ブリッジレポート
(3747) 株式会社インタートレード

スタンダード

ブリッジレポート:(3747)インタートレード 2019年9月期決算

ブリッジレポートPDF

 

西本 一也 社長

株式会社インタートレード(3747)

 

 

企業情報

市場

東証2部

業種

情報・通信

代表者

西本 一也

所在地

東京都中央区新川1-17-21 茅場町ファーストビル

決算月

9月

HP

https://www.itrade.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

600円

7,185,600株

4,311百万円

-

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

-

-

-

-

101.54円

5.9倍

*株価は12/25終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。ROE、BPSは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年9月(実)

2,358

11

14

7

0.98

0.00

2017年9月(実)

2,017

-458

-459

-334

-

0.00

2018年9月(実)

1,892

-335

-334

-338

-

0.00

2019年9月(実)

1,791

-413

-411

-408

-

0.00

2020年9月(予)

2,450

17

-60

-24

-

-

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。

 

株式会社インタートレードの2019年9月期決算の概要と2020年9月期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年9月期決算概要
3.2020年9月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

今回のポイント

  • 19/9期は前期比5.3%の減収、4億13百万円の営業損失(前期は3億35百万円の損失)。「ITはなびらたけ」関連の商品やOEM、原料販売が堅調に推移したヘルスケア事業の売上が増加したものの、金融ソリューション事業及びビジネスソリューション事業の売上が減少した。損益面では、売上が減少する中、新規事業への先行投資が負担になった。

     

  • 20/9期予想は前期比36.8%の増収、営業利益17百万円。3事業揃って売上の増加が見込まれ、11期ぶりに連結ベースで増収に転じる。金融ソリューション事業とビジネスソリューション事業は商談が進んでいる引合案件を有し、ヘルスケア事業は「ITはなびらたけ」関連のビジネスが拡大する。金融ソリューション事業での新技術を取り込んだ高付加価値製品の開発やヘルスケア事業での共同研究の継続により先行投資が続くものの、売上の増加で吸収して営業損益が4期ぶりに黒字転換する見込み。

     

  • 売上の減少に歯止めをかけると共に黒字化を達成し、第2の創業期を迎える。金融ソリューション事業ではブロックチェーン技術を活用した「Spider」を通してFinTech分野で新たな成長領域を開拓し、ビジネスソリューション事業では「G-MAN e2」の提供により、事業会社の基幹システムのレガシー問題への対応を支援していく。また、ヘルスケア事業では「ITはなびらたけ」を起点に、ヘルスケアからライフサイエンス分野へ展開していく。各事業で体制の整備が進んでおり、数年のうちに業容が様変わりする可能性が高い。今後の展開に期待したい。

     

1.会社概要

証券ディーリングシステム等の開発・保守を中心とする金融ソリューション事業を主力とし、グループ経営管理パッケージソフト等を手掛けるビジネスソリューション事業及びハナビラタケ関連のサプリメントや化粧品等の生産・販売を手掛けるヘルスケア事業を展開している。
グループは、同社の他、経営統合管理プラットフォーム「GroupMAN@IT e²」(ビジネスソリューション事業)の開発・保守等を手掛ける(株)ビーエス・ジェイ(出資比率66.7%)、ハナビラタケの生産・加工とハナビラタケ関連製品のカタログ通販やWeb通販を手掛ける(株)インタートレードヘルスケア(同100%)、暗号資産関連事業を手掛ける(株)デジタルアセットマーケッツの連結子会社3社、及びJIA(7172)等との合弁会社で、フィンテック関連技術によるソリューションや製品・サービスの開発及び販売を行う(株)イーテア(出資比率21%)。

 

【経営理念】

・ お客様視点での行動
・ 好奇心と勇気
・ 迅速な判断と誠実な対応
・ 「人」と「人とのつながり」を大切に

 

「製品及びサービスの価値向上のため、勇気と情熱を持って挑戦する。そのためには、サービスを利用しているお客様と同じ視点、質の高い行動、迅速かつ誠実な対応が必要」というのが同社の考え。これにより真の信頼関係を築き、ハード、ソフト両面で本来のサービスを実現していく。「世界中のお客様が、私たちが作ったモニターを覗き込んでいる。モニターから、あらゆる国の様々な商品が取引できるようになり、世界中のニュース・情報がリアルタイムに表示され、投資のための分析・シミュレーション・資産管理をすることができる」。いつの日か、世界中のお客様と今まで歩んできた歴史を語り合う、それが同社の夢だ。

 

1-1 事業概要

事業は、証券会社等を顧客とし証券業務向けフロントパッケージシステムの設計・開発・販売を手掛ける金融ソリューション事業、一般事業会社を顧客とし法人向けパッケージシステムの設計・開発・販売を手掛けるビジネスソリューション事業、消費者に対してサプリメント等の健康商材や化粧品の開発・販売及び健康関連商品の仕入販売を行うヘルスケア事業。
19/9期の売上構成比は、金融ソリューション事業69.9%(18/9期72.2%)、ビジネスソリューション事業13.8%(同14.0%)、ヘルスケア事業16.4%(同13.6%)。

 

金融ソリューション事業
東京証券取引所の総合取引参加者に導入されている証券ディーリングシステム「Prospect」、外国為替証拠金取引システム「fortissimo」、取引所外取引システム「ITMonster」に加えarrowhead、ToSTNeT、J-GATEなど各取引所との接続システム「J1」、アルゴリズムプログラム等の売買執行シミュレーションとチューニングが可能な「MEX&MSRⅢ」、トレーディングシステム上で、リアルタイム系、チャート系、ヒストリカル分析系などインテリジェンストレーディングに必要な様々な情報を提供する「DPSS」、この他、ミドルウェアや通信ソフト等の設計・開発・販売を行っている。

 

近年では上記のプロダクトのノウハウを活かし、かつブロックチェーン技術を活用したソリューション「Spider」に力を入れている。「Spider」は、同社が設立から20年間に渡り提供してきた複数の金融商品取引業務向けパッケージシステムの機能をコンポーネント化してライブラリとして整備し、必要な機能(コンポーネント)をピックアップ、或いは融合させる事で、ユーザーの業務に沿ったシステムを構築する事ができる。
「Spider」はLINE証券株式会社(東京都品川区、代表取締役Co-CEO:落合紀貴・米永吉和)が提供する「LINE」上で取引ができるスマホ投資サービス「LINE証券」に金融商品取引向けトータルソリューションとして導入されている。今後、あらゆる金融関連業務に対応可能なライブラリ型ソリューション「Spider」を軸として、金融機関や事業会社のビジネス拡大に貢献していく考え。

 

ビジネスソリューション事業
自社開発の経営統合管理プラットフォーム「GroupMAN@IT e²」及び「Gadics MAN@IT」を中心としたパッケージサービス、保守・運用中心のシステムエンジニア派遣サービス(SES:System Engineering Service)、及びシステムの設計・開発・構築やマルチベンダー・マルチプロダクト・マルチビジネスを特徴とするシステム総合支援サービス等を行うサポートセンターサービスを3本柱とし安定収益の確保を目指している。連結子会社(株)ビーエス・ジェイが「e²」の開発・保守等を手掛けている。

 

企業は、会計、人事/給与、設備、資材等の複数の業務システムを導入しているが、業務毎にベンダーが異なるケースや同じ業務でも、親会社と子会社でベンダーが異なるケースが多い。この場合、企業内やグループ内で経営情報の統合管理、言い換えると、各システムのデータ連携によるグループ全体の経営分析ができず、多くの企業が高価な投資が必要な連携用のシステムを別途構築している(大手システム会社は自社製でないシステムと自社システムの接続に対して非常に消極的)。これに対して、「GroupMAN@IT e²」は柔軟性の高いインターフェイス「FLEX I/O」を備えているため、ベンダーやシステムが異なる場合でも、データ連携が可能だ。
一方、「Gadics MAN@IT」は機能ではなく、「バーチャルエンジニア」として低価格でパソコン等の運用管理を、「収集」、「判断」、「実施」、「確認」の4つの視点からクラウドベースでサポートする。

 

ヘルスケア事業
ハナビラタケの栽培から手掛け、自社ブランドのハナビラタケ関連製品(サプリメント、健康食品、化粧品)の販売、OEM供給、ハナビラタケ由来成分を使った化粧品原料販売等を国内外で展開している。(株)インタートレードがマーケティングを含めて事業全般を統括し、(株)インタートレードヘルスケアがハナビラタケの生産・加工、ハナビラタケ関連製品のカタログ通販やWeb通販を手掛けている。また、研究により、ハナビラタケ由来成分の免疫賦活機能について科学的根拠に基づくエビデンス取得にも取り組んでいる。尚、2013年に実施したヒト臨床試験において、ハナビラタケ「LB-Scr」の、Ⅱ型糖尿病、Ⅰ型アレルギー性疾患、及び肝機能指標(γ-GTP、GOT、GPT)への有効性や肌質変化への有効性が確認されている事に加え、有害事象等の検証により、安全で副作用がない事も確認されている。

 

尚、ヘルスケア事業は、景気に左右されやすい主力のシステム分野と一線を画し、リスク分散としての他業種での収益確保を目指している。そして、生産から加工、販売、研究を自社グループ内で一貫して行う事で安全性を担保している。

 

ハナビラタケ
ハナビラタケは、日本各地に加え、欧米等でも自生するが、天然下では本来食用キノコが育たない1,000m級の針葉樹林に生息し、天然ハナビラタケを目にする機会がめったにないため、「希少キノコ」と言われている。また、キノコは茶色が主流だが、ハナビラタケは白い花がふんわり咲いているように美しい白色~淡黄色。健康維持に重要な役割を果たすβ-グルカンの含有量が35%を超える上(アガリクスは12.5%)、アミノ酸やトレハロースなど様々な有用成分にも富んでいる。食用キノコの側面も有する。

 

サイレント型エストロゲンの研究
同社は産学官共同研究において、標準ハナビラタケ株抽出物から、エストロゲン活性(後述)を有するものの、細胞増殖活性作用がない「サイレント型エストロゲン」(エストロゲン様化合物:エストロゲンと同様の機能が認められる化学物質)と呼ばれる化合物を発見した。「サイレント型エストロゲン」は、エストロゲン(女性ホルモン)の利点を有する一方で、エストロゲンが持つ欠点が無い。エストロゲンの減少によるホルモンバランスの乱れが原因とされる女性の更年期障害や動脈硬化の治療でエストロゲンの成分を用いたエストロゲン製剤が用いられているが、エストロゲンには細胞増殖活性作用があり乳癌や子宮内膜癌などのがん細胞を活性化させるリスクがある。これに対して、「サイレント型エストロゲン」はエストロゲン同様の生理活性機能を有する一方で、がん細胞の増殖を活性化させない。エストロゲン活性を促す物質としてプラセンタ(≒エストラジオール)が知られているが、プラセンタは細胞増殖活性作用が極めて強い。

 

(同社資料より)

 

プラセンタの国内市場規模は約250億円で年率20%程度の成長を続けており、ワールドワイドのマーケットは約3,000億円。5~10%のシェアでも売上規模は極めて大きい。しかも収益性が高いため利益面でのインパクトも大きい。

 

2.2019年9月期決算概要

2-1 連結業績

 

18/9期

構成比

19/9期

構成比

前期比

3Q時修正予想

予想比

売上高

1,892

100.0%

1,791

100.0%

-5.3%

1,831

-2.2%

売上総利益

462

24.4%

647

36.2%

+40.0%

- 

-

販管費

797

42.2%

1,060

59.2%

+33.0%

- 

-

営業利益

-335

-

-413

-

-

-383

-

経常利益

-334

-

-411

-

-

-382

-

親会社株主帰属利益

-338

-

-408

-

-

-379

-

* 単位:百万円

 

前期比5.3%の減収、413百万円の営業損失(前期は3億35百万円の損失)
売上高は前期比5.3%減の17億91百万円。「ITはなびらたけ」関連の商品やOEM、原料販売が堅調に推移したヘルスケア事業の売上が同14.0%増加したものの、研究開発にリソースを割いた金融ソリューション事業の売上が同8.4%減少した他、ビジネスソリューション事業も、「GroupMAN@IT e²(以下、G-MAN e2)」の新規受注や追加案件の取込みに成功したが、システム総合支援サービス等を提供するサポートセンター事業の苦戦が響き売上が同7.0%減少した。
営業損益は4億13百万円の損失。ヘルスケア事業とビジネスソリューション事業の売上構成の良化で原価率が改善し売上総利益が6億47百万円と同40.0%増加したものの、「Spider」や「ITはなびらたけ」関連の研究開発費等、先行投資に伴う販管費の増加で営業損失が増加した。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

18/9期

構成比・利益率

19/9期

構成比・利益率

前期比

金融ソリューション

1,366

72.2%

1,251

69.9%

-8.4%

ビジネスリューション

264

14.0%

246

13.8%

-7.0%

ヘルスケア

257

13.6%

293

16.4%

+14.0%

投資教育

3

0.2%

-

-

-

連結売上高

1,892

100.0%

1,791

100.0%

-5.3%

金融ソリューション

136

10.0%

20

1.6%

-85.2%

ビジネスリューション

11

4.2%

18

7.7%

+70.6%

ヘルスケア

-176

-

-167

-

-

投資教育

-27

-

-

-

-

調整額

-278

-

-284

-

-

連結営業利益

-335

-

-413

-

-

* 単位:百万円

 

金融ソリューション事業
同社及び(株)デジタルアセットマーケッツの事業である金融ソリューション事業は、売上高12億51百万円(前期比8.4%減)、セグメント利益20百万円(同85.2%減)。ブロックチェーン技術を活用した「Spider」を核にしたフィンテック分野の金融サービスの事業化に取り組んでおり、経営リソースを「Spider」の研究開発に優先的に投下した。このため、既存の主力プロダクトの受注活動が手薄になり、ライセンス数減少の影響をカバーできなかった。
損益面では、「Spider」の機能拡張と付加価値向上の研究開発費の増加やセキュリティ強化に向けた人件費等の増加で営業費用が増加した(仮想通貨の不正流出事件以降、より高度なセキュリティや組織体制の強化が求められている)。

 

ビジネスソリューション事業
同社及び(株)ビーエス・ジェイの事業であるビジネスソリューション事業は、売上高2億46百万円(前期比7.0%減)、セグメント利益18百万円(同70.6%増)。経営戦略等の意思決定のための業務管理システム「G-MAN e2」の新規受注や追加開発案件の獲得に成功したものの、システム総合支援サービス等を提供するサポートセンター事業の減収をカバーできなかった。ただ、自社開発プロダクト「G-MAN e2」の売上増加で利益率が改善した。

 

ヘルスケア事業
同社及び(株)インタートレードヘルスケアの事業であるヘルスケア事業は、売上高2億93百万円(前期比14.0%増)、セグメント損失1億67百万円(前期は1億76百万円の損失)。医薬品卸大手(株)大木の専売品として提供しているサプリメント「エストロリッチ」等、同社が生産するサイレント型エストロゲン活性を有する「ITはなびらたけ」関連の商品やOEM、原料販売で売上が増加した。
損益面では、「ITはなびらたけ」関連製品の販売増で売上総利益が増加したものの、棚卸資産の評価減を行ったため(将来の回収可能性を鑑みて資産の評価額を見直した)、セグメント損益は小幅な改善にとどまった。

 

2-3 財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)

財政状態

 

18年9月

19年9月

 

18年9月

19年9月

現預金

831

693

仕入債務

152

72

売上債権

234

203

有利子負債

151

319

流動資産

1,208

1,032

負債

405

473

投資その他

208

154

純資産

1,062

754

固定資産

259

195

負債・純資産合計

1,468

1,228

* 単位:百万円

 

期末総資産は前期末との比較で2億40百万円減の12億28百万円。投資有価証券の売却や短期借入金の積み増しを行いつつ、研究開発に資金を投入した。最終損失となった事で自己資本比率が低下したものの、期末ベースで59.4%と水準自体は高く、流動比率219.9%、固定比率25.9%、と流動性・安全性の面でも健全な水準を維持している。

 

キャッシュ・フロー(CF)

 

18/9期

19/9期

前期比

営業キャッシュ・フロー(A)

-245

-433

-187

-

投資キャッシュ・フロー(B)

-40

47

+87

-

フリー・キャッシュ・フロー(A+B)

-286

-386

-100

-

財務キャッシュ・フロー

-60

248

+308

-

現金及び現金同等物期末残高

831

693

-138

-16.6%

* 単位:百万円

 

損益の悪化と運転資金の増加で営業CFのマイナスが4億33百万円と前期実績を上回った。投資CFは投資有価証券の売却によるもので、財務CFは短期借入金の積み増しによる。この結果、現金及び現金同等物期末残高が6億93百万円と前期末比16.6%減少した。ただ、20/3期は損益の改善が見込まれており、CFも改善する見込み。

 

3.2020年9月期業績予想

3-1 連結業績

 

19/9期 実績

構成比

20/9期 予想

構成比

前期比

売上高

1,791

100.0%

2,450

100.0%

+36.8%

営業利益

-413

-

17

0.7%

-

経常利益

-411

-

-60

-

-

親会社株主帰属利益

-408

-

-24

-

-

* 単位:百万円

 

売上の増加で先行投資を吸収。4期ぶりの営業黒字が見込まれる
売上高は前期比36.8%増の24億50百万円と11期ぶりの増収が見込まれる。金融ソリューション事業及びビジネスソリューション事業は、引合案件を受注につなげる事で売上が増加する。「ITはなびらたけ」関連事業の拡大でヘルスケア事業も増収が見込まれ、3事業の売上が揃って増える。
損益面では、金融ソリューション事業での新技術を取り込んだ高付加価値製品の開発やヘルスケア事業での共同研究の継続で先行投資が続くものの、売上の増加で吸収して営業損益が4期ぶりに黒字転換する見込み。

 

3-2 セグメント別方針

金融ソリューション事業
「Spider」を中心とした収益基盤の構築ステージと位置付けており、新規導入先のリピートオーダー確保と新規大口顧客の獲得に取り組むと共に、「Spider」の機能拡張と付加価値向上への研究開発を継続する。
既に「Spider」を導入している顧客でも、機能面等で追加開発(リピートオーダー)の余地は多く、提案営業の強化で潜在需要の掘り起こしを図る。新規大口顧客の獲得では、引合案件の商談が最終段階にある。

 

ビジネスソリューション事業
業務管理システム「G-MAN e2」の万全な基盤化に取り組む。コスモ石油販売(株)から「G-MAN e2」の大型案件を受注し、20/9期の売上計上が予定されている。更なる案件の獲得を目指すと共に、既に導入している企業からのリピートオーダーの獲得にも力を入れる。サポートセンター事業及びSESでは、ソリューションの提供だけでなく、業務解析とシステム解析を融合し、上流下流の双方からのアプローチによる事業拡大を目指す。サポートセンター事業及びSESの取り組みを足掛かりにして、「G-MAN e2」の更なる受注や顧客ネットワークの拡大につなげていく。
尚、コスモ石油販売(株)は「全国サービスステーション(以下、SS)の発注業務及び在庫管理業務の効率化」、「カンパニー/本社を跨いだ在庫可視化」、及び「可視化された在庫情報に基づく戦略活用・高付加価値化」を目的に導入済のG-MAN e2をベースとして発展拡張し、全国に拡がるカンパニー、及びssにおける在庫管理の業務モデルを新規構築する。

 

ヘルスケア事業
方針の一つは、「ITはなびらたけ」の売上拡大。メーカーとして既に進めている案件の販売強化と新規のアライアンス先の開拓に取り組む。アライアンスの一つとして、女性医療ネットワークの活用を考えている。「ITはなびらたけ」はサイレントエストロゲン様活性が期待でき、これによりエストロゲン(女性ホルモン)が減少する事で起こりうる様々な障害に対処できる。こうした「ITはなびらたけ」の特性を積極的に訴求していく上で、女性医療ネットワークの活用が有効と考えている。
もう一つの方針は研究の継続。サイレントエストロゲン様活性の成分同定を急ぎ、ヒト臨床実施後に機能性表示食品の認可を目指す。高い安全性と価格優位性を有するサイレントエストロゲンの権利を守るため、特許取得も徹底する。

 

3-3 今後の取り組み

事業環境
将来の成長、競争力強化のために必要とされるデジタル・トランスフォーメーション(以下、DX)。DXとは、新たなデジタル技術を活用して新たなビジネス・モデルを創出・柔軟に改変する事だが、そのためには基幹システムを刷新する必要がある。システム刷新が進まないと、DXを実現できないだけでなく、2025年以降、最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性(2025年の崖=システムのレガシー化)があると経済産業省が警鐘を鳴らしている。2025年には、5Gによる高速なデータ伝送の普及により、IoTでのデータ収集、クラウドでのリアルタイム処理が可能になり、高速でAIによる分析が行われ収益化される(収益のために活用される)。これまでデジタル技術はデータ管理に使われてきたが、収益化に使う時代がきている。しかし、レガシーシステムでは対応できない。
同社で言えば、従来のフロントシステム「TIGER」では、ブロックチェーン技術等を用いた新たなデジタルビジネス、Fintechに対応できないため、「投資負担は大きいが、世界の情勢が大きく変化する中で、やらないリスクが高まっている」(西本社長)との考えから、新システム「Spider」の開発を急いできた。この投資のピークが19/9期だった。

 

2025年問題はもう一つあり、日本では2025年頃に団塊の世代が後期高齢者に達する事による様々な問題(医療、社会保障、年金、介護等)が懸念されている。問題解決の一助となるべく、同社が取り組んでいるのがヘルスケア事業である。

 

2025年に向けたアプローチ
金融ソリューション事業においては、5G・クラウド・IoT・AI等の新しい技術を収益化スキームに応用したFintech機能を提供できるプラットフォームを提供し、ビジネスソリューション事業では事業会社の基幹システムのレガシー問題への対応を支援していく。一方、ヘルスケア事業では、「ITはなびらたけ」の化学的な根拠を追求し、ライフスタイルへの提案を行うと共にライフサイエンス分野へ展開していく。

 

金融ソリューション事業
「Spider」でFinTech分野における新たな成長領域を開拓していく。これまではシステムを開発し販売してきたが、今後はデジタル金融サービスの開発・提供に軸足を置く(自ら「Spider」を所有し、顧客のDXを支援していく)。実際のサービスの提供は、連結子会社の(株)デジタルアセットマーケッツが担う。システムパートナー会社やサービスパートナー会社との連携により営業体制を強化し顧客開拓を進めていく考え。

 

ビジネスソリューション事業
既存システムが事業部門毎に構築されているため(システムの複雑化・ブラックボックス化)、全社横断的なデータ活用ができない事業会社が少なくない。経営統合管理プラットフォーム「G-MAN e2」は既存システムのブラックボックス化を解消すると共に新しい活用を実現するソリューションであり、レガシーシステムから新システムへの橋渡し役となる。
「G-MAN e2」は、柔軟性の高いインターフェイス「FLEX I/O」を備えているため、同一企業内の、ベンダーが異なるシステム間のデータ連携やシステムが異なる親子会社間でのデータ連携が可能だ(同社の「FLEX I/O」技術には、証券取引の情報を交換するためのアイデアが活かされている)。企業は、会計、人事/給与、営業管理等、複数の業務システムを導入しているが、システム毎に提供するベンダーが異なるケースが多く、また、同じ業務でも、親会社と子会社で業務システムが異なるケースも多いが、この場合、企業内やグループ内で経営情報の統合管理ができない。「G-MAN e2」は、こうした問題を解決する。

 

(同社資料より)

 

ヘルスケア事業
「ITはなびらたけ」関連製品を通して健康寿命産業への貢献を目指す。世界的に高齢化の流れは顕著であり、健康長寿に関連するマーケットは非常に大きい。「ITはなびらたけ」のサイレント型のエストロゲン成分という優れた機能性を通じて、健康長寿で楽しく過ごせる社会の実現を提案していく(成分研究・臨床試験を行い、機能性表示食品としての展開を考えている)。先ずは「はなびらたけ」メーカーとしての地位を確立する事が重要だが、並行して「ITはなびらたけ」の啓蒙活動を行い、サイレントエストロゲン市場の創設に取り組んでいく。

 

尚、エストロゲンとは女性ホルモンであり、乳腺細胞の増殖促進、卵巣排卵制御、中枢神経(意識)女性化、動脈硬化抑制等の生理機能(エストロゲン活性)を有する。ただ、閉経前に急激に減少する特徴があり、エストロゲンの不足が更年期障害や動脈硬化、更にはアルツハイマー型認知症等の原因になる。こうしたエストロゲンの減少によるホルモンバランスの乱れが原因とされる疾患の治療にエストロゲンの成分を用いたエストロゲン製剤が用いられているが、エストロゲンには細胞増殖活性作用があり乳癌や子宮内膜癌等のがん細胞を活性化させるリスクがある。これに対して、サイレント型のエストロゲン(エストロゲン様化合物:エストロゲンと同様の機能が認められる化学物質)はエストロゲン活性を有するものの、細胞増殖活性作用がない。

 

4.今後の注目点

「Spider」のビジネスは、新たに開始する暗号資産関連事業とシステム開発事業に分かれる。暗号資産関連事業は連結子会社(株)デジタルアセットマーケッツを通して展開し、システム開発事業は同社自身が提供する。システム開発事業では、この8月にLINE証券(株)が「Spider」を導入した。LINE証券(株)における自己ポジションの売買・管理業務を包括的にカバーする。一方、暗号資産関連事業は新たな金融分野へプラットフォームを提供するものだが、「Spider」の開発が途上にある事もあり、未だ詳細が明らかにされていない。ただ、(株)デジタルアセットマーケッツは第三者割当増資で三井物産社(株)の出資を受ける等、営業体制の強化が進んでいる。

この他、ビジネスソリューション事業ではコスモ石油販売(株)による「G-MAN e2」の本格的な導入が決まり、事業拡大に弾みがつく。ヘルスケア事業では「ITはなびらたけ」を起点に、ヘルスケアからライフサイエンス分野へ展開していく。本レポートで説明してきた通り、各事業で体制の整備が進んでいるため数年のうちに業容が様変わりする可能性が高い。今後の展開に期待したい。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

5名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年12月24日)
基本的な考え方
当社グループは企業価値の最大化をコーポレート・ガバナンスの基本目標とし、「経営の透明性」「法令遵守」「効率的な経営」の観点から当該基本目標の実現を図ります。代表取締役をはじめとする経営陣は、当社グループを取り巻くステークホルダー(株主、顧客、取引先、従業員等)との良好な関係を維持する役割を負います。そのため、経営状況を把握できる体制を構築及び運用し、法令及び定款を踏まえた適時適切な情報開示を行うことが重要と考えています。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【原則 3-1】情報開示の充実
(3)取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続、(4)取締役会が経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行うに当たっての方針と手続、(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任、指名についての説明
(3)、(4)、(5)については現時点で具体的内容を公表はしていないものの、以下のとおりの手続き又は手順を社内にて実行しています。
(3) 取締役会が経営陣幹部・取締役の報酬を決定するに当たっての方針と手続については、当社の取締役及び業務執行役員の報酬は、業績連動報酬を採用しておりませんが、定められた範囲内で、個人及び会社業績等を含め総合的に評価を行い、報酬額を決定しています。
(4)取締役候補は、人格や見識、経験や実績等をもとにその責務を果たすことができる適任者を選任する方針とし、取締役会で決定しております。また、解任については明確な手続きは確立しておりませんが、単年度の目標の達成度や会社の業績を基に、かつ社外取締役や社外監査役の助言をもらいながら取締役会にて審議し、状況により再任しない、あるいは株主総会に諮ることとしております。監査役候補については、経営課題に対する知見、高度な専門知識や倫理感を持っている人材に就任を要請し、監査役会の同意を得た後、取締役会にて決議しております。
(5)取締役会が上記(4)を踏まえて経営陣幹部の選解任と取締役・監査役候補の指名を行う際の、個々の選解任・指名についての説明については、原則毎月1回行っている経営会議及び全社会議にて、選任・指名について説明しています。

 

<開示している主な原則>
【原則3-1】情報開示の充実
(1)経営理念や経営計画等については、当社HPや決算説明資料等で開示しています。
(2)本報告書【コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方及び資本構成、企業属性その他の基本情報】に記載しております。
(5)取締役及び監査役の選任については、株主総会招集ご通知参考書類に記載の通りです。また、社外取締役については、本報告書【Ⅱ-1(2)ハ.会社との関係(1)・二.会社との関係(2)】に記載しております。

 

 

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