ブリッジレポート
(6914) オプテックスグループ株式会社

プライム

ブリッジレポート:(6914)オプテックスグループ 2020年12月期第1四半期決算

ブリッジレポートPDF

 

小國 勇 代表取締役社長兼CEO

オプテックスグループ株式会社(6914)

 

 

企業情報

市場

東証1部

業種

電気機器(製造業)

代表取締役社長兼CEO

小國 勇

所在地

滋賀県大津市におの浜4-7-5

決算月

12月

HP

https://www.optexgroup.co.jp/

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

1,237円

37,735,784株

46,679百万円

6.8%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

未定

-

未定

-

891.06円

1.5倍

*株価は5/15終値。発行済株式数は2020年12月期第1四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。今期予想は新型コロナウイルスの影響により現段階において合理的に算定することが困難な状況であることから未定。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年12月

31,027

3,015

3,086

1,809

54.67

22.50

2017年12月

37,504

4,885

5,036

3,386

97.63

27.50

2018年12月

40,113

4,989

5,038

3,775

104.85

30.00

2019年12月

37,517

2,856

2,876

2,197

60.02

32.50

2020年12月(予)

-

-

-

-

-

-

*当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下、同様。18年4月1日付で1:2の株式分割を実施。EPS、DPSは遡及修正。
今期予想は新型コロナウイルスの影響により現段階において合理的に算定することが困難な状況であることから未定。

 

オプテックスグループ株式会社の2020年12月期第1四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年12月期第1四半期決算概要
3.2020年12月期業績見通し
4.コロナ危機収束後の市場変化への取り組み
5.今後の注目点
<参考:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年12月期第1四半期の売上高は前年同期比5.2%減の88億1百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で部品納入遅延が発生し、一部で生産が滞った。都市封鎖、移動制限等により営業活動が停滞し、主力市場であるヨーロッパでの販売が大きな影響を受けた。SS事業、FA事業が減収。国内事業は同1.1%減収の40億58百万円、海外事業は同8.5%減収の47億43百万円だった。営業利益は同24.2%減の5億55百万円。販管費は減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

     

  • 新型コロナウイルス感染症拡大により厳しい状況が続いている。今後の同感染症の拡大規模や収束時期が見通せない状況下では合理的な業績予想の算定が困難であるため、2020年12月期上期及び通期業績予想、配当予想を一旦未定とすることとした。

     

  • 新型コロナウイルスの影響をどの程度受けるかは現時点では読み難く、短期的には毎四半期ごとの開示をフォローするよりほかはないだろう。短期的には、人的被害が大きく、外出規制等も日本より厳しい海外における事業がどの程度のスピートで回復していくのかを注目したい。

     

  • 一方中長期的には、社会的課題の解決による業績拡大や価値創造というストーリーが明確な同社のESGに関する取り組みにも期待したい。

     

1.会社概要

世界シェア40%を誇る屋外用防犯センサーや世界シェア30%・国内シェア50%の自動ドアセンサーを中心に、環境関連製品等の製造・販売も手掛けるオプテックス株式会社を中心とした持株会社。産業機器用センサー事業を手掛けるオプテックス・エフエー(株)、画像処理用LED照明事業で世界シェアトップのシーシーエス(株)、各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツ開発等を得意とする(株)スリーエース、グループ製品の製造を担うオプテックス・エムエフジー(株)、光ファイバー侵入検知システムを手掛けるファイバーセンシス社(米国)、カメラ補助照明で50%の世界トップシェアを有するレイテック社(英国)等の有力子会社を有する。
2019年12月末現在、海外26社を含む世界80拠点で事業を展開している。

 

オプテックス(株)

防犯・自動ドア等、各種センサーの開発・販売

オプテックス・エフエー(株)

光電センサー、変位センサー、産業用画像検査・計測装置の開発、販売

シーシーエス(株) 

画像処理用LED照明装置やシステムの開発、製造、販売

(株)スリーエース

各種システム及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発

オプテックス・エムエフジー(株)

グループ製品の製造・電子機器受託生産サービス

ジックオプテックス(株)

汎用型光電センサーの開発、独SICK AG社とオプテックス・エフエー(株)の合弁会社

技研トラステム(株)

客数情報システム、来場者計数装置等の開発、製造、販売

(株)ジーニック

画像処理関連のIC、LSIの受託開発ならびにFAシステムの設計、販売

オーパルオプテックス(株)

会員制スポーツクラブおよび環境体験学習プログラムの運営

FIBER SENSYS INC.(米国)

光ファイバー侵入検知システム等の開発、製造、販売

FARSIGHT SECURITY SERVICES LTD.(英国)

遠隔画像監視による警備会社

RAYTEC LIMITED.(英国)

監視カメラ用補助照明の開発、製造、販売

Gardasoft Vision Limited(英国)

マシンビジョン用LED照明コントローラの開発、製造、販売

 

 

【1-1. 事業内容】

事業は、主力の防犯関連および自動ドア関連などからなる「SS(センシングソリューション)事業」、産業機器用センサーを手掛ける「FA(ファクトリーオートメーション)事業」、画像処理用LED照明装置及びシステムを提供する「MVL(マシンビジョンライティング)事業」、前期まではSS事業に含まれていた中国で電子機器受託生産サービスを提供する「EMS事業」、スポーツクラブ運営及びアプリケーション・デジタルコンテンツの開発を手掛ける「その他事業」に分かれる。

 

事業セグメント

事業内容

SS事業

防犯関連

主な製品は、屋内外で使われる各種センサー、ワイヤレスセキュリティシステム、LED照明制御システム等。屋外用センサーでは、世界でもトップクラスのシェアを有している。近年では、マイクロウエーブ技術を活用した車両検知センサーの開発にも取り組んでいる。

自動ドア関連

世界で初めて遠赤外線式自動ドア用センサーを開発した。

主な製品は、自動ドア開閉用センサー、工場向けシャッター用センサー、ワイヤレスタッチスイッチ等。

その他

水質計測機器、交通機器(安全運転支援ツール)、客数情報システム、画像処理関連等の開発・販売

FA事業

主な製品は、工場での生産ラインに使用される品質管理及び自動化のための光電センサー、変位センサー、画像センサー、LED照明等。国内では食品・医薬品業界を中心とした幅広い業界における生産ラインの品質管理に、海外では産業用センサーのトップシェアを誇るSICK AG社(独)との技術提携により、ヨーロッパ全域でOEM販売、自社ブランドでは国内・アジア・北米と幅広い地域で販売されている。

MVL事業

画像処理用LED照明事業で世界でもトップクラスのシェアを有している。周辺機器、ソフトウエア関連企業などと連携し、「ベストソリューション」を提供。

EMS関連

中国工場で展開する電子機器受託生産サービス

その他

スポーツクラブ運営、アプリケーション・デジタルコンテンツの開発

 

【1-2. 強みと特長:センシングに関する多様な技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズム】

確実で安定したセンシングの実現には、複数の要素技術とノウハウ、そして物理的変化を制御する「アルゴリズム」が不可欠。同社は用途に適した技術・ノウハウと独自のセンシングアルゴリズムを強みに世界トップクラスのシェアを有している。

 

ノイズ対策技術

・数々のノイズを極小化するハードウエア設計

・独自に定めた幾多の環境評価を行ない、クリアしたもののみ製品化

緻密な光学設計

・光学シミュレーションを駆使し、抜けの無い高密度エリアを実現

・小型化を追求するためのパッケージング化技術

信頼性公的規格遵守

・あらゆるグローバルスタンダードに適合、及び準拠

・各業界で定めた規格、ガイドラインへの適合、及び準拠

(CEマーキング、EN規格[TUV認定]、ANSI規格、JIS規格等)

環境配慮設計

・使用制限物質15種、自主管理物質10種を定め、全構成部品の無害化を実現

・RoHS指令適合、無鉛はんだ化

・使用時のCO2の影響を最小化する設計

安心、安全制御

・システムの機能をダウンさせない為のセンサーの異常時や故障時の自己診断、及びフェールセーフ機能の採用

・機能を維持する為の、予防保全策の提案

独自のセンシングアルゴリズム

・ハードウエアで抑えきれないノイズの影響をカット、意図した事象のみの検出、精査、解析を図る為の独自のアルゴリズム

・フィールドでの性能を維持する為の各種自動補正機能

 

 

【1-3. 沿革】

1979年に設立され、その翌年には世界初の遠赤外線利用の自動ドア用センサーを開発した。当時の自動ドアはゴムマットの足踏み式が主流であり、遠赤外線利用の自動ドア用センサーは極めて画期的な製品。メンテナンスや施工対応力でも他社の追従を許さず、創業3年目には自動ドアセンサーでトップシェアを有するに至った(現在、国内シェア約50%)。業容の拡大を背景に91年に店頭登録(JASDAQ上場に相当)。2001年の東証2部上場を経て、03年には東証1部に指定替えとなった。
近年では、画像処理技術をコアとしたソリューションやハイエンド防犯システムの強化に取り組んでおり、08年に画像処理関連のIC・LSIの受託開発等を手掛ける(株)ジーニックを子会社化。10年には欧米各国の重要施設向けハイエンド防犯システム(光ファイバー侵入検知システム)で豊富な実績を持つファイバーセンシス社(米国)を、12年には大型重要施設に設置されるハイエンド防犯システム向けのカメラ補助照明を手がけるレイテック社(英国)を、それぞれ子会社化した。 また2016年5月には画像処理用LED照明で世界シェアNO.1のシーシーエス株式会社(6669、JASDAQ)を子会社化(18年7月に完全子会社化)した。次世代経営への移管やグループシナジーの追求を目指し、2017年1月1日付で持株会社体制へ移行した。

 

【1-4. ROE分析】

 

11/12期

12/12期

13/12期

14/12期

15/12期

16/12期

17/12期

18/12期

19/12期

ROE(%)

6.0

4.6

8.2

8.6

8.7

7.4

12.6

12.3

6.8

 売上高当期純利益率(%)

5.58

3.99

6.87

7.39

7.38

5.83

9.03

9.41

5.86

 総資産回転率(回)

0.85

0.91

0.92

0.89

0.91

0.91

0.95

0.95

0.86

 レバレッジ(倍)

1.27

1.28

1.30

1.31

1.30

1.41

1.48

1.38

1.35

 

ROEは「10%以上」を目標としており、今期をスタートとする中期経営計画最終年に10%以上への復活を目指している。

 

【1-5. ESGの取り組み】

多様なステークホルダーとの信頼関係構築が企業価値向上のために不可欠と考える同社は、ESG情報開示を更に充実させる必要があると考えウェブサイトに「ESG情報」を掲載しているほか、(株)インベストメントブリッジを通じ「ESG Bridge Report」を発行した。
https://www.optexgroup.co.jp/esg/stakeholder.html

 

持続的な成長のためのマテリアリティを始めて特定したほか、今後の課題と取り組みにも言及している。
https://www.bridge-salon.jp/report_bridge/archives/2020/05/200512_6914.html

 

2.2020年12月期第1四半期決算概要

(1)業績概要

 

19/12期1Q

構成比

20/12期1Q

構成比

前年同期比

売上高

9,285

100.0%

8,801

100.0%

-5.2%

売上総利益

5,054

54.4%

4,767

54.2%

-5.7%

販管費

4,321

46.5%

4,212

47.9%

-2.5%

営業利益

732

7.9%

555

6.3%

-24.2%

経常利益

704

7.6%

604

6.9%

-14.2%

四半期純利益

499

5.4%

356

4.0%

-28.7%

 *単位:百万円。四半期純利益は親会社株主に帰属する四半期純利益。以下、同様。

 

減収減益
売上高は前年同期比5.2%減の88億1百万円。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で部品納入遅延が発生し、一部で生産が滞った。都市封鎖、移動制限等により営業活動が停滞し、主力市場であるヨーロッパでの販売が大きな影響を受けた。
SS事業、FA事業が減収。国内事業は同1.1%減収の40億58百万円、海外事業は同8.5%減収の47億43百万円だった。    
営業利益は同24.2%減の5億55百万円。販管費は減少したが、減収の影響を吸収できなかった。

 

◎四半期動向

 

 

◎平均為替レート

 

19/12期1Q

20/12期1Q

米ドル

110.20円

108.92円

ユーロ

125.15円

120.11円

 

 

(2)セグメント別動向

①セグメント別売上高・利益動向

 

19/12期1Q

構成比

20/12期1Q

構成比

前年同期比

SS事業

4,989

53.7%

4,695

53.3%

-5.9%

FA事業

1,755

18.9%

1,562

17.7%

-11.0%

MVL事業

2,305

24.8%

2,325

26.4%

+0.9%

EMS事業

115

1.2%

98

1.1%

-14.5%

その他

119

1.3%

119

1.4%

0.0%

連結売上高

9,285

100.0%

8,801

100.0%

-5.2%

SS事業

398

8.0%

349

7.4%

-12.3%

FA事業

172

9.8%

106

6.8%

-38.4%

MVL事業

158

6.9%

152

6.5%

-3.8%

EMS事業

-22

-

-61

-

-

その他

-12

-

-5

-

-

調整額

38

-

14

-

-

連結営業利益

732

7.9%

555

6.3%

-24.2%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高利益率

 

②セグメント・地域別動向

 

19/12期1Q

構成比

20/12期1Q

構成比

前年同期比

SS:防犯

3,331

100.0%

3,221

100.0%

-3.3%

日本

574

17.2%

585

18.2%

+1.9%

AMERICAs

635

19.1%

588

18.3%

-7.4%

EMEA

1,780

53.4%

1,738

54.0%

-2.4%

アジア

342

10.3%

310

9.6%

-9.4%

 

 

 

 

 

 

SS:自動ドア

1,088

100.0%

1,042

100.0%

-4.2%

日本

515

47.3%

510

48.9%

-1.0%

AMERICAs

284

26.1%

282

27.1%

-0.7%

EMEA

260

23.9%

227

21.8%

-12.7%

アジア

29

2.7%

23

2.2%

-20.7%

 

 

 

 

 

 

SS:その他

571

100.0%

433

100.0%

-24.2%

日本

534

93.5%

383

88.5%

-28.3%

アジア

37

6.5%

50

11.5%

+35.1%

 

 

 

 

 

 

FA

1,756

100.0%

1,562

100.0%

-11.0%

日本

839

47.8%

900

57.6%

+7.3%

AMERICAs

31

1.8%

23

1.5%

-25.8%

EMEA

623

35.5%

366

23.4%

-41.3%

アジア

263

15.0%

273

17.5%

+3.8%

 

 

 

 

 

 

MVL

2,305

100.0%

2,326

100.0%

+0.9%

日本

1,491

64.7%

1,494

64.2%

+0.2%

AMERICAs

192

8.3%

200

8.6%

+4.2%

EMEA

394

17.1%

343

14.7%

-12.9%

アジア

228

9.9%

289

12.4%

+26.8%

 

 

 

 

 

 

EMS事業

115

100.0%

98

100.0%

-14.8%

日本

31

27.0%

67

68.4%

+116.1%

アジア・オセアニア

84

73.0%

31

31.6%

-63.1%

*単位:百万円。

 

◎SS事業
(防犯関連)
日本 :警備会社向けおよび大型重要施設向け屋外警戒用センサー販売が順調に推移し増収。
AMERICAs :一般住宅及び事業所向けの販売は堅調に推移したが、大型重要施設向け屋外警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。
EMEA :英国の販売子会社による南欧地域での一般住宅向けセンサーの販売が伸び悩み減収。
アジア :韓国販売子会社による警戒用センサーの販売が伸び悩み減収。

 

(自動ドア関連)
日本 :小売業界の新規出店抑制が影響し、自動ドア用センサー販売が伸び悩み減収。
AMERICAs :北米大手顧客向け自動ドア用センサー販売が順調に推移したが、為替の影響で減収
EMEA :欧州大手顧客向け自動ドア用センサー販売が伸び悩み減収。

 

◎FA事業
日本 :食品業界向けに、画像センサー等の販売が堅調に推移し増収。
EMEA :生産遅延が発生し、OEM先への販売が伸び悩み大幅減収。
アジア:中国で営業活動の停滞があったものの、変位センサー等の販売が堅調に推移し増収。

 

◎MVL照明事業
日本 :経済活動に制約がある中、5G関連投資向けの販売が牽引し増収。
AMERICAs :北米地域でのスマートフォン業界向けの継続案件受注により増収。
EMEA :新型コロナによるフランス子会社の活動停止の影響で減収。
アジア:中国で5G関連投資向けの販売が拡大し大幅増収。

 

(3)財政状態

◎主要BS

 

19/12末

20/3末

 

19/12末

20/3末

流動資産

30,027

29,314

流動負債

8,066

7,956

 現預金

12,396

12,450

 仕入債務

1,754

1,893

 売上債権

8,700

8,068

 短期借入金

3,368

3,361

 たな卸資産

7,217

7,101

固定負債

3,528

3,435

固定資産

13,939

13,836

 長期借入金

433

432

 有形固定資産

5,792

5,845

 退職給付に係る負債

1,248

1,252

 無形固定資産

3,829

3,777

負債

11,595

11,391

 投資その他の資産

4,317

4,213

純資産

32,372

31,758

資産合計

43,967

43,150

負債・純資産合計

43,967

43,150

*単位:百万円

 

売上債権減などで資産合計は前年末比8億17百万円減少の431億50百万円。
負債合計は同2億4百万円減少の113億91百万円。
為替換算調整勘定のマイナス額拡大などで純資産は同6億14百万円減の317億58百万円。
自己資本比率は前期末と変わらず73.2%。

 

(4)トピックス

◎自動ドア用非接触スイッチ「Clean Switch」を発売
2020年3月、オプテックス株式会社が、食品工場や医療施設のドアや倉庫の間仕切りやシャッターの開閉に利用する非接触スイッチ「Clean Switch」を発売した。

 

ドアノブやスイッチは、不特定多数の人が触れるためウイルスや細菌が付着しやすい。衛生への意識が高まる中、触れることなく扉を開閉することができる自動ドアや非接触スイッチは、利用者の利便性の向上だけでなく、衛生管理用途としても普及が進んでいる。
「Clean Switch」は、10〜50センチメートルの範囲に手を近づけることでドアが開く非接触スイッチ。湿気が多い場所や結露しやすい環境でも安定して動作する検出性能と、本体の洗浄を可能とする業界最高レベルの防水性能を備えている。
また、リング状の動作表示LEDを表面に配し、手をかざした時に表示灯の変化を確認できる高い視認性を実現するとともに、さまざまな現場や建材・空間になじむデザイン性を有している。
非接触スイッチのラインアップの拡充により、公共施設やオフィス、商業施設だけでなく、食品工場や医療施設などあらゆる現場での衛生管理に役立てることができる。

 

◎「ワイヤレス満空管理システム」の販売を開始
2020年2月よりオプテックス株式会社が販売を開始した駐車場の満空情報を可視化するワイヤレス満空管理システム「ViiK Parking System」が神奈川県下で医院を運営するらいおん歯科で採用された。

 

らいおん歯科では、患者の多くが車で来院するため、駐車場の空き状況の問い合わせが頻発するとともに、駐車場の出入りや空き待ちで渋滞が生じるなど、医院駐車場の管理運営において課題が発生していた。
「ViiK Parking System」は、駐車場内の利用状況を計測する車両検知センサーと表示灯を連動させ、来院した患者が現場付近で満空状況がわかるシステム。車両検知センサーは、ワイヤレスのため大がかりな工事が不要で、短期間で駐車場の満空表示の導入を実現することができた。

 

オプテックスグループは、同システムを現在進行中の中期経営計画においてSS事業の成長戦略の主要ソリューションと位置付けている。

 

3.2020年12月期業績予想

◎業績予想について 

前述のように、新型コロナウイルス感染症拡大により今期第1四半期には部品納入の遅延により、一部で生産が滞ったほか、ヨーロッパでは、SS事業防犯関連で代理店の営業活動停止による販売の伸び悩みや、FA事業のOEM先への販売が大幅に減少する等、厳しい状況が続いている。
今後の同感染症の拡大規模や収束時期が見通せない状況下では合理的な業績予想の算定が困難であるため、2020年12月期上期及び通期業績予想、配当予想を一旦未定とすることとした。

 

4.コロナ危機収束後の市場変化への取り組み

足元の事業環境は厳しいものの、同社ではコロナ危機収束後の市場変化への対応・取り組みを以下のように考えている。

 

新型コロナウィルスショックは人々の価値観の変化と共に、社会構造の変革を加速させ、その過程で生じる社会的な課題は当社の事業機会の拡大にもつながる。

FA分野においては、品質や安心・安全要求の増大、人手を介さない自動化・省人化ニーズの拡大である。

また今後普及が加速する5Gにおいては、社会インフラとして停止の許されない基地局で使用される電子基板に要求される性能水準は極めて高い。

こうした社会的な課題の解決に向け、FAセンサーや画像検査用LED照明の市場は今後も拡大が見込まれ、競争力の高い製品によって需要を確実に取り込んでいく。

 

(同社資料より)

 

5.今後の注目点

新型コロナウイルスの影響をどの程度受けるかは現時点では読み難く、短期的には毎四半期ごとの開示をフォローするよりほかはないだろう。短期的には、人的被害が大きく、外出規制等も日本より厳しい海外における事業がどの程度のスピートで回復していくのかを注目したい。
一方中長期的には、社会的課題の解決による業績拡大や価値創造というストーリーが明確な同社のESGに関する取り組みにも期待したい。

 

<参考:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態及び取締役、監査役の構成>

組織形態

監査等委員会設置会社

取締役

11名、うち社外4名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
更新日:2020年3月27日

 

<基本的な考え方>
当社グループは、株主、投資家をはじめ、顧客、社会からの信頼を獲得しつつ、継続的に企業価値を向上させることが最大の使命であると認識しております。その実践のために、コーポレート・ガバナンスの充実を重要な経営課題の一つと位置づけ、経営の透明性向上と、公正かつ迅速な意思決定を伴う経営システムの維持及び経営監視機能の強化を目指しております。

 

<実施しない主な原則とその理由>
当社は、ガバナンス・コードの各原則を全て実施しております。

 

<コーポレートガバナンス・コードの各原則に基づいて開示している主な原則>

原則

開示内容

【原則1-4政策保有株式】

当社は、当社グループの事業戦略上において、取引関係の強化と企業価値向上に資すると判断した場合に限り、取締役会での審議・決議を経て取得し、保有いたします。また、保有する株式につきましては、毎年取締役会においてその意義について検証を行い、目的とする合理的価値が乏しいと判断した場合には、市場動向等を勘案して売却し、縮減に努めております。

 

 現在当社が保有する政策保有上場株式 : 1銘柄 48百万円(貸借対照表計上額)

 

 なお、保有する株式の議決権行使については、当該企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上に寄与するか、株主価値が大きく毀損されないかを判断基準として個別に精査し、総合的に判断して賛否を決定します。

【原則5-1 株主との建設的な対話に関する方針】

当社は、IR部門を設置しており、株主の皆様との積極的かつ建設的な対話をなし得るよう、当社の経営方針や経営状況について判りやすい説明をするよう努めております。また、IR担当者と担当役員は、機関投資家向け説明会、個人投資家向け説明会を計画的に実施しており、機関投資家からの面談には随時対応しております。

定時株主総会においては、多様な株主様のご出席を賜われるよう会場を設定して、その終了後には、今後の当社方針をご理解いただけるように「株主説明会」「株主懇親会」を実施しております。

※第41回定時株主総会におきましては、「新型コロナウイルス」の感染拡大予防の観点から、「株主懇親会」を中止といたしました。

 

 

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