ブリッジレポート
(2317) 株式会社システナ

プライム

ブリッジレポート:(2317)システナ 2020年3月期第3四半期決算

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逸見 愛親

会長

 

三浦 賢治

社長

株式会社システナ(2317)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

情報通信

代表者

逸見 愛親、三浦 賢治

所在地

東京都港区海岸一丁目2番20号 汐留ビルディング14階

決算月

3月

HP

https://www.systena.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数(自己株式を控除)

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,741円

96,841,789株

168,601百万円

24.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

20.00円

1.1%

52.82円

33.0倍

216.01円

8.1倍

*株価は02/05終値。発行済株式数は直近四半期末の発行済株式数から自己株式を控除。BPSは2020年3月期第3四半期決算短信より。ROEは前期末実績。

 

連結業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

親会社株主帰属利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

42,695

3,172

3,208

2,249

22.65

32.00

2017年3月(実)

46,255

3,693

3,407

2,197

22.42

36.00

2018年3月(実)

54,320

5,170

5,147

3,542

36.32

46.00

2019年3月(実)

59,742

6,902

6,706

4,584

47.00

16.00

2020年3月(予)

63,147

7,865

7,622

5,140

52.82

20.00

* 予想は会社予想。単位は百万円、円。
* 2018年6月、1株を4株に分割(EPSを遡及修正)。

 

株式会社システナの2020年3月期第3四半期決算の概要と通期の見通しについて、ブリッジレポートにてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第3四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20/3期3Q(累計)は前年同期比10.0%の増収、同15.1%の営業増益。5G関連・インターネットサービス・デジタルトランスフォーメーションを中心にソリューションデザイン事業が好調を維持する中、業務範囲が大幅に拡大したITサービス事業、システムインテグレーションに注力したソリューション営業および既存金融分野・新規サービス分野共に増加したフレームワークデザイン事業の3事業の売上が収益性の改善を伴って増加。自社商材の販売に力を入れたクラウド事業の売上も伸びた。3Q(10-12月)の3カ月間では、前年同期比0.6%の増収ながら、不採算案件の発生と前年同期の利益水準が高かった影響で同4.5%の営業減益。

     

  • 通期予想に変更はなく、前期比5.7%の増収、同14.0%の営業増益。主要事業で売上・利益の増加が見込まれ、減収を見込んでいるソリューション営業には、利益面も含めて上振れ期待がある。クラウド事業は自社製品中心に売上が増加するものの、先行投資で減益が見込まれる。海外事業は、米国日系企業向けの技術支援、IoTソリューション、更にはStrongKey社のセキュリティ製品の販売本格化で売上が増加し、損益の改善も進む見込み。期末配当は10円を予定しており、2Q末配当と合わせて年4円増配の20円となる(予想配当性向38%)。

     

  • 通期予想に対する進捗率は、売上高75.0%(通期実績ベースの前年同期72.0%)、営業利益76.0%(同75.3%)。3Qはソリューションデザイン事業で不採算案件が発生したが、先行投資段階にあるクラウド事業と海外事業を除き、全般に収益性の改善が進んでいる。受注高および受注残高も高い水準を維持しており、通期の業績に不安は少ない。4Q(1-3月)に利益成長軌道へ回帰すると共に高い水準の受注高および受注残高を維持できれば、来期に向け弾みがつく。

     

1.会社概要

2010年4月1日に(株)システムプロが、持分法適用会社だったカテナ(株)を吸収合併して誕生。旧(株)システムプロのモバイル端末の設計・開発・検証に係る技術・ノウハウとオープン系技術、旧カテナ(株)の金融分野の業務知識および基盤系技術を融合した事業展開により新たな領域の開拓を進めている。連結子会社9社および持分法適用会社3社と共にグループを形成している。

 

【経営目標 - 日本を代表するIT企業となり、日本経済を底辺から支える! 】

経営目標実現のために、「破壊と創造」、「安定と成長」、「保守と革新」という相反する課題をバランス良くコントロールし、常に振り子の中心点に経営の軸足を置いた、バランス経営を基本方針としている。

 

【目標とする経営指標】

目標とする経営指標として、安定した高配当、高い株主資本利益率、高い売上高営業利益率を掲げており、その実現に向け、経営の基本方針に則り、高収益体質を目指して行く考え。当面の目標(中期経営目標)として、24/3期に連結売上高1,010億円、営業利益152億円(営業利益率15%)、一人当たり営業利益260万円、ROE25%を掲げている。

 

1-1 事業内容とシステナグループ

事業は、ソリューションデザイン事業(20/3期第3四半期売上構成比35.9%)、フレームワークデザイン事業(同9.0%)、ITサービス事業(同13.4%)、ソリューション営業(同39.7%)、クラウド事業(同2.0%)、海外事業(同0.2%)および投資育成事業(同0.3%)に分かれる(調整額△0.5%)。20/3期より、コンシューマサービス事業に区分されていた事業を、ソリューションデザイン事業および投資育成事業に区分変更し、コンシューマサービス事業セグメントを廃止した。

 

ソリューションデザイン事業 (株)システナ、(株)ProVision、(株)IDY、HISホールディングス(株)、SystenaVietnam
モバイル端末開発で培ったノウハウを強みとする自動運転やテレマティクス等の「車載」、電力、交通、航空、宇宙、防衛等の「社会インフラ」、通信キャリア、Eコマース、教育、電子書籍等の「ネットビジネス」、スマートフォン、家電、ロボット等の「スマートデバイス/ロボット/AI」およびワークフローや受発注システム等の「業務システム」の5つのカテゴリーに経営資源を集中させている。いずれのカテゴリーも、IoT関連のシステムやサービスの開発や検証の引き合いが活発である。また、ベトナムの現地法人Systena Vietnam Co.,Ltd.が、ソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点としての機能を担っている。

 

フレームワークデザイン事業 (株)システナ、Systena Vietnam
国内外の生・損保や銀行を顧客として、金融系システム開発や基盤系システムの開発を行っている。生損保業務では、情報系、契約管理業務、保険料計算、代理店業務から営業管理業務に至るまで幅広い業務ソリューションの開発実績を有し、銀行業務では、メインフレームへの対応はもちろん、オープンシステムの分野においても、営業店系システムや対外系チャネルシステム等で豊富な開発実績を有する。以前は業務の大半を金融系システムの開発・運用が占めていたが、業務自動化(RPA)、クラウド、データ分析、音声認識、画像認識などの新規事業が売上高の3割を占めるところまで育ってきており、ITサービス事業やソリューション営業との連携による両事業が有する顧客へのクロスセル、或いはスマホアプリやWebアプリ等のソリューションでのソリューションデザイン事業との連携により、金融系の深耕と他業種への横展開を進めている。また、ソリューションデザイン事業と同様にSystena Vietnam Co.,Ltd.がオフショア拠点としての機能を担っている。

 

ITサービス事業 (株)システナ、東京都ビジネスサービス(株)
システムやネットワークの運用・保守、ヘルプデスク、ユーザーサポート、データ入力、大量出力等のITアウトソーシングサービスを手掛ける。顧客は電機メーカー、金融機関、外資系企業、官公庁等。

 

ソリューション営業事業 (株)システナ
ITプロダクト(サーバー、PC、周辺機器、ソフトウェア)の企業向け販売やシステムインテグレーションを手掛ける。ハード販売型のビジネスからサービス提供型のビジネスへシフトを進めており、ITサービス事業等とも連携して所有から利用(クラウド等)へと変化するニーズを取り込む事で事業拡大、高付加価値化を図っている。顧客は電機メーカー、外資系企業等。

 

クラウド事業 (株)システナ
クラウド型サービスの導入支援からアプリケーションの提供までを手掛けており、「G Suite」と同社開発の「Cloudstep」を組み合わせたシステナ版グループウェアのクラウドサービスや2017年5月にサービスを開始したクラウド・データベースサービス「Canbus.\キャンバスドット」、スマートフォン向けフィッシング対策ソリューション「Web Shelter」などを提供している。現在、パブリック・クラウドに特化しているが、プライベート・クラウドへの対応も進めている。尚、「Cloudstep」とは、「G Suite」等のクラウド型サービスの使い勝手を向上させるための業務アプリケーションや運用者向け管理ツール等の総称。

 

海外事業 Systena America、Systena Vietnam米国の現地法人はモバイルや通信関連の開発・検証支援と米国の最新技術・サービスの動向調査・インキュベーションを二本柱とし、ベトナムの現地法人はソフトウェア開発・検証評価・保守運用、ITサービス全般等を手掛けるオフショア拠点との位置づけ。

 

投資育成事業 (株)ONE Tech Japan、(株)GaYa
戦略子会社(株)ONE Tech Japanが、AI、IoT、ロボット、FinTech、ソーシャルメディア関連の企画・開発・販売・サービス提供を手掛けている他、(株)GaYaがスマートフォン向けゲームコンテンツの開発・大手SNSサイトへの提供および他社が開発・リリースしたゲームの運営受託を手掛けている。

 

システナグループ

連結子会社

出資比率

事業内容

(株)ProVision

100%

モバイル端末アプリおよびインターネットコンテンツの開発支援・品質評価

東京都ビジネスサービス(株)

51%

データ入力、大量出力等(東京都との共同出資重度障がい者雇用モデル企業)

(株)IDY

76.7%

携帯端末を含む無線インフラを中心とした各種通信デバイス・通信ソフトウェアの販売、無線通信に関わる各種開発

(株)GaYa

65%

スマートフォン・PC向けソーシャルゲームの企画・開発・運営、受託開発・開発支援等

(株)ONE Tech Japan

87.5%

AI、IoT、ロボット、FinTech、ソーシャルメディア関連の企画・開発・販売等のサービス提供   ※(株)インターネットオブシングスから社名変更

Systena America Inc.

100%

米国現法。モバイルおよび通信関連の開発・検証支援、各種ソリューション提供。最新技術やサービスの動向調査および事業化

Systena Vietnam Co.,Ltd.

100%

ベトナム現法。ソフトウェア開発・検証評価・運用・保守、ITサービス全般

持分法適用会社

出資比率

事業内容

HISホールディングス(株)

25.6%

システム構築、パッケージソフト開発・販売(北海道を拠点とするニアショア)

StrongKey, Inc.

28.84%

暗号化および認証製品の開発・販売   ※StrongAuth, Inc.から社名変更

ONE Tech, Inc.

50%

全米屈指のPFを持つPlasma社との合弁会社。IoTソリューションパッケージの開発・販売

※ 連結子会社は、上記の他、東京都ビジネスサービス(株)の子会社(株)ティービーエスオペレーション。持分法適用会社StrongKey, Inc.およびONE Tech, Inc.はSystena America Inc.を通して出資。

 

1-2 新中期経営計画(20/3期~24/3期)

24/3期に連結売上高1,010億円、営業利益152億円の達成を目指す中期5ヵ年計画が進行中である。生産性を20%向上させて営業利益率15%、ROE25%に引き上げる考え。この目標の達成に向けて、「データ経営による生産の向上」を経営の大方針とし、営業強化、自社商材・自社サービスの拡充、成長分野への集中投資、既存事業のスクラップアンドビルドを行うと共に、米国での投資育成事業であるIoTビジネスと暗号化セキュリティ事業を通じて海外事業も積極的に展開していく。
尚、今後10年で最も伸びる分野と位置付けるオートモーティブ、キャッシュレス・決済、ロボット・IoT・RPA・クラウドおよび自社製品・自社サービスの分野に経営資源を集中させていく考え。

 

 

19/3期 実

構成比

・利益率

20/3期 予

構成比

・利益率

24/3期 計

構成比

・利益率

ソリューションデザイン

21,214

35.5%

23,450

37.1%

40,950

40.6%

フレームワークデザイン

5,294

8.9%

5,770

9.1%

9,400

9.3%

ITサービス

7,827

13.1%

8,692

13.8%

11,060

11.0%

ソリューション営業

24,032

40.2%

24,000

38.0%

36,580

36.2%

クラウド

1,129

1.9%

1,230

2.0%

1,970

1.9%

海外事業

120

0.2%

150

0.2%

640

0.6%

投資育成事業

397

0.7%

305

0.5%

400

0.4%

調整額

-272

-0.5%

-450

-0.7%

-

-

連結売上高

59,742

100.0%

63,147

100.0%

101,000

100.0%

ソリューションデザイン

3,666

17.3%

4,408

18.8%

8,100

19.8%

フレームワークデザイン

841

15.9%

968

16.8%

1,600

17.0%

ITサービス

1,067

13.6%

1,220

14.0%

2,350

21.2%

ソリューション営業

1,155

4.8%

1,242

5.2%

2,300

6.3%

クラウド

197

17.5%

64

5.2%

500

25.4%

海外事業

-31

-

-15

-

250

39.1%

投資育成事業

5

1.3%

-22

-

100

25.0%

連結営業利益

6,902

11.6%

7,865

12.5%

15,200

15.0%

* 単位:百万円

 

2.2020年3月期第3四半期決算概要

2-1 第3四半期(累計)連結業績

 

19/3期 3Q(累計)

構成比

20/3期 3Q(累計)

構成比

前年同期比

売上高

43,032

100.0%

47,335

100.0%

+10.0%

売上総利益

9,422

21.9%

10,523

22.2%

+11.7%

販管費

4,227

9.8%

4,543

9.6%

+7.5%

営業利益

5,194

12.1%

5,980

12.6%

+15.1%

経常利益

5,049

11.7%

5,791

12.2%

+14.7%

親会社株主帰属利益

3,391

7.9%

3,903

8.2%

+15.1%

* 単位:百万円

 

前年同期比10.0%の増収、同15.1%の営業増益
売上高は前年同期比10.0%増の473億35百万円。5G関連・インターネットサービス・デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)中心にソリューションデザイン事業の売上が同9.9%増加する中、業務範囲が大幅に拡大したITサービス事業とシステムインテグレーションに注力したソリューション営業が収益性の改善を伴って二桁の増収。この他、既存金融分野・新規サービス分野共に増加したフレームワークデザイン事業の売上が同9.2%増加した他、自社商材の販売に力を入れたクラウドの売上が同26.9%増と伸びた。

 

営業利益は同15.1%増の59億80百万円。ソリューションデザイン事業で不採算案件が発生したものの、高付加価値分野へのシフトが進む、フレームワークデザイン事業、ITサービス事業およびソリューション営業の収益性改善でカバーして売上総利益率が22.2%と0.3ポイント改善。人員増強等に伴う販管費の増加を吸収した。

 

2-2 第3四半期(10-12月)連結業績

 

19/3期 3Q

(10-12月)

構成比

20/3期 3Q

(10-12月)

構成比

前年同期比

売上高

15,822

100.0%

15,924

100.0%

+0.6%

売上総利益

3,375

21.3%

3,395

21.3%

+0.6%

販管費

1,416

8.9%

1,524

9.6%

+7.6%

営業利益

1,959

12.4%

1,871

11.7%

-4.5%

* 単位:百万円

 

ソリューションデザイン事業の業務システム開発で不採算案件が発生した影響に加え、前年同期の利益水準が高かった事もあり、第3四半期(10-12月)は営業利益が前年同期比4.5%減少した。

 

 

2-2 セグメント別動向

 

19/3期 3Q

(累計)

構成比

・利益率

20/3期 3Q

(累計)

構成比

・利益率

前年同期比

ソリューションデザイン

15,439

35.8%

16,972

35.9%

+9.9%

フレームワークデザイン

3,910

9.1%

4,268

9.0%

+9.2%

ITサービス

5,750

13.4%

6,340

13.4%

+10.3%

ソリューション営業

17,025

39.6%

18,802

39.7%

+10.4%

クラウド

760

1.8%

965

2.0%

+26.9%

海外事業

83

0.2%

97

0.2%

+17.9%

投資育成事業

267

0.6%

158

0.3%

-40.8%

調整額

-203

-0.5%

-270

-0.5%

-

連結売上高

43,032

100.0%

47,335

100.0%

+10.0%

ソリューションデザイン

2,760

17.9%

2,983

17.6%

+8.1%

フレームワークデザイン

635

16.3%

797

18.7%

+25.4%

ITサービス

791

13.8%

917

14.5%

+15.9%

ソリューション営業

916

5.4%

1,182

6.3%

+29.1%

クラウド

144

19.0%

143

14.9%

-0.4%

海外事業

-27

-

-22

-

-

投資育成事業

-26

-

-21

-

-

調整額

-

-

-

-

-

連結営業利益

5,194

12.1%

5,980

12.6%

+15.1%

* 単位:百万円

 

ソリューションデザイン事業
売上高169億72百万円(前年同期比9.9%増)、営業利益29億83百万円(同8.1%増)。業務システム開発で発生した不採算案件の影響で利益率が低下したものの、5G関連・インターネットサービス、DX、更には働き方改革等でシステム開発の引き合いは強い。

 

フレームワークデザイン事業
売上高42億68百万円(前年同期比9.2%増)、営業利益7億97百万円(前年同期比25.4%増)。既存金融分野は大型保険システムがピークアウトしたものの、新規の金融・保険・業務システム開発を受注し、進捗も順調。新規サービス分野は業務自動化ソリューションのライセンス販売、それに伴う導入支援、開発支援等が堅調に推移した。

 

ITサービス事業
売上高63億40百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益9億17百万円(同15.9%増)。顧客のプロフィット部門への営業を強化した成果と従来から取引のある社内IT部門の深耕で、Windows10への移行やAI・RPA導入支援等、高付加価値なスポット案件の受注に成功し、売上・利益が増加した。

 

ソリューション営業
売上高188億02百万円(前年同期比10.4%増)、営業利益11億82百万円(同29.1%増)。Windows7、Windows Server 2008のサポート終了に伴うシステム案件が増加した他、「働き方改革」関連でのモバイル・セキュリティ・クラウドを中心にした需要喚起が成果をあげた。また、ロードマップの把握から、IT機器の導入、インフラ構築、システム開発、保守運用に至る高付加価値のワンストップ案件も増加した。

 

クラウド事業
売上高9億65百万円(前年同期比26.9%増)、営業利益1億43百万円(同0.4%減)。「DX」や「データ経営」をキーワードにした需要喚起が奏功し、同社オリジナルのビジネスアプリプラットフォーム「Canbus.」が増加した他、「働き方改革」の一環で、「Canbus.」、Google が提供するグループウェア「G Suite」および同社オリジナルのグループウェア「Cloudstep」に関連するシステムインテグレーションも増加した。ただ、認知度向上、製品力強化および顧客満足度向上を目的とした先行投資が負担となり、営業利益が減少した。

 

海外事業
売上高97百万円(前年同期比17.9%増)、営業損失22百万円(前年同期は営業損失27百万円)。米ONE Tech社および(株)ONE Tech Japanとの共同営業により、様々な企業や工場からAIやIoT(LoRa)を使ったソリューションの引き合いを受け、一部の案件で受注に成功した。この他、複数の日系企業からのソフト開発やサポート業務の受注も増加した。

 

また、世界各国の中央銀行、大手金融機関、軍事機関等で多くの導入実績があるStrongKey社の暗号化・認証セキュリティ・ソリューション「Tellaro」の日本での販売が本格化した他、2020年1月のCCPA施行を念頭に、米国内でも「Tellaro」の営業展開を進めた。

 

損益面では、営業損失となったものの、9月以降、黒字が定着している。

 

尚、CCPAとは「California Consumer Privacy Act」の略で、消費者に自身の個人情報の取扱いをコントロールする権利を与えるカリフォルニアの州法。対象はカリフォルニア内の企業だけでなく、一定の売上($25百万)を上げており、かつカリフォルニア州民の個人情報(名刺やメールアドレスなどを含む)等を取得した事のある企業も対象となる。

 

 

2-3 受注高・受注残高

 

受注高

前年同期比

受注残高

前年同期末比

ソリューションデザイン事業

16,389

+4.3%

5,409

+11.8%

フレームワークデザイン事業

4,377

+7.0%

2,556

+7.6%

ITサービス事業

6,235

+9.3%

4,147

+8.2%

合計

27,003

+5.9%

12,113

+9.6%

* 単位:百万円

 

 

 

3.2020年3月期業績予想

3-1 通期連結業績

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

売上高

59,742

100.0%

63,147

100.0%

+5.7%

営業利益

6,902

11.6%

7,865

12.5%

+14.0%

経常利益

6,706

11.2%

7,622

12.1%

+13.7%

親会社株主帰属利益

4,584

7.7%

5,140

8.1%

+12.1%

* 単位:百万円

 

通期予想に変更はなく、前期比5.7%の増収、同14.0%の営業増益
セグメント毎、売上・利益の進捗にバラツキはあるものの、総じて順調。減収を見込んでいるソリューション営業は、利益面も含めて上振れ期待があり、第3四半期に利益面でブレーキがかかったソリューションデザイン事業は巻き返しに向け、受注活動とプロジェクト管理体制を強化する。クラウド事業は引き続き「働き方改革」関連の需要の取込みで売上が増加するものの、「Canbus.」を中心とした自社サービスの売上拡大に向けた先行投資が負担となり、減益が見込まれる。海外事業は、米国日系企業向けの技術支援、LoRa WAN機器等のIoTソリューション、更にはStrongKey社のセキュリティ製品の販売本格化で売上が増加し、損益の改善も進む見込み。

 

配当は1株当たり上期末10円、期末10円の年20円を予定しており(予想配当性向38%)、4円の増配となる。

 

3-2 セグメント別の通期予想と取り組み

 

19/3期 実績

構成比

・利益率

20/3期 予想

構成比

・利益率

前期比

進捗率

ソリューションデザイン

21,214

35.5%

23,450

37.1%

+10.5%

72.4%

フレームワークデザイン

5,294

8.9%

5,770

9.1%

+9.0%

74.0%

ITサービス

7,827

13.1%

8,692

13.8%

+11.0%

72.9%

ソリューション営業

24,032

40.2%

24,000

38.0%

-0.1%

78.3%

クラウド

1,129

1.9%

1,230

2.0%

+8.9%

78.5%

海外事業

120

0.2%

150

0.2%

+24.8%

64.7%

投資育成

397

0.7%

305

0.5%

-23.3%

51.8%

調整額

-272

-0.5%

-450

-0.7%

-

60.0%

連結売上高

59,742

100.0%

63,147

100.0%

+5.7%

75.0%

ソリューションデザイン

3,666

17.3%

4,408

18.8%

+20.2%

67.7%

フレームワークデザイン

841

15.9%

968

16.8%

+15.1%

82.3%

ITサービス

1,067

13.6%

1,220

14.0%

+14.2%

75.2%

ソリューション営業

1,155

4.8%

1,242

5.2%

+7.5%

95.2%

クラウド

197

17.5%

64

5.2%

-67.6%

223.4%

海外事業

-31

-

-15

-10.0%

-

146.7%

投資育成

5

1.3%

-22

-7.2%

-520.4%

95.5%

調整額

-

-

-

-

-

-

連結営業利益

6,902

11.6%

7,865

12.5%

+13.9%

76.0%

* 単位:百万円

 

ソリューションデザイン事業
通期予想は、売上高234億50百万円(前期比10.5%増)、営業利益44億8百万円(同20.2%増)。
車載システムでは成長性の高い分野に、ロボット・AIではサービスロボット分野に、インターネットサービスでは選択と集中による高収益分野に、そして業務システムではアライアンスビジネスに、それぞれ注力する。車載システムでは、車内空間の快適性向上に向けた情報分野(インフォテイメント)や乗用車・路線バス等の安全分野(自動運転)に注力する。また、MONETコンソーシアムへの参加を契機にMaaS分野に本格参入する。ロボット・AIでは、サービスロボットを活用したソリューション開発およびコンサルティングに力を入れると共に、5G・IoT・AIをキーワードとしたロボット活用プロジェクトへの展開を進める。インターネットサービスでは、キャッシュレスに向けたサービス開発の受注拡大と受託開発ラボの拡充に取り組む。また、スマートデバイスを活用したWebビジネスの受注拡大に取り組むと共に、5G・IoT・AIをキーワードとしたインターネットサービスプロジェクトへ展開していく。業務システムではOSS(Open Source Software)を活用した短納期・低コストサービスの育成に取り組む。足元では、DXを掲げる企業の業務システム開発の引き合いが増加していると言う。

 

フレームワークデザイン事業
通期予想は、売上高57億70百万円(前期比9.0%増)、営業利益9億68百万円(同15.1%増)。
既存金融分野で、保険システム、決済、基盤構築を軸とした成長性・収益性の高い案件への横展開を進めると共に、新規サービス分野で、営業強化によるDXをキーワードとした案件の取込みを図る。また、業務自動化(RPA)、クラウド、データ分析、音声認識、画像認識等のサービス拡充および本部間・メーカー・代理店との連携強化で、ライセンス販売や導入支援サービスの受注拡大にも取り組む。

 

ITサービス
通期予想は、売上高86億92百万円(前期比11.0%増)、営業利益12億20百万円(同14.2%増)。
「シェア拡大、パイの拡大、売上拡大」に加え、「より高収益」なビジネスモデルへの展開を進める。具体的には、ヘルプデスクやシステムオペレーターという従来からの人材動員力に頼ったサービスから、プロジェクトで培ったノウハウやグローバル対応を基に高付加価値な、ITサポート、PMO、LABOといったサービス単位の請負型業務を展開する事で、より顧客のビジネス展開に直結したサービスにITサービス事業全体を変革していく。また、顧客数と売上の拡大に向け、AI・チャットボット、RPA、セキュリティ強化支援等、新商材・新サービスの展開を進める。

 

ソリューション営業
通期予想は、売上高240億円(前期比0.1%減)、営業利益12億42百万円(同7.5%増)。
ソリューション領域拡大への投資、ハイブリッド環境への取り組み強化、サービスの拡販による収益力の強化およびSystena America.Inc.との連携強化に取り組む。ソリューション領域拡大への投資では、サービスメニューの拡充とリソースの増強およびプロフィット部門への営業展開に注力する。ハイブリッド環境への取り組み強化では、オンプレミス(自社所有・運用)からハイブリッド環境への対応を強化すると共に、クラウドパートナーとのアライアンスを強化する。サービスの拡販による収益力の強化では、ALL Systenaの全てのサービスの提供とアプリを軸とした新たなワンストップサービスの提供に取り組む。Systena America Inc.との連携強化では、セキュリティをキーとしたIoT関連商材の販売に取り組む。

 

クラウド事業
通期予想は、売上高12億30百万円(前期比8.9%増)、営業利益64百万円(同67.6%減)。
「Canbus.」を中心とした自社サービスの売上拡大を目指して、認知度向上、製品力強化および顧客満足度向上を目的とした先行投資を実施する。具体的には、「Canbus.」の認知度向上・ブランド強化を念頭に、「DX」や「働き方改革」に関連したWebプロモーション等、業界特化のアプローチを展開する。また、様々な業務を実現可能にする製品力強化とサポート力を向上させる人材強化に取り組み、顧客満足度の向上につなげる。

 

海外事業
売上高1億50百万円(前期比24.8%増)、営業損失15百万円(前期は営業損失31百万円)。
米ONE Tech社および(株)ONE Tech Japanとの協業の下、AI・IoTソリューションの販売を拡大させる。この一環として、microAIや各IoTソリューションを米国内の複数の展示会に出展し営業展開を進める。また、継続案件の寄与と新規案件の獲得で増加が見込まれる米国日系企業向けの技術支援を、ベトナムオフショアの活用による原価低減で収益性の改善を図りつつ進める。
この他、日本での販売と並行して、2020年1月のCCPA施行に合わせて、カリフォルニアに拠点を置く企業を対象にStrongKey社の暗号化・認証セキュリティ・ソリューション「Tellaro」の販売を強化する。

 

4.今後の注目点

通期予想に対する進捗率は、売上高75.0.%(通期実績ベースの前年同期72.0%)、営業利益76.0%(同75.3%)、経常利益76.0%(同75.3%)、最終利益75.9%(同74.0%)。ソリューションデザイン事業で不採算案件が発生したが、先行投資段階にあるクラウド事業と海外事業を除き、全般に収益性の改善が進んでいる。今後、付加価値の高い請負型の受託開発が増えると、ソリューションデザイン事業に限らず、他の事業でも不採算案件発生のリスクが高まるが、ポートフォリオ効果で吸収できる体制が整いつつある。セグメント個々では売上・利益の進捗に若干のバラツキがあるものの、受注高および受注残高も高い水準を維持しており、通期の業績に不安は少ない。
Windows7およびWindows Server 2008関連特需の一巡が予想される中で、第4四半期(1-3月)に利益成長軌道へ回帰すると共に高い水準の受注高および受注残高を維持する事ができれば、来期に向け弾みがつく。

 

<参考:コーポレート・ガバナンスについて>

◎組織形態および取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

9名、うち社外2名

監査役

4名、うち社外4名

 

◎コーポレート・ガバナンス報告書(更新日:2019年06月25日)
基本的な考え方
当社は、激しい経営環境の変化に対応し、経営の効率性を高めるために迅速な意思決定によるスピード経営を推し進め、永続的な事業発展と株主価値の増大および株主への継続的な利益還元を行っていくと同時に、株主、顧客、取引先、従業員および地域社会などのステークホルダー(利害関係者)との利害を調和させ、全体としての利益を最大化することを目指し、かつ、経営の健全性確保およびコンプライアンス(法令遵守)の徹底に努めるためにコーポレート・ガバナンスを強化させていきたいと考えております。このため、外部専門家(監査法人、主幹事証券会社、弁護士、社会保険労務士、司法書士等)やステークホルダーからの指摘や提言を真摯に受け止め、経営の公平性、透明性に関して更なる充実を図る所存であり、持ち前の当社の機動性を活かし、会社規模に応じた体制を構築し、株主などのステークホルダーを絶えず意識した上場企業として一層の自己改革を図り、コーポレート・ガバナンスの強化と適時適切な情報開示に努める所存であります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
【補充原則4-1-3 最高経営責任者等の後継者の計画】
 当社には創業者である代表取締役会長と50代前半の代表取締役社長と2名の代表取締役がおります。当社は創業者である代表取締役会長が最高経営責任者として選択と集中の経営方針のもと経営の舵取りを直接行っているオーナー企業という発展段階にあり、現時点での後継者の計画については今後の事業環境および経営方針に左右されるため、最高経営責任者の専権事項とすることが当社の発展に向けた一番の方法であると考えております。このため、現在のところ取締役会は具体的な後継者計画の策定・運用には関与しておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

 

【補充原則4-3-3 最高経営責任者を解任するための客観性、適時性、透明性のある手続きの確立】
 当社は創業者でありオーナー経営者でもある代表取締役会長が最高経営責任者として経営の大きな方向性の舵取り行い、代表取締役社長が最高執行責任者として業績等の適切な評価をもって社内を統率する体制を取っております。加えて代表取締役はいずれも独立役員の要件を満たした6名(社外取締役2名と社外監査役4名)の社外役員から牽制を受ける体制になっており、代表取締役を解任するような事態が生じた場合は独立役員からの提言をもとに取締役会にて議論のうえ、決定することで対処できると考えております。このため、現在のところ取締役会は最高経営責任者を解任するための客観性、適時性、透明性のある手続きの確立を行っておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

 

【補充原則4-10-1 任意の指名委員会・報酬委員会など、独立した諮問委員会の設置】
 当社の取締役9名のうち独立社外取締役は2名であり、取締役会の過半数には達しておりませんが、社外監査役4名とともに社外役員6名全員が東京証券取引所の定めに基づく独立役員の要件を満たしており、各々の独立役員が専門的な知見と豊富な経験を活かし、取締役会における特に重要な事項の審議に当たり、積極的に意見を述べるとともに、適時適切な助言が行われているため、現在のところ、独立した諮問委員会の設置は行っておりません。今後、必要に応じて検討してまいります。

 

<開示している主な原則>
【原則1-4 政策保有株式】
 当社は、政策保有株式として上場株式を保有しない方針であり、政策保有株式として保有する株式はありません。

 

【原則1-7 関連当事者間の取引】
 当社は、取締役の利益相反取引・競業取引を取締役会の付議・報告事項としており、取引毎に取締役会による事前承認・結果の報告を実施しております。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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