ブリッジレポート
(6543) 株式会社日宣

スタンダード

ブリッジレポート:(6543)日宣 2020年2月期第2四半期決算

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大津 裕司 社長

株式会社日宣(6543)

 

 

会社情報

市場

東証JASDAQ

業種

サービス

代表取締役社長

大津 裕司

所在地

東京都千代田区神田司町2-6-5 日宣神田第2ビル

決算月

2月末日

HP

https://www.nissenad.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,304円

1,951,900株

2,545百万円

8.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

42.00円

3.2%

120.67

10.8倍

1,395.09円

0.9倍

*株価は10/30終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年2月期第2四半期決算短信より。ROE、BPSは前期末実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年2月(実)

4,338

344

331

199

117.56

25.00

2017年2月(実)

4,690

375

418

259

151.71

38.00

2018年2月(実)

4,711

342

380

654

336.64

42.00

2019年2月(実)

5,021

304

341

229

118.52

42.00

2020年2月(予)

5,582

330

344

233

120.67

42.00

*予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。16年11月1日付で1:20の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及して計算。
*単位:百万円、円

 

株式会社日宣の2020年2月期第2四半期決算概要などをご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1. 会社概要
2. 2020年2月期第2四半期決算概要
3. 2020年2月期業績見通し
4. 今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 放送・通信業界、住まい・暮らし業界、医療・健康業界を主要顧客とし、課題解決のための戦略立案から、プロモーション設計、制作・開発、実行・運用までをワンストップで提供。「総合力」、「小回り」、「きめの細かさ」を武器として競争優位性の高いポジショニングに成功している。VR(仮想現実)技術などを用いたデジタル領域拡大に注力。「売上高100億円、経常利益10億円、デジタル領域構成比30%」の早期達成を目指している。

     

  • 20年2月期第2四半期の売上高は前年同期並みの25億42百万円。住まい・暮らし業界向けが減収も、その他業界向けがカバーした。営業利益は同2.2%増の1億52百万円。人件費が増加したが、広告宣伝費、その他販管費をコントロールした。期初予想に対しては売上、利益ともに未達だった。

     

  • 業績予想に変更は無い。20年2月期の売上高は前期比11.1%増の55億82百万円、営業利益は同8.7%増の3億30百万円の予想。その他業界、医療・健康業界が牽引する。上期出遅れた住まい・暮らし領域はリカバリーを図り、計画達成を目指す。配当は前期と同じく42.00円/株の予定。予想配当性向は34.8%。

     

  • 医療・健康業界、その他業界は好調なものの、前期に続き売上構成比の大きい放送・通信業界、住まい・暮らし業界が低調で、上期は売上、利益共に計画未達となった。下期に両業界ともリカバリーを図り、通期では前期並みの売上を確保するとのことで進捗が期待される。

     

  • また、成長のための柱の一つであるデジタル化だが、同社も課題として認識しているように、目標の売上構成比30%にはまだしばらく時間がかかりそうだ。こちらも、具体的な取り組みと実績を注視していきたい。

     

1.会社概要

放送・通信業界、住まい・暮らし業界、医療・健康業界を顧客とし、企業の課題解決のための戦略立案から、プロモーション設計、制作・開発、実行運用までをワンストップで提供。「総合力」、「小回り」、「きめの細かさ」を武器として競争優位性の高いポジショニングに成功している。
Web広告やVR(仮想現実)技術を用いた接客支援等のデジタル領域拡大に注力。「売上高100億円、経常利益10億円、デジタル領域構成比30%」の早期達成を目指している。

 

【1-1沿革】

日本画家を志していた大津裕司社長の祖父大津健二郎氏は神戸の高級美術印刷会社でデザイナーとして活躍。その後、太平洋戦争に出征、復員した1947年4月、神戸市で前身となる広告会社 宣伝五洋社を創業した。
一般的な広告の取り扱いに加え、神戸という土地柄から造船会社が行う進水式のコーディネートや、百貨店の催事企画・ポスターの制作などを手掛ける中、戦後復興景気の中心産業であった繊維業界にも顧客層を広げていく。
昭和30年代に帝人株式会社の大ヒット商品となった「ホンコンシャツ(半袖のワイシャツ)」の発売にあたり、高級感ある包装パッケージを手掛けたのも同社であり、優れたデザイン・クリエイティブ力や商品プロモーション力、印刷までワンストップで手掛ける利便性が顧客に高く評価される。優良な業界・顧客に直接取引により優れた企画やクリエイティブを提供するという同社の特徴は創業時から綿々と受け継がれている。
1955年、更なる事業拡大を志向し東京営業所を開設。
東京で顧客開拓を進める中、1972年には現在の主要顧客の1社である旭化成ホームズの取り扱いを開始した。
その後、放送・通信業界、医療・健康業界にも顧客層を広げ売上、利益は着実に伸張。
2017年2月、東京証券取引所JASDAQ市場へ上場した。

 

【1-2 企業理念・経営理念】

全社員の物心両面の幸福を追求します。

社員が喜んで仕事をする会社であることが、お客様への提供価値を高め、株主をはじめステークホルダーを重視した経営に繋がる。

ユニークなコミュニケーションサービスの提供によって、お客様の経営に貢献します。

私たちのゴールはお客様のビジネス課題を解決すること。特化型のマーケティングに基づき、他にはないコミュニケーションの仕組み、メディア、コンテンツ、エクスペリエンスを創造。

 

【1-3 同社を取り巻く環境】

◎広告市場の変化
従来の広告市場、特にテレビや新聞といったマスメディアを利用した広告ビジネスにおいては、サプライサイドであるメディアや広告代理店にとっては在庫の独占性や排他性が事業展開するうえで最も重要な要素であった。
大手広告代理店は限りのあるTVや新聞のスポット枠をほぼ完全に押さえることで広告主に対する価格リーダーシップを握り、大きな利益を生み出してきた。
ところがマス広告は、右肩上がりの経済成長の終焉と、従来のメディアと比較した際のコストの安さやその本質である双方向性を大きな特徴とするインターネット広告の登場により需要は縮小傾向にある。

 

株式会社電通による「2017年 日本の広告費」によれば、下のグラフが示す通り、日本の総広告費用が過去12年間でほぼ横ばいの中、新聞・雑誌・ラジオ・TVのいわゆるマスコミ四媒体はCAGR(年平均成長率)で2.4%の減少だったのに対し、2005年には3,777億円であったインターネット広告費はCAGR12%で拡大を続け、2014年には1兆円台に乗り、2017年には1.5兆円となった。

 

 

また、折込・フリーペーパー・DMなどプロモーションメディア広告も過去12年では2.0%のマイナスとなっている。
ただ、プロモーションメディア広告の2012年以降の推移をみると、折込やDMはマイナスとなっている一方で、展示・映像、屋外広告の広告費は堅調に増加、POP制作費も2012年比では約7%増加するなど、広告主の費用対効果意識が高まるに連れ、ターゲットを絞ったマーケティングを目的として各媒体の特性を活かしたプロモーションメディア広告の利用が進んでいることが見て取れる。

 

 

消費者の嗜好や行動の多様化が進む中、広告主の「売上増」に繋がるマーケティングやプロモーションに対するニーズは今後より一層強まることが予想される。

 

◎広告・プロモーション関連企業比較

コード

社名

売上高

増収率

営業利益

増益率

営業利益率

時価総額

PER

PBR

2180

サニーサイドアップ

14,650

+0.2

720

+18.1

4.9%

7,358

27.7

3.2

2411

ゲンダイエージェンシー

11,000

-8.9

510

-27.6

4.6%

6,261

39.1

1.2

2487

CDG

10,700

+4.3

350

+22.7

3.3%

9,073

36.0

1.6

3977

フュージョン

1,330

+10.8

12

+484.3

0.9%

720

100.6

3.2

4317

レイ

12,000

+4.6

950

+6.0

7.9%

8,941

14.2

1.8

6176

ブランジスタ

3,500

+3.9

450

-

12.9%

12,185

20.4

4.9

6543

日宣

5,582

+11.2

330

+8.7

5.9%

2,545

10.8

0.9

9466

アイドママーケティング

9,800

+14.0

1,050

+11.6

10.7%

8,288

11.5

2.1

9782

ディーエムエス

27,395

+2.3

1,547

+13.2

5.6%

16,681

12.3

1.1

*売上高、営業利益は今期会社側予想。時価総額は直近の四半期末株式数×2019年10月30日終値。PER(予)、PBR(実)は2019年10月30日終値ベース。
*単位:百万円、%、倍

 

日宣はPER、PBRともに低水準にとどまっている。認知度の向上とともに、デジタル領域の拡大、売上高100億円への道筋をより具体的に投資家へ示す必要があるだろう。

 

【1-4 事業内容】

1.事業セグメント
セグメントは「広告宣伝事業」と「その他」。(報告セグメントは広告宣伝事業の1セグメント)

 

 

①広告宣伝事業

注力する業界を定め、顧客企業と直接取引をし、課題に対して戦略立案・マーケティングから、プロモーション設計、制作・開発、実行運用までを自社サービス、自社メディア、自社コンテンツを用いながら広告ソリューションをワンストップで提供している。

 

(同社資料より)

 

現時点でのサービス提供先は主に下記の3業界。

 

 

≪放送・通信≫
全国CATV局・大手通信キャリア・番組供給会社に、新規加入者獲得・視聴促進等のセールスプロモーションを提供している。

 

中心は全国約100局のCATV各局に対する加入者向けテレビ番組情報誌「チャンネルガイド」(月刊誌)の企画・制作で、発行部数は約150万部/月。
CATV局はCS・BS・地上波・地上波BSまで約130チャンネルを有しており、各番組の紹介記事等を作成するのはもちろん、毎月100局それぞれの番組表を作り分け、見易くかつ正確に編集しなければならない。
そのためにはシステム構築に一定の投資が必要であるとともに、運用についても十分なノウハウの蓄積が必要となるが、これらは高い参入障壁となっており、以前は5社程度あった競合も現在は1社のみとなっている。
日本全国にCATV局は約300局あるが、番組表を作成しているのはうち約240局で同社のシェアは4割。
CATV局にとっては必要不可欠な存在である。

 

(同社資料より)

 

また、大手通信キャリアが運営する動画配信サービスのレコメンドサイトの運営や各種セールスプロモーションの提供も行っている。

 

≪住まい・暮らし≫
(住宅)
40年以上にわたり大手住宅メーカー「旭化成ホームズ株式会社」のセールスプロモーションを行っている。
提供サービスは、全国キャンペーンの全体設計から個々の広告プロモーションの企画、カタログ、DM、チラシや住宅展示場ツールの制作、イベントの企画運営、WEB・映像制作、空間デザイン等と幅広く、カタログや営業ツールについては在庫管理まで行っている。
近年では、位置情報を活用しターゲットにピンポイントで情報を届け集客する「ジオターゲティング」や、360°映像とVR(仮想現実)を使用した最新の体験型シアタールームなどデジタル関連の新規サービスを提供している。

 

(同社資料より)

 

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旭化成ホームズの最新の体験型シアタールーム「HEBEL HAUS TOKYO PRIME SQUARE」

 

2017年1月、旭化成ホームズが東京営業本部(東京都新宿区西新宿2-4-1新宿NSビル)内に、インテリアや設備のショールーム「デザインスタジオ東京」と体験型シアタールーム「THE VISION HEBEL HAUS」を備えた打ち合わせスタジオ「HEBEL HAUS TOKYO PRIME SQUARE」をオープンした。
「THE VISION HEBEL HAUS」の概要
・4方向(前・右・左・上)の壁・天井に配した連続型大画面スクリーンに映し出す臨場感あふれる360°映像により、ヘーベルハウスの新商品や最新展示場など約20事例の住空間をバーチャル見学でき、実際に足を運ばなくても何ヶ所もの展示場を気軽に楽しく体感することができる。
・使い方は、ソファに座ったまま手のひらを画面に向けて動かすジェスチャーによるインタラクティブ操作となっている。また専用ゴーグル装着によるVR映像と違い見学者全員が同一体験を共有するため、家族全員で楽しさを共感しコミュニケーションを図ることができる点が特徴である。

 

(旭化成ホームズリリース資料より)
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(ホームセンター他)
全国のホームセンターで配布される来店客向け無料情報誌「Pacoma」(月刊誌)を企画・発行している。発行部数は約30万部。
メーカーからの広告集稿、ホームセンター企業への同誌の販売が主な売上。
ライフスタイル業界を中心とした顧客企業へ各種販促ツールを提供する他、培ったコンテンツ力を活かし、Webマガジン「Pacoma」を活用したWebプロモーション・PR施策の提供も行っている。

 

(同社資料より)

 

≪医療・健康≫
(製薬企業)
製薬会社のMR(医療情報担当者)の活動支援を目的として、医師が出演する疾患予防啓発番組(全国のケーブルテレビやラジオで放映)を企画制作している。現在までの制作本数は約700本。
また、製薬企業が主催するセミナーや学会の企画や運営等も受託している、

 

(同社資料より)

 

(ドラッグストア)
ドラッグストア来店客向け無料情報誌「KiiTa」(季刊誌)を企画・発行し全国約10,000店舗に配布。
また2016年12月からはドラッグストア企業売り場担当者向け無料情報誌「Re:KiiTa」(季刊誌)を発刊している。
両誌は日本チェーンドラッグストア協会の公認情報誌であり、製薬企業などからの広告集稿が売上高となる。

 

(同社資料より)

 

再編が進むドラッグストア業界は、人手不足の中、IT化、デジタル化、EC化への急速なシフトが必須であり、同社のビジネスチャンスも大きく広がっている。

 

≪その他≫
上記以外の業界の顧客開拓も積極的に推進している。
特に、ホームセンター、ドラッグストアなど店舗展開を行っている企業を顧客としてきた同社の強みである店舗集客と店頭プロモーションの企画力を生かして店舗網を持つ企業へのアプローチを強化している。

 

サンドウィッチチェーン店「SUBWAY」を運営する日本サブウェイにおいて、大手総合広告代理店からアカウントを獲得し、媒体の扱いから広告制作・店頭ツールまで全マーケティング施策を一貫して担当。
キャンペーンのコンセプトの企画から、Web広告を活用した店舗集客、チラシ・ポスター・メニューなど店頭ツールの開発までプランニング・集客・購買促進をトータルに提供している。

 

(同社資料より)

 

またピザチェーン「ピザハット」を運営する日本ピザハットには、映画コンテンツ「スパイダーマン」の面白さやファン層を活かし、ピザハットのファン拡大と映画の認知度アップのため、「AR(拡張現実)を活用したスパイダーマンとの自撮り体験のSNSを通じた拡散」、「ピザBOXの制作」、「ファンイベントの運営」等をトータルで提供するというキャンペーンの全体設計を企画、実行した。

 

(同社資料より)

 

②その他

子会社・株式会社日宣印刷が各種商業印刷を受注しているほか、カタログ、パンフレット、チラシ、ダイレクトメール、ポスター等を受注・製造している。
またオリジナルのうちわの柄の貼り機を保有し、製法特許を取得した「エコ紙うちわ」をセールスプロモーションツールとして全国の多業種から受注・製造している。

【1-5 特徴と強み】

①ターゲットとする優良な業界を定めてユニークサービスモデルを構築し規模を拡大
沿革で触れたように、同社は、昭和30年代は繊維業界、40年代は住宅、その後、放送・通信、医療・健康とその時代の成長業界・優良業界を主要顧客として成長してきたが、業界ごとに広告やSPに対するニーズや課題は異なっている。

 

同社では、業界ごとの特有(ユニーク)な課題やニーズを把握したうえで、集客や売上拡大のための様々な手法を組み合わせた独自性(ユニーク)の高いソリューションをワンストップで提供することができ、これを「ユニークサービスモデル」と呼んでいる。
サービスを提供する中でノウハウを蓄積し、コア部分は内製化を進めて収益性を高めるとともにボリュームを拡大し利益を創出、新たにターゲットとする業界を定めてそこへ進出するというサイクルを繰り返すことで企業規模を拡大している。

 

(同社資料より)

 

②ユニークサービスモデルを支える社内体制
同社の大きな特徴である「ユニークサービスモデル」を支えている社内体制も大きな特徴である。
同社では顧客との間に代理店を介すことはなく、全て直接取引を行っているため、顧客の属する業界や企業の課題をダイレクトに吸い上げることができる。

 

吸い上げた課題に対してはクリエイティブディレクター、プランナー、コピーライター、ウェブデザイナー、映像ディレクターなどからなる社内の専門チームが最適なソリューションを創造する。
従来は外注が主であったが競争力の強化を目指す大津社長の方針により、10年ほど前からクリエイティブチームの内製化を進めてきた。現在では大手広告代理店などで豊富な経験を積んだスタッフ約30名を擁している。

 

最適なソリューションを創り上げるうえでのコア部分は内製化によってノウハウを蓄積しつつ、それ以外の部分は、優秀な外部協力会社(Web制作、SP制作、用紙、印刷、物流など)と緊密・強固なリレーションシップを構築して活用。顧客にとって最適なソリューションをワンストップで提供している。

 

③「「ブティック型フルラインアップ広告会社」:総合力をベースとした競争優位性の高いポジショニング
広告業界には規模、得意分野によって様々なプレーヤーが存在するが、同社はその独自性である「総合力」により競争優位性の高いポジショニングに成功している。

 

市場環境の項でも触れたように、TVや新聞などマスメディアのマイナス成長が続いている中、広告枠を寡占的に支配するビジネスモデルである大手広告代理店は、ネット広告にも注力を始めてはいるものの、その企業規模を維持するためにはマスメディアで効率的に収益を上げる必要があり、クライアントにPOP、SPのニーズがあったとしてもこれら小回りを利かせなければいけない分野に関しては外注を使う事となるため、十分な顧客満足度を提供することは難しい。
一方、ネット広告の拡大に伴い大きく成長し上場企業も多数存在するネット専業の広告代理店は、POP、SPなど「売りの現場」におけるアナログなソリューションを社内に有しておらず、今後もその企業文化や風土からそれらのソリューションを内製するという選択を行う可能性は低いと考えられる。
こうした中、広告・SPの企画から制作・実行までを、アナログ・デジタル含め幅広くワンストップでソリューションを提供できる同社の総合力はクライアントにとっては極めて魅力的なものである。

 

日宣は自社を「ブティック型フルラインアップ広告会社」と位置付けている。
これは、各クライアントのテーマに応じて店頭、PR、SNS、WEB等各フィールドにおけるそれぞれの分野で強みを持つ専門会社を日宣がアサインし、最適な組織を構築してソリューションを提供するというもの。
スピードの速さ、柔軟な対応力をクライアントが高く評価しており満足度も高い。
その他業界のメインクライアントであるサブウェイにおいては同社の関与が寄与し、Twitterのフォロワーが大幅に増加したほか、売上も安定的な回復に向かうなど、着実に成果に結びついている。
大手広告代理店とネット専業広告代理店のどちらも十分に対応することが難しいフィールドにおいて、「総合力」、「小回り」、「きめの細かさ」を武器としたこうしたソリューションを提供できるポジショニングこそが自社の強力な競争優位性であると同社では認識しており、今後もこの地位を更に強固なものとする考えだ。

 

④自社メディアも展開する独自の事業モデル
広告ビジネスのみでなく自社メディアを活かしたビジネスも展開しており、他社にはない独自の事業モデルを構築している。これにより上に述べた「総合力」は一段と強固なものとなっている。

2.2020年2月期第2四半期決算概要

(1)連結業績予想

 

19/2期2Q

構成比

20/2期2Q

構成比

前年同期比

期初予想比

売上高

2,554

100.0%

2,542

100.0%

-0.4%

-7.8%

売上総利益

607

23.8%

601

23.7%

-1.1%

-

販管費

458

17.9%

448

17.6%

-2.1%

-

営業利益

149

5.9%

152

6.0%

+2.2%

-12.1%

経常利益

153

6.0%

153

6.0%

-0.0%

-14.0%

当期純利益

100

3.9%

102

4.0%

+2.7%

-14.3%

*単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。

 

微減収微増益
売上高は前年同期並みの25億42百万円。住まい・暮らし業界向けが減収も、その他業界向けがカバーした。
営業利益は同2.2%増の1億52百万円。人件費が増加したが、広告宣伝費、その他販管費をコントロールした。
期初予想に対しては売上、利益ともに未達だった。

 

 

(2)広告宣伝事業 業界別動向

 

19/2期2Q

20/2期2Q

前年同期比

  放送・通信

1,195

1,135

-5.0%

  住まい・暮らし

646

492

-23.8%

  医療・健康

251

257

+2.6%

  その他業界

349

573

+64.0%

*単位:百万円

 

その他業界が大きく伸張するも、放送・通信業界、住まい・暮らし業界の減少をカバーできなかった。

 

*放送・通信業界
「チャンネルガイド」に加え、CATV局・番組供給会社・大手通信キャリアからプロモーション施策を受注した。
重点施策の一つとして「チャンネルガイド」のシェア拡大に取り組み、前期に複数局から「チャンネルガイド」を獲得し、シェア拡大したものの、番組供給会社・大手通信キャリアのプロモーション案件が不調だった。

 

*住まい・暮らし業界
主力顧客である旭化成ホームズは大型キャンペーンの失注等により、前年同期比1億円の減収。顧客側の事情によるもので同社では下期に実行されると考えている。
ホームセンター関連の取引は無料情報誌の広告売上・顧客企業のセールスプロモーションが不調で同50百万円減少した。

 

*医療・健康業界
主力顧客の製薬企業や大手ドラッグストアチェーンとの取引が堅調だった。下期および来期に繋げるため、主要顧客との関係維持・強化を図っている。

 

*その他業界
大手飲食チェーンの他、新規顧客に関してブランディング等を支援し、サービス提供領域を拡大した。
M&Aで子会社化した日産社の顧客に対してデジタル領域を中心にリソースを共有し、計画通りの進捗であった。

 

(3)デジタル領域での取り組み

同社が注力しているデジタル領域における取り組みは以下の通り。

 

2018年5月に立ち上げたAI領域の自社メディア「NISSEN DIGITAL HUB」を起点に、AIカメラを利用したスポーツ映像配信事業に関する共同実証実験に参画した。
これは、日宣と朝日放送グループホールディングス株式会社、西日本電信電話株式会社、株式会社朝日新聞社、株式会社電通らが、AI を用いてスポーツの自動中継を実現するカメラシステムを手がける「Pixellot Ltd.(ピクセロット)」(本社:イスラエル)のAI カメラを用いて、スポーツ映像配信事業の可能性を検証していくもの。
今回は、湘南ケーブルネットワーク株式会社の協力を得て、キッズフットサル大会「第3回 LONDRINA Jr./レディース混合フットサル大会」を対象に実験を行った。

 

今回の共同実証実験では、ディレクター1人で撮影が可能で圧倒的な低コストでスポーツの自動中継ができる AIカメラを用いて、スポーツを撮影し、スポーツ映像配信の事業化の可能性を検証した。
同社では大きな手応えを感じており、強みであるケーブルテレビ局との豊富な取引実績と信頼関係を活かし、地方の有望なスポーツコンテンツの事業化を図っていく考えだ。

 

一方で、今上期のデジタル領域売上構成比は8.6%と、前々期の8.4%、前期の8.3%からは横ばいにとどまっており、デジタル起点の顧客開発に注力する必要があると認識している。

 

(4)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

19年2月末

19年8月末

 

19年2月末

19年8月末

流動資産

1,889

2,029

流動負債

596

722

現預金

1,181

1,374

仕入債務

353

350

売上債権

524

556

短期借入金

60

59

固定資産

2,332

2,318

固定負債

931

909

有形固定資産

1,893

1,876

長期借入金

586

556

建物及び構築物

898

882

負債合計

1,527

1,631

土地

966

966

純資産

2,694

2,715

無形固定資産

51

47

利益剰余金

2,127

2,148

投資その他の資産

387

394

負債純資産合計

4,221

4,347

資産合計

4,221

4,347

自己資本比率

63.8%

62.5%

*単位:百万円

 

現預金増などで資産合計は同1億25百万円増加の43億47百万円となった。
負債合計は同1億4百万円増加の16億31百万円。
利益剰余金の増加などで純資産は同21百万円増加の27億15百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より1.3ポイント低下し、62.5%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

19/2期2Q

20/2期2Q

増減

営業CF

-60

285

+346

投資CF

-86

16

+103

フリーCF

-147

301

+449

財務CF

-160

-109

+50

現金同等物残高

1,180

1,353

+173

*単位:百万円

 

未払消費税等の増加等で営業CFプラスに転じ、前年同期にあった投資有価証券の取得による支出がなくなり投資CF、フリーCFともプラスに転じた。
財務CFのマイナス幅はほぼ変わらず。
キャッシュポジションは上昇した。

 

3.2020年2月期業績見通し

(1)連結業績予想

 

19/2月期

構成比

20/2月期 (予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

5,021

100.0%

5,582

100.0%

+11.2%

45.5%

営業利益

304

6.1%

330

5.9%

+8.7%

46.3%

経常利益

341

6.8%

344

6.2%

+0.9%

44.4%

当期純利益

229

4.6%

233

4.2%

+1.8%

44.1%

*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
*単位:百万円

 

業績予想に変更無し。増収増益
業績予想に変更は無い。売上高は前期比11.2%増の55億82百万円、営業利益は同8.7%増の3億30百万円の予想。
その他業界、医療・健康業界が牽引する。上期出遅れた住まい・暮らし領域はリカバリーを図り計画達成を目指す。
配当は前期と同じく42.00円/株の予定。予想配当性向は34.8%。

 

(2)業界別動向

 

19/2期

20/2期(予)

前期比

進捗率

  放送・通信

2,344

2,396

+2.2%

47.4%

  住まい・暮らし

1,240

1,234

-0.5%

39.9%

  医療・健康

581

658

+13.3%

39.1%

  その他広告

687

1,139

+65.7%

50.3%

*単位:百万円

 

*放送・通信業界
「チャンネルガイド」は用紙・印刷代などの原価上昇を吸収し、概ね計画通り。
CATV局や大手通信キャリアから4K・8Kやセットトップボックス等の業界イベントのキャンペーンやデジタル施策の一括受注を見込んでいる。

 

*住まい・暮らし業界
旭化成ホームズグループ向けは、上期失注案件も下期には実行される見込み。集合住宅やリフォームからの大型受注もあり、通期では前期並みを予想。
自社メディアを有する強みや接客ツール全般を制作しているノウハウを生かし、独自サービスを展開していく。

 

*医療・健康業界
2桁増収を計画。
主力顧客の製薬企業や大手ドラッグストアチェーンが堅調に推移している。
ドラッグストア業界は継続的に成長している一方、再編等、競争は激化しており、引き続き積極的な営業を展開する。

 

*その他業界
大幅増収を計画。
主要得意先に関してシェアアップやクロスセルを進めるとともに、新規顧客を開拓する。
M&Aで子会社化した日産社の顧客を含めた新規顧客に対し、コンサルテーション視点で、中長期的な関係の構築を図る。

 

(3)各種取り組み

(デジタル領域の取り組み強化)
◎大手クライアントの攻略
Web上でのプロモーションだけでなく、顧客業界への深い理解から事業の拡大に寄与するプロモーション施策を一括して提供する。
メディアを活用したファンマーケティングや販売現場へのサイネージ等の自社の強みを活かしたサービス展開

 

◎メディア・イベント等からの提携・事業化・サービス開発
メディアを軸にサービス提供やイベント企画を行い、顧客獲得やサービス開発を図る。

 

(人材採用・育成の取り組み強化)
前々期には放送・通信事業の「チャンネルガイド」に携わるアルバイト社員を正社員に転換した。
前期は、新卒採用を強化し、2019年4月に9名が入社。2018年12月に日産社を子会社化し9名増加した。
今期は新卒を2名採用することが内定。
採用環境は厳しいが、引き続き人材採用を強化する。

 

(同社資料より)

 

(M&Aや提携の方針と進捗)
リソース共有によるシナジー効果や新規顧客獲得を狙い、長期の取引関係のある優良な顧客をもった中小規模の広告会社のM&Aを進める。
加えて、優秀な技術の獲得と事業化、スタートアップのマーケティング支援を目的として、ベンチャーキャピタルを通じた投資等により、優良スタートアップとの関係強化や協力先を開拓する。

 

(今後の成長見通し)
新規顧客開拓やM&A・業務提携により新しい業界へ進出し、規模を拡大するほか、スタートアップとの業務提携や出資により、新サービスを立ち上げる。全社的なデジタル領域拡大もカギとなる。
早期の売上高100億円達成を目指している。

(同社資料より)

 

4.今後の注目点

医療・健康業界、その他業界は好調なものの、前期に続き売上構成比の大きい放送・通信業界、住まい・暮らし業界が低調で、上期は売上、利益共に計画未達となった。
下期に両業界ともリカバリーを図り、通期では前期並みの売上を確保するとのことで進捗が期待される。
また、成長のための柱の一つであるデジタル化だが、同社も課題として認識しているように、目標の売上構成比30%にはまだしばらく時間がかかりそうだ。こちらも、具体的な取り組みと実績を注視していきたい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

7名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月12日

 

<基本的な考え方>
当社は、「ユニークなコミュニケーションサービスの提供によって、お客様の経営に貢献する」、「全社員の物心両面の幸福を追求する」という経営理念のもと、株主をはじめとして、取引先、従業員を含む全てのステークホルダーにとって継続的に企業価値を高めることが重要な経営課題と位置づけております。このため、当社グループの持続的成長と企業価値の最大化を図るとともに、経営の透明性及び効率性を向上させるべく、取締役会及び監査役会の監督機能並びに内部統制システムを通じたコーポレートガバナンスの強化に取り組んでおります。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

開示内容

【原則3-1】

(1)経営理念は当社ウェブサイトに掲載しております。今般のコーポレートガバナンス・コードの制定・改定を受けて、今後、中期経営計画等の公表の是非について検討してまいります。(3)取締役の報酬限度額は、2016年5月27日開催の第63回定時株主総会において、年額300百万円以内(ただし、使用人分給与は含まない。)と決議されております。そして、個々の取締役の報酬額については、この報酬限度額の範囲内で、会社の業績や経営内容、世間水準および職責等を総合的に勘案し、取締役会の承認を受け決定しております。役員報酬等の決定方針については、現時点では特に定めておりませんが、今後、役員報酬等の決定方針を定めることを検討してまいります。

【補充原則4-1-2】

 

当社は、3ヵ年の中期計画を策定し、その目標達成に向け経営戦略や事業戦略の遂行に取り組み、毎年、計画の見直しも行っております。しかし、中期計画の開示は行っておりません。今後は開示に向けて検討してまいります。

 

<コーポレートガバナン・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4】

当社が純投資目的以外で保有する株式は、取引先の株式を保有することで中長期的な関係維持、取引拡大、シナジー創出等が可能となるものを対象とし、このような株式は保有する方針としております。保有継続については、当社の保有方針への貢献状況および見通しと、保有によるリスク・リターンを考慮し判断します。保有すると判断した株式に関する議決権の行使については、発行会社における財務の健全性が毀損される場合や反社会的な不祥事が発生した場合等議案内容の精査を行い、当社グループの株主価値の向上に資するものか否かを判断したうえで、すべての議案に対して議決権を行使します。

【原則5-1】

当社は、コーポレート本部担当役員を責任者とし、経営管理部のメンバーでIR担当組織を構成しており、報道機関・機関投資家・個人投資家からの個別取材に対応しております。また、個人投資家向けの説明会も開催しております。なお、情報開示にあたっては、関連法規や社内規定を遵守し、インサイダー情報管理に留意しております。

 

 

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