ブリッジレポート
(4319) TAC株式会社

スタンダード

ブリッジレポート:(4319)TAC 2020年3月期第3四半期決算

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多田 敏男 社長

TAC株式会社(4319)

 

 

会社情報

市場

東証1部

業種

サービス業

代表取締役社長

多田 敏男

所在地

東京都千代田区神田三崎町3-2-18

決算月

3月末日

HP

https://www.tac-school.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

214円

18,504,000株

3,959百万円

5.7%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

5.00円

2.3%

5.40円

39.6倍

296.83円

0.7倍

*株価は2/5終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年3月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年3月(実)

20,007

605

635

213

11.54

2.00

2017年3月(実)

20,440

713

692

490

26.49

4.00

2018年3月(実)

20,951

833

735

442

23.93

5.00

2019年3月(実)

20,474

340

409

309

16.74

8.00

2020年3月(予)

20,430

320

322

100

5.40

5.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。数値は発生ベース。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

 

TACの2020年3月期第3四半期決算概要等についてご報告致します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年3月期第3四半期決算概要
3.2020年3月期業績予想
4.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

今回のポイン

  • 20年3月期第3四半期の現金ベース売上高は前年同期比1.5%増の157億73百万円。発生ベース売上高は同0.4%減の154億48百万円。個人研修事業では簿記検定講座、公認会計士講座や建築士講座などが、法人研修事業では情報処理、CompTIA、証券アナリスト講座などが好調だった。粗利率は同0.5%低下。粗利は同1.6%の減少。営業費用の抑制などで販管費も同1.5%減少したが吸収できず、発生ベース営業利益は同2.5%減の5億23百万円となった。

     

  • 業績予想に変更は無い。20年3月期の発生ベース売上高は前期比0.2%減の204億30百万円を予想。営業利益は同6.1%減の3億20百万円を予想。配当は前期より3円減配の5.00円/株を予定。予想配当性向は92.5%。2期連続の減収減益で減配予想だが、営業強化、コスト構造の抜本的な改革などの取り組みを進め、収益の底入れ・回復を目指している。

     

  • 現金ベース売上高の四半期推移を見ると、消費税増税前の駆け込み需要があった第2四半期の反動から第3四半期は前年同期を下回り、四半期ベースではここ数期の中でも低水準となっている。ただ、「第2四半期+第3四半期」合計額で見ると、20年3月期はほぼ例年並みとなっており、通期業績に与える反動の影響はさほど大きくはなかったようだ。会社側が「維持すべき最低ライン」と設定した通期目標達成に向け第4四半期(1‐3月)にどれだけ積み上げていけるかを注目したい。

     

1.会社概要

「資格の学校TAC」として、資格取得スクールを全国展開。社会人や大学生を対象に、公認会計士、税理士、不動産鑑定士、社会保険労務士、司法試験、司法書士等の資格試験や公務員試験の受験指導を中心に、企業向けの研修事業や出版事業等も手掛ける。

 

企業グループ(連結子会社9社、持分法適用関連会社1社、非連結・持分法非適用子会社1社)

会社区分

セグメント

会社名

業務内容

連結子会社

個人教育事業

(株)TAC総合管理

太科信息技術(大連)有限公司

(株)オンラインスクール

教室用ビルの契約・メンテナンス業務等

大連オペレーションセンター(事務・教材視聴チェック等)

インターネットを通じての会員制教育事業

法人研修事業

(株)LUAC

保険関係の企業研修事業

出版事業

(株)早稲田経営出版

(株)TACグループ出版販売

「Wセミナー」ブランドの出版事業

出版事業に関する営業・宣伝等

人材事業

(株)TACプロフェッションバンク

人材紹介・派遣・求人広告事業

(株)医療事務スタッフ関西

医療事務系労働者派遣、レセプト作成業務

(株)クボ医療

レセプト点検業務、レセプト整理業務など

持分法適用関連会社

 

(株)プロフェッションネットワーク

実務家向けWeb情報誌の発行

非連結・持分法非適用子会社

 

泰克現代教育(大連)有限公司

日本式簿記・情報処理教育の企業研修

*2019年12月末。

 

【1-1 沿革】

1980年12月、資格試験の受験指導を目的として設立され、公認会計士講座、日商簿記検定講座、税理士試験講座を開講。2001年10月に株式を店頭登録。03年1月の東証2部上場を経て、04年3月に同1部に指定替えとなった。09年9月には司法試験、司法書士、弁理士、国家公務員Ⅰ種・外務専門職等の資格受験講座を展開していた(株)KSS(旧・早稲田経営出版)から資格取得支援事業及び出版事業を譲受。これにより、会計分野に強みを有する同社の資格講座に法律系講座が加わると共に、公務員試験のフルラインナップ化も進んだ。2013年12月、小中高生向け通信教育事業を柱とする(株)増進会出版社と資本・業務提携契約を締結。2014年6月には医療事務分野への進出を狙い、M&Aを実施。

 

【1-2 強み】

(1)試験制度の変化や法令改正へのきめ細かい対応
同社は、会社設立間もない頃から講師陣が毎年テキストを改訂し、試験制度の変化や法令改正にきめ細かく対応することで他社との差別化を図り受講生の支持を得てきた。事業が200億円規模になると、毎年発生するテキスト改訂コストを吸収することが可能だが、新規参入を考える企業はもちろん、同社よりも事業規模の劣る同業者にとっても、テキストを毎年改訂することは大きな負担である(ノウハウの蓄積が進み、高い生産性を実現していることも強みとなっている)。

 

(2)積極的な講座開発と充実したラインナップ
同社は大学生市場の開拓も含めて積極的に新しい分野(新講座の開設)にチャレンジすることで業界トップに上り詰め、業界初の株式上場を果たした。また、09年には、Wセミナーの資格取得支援事業を譲受し、従来手薄だった法律系講座や公務員試験のラインナップを拡充した。法律系講座及び公務員講座は、会計系3講座(公認会計士、税理士、簿記検定)と共に3本柱を形成し、マーケットの大きい3本柱を中心に多様な講座をラインナップしている。

 

(3)受講生中心主義の下でのサービスの先進性
サービスの先進性も同社の強みである。教育メディアや講師を受講生が自由に選択できるシステムを、資格取得学校市場で最初に導入したのは同社である。その背景にある受講生中心主義の経営姿勢は、テキストの品質と共に、「資格の学校TAC」のブランド醸成に一役買っている。

 

【1-3 ROE分析】

 

2013/3期

2014/3期

2015/3期

2016/3期

2017/3期

2018/3期

2019/3期

ROE(%)

35.5

21.9

4.9

4.8

10.3

8.6

5.7

 売上高当期純利益率(%)

4.66

3.98

1.06

1.07

2.40

2.11

1.51

 総資産回転率(回)

1.17

1.16

0.98

0.93

0.94

0.96

0.95

 レバレッジ(倍)

6.59

4.79

4.68

4.81

4.60

4.27

4.00

 

収益性の低下でROEは3期ぶりに日本企業が目指すべきと一般的に言われている8%を下回った。今期の売上高当期純利益率は0.5%の予想で、会社側ではROEは1.8%に低下すると見込んでいる。

 

2.2020年3月期第3四半期決算概要

売上高について
各講座の受講者は受講申込時に受講料全額を払い込む必要があり(同社では、前受金調整前売上高、あるいは現金ベース売上高と呼ぶ)、同社はこれをいったん「前受金」として貸借対照表・負債の部に計上する。その後、教育サービス提供期間に対応して、前受金が月毎に売上に振り替えられる(同社では、前受金調整後売上高、あるいは発生ベース売上高と呼ぶ)。損益計算書に計上される売上高は、「発生ベース売上高(前受金調整後売上高)」だが、その決算期間のサービスや商品の販売状況は現金ベース売上高(前受金調整前売上高)に反映され(現金収入を伴うためキャッシュ・フローの面では大き
く異なるが、受注産業における受注高に似ている)、その後の売上高の先行指標となる。このため、同社では経営指標として現金ベース売上高(前受金調整前売上高)を重視している。

 

季節的特徴について
同社の四半期毎の業績推移は次のとおり。なお、現金ベース売上高(前受金調整前売上高)は受講申し込み金額を集計した売上高を、発生ベース売上高(前受金調整後売上高)は受講申し込み金額を教育サービス提供期間に対応して配分した後の売上高を、それぞれ表している。
同社が扱う公認会計士や税理士などの主な資格講座の本試験が春から秋(第1~第3四半期)に実施されることや、公務員講座など大学生が主な顧客となる講座の申し込みは春から夏(第1~第2四半期)に集中する等の特徴があるため、第4四半期は申し込み(現金ベース売上高)がその他の四半期に比べて少なくなりやすい傾向がある。一方、賃借料や講師料、広告宣伝費などの営業費用は毎月一定額が計上されるため四半期ごとの偏重は無い。

 

(1)連結業績

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

現金ベース売上高

15,545

100.2%

15,773

102.1%

+1.5%

発生ベース売上高

15,515

100.0%

15,448

100.0%

-0.4%

差引売上総利益

6,287

40.5%

6,185

40.0%

-1.6%

販管費

5,751

37.1%

5,662

36.7%

-1.5%

営業利益

536

3.5%

523

3.4%

-2.5%

経常利益

602

3.9%

620

4.0%

+3.1%

四半期純利益

429

2.8%

290

1.9%

-32.4%

*単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

増収減益
現金ベース売上高は前年同期比1.5%増の157億73百万円。発生ベース売上高は同0.4%減の154億48百万円。個人研修事業では簿記検定講座、公認会計士講座や建築士講座などが、法人研修事業では情報処理、CompTIA、証券アナリスト講座などが好調だった。
粗利率は同0.5%低下。粗利は同1.6%の減少。営業費用の抑制などで販管費も同1.5%減少したが吸収できず、発生ベース営業利益は同2.5%減の5億23百万円となった。

 

(2)セグメント別動向

セグメント別現金ベース売上高

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

個人教育事業

9,208

59.2%

9,306

59.0%

+1.1%

法人研修事業

3,346

21.5%

3,486

22.1%

+4.2%

出版事業

2,436

15.7%

2,542

16.1%

+4.4%

人材事業

604

3.9%

489

3.1%

-19.0%

内部売上高または振替高

-50

-

-51

-

-

連結売上高

15,545

100.0%

15,773

100.0%

+1.5%

*単位:百万円

 

セグメント別現金ベース営業利益

 

19/3期3Q

利益率

20/3期3Q

利益率

前年同期比

個人教育事業

-65

-

91

1.0%

-

法人研修事業

869

26.0%

914

26.2%

+5.2%

出版事業

456

18.8%

561

22.1%

+22.8%

人材事業

127

21.1%

116

23.9%

-8.4%

内部売上高または振替高

-822

-

-835

-

-

連結営業利益

566

3.6%

848

5.4%

+49.7%

*単位:百万円。

 

【個人教育事業】
増収・黒字転換

増収

簿記検定講座、公認会計士講座、建築士講座、司法書士講座等

減収

公務員(国家一般・地方上級および国家総合職・外務専門職)講座、中小企業診断士講座、司法試験講座等

 

19年9月は消費税増税前の駆け込み需要により多数の申し込みがあったがその反動により申し込み減少。
営業費用は前年同期比0.6%減。

 

【法人研修事業】
増収・増益

増収

情報処理、CompTIA、証券アナリスト講座、大学内セミナー、自治体向け委託訓練

減収

コンテンツ提供、提携校

 

講師料、営業のための人件費など営業費用は前年同期比3.8%増。

 

【出版事業】
増収・増益

増収

FP、電験、情報処理、司法書士、司法試験、弁理士

減収

宅地建物取引士、簿記検定、行政書士

 

営業費用は同0.1%の増加。原稿料等一部の費目において増加したが、効率的な運営や販促に努めたこと及び棚卸資産に係る引当金の純繰入額が減少した。

 

【人材事業】
減収・減益
監査法人、税理士法人、民間企業における人材需要が安定しているが、求人と求職者の条件面における隔たりが広がり成約に至るまでの期間が長期化している。また人材派遣は、派遣法の改正により稼働数が減少し減収。
広告売上は、人材確保における求人広告の効果が低下し減収。
医療系人材事業は、新規売上先の獲得が進まない一方、人件費は上昇傾向にある。前年度に受注した大型案件が未更新となったことで減収となった。

 

(3)分野別動向

分野別発生ベース売上高

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

財務・会計分野

2,741

17.7%

2,867

18.6%

+4.6%

経営・税務分野

2,572

16.6%

2,483

16.1%

-3.5%

金融・不動産分野

3,349

21.6%

3,430

22.2%

+2.4%

法律分野

1,123

7.2%

1,086

7.0%

-3.3%

公務員・労務分野

3,674

23.7%

3,476

22.5%

-5.4%

情報・国際分野

1,059

6.8%

1,160

7.5%

+9.5%

医療・福祉分野

228

1.5%

183

1.2%

-19.7%

その他

766

4.9%

760

4.9%

-0.8%

連結売上高

15,515

100.0%

15,448

100.0%

-0.4%

*単位:百万円

 

【マーケット概要】
同社が取り扱う各種資格試験の2018年申込者は251万4千人と、前年の256万5千人を下回り、2年連続の減少となっている。

 

増収

財務・会計、金融・不動産分野、情報・国際分野

減収

経営・税務分野、法律分野、公務員・労務分野、医療・福祉分野、その他分野

 

(財務・会計分野)
公認会計士講座において入門生・上級生ともに講座への申し込みが順調に推移している他、簿記検定講座も1級及び2級の対策講座への申し込みは好調で増収。

 

(金融・不動産分野)
書籍売上が低調だった宅地建物取引士講座が前年を下回るも、FP講座、証券アナリスト講座、建築士講座は好調で増収。

 

(情報・国際分野)
情報処理に係る企業向けの研修、CompTIA関連が好調で増収。

 

(経営・税務分野)
税理士講座は第2四半期(7‐9月)が好調で第3四半期累計では微減にとどまったが、中小企業診断士講座が低調で全体では減収。

 

(法律分野)
民法改正による需要増加で司法書士講座の申し込みは好調も、司法試験講座、弁理士講座等のマイナスによる影響が大きく減収。

 

(公務員・労務分野)
公務員講座(国家一般・地方上級)は、民間の良好な就職状況の影響等により減収。

 

(医療・福祉分野)
大型案件が更新されず減収。

 

(4)受講者数の動向

 

19/3期3Q

構成比

20/3期3Q

構成比

前年同期比

個人受講者数

109,689

61.8%

105,615

61.2%

-3.7%

法人受講者数

67,702

38.2%

67,022

38.8%

-1.0%

合計

177,391

100.0%

172,637

100.0%

-2.7%

*単位:人

 

分野別受講者数

 

20/3期3Q 受講者数

構成比

前年同期比

財務・会計分野

28,545

16.5%

-3.0%

経営・税務分野

22,119

12.8%

-2.3%

金融・不動産分野

46,316

26.8%

-2.9%

法律分野

9,096

5.3%

-9.4%

公務員・労務分野

42,636

24.7%

+0.8%

情報・国際/医療・福祉/その他分野

23,925

13.9%

-5.4%

合計

172,637

100.0%

-2.7%

 

講座別(個人・法人合算)動向
<増加>
公認会計士講座、建築士講座、証券アナリスト講座など。

 

<減少>
簿記検定講座、宅地建物取引士講座、公務員(国家一般・地方上級)講座、社会保険労務士講座、など。
法人受講者は、通信型研修が前年並み。大学内セミナー、提携校は減少。委託訓練は新規受注もあり増加。

 

(5)財政状態

◎主要BS項目

 

19年3月

19年12月

 

19年3月

19年12月

 現預金

5,195

5,898

 仕入債務

524

522

 売上債権

3,871

3,857

 返品調整・廃棄損失引当金

820

678

 たな卸資産

784

831

 前受金

6,044

6,478

流動資産

10,901

11,190

 資産除去債務

628

579

 有形固定資産

4,508

4,527

 有利子負債

6,377

6,212

 無形固定資産

331

311

負債

15,987

15,930

 投資その他

5,744

5,586

純資産

5,498

5,685

固定資産

10,584

10,425

負債・純資産合計

21,486

21,616

*単位:百万円

 

現預金の増加等で流動資産は前期末比2億88百万円増加。投資その他の資産の減少などで固定資産は同1億58百万円減少。資産合計は同1億29百万円増加し、216億16百万円。
借入金の減少などで負債合計は同56百万円減少の159億30百万円。
利益剰余金の増加等で純資産は同1億86百万円増加の56億85百万円。
この結果、自己資本比率は前期末より0.7%上昇し26.3%となった。

 

3.2020年3月期業績予想

(1)連結業績予想

 

19/3期 実績

構成比

20/3期 予想

構成比

前期比

現金ベース売上高

20,253

98.9%

20,430

100.0%

+0.9%

発生ベース売上高

20,474

100.0%

20,430

100.0%

-0.2%

差引売上総利益

8,006

39.1%

7,950

38.9%

-0.7%

販管費

7,665

37.4%

7,630

37.3%

-0.5%

営業利益

340

1.7%

320

1.6%

-6.1%

経常利益

409

2.0%

322

1.6%

-21.4%

当期純利益

309

1.5%

100

0.5%

-67.7%

*単位:百万円。予想は会社側予想。

 

業績予想に変更無し。売上は前年並み、減益を予想
業績予想に変更は無い。発生ベース売上高は前期比0.2%減の204億30百万円を予想。営業利益は同6.1%減の3億20百万円を予想。配当は前期より3円減配の5.00円/株を予定。予想配当性向は92.5%。

 

(2)各種取り組み

2期連続の減収減益で減配予想だが、事業面、コスト面で以下のような取り組みを進め、収益の底入れ・回復を目指す。

 

①各セグメントでの取り組み
(個人教育事業)
公務員講座では、当面は民間企業における良好な新卒採用が続くと見込まれることから、受講者の減少幅を最小限に抑えるとともに、景気後退局面に備える。
また、税理士・司法書士講座についても税理士・司法書士ともに2010年から8年連続で受験申込者数が減少中であり、こちらも縮小幅を最小限に抑えることが急務となる。
一方、公認会計士講座は、試験合格者の監査法人への良好な就職状況により資格取得希望者は増加傾向にある。圧倒的な合格実績等を積極的にアピールし、需要を着実に取り込む。
いずれの場合も、講座ごとに外部環境や市場(受講生)ニーズに適切に対応した戦略を遂行する。

 

(法人研修講座)
営業人材を増員し営業力を強化する。

 

(出版事業)
2019年9月、人気のある「おとな旅プレミアムシリーズ」の海外版となる「ハルカナ」の発刊を開始した。
全15タイトルで、ホノルル、グアム、台北、パリ、イタリア、シンガポール、香港、ベトナム、ニューヨーク、ソウルなどを取り上げる予定だ。

 

(人材事業)
公認会計士やUSCPAの転職市場における需要が活況なのをうけ、会計士・USCPA紹介事業を強化する。
コンサルタントの質を向上させるとともに、求職者の集客にも注力する。

 

②コスト構造の抜本的な改革
前期の発生ベース売上高204億円に対し、原価と販管費の合計である営業費用は201億円にのぼっており、コストを抜本的に見直して手を打つことが必要と認識している。

 

◎広告宣伝費
紙代は上昇傾向にあり、宣伝媒体がネット中心にシフトしていることから、パンフレットのペーパーレス化や、広告宣伝のネットシフトを進める。

 

◎外注費
こちらも紙代上昇の影響が大きい。一方で電子教材の需要が高まっていることから、電子教材の導入を推進する。

 

◎賃借料
日中の稼働率が低下している拠点が多い。また学習スタイルも、教室中心からWEBやダウンロードなど教室を使用しない受講生も増加している。
こうした状況を受け、稼働率に基づいたスピーディーな減床や移転の決定を行うほか、受講生のニーズに適応した設備の導入などを進める。

 

◎人件費
事務局側では人材確保の難化、最低時給単価の上昇が問題となっている。
また講師においても、講師確保が難しくなっているほか、試験科目ごとの学習範囲増加や専門性の高まりにより講師需要が増加している。
全社員数は現在の規模で維持しながら、IT等を利用したさらなる業務効率化をすすめるほか、営業強化のため配置転換も行う。

 

4.今後の注目点

現金ベース売上高の四半期推移を見ると、消費税増税前の駆け込み需要があった第2四半期の反動から第3四半期は前年同期を下回り、ここ数期の中でも低水準となっている。ただ、「第2四半期+第3四半期」合計額で見ると、20年3月期はほぼ例年並みとなっており、通期業績に与える反動の影響はさほど大きくはなかったようだ。会社側が「維持すべき最低ライン」と設定した通期目標達成に向け第4四半期(1‐3月)にどれだけ積み上げていけるかを注目したい。

 

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

8名、うち社外2名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年6月28日

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

実施しない理由

補充原則1-2(4)

当社の株主構成はその大半が国内の個人株主であり、機関投資家や海外の投資家の割合は限定的なものとなっております。そのため、現時点では議決権電子行使プラットフォームの利用等や招集通知の英訳は実施しておりません。しかしながら、今後、機関投資家や海外の投資家の割合が高まってきた際には、それらを進めていくことを検討してまいります。

原則1-4

当社は、現時点において政策的な目的で保有する上場株式(以下、「政策保有株式」)は保有しておりません。そのため、政策保有株式に係る議決権の行使について適切な対応をするための基準は策定しておりません。

 

 但し、今後、政策保有株式として上場株式を保有する状況になった場合には、政策保有に関する方針の開示、株主総会における政策保有株式に関する説明、政策保有株式に係る議決権の行使に関して、コーポレートガバナンス・コードの趣旨を踏まえ適切に対応いたします。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づく主な開示>

原則

開示内容

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

株主を含む投資家の方々からの問い合わせ等に対応するため、専門の部署(IR室)を設置しております。問い合わせ事項に関しては、インサイダーに抵触する恐れが高いと判断される情報を除き、適切に対応することとしております。

 

 

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