ブリッジレポート
(6573) アジャイルメディア・ネットワーク株式会社

グロース

ブリッジレポート:(6573)アジャイルメディア・ネットワーク 2019年12月期決算

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上田 怜史 社長

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社(6573)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

サービス

代表取締役社長

上田 怜史

所在地

東京都港区虎ノ門3-8-21 虎ノ門33森ビル

決算月

12月末日

HP

https://agilemedia.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

787円

2,085,780株

1,641百万円

-31.6%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00

-

-13.55

-

250.47円

3.1倍

*株価は2/19終値。各数値は2019年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月(実)

554

21

20

11

17.41

0.00

2017年12月(実)

734

66

67

63

78.21

0.00

2018年12月(実)

910

90

79

79

40.74

0.00

2019年12月(実)

847

-138

-144

-192

-92.97

0.00

2020年12月期(予)

1,079

-23

-26

-28

-13.55

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社側予想。2019年12月期より連結決算。18年9月1日付で1:3の株式分割を実施。EPSは遡及して調整。

 

 

アジャイルメディア・ネットワーク株式会社の2019年12月期決算概要などをご紹介します。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年12月期決算概要
3.2020年12月期業績予想
4.今後の成長戦略
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年12月期売上高は前期比7.0%減の8億47百万円。売上単価は上昇したが、アンバサダープログラムの導入ブランド数は減少。加えて担当人員を新たな事業領域拡大に振り向けたため減収となった。営業利益は138百万円の損失に転じた。減収に伴い粗利も減少したことに加え、事業領域拡大のため戦略的な投資を行い販管費が大幅に増加した。
  • 当期純利益は192百万円の損失。CATAPULT事業で計上されているECサイトにおけるソフトウエアにかかる「減損損失」20百万円を計上した。新規事業全体の領域拡大に伴い、CATAPULT事業の方針転換により回収可能性が低いと判断したため。また、19年12月期業績および今後の業績動向を踏まえ、繰延税金資産を取り崩し、「法人税等調整額」を27百万円計上した。

     

  • 2020年12月期の売上高は前期比2億32百万円増の10億79百万円、営業損失は同1億15百万円改善の23百万円の予想。新たな事業領域拡大に向けて引き続き積極的な投資を行うため、損失計上となるが幅は縮小する見込み。アンバサダープログラムにおける解約も一巡したと考えており、引き続き案件大型化を目指すとともに、収益性の精査を行いつつ案件数の拡大も目指し、売上高達成を目指す考えだ。

     

  • 戦略的投資を行っていくことから、利益よりもまずはトップラインの着実な伸びを期待したいところであったが、アンバサダープログラム導入件数減少に加え、事業領域拡大のための人員の割り振りも減収につながってしまったということで、残念ながら2期連続しての期初計画未達となった。

     

  • 中期的な成長のための施策は豊富で特に動画は、5G時代の到来とともにマーケティングソリューションとしての価値が増大することが期待されるものの、まずは足元、今期の売上計画達成が最優先課題となろう。解約も一巡したアンバサダープログラム導入件数の進捗を注目したい。

     

1.会社概要

「ファンの“好き”を加速する」をテーマに、クライアント企業の商品や製品・サービスのファンである「アンバサダー」を対象にクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)の活性化や購買促進、商品開発を支援する様々なサービスを提供。
得意とする分析テクノロジーと運営ノウハウを核に外部パートナーとのアライアンスも進め、アンバサダー事業の拡大と並行し、カタパルト事業、海外事業への投資により成長のスピートアップと規模拡大を追求する。

 

【1-1 沿革】

2007年2月設立。インターネットの発達に伴う新しいコミュニケーションの在り方を追求する中で、ブロガーをネットワークした広告配信を開始する。2008年6月にはブログの特長や影響力を分析する分析ツール「ブログチャート」の提供を開始。Twitter、FaceBookなどSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の普及・浸透に合わせ2010年6月、SNSを活用したキャンペーン構築システム「ソーシャルタイアップ」を、2012年4月にはソーシャルメディアを横断して影響力を測定する「ユーザーチャート」を相次いでリリースする。
2013年7月に、現在の中心事業である「アンバサダープログラム」をリリース。2016年1月にはアンバサダーの統合管理・分析ツールである基幹システム「アンバサダープラットフォーム」の提供を開始した。SNSでの活動を実際の売上に結び付けたい企業のニーズを取り込み採用実績および収益はともに拡大。2018年3月、東証マザーズに上場した。

 

【1-2 企業理念】

以下のような、VISION、MISSION、VALUEを掲げている。

 

VISION

世界中の好きを加速する。 Ignite Passion all over the world.

MISSION

個の力を最大化し、小さな経済を成長させる

VALUE

01 迷ったらファン目線。

02 期待以上を目指す。

03 すぐ決めてすぐ動く、何度でも挑戦する。

04 チームで最高の価値を創る。

05 変化を起こし、変化を楽しみ、新しい価値を生み出そう。

06 すべては自分事。

07 目標は実現するもの。

 

特にMISSIONにおいては、不特定多数の「誰か」ではなく「特定少数のファンが求めることは何か」、まだ見ぬ新規顧客ではなく「どうすれば目の前の方がファンになってくれるか」を考え続け、小さな経済の主役である1人ひとりの「人」の「個の力」をテクノロジーと創意工夫で加速させることが役割であると認識している。

 

【1-3 同社を取り巻く環境】

◎広告市場の変化
株式会社電通による「2018年 日本の広告費」によれば、下のグラフが示す通り、過去12年間で新聞・雑誌・ラジオ・TVのいわゆるマスコミ四媒体はCAGR(年平均成長率)で2.5%の減少だったのに対し、2005年には3,777億円であったインターネット広告費はCAGR12.6%で拡大を続け、2018年には1.7兆円へと急成長している。

 

商品・サービス内容が成熟し機能的な差別化が難しくなるのに加え、消費者やユーザーの嗜好が多様化する中で、マスを対象に企業が情報を一方的に伝達しても消費者の購買・利用意欲を喚起することは難しい一方、様々なテクノロジーをベースに、双方向性に優れ、絞り込んだ消費者・ユーザーにリーチできるインターネット広告が費用対効果の面からも企業のニーズを取り込んでいることが見て取れる。

 

株式会社電通「2017年 日本の広告費」を元に弊社作成)

 

また、詳細な金額は明らかではないが、プロモーション(販促)ページ制作費やソーシャルメディアのための広告制作費・制作関連(システム運用)費の増加も同調査においては指摘されている。
広告主の「売上増」に繋がるマーケティングやプロモーションに対するニーズは今後もより一層強まることが予想される。

 

◎SNS普及に伴う「クチコミ」の影響力増大
同社資料によれば、「信頼されている情報元は何か?」との質問に対し、第1位は「知人のおススメ(クチコミ)」で92%、第2位が「消費者のオンラインレビュー」70%となっており、新聞記事などの編集コンテンツ(58%)、ブランドWebサイト(58%)、許可したEmail(50%)を上回っている。
インターネットを用いた広告やマーケティングが伸長する中で、信頼性という観点からスマートフォンやSNSの普及による「クチコミ」の影響力は増大しており、クチコミ発信に対する企業の関心は日に日に高まっている。

 

【1-4 事業内容】

同社は、クライアント企業やその製品・ブランドのファンであるアンバサダーのクチコミ(利用体験の発信・購入の推奨)による情報発信力や運営ノウハウを活用して、分析、プロモーション、販売促進活動、商品開発を支援する「アンバサダープログラム」を中心に、テストマーケティングプラットフォーム「カタパルト」、パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM(プリズム)」などを展開している。
セグメントはアンバサダー事業の単一セグメント。

 

(1)ファン育成・活性化ソリューション「アンバサダープログラム」
プロモーション、販売促進活動、商品開発等を支援するファン育成・活性化ソリューション「アンバサダープログラム」は、クライアント企業の取り組みや製品・サービスの価値を正しく伝えることが難しい時代において、「アンバサダー」を通じて周囲の友人や知人に魅力を伝えることで、クライアント企業のより効果的なマーケティング活動推進に貢献するもの。

 

(アンバサダーとは?)
「アンバサダー」とは英語で「大使」のこと。
そこから転じて、特定の製品やサービス等の魅力を伝える役割を果たす人のことを指し、有名芸能人やスポーツ選手が著名ブランドのアンバサダーとして活動する事例などを見受けるが、同社では好きな企業、製品やサービスについて自発的にクチコミや推奨するファンを「アンバサダー」と定義した。
同社の「アンバサダー」は、一般の消費者・ユーザーの中から選ばれ、特定のブランドや商品・製品について、自発的に満足を伝えたり推奨を行ったりする(金銭報酬は発生しない)。アンバサダーのクチコミが届く対象はアンバサダーの身近な友人や知人である。

 

(同社資料より)

 

(なぜアンバサダーが重要なのか?)
【1-3 同社を取り巻く環境】で触れたように、製品やサービスが高機能化・成熟化する一方、消費者の嗜好も多様化する中で、これまでのTVCM・新聞・雑誌などいわゆる「マス広告」だけでは、自社の製品やサービスの価値を十分に伝えることは困難となっている。
一方、インターネット普及以前から製品やサービスの評判を伝える「クチコミ」は存在し、友人や知人から伝えられる商品に関する満足や推奨は購買選択に影響を与える重要な情報であったが、個人が情報を発信するSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の普及により、個人が「クチコミ」を発信する機会とともにその影響力が増大している。
成熟した市場におけるプロモーションや商品・サービス開発にはファンの存在が不可欠で、価値伝達における身近なアンバサダーによる「クチコミ」の重要性は益々高まっている。

 

①アンバサダープログラム®
アンバサダーの発見・登録・分析・連絡に使用する基幹システム「アンバサダープラットフォーム」を基盤に、プログラム運用支援やクチコミを促進するための施策の企画・運営支援など、様々なサービスを提供している。

 

(アンバサダープログラムの標準的な流れ)

①告知

企業が保有する会員組織(メールマガジン、eコマース会員、企業の公式SNS登録者など)に登録しているファンにアンバサダープログラムの案内をメールなどで告知する。

 

②登録

ファンは同社が設置するアンバサダープログラム登録フォームからアンバサダー登録を行う。登録時に各人のSNSやブログの影響力やクチコミ貢献度を分析する。

 

③企画募集・選出

企画に応募したアンバサダーを分析したデータを元に、熱量が高く貢献度の高いメンバーを選出する。

 

④活性化支援

アンバサダー限定の機会(限定モニターやイベントへの招待など)を提供し、アンバサダープログラムを推進する。

 

⑤クチコミ発生

アンバサダーから直接、SNSを通じて体験の感想や商品の特徴が伝わることで、友人や知人に影響を与える。

 

⑥効果測定

同社ASPサービス「アンバサダープラットフォーム」によるクチコミ(SNSなどの発言内の文字や画像)の分析やアンケート調査により効果測定を行う。

 

(同社資料より)

 

*企業が保有する会員をベースにアンバサダーを募集するため会員数の多寡により1プログラム当たりのアンバサダー数は1,000人から十数万人と幅はあるが平均は約2,000人。

 

*後述するように、協業先の企業が保有する会員資産やデータを使用して、趣味やテーマのアンバサダー組織を運営しており、会員組織が小さい企業でもアンバサダープログラムを利用できるような体制を整えている。
また、TwitterやFaceBookからファンを見つけてアンバサダープログラムの存在を知ってもらうための告知も行っている。

 

*アンバサダーの貢献度は、いわゆるインフルエンサーとは異なり、広く広める影響力だけではない。範囲は決して広くなくても定期的に知人・友人に発信してもらうことも重要であり、同社ではそうしたデータも緻密に収集・分析している。

 

 

(基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」とは?)
アンバサダープログラムを効率的、効果的に運営するためのシステムが、同社が自社開発した基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」である。

 

ASPサービスである「アンバサダープラットフォーム」は、アンバサダーの発見・告知・登録・管理・抽出(条件の抽出やグループ化)、クチコミの分析(登録者一人ひとりのクチコミを断続的に収集)、アンバサダーの分析(一人ひとりの影響力をレベルで判定するほか、クチコミの広がりや友人の反応を把握)、貢献評価(アンバサダー全体の貢献を判定)を行い、このサイクルを回すことで、費用対効果の高いプロモーション活動を可能にしている。

 

(同社資料より)

 

企業が自社でTwitterやFaceBookを運営している場合、公開アカウントにおけるフォロワーや「いいね!」といっている友達が何名いて、そのフォロワーや友達には何名のフォロワー・友達がいるかは把握できるが、フォロワーが自身の様々なSNSアカウントで普段どんな発信をしているかは判明できない。
これに対し同社ではTwitter、FaceBook、ブログにおいて、そのフォロワーが「特定のキーワードについてどんな発言をしたか?」、「その発言に対しどのような反応があったか?」までをデータとして収集することができる。
つまり、企業自身では行うことのできない「ひとを軸とした複合的、多面的な情報収集・分析作業」ができるのが基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」の最大の特徴であり、情報収集・分析・検証を通じて企業にとってより適切なファン活性化のプログラムを提供できる点が、クライアント企業に評価されている最大のポイントである。

 

(クライアント企業におけるメリット)
*ファン・満足・需要・効果の可視化
「アンバサダープログラム」を通じてファンによる商品やサービスのクチコミを活性化することで、4つの可視化を行っている。

ファンの可視化

どの位の熱量や貢献をしているファンがいるのかを見つけることができる。

満足や選択理由の可視化

アンバサダーが商品やサービスに満足した利用体験や「なぜ選んだのか」という選択理由などを説得力をもって伝えることができる。

需要の可視化

アンバサダーを起点に会話が生まれ、製品を「使ってみたい」、「買いたい」などの友人・知人の需要が可視化できる。

成果の可視化

施策による成果の予測と効果測定および検証が可能である。

 

例えば、商品サンプリングを行う場合、通常のサンプリングは応募者に対して無作為に当選者を選出し、商品体験をしてもらうが効果測定を行うことはできず、どのような成果が見込めるか、事後どの程度成果があったかは不明である。
これに対しアンバサダープログラムにおいては、クチコミや影響力を指標に候補者を選出することができるほか、商品体験後は貢献度の高いアンバサダーによるクチコミの発信・拡散が期待でき、クチコミ・波及の有無や友人・知人の反応を把握することで効果測定も可能であり、成果の見込みと検証が可能な費用対効果の高い施策となる。

 

(同社資料より)

 

*顧客生涯価値(LTV:ライフ・タイム・バリュー※)の向上
 「アンバサダープログラム」への参加を通じて、商品選択への信頼・納得や企業への親近感を向上させることで、顧客(アンバサダーやファン)が他の競合商品へ流出するのを軽減することができる。
また、継続した購買により、顧客生涯価値を高めることも可能である。

 

※顧客生涯価値
顧客が特定の企業やブランドと取引を開始してから終了するまでの期間内にどれだけの利益をもたらすのかを算出したもの。既存顧客重視の観点から注目されており、一般的に熱心な顧客ほど企業にもたらす利益が大きいとされる。

 

*キャンペーンや商品開発におけるアイデアや改善点の抽出
従来企業単独で実施していた「商品開発」や「改善」への取り組みをアンバサダーと共に推進することで、より利用者視点での商品・サービス開発に繋げることができる。

 

(アンバサダーのメリット)

アンバサダー限定のイベントやモニタープログラムへの参加

イベントを通じて企業の担当者と直接話せたり、新商品をいち早く利用したりできる。

商品開発プロジェクトや企画会議への参加

共同商品開発や販促物開発といった機会に参加することができる。

発信したクチコミが多くのファンへ露出される

発信したクチコミ(ブログ記事やSNSの投稿)が、企業が実施する広告やSNS公式アカウントで紹介・露出されることで貢献が評価される。

 

アンバサダーには金銭報酬は支払われないが、アンバサダーは金銭的な見返りよりも、特別な機会を体験できる点に充足感を得ており、それゆえ情報の信頼性が高い点もアンバサダープログラムの特徴である。

 

(収益モデル)
同社は、クライアント企業のアンバサダープログラムの企画・導入・運営サービスを提供し、対価を受領している。
提供するサービスは毎月定額で発生する「ベース費用」と、プログラムごとで適切な時期に実施するイベントやキャンペーンなどの「施策費用」に分かれており、半年~1年単位での契約となっている。
「ベース費用」はアンバサダー管理や分析を行うシステムである「アンバサダープラットフォーム利用料」と、問合せ対応窓口などを運営する「プログラム事務局運営費用」で構成される。

 

 

「施策費用」の主なサービス内容は以下のとおりである。

アンバサダーイベント

同社がクライアント企業から運営委託を受けてアンバサダーを会場などに呼び、新商品発表や講習会などを行う。アンバサダーにとっての特別な体験の提供を行うことでアンバサダーを活性化しクチコミを促進する。

アンバサダーサンプリング

多くのアンバサダーに商品を実際に使用してもらうために商品を提供・貸出する。商品の管理・梱包・発送・返却などを同社が代行する。

SNS投稿企画

SNSの利用者が参加できる投稿・投票型のWebキャンペーンをクライアント企業に代わって同社が企画・運営する。アンバサダー自身のSNSアカウントで参加することでキャンペーンが拡散されるため、アンバサダーの投稿(クチコミ)を見た知人・友人が更に参加し、SNS上で話題が拡散することが期待できる。

 

(同社資料より)

 

(その他のサービス)
アンバサダープログラムをより効果的なモノとするために以下2つのサービスを提供している。

 

*レビューズ
同社が提供する情報発信者と、商品の魅力を伝えたい企業をマッチングするサービス。
商品訴求やイベントへの参加、コンテンツ制作といった企業の要望に対して、情報発信者それぞれの得意分野から適切な発信者を選定し、企業と情報発信者のやり取りを代行する。ブログ記事やSNS投稿の生成から効果測定を支援している。

*アライアンスサービス
クチコミ分析機能とファン活性化のノウハウを活用し、協業先の企業が保有する会員資産やデータと組み合わせることで付加価値の高いサービスを提供する。

 

(協業例)
*メディア企業との取り組み
例えばアウトドアやゴルフなど、趣味や属性に特化したファン組織を立ち上げ、企業のプロモーション活動とクチコミの効果測定サービスを提供する。

 

*マーケティング企業との取り組み
顧客管理システムやデータ分析ツールを提供する企業と協業し、システムやツール利用企業がツール内に保有するデータと同社の分析データを組み合わせることで他にはない付加価値を提供する。

 

 

(2)テストマーケティングソリューション「CATAPULT(カタパルト)」
①背景・課題
テクノロジーの進化、大企業とスタートアップのコラボレーション、ユニークなアイデアを形にするクリエイターやデザイナーの活躍などによって様々な製品が生まれている。
ただ、その一方で、特に新規ブランドや中小規模の企業においては商品やサービスの価値を正しく伝え、購入時に選んでもらうために越えなければならない壁はいくつも存在し、大きな課題となっている。

 

②「カタパルト」とは?
アンバサダープログラムを通じてこれまでに多くのアンバサダーに対して様々なブランド体験を提供してきた同社が、そのノウハウを生かし、ユーザーの感動体験からブランドストーリーを創造し、新しい購入体験・顧客体験をデザインするためのプラットフォームとして立ち上げたのが「CATAPULT(カタパルト)」である。。

 

上記のような環境下、これから世に出そうと考えている新製品や、まだ価値や魅力が伝わっていない製品を対象に、市場投入への発射台として、リアル店舗向けおよびEC向けそれぞれの施策を提供する。

 

カタパルトとは空母の飛行機射出機や投石機を指す。まだ世に出ていない、価値が伝わっていない製品やサービスの「発射台」 として、企業とファンが共に盛り上げる場を提供したいと考えて命名した。

 

③サービス構成・特長
「リアル店舗向け施策」、「EC向け施策」の2パターンを提供している。

 

◎リアル店舗向け施策
ECが大きな伸長を見せているが、日本における商品全体のECにおける購入割合は依然6%程度であり、圧倒的に大部分は店舗で購入されており、同社では、作り手の想いが伝わりにくい時代においてリアルな顧客接点の体験価値が重要と考えている。またEC業者もリアル店舗を展開するケースも増えており、その重要性はますます増大すると見込んでいる。
そこで、「流通小売の販売連携強化」と「店頭プロモーション・分析支援」を軸に、価値を伝える情報の構築から販売チャネルの提供までを圧倒的なコストパフォーマンスで実現することによって商品の購入を支援する。

 

[支援内容]
*テスト販売チャネルの提供
*販促コンテンツ制作
*流通小売の販路開拓
*流通小売でのプロモーションや店頭分析

 

(具体的な取り組み)
鹿児島県・宮崎県エリアでファミリーマートを約400店舗展開する株式会社南九州ファミリーマートと業務提携した。
南九州ファミリーマートが担当する鹿児島県と宮崎県のファミリーマート店舗に来店する顧客を対象に、様々なテストマーケティングが可能なメニューを開発・提供する。
これまでも南九州ファミリーマートは地元TV番組と連動し、鹿児島で人気のラーメン店を一般投票で選出する「鹿児島ラーメン王決定戦」を実施し、上位入賞店のラーメンをカップラーメンとして商品化するなど様々なファン参加型の企画を実現させている。

 

*流通小売の販売連携強化
そこで、アジャイルメディア・ネットワークが提供するSNSやブログのクチコミが分析可能なツール「アンバサダープラットフォーム」を活用し、
*鹿児島・宮崎エリアにおけるファンの組織化と活性化
*メーカー向けテストマーケティングメニュー開発・提供
*ファン組織を活用したプロモーションメニュー開発・提供
などを展開、流通小売の販売連携を強化する。

 

(同社資料より)

 

テストマーケティングの場を提供するとともに、実際の反応を分析できるこのサービスは、商品開発および魅力ある売場づくりという観点から、メーカーにとっては極めて価値の高いソリューションとなる。

 

*店頭プロモーションおよび分析支援
また、新商品の全国販売前にエリア限定で販売することで売れ行きを調査する他、ファンによるクチコミを元に店舗ごとに売場で提供する情報を変えることなどの施策が可能。
こうした施策により、どの様な顧客層に訴求すると効果が高いかなど商品理解や購買への貢献分析が可能となり、メーカーは本格展開前のプロモーションアイデアを得ることができる。

 

(同社資料より)

 

同社では、「売り場」との関係強化によりメーカーへの影響力を高めて、精度の高い店頭マーケティングや、新商品の流通小売向け営業・販促支援活動に貢献することを目指している。

 

◎EC向け施策
ECにおいて、「納得・共感して買う」といった顧客体験は著しく減っており、消費者の体験に基づいたストーリーをしっかりと構築し、伝えていくストーリーコマースの手法から、ブランドや商品のブランディングを支援する。
ブランディングを通して独自の競争力を伸ばし、ロイヤリティの高い顧客を生み出すだけでなく、「体験」を伝えながら販売することで単なるモノ売りではなくコト(体験)を販売していくことが可能である。
[支援内容]
*ストーリーコマース支援
*EC機能の提供
*ブランディングコンテンツの企画・制作
*コンサルティング

 

(3)パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM(プリズム)」
2019年7月、ひとりひとりに最適化した動画を自動生成するマーケティングソリューション「PRISM(プリズム)」の開発を行う株式会社クリエ・ジャパンの全株式を取得し、子会社化した。

 

◎PRISM(プリズム)とは?
(概要)
「PRISM」は、ユーザー情報をもとにサーバ上で自由に動画を組み合わせ合成することで、ユーザーの特性に最適化した動画を大量かつリアルタイムに生成し提供することが可能な動画ソリューション。
今までに80のプロジェクトで50万本超の動画を生成・配信した実績をもち、パーソナライズド動画生成技術で特許を取得している。企業はPRISMを導入することで、自社サービス利用者の登録内容や利用実績などをもとにしたコミュニケーションを行う際、利用者のニーズに沿った動画を活用して行うことが可能になり、購買促進や、解約率の低下といった課題解決を実現することができる。
http://www.pr-ism.jp/

 

(同社資料より)

 

(特長)
一般的に、動画制作サービスとしては1本ずつクリエイターが企画・制作する「単品制作」に加え、最近ではAI等を活用して複数の動画を生成する「パターン制作」サービスが登場している。
動画制作サービスの中でも、「PRISM」はユーザーや顧客のニーズに基づきひとりひとりに最適化した動画をリアルタイムに生成することが可能であるため、その他の動画制作サービスと比較すると個人別のニーズを満たした動画を低コストで大量に生成可能な点が特徴である。

 

(同社資料より)

 

*導入実績

採用先

導入内容

効果

保険会社

契約更新時の案内に利用者の属性データを元に最適化した特約付帯促進の動画を配信しアップセル

動画未配信層と比較して継続率が2倍以上に向上

ヘアサロン

新規顧客の再来店促進や休眠利用者へ来店喚起を目的に、スタイリストが担当の顧客に対してメッセージ付き動画を配信しスタイルを提案

パーソナライズド動画を視聴した顧客の30~50%が再度来店

エンターテイメント企業

(ソーシャルゲーム)

ゲームを利用するユーザーの活性化を目的に過去の利用状況やゲームデータを用いてゲームに登場するキャラクターやセリフの内容が変化する動画を提供

数万人に向けて配信した結果SNSで多くの二次拡散が行われた

 

(クリエ・ジャパン子会社化の背景・意図)
同社資料によれば、日本における2018年の動画広告市場は1,843億円で前年比34%増と急速に拡大している。
さらに2020年からは第5世代移動通信システム(5G)の本格導入が始まることもあり、今後もさらに拡大するものと同社では見込んでいる。
そうした状況下、アジャイルメディア・ネットワークは、クリエ・ジャパンが保有するパーソナライズド動画のノウハウやテクノロジーと、自社が保有するファン活性化のノウハウを組み合わせることで、より効果的なマーケティング支援サービスが展開できると考えた。

 

(ソリューション強化の取り組みと今後の展開)
同じく2019年7月、動画の制作プラットフォーム「ムビラボ」を運営する株式会社フラッグシップオーケストラと業務提携を行った。フラッグシップオーケストラ社は月間1,000本を超える動画コンテンツの制作実績と豊富な動画反応データの蓄積・分析を強みとしている。

 

アジャイルメディア・ネットワークが保有するファンによるSNSのクチコミデータを元に、顧客企業が抱える課題やビジネス指標を解決するための動画コンテンツを動画マーケティングの知見をもつフラッグシップオーケストラ社が制作。更にクリエ・ジャパンが持つ「PRISM」の特許技術を活かし、業界や商品に特化したパーソナライズド動画による新しい事業モデルの構築を推進する。

 

 

(同社資料より)

 

上記のような特長や効果から幅広い業種における導入が見込まれ、中期的な業績に大きく寄与すると会社側は考えている。

 

【1-5 特長と強み】

1人ひとりの情報発信力や企業や製品に対しての興味度合いを分析する「テクノロジー」と、「アンバサダーを活性化するためのノウハウ」が同社最大の差別化要因であり、テクノロジーとノウハウを活かした効果測定により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供できる点が同社の強みである。

 

(テクノロジー)
熱量や貢献度の高いアンバサダーの「発見」、アンバサダーによるクチコミの「活性化」、クチコミの成果を把握する「効果測定」において、独自の企画・運営ノウハウと登録・管理・分析が可能な基幹テクノロジー「アンバサダープラットフォーム」により、クライアント企業に今後のマーケティング活動に有用な情報を提供することができる。

 

(アンバサダー活性化のノウハウ)
一連のサービスをネット上の参加企画である「オンライン施策(ネット)」だけでなく、イベントや商品開発プロジェクトなど「オフライン施策(リアル)」までワンストップで提供することができる点も他社にはない同社の大きな特長である。
例えば、ファンを招待する「イベント」や商品を試用してもらう「サンプリング」を実施する際に、応募者の中からクチコミの期待値が高いアンバサダーを分析したデータを元に選出することでプロモーションの「成果の見込み」をたてることが可能である。また、実施後には参加者によるSNSやブログによるクチコミの有無、クチコミの拡がりや友人の反応を把握することが可能なため、施策の成果を検証することができる。

 

2.2019年12月期決算概要

(1)損益概況

 

18/12期

構成比

19/12期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

910

100.0%

847

100.0%

-7.0%

-311

売上総利益

489

53.8%

474

56.1%

-3.0%

-

販管費

399

43.8%

613

72.4%

+53.7%

-

営業利益

90

9.9%

-138

-

-

-242

経常利益

79

8.7%

-144

-

-

-248

当期純利益

79

8.8%

-192

-

-

-258

*単位:百万円。18/12期は非連結、19/12期は連結。前期比は参考値。

 

減収・損失計上
売上高は前期比7.0%減の8億47百万円。売上単価は上昇したが、アンバサダープログラムの導入ブランド数は減少。加えて担当人員を新たな事業領域拡大に振り向けたため減収となった。
営業利益は138百万円の損失に転じた。減収に伴い粗利も減少したことに加え、事業領域拡大のため戦略的な投資を行い販管費が大幅に増加した。
当期純利益は192百万円の損失。CATAPULT事業で計上されているECサイトにおけるソフトウエアにかかる「減損損失」20百万円を計上した。新規事業全体の領域拡大に伴い、CATAPULT事業の方針転換により回収可能性が低いと判断したため。
また、19年12月期業績および今後の業績動向を踏まえ、繰延税金資産を取り崩し、「法人税等調整額」を27百万円計上した。なお、19年12月にアンバサダープログラム導入件数および売上単価が想定を下回っていることから2度目の下方修正を行っている。

 

(2)事業動向

アンバサダープログラム導入件数は18年12月末73件に対し、19年12月末は4件減の69件。
収益性の観点から案件の精査・選別、大型化を推進中のため導入件数は減少した一方、売上単価は前年同期の8,519千円から2.9%上昇の8,768千円となった。
基幹システム「アンバサダープラットフォーム」のシステム移行を行った際にトラブルが発生し、営業・運用への影響が長引いた。また、受注単価向上施策の効果も不十分であったと認識している。

 

 

(3)財務状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18年12月末

19年12月末

 

18年12月末

19年12月末

流動資産

536

311

流動負債

66

156

 現預金

279

135

 仕入債務

19

9

 売上債権

211

156

 短期借入金

-

100

固定資産

231

408

固定負債

-

36

 有形固定資産

15

17

 長期借入金

-

36

 無形固定資産

136

346

負債合計

66

192

 投資その他の資産

80

44

純資産

702

527

資産合計

768

719

利益剰余金合計

-23

-216

 

 

 

負債純資産合計

768

719

*単位:百万円。18/12月末は非連結、19/12月末は連結。増減は参考値。売上債権には電子記録債権を含む。

 

現預金、売上債権が減少し資産合計は前期末比48百万円減少の7億19百万円。
長期及び短期の借入を実行し、負債は同1億26百万円増加の1億92百万円。利益剰余金のマイナス拡大で純資産は同1億74百万円減少の5億27百万円。
自己資本比率は前期末の91.2%から18.6%低下し72.6%となった。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/12期

19/12期

増減

営業CF

30

-55

-86

投資CF

-144

-237

-93

フリーCF

-114

-293

-179

財務CF

263

113

-149

現金及び現金同等物

279

135

-143

*単位:百万円。18/12期は非連結、19/12期は連結。増減は参考値。

 

損失計上で営業CFはマイナスに転じ、フリーCFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは低下した。

 

(4)トピックス

①役員報酬を減額
2度の下方修正を経て損失計上となった経営責任を明確にするため役員報酬の減額を実施した。
2020年3月から3カ月間、代表取締役社長 上田怜史氏及び取締役副社長 石動力氏の月額基本報酬を20%減額する。

 

3.2020年12月期業績予想

 

19/12期

20/12期(予)

前期比

売上高

847

1,079

+232

営業利益

-138

-23

+115

経常利益

-144

-26

+118

当期純利益

-192

-28

+164

*単位:百万円。

 

増収・赤字幅縮小
売上高は前期比2億32百万円増の10億79百万円、営業損失は同1億15百万円改善の23百万円の予想。
新たな事業領域拡大に向けて引き続き積極的な投資を行うため、損失計上となるが幅は縮小する見込み。
アンバサダープログラムにおける解約も一巡したと考えており、引き続き案件大型化を目指すとともに、収益性の精査を行いつつ案件数の拡大も目指し、売上高達成を目指す考えだ。

 

4.今後の成長戦略

同社の得意とする分析テクノロジーと運営ノウハウを核に国内及び海外で事業展開を加速させる。

 

(同社資料より)

 

(1)各サービスにおける事業展開

①ファン育成・活性化ソリューション「アンバサダープログラム」
◎SaaS型ツールモデルのテスト販売実施
現状は大手企業向けのカスタマイズモデルによるプログラム運営支援が中心だが、収益源を多様化させるとともに、収益の安定化、収益性の向上をはかるために単体ツール販売を中心としたサブスクリプション課金による「SaaS(※)モデル」の提供を検討してきたが、いよいよテスト販売を開始する。

 

(同社資料より)

 

(※)「SaaS」(Software as a Service):ソフトウェアを利用者(クライアント)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するもの。

 

◎台湾市場及び、訪日台湾人観光客向けのマーケティング支援を提供開始
Niusnews Co., Ltd(台湾台北市)と共同で台湾女性のファン組織「NIUSFANS」の立ち上げ・会員募集を開始し、同時に台湾市場及び、訪日台湾人観光客向けのマーケティング支援の提供を開始した。

 

Niusnews社が運営する台湾最大級のガールズメディア「niusnews」は、月間利用者数500万人以上(読者は18~34歳の女性が87%)、月間閲覧数5,000万PV、Facebookファン数は110万人を超え、最新トレンド、ファッション、コスメ、エンタメ、トラベル、芸能などの幅広い情報を配信している。さらに読者へのリーチはインターネットだけに限らず、フリーペーパーの発行や数万人を動員するイベントも開催している。
台湾女性ファン組織「NIUSFANS」は、「niusnews」の読者である女性を対象に会員を募集し、登録者限定で特別な体験を提供することで、台湾における話題化と情報拡散を支援する。

 

(同社資料より)

 

今後は、①台湾進出企業向けマーケティング支援、②訪日台湾人観光客向けマーケティング支援、③新ビジネスの共同立ち上げに取り組んでいく。

 

②テストマーケティングプラットフォーム「カタパルト」
同社では「カタパルト」を、テストマーケティングを推進するプラットフォームと位置付けており、店舗接点を通じた「テスト販売」や「マーケティング分析」が可能な基盤として顧客に提供していく。

 

 

◎小売店舗に特化したAIカメラ分析ソリューションの提供
AIカメラによるリアル店舗解析ツール「SkyREC(スカイレック)」を提供するSkyREC Inc.(台湾台北市)と業務提携し、テストマーケティングサービス「カタパルト」において、AIカメラを活用したリテール店舗や期間限定のポップアップショップの顧客・行動分析の支援を開始した。

 

「SkyREC」は、世界15ヶ国で110ブランド、2,250店舗以上に導入実績があるリテール店舗分析に特化したAIカメラソリューション。
店内・外に設置したカメラの画像分析で、来店者の性別や年齢といった属性分析や店舗内の滞留や導線分析、リピート客把握などの重要指標の分析が可能である。
また、分析したデータをリテール店舗専用に開発されたダッシュボードで視覚的に分かりやすく把握し、売れる売場づくりに活用できる。

 

(同社資料より)

 

今後は、①AIカメラのマーケティング活用領域の共同開発、②動画生成の特許技術を活用し分析結果を動画で視聴可能な機能の共同開発、③クチコミと店舗内データを活用した来店促進ソリューション開発など、アジャイルメディア・ネットワークの独自ソリューションの共同開発を進めていく。

 

③パーソナライズド動画生成ソリューション「PRISM(プリズム)」
◎「PRISM」のOEM提供を開始
NECソリューションイノベータ株式会社(東京)へ、「PRISM」のOEM提供を開始した。

 

NECソリューションイノベータ社のサービス「NEC健診結果予測シミュレーション」は、過去の蓄積された定期健診データをAIで分析し、導き出した健診結果予測モデルを用いて、現状の生活をつづけた場合の将来予測や、生活を見直した場合の将来予測を提供するもの。将来像の提示による行動変容促進や高リスク者、健康課題の先回りフォローが可能となる。
今回、同シミュレーションに付加価値として「PRISM」を組込み、今までになかった革新的な健康経営推進サービスを提供することとなった。

 

「PRISM」を組込むことで、一人ひとりの健康診断結果データに応じた「その人だけの健康アドバイス」動画を自動的に生成、提供する。これにより企業の健康経営への貢献、医療機関における医療従事者の稼働負荷軽減、社員一人ひとりの健康促進への啓発を促すことができると考えている。

 

(同社資料より)

 

汎用性の高い設計に基づき様々な分野のサービスにOEM提供で組み込むことができる「PRISM」の強みを活かして、デジタルマーケティング領域にとどまらず、ヘルスケア領域のほか、フィンテック、インシュアテック関連など幅広い分野への提供を目指すとともに、海外展開も視野に入れ、より一層のサービス拡充に努めていく。

 

 

◎PRISMを活用した用途特化型サービスの提供を開始
既存の動画内に送り先の宛名テキスト及び、メッセージ画像を挿入するサービス 「e-Atena(いー!宛名)」の提供を開始した。

 

従来、一人ひとりに最適化した動画を提供するためには人数分の動画ファイルを編集・制作する必要があり、大量の顧客・取引先に対応するには莫大なコストと時間がかかることが大きな課題となっていた。
これに対し、「e-Atena」は、短時間・低コストで、既存の動画内に個別の内容を組み込み、カスタマイズした動画を自動で制作することができるサービス。
データベースから必要なデータをインポートし、既存の動画にそれぞれ違ったメッセージを組み込むことが出来るので、下図のように、人手をかけることなくビジネスの成果を高めると共に、コスト削減と業務効率化が可能である。

 

(同社資料より)

 

今後は、幅広い業界のニーズに対応できるサービスとして、各業界に精通したパートナー企業と、それぞれの業界に特化した商品開発を行っていく予定である。また、様々なユーザー向けサービスへの積極的な導入も目指していく。

 

(2)成長イメージ

アンバサダー事業の発展を基盤にカタパルト及びPRISMへ積極的に投資し収益拡大を加速させていく。

 


(同社資料より)

 

5.今後の注目点

戦略的投資を行っていくことから、利益よりもまずはトップラインの着実な伸びを期待したいところであったが、アンバサダープログラム導入件数減少に加え、事業領域拡大のための人員の割り振りも減収につながってしまったということで、残念ながら2期連続しての期初計画未達となった。
中期的な成長のための施策は豊富で特に動画は、5G時代の到来とともにマーケティングソリューションとしての価値が増大することが期待されるものの、まずは足元、今期の売上計画達成が最優先課題となろう。解約も一巡したアンバサダープログラム導入件数の進捗を注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役設置会社

取締役

4名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外3名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年4月2日

 

<基本的な考え方>
当社は、「ひとりの気持ち、ひとの気持ちを大切にしたマーケティングを考えます。」という企業理念のもと、事業の持続的な成長を通じて株主、取引先、アンバサダー、従業員、地域社会その他のステークホルダー、ひいては広く社会に貢献していくことを経営目標としております。
持続的な成長のためには、経営の効率化を図るとともに、健全で透明な経営体制を構築する必要があると考えており、コーポレート・ガバナンスの充実は当社における重要な経営課題と位置付けております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社は、コーポレートガバナンス・コードの基本原則をすべて実施しております。」と記載している。

 

 

本レポートは情報提供を目的としたものであり、投資勧誘を意図するものではありません。また、本レポートに記載されている情報及び見解は当社が公表されたデータに基づいて作成したものです。本レポートに掲載された情報は、当社が信頼できると判断した情報源から入手したものですが、その正確性・完全性を全面的に保証するものではありません。当該情報や見解の正確性、完全性もしくは妥当性についても保証するものではなく、また責任を負うものではありません。本レポートに関する一切の権利は(株)インベストメントブリッジにあり、本レポートの内容等につきましては今後予告無く変更される場合があります。投資にあたっての決定は、ご自身の判断でなされますようお願い申しあげます。

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