはじめとする当社グループのステークホルダーからの社会的信頼を重視した事業活動を行うべく、公正で透明性の高い経営組織の構築を目指し、コーポレート・ガバナンスの不断の見直しを行う。
当社は、2003年6月より執行役員制度を導入し、取締役会の活性化と意思決定の迅速化を図り、連結経営が最大の効果を発揮できる体制を構築している。2008年6月からは経営と業務執行の機能・役割を更に明確化して運営してきた。そして、2014年6月26日の定時株主総会の承認を受けて指名委員会等設置会社に移行した。これにより、監督と執行の分離を一段と明確にし、「監督機能強化・透明性の高い経営」と、「事業の迅速な執行・経営の機動性向上」を目指している。また、顧客、株主、取引先、従業員等のステークホルダーの期待により的確に応え得る体制を構築し、更なる企業価値の向上を図る。

 

<実施しない主な原則とその理由>
2018年6月改訂のコーポレートガバナンス・コードの各原則について、全て実施している。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく開示>

原則

開示内容

【原則1-4 政策保有株式】

[政策保有に関する方針]

 当社は、販売・原材料調達・金融などに関する当社グループの重要な取引先との良好な取引関係を構築し、当社グループの事業活動を円滑に進め、当社グループの企業価値を維持・向上させると判断する場合は、政策保有株式として上場株式の保有を行う。一方で、当社グループの企業価値の維持向上に寄与せず、その株式を保有する意義が乏しいと判断される銘柄は市場への影響等に配慮しつつ売却を行う。

 

[保有の合理性の検証方法]

 上場株式の保有にあたっては、個々の銘柄毎に、取引の重要性、技術協力や共同出資の有無、共同事業の実施等の定性的な要因と、配当利回り及び事業利益を加味して算出した総合投資利益率を資本コストと比較した定量的な評価とを、総合的に勘案した保有方針を取締役会で定期的に検証している。

この検証に基づき、2018年度は13銘柄2,050百万円、2017年度からの2年間累計で13銘柄3,355百万円の売却を行った。

 

[政策保有株式に係る議決権の行使について]

 政策保有株式の議決権行使に関しては、発行会社が適切なガバナンス体制を構築し、中長期的な企業価値向上につながる適切な意思決定を行っているかという点や、当社グループの企業価値向上に資するかという点を基準として賛否を判断し、適切に議決権行使を行う。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

<株主との建設的な対話を促進するための体制整備・取り組みに関する方針>

(1)コーポレート・コミュニケーション部担当執行役を株主との対話全般に目配りを行う責任者とし、それを補助する社内担当部署をコーポレート・コミュニケーション部としている。当社は、当該執行役を中心として、当社の持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に資するための株主との対話の機会を持つよう努めている。また、コーポレート・コミュニケーション部を中心にIR活動に関連する部署は、日常的な部署間の連携を図っている。

(2)当社グループのお客さま・株主・投資家のみなさまが当社グループの実態を正確に認識・判断できるように、継続して、適時・適切な情報開示に努めている。そのために、情報開示に関する関係法令及び証券取引所規則等を遵守するとともに、適切な情報開示体制の構築・運用に取り組んでいる。

(ア)国内外の関係法令及び証券取引所規則等で開示が定められている項目については、事業報告・有価証券報告書・株主通信への掲載や、証券取引所の情報伝達システム・プレスリリースでの発表等をしている。

(イ)開示する情報は、原則として当社グループのホームページにも掲載するほか、より公平かつ広範な情報開示を行えるように努めている。

(ウ)アナリスト・機関投資家向けの説明会を、本決算と半期決算の決算発表後速やかに実施している。

(3)株主・投資家のみなさまとの対話等を通じて把握した当社への意見・懸念等については、コーポレート・コミュニケーション部で集約し、コーポレート・コミュニケーション部担当執行役に報告するとともに、必要に応じて執行会議等で報告するなどして、経営陣幹部や取締役会に適切にフィードバックしている。

(4)なお、当社グループへの個別の問い合わせや対話においては、インサイダー情報に十分に留意し、既に公開された情報や周知となった事実に限定して説明している。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。                     

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