ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ 2019年12月期決算

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小國 勇 代表取締役社長兼CEO

オプテックスグループ株式会社(6914)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長兼CEO

小國 勇

所在地

滋賀県大津市におの浜4-7-5

決算月

12月

HP

https://www.optexgroup.co.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,376円

37,735,784株

51,924百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

30.00円

2.2%

64.20円

21.4倍

891.06円

1.5倍

*株価は2/26終値。各数値は2019年12月期決算短信より。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月

31,027

3,015

3,086

1,809

54.67

22.50

2017年12月

37,504

4,885

5,036

3,386

97.63

27.50

2018年12月

40,113

4,989

5,038

3,775

104.85

30.00

2019年12月

37,517

2,856

2,876

2,197

60.02

32.50

2020年12月(予)

40,000

3,200

3,250

2,350

64.20

30.00

*予想は会社側予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。

 

 

オプテックスグループ株式会社の2019年12月期決算概要、中期経営計画などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2019年12月期決算概要
3.2020年12月期業績見通し
4.中期経営計画
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 19年12月期の売上高は前期比6.5%減の375億17百万円。主力3事業とも減収。SICK社向け、中国向けが低調だったFA事業は2桁の減収。国内売上は同1.1%減の169億71百万円、海外売上は同10.5%減の205億46百万円だった。営業利益は同42.8%減の28億56百万円。減収効果約10億円に加え、米中貿易摩擦に伴う関税引上げ、米国向け製品を中国からベトナムへ生産移管することによる一時的なコストアップ、SS事業におけるプロダクトミックスで原価が上昇したことに加え、買収子会社の販管費増約3億円などが影響した。

     

  • 20年12月期の売上高は前期比6.6%増の400億円、営業利益は同12.0%増の32億円と増収増益の予想。MVL事業を牽引役に成長軌道への回帰を目指す。配当は前期の創立40周年記念配2.50円/株を考慮すれば前期と同じく30.00円/株を予想。予想配当性向は46.7%。

     

  • 新型コロナウィルスの影響は大半のケース同様織り込んでいない。現在約3割から4割の工場従業員が職場に戻っている状況であり、完成部品在庫はほぼ3月末までということで、今後の状況は現時点では残念ながら判断しにくい。

     

  • そのため、投資家としては中期的な方向性を判断すべきであろう。各事業の進捗を、中でもサブスクリプションモデルを導入した「画像確認ソリューション」の立ち上がりスピードを注目したい。

     

1.会社概要

世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサー事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。

 

オプテックス(株)

防犯・自動ドア等、各種センサーの開発・販売

オプテックス・エフエー(株)

光電センサー、変位センサー、産業用画像検査、計測装置の開発、販売

シーシーエス(株) 

画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売

(株)スリーエース

各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発

オプテックス・エムエフジー(株)

グループ製品の製造・電子機器受託生産サービス

ジックオプテックス(株)

汎用型光電センサーの開発、独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社

技研トラステム(株)

客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売

(株)ジーニック

画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売

オーパルオプテックス(株)

会員制スポーツクラブおよび環境体験学習プログラムの運営

FIBER SENSYS INC.(米国)

光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売

FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国)

遠隔画像監視による警備会社

RAYTEC LIMITED.(英国)

監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売

Gardasoft Vision Limited(英国)

マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売

 

【1-1. 事業内容】

事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサーを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、前期まではSS事業に含まれていた中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発を手掛ける「その他事業」に分かれる。

 

事業セグメント

事業内容

SS事業

防犯関連

主な製品は、屋内外で使われる各種センサー、ワイヤレスセキュリティシステム、LED照明制御システム等。屋外用センサーでは、世界でもトップクラスのシェアを有している。近年では、マイクロウエーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

自動ドア関連

世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサーを開発した。

主な製品は、自動ドア開閉用センサー、工場向けシャッター用センサー、ワイヤレスタッチスイッチ等。

その他

水質計測機器、交通機器(安全運転支援ツール)、客数情報システム、画像処理関連等の開発・販売

FA事業

主な製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に、海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域で販売、自社ブランドではアジア・北米と幅広い地域で販売されている。

MVL事業

画像処理用LED照明事業で高シェアを有している。業界最高の演色性を誇る自社開発の自然光LEDを用いた各種ソリューションを展開。

EMS関連

中国工場で展開する電子機器受託生産サービス

その他

スポーツクラブ運営、アプリケーション・デジタルコンテンツの開発

 

【1-2. 強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

 

ノイズ対策技術

・数々のノイズを極小化するハードウエア設計

・独自に定めた幾多の環境評価を行ない、クリアしたもののみ製品化

緻密な光学設計

・光学シミュレーションを駆使し、抜けの無い高密度エリアを実現

・小型化を追求するためのパッケージング化技術

信頼性公的規格遵守

・あらゆるグローバルスタンダードに適合、及び準拠

・各業界で定めた規格、ガイドラインへの適合、及び準拠

(CEマーキング、EN規格[TUV認定]、ANSI規格、JIS規格等)

環境配慮設計

・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現

・RoHS指令適合、無鉛はんだ化

・使用時のCO2の影響を最小化する設計

安心、安全制御

・システムの機能をダウンさせない為のセンサーの異常時や故障時の自己診断、及びフェールセーフ機能の採用

・機能を維持する為の、予防保全策の提案

独自のセンシングアルゴリズム

・ハードウエアで抑えきれないノイズの影響をカット、意図した事象のみの検出、精査、解析を図る為の独自のアルゴリズム

・フィールドでの性能を維持する為の各種自動補正機能

 

【1-3. 沿革】

1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサーを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサーは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサーでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約50%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。

 

【1-4. ROE分析】

 

11/12期

12/12期

13/12期

14/12期

15/12期

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

ROE(%)

6.0

4.6

8.2

8.6

8.7

7.4

12.6

12.3

6.8

 売上高当期純利益率(%)

5.58

3.99

6.87

7.39

7.38

5.83

9.03

9.41

5.86

 総資産回転率(回)

0.85

0.91

0.92

0.89

0.91

0.91

0.95

0.95

0.86

 レバレッジ(倍)

1.27

1.28

1.30

1.31

1.30

1.41

1.48

1.38

1.35

 

ROEは目標としている「10%以上」を達成できなかった。今期の売上高当期純利益率は前期と同じく5.9%の予想。
今期をスタートとする中期経営計画最終年に10%以上への復活を目指している。

 

【1-5. ESGの取り組み】

ESG課題に積極的に対応し企業価値の向上に努めている。

 

E::環境

SS事業(自動ドア関連)では、無駄開き抑制自動ドアセンサー「e スムースセンサー」を開発・販売している。建物の空調効率を向上させる同製品は電力消費量を約30%削減する。

また、SS事業(水質計測関連)では、以前より濁度など水質測定製品を開発・販売している。IoTを活用した水質管理が可能な同製品はグローバルで地球温暖化対策に貢献している。

S:社会

琵琶湖畔に本社を置く同社はその立地を活かし、社会貢献活動の一環として、子会社オーパルオプテックス(株)が「びわ湖体験学習」を実施している。カヌーなどのスポーツ体験や湖畔の生き物しらべなどの水環境学習に、年間約1万人が参加している。

G:ガバナンス

取締役会での活発な議論を通じた意思決定で戦略の質を高め、更なる企業価値の向上を実現するため、多様な経歴やスキルを持つ社外取締役を選任している。

また、取締役・監査等委員11名中、3分の1以上を占める4名の独立社外取締役を交え、経営のマネジメント機能とモニタリング機能のバランスを備えた経営体制を構成している。

 

2.2019年12月期決算概要

(1)業績概要 

 

18/12期

構成比

19/12期

構成比

前期比

期初予想比

売上高

40,113

100.0%

37,517

100.0%

-6.5%

-12.8%

売上総利益

22,305

55.6%

20,232

53.9%

-9.3%

-

販管費

17,316

43.2%

17,376

46.3%

+0.3%

-

営業利益

4,989

12.4%

2,856

7.6%

-42.8%

-46.1%

経常利益

5,038

12.6%

2,876

7.7%

-42.9%

-46.7%

当期純利益

3,775

9.4%

2,197

5.9%

-41.8%

-45.1%

 *単位:百万円。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。

 

減収減益
売上高は前期比6.5%減の375億17百万円。主力3事業とも減収。SICK社向け、中国向けが低調だったFA事業は2桁の減収。国内売上は同1.1%減の169億71百万円、海外売上は同10.5%減の205億46百万円だった。
営業利益は同42.8%減の28億56百万円。減収効果約10億円に加え、米中貿易摩擦に伴う関税引上げ、米国向け製品を中国からベトナムへ生産移管することによる一時的なコストアップ、SS事業におけるプロダクトミックスで原価が上昇したことに加え、買収子会社の販管費増約3億円などが影響した。

 

四半期動向

 

第4四半期(10‐12月)は前年同期比減収減益ではあったが、経常利益は大きく回復した。

 

◎平均為替レート

 

18/12期

19/12期

米ドル

110.43円

109.05円

ユーロ

130.42円

122.07円

 

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

18/12期

構成比

19/12期

構成比

前期比

期初予想比

SS事業

21,157

52.7%

19,802

52.8%

-6.4%

-10.4%

FA事業

8,548

21.3%

7,140

19.0%

-16.5%

-19.8%

MVL事業

9,484

23.6%

9,449

25.2%

-0.4%

-11.7%

EMS事業

565

1.4%

570

1.5%

+0.9%

-10.8%

その他

357

0.9%

553

1.5%

+54.9%

-15.7%

連結売上高

40,113

100.0%

37,517

100.0%

-6.5%

-12.8%

SS事業

2,789

13.2%

1,731

8.7%

-37.9%

-

FA事業

1,213

14.2%

596

8.3%

-50.9%

-

MVL事業

915

9.6%

532

5.6%

-41.9%

-

EMS事業

347

61.4%

76

13.3%

-78.1%

-

その他

7

2.0%

5

0.9%

-28.6%

-

調整額

-283

-

-86

-

-

-

連結営業利益

4,989

12.4%

2,856

7.6%

-42.8%

-

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

②セグメント・地域別動向

 

18/12期

構成比

19/12 期

構成比

前年同期比

期初予想比

SS:防犯

14,382

100.0%

13,254

100%

-7.8%

-11.8%

日本

2,377

16.5%

2,495

18.8%

+5.0%

-0.7%

AMERICAs

2,991

20.8%

2,648

20.0%

-11.5%

-13.0%

EMEA

7,407

51.5%

6,768

51.1%

-8.6%

-9.6%

アジア

1,607

11.2%

1,343

10.1%

-16.4%

-32.3%

 

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

4,455

100.0%

4,439

100.0%

-0.4%

-2.1%

日本

2,308

51.8%

2,267

51.1%

-1.8%

-3.4%

AMERICAs

1,099

24.7%

1,159

26.1%

+5.5%

+1.8%

EMEA

896

20.1%

878

19.8%

-2.0%

+0.3%

アジア

152

3.4%

135

3.0%

-11.2%

-22.9%

 

 

 

 

 

 

 

SS:その他

2,320

100.0%

2,110

100.0%

-9.1%

-16.6%

日本

1,952

84.1%

1,840

87.2%

-5.7%

-10.3%

アジア

368

15.9%

268

12.7%

-27.2%

-44.3%

 

 

 

 

 

 

 

FA

8,548

100.0%

7,140

100.0%

-16.5%

-19.8%

日本

3,763

44.0%

3,616

50.6%

-3.9%

-8.9%

AMERICAs

123

1.4%

113

1.6%

-8.1%

-28.0%

EMEA

3,218

37.6%

2,158

30.2%

-32.9%

-33.0%

アジア

1,444

16.9%

1,253

17.5%

-13.2%

-19.6%

 

 

 

 

 

 

 

MVL

9,485

100.0%

9,449

100.0%

-0.4%

-11.7%

日本

6,207

65.4%

5,947

62.9%

-4.2%

-9.3%

AMERICAs

796

8.4%

844

8.9%

+6.0%

-3.9%

EMEA

1,342

14.1%

1,529

16.2%

+13.9%

-26.7%

アジア

1,140

12.0%

1,129

11.9%

-1.0%

-4.7%

 

 

 

 

 

 

 

EMS事業

565

100.0%

571

100.0%

+1.1%

-10.6%

日本

194

34.3%

252

44.1%

+29.9%

+29.9%

アジア・オセアニア

371

65.7%

319

55.9%

-14.0%

-28.3%

*単位:百万円。

 

◎SS事業
(防犯関連)
日本 :警備会社向けおよび空港など大型重要施設向け屋外警戒用センサー販売が順調に推移し増収。
AMERICAs :中南米地域での大型重要施設向けセンサーの販売が伸び悩み減収。
EMEA :英国の販売子会社による南欧地域での一般住宅向けセンサーの販売が伸び悩み減収。
アジア :韓国販売子会社による警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。

 

(自動ドア関連)
日本 :小売業界の新規出店抑制が影響し、自動ドア用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :北米大手顧客向け自動ドア用センサー販売が順調に推移し、増収
EMEA :欧州大手顧客向け自動ドア用センサー販売が堅調に推移したものの為替の影響により減収。

 

◎FA事業
日本 :半導体、二次電池、電子部品業界向けの販売が伸び悩み減収。
EMEA :世界経済における景況感の悪化の拡大により、OEM先への販売が伸び悩み減収。
アジア:中国の景気減速に伴う設備投資需要の鈍化により、変位センサーの販売が伸び悩み減収。

 

◎MVL照明事業
日本 :米中貿易摩擦の長期化の影響で、半導体、スマートフォン業界において投資の抑制が続き減収。
AMERICAs :スマートフォン業界向け大型案件の受注で増収。
EMEA :2018年4Qに子会社化したフランスの画像検査用LED照明メーカーが売上に寄与し増収。
アジア:中国での投資鈍化が影響し、現地子会社の売上が伸び悩み横這い。

 

(3)財政状態とキャッシュ・フロー

◎主要BS

 

18/12末

19/12末

 

18/12末

19/12末

流動資産

29,530

30,027

流動負債

6,470

8,066

 現預金

11,563

12,396

 仕入債務

1,997

1,754

 売上債権

8,938

8,700

 短期借入金

1,409

3,368

 たな卸資産

7,339

7,217

固定負債

4,477

3,528

固定資産

13,760

13,939

 長期借入金

1,706

433

 有形固定資産

4,678

5,792

 退職給付に係る負債

1,219

1,248

 無形固定資産

4,243

3,829

負債

10,945

11,595

 投資その他の資産

4,837

4,317

純資産

32,345

32,372

資産合計

43,291

43,967

負債・純資産合計

43,291

43,967

*単位:百万円

 

現預金、有形固定資産増で資産合計は前年末比6億76百万円増加の439億67百万円。
短期借入金の増加などで負債合計は同6億50百万円増加の115億95百万円。
利益剰余金は増加したが、自己株式の増加等で純資産はほぼ変わらずの323億72百万円。
自己資本比率は前期末から1.3ポイント低下し73.2%。

 

◎キャッシュ・フロー

 

18/12期

19/12期

増減

営業CF

1,955

3,621

+1,666

投資CF

-1,588

-992

+596

フリーCF

367

2,629

+2,262

財務CF

-762

-1,721

-959

現金同等物残高

11,563

12,396

+833

*単位:百万円

 

たな卸資産の減少などで営業CFのプラス幅は拡大した一方、投資CFのマイナス幅は縮小し、フリーCFのプラス幅は拡大した。長期借入による収入が無くなり財務CFのマイナス幅は拡大。
キャッシュポジションは上昇した。

 

(4)トピックス

◎社外取締役候補者を選任
2020年2月、下記3名を社外取締役候補として選任した。2020年3月26日開催予定の定時株主総会において正式に決議される予定である。

 

氏名

主要略歴(現任)

吉田 和弘氏

パナソニック株式会社エコソリューションズ社技術本部長付エネルギー担当

青野 奈々子氏

株式会社GEN代表取締役社長、株式会社ミスミグループ本社社外監査役、日本製紙株式会社社外監査役

酒見 康史氏

弁護士。シーシーエス株式会社監査役、オプテックスグループ株式会社取締役(監査等委員でない)

*吉田 和弘氏、青野 奈々子氏は監査等委員でない社外取締役、酒見 康史氏は監査等委員である社外取締役として選任。

 

吉田和弘、青野奈々子の両氏は、(株)東京証券取引所の定めに基づく独立役員の要件及びオプテックスグループ(株)が定める独立性基準を満たしており、両氏が新たに選任された場合は、(株)東京証券取引所が定める独立役員として届け出る予定。
酒見康史氏は、(株)東京証券取引所の定めに基づく独立役員の要件及びオプテックスグループ(株)が定める独立性基準を満たしており、同氏が新たに選任された場合は、引き続き(株)東京証券取引所が定める独立役員として届け出る予定。

 

3.2020年12月期業績予想

(1)業績概要

 

19/12月期

対売上比

20/12月期(予)

対売上比

前期比

売上高

37,517

100.0%

40,000

100.0%

+6.6%

営業利益

2,856

7.6%

3,200

8.0%

+12.0%

経常利益

2,876

7.7%

3,250

8.1%

+13.0%

当期純利益

2,197

5.9%

2,350

5.9%

+7.0%

*単位:百万円。

 

増収増益。MVL事業を牽引役に成長軌道への回帰を目指す。
売上高は前期比6.6%増の400億円、営業利益は同12.0%増の32億円を予想。
全セグメントとも増収を計画。2ケタ増収のMVL事業が牽引役となる。
配当は前期の創立40周年記念配2.50円/株を考慮すれば前期と同じく30.00円/株を予想。予想配当性向は46.7%。

 

(2)セグメント・地域別動向

 

19/12期

構成比

20/12期(予)

構成比

前期比

SS事業

19,802

52.8%

20,782

52.0%

+4.9%

FA事業

7,140

19.0%

7,588

19.0%

+6.3%

MVL事業

9,449

25.2%

10,456

26.1%

+10.7%

EMS事業

570

1.5%

591

1.5%

+3.5%

その他

553

1.5%

583

1.5%

+5.2%

連結売上高

37,517

100.0%

40,000

100.0%

+6.6%

*単位:百万円。

 

 

19/12期

構成比

20/12 期(予)

構成比

前期比

SS:防犯

13,254

100%

13,682

100.0%

+3.2%

日本

2,495

19%

2,663

19.5%

+6.7%

AMERICAs

2,648

20%

2,836

20.7%

+7.1%

EMEA

6,768

51%

6,755

49.4%

-0.2%

アジア

1,343

10%

1,428

10.4%

+6.3%

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

4,439

100.0%

4,659

100.0%

+5.0%

日本

2,267

51.1%

2,336

50.1%

+3.0%

AMERICAs

1,159

26.1%

1,221

26.2%

+5.3%

EMEA

878

19.8%

937

20.1%

+6.7%

アジア

135

3.0%

165

3.5%

+22.2%

 

 

 

 

 

 

SS:その他

2,110

100.0%

2,441

100.0%

+15.7%

日本

1,840

87.2%

2,092

85.7%

+13.7%

アジア

268

12.7%

348

14.3%

+29.9%

 

 

 

 

 

 

FA

7,140

100.0%

7,588

100.0%

+6.3%

日本

3,616

50.6%

3,926

51.7%

+8.6%

AMERICAs

113

1.6%

149

2.0%

+31.9%

EMEA

2,158

30.2%

2,080

27.4%

-3.6%

アジア

1,253

17.5%

1,433

18.9%

+14.4%

 

 

 

 

 

 

MVL

9,449

100.0%

10,456

100.0%

+10.7%

日本

5,947

62.9%

6,308

60.3%

+6.1%

AMERICAs

844

8.9%

1,008

9.6%

+19.4%

EMEA

1,529

16.2%

1,886

18.0%

+23.3%

アジア

1,129

11.9%

1,254

12.0%

+11.1%

 

 

 

 

 

 

EMS事業

571

100.0%

591

100.0%

+3.5%

日本

252

44.1%

247

41.8%

-2.0%

アジア・オセアニア

319

55.9%

344

58.2%

+7.8%

*単位:百万円。

 

4.中期経営計画

新たに今期を初年度とする3年間の中期経営計画を打ち出した。
「ベンチャースピリット溢れる企業集団を目指す!新しいことをやってみよう!」との企業理念の下、各事業において「ビジネスモデル変革への挑戦」に取り組み、以下のような経営目標達成を目指す。

 

中期連結経営目標

2022年度売上高営業利益率15%達成を目指す

収益構造変革と一人当たり生産性向上を図る

連結売上高10%成長を持続し、2022年度500億円へ再チャレンジ

 

 

(1)各セグメントにおける取り組み

①SS事業の挑戦:「モノ売り」から「コト売り」への変革
今までは良い性能・品質・仕様の製品を提供することが中心であったが、顧客・ユーザーは製品が欲しいのではなくその製品を用いた課題解決「ソリューション・サービス」を欲しているとの認識の下、2つの成長戦略を掲げている。

 

【成長戦略1:犯罪を未然に防ぐ屋外事前防犯の普及「画像確認ソリューション」】
(1)アラームモニタリングの市場規模と現状・課題
屋外センサーを用いたアラームモニタリングの契約件数は、全世界で9,000万件以上。うち、北米4,000万件、EMEA2,000万件(うち、英国300万件)と北米と英国でほぼ半数を占めている。

 

ただ、海外では多数導入されているアラームモニタリングではあるが、警備通報の95%は誤報という。ユーザーの機械操作ミスが圧倒的に多いが、屋外センサーの誤動作のケースもある。

 

現在のアラームモニタリングにおいては下記の図のように、センサーからのアラーム信号と監視カメラからのカメラ映像が連動することなくモニタリング会社に送信されている。
このため、モニタリング会社はアラーム信号を受信しても現場の映像を確認することなくユーザーや警察へ通報することとなり、これが誤報の原因となっている。
また、米国では、モニタリング会社から通報を受けるのは警察であるが、誤報による出動の場合はユーザーが罰金を支払う義務があるなど、実際の稼働には様々な課題がある。

 

(同社資料より)

 

(2)画像確認システムの概要
屋外センサーで世界的に高い評価・信頼を得ている同社は、こうした誤報問題が解決できれば屋外アラームモニタリングを普及させ、同市場の拡大に繋がると考え、新たなアラームモニタリングシステムを開発することとした。

 

①仕組み
新たなシステムではアラームモニタリングシステムと監視カメラシステムを連動させるゲートウェイを設置する。
既存システムにゲートウェイとオペレーションソフトを増設することでモニタリング会社は常にアラーム信号とリンクしたカメラ映像を受信できるため、誤報の発生率を大幅に引き下げることができる。

 

(同社資料より)

 

同システムは、戦略的提携先である米国「チェクト社」の画像確認ソリューションを組み入れたゲートウェイ利用することで実現した。
チェクト社は2014年に設立されたベンチャー企業で、CEOは警備会社のオーナー兼CEOでもあるため、警備業界に関する知識が深い。
このため、警備会社の業務経験を元に開発された現場ニーズに適したソリューションを提供することができる。また、高度なITスキルを必要とせず、業界標準規格のネットワークカメラに接続可能なシステムを構築しているほか、無料の使いやすいオペレーションソフトを提供していることも強みである。

 

②ビジネスモデル
オプテックスグループは、北米及び英国で同システムを販売する独占的権利を有しており、ゲートウェイを始めとした単品売りだけではなく、システムの提供によるサブスクリプション型課金ビジネスを展開する。
低コストでの取り付けが可能で誤報の可能性の低い同システムはユーザー、モニタリング会社、警察を含むすべての関係者にメリットがあると考えており、WIN-WINなビジネスモデルの普及を目指していく。

 

③ターゲットと数値目標
北米・EMEA地域において、商業施設・事務所、高級住宅などハイエンド層をターゲットに同システムを提供。
2023年累計で25億円程度の売上高を目指している。

 

【成長戦略2:検知対象は「人」から「モノ」へ:「車両検知用センサー」と「満空管理ソリューション」】
便利で安全な車社会の実現を目指し、2つの製品、ソリューションを提供する。

 

(1)「車両検知用センサー」
コインパーキング向けに地中埋設不要の「車両検知用センサー」を開発・販売した。
埋設が不要なため施工期間を半分に短縮できることに加え、メンテナンスの手間とコストも削減できる。
駐車場機器メーカーとのタイアップにより、駐車場運営会社へ販売する。 

 

(2)「満空管理ソリューション」
駐車場の満空情報を把握できる「満空管理ソリューション」を提供する。
ワイヤレス車両検知センサーにより駐車場の混雑状況や空き車室の場所を把握して、満空情報をクラウドで管理。
ドライバーは遠隔地でも状況を知ることができ、利便性は大幅に向上する。

 

(同社資料より)

 

2022年、10億円程度の売上高を目標としている。

 

【成長戦略3:検知対象は「人」から「モノ」へ:「衛生管理ソリューション」】
キッコーマンバイオケミファ株式会社へのOEMにより、衛生状態モニタリングソリューションを提供する。
センサーにより、手指・まな板・調理台等の洗浄度を検査し、結果を確認。食品製造現場等様々な場所に潜むリスクを見える化する。
測ったその場で結果がわかるため、衛生管理者は一括管理・分析に加え、管理コストの低減や時間短縮が可能である。
様々な現場の衛生管理に貢献する。

 

(同社資料より)

 

②FA事業の挑戦:「高機能製品の強化」と「インダストリー4.0対応」
同社の強みである画像センサーおよび変位センサ―に注力する。
画像センサーに関しては、ほぼ未着手の海外市場開拓を進める。
変位センサ―に関しては、能力増強し今期中に業界最高レベルの新製品を投入する。5Gおよびロボット関連需要の取り込みを図る。

 

「高機能製品の強化」

(同社資料より)

 

「インダストリー4.0対応」
センサーの一元管理を行いインダストリー4.0に対応する「IO-Linkセンサー」と「IO-Linkゲートウェイ」を発売する。
センサと上位の制御システムとの間で各種データ交換を双方向に行える通信技術であるIO-Linkにより、各種機器の状況を遠隔で把握し、耐久期限を予知したり、故障時に最短で復旧したりできる。
ドイツNo1センサーメーカーであるSICK社との協業を活用し普及を促進する。

 

(同社資料より)

 

③MVL事業の挑戦:「画像検査用照明メーカー」から「トータルソリューションベンダー」へ
今回の中期経営計画においては、同事業を牽引役と位置付けている。
同事業を担うシーシーエス株式会社では、「ユーザーは照明電源が欲しいのではなく「見える!」,「出来る!」が欲しい」との基本アイデアの下、照明、電源に加え、カメラ、レンズを付加したソリューションの提供に加え、更にボード、画像処理ソフト、AI、ロボットを組み合わせたさらに拡張したソリューションの構築、提案ステージの引き上げを目指している。
価格競争に陥らないためにもスピードが重要と考えている。

 

(同社資料より)

 

また、AIやロボットの活用により、2,500億円といわれる目視検査市場の開拓も目指している。

 

5.今後の注目点

新型コロナウィルスの影響は大半のケース同様織り込んでいない。現在約3割から4割の工場従業員が職場に戻っている状況であり、完成部品在庫はほぼ3月末までということで、今後の状況は現時点では残念ながら判断しにくい。
そのため、投資家としては中期的な方向性を判断すべきであろう。
各事業の進捗を、中でもサブスクリプションモデルを導入した「画像確認ソリューション」の立ち上がりスピードを注目したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2019年3月28日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主、投資家をはじめ、顧客、社会からの信頼を獲得しつつ、継続的に企業価値を向上させることが最大の使命であると認識しております。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、経営の透明性向上と、公正かつ迅速な意思決定を伴う経営システムの維持及び経営監視機能の強化を目指しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>

原則

開示内容

【補充原則4-11-1.取締役会の全体としてのバランス、多様性及び規模】

当社はこれまで、性別・国籍にとらわれることなく取締役候補者を選定しており、結果として現在は女性、外国人の取締役は選任しておりません。

しかしながら、当社の取締役会は、企業経営・経営管理、技術開発、生産、営業販売、海外での勤務経験、会計並びに法務(弁護士の資格等)の専門性等を有効に活用する取締役(監査等委員でない。)7名(その員数を9名以内としております。)と、大企業での経営経験並びに監査経験、公認会計士・税理士の資格を有する等、高い見識と知見を有する監査等委員である取締役4名(その員数は4名以内としております。)で構成されており、中長期的な当社の経営戦略を推し進めるうえで、現状、当社及び当社グループの規模等を勘案し、適切な構成バランスであると考えております。

 なお、多様性や専門性のバランスについては今後とも引き続き最適化に向けて検討を進めてまいります。

 

 

<コーポレートガバナン・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

当社は、当社グループの事業戦略上において、取引関係の強化と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、取締役会での審議・決議を経て取得し、保有いたします。また、保有する株式につきましては、毎年取締役会においてその意義について検証を行い、目的とする合理的価値が乏しいと判断した場合には、市場動向等を勘案して売却し、縮減に努めております。

 

 現在当社が保有する政策保有上場株式 : 1銘柄 34百万円(貸借対照表計上額)

 

 なお、保有する株式の議決権行使については、当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するか、株主価値が大きく毀損されないかを判断基準として個別に精査し、総合的に判断して賛否を決定します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IR部門を設置しており、株主の皆様との積極的かつ建設的な対話をなし得るよう、当社の経営方針や経営状況について判りやすい説明をするよう努めております。また、IR担当者と担当役員は、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を計画的に実施しており、機関投資家からの面談には随時対応しております。

定時株主総会においては、多様な株主様のご出席を賜われるよう会場を設定して、その終了後には、今後の当社方針をご理解いただけるように「株主説明会」「株主懇親会」を実施しております。

また昨年から、株主様がより一層便利にお越しいただけるよう、総会会場をJR京都駅ビル内のホテルでの開催に変更いたしました。

 

 

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