ブリッジレポート
(6183) 株式会社ベルシステム24ホールディングス

プライム

ブリッジレポート:(6183) ベルシステム24ホールディングス 2020年2月期第2四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

柘植 一郎 社長

株式会社ベルシステム24ホールディングス(6183)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表者

柘植 一郎

所在地

東京都中央区晴海1-8-11

決算月

2月

HP

https://www.bell24hd.co.jp/jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,734円

73,516,913株

127,478百万円

12.1%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

42.00円

2.4%

93.86円

18.5倍

622.14円

2.8倍

*株価は10/21終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移(IFRS)

決算期

売上収益

営業利益

税引前利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年2月(実)

102,540

8,884

7,875

5,031

71.00

18.00

2017年2月(実)

108,916

8,172

7,196

4,304

58.86

36.00

2018年2月(実)

115,618

9,319

8,502

5,604

76.39

36.00

2019年2月(実)

121,113

8,580

7,944

5,397

73.37

36.00

2020年2月(予)

129,000

11,500

10,850

6,900

93.86

42.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

 

株式会社ベルシステム24ホールディングスの2020年2月期第2四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年2月期第2四半期決算概要
3.中期経営計画最終年度計画(2020年2月期業績予想)
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 20/2期上期は前年同期比4.9%の増収、同10.0%の営業増益。既存業務+新規業務等が同3.6%増と堅調に推移する中、キャッシュレス決済関連・消費税関連の寄与で旧BBコールやスポット業務が伸びた。前期に取り組んだ低採算案件の見直しや継続的なコスト削減施策の効果で収益性の改善も進んだ(営業利益率:8.9%→9.3%)。

     

  • 20/2期は中期経営計画(18/2期~)の最終年度に当たり、売上高1,290億円(前期比6.5%増)、営業利益115億円(同34.0%増)を目指している。進捗率は、売上高が48.9%、営業利益が51.1%と共に順調。下期は新人事制度関連費用の増加や拠点開設に伴う先行家賃等を計画しているが特段の不安はない。21円の期末配当を予定しており、2Q末配当と合わせて年6円増配の42円となる見込み(予想配当性向44.7%)。

     

  • 上期の売上の伸びに物足りなさを感じる方がいるかもしれないが、同社はビジネスの質に重きを置き、売上よりも営業利益や営業利益率を重視している。この一環として、前期に低採算案件やパートナーシップの見込めない案件について契約の見直しを行った結果、上期の増収率が1~2ポイント低下したようだ。上期はスポット業務の取込みもあったが、継続業務が順調に拡大しており、注力している伊藤忠シナジーや凸版シナジーについては、通期で伊藤忠シナジーが前期の110億円から120億円程度へ、凸版シナジーは前期の6.5億円から30億円程度へ、それぞれ拡大する見込み。

     

1.会社概要

持株会社である同社と子会社6社でグループを形成。コンタクトセンターアウトソーシングを中心とするCRM事業、テクノロジーサービス及びコンサルティングサービスを主たる事業とする。子会社は、コンタクトセンター運営及びその付帯業務の株式会社ベルシステム24、ITサービスデスクやBPO(Business Process Outsourcing)等のCTCファーストコンタクト株式会社(出資比率51%)、コンテンツ販売の(株)ポッケ、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社の株式会社ベル・ソレイユ、ベトナムでコンタクトセンター事業を展開するBELLSYSTEM24-HOASAO(出資比率49%)等の6社。

 

伊藤忠商事(株)が同社議決権の40.79%を有し、同社を持分法適用関連会社としている(同社は出向者を8名受け入れている)。生活消費関連分野を中心とする非資源分野に注力している伊藤忠商事(株)グループにおいて、コールセンター事業を手掛ける同社は「企業と消費者の接点」としての役割を担っている。2014年10月の資本提携以降、様々な連携を進めており、伊藤忠商事グループと取引は順調に拡大している(伊藤忠商事グループとの取引は、他のクライアント企業と同様の取引条件で行っており、今後も同様の方針)。

 

【企業理念】

我々の使命
イノベーションとコミュニケーションで社会の豊かさを支える

 

我々の行動理念
我々は一人ひとりが常に新たな挑戦を続け、楽しく、安心して働ける、人に優しい職場(コミュニティー)を作ります。
我々は企業としての社会的責任を果たし、持続的で健全な成長を目指します。
我々がつくり出した価値を社会に還元し、美しい未来づくりに貢献します。

 

1-1 事業内容

事業は、報告セグメントであるCRM事業とその他に分かれ、CRM事業が連結売上高の90%以上を占めている。その他には、(株)ポッケが手掛けるコンテンツ販売等が含まれている。

 

CRM事業
主に(株)ベルシステム24及びCTCファーストコンタクト(株)の事業領域である。電話を主なコミュニケーションチャネルとする従来型のインバウンド・アウトバウンドコールの業務に加え、Webやソーシャルメディア等のIT技術を駆使した様々なサービスを、クライアント企業へ提供している。売上の90数%を継続業務が占めるストック型のビジネスで、キャンペーン対応や選挙関連等のスポット業務が残り数%。また、ソフトバンク向け(BBコール業務)の売上が全体の10数%(継続業務)を占めている。業務は、次の4業務に分ける事ができる。

 

①クライアント企業のカスタマーサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスに関する質問に対応する業務)
②クライアント企業のセールスサポート業務(主にクライアント企業の商品・サービスの販促をサポートする業務)
③クライアント企業のテクニカルサポート業務(主にクライアント企業のIT製品の操作方法等に関する質問に対応する業務)
④BPO業務(主にクライアント企業のWeb制作、データ入力作業等を請け負う業務)

 

その他
(株)ポッケや(株)ベル・ソレイユの収益が計上されている。(株)ポッケは、モバイル・PC等を通じた一般消費者向けコンテンツ販売(月額課金)や事業者向けに気象予報関連コンテンツの販売を行っている。また、(株)ベル・ソレイユは、障がい者の雇用促進を目的とする特例子会社として、同社グループの総務業務及び事務代行の受託を主な業務としている。

 

1-2 SDGs・CSR活動

同社グループはSDGs(持続可能な開発目標)にかかる取り組みとして「多様な人材による多様な働き方の実現」を掲げている。この一環として、障がい者への職場の提供、更には同社コミュニケーターの7割超を占める女性が活躍できる環境の整備に力を入れている。障がい者への職場の提供では、チョコレート製造工場(愛知県豊橋市)や農園(千葉県船橋市)の運営に加え、同社オフィス内ラウンジに障がい者がサステナブルコーヒーを抽出し、提供するカフェを開設している。
19/2期には、事業戦略とCSR活動を統合し更なる企業価値の向上につなげるべく、事業戦略の策定、M&A、及びAI等の新技術導入等を担う「事業戦略部」内に「CSR推進室」を新設した。
このような取り組みを評価され、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」(厚生労働大臣)、子育てと仕事の両立支援等についての高い水準で取り組んでいる企業として最高位の「プラチナくるみん」等、外部認定を受けている。

 

「サステナブル・コーヒー・チャレンジ(Sustainable Coffee Challenge、以下:SCC」)への参画
2019年8月には、SDGs・CSRへの取組の一環として、「サステナブル・コーヒー・チャレンジ(Sustainable Coffee Challenge、以下:SCC)」に参画した。SCCとは、国際NGOコンサベーション・インターナショナル(本部:米国ヴァージニア州アーリントン、CEO:M・サンジャヤン、以下:CI)による、コーヒーを真に持続可能な農産物とするための呼びかけである。SCCでは、サステナビリティー(続可能性)に配慮したコーヒーを“サステナブルコーヒー”と呼んでいる。“サステナブルコーヒー”は、現在だけではなく未来の事も考えた上で、自然環境や人々の生活を良い状態に保つ事を目指して生産・流通されたコーヒーの総称であり、環境保護団体を含む様々なNGOがサステナブルコーヒーの生産や流通を推進する活動を行っている。

 

同社はSCCへの参画に当たり、サステナブルコーヒーを提供するカフェを、2021年までに最低3ヶ所以上(開設する事を、「コミットメント」として表明している。障がい者によるサステナブルコーヒーの提供機会を増やす事を通じて、定義・公表した重要課題(マテリアリティ)でもある「環境保護」への取り組みを行い、同時にSDGsのテーマに貢献していく考え。

 

(同社資料より)

 

2.2020年2月期第2四半期決算概要

2-1 第2四半期(累計)連結業績(IFRS)

 

19/2期 上期

構成比

20/2期 上期

構成比

前年同期比

売上収益

60,068

100.0%

63,036

100.0%

+4.9%

売上総利益

12,017

20.0%

12,661

20.1%

+5.4%

販管費

6,617

11.0%

6,736

10.7%

+1.8%

営業利益

5,345

8.9%

5,880

9.3%

+10.0%

税引前利益

5,032

8.4%

5,614

8.9%

+11.6%

親会社株主帰属利益

3,261

5.4%

3,707

5.9%

+13.7%

* 単位:百万円

 

前年同期比4.9%の増収、同10.0%の営業増益
売上高は前年同期比4.9%増の630億36百万円。事業譲渡や連結対象企業の減少等でその他が減少したものの、CRM事業が606億20百万円と同6.9%増加した。CRM事業は、伊藤忠シナジーの増加に加え、凸版シナジーが顕著に拡大する等で既存業務+新規業務等が着実に成長する中、キャッシュレス決済関連で旧BBコールが、選挙や消費税関連・リコール関連でスポット業務が、それぞれ同20%を超える増収となった。
利益面では、オペレーターの処遇改善に伴う人件費の増加(4.4億円)や戦略投資・先行投資(新人事制度導入等で3.3億円)等によるコスト増を、増収効果(7.9億円)に加え、契約価格の適正化(低採算案件の見直し)や人材リソースの効率化・適正化による収益性改善(6.6億円)等で吸収した。

 

第2四半期(6-8月)は売上収益・営業利益が四半期ベースで過去最高を更新

 

18/2-1Q

2Q

3Q

4Q

19/2-1Q

2Q

3Q

4Q

20/2-1Q

2Q

売上収益

28,561

28,584

29,476

28,997

30,154

29,914

29,973

31,072

30,840

32,196

営業利益

2,251

2,136

2,694

2,238

2,787

2,558

2,398

837

2,920

2,960

営業利益率

7.9%

7.5%

9.1%

7.7%

9.2%

8.6%

8.0%

2.7%

9.5%

9.2%

* 単位:百万円

 

第2四半期(6-8月)は売上収益及び営業利益が四半期ベースでの過去最高を更新した。営業利益率については、2四半期連続で9%超の利益率を維持し、通期業績の前提(中期経営計画の目標)である8.9%を上回った。収益性改善施策の効果が想定以上に現れていると言う。

 

2-2 セグメント別動向

 

19/2期 上期

構成比・利益率

20/2期 上期

構成比・利益率

前年同期比

売上収益

60,068

100.0%

63,036

100.0%

+4.9%

 CRM事業

56,725

94.4%

60,620

96.2%

+6.9%

 継続業務

既存業務+新規業務等

45,644

76.0%

47,269

75.0%

+3.6%

既存(旧BBコール)

7,221

12.0%

8,690

13.8%

+20.3%

 スポット業務

3,859

6.4%

4,661

7.4%

+20.8%

 その他

3,343

5.6%

2,416

3.8%

-27.7%

営業利益

5,345

8.9%

5,880

9.3%

+10.0%

 CRM事業

5,239

9.2%

5,908

9.7%

+12.8%

 その他

106

3.2%

-28

-

-

* 単位:百万円

 

CRM事業
売上収益606億20百万円(前年同期比6.9%増)、営業利益59億08百万円(同12.8%増)。前期に業務を開始した既存継続案件の拡大、伊藤忠商事(株)とのシナジー案件の堅調な推移、凸版印刷(株)との協業強化によるシナジーの拡大、更にはポイント関連が2億円弱寄与した旧BBコールや参議院選挙業務(4億円程度)・消費税関連・凸版シナジーによるスポット業務の伸長もあり、売上収益が増加した。
利益面では、増収効果に加え、前期に低採算案件が終了した事や生産性向上等、継続的な収益性改善施策の成果が現れた。

 

業種別売上高(旧BBコールを除くCRM事業の売上収益上位300社が対象)

 

19/2期 上期

構成比

20/2期 上期

構成比

前年同期比

放送・出版・情報サービス

136.0

26%

145.5

26%

+7.0%

金融

141.3

27%

142.0

25%

+0.5%

流通(小売・卸売)

102.0

19%

104.3

18%

+2.2%

運輸・通信

94.3

18%

96.7

17%

+2.6%

製造

30.9

6%

52.7

9%

+70.7%

電気・ガス・水道等

11.0

2%

10.5

2%

-4.5%

その他

14.1

3%

16.3

3%

+16.1%

合計

529.6

100%

568.0

100%

+7.3%

* 単位:百万円

 

その他
売上収益24億16百万円(前年同期比27.7%減)、営業損失28百万円(前年同期は1億06百万円の利益)。(株)ビーアイメディカルのCSO事業の譲渡及び(株)BELL24・Cell Productの連結除外に加え、コンテンツ販売収入の減少等もあり、売上収益が減少し損益分岐点を下回った。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー

財政状態

 

19年2月

19年8月

 

19年2月

19年8月

現預金

5,971

8,077

営業債務

5,396

5,888

営業債権

17,402

18,751

未払従業員給付

8,778

9,983

流動資産合計

25,589

27,597

借入金

70,986

70,893

のれん

96,250

96,250

負債合計

93,247

120,606

非流動資産合計

114,150

140,774

親会社所有者帰属持分合計

45,737

47,422

資産合計

139,739

168,371

資本合計

46,492

47,765

* 単位:百万円

 

第2四半期末の総資産は前期末との比較で286億32百万円増の1,683億71百万円。増加額のうち、約265億円はIFRS16号の適用によるもの。具体的には、これまで賃貸借処理としてオフバランスだったオペレーティング・リースがオンバランスされた(これに伴い、使用権資産の減価償却費及びリース負債に係る金利費用が計上される)。

 

キャッシュ・フロー

 

19/2期 上期

20/2期 上期

前年同期比

営業キャッシュ・フロー

6,723

8,053

+1,330

+19.8%

投資キャッシュ・フロー

-1,464

-1,015

+449

-

財務キャッシュ・フロー

-4,818

-5,023

-205

-

現金及び現金同等物期末残高

5,765

8,077

+2,312

+40.1%

* 単位:百万円

 

税引前利益56億14百万円(前年同期50億32百万円)、減価償却費34億51百万円(同11億31百万円)、法人所得税△22億21百万円(同△15億20百万円)等で80億53百万円の営業キャッシュ・フローを確保した。

 

3.中期経営計画最終年度計画(2020年2月期業績予想)

3-1 中期経営計画(18/2~20/2期)

 

17/2期 実績

18/2期 実績

19/2期 実績

20/2期 計画

売上収益(億円)

1,089

1,156

1,211

1,290

営業利益(億円)

82

93

86

115

営業利益率

7.5%

8.1%

7.1%

8.9%

ROE

11.0%

13.4%

12.1%

14.5%

NET DER

1.80倍

1.63倍

1.42倍

1.23倍

* 19/2期は利益面で医薬関連事業再編の影響を受けた。この影響を除いた営業利益は102億円(営業利益率8.4%)。

 

中期経営計画最終年度の利益目標が射程圏に
中期経営計画最終年度の目標(通期予想)は、売上高1,290億円(前期比6.5%増)、営業利益115億円(同34.0%増)。目標に対する進捗率は、売上高48.9%、営業利益51.1%と順調。下期は、新人事制度関連費用の増加、拠点開設に伴う先行家賃、Windows10導入費用(PCのOS入替え)等で、営業費用が上期比で増加する見込みだが、事業拡大と収益性改善で吸収できる見込み。営業利益の115億円を射程圏に捉えた。売上収益については、スポット業務の動向によって若干振れる可能性がある。

 

売上収益・営業利益

 

19/2期 実績

構成比

20/2期 計画

構成比

前期比

売上収益

121,113

100.0%

129,000

100.0%

+6.5%

CRM事業

114,824

94.8%

124,350

96.4%

+8.3%

 継続業務

既存業務+新規業務等

92,944

76.7%

97,540

75.6%

+4.9%

既存(旧BBコール)

14,429

11.9%

17,800

13.8%

+23.4%

 スポット業務

7,450

6.2%

9,010

7.0%

+20.9%

その他

6,289

5.2%

4,650

3.6%

-26.1%

* 単位:百万円

 

3-2 成長戦略(3つの取り組み)とCSR活動

中期経営計画の目標達成に向けた成長戦略(取り組み)として、従来ビジネスの拡大、新領域での拡大、及び人材マネジメントの高度化、の3つを挙げている。

 

従来ビジネスの拡大

顧客との関係強化、伊藤忠シナジー、品質優位性の更なる追及

新領域での拡大

Advanced CRM Platform、Advanced BPO、海外事業展開、凸版シナジー

人材マネジメントの高度化

退職防止、採用力強化、現場人材管理の精緻化

 

従来ビジネスの拡大
伊藤忠シナジーの拡大が続いており、この上期は62.4億円と前年同期との比較で8.2億円増加した。また、凸版印刷シナジーも既存業務やスポット業務で顕在化してきた。
この他、品質優位性の向上に向け、池袋サンシャイン60に就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を併設した400席規模の新センター(全国34拠点目、首都圏9拠点目)を開設した他、通販業界の共通課題の解決を目的にパートナー企業と「ベル・フラッグシップセンター」を開設した。「ベル・フラッグシップセンター」を通して、化粧品、健康食品、飲料・食料、日用品といった商品を扱う通販企業のコンタクトセンターを相互に連携させ、通販業界に共通の課題及び解決手法を集約し解決に導く事で顧客との関係強化につなげていく。

 

新領域での拡大
遠隔地のカスタマーサポート等をリモートで支援するMRソリューション(Merged Reality:複合現実)の提供や“人”と“AI”のハイブリッド対応を実現するソリューション「BellCloud AI」の提供を開始した。MRソリューションでは、MRによる遠隔サポートツール「ヘルプライトニング」を活用し、音声だけでは難しい遠隔地のカスタマーサポートや社内サポート等の複雑な作業を、統合されたビデオストリーミング動画等を使いリモートで支援する。一方、「BellCloud AI」は、消費者とのコミュニケーションの一部をAIで自動化する。ただ、単なる自動化ではなく、“人からAI”、“AIから人”の双方向のナレッジ還流と結果情報のフィードバックによりナレッジを日々進化させる事ができる。
この他、人材確保の観点から在宅コンタクトセンターのテスト活用を開始した。

 

人材マネジメントの高度化
従来採用を見送っていた人材を確保し、就業支援を行う事で即戦力化する就業支援施設「SUDAchi(すだち)」を、札幌に新規開設した他、産休・育休明けの従業員の復職や、育児と仕事の両立の支援、近隣エリアの育児中の求職者の受入等を目的に、同社として3か所目の企業内保育園「ベルキッズさっぽろ保育園」を開設した。この他、多様なパートナー関係をもつ社員の処遇を改善するべく、就業規程に記載されている“配偶者”の定義に「同性パートナー」及び「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を追加する人事労務規程を改定した。

 

CSR活動
SDGs・CSR活動の一環として、国際NGOコンサベーション・インターナショナルによる、コーヒーを真に持続可能な農産物とするための呼びかけである、「サステナブル・コーヒー・チャレンジ」へ参画した他、コーヒーを通じたSDGsの実現を進めるミカフェートのプロデュースの下、障がい者が高品質な豆からコーヒーを抽出しプレミアムカフェを提供する「障がい者の運営によるカフェ」を札幌コールセンター内に開設した(北海道エリア初)。

 

3-3 次期中期経営計画の方向性 - ベストCXパートナーを目指して -

「ベストCXパートナー」を目指して、「人」と「テクノロジー」の高度のハイブリッド化によるムダとストレスの軽減に取り組んでいく。近年、企業とエンドユーザーのコミュニケーションが多様化しており、あらゆるチャネルで迅速な解決を求めるエンドユーザーが増えている。ムダなく迅速に解決できれば、エンドユーザーのストレスを軽減し満足度を高める事ができる。その役割を担うのがエンドユーザーとの接点となるコンタクトセンターだが、採用難の中、コンタクトセンターは人材確保のための抜本的な変革が求められており、急速に進化する人工知能(AI)を活用した新たなオペレーションモデルへの転換も迫られている。
このため、同社はシフト対応やシニア採用を進めると共に、機械化が可能な業務は「AI」の導入等で機械化を進め、AIでは対応が難しい高度な業務に「人」が対応するシステムの構築に取り組んでいく。念頭にあるのは、オペレーターのムダとストレスの軽減である。既に、「人」と「AI」のハイブリッド対応を実現するソリューション「BellCloud AI」の提供を開始している。この他、人材確保の観点から在宅コンタクトセンターの運用も視野に入れており、既にテスト活用を開始している。本格的な運用にはセキュリティや教育・研修体制の整備が必要であり、次期中期経営計画で取り組みを進めていく。

 

4.今後の注目点

上期は前年同期比4.9%の増収。売上の伸びに物足りなさを感じる方がいるかもしれないが、同社はビジネスの質に重きを置き、売上の拡大はもちろんだが、営業利益や営業利益率をより重視している。この一環として、前期に低採算案件やパートナーシップの見込めない案件の契約見直しを行った影響で上期の増収率が1~2ポイント低下したようだ。このため、実力的には継続業務を中心に6~7%の増収率といったところ。継続業務では、伊藤忠シナジーが既に通期で110億円規模に成長しているが、凸版シナジーも徐々に形になってきた、と言う。凸版印刷の持つ、顧客資産、営業力、インフラと、ベルシステム24など同社グループの運用力(オペレーション)といった両社の強みを活かす事で提案力が向上しており、20/2期は凸版シナジーが前期の6.5億円から30億円程度に拡大する見込み(伊藤忠シナジーは前期の110億円から120億円程度への拡大が見込まれる)。
コンタクトセンターに寄せられる多くの顧客の声は企業にとって宝の山だ。ビッグデータであり、製品やサービスの開発、営業・販促活動、更には経営計画の策定に活用できる。その声を集めるのがコンタクトセンターである。コンタクトセンターは、かつて問い合わせや苦情に対する窓口としての位置付けだったが、今では事業活動に貢献する“プロフィットセンター”。同社は顧客企業とのパートナーシップの下、コールセンターソリューションを提供していく考え。「ベストCXパートナー」を目指して更なる飛躍を目指す次期中期経営計画に期待したい。

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

9名、うち社外5名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日: 2019年5月29日)
基本的な考え方
当社は、株主をはじめ、クライアント、取引先、従業員等の当社および当社のグループ会社(これらを総称して、以下「当社グループ」といいます。)を取り巻く全てのステークホルダーと良好な関係を構築するとともに、その信頼を得ることが企業価値の最大化に不可欠であり、そのためにはコーポレート・ガバナンスの充実が重要な経営課題の一つであるとの認識のもと、経営の効率化を図りつつ、透明性と健全性を確保した企業運営に努めております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則1-4 政策保有株式】
純投資目的以外の投資を行う際は、投資対象会社との業務提携、情報共有等を通じて当社グループの事業における相乗効果が期待されるか否かによって投資の是非を判断することとし、縮減するか否かについても同様に相乗効果が期待されるかによって判断することを基本方針としております。また、当社が保有している上場会社の政策保有株式、1銘柄(貸借対照表計上額12百万円)について、取締役会において継続保有の是非を検証した結果、継続して保有することにいたしました。なお、政策保有株式に係る議決権の行使に関する具体的な基準は設けておりませんが、投資の目的である相乗効果が最大限発揮され、当社グループの企業価値向上に寄与するかどうかなどを総合的に判断して、提案された議案を検討し、行使することを基本方針としております。

 

<開示している主な原則>
【原則1-7 関連当事者間の取引】
関連当事者取引の管理等に関する規程を定め、取引の規模や性質等によって取締役会の承認を要するものと要しないものとの基準を設けて運用しております。また、取締役会の承認の有無にかかわらず、毎期初には継続する関連当事者取引の承認を取締役会に求め、もって取締役会による取引妥当性に関する監視を行っております。なお、当社は、現時点において親会社等は存在しませんが、存在することとなり、親会社等との取引を行う場合において、取締役会の判断が社外取締役の意見と異なる場合には、その意見を事業報告に記載することにより、開示してまいります。

 

【補充原則4-11-3 取締役会全体の実効性についての分析・評価】
取締役会は、今年度もアンケートによる各取締役および各監査役の自己評価に基づき、取締役会全体の実効性について分析・評価を行いました。その結果の概要は、当社ウェブサイトで開示しております。
https://www.bell24hd.co.jp/jp/about/detail/governance/corporategovernance/
今年度の結果を踏まえて、今後は、より丁寧に重要事項についての事前説明等を行うことで取締役会における審議の一層の活性化、経営戦略・事業戦略に関しての収益力や資本効率をより意識した議論の充実とその進捗状況の報告強化、競合他社や事業環境に関する要因分析を踏まえた実効的な業績モニタリングの実施、指名委員会および報酬委員会における役員選任および評価に関するプロセスへの独立社外役員の関与の状況・有り方について注視することで認識された課題等に取り組んでまいります。なお、監査役会においても今年度も監査役会の実効性評価を実施いたしました。3名の監査役(常勤監査役1名、社外監査役2名)が今年度を振り返り、監査役の活動について議論し、評価・分析を行いました。その結果は、当社ウェブサイトで開示しております。
https://www.bell24hd.co.jp/jp/about/detail/governance/corporategovernance/
今年度は前年度より開催した内部監査部門・会計監査人・常勤監査役が出席する三様監査連絡会を、より実効的に機能させることを目的に三者で三様監査の連携における現状認識や課題点について意見交換を行い、あるべき連携について積極的に協議を重ねることで連携における共通認識が図れるようになり一定の効果が見られました。近年、多くの企業不祥事が表面化し報道されている中、今後におきましてはこれまで以上にリスクマネジメント体制の監視・検証に努めていく他、ITガバナンスの有効性並びに情報開示の有効性の監視・検証に努めることで取締役会と協働で更なるコーポレート・ガバナンス体制の強化に努めてまいる所存です。

 

 

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