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(3960) 株式会社バリューデザイン

グロース

ブリッジレポート:(3960)バリューデザイン 2020年6月期第3四半期決算

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尾上 徹 社長

株式会社バリューデザイン(3960)

 

 

企業情報

市場

東証マザーズ

業種

情報・通信

代表取締役社長

尾上 徹

所在地

東京都中央区八丁堀3-3-5 住友不動産八丁堀ビル6F

決算月

6月末日

HP

https://www.valuedesign.jp/

 

株式情報

株価

発行済株式数

時価総額

ROE(実)

売買単位

4,515円

1,495,900株

6,753百万円

-19.4%

100株

DPS(予)

配当利回り(予)

EPS(予)

PER(予)

BPS(実)

PBR(実)

0.00円

-

0.68円

6,639.7倍

476.91円

9.5倍

*株価は5/25終値。発行済株式数、DPS、EPSは20年6月期第3四半期決算短信より。ROE、BPSは前期実績。

 

業績推移

決算期

売上高

営業利益

経常利益

当期純利益

EPS

DPS

2016年6月(実)

1,631

188

163

150

131.68

0.00

2017年6月(実)

1,738

-12

-44

-87

-63.43

0.00

2018年6月(実)

2,053

79

64

33

22.83

0.00

2019年6月(実)

2,066

-65

-80

-150

-102.20

0.00

2020年6月(予)

2,295

53

43

1

0.68

0.00

*単位:百万円、円。予想は会社予想。当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。以下同様。

 

株式会社バリューデザインの2020年6月期第3四半期決算概要などをお伝えします。

 

目次

今回のポイント
1.会社概要
2.2020年6月期第3四半期決算概要
3.2020年6月期業績見通し
4.今後の注目点
<参考1:対面市場における事業機会と同社の戦略>
<参考2:コーポレートガバナンスについて>

 

今回のポイント

  • 20年6月期第3四半期の売上高は前年同期比20.0%増の18億46百万円。引き続き大手量販店等でのチャージ機需要が増加していること加え、消費者還元補助受給用の決済データ提供手数料などで初期売上は同30.2%増加。2019年10月開始のキャッシュレス・消費者還元事業により同事業参加企業の取扱高が増加したことに加え、営業体制増強もあり既存・新規顧客へのアプローチを強化した結果、システム利用料売上も同14.3%の増収。営業利益は同313.2%増の1億17百万円。初期売上原価、運用などの外注費、人件費、代理店手数料など販管費は同13.0%増加したが増収で吸収。大幅な増益となった。

     

  • 重要カテゴリ(大型のスーパー/ホームセンター/飲食チェーン)顧客の新規受注は順調で、QR等コード決済接続「ゲートウェイサービス」は計10社の決済サービスに対応している。主要なQR等コード決済サービスへの対応は概ね完了しており、飲食チェーンやホームセンター等を中心に、導入業種・店舗も拡大が進んでいる。導入企業での更なるプリペイド会員の増加、プリペイド利用促進に向けた施策も順次導入する予定。

     

  • 通期業績予想に変更は無い。新型コロナウイルスについては大きな影響はないと予測している。売上高は前期比11.1%増の22億95百万円、営業利益は53百万円の黒字転換の予想。前期実施した営業体制強化や新サービス・コスト効率化などの投資効果を背景に再度拡大フェーズへ回帰。投資回収を行いつつ黒字転換を見込む。ハウスプリペイドの取扱高は年間で約5,000億円に達する見通しだ。利益の進捗は順調だが、還元事業継続に伴い、下期コスト増の可能性も見込まれるため、通期業績予想は据え置いている。

     

  • システム利用料に対する新型コロナウイルスの影響は、一部業態での来客数減によるプリペイドカード利用減が見込まれる一方、別業態では利用増傾向のため甚大な影響はないと会社側は予測している。キャッシュレス化のトレンドが後退することは想定しにくく、新型コロナウイルスの第2波、第3波があっても、日本全体で第1波程度の被害であれば、堅調な収益動向が期待できよう。

     

  • 今期の黒字転換が見えてきた同社に対し、投資家の関心は来期の過去最高益更新に移っており、導入店舗数を始めとしたKPIを引き続き注視していきたい。

     

     

1.会社概要

交通系電子マネー(Suica等)や流通系電子マネー(WAON、nanaco等)に代表されるプリペイド型電子マネーを自社ブランドで発行可能にする「バリューカードASPサービス」の提供により、企業のブランディングやプロモーションを支援。Suica等と異なり、導入企業の自社店舗でのみ利用可能とする代わりにインセンティブ等で顧客を囲い込む販促ツールである「ハウスプリペイドカード」と、利便性を提供する決済ツールとして導入企業がクレジットカード会社等と連携して発行する「ブランドプリペイドカード」の2種類を展開。2020年3月末時点でのハウスプリペイドの導入企業数、店舗数はそれぞれ776社、77,594店舗と国内最多。No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ、強固な営業ネットワーク、「700社を超す導入企業」という顧客資産から生み出される安定したストック型収益が売上の半分強を占めており強み。開拓余地の大きい国内市場で更に高い成長を追求するとともに、海外市場でも国内同様に顧客ストックを一気に積み上げて大きな飛躍を目指す。

 

【1-1 沿革】

クレジットカード会社で新たな決済手段の開発に取り組んでいた尾上社長は、アメリカでサーバー管理型電子マネーである「ハウスプリペイド」、「ブランドプリペイド」が普及・拡大していることを知り、数年後にはその波が日本にも必ず到来することを予想。いち早く導入に動くが、当該クレジットカード会社では既に非接触IC型電子マネーへの取り組みが中心となっていたため、新たにサーバー管理型電子マネーを手掛けるための人員も予算も不足しており、導入を進めることは難しいのが現実であった。
そうした中、尾上社長は、成長が見込まれる「ハウスプリペイドカード」、「ブランドプリペイドカード」を日本で是非とも事業化したいと考えクレジットカード会社を退社し、2006年7月に同社を設立した。
「ハウスプリペイドカード」という文化が無い日本で当初営業活動は苦戦したが、低価格の専用端末を武器に店舗数10店舗程度の小規模事業者を中心に顧客数は着実に増加し、一定のシェアを獲得する。ハウスプリペイドカードマーケットの拡大に伴いシェアは一段と上昇し、顧客規模も中堅、大手へと拡大していった。
2012年からは海外でも事業を展開。2016年9月、東証マザーズに上場した。

 

【1-2 経営理念など】

「アジアNo.1のプロセッシングカンパニーを創る」を経営ビジョンに掲げ、『「バリューカード」を通じ、サービス提供企業と消費者のコミュニケーションの架け橋となることで、双方のメリットを極大化し、社会に貢献します。』と謳っている。

 

(同社におけるプロセッシングとは、自社開発の「バリューカードASPサービス」を使用しての残高管理業務やカード発行ノウハウは無い事業会社に対するカード発行支援業務を指す。)

 

【1-3 市場環境】

◎市場動向・概要
高い安全性、効率性の向上といった発行者、利用者双方のニーズから、「現金決済比率の低下、電子決済のウェート拡大」が続いている。
特に、2019年10月から開始された「キャッシュレス・消費者還元事業」の効果もあり、キャッシュレス決済比率が数%上昇する一方で、現金決済は10%以上減少することが確認されており(同社決算短信より)、こうした流れは今後も強まるものと思われる。
中でもプリペイドカードの更なる伸長が見込まれている。

 

(同社資料より)

 

国内プリペイドカード市場は2021年度に13兆円に拡大すると予想されている。
中でもハウスプリペイドカードは2015年度から2021年度までの年平均成長率は10.5%で市場規模は1.9兆円に拡大。ブランドプリペイドカードは同じく年率35.2%成長で1.7兆円へと、市場平均を大きく上回る高成長が見込まれている。

 

(同社資料より)

 

◎プリペイド決済の種類
プリペイドによる決済には以下のような種類がある。
同社の「バリューカードASPサービス」はサーバー管理型プリペイドカードシステムにあたる。

 

(プリペイド決済の種類)

種類

概要

非接触IC 型電子マネー

非接触IC チップを発行媒体とし、IC チップに記録した残高を加減算できるプリペイド決済サービス

代表例は、Suica、Pasmoなど。

サーバー管理型電子マネー

カード自体には残高価値を持たせずにサーバーでアカウントを管理するプリペイド決済サービス

その他

全国百貨店商品券のような紙型、図書カードなどの磁気型などがある。

 

サーバー管理型電子マネーは非接触IC 型電子マネーに比べ1枚当たりのカード単価など導入コストが安価であることに加え、その特性を活かして、例えば「今日から1週間は付与ポイント倍増!」といったようなインセンティブプログラムを顧客企業のニーズや状況に合わせてサーバー側で柔軟に設定、実施できる点が大きな特長である。

 

前払式支払手段(プリペイド)の媒体別発行額は、磁気型や紙型が減少傾向にあるのに対し、サーバー型が伸長しているという。上記のようなサーバー管理型電子マネーのメリットを発行者が評価した結果であろう。
企業が費用対効果を追求する姿勢をますます強める中、顧客囲い込みのための有力な手段としてサーバー管理型電子マネーを用いたプリペイドカード需要は今後も引き続き増大していくものと思われる。

 

◎同業他社
ハウスプリペイドカード事業では国内シェア40%超を有しており業界首位である。
豊富な導入事例とノウハウで他社に対して大きなアドバンテージを持っている。(詳細は、「1-5 特長と強み」を参照)

 

(同社資料より)

 

【1-4 事業内容】

自社の独自ブランドで発行が可能な「ハウスプリペイドカード」と、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載した「ブランドプリペイドカード」を展開しており、この2つを事業セグメントとしている。

 

 

 

(1)ハウスプリペイドカード事業

 

 

(概要)
自社ブランドによるプリペイドカード発行を希望する企業に対して同社が自社開発したサーバー管理型プリペイドカードシステム「バリューカードASPサービス」を提供している。
「バリューカードASPサービス」導入企業は、専用端末を設置するのみで、ハウスプリペイドカードシステムの導入が可能である。

 

ハウスプリペイドカードの概要、導入企業および消費者のメリットは以下の通り。

 

ハウスプリペイドカードの概要

*導入企業が独自で発行する電子マネー

*「お得感」を提供し顧客を囲い込む「販促ツール」

*キャッシュバックなどの特典による顧客の囲い込みや優良顧客の育成を目的としたリチャージ型のプリペイドカード、自社ブランドの認知度向上を通じた新規顧客獲得を目的とした使い切り型のギフトカード等、導入企業のニーズに合わせてサービスをラインアップしている。

導入企業のメリット

*店舗はその「お得感」を活用し、店舗への来店頻度、購買単価を向上させるための「顧客囲い込み」ツールとして活用することができる。

*専用端末を設置するのみで、プリペイドカードシステムの導入が可能となる。

*入金・利用に対する特典といったインセンティブを活用したリピート率上昇が見込める。

*有効期限切れの残高は導入企業の収益(退蔵益)となる。

*消費者の入金時点で自社キャッシュ(前受金)となるためキャッシュ・フローは良化する。

*ギフトカードによる新規顧客の集客が見込める。

*従来の紙商品券と比べ回収処理業務が不要となり、事務処理コストを大幅に改善することが可能。 PCの管理画面上でリアルタイムでカード発行枚数、入金金額、利用金額、未使用残高等の集計が可能。

消費者のメリット

*導入企業の店舗での利用に限られる代わりに、入金や利用に対してクレジットカード等より多くの特典(キャッシュバック)を得ることができるケースも。

*入金・利用等に応じたインセンティブを獲得することができる。店舗によっては、還元率はクレジットやポイントを上回る。

*キャッシュレスでレジ待ち時間が短縮化。クレジットより高速。

 

同社はプリペイドカードを単なる決済手段にとどまらせず、企業と消費者(ユーザー)をつなぐマーケティングツールとして位置付け、プロモーション、マーケティング、ブランディングの観点から企業の販売促進活動を支援している。
即ち、バリューカードASPサービスにより提供するプリペイドサービスを効果的に活用し、導入企業の客数・来店頻度・客単価などの指標の上昇、売上向上への貢献を目指す点が同社の大きな特徴である。
もちろん多様化する決済手段を最適化するとともに、店舗、消費者双方の決済に係る利便性向上にも貢献している。

 

~販促支援活動~
バリューカードASPサービス導入店舗から収集される、プリペイドカードの利用状況等のデータを一元的にサーバー管理しており、導入効果を可視化するデータ分析ツールをベースに以下のような支援を行っている。

 

*カード発行枚数、アクティブカード枚数、入金・利用単価と頻度、店舗別利用状況等の分析レポートを提示し、サービス導入店舗のプリペイドサービス導入の効果検証・効果分析を定期的に実施。
*入金キャンペーン等、プリペイドカードを活用した販促施策を企画段階から支援。企画→実行→分析→改善のPDCAサイクルを回し、ブラッシュアップを提案。
*バリューカードASPサービスを導入している他社の販促事例やその効果等の情報を提供し、より効果的なプロモーション施策を提案。

 

(導入事例:いきなりステーキ 「肉マイレージカード」)

 

 

 

 

(同社HPより)

 

以下、株式会社ペッパーフードサービス担当者へのインタビューを、バリューデザイン社HPから抜粋、引用。

 

===============================================
導入の目的・理由
いきなり!ステーキは、お肉をお客様の前でお好みの量にカットして召し上がっていただくというスタイルです。いきなり!ステーキ第1号店が2013年12月5日に銀座でOPENして以来、リピーターのお客様からご自身が食べてきた記録を残したいという声が多くあがり、かねてから一瀬社長が構想していた飛行機のマイレージのようなものができないか?という案が具体化されました。
導入にあたっては、食べた量を目でみることができるリライト式や通常のポイント仕組み等、複数社が候補にあがりましたが、せっかく持って頂くなら高級感のあるカードが良いということと、将来的にチャージができるということに魅力を感じ、バリューデザインに決めました。

 

導入された結果、どのような変化がありましたか?
肉マネーチャージを定着させるため、肉マネーボーナスの3倍キャンペーンを行いました。この効果は絶大で、社内でもチャージ額の多さに驚きの声があがっていました。キャンペーン後はチャージすることが、お客様の意識で定着してきたようで、キャンペーンを行ってない日でも平均のチャージ額が当初と比べて約2倍にベースアップしました。
また、原価の高騰を受け、ステーキの値上げをせざるを得なくなった時も、肉マネーチャージボーナスキャンペーンに助けられました。2016年3月1日に値上げを実施しましたが、値上げの発表を早めに行い、値上げ前日の2月29日は、「4年に一度の29の日5倍デー」を実施し、駆け込み需要を狙いました。また、3月1日から4月15日まで、3倍キャンペーンを実施しました。この結果、値上げに対する逆風はなく、むしろ値上げ後は、売り上げが10%アップしました。メディアの外的要因も功を奏していますが、マイレージチャージの存在が値上げに対する販売促進施策として、非常に有効でした。

 

 

成功のポイント
いきなり!ステーキの業態と肉マイレージという制度、ネーミングが本当にぴったりだったことだと思います。 100円払って手に入れた最初の白いカードには何の特典もないのに、これだけ成功したのは、量り売りでステーキを食べたい量だけお召し上がり頂く「いきなり!ステーキ」のコンセプトとランクアップによる特典とカード自体の価値観、ランキング制度により、公開で競い合う心理をうまく刺激できたことだと思います。
(中略)
言うまでもなく、ポイントをあからさまな利用金額ではなく、食べた肉のグラムを付与するという点もここまで浸透した成功要因の一つだと思っています。

 

バリューデザインへの評価・期待
今や、「いきなり!ステーキ」と「肉マイレージカード」は一心同体の状態です。新しい取り組みのため、色々と一緒に苦労をしてきましたが、これからも今まで以上に一緒に頑張ってもらえればと思います。安定的な稼働と肉マイレージを今以上に発展できる体制を構築いただき、一緒に肉マイレージを盛り上げていっていただきたいです。
===============================================

 

専用端末を設置するのみでプリペイドカードシステムの導入が可能という利便性、データをベースにした販促支援が企業に評価されていることに加え、消費者にとってもお得感が強いことから、導入社数、導入店舗数、取扱高(カード入金額)ともに急成長を遂げている。

 

 

国内では飲食店、スーパーマーケットを中心に全国をカバー。直近ではホームセンターなど新たな業態の顧客化に加え、顧客規模の大型化も進んでいる。

 

海外は韓国、中国、フィリピン、タイ、シンガポール、マレーシアに加え、インドでM&Aを実施し、巨大市場の開拓も始まった。
M&Aの効果もあり、19年6月期の海外単独の年間取扱高、売上高は急伸。直近も大きく増加している。

 

 

 

累計取扱高(プリペイドチャージ額)はブランドプリペイドも合わせ19年6月期で累計1.2兆円に達し、クオカードと同程度の市場を創造している。

 

(収益構造)
同事業の売上高区分は以下の2つ。

項目

内容

初期売上

プリペイドカード(プラスチックカード)の製造販売、システム登録料、プリペイドカード専用端末販売など

月額システム利用料

バリューカードASPサービスシステムの利用料(カードへの入金額・利用額の一定料率)

 

導入費用は、店舗数が数十店舗、カード枚数が数千~1万枚の場合で50万円程度、年商数千億円、カード枚数が数十万枚の大企業で、1,000万円程度など、店舗数など企業規模により大きく異なる。
カード枚数、専用端末数、入金額、利用額が同社売上の主要な変数となる。近年は大規模企業の顧客化に注力している。

 

(2)ブランドプリペイドカード事業
2016年6月期から開始した事業。
ブランドプリペイドカードとは、VISA、MasterCardを始めとする国際ブランドと提携し、従来のハウスプリペイドカードの機能にVISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店での決済機能を搭載したカードのこと。
通常のクレジットカードとは異なり、前払でカードに入金した金額に制限されるために使い過ぎる心配がなく、入会審査は不要なため、誰でもクレジットカード加盟店であればどこでも利用できる簡便性を兼ね備えている。
また、ハウスプリペイドカードは導入店舗及び系列店舗に利用が限定されるが、ブランドプリペイドカードは、VISAブランド、MasterCardブランド等に加盟している世界中の店舗で利用することができる点も大きな違いである。

 

概要

*導入企業がカード発行会社(主にクレジット カード会社)と提携して発行する電子マネー

*「どこでも使える」利便性を提供する「決済ツール」

導入企業のメリット

*導入企業およびカード会社は、自社以外の店舗で入金や利用が行われた際にも手数料収入を見込むことができる。

*他社店舗での利用動向も入手でき、より詳細な消費者行動分析が可能になる。

消費者のメリット

*与信審査や銀行口座の確認などの手続きが不要でクレジットカードよりも簡単に作ることができる。

*VISA、MasterCard等の国際ブランド加盟店なら全世界どこでも利用することができる

*海外旅行の際にATMから現地通貨を引出したり、様々なサービスで貯めたポイント等をブランドプリペイドカードの残高に変換したりなど、有効活用できる。

 

ハウスプリペイドカードに比べまだ日の浅い同事業は浸透に時間がかかっている。

 

 

(収益構造)
同事業の売上高区分は以下の2つ。

項目

内容

初期売上

サービス導入に伴うシステムカスタマイズ開発費用など

月額システム利用料

バリューカードASPサービ スシステムの利用料

(カード所持者によるカードへの入金額・利用額の一定料率)

 

バリューデザインは、クレジット業界における国際セキュリティ安全基準(※PCIDSS)の認証取得による高い信頼性を確保したシステムインフラを構築しており、ブランドプリペイドカードで決済されるデータを一元的にサーバー管理している。
(※)PCIDSS:Payment Card Industry Data Security Standard:JCB、American Express、Discover、MasterCard、VISAの国際ペイメントブランド5社が共同で策定したクレジット業界における国際セキュリティ安全基準。

 

【1-5 特長と強み】

①No.1の導入実績に基づく成功のノウハウ
プリペイドカードサービス成功の鍵はシステムではなく利用を促進するノウハウであると同社では考えている。
この点で、10年以上をかけて蓄積した豊富な導入事例は大きなアドバンテージとなっている。
様々な業種からなる約800社を近い導入実績から具体的な事例を用いて個社ごとの最適な手法を提案することができる点は他社にはない強力な差別化要因であり、現在までの、さらに将来に向けての同社成長の源泉でもある。

 

課題

提案例など

顧客メリット

顧客タイプに応じたメリットのバリエーション

・入金・利用でポイント付与

・年間購買金額に応じたランクでステータスを変更

・プリペイド払いで特典商品を割引

認知度向上

店舗の負荷を抑え、顧客認知を高める手法

・POP、ポスター、リーフレット等の設置・配布方法

・既存メルマガ会員等への告知

推進体制

全社での利用促進体制の構築

・カード推進における役割担当制度の体制構築

・カード推進状況を店長・エリア会議で共有

店舗オペレーション

シンプルなオペレーション設計と、十分な研修の実施

・簡潔にお得感を伝えるおすすめトーク

・店舗説明会での理解促進

・リリース前のカード運用テスト期間の設定

 

 

②専門のコンサル部門による導入・運用支援
同社では蓄積したノウハウの活用を通じて顧客満足度を最大化させるために専門のコンサル部門を擁している。
同部隊はプリペイドカードによる販促施策成功に向け、同業種・他業種を含めた様々な成功・失敗事例から最適な施策を提案・実行支援し、導入企業を手厚くサポートしている。
営業系スタッフに占める営業部門とコンサルティング部門の人員比率は、おおよそ4:6とコンサルティング部門が上回っていることからも、同部門の重要性がわかる。

 

③有力企業との提携による拡販体制
同社ではプリペイドカード事業は先行者利益の大きいビジネスと捉えており、早急なシェア(=導入企業数)獲得が重要と考えている。そのため、同社ではターゲット先の業態や企業に対して業務上深い関連性を持つ企業(POSベンダーやトップセールスが可能な有力企業等)と販売代理店契約を締結し、全国各地を網羅した営業ネットワークを構築している。

 

代理店例

特徴・ターゲット顧客

POSベンダー

飲食・スーパーマーケットを中心 としたPOSシステム導入済顧客への拡販。

総合印刷会社

販促・マーケティングソリューションとしてOEM提供している。大規模顧客をターゲットに拡販。

クレジットカード会社

クレジットカード導入済企業の紹介や、既存クレジットカードと連携したサービスの企画等で協業。

その他代理店

同社ターゲットへのトップセールスが可能なコネクションを持つ企業等。

 

現在約80社の代理店を有しているが、超大型顧客および前期から本格的な顧客化が始まったホームセンターの開拓に向けネットワークを更に強化する考えだ。

 

④将来動向にも柔軟に対応可能な技術基盤
拡大が続く電子決済市場においては今後も様々なシステムやデバイスが登場することが予想されるが、同社のシステムは現在の磁気カード・専用端末以外のデバイス・媒体でもシステム改修なく対応が可能である。
さらに、Fintech系サービスとの連携も視野に入れたシステムアーキテクチャを採用しており、将来動向も見据えた柔軟な技術基盤を構築している。

 

これら①から④に加えて、同社の強さを支える「700社を超す導入企業」という顧客資産も大きな特長・強みである。
豊富な導入事例を生み出すのみでなく、高成長が見込まれるブランドプリペイドカード事業においても重要な役割を果たすことに加え、安定したストック型収益の源泉である点も理解しておくべきだろう。

 

 

2.2020年6月期第3四半期決算概要

(1)連結業績概要

 

19/6期

3Q

構成比

20/6期

3Q

構成比

前年同期比

売上高

1,538

100.0%

1,846

100.0%

+20.0%

 初期売上

559

36.3%

728

39.4%

+30.2%

 システム利用料売上

978

63.7%

1,118

60.6%

+14.3%

売上総利益

701

45.6%

878

47.6%

+25.2%

販管費

673

43.7%

760

41.2%

+13.0%

営業利益

28

1.9%

117

6.4%

+313.2%

経常利益

19

1.3%

105

5.7%

+433.9%

四半期純利益

12

0.8%

76

4.2%

+531.9%

*単位:百万円

 

 

 

既存・新規顧客とも好調で増収、大幅増益。
売上高は前年同期比20.0%増の18億46百万円。引き続き大手量販店等でのチャージ機需要が増加していること加え、消費者還元補助受給用の決済データ提供手数料などで初期売上は同30.2%増加。2019年10月開始のキャッシュレス・消費者還元事業により同事業参加企業の取扱高が増加したことに加え、営業体制増強もあり既存・新規顧客へのアプローチを強化した結果、システム利用料売上も同14.3%の増収。
営業利益は同313.2%増の1億17百万円。初期売上原価、運用などの外注費、人件費、代理店手数料など販管費は同13.0%増加したが増収で吸収。大幅な増益となった。

 

重要カテゴリ(大型のスーパー/ホームセンター/飲食チェーン)顧客の新規受注は順調で、QR等コード決済接続「ゲートウェイサービス」は計10社の決済サービスに対応している。主要なQR等コード決済サービスへの対応は概ね完了しており、飲食チェーンやホームセンター等を中心に、導入業種・店舗も拡大が進んでいる。
導入企業での更なるプリペイド会員の増加、プリペイド利用促進に向けた施策も順次導入する予定。

 

(2)セグメント別動向

 

19/6期

3Q

構成比

20/6期

3Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

 ハウスプリペイドカード事業

1,396

90.8%

1,729

93.7%

+23.9%

  初期売上

550

35.8%

718

38.9%

+30.6%

  システム利用料売上

846

55.0%

1,011

54.8%

+19.5%

 ブランドプリペイドカード事業

142

9.2%

116

6.3%

-18.1%

  初期売上

9

0.6%

10

0.5%

+5.6%

  システム利用料売上

132

8.6%

106

5.7%

-19.8%

合計

1,538

100.0%

1,846

100.0%

+20.0%

営業利益

 

 

 

 

 

 ハウスプリペイドカード事業

308

22.1%

396

21.8%

+28.6%

 ブランドプリペイドカード事業

-8

-

-39

-

-

調整額

-270

-

-238

-

-

合計

28

1.8%

117

4.3%

+313.2%

*単位:百万円。営業利益の構成比は売上高営業利益率

 

①ハウスプリペイドカード事業
増収増益。
「キャッシュレス・消費者還元事業」の影響により、中堅スーパーマーケットやホームセンターでのプリペイド利用が好調。また、ハウスプリペイド・QR等コード決済用の新型端末や入金機、「キャッシュレス・消費者還元事業」の参加支援サービス(システム開発・運用など)の初期売上も引き続き好調だった。
営業を中心とした人材採用、オフィス移転など前期に実施した施策による固定費の増加のほか、システム利用料売上の伸長に伴う代理店手数料の増加などもあり販管費が同29.6%増加したが営業利益は同28.6%増と2桁増益。

 

取扱高は前年同期比58.8%増の3,724億円、導入社数は前期末比73社増の776社、店舗数は累計で前期末比11.5%増の77,594店となった。

 

②ブランドプリペイドカード事業
減収・損失拡大。
既存サービスの一部縮小に伴う売上減に加え、2019年12月は入金・利用とも前年同期比で減少した。
次の事業拡大機会に向け新サービス(給与前払・外国人向けプリぺイド)関連事業者との協議・検討を実施中である。
取扱高は前年同期比13.3%減の435億円。

 

③海外事業

 

19/6期

3Q

構成比

20/6期

3Q

構成比

前年同期比

売上高

 

 

 

 

 

 初期売上

8

36.4%

4

12.1%

+4

 システム利用料売上

14

63.6%

28

84.8%

+28

合計

22

100.0%

33

100.0%

+33

営業利益

-44

-

-39

-

+5

*単位:百万円。海外の業績はハウスプリペイド事業の業績に含む。

 

マレーシア・タイでのシステム利用料が引続き増加した。
インドではチャージおよび利用のほか、ポイント交換サービスとの提携による売上が増加中である。
海外単独の取扱高は既存案件における導入店舗増や入金キャンペーン等の効果により前年同期比85.1%増の41億円。

 

(3)財務状態

◎主要BS

 

19年6月末

20年3月末

 

19年6月末

20年3月末

流動資産

795

993

流動負債

335

463

 現預金

403

597

 仕入債務

107

71

 売上債権

316

346

 未払金

145

85

固定資産

407

365

固定負債

159

80

 有形固定資産

231

173

負債合計

494

543

 無形固定資産

69

67

純資産

708

815

 投資その他の資産

106

123

負債純資産合計

1,203

1,358

資産合計

1,203

1,358

有利子負債残高

170

165

単位:百万円

 

現預金、売上債権、投資その他の資産増などで資産合計は前期末比1億55百万増加の13億58百万円。
負債合計は同48百万円増加の5億43百万円。
純資産は同1億55百万増加の8億15百万円。
自己資本比率は前期末から0.9ポイント上昇し59.1%となった。

 

 

 

3.2020年6月期業績見通し

(1)連結業績予想

 

19/6月期

構成比

20/6月期(予)

構成比

前期比

進捗率

売上高

2,066

100.0%

2,295

100.0%

+11.1%

80.4%

 初期売上

734

35.5%

813

35.4%

+10.8%

89.6%

 システム利用料売上

1,333

64.5%

1,482

64.6%

+11.2%

75.4%

営業利益

-65

-

53

2.3%

-

222.4%

経常利益

-80

-

43

1.9%

-

244.8%

当期純利益

-150

-

1

0.0%

-

7,687.1%

*単位:百万円

 

業績予想に変更無し。増収、黒字転換。投資効果背景に再度拡大フェーズへ。
業績予想に変更は無い。売上高は前期比11.1%増の22億95百万円、営業利益は53百万円の黒字転換の予想。
前期実施した営業体制強化や新サービス・コスト効率化などの投資効果を背景に再度拡大フェーズへ回帰。投資回収を行いつつ黒字転換を見込む。ハウスプリペイドの取扱高は年間で4,000億円に達する見通しだ。
利益の進捗は順調だが、キャッシュレス・消費者還元事業継続に伴い、下期コスト増の可能性も見込まれるため、通期業績予想は据え置いている。

 

(2)新型コロナウイルスの影響

今期第3四半期時点では特段の影響はない。
今期通期に関しては、初期売上は受注済、又は計上がほぼ確定的であるため影響は僅少。ただ一部業態での来客数減によるプリペイドカード利用減が見込まれる。但し逆に別業態では利用増傾向のため甚大な影響はないと予測している。
来期以降に関しては、ポジティブ要因として「キャッシュレス決済普及の加速(衛生面からの嫌忌))」「成長市場(中食・EC)への事業拡大機会」「成長サービス(事前オーダー等)との連携による競争力向上」が、ネガティブ要因として「消費低迷の長期化:利用減少中企業の回復長期化、利用増加中企業の減少転落」「警戒期間長期化による新規開拓ペースの減少」を上げている。

 

(3)今後の事業戦略(前回レポートより)

◎方針と取り組み
これまではプリペイド利用者をターゲットとして、リピート率や客単価を向上させてきたが、今後は購買情報に基づく消費者コミュニケーション強化のため非プリペイド利用者(現金等、他決済手段の利用者)を含め、全体の40~60%に相当する消費者にターゲットを拡大。ポイント・クーポン等のサービスが利用できるアプリ会員へと誘導した上で、ポイント付与率のアップなど更なる利便性を提示しプリペイド決済を訴求する。

 

(同社資料より)

 

そのために、今後、非プリペイド利用者に対しては「入り口」としてのアプリ会員サービスを提供して、アプリ会員専用の販促施策を実施すると共に、プリペイド決済について提案し、最終的なプリペイド利用者の増加を図る考えだ。

 

(同社資料より)

 

ハウスプリペイドカードが成功してきた最も重要な要因はチャージ額をいかに増やすかであった。
下記のように様々なチャージ手段に対応した施策を打ち、大規模スーパーやホームセンター等生活に密着した業態での利用に最適なチャージ手段を用意することで、導入効果を最大化する。

 

(同社資料より)

 

また、ハウスプリペイドカードと各種QR等コード決済を同時に導入できるシステム(ゲートウェイ)は2020年3月末時点で10社の決済サービスに対応しており、導入店舗も増加中である。

 

(同社資料より)

 

2019年10月から始まったキャッシュレス・消費者還事業に伴い、顧客への事業参加のサポート業務を開始した。
各種申請サポートの他、消費者還元補助の受給に必要な決済データの作成・事務局への提供などを行っている。

 

◎今期以降の数値目標
今期黒字回復、来期には営業利益ベースでの最高益更新を目指している。

決算期

業績目標(18年8月発表)

最新状況・見通し

19/6期

売上     21億円

営業利益  ‐2億円

売上20.6億円/営業利益 -0.6億円

主要な投資は完了。費用圧縮(一部翌期繰り越し)により営業損失は縮小した。

20/6期

売上     23-24億円規模

営業利益  黒字転換

売上22.9億円/営業利益0.5億円を目指す。

19/6期の投資による固定費上昇を吸収し黒字化。利益拡大は21/6期から。

21/6期

売上     30億円規模

営業利益  過去最高益以上を目標

19/6期の投資効果をフルに寄与させ、導入店舗数8万店舗以上を目指す。

コスト比率を18/6期水準に安定させ、以後継続的な収益成長を図る。

 

今期の積極投資を契機に国内事業、海外事業をそれぞれドライブさせるとともに、国内外で獲得した顧客基盤を活用して新たな決済・販促サービスを将来的に展開し、25年6月期には、国内事業60億円、海外事業30億円、新規事業10億円の合計100億円の売上達成を目指している。

 

4.今後の注目点

システム利用料に対する新型コロナウイルスの影響は、一部業態での来客数減によるプリペイドカード利用減が見込まれる一方、別業態では利用増傾向のため甚大な影響はないと会社側は予測している。
キャッシュレス化のトレンドが後退することは想定しにくく、新型コロナウイルスの第2波、第3波があっても、日本全体で第1波程度の被害であれば、堅調な収益動向が期待できよう。
今期の黒字転換が見えてきた同社に対し、投資家の関心は来期の過去最高益更新に移っており、導入店舗数を始めとしたKPIを引き続き注視していきたい。

 

 

 

<参考1:対面市場における事業機会と同社の戦略>

ハウス電子マネーの普及本格化、キャッシュレス決済の急拡大という流れの中で、以下のような取り組みによって更なる成長を追求していく考えだ。
また、海外事業拡大のための土台構築にも注力する。

 

(1)ハウス電子マネーの普及本格化

(同社の現状認識・今後の狙い)
導入成功事例の認知が進み、「様子見」状態だった企業の導入意欲が顕在化している。
また、成功企業においては、更に効果を高めるサービスのニーズが高まっており、こうしたニーズを確実に取り込むための施策に注力する。

 

(顧客の大型化)
前期よりホームセンター業態での導入が進んでおり、特に中堅・大型企業での導入が増加。今期受注の顧客規模(年商)もさらに大型化の傾向にある。

 

(同社資料より)

 

◎キャッシュレス・消費者還元事業への対応
顧客企業を支援するため、2019年10月からの消費税率引き上げに伴う消費者還元事業において代表申請事業者として加盟店を募集している。

 

経済産業省は、消費税率引き上げに伴う消費低迷を防ぐとともに、キャッシュレス化を進展させることを目的として小売店等に各種補助を提供している。
補助の内容は、小売店など加盟店に対しポイントやハウスプリペイドによる消費者への還元分相当の補助を行う「消費者還元補助」、キャッシュレス決済導入にあたり、決済端末を新規購入する際、購入金額の2/3を限度に補助を行う「決算端末補助」、同事業の為の雇用者の人件費、申請代行の事務手数料等を補助する「事務経費補助」など。

 

同社は加盟店に代わって経産省に対し各種登録申請や補助申請を行っており、還元に対する高い消費者ニーズを背景に、参加企業は増加し、その6割程度がスーパーマーケット業態である。

 

◎導入効果を高めるためのサービス戦略
ハウスプリペイド事業を成功させる最重要要因はチャージ額の増大である。
各種チャージ手段には以下のようなメリットやデメリットがあるが、同社は大規模スーパーやホームセンター等生活に密着した業態での利用に最適なチャージ手段を用意することで、導入効果を最大化させている。

 

(同社資料より)

 

(2)キャッシュレス決済の急拡大の兆し

(同社の現状認識・今後の狙い)
新たなキャッシュレス決済を活用した、ハウス電子マネーの取扱高が増加している。
そうした中、関連する新サービスの提供による収益力向上を図る。
また、キャッシュレス決済の普及により、より効率の良い営業戦略へアップデートを図る。

 

(キャッシュレス決済サービスの特徴と課題点)
キャッシュレス決済サービスの現状について同社では、QR等コード決済サービスは主に新規顧客の送客で効果を発揮している一方、その後の顧客の固定化や優良顧客化に向けた販促ではハウスプリペイドが有効であると考えている。
各種キャッシュレス決済手段は目的別の使い分けが必要であり、その点を各事業者に提案している。

 

(同社資料より)

 

(各種キャッシュレス決済のターゲットと導入目的)
クレジットカード及びその他ペイメントサービスが顧客利便性や事業者が展開する利用促進キャンペーン等を背景に来店客を増加させる幅広い顧客向け「決済施策」なのに対し、ハウスプリペイドカードは、続的な高還元率やクーポン提供などで顧客との関係性を深め、リピート率や客単価を向上させる「販促施策」として競合優位性を高める戦略ツールであり、「決済施策」と競合する施策ではない。
現にハウスプリペイドにおける決算比率は20~30%と、決済手段としての利用率は高くない。
こうした絶好のポジションを強力な競争優位性として、積極的な事業拡大を図る。

 

 

(キャッシュレス決済拡大に併せた営業戦略=VDゲートウェイ)
このように、各キャッシュレス決済サービスにおける「使い分け」が重要であることを意識し、ハウスプリペイドと各種QR決済を同時に導入できるシステム(ゲートウェイ)を2019年7月から提供を開始した。

 

VDゲートウェイは、POSを改修することなく各種QR等コード決済とハウスプリペイドを導入できる新型端末も用意しており、事業者の利便性は極めて高い。
各ペイメント事業者と連携しながら導入店舗の更なる拡大を目指している。

 

(同社資料より)

 

(3)海外事業拡大の土台の構築

(同社の現状認識・今後の狙い)
営業体制強化おおよびM&Aで獲得したフラッグシップ案件の活性化を図る。
加えて、海外成功事例を構築し、横展開を図る。

 

(海外の展開状況)
各国それぞれの大手顧客とのディスカッションを重ねて吸い上げた各国でのニーズを基に、現地企業と組みサービスのローカライズに着手している。効果の高い施策はグローバルで共有しながらアジア市場の開拓を進める。
早期のタイ、インドの黒字化を見込んでいる。

 

(同社資料より)

 

<参考2:コーポレートガバナンスについて>

◎組織形態、取締役、監査役の構成

組織形態

監査役会設置会社

取締役

6名、うち社外1名

監査役

3名、うち社外2名

 

◎コーポレートガバナンス報告書
最終更新日:2019年10月10日

 

<基本的な考え方>
当社は、株主・従業員・取引先、すべてのステークホルダーとの良好な関係を維持し、透明性の高い健全なコーポレートガバナンス体制及び企業倫理の構築に向け、鋭意努力を行っております。また、遵法の精神に基づきコンプライアンスの徹底、経営の透明性と公正性の向上及び環境変化への機敏な対応と競争力の強化を目指して、最適な経営管理体制の構築に努めてゆく方針であります。

 

<実施しない主な原則とその理由>
「当社はコーポレートガバナンス・コードの基本原則について、全て実施いたします。」と記述している。

 

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