ブリッジレポート
(2435) 株式会社シダー

スタンダード

ブリッジレポート:(2435) シダー 2019年3月期決算

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山崎 嘉忠

会長

 

座小田 孝安

社長

株式会社シダー(2435)

 

企業情報

市場

JASDAQ

業種

サービス業

会長

山崎 嘉忠、座小田 孝安

社長

座小田 孝安

所在地

福岡県北九州市小倉北区大畠 1-7-19

決算月

3月

HP

http://www.cedar-web.com/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

207円

11,475,863株

2,376百万円

1.5%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

2.00円

1.0%

4.07円

50.9倍

94.16円

2.2倍

*株価は7/12終値。発行済株式数は、直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除し株式分割を反映。ROE・BPSは19年3月期実績、EPSは20年3月期予想。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2015年3月(実)

10,791

-26

-245

-368

-

0.00

2016年3月(実)

11,731

335

70

9

0.82

0.00

2017年3月(実)

12,733

145

-136

-137

-

0.00

2018年3月(実)

13,861

535

250

224

19.52

4.00

2019年3月(実)

14,258

494

218

16

1.43

2.00

2020年3月(予)

14,903

464

139

46

4.07

2.00

*単位:百万円、円
*予想は会社予想。

 

シダーの2019年3月期決算について、ブリッジレポートにてご報告致します。

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年3月期決算
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/3期は2.9%増収、13.0%経常減益。デイサービス事業では介護報酬改定の影響により減収、施設サービス事業では、既存店の稼働率の向上により増収。利益面では、増収効果はあったものの人件費の増加を主因に営業利益は7.5%減。減損損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比92.7%減となった。

     

  • 20/3期は4.5%増収、36.4%経常減益を見込む。デイサービス事業では利用単価の向上に取組み、施設サービス事業においては、引き続き、既存施設の稼働率の向上を第一に注力する。各事業で増収を見込むものの、初期費用の負担が重く、営業・経常減益となる見通し。配当については、2.0円の期末配当を予定している。

     

  • 介護報酬改定の影響を受けたデイサービス事業では利用単価の上昇と稼働率の向上が課題となりそうだ。施設サービス事業は、既存施設については既に高い入居率となっており、「靏見の郷」の早期の稼働率向上がカギを握りそうである。課題となる人材の確保と人件費上昇への対応については、引き続き様々な取り組みを行っている。尚、SOMPOホールディングス(*1)との資本・業務提携を解消したがこれまでの関係は維持していく方針である。

    *1 SOMPOホールディングスの子会社である損害保険ジャパン日本興亜株式会社を有限責任組合員、ACA株式会社を無限責任組合員とする高齢社会戦略1号投資事業有限責任組合との資本・業務提携を解消。

     

1.会社概要

デイサービス及び有料老人ホーム「ラ・ナシカ」を中心とした介護サービスを、本社のある福岡県を中心に全国展開。リハビリステーションに重点を置き、より人間らしく生きるための生活支援を行う事を経営方針とする。総勢600名近くに及ぶ職員資格者を有しており、介護サービス事業者の中では出色。

 

【1-1沿革】

前身は医療機器の販売会社だった(株)福岡メディカル販売。2000年10月に社会医療法人池友会系列の医療機関でリハビリ業務に従事していた山崎嘉忠氏(現会長)等が中心となり(株)シダーに商号を変更し介護事業へ参入。01年1月にデイサービス施設4施設を開設した。デイサービス事業が順調に拡大し、05年3月にジャスダック証券取引所に上場、同年9月には有料老人ホーム事業(現在の、施設サービス事業)に参入した。
06/3期、07/3期と有料老人ホーム事業の先行投資(新施設の立ち上げ費用)が利益を圧迫したものの、08/3期以降は施設の累積効果(ストック効果による事業規模の拡大)で、新規開設負担を吸収して利益を増やせる体制が整った。11/3期は新卒40名の入社による人員の増加や新規開設施設の増加(3事業合計で10/3期:3施設→11/3期:5施設)、更には既存施設のリニューアルもあり利益が減少したものの、12/3期は既存施設の新規利用者獲得が順調に進んだ事に加え、施設オペレーションの効率化で増益に転じた。しかし、13/3期は12年に行われた介護保険法改定の影響を受けた。同社の場合は、デイサービス事業における介護報酬改定の影響が大きく減益となった。14/3期は、その影響を解消する1年であった。尚、16/3期、19/3期にも介護報酬改定の影響を受けている。

 

 

【1-2 事業戦略 -地域のリハビリセンターを目指して-】

同社はデイサービスセンターや有料老人ホームにおいて近隣の一般・健康な高齢者向け健康教室等を開催し、地域の病院、ケアマネージャー、老人会等とネットワークを構築すると共に地域に溶け込む事で、施設の稼働率や入居率の向上を図っていく考え。また、このネットワークを活用して訪問介護ステーションやリハビリステーション(在宅サービス事業)とのシナジーも高めていく。
その成功例ともいえるのが山梨県甲府市での取組み。09年5月にラ・ナシカ甲府を開設、10年には甲府デイサービスを開設した。好評を得て、13年には甲府南デイサービスを開設することとなった。
尚、06年度の介護保険の改定の際に、「訪問看護計画において、理学療法士等の訪問が保健士又は看護師による訪問の回数を上回るような設定がなされることは適切ではない」との規制が盛り込まれたため、在宅リハビリには大きな逆風が吹いた。この影響で同社も在宅サービス事業の積極的な活動を控えたが、09年度の改定でこの規制が緩和されたため積極的に在宅リハビリのニーズに応える事が可能となった。
また、施設を集積させる事は3事業のシナジーを高めるだけでなく、理学士等の職員が地元で安定して働く事のできる環境作りにもつながる。

 

同社の介護事業の考え方
リハビリテーションを重視して、永く、元気でその人らしく、健康に暮らすためのお手伝いをしている。
同社におけるリハビリテーションとは、リハビリを頑張れば、将来元気になれる・・・だから頑張るというものではない。今日自分らしく、明日も自分らしく過ごしながら、来月、来年もっと自分自身の力で、自分らしく毎日を過ごす為の準備を行うということを目的としている。
社会参加などを重視しクラブ活動や外出イベントなどを積極的に行っている。

 

(同社ホームページより)

 

【1-3 事業セグメント】

事業は、同社の施設の来場者にサービスを提供するデイサービス事業、有料老人ホーム等の施設の入居者を対象にサービスを提供する施設サービス事業、及び利用者の自宅を訪問して日常生活訓練や機能訓練等を行うリハビリサービスや日常生活の手伝いを行うホームヘルパーサービス等の介護サービスを提供する在宅サービス事業に分かれる。19/3期の売上構成比は、それぞれ23.4%、67.4%、5.7%。また、16/3期よりその他事業として、要介護要支援認定者などに対し、福祉用具のレンタル及び販売を行っている(19/3期の売上構成比は3.5%)。
2019年3月31日現在、105拠点で展開している。

 

同社資料より)

 

介護ニーズの高まりに応え、事業所数は伸び続けている。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

 

【1-3-1 デイサービス事業】

デイサービス施設では60~80人規模の大型デイサービス中心に展開している。トレーニングルーム・カラオケ・シアター・大浴場・マッサージ・喫煙ルームなど各個人にあった活動を楽しめるゆとりある空間造りが可能となる。小規模施設では実現が難しい専門スタッフの配置や、充実した設備の施設を可能にしている。
デイサービスの施設基準は利用者1人当たり3平方メートル以上となっており、リハビリテーションに軸足を置いた施設運営が同社の特色。午前、午後にそれぞれ上級・中級・初心者にコース分けされた80分の個別リハビリテーションを行う。

 

専門スタッフによるリハビリテーション
同社のデイサービスでは、本格的なリハビリテーションを積極的に取り入れている。様々なトレーニングマシーンを使用し、日常生活では使うことの少ない筋肉を動かすことをはじめ、理学療法士や作業療法士など資格をもった専門家が、利用者ひとりひとりの体調に合わせたプログラムを作成し、様々な角度から元気な体づくりをサポートする。

 

選択できる多彩なサービス
豊かな毎日を過ごす為に様々なサービスを選べるのもシダーの特徴。カラオケ・シアター等に設備に加え、外出レクリエーションや各種イベントを随時開催している。施設内にある季節に合わせたディスプレイは、心地よく五感を刺激し、アクティブな時間を演出する。利用者が施設に来ることが楽しみになる環境づくりを行っている。

 

 

【1-3-2 施設サービス事業】

有料老人ホーム「ラ・ナシカ」は24時間・365日体制で介護スタッフが常駐している。近隣の医療機関との万全の連携・協力体制に加えて、看護師も8時30分から21時30分(一部施設では異なる場合あり)まで勤務しているため、緊急を要する場合でも安心して任せ預ける体制が整っている。
1階フロアではスタッフがデイサービスと同等のサービスやリハビリテーションを提供、居室では自宅に居るのと同様に訪問リハビリ、訪問看護・ヘルパーのサービスを提供する。

 

充実のリハビリテーション
「ラ・ナシカ」では全ての施設でリハビリテーションを積極的に取り入れている。充実の施設に加え、専門のリハビリスタッフが、ひとりひとりの体調に合わせた最適なトレーニングメニューをアドバイス。健康な体づくりをサポートする。

 

自分好みに部屋をコーディネート
「ラ・ナシカ」の居室は、全て個室。プライバシーを考慮し、マンションのような構造になっている。部屋のアレンジはもちろん自由。自分好みの快適な空間で毎日をくつろぐことができる。

 

仲間との楽しいひと時
フロアへ出て積極的に運動に参加したくなるような環境づくりを行っている。中でも、カラオケルーム・シアタールームは入居者が自由に利用できる大人気の施設。

 

美味しく栄養豊富な食事
看護師による健康チェック項目に基づいた食事を提供している。また、嗜好やアレルギー、好みのご飯の柔らかさまで個別にオーダーすることが可能。

 

季節の催し
季節の移ろいを楽しむことも忘れていない。四季を彩るディスプレイは、毎回スタッフの力作。その他にも入居者が楽しめるようたくさんのイベントを企画している。

 

施設サービス事業は同社の収益を支える屋台骨となっている。入居率は19年3月現在94.1%。前年比で低下したのは3月に有料老人ホーム「靏見の郷」を新規開設したことによるもの。

 

 

【1-3-3 在宅サービス事業】

「住み慣れた自宅が一番安心できる」そんな声に応える在宅サービス。介護や療養の必要な人が自宅で安心して生活できるよう、理学療法士や作業療法士をはじめとする国家資格者の指導の下、様々なサービスを提供している。

 

自宅療養を支える訪問看護・リハビリテーション
医師の指示のもと、看護師が自宅で療養している人の世話や診療補助などのケアサービスを行い、在宅療養を続けられるようサポート。ひとりひとりの身体の状態に合わせてリハビリテーション計画を作成。リハビリの専門スタッフが、日常生活訓練や身体機能訓練などを行う。

 

日常生活を支えるホームヘルプサービス
ホームヘルパーが身体介助サービスや生活援助サービスを提供し、日常生活をお手伝いする。また、全てのヘルパーステーションが訪問看護ステーションと併設されており、緊急時は看護師と連携して対応する。

 

最適なケアプラン作成
介護サービスを利用するのに必要不可欠となるのがケアプラン。同社では、専門知識はもちろん豊かな人間性を備えたケアマネージャーが、利用者やその家族の意向を伺いながら、最適なケアプランを作成する。

 

介護報酬改定の影響
18年4月より介護報酬が改定となった。同社ではデイサービス事業で影響を受けた。

 

通所サービス基本報酬のサービス提供時間区分の見直しについて

 


(同社資料より)

 

効率運営が行われているとして大規模型が大きく引き下げられた。同社のデイサービスでは大規模Ⅱが11事業所、大規模Ⅰが9事業所、通常規模が9事業所、認知症型が3事業所(19年3月31日現在)あり、大規模のデイサービスが過半を占めており、平均利用単価が減少する。今後は要介護の利用回数増加を図り、平均利用単価アップに注力する。

 

同社資料を元にインベストメントブリッジ作成)

【1-4 介護職員の人材確保】

介護業界では現在においても人材不足に悩まされているが、今後はさらに深刻化する見通しである。

 

(同社資料より)

 

20年度末には約216万人、25年度末までに約245万人が必要。16年度の約190万人に加え、20年度までに約26万人、25年度末までに約55万人、年間6万人程度の介護人材を確保する必要がある。
同社では、人手不足への対応として以下を掲げている。
(1)介護業界の就労イメージの払拭
  ・賃金が低い ・仕事がきつい ・社会的評価が低い
(2)各介護施設における「専門職の業務」と「非専門職の業務」の仕分け
(3)IT、センサー等による記録入力業務、夜間業務等の省略化
(4)高齢者の就労拡大
(5)外国人の就労拡大
尚、(3)~(5)は一体的に対応していく考え。
介護事業者が答えた介護職員の採用が困難な主な理由として「賃金が低い」、「仕事がきつい(身体的、精神的)」、「社会的評価が低い」の回答が目立つ結果になっている。

 

介護職員賃金引上げ
同社ではこれまでにも介護職員処遇の改善を行ってきた。

 

介護職員処遇改善

月額平均2.4万円の改善

(09年度~)

月額平均0.6万円の改善

(12年度~)

月額平均1.3万円の改善

(15年度~)

月額平均1.4万円の改善

(17年度~)

合計:月額平均5.7万円の改善

 

10月に実施予定の介護報酬改定時に、特定処遇改善加算を取得予定。介護職員等の賃金改善を実施し、人材確保・定着に注力する。
また、これまでの処遇改善は介護職員しか使えなかったが、他職種(介護助手・リハ職・ソーシャルワーカー・看護職等)にも支給できる様になる。

 

労働環境の改善(仕事がきつい)
□働き方改革関連法
 ・5日以上の有給取得と管理簿を作成し、3年間の保管を義務化
 ・残業時間の上限を設定
□有給休暇取得を就業規則にて規定
□業務内容の見直し、及び効率化を図り残業時間を削減
□残業時間が一部従業員に偏っている状況の平準化を図る

 

社内人材の育成(社会的評価が低い)
組織を運営していける人材の育成を目的とした研修・試験を実施している。
役職取得に向けて、主任試験、副主任試験、リーダー試験、サブリーダー試験といった社内試験を実施し社内役職者の人数を強化している。役職者数は17年4月1日107名から19年4月1日には197名に、90名増加している。
また、介護職員初任者研修、介護職員実務者研修、介護福祉士試験対策講習、介護支援専門員試験対策講習、健康運動指導士といったスキルアップ研修も実施している。

 

 

介護福祉士実務者研修

介護職員初任者研修

前期

後期

受講者合計

社内受講者

16年度

10名

3名

17年度

19名

18名

11名

3名

18年度

18名

19名

10名

1名

19年度

7月開始予定

12名

12名

 

一体的に業務の効率化を図る
□「専門職の業務」と「非専門職の業務」の仕分け
 ・就労支援A型事業所から清掃職員を施設に派遣
 ・各施設にて障害者雇用の促進
□IT、センサー等による記録入力業務、夜間業務等の省略化
 ・デイサービスにタブレット型記録システム導入
 ・居住見守りシステム・電子カルテを1施設にテスト導入
□高齢者の就労拡大
 ・60歳以上の従業員
  17年3月末161名 ⇒ 19年3月末176名

 

外国人の就労拡大
入国管理法の改正(案)について
入国管理法の改正案では日本で就業できる種類について現行から下のように拡大される。現在、法案の改定を審議中。
現行(日本にて就業できる種類)
 留学生・技能実習生・在留資格のある外国人・高度専門知識を有する人材(大学教授・医師等)

 

改正(案)は現行プラス

新たな在留資格

条件

在留期間

家族の帯同

特定技能1号

一定の技能

通算5年

×

特定技能2号

熟練した技能

更新可能

*介護・農業・自動車整備等の14業種で想定

 

外国人技能実習生の受入れ
外国人技能実習生の受入れに積極的に取り組む。外国人労働者の実態として、失踪した実習生が年々増加し12年には2,005人だったものが、17年には7,089人まで増加した。失踪動機として低賃金の回答が大半を占めており、年々増加している。
同社では多くの外国人材の受け入れを可能にするためには、①社内規定や規則の見直し、②円滑に業務を遂行できるような職場環境、③職員の教育、④賃金の見直し、を重要項目としている。19年6月より「ラ・ナシカ こぶけ・たかしな・さくら」にて6名受入れ予定。

 

認知症新大綱案について
認知症大綱案の主な内容
〇発症や発症後の進行を遅らせる予防の取り組みを推進
〇認知症になってからも自分らしく暮らせる社会の実現
〇当事者の視点に立った「認知症バリアフリー」を進める

  

移動手段の確保、消費者被害の防止、金融機関や小売へのアクセスなどの分野においてKPI(重要業績評価指標)の設定を含め取組を強化する。

 

予防に重点を置き認知症になる年齢を遅らせ、社会保障費抑制につなげるのが狙い

〇介護予防事業への協力

〇認知症予防へのインセンティブの可能性

 

介護報酬改定について
19年10月実施予定の主な改定内容
〇特定処遇改善加算の創設
〇消費税引上げにあわせた介護報酬等に係る消費税の取扱い

  

消費税率が10%に引上げ予定でこれに伴い介護事業所・施設の「控除対象外消費税負担」も増加することから、負担増を補填するための特別の介護報酬プラス改定(消費税対応改定)が行われる。改定率は+0.39%が見込まれる。

 

2.2019年3月期決算

(1)連結業績

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

2月予想

予想比

売上高

13,861

100.0%

14,258

100.0%

+2.9%

14,250

+0.1%

売上総利益

1,513

10.9%

1,671

11.7%

+10.4%

-

-

販管費

978

7.1%

1,176

8.3%

+20.3%

-

-

営業利益

535

3.9%

494

3.5%

-7.5%

401

+23.4%

経常利益

250

1.8%

218

1.5%

-13.0%

115

+89.6%

親会社株主に帰属する当期純利益

224

1.6%

16

0.1%

-92.7%

38

-56.8%

*数値には(株)インベストメントブリッジが参考値として算出した数値が含まれており、実際の数値と誤差が生じている場合があります(以下同じ)
*単位:百万円

 

前期比2.9%の増収、13.0%の経常減益
売上高は前期比2.9%増の142億58百万円。既存施設において施設稼働率を上昇させるため、新規利用者の獲得とサービスの向上に努めた。デイサービス事業では介護報酬改定の影響により減収、施設サービス事業では、既存店の稼働率の向上により増収となった。利益面では、給食及び介護人材の直接雇用増による人件費の増加と事業拡大に備えた管理部門の人員強化による販管費の増加を主因に、営業利益は前期比7.5%減の4億94百万円となった。増収効果が3億96百万円、内製化による給食委託費減などによりその他経費減は1億3百万円の増益要因となった。一方、給食・介護人材等の人件費増が3億42百万円、間接人員増に伴う人件費増を主因に全社経費の増加が1億98百万円の減益要因となった。一部施設において減損損失を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比92.7%減の16百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別売上高・利益

 

18/3期

構成比

19/3期

構成比

前期比

デイサービス事業

3,530

25.1%

3,438

23.4%

-2.6%

施設サービス事業

9,416

66.8%

9,908

67.4%

+5.2%

在宅サービス事業

853

6.1%

841

5.7%

-1.4%

その他

293

2.1%

519

3.5%

+77.0%

全社・消去

-232

-

-449

 

-

連結売上高

13,861

100.0%

14,258

100.0%

+2.9%

デイサービス事業

453

32.4%

345

22.5%

-23.8%

施設サービス事業

977

69.7%

1,226

79.6%

+25.5%

在宅サービス事業

-67

-

-97

-

-

その他

37

2.7%

65

4.2%

+73.5%

連結調整

-866

-

-1,045

-

-

連結営業利益

535

-

494,

-

-7.5%

*単位:百万円

 

デイサービス事業
売上高は前期比2.6%減の34億38百万円、セグメント利益は同23.8%減の3億45百万円。既存デイサービス施設のサービスの質の向上により施設稼働率の向上に努めてきたが、介護報酬改定の影響もあり減収減益となった。

 

施設サービス事業
売上高は前期比5.2%増の99億8百万円、セグメント利益は同25.5%増の12億26百万円。新規及び既存の有料老人ホームの入居者獲得に注力し、入居率の向上に努めた。横浜市に「靏見の郷」を新規開設。

 

在宅サービス事業
売上高は前期比1.4%減の8億41百万円、セグメント損失は97百万円(前期は67百万円の損失)。利益率の改善のため引き続き人員配置や業務手順の見直し等、効率的な運営に取り組むことに注力した。

 

その他事業は、売上高が前期比77.0%増の5億19百万円、セグメント利益は同73.5%増の65百万円となった。また、全社経費(表中の連結調整)が1億78百万円増加した。

 

(3)財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年3月

19年3月

 

18年3月

19年3月

 現預金

863

811

 仕入債務

227

208

 売上債権

2,271

2,333

 短期有利子負債

3,488

3,709

流動資産

3,341

3,355

 長期有利子負債

10,653

10,666

 有形固定資産

11,871

12,256

負債

16,924

17,235

 無形固定資産

58

56

純資産

1,110

1,080

 投資その他

2,763

2,648

負債・純資産合計

18,035

18,316

固定資産

14,693

14,961

有利子負債合計

14,142

14,376

*有利子負債=借入金+リース債務
*単位:百万円

 

19/3期末の総資産は、前期末比2億81百万円増加し、183億16百万円となった。流動資産の増加14百万円、固定資産の増加2億67百万円によるもの。
負債は、同3億11百万円増加し、172億35百万円となった。流動負債の増加2億58百万円、固定負債の増加53百万円によるもの。
純資産は、同30百万円減少して10億80百万円となった。おもに利益剰余金の減少29百万円によるもの。
自己資本比率は5.9%(前期末は6.2%)と0.3ポイントの減少となった。

 

キャッシュ・フロー

 

18/3期

19/3期

前期比

営業キャッシュ・フロー

1,177

886

-290

-24.7%

投資キャッシュ・フロー

-450

-404

+46

-

フリー・キャッシュ・フロー

726

482

-244

-33.6%

財務キャッシュ・フロー

-544

-533

+10

-

現金及び現金同等物上期末残高

863

811

-51

-5.9%

*単位:百万円

 

19/3期末の現金及び現金同等物は、前期比51百万円減少して8億11百万円となった。
営業CFは、前期比2億90百万円収入が減少し、3億86百万千円となった。主な内訳は、収入要因として、税金等調整前四半期純利益1億20百万円、減価償却費6億19百万円、支出要因として、売上債権の増加額61百万円であった。
投資CFは、前期比46百万円支出が減少し、4億4百万円の支出となった。主な内訳は、支出要因として、有形固定資産の取得による支出3億62百万円、預り保証金の返還による支出88百万千円、収入要因として、預り保証金の受入による収入90百万円であった。
これらにより、フリー・キャッシュ・フローは前期比2億44万円収入が減少し、4億82百万円の収入となった。
財務CFは前期比10百万円支出が減少し5億33百万円の支出となった。主な内訳は、支出要因として、短期借入金の返済による支出18億30百万円、長期借入金の返済による支出7億81百万円、リース債務の返済による支出1億61百万円、収入要因として短期借入れによる収入19億95百万円、長期借入れによる収入2億90百万円であった。

 

3.2020年3月期業績予想

連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期予想

構成比

前期比

売上高

14,258

100.0%

14,903

100.0%

+4.5%

営業利益

494

3.5%

464

3.1%

-6.1%

経常利益

218

1.5%

139

0.9%

-36.4%

親会社株主に帰属する当期純利益

16

0.1%

46

0.3%

+184.6%

*単位:百万円

 

20/3期予想は売上高が前期比4.5%増の149億3百万円、経常利益は同36.4%減の1億39百万円。デイサービス事業においては、利用者のニーズと状態に合わせた適切なサービスを提供することで、利用単価の向上に取組み利益率の改善を図る。5月16日に熊本市東区に「あおぞらの里 西原デイサービスセンター」を新規施設した。施設サービス事業においては、引き続き、既存施設の稼働率の向上を第一に、3月に開設した横浜市「靏見の郷」の稼働率向上にも注力する。さらに、コンプライアンスを重視した施設運営と内部管理体制の整備・強化を進めるとともに、社員の教育・研修に注力し、顧客満足度の向上に取り組む考え。新規デイサービスならびに新規ホームの早期黒字化を目指すも、初期費用の負担が重く、減益となる見通し。売上高増が6億44百万円(内デイサービス1億33百万円、施設サービス4億33百万円)、その他経費減が内製化による給食委託費減中心に44百万円の増益要因。一方、新規施設の開設費用が4億89百万円、給食・介護人材等の人件費増(新規施設を除く)が2億27百万円の減益要因を見込んでいる。配当については、2.0円の期末配当を予定している。

 

4.今後の注目点

介護報酬改定の影響を受けたデイサービス事業では利用単価の上昇と稼働率の向上が課題となりそうだ。同社では利用単価は19/3期8,300円から20/3期は8,400円へ、要介護者の月平均利用回数は同30,801回から31,500回へ伸ばすことを見込んでおり、その進捗を注視したいところ。施設サービス事業は、既存施設については既に高い入居率となっており、「靏見の郷」の早期の稼働率向上がカギを握りそうである。また、人材の確保と人件費上昇への対応も引き続き課題といえそうだ。同社では外国人実習生の採用を進めるなど様々な取り組みを行っている。引き続きスケールメリットを活かした人材確保や社員のスキルアップにも期待したい。
尚、SOMPOホールディングスとの資本提携を解消した。上場の維持や独自の成長戦略を柔軟に進める意向であることが背景にある模様。今後は、SOMPOホールディングスは経営には関与しないものの、これまでの関係は維持していく方針。業績への影響はなさそうである。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日: 2019年6月28日

 

<基本的な考え方>
当社は、社会的ニーズである介護サービスを中心として、リハビリテーションを中心としたサービスを積極的に行い、より人間らしく生きるために積極的な生活支援を行うことにより、社会に貢献することであります。
当社は、これらの企業理念の実現のため、コーポレート・ガバナンスについて、当社の利害関係者と良好な関係を構築するに当たっての重要事項と考えております。当社の意思決定や行動が法令や市場のルールに反していないかという適法性を重視するだけでなく、社会に貢献しているか、社会の要請に反していないかという企業の社会性も重視しています。そして、コーポレート・ガバナンスが適確に機能するためには、徹底した透明性が必要であると考えております。法令等で義務付けられた範囲に限定することなく、株主や投資家をはじめ、従業員、地域社会や顧客に対して積極的に情報開示を行っていく考えです。当社のコーポレート・ガバナンス体制の概要は以下のとおりであります。
取締役会においては、取締役5名のうち社外取締役(非常勤)を1名選任しており、業務執行の迅速な意思決定や透明性を維持する組織を構築しております。
また、当社は、2019年6月27日現在、会社法第2条第6号に定める大会社には該当しておりませんが、コーポレート・ガバナンスの一層の強化を図ることを目的として、監査役会を設置しております。監査役会においては、監査役の独立性と客観性を確保するため、監査役3名のうち社外監査役(非常勤)を2名選任し、取締役会の業務執行の監督・監視機能を強化しております。
内部監査につきましては、社長の直轄組織として内部監査室(7名)を設置しており、当社各事業部門が関係法令や社内規程を順守し、適切な運営がなされているか監査・指摘・検証を行っております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、JASDAQ上場会社としてコーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

 

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